JP5850317B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
一方、転写ローラに金属ローラを使用し像担持体と対向する位置からオフセットさせて転写ローラを配置した間接一次転写方式では、トナー像の転写に用いられる転写電流を中間転写体の表面を伝わせて像担持体に流す必要がある。従って、間接一次転写方式では、中間転写体の表面抵抗を高くすると所定の転写電流を確保することが難しくなって転写特性に問題が出てしまうので、前述のような表面抵抗の高い中間転写体を用いる対策をとることができない。そこで、転写ローラに流れる電流のうち転写電流として使われずに漏れてしまった漏れ電流を検知し、その検知された漏れ電流の分だけ所定の転写電流に上乗せして電源の出力電流(定電流)を設定する差分定電流方式の転写バイアス制御を行う画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
また、複数の転写部を備える構成の場合に上記差分定電流方式を使うために、複数の転写部のいずれか一つについてのみ漏れ電流が発生し他の転写部については漏れ電流が発生しにくくなるように装置内のレイアウトを設定することが考えられるが、この場合はレイアウト上の自由度が制約を受けるという問題がある。また、中間転写体から記録媒体へトナー像の転写を行う二次転写部の二次転写ローラから漏れ電流がある場合は、その二次転写部の転写方式として、中間転写体上のトナー像を二次転写ローラ側に引き付ける向きの静電気力を発生させる転写バイアス電圧を印加する引力ローラ方式を採用して二次転写ローラから漏れ電流を抑制する必要がある。そのため、二次転写方式として、中間転写体上のトナー像を二次転写ローラから遠ざける向きの静電気力を発生させる転写バイアス電圧を印加する斥力ローラ方式を自由に使うことができないという問題がある。
また、前述の間接一次転写方式において転写部からの漏れ電流を抑制する方法としては、中間転写体の表面抵抗の公差を縮めることが考えられるが、公差幅を直接転写方式に比べて狭くする必要があるため、コストアップにつながるという問題がある。
[実施形態1]
まず、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体の構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置10は、4連タンデム中間転写方式及び斥力二次転写方式を採用した電子写真式のカラー画像形成装置(プリンタ)である。同図において、画像形成装置10は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(以下、Y、M、C、Kと記す。)のトナー像を生成するための4つの画像形成部としての作像ユニット11Y,M,C,Kを備えている。作像ユニット11Y,M,C,Kは、画像形成物質として互いに異なる色のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。以下、Yトナー像を作像するための作像ユニット11Yを例に挙げて説明する。
帯電装置3Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される感光体1Yの表面を一様帯電させる。一様帯電した感光体1Yの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このY用の静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像装置4Yによって現像されてYトナー像になり、中間転写体としての中間転写ベルト21上に一次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、一次転写工程を経た後の感光体1Y表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色の作像ユニット(11M,C,K)においても、同様にして感光体(1M,C,K)上に(M,C,K)トナー像が形成されて、中間転写ベルト21上に重ね合わせて一次転写される。
上記構成の画像形成装置における一次転写部の転写方式としては、直接一次転写方式と間接一次転写方式とが主に知られている。直接一次転写方式では、一次転写バイアスローラ22Y,M,C,Kとしてスポンジローラを使用し、中間転写ベルト21を間に挟んで、各一次転写部の一次転写バイアスローラ22Y,M,C,Kをそれぞれ対応する感光体1Y,M,C,Kに突き当てて使用する。間接一次転写方式では、一次転写バイアスローラ22Y,M,C,Kとして金属ローラを使用し、感光体1Y,M,C,Kには突き当てずに使用する。
図6は、本実施形態の画像形成装置における二次転写バイアスの漏れ電流について実測したグラフである。図6のグラフの横軸は時間であり、縦軸が二次転写バイアスの漏れ電流の測定値である。図6の測定ではA3サイズの同一の紙を通紙しているが、漏れ電流の最大値と最小値との差分(max−min)で5μA程度のバラつきがある。これは、同一の紙種であっても(同一パックの用紙であっても)、1枚1枚のバラつきや局所的なバラつきが大きいことを示している。この結果から、紙種は無数に存在しているため、紙種ごとに漏れ電流量が大きく異なることが予想される。
図11は、本実施形態の画像形成装置における制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。同図において、制御手段としての制御部200は、CPU201と、制御プログラムや各種データを記憶したROM202と、各種データを一時的に記憶するRAM203とを有している。この制御部200には、各周辺制御部との間で信号をやりとりするためのI/Oインターフェース204を介して、一次転写バイアス電源40Y,M,C,K、二次転写バイアス電源41、電流計42などが接続されている。制御部200は、予め組み込まれた所定の制御プログラムを実行することにより、二次転写入口ローラ25に流れる漏れ電流の検知・測定、一次転写バイアス及び二次転写バイアスの設定変更(補正)、一次転写バイアス及び二次転写バイアスの印加などを制御することができる。
(T1)その日の最初の立ち上げ時
(T2)前回測定時からの温湿度の変化が閾値以上(例えば、温度が7度以上の変動、または湿度が30%RH以上の変動のいずれかがあった場合)
(T3)中間転写ユニットの脱着時
(T4)黒の作像ユニット11Kの脱着時
(T5)プロセスコントロール実施後(黒用の感光体1Kの帯電電位調整時)
図12において、まず、Bk当接モードで中間転写ベルト21及び感光体を回転させる(S101)。ここで、「Bk当接モード」とは、図1には図示していない接離機構を用いて黒色以外のカラーの感光体1Y,M,Cを中間転写ベルト21から離間させ、黒用の感光体1Kのみを中間転写ベルト21に当接させた状態のモードである。作像ユニットの寿命の観点から、Bk当接モードを使用しているが、全色の感光体1Y,M,C,Kを当接した状態で行っても同様の効果を得ることはできる。なお、このとき二次転写バイアスローラ23は中間転写ベルト21に対して当接及び離間のどちらでもよい。この状態で、現在の作像プロセスの条件に合わせた帯電電位で感光体1Kを帯電させる(S102)。そして、この状態で、一次転写バイアスを10[μA]の定電流制御で出力し、一次転写バイアスをオンしてから3秒後の漏れ電流(第1の漏れ電流)を測定して記録する(S103)。
a=(J1[25]−J1[10])/15 ・・・(1)
b=(25×J1[10]−10×J1[25])/15 ・・・(2)
I=(J+b)/(1−a)
=(15×J+25×J1[10]−10×J1[25])/(15−J1[25]−J1[10]) ・・・(3)
I2=J2+J[R]−J1[I] (一次転写バイアスがオンのとき)・・(4)
I2=J2+J[R] (一次転写バイアスがオフのとき)・・(5)
次に、本発明の他の実施形態に係る画像形成装置について説明する。本実施形態2は、上記実施形態1の場合よりも二次転写バイアスの補正を簡素化したものである。なお、本実施形態2についての以下の説明において、上記実施形態1と同様な構成及び制御については説明を省略する。
そこで、本実施形態2では、二次転写バイアスの補正について簡略化することにより、ソフト処理の負荷を低減し、コスト増を抑えつつ画質の安定化を図っている。
まず、二次転写部に用紙Pの先端部が到達したところで、二次転写入口ローラ25を流れる漏れ電流を検知し、二次転写バイアスの電源出力電流の値として、上記(4)式及び(5)式に基づいて計算した値I2を用いる。用紙Pの通紙中は最初に検知した検知結果に基づいて算出した電源出力電流の値I2でロックし、追加の検知は行わない。
次の用紙P’の先端部が二次転写部に到達したところで、同様に、その用紙P’の先端部で漏れ電流の検知のみ行い、この検知した検知結果と上記(4)式及び(5)式とに基づいて計算した電源出力電流の値I2’が、現在ロックしている上記電源出力電流の値I2と一定値以上(例えば、5[μA]以上)の差異があった場合は、二次転写バイアスの電源出力電流の制御目標値を、新たな電源出力電流の値I2’に更新し、この新たに決定した電源出力電流の値I2’を用いて二次転写を行う。
次に、本発明の更に他の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、本実施形態3についての以下の説明において、上記実施形態1や実施形態2と同様な構成及び制御については説明を省略する。
また、上記実施形態2では、用紙Pの先端部で漏れ電流を検知して、その漏れ電流の値を使用することでリアルタイム動作を行わない方法を例示したが、用紙Pの先端部での検知は先端余白の幅(搬送方向の長さ)とプロセス線速(中間転写ベルトや二次転写ローラなどの線速)とに制約がかかるおそれがある。つまり、用紙Pの先端余白が二次転写部を通過し終わるまでには狙いの転写電流を印加し始めたいので、用紙Pの先端余白について検知を行った後、その先端余白が二次転写部を通過する期間(例えば、用紙Pの搬送方向における先端余白の幅[mm]をプロセス線速[mm/秒]で割った値)内に漏れ電流の検知・計算・電源出力の制御の全てを終わらせる必要がある。このような制御の時間的な制約を無くすことも製品設計においては重要である。
そこで、本実施形態3では、二次転写バイアスの補正制御について時間的な制約を加えることなく、二次転写バイアスの補正についてのソフト処理の負荷を低減し、コスト増を抑えつつ画質の安定化を図っている。
本実施形態3における二次転写バイアス(二次転写電流)の第1の補正制御例(補正制御例1)は、次の(1)〜(3)に示す流れで行う。
(1)二次転写バイアスローラ23にクリーニングバイアスを印加しているクリーニングバイアス印加時の漏れ電流J2を検知する。なお、このときは既に一次転写バイアス(一次転写電流)を、一次転写バイアス電源40Y,M,C,Kから一次転写バイアスローラ22Y,M,C,Kに電源出力電流Iとして印加しており、このときの漏れ電流(一次転写漏れ電流)をi=I−Jとする。ここで、Jは、一次転写部での転写に必要な一次転写電流である。
(2)次に、クリーニングバイアス印加時に検知した漏れ電流J2から一次転写漏れ電流iを引いた値すなわちJ2−iの値を狙いの二次転写電流に加えた値を、用紙の第1面通紙時における二次転写バイアスの電源出力電流の制御目標値T2_1として設定する。
(3)次に、用紙の第一面通紙時におけるある規定のタイミングで漏れ電流(第3の漏れ電流)J2_1を検知し、用紙の第二面通紙時における二次転写バイアスの電源出力電流の制御目標値T2_2を設定する。このとき、漏れ電流J2_1の検知タイミングが一次転写バイアス(一次転写電流)の印加タイミングと重なる場合は、上記(2)と同様に、J2_1−iの値を狙いの二次転写電流値に加えたものを、二次転写バイアスの電源出力電流の制御目標値T2_2として設定する。一方、漏れ電流J2_1の検知タイミングが一次転写バイアス(一次転写電流)の印加タイミングと重ならない場合は、狙いの二次転写電流値に漏れ電流J2_1を加えたものを、二次転写バイアスの電源出力電流の制御目標値T2_2として設定する。
T2_1=α1×(J2−i)+β1 ・・・(6)
T2_2=α2×(J2_1−i)+β2 ・・・(7)
本実施形態3の第2の補正制御例(補正制御例2)では、複数の用紙に対して連続的に画像を形成するように実行される1単位のジョブにおける2枚目以降の用紙に対する二次転写バイアス(二次転写電流)の制御目標値は、その2枚目以降の用紙よりも前に通紙される前回通紙時における二次転写バイアスの制御目標値と前回通紙時における漏れ電流の測定値とに基づいて決定される。
具体的には、例えば以下のように二次転写バイアスの補正制御を行う。
まず、前記ジョブの実行に先だってクリーニングバイアスを印加し、そのクリーニングバイアス印加時に使用された二次転写バイアス電源41の電源出力電流の制御目標値を、U2[0][1]とする。同様に、前記ジョブの1枚目の用紙の第一面通紙時に使用された二次転写バイアス電源41の電源出力電流の制御目標値を、U2[0][2]とする。
次に、1枚目の用紙の第一面通紙時に検知された漏れ電流の測定値をJ2[1][1]とし、一次転写部の漏れ電流をiとしたときに、二次転写バイアス電源41の電源出力電流の制御目標値U2[1][1]は、次の(8)式のように計算して決定される。
U2[1][1]=(二次転写電流の目標値)+J2[1][1]−i ・・・(8)
U2[N][m]=(二次転写電流の目標値)+J2[N][m]−i ・・・(9)
T2[N][m]=γ×U2[N−1][m]+(1−γ)×T2[N−1][m] ・・・(10)
ただし、
T2[0][1]=U[0][1]
T2[0][2]=U[0][2]
本実施形態3の第3の補正制御例(補正制御例3)では、上記補正制御例2よりも更に上記重み付け係数γの条件をより詳細に設定している。上記補正制御例2においても説明したように、上記重み付け係数γの設定値の大きさにより、前回通紙時に実際に使用された二次転写バイアスの制御目標値(以下「実際の制御値」という。)から前回通紙時における漏れ電流の測定値に基づいて計算される二次転写バイアスの制御目標値(以下「予測値」という。)への修正の速度が決まる。例えばγの設定値が大きいほど前回通紙時の実際の制御値から予測値からに素早く修正される。この前回通紙時の実際の制御値から予測値へ修正される割合はγで一定となっている一方で、上記実際の制御値と予測値との差はその時々で異なるため、前回通紙時の実際の制御値から予測値へ修正される値の絶対値はその時々で変わる。従って、γを一定に設定して二次転写バイアスの補正制御を行っていると、前回通紙時の実際の制御値と予測値とのずれが大きいほど予測値へ急速に修正されるため、前回通紙時の実際の制御値からの変化が大きい。また、予測値へ急速に修正されると、装置に何か異常が発生した場合や転写対象の用紙に特殊な紙が混ざっていた場合に、その状態に引っ張られてしまい、本来正常に画像形成可能であったものが、上記異常発生や特殊な紙に対応するように計算された予測値に基づいて二次転写バイアスが補正制御されて正常に画像形成できなくなるおそれがある。
γ=γ’×[1−|U2[N−1][m]−T2[N−1][m]|/|U2[N−1][m]+T2[N−1][m]|] ・・・(11)
本実施形態3の第4の補正制御例(補正制御例4)は、上記補正制御例1〜3のいずれかの画像形成装置をベースにし、トナー像が転写される転写対象の用紙の厚さを測定する測定手段としての紙厚センサを、用紙搬送路に取り付け、その紙厚センサの測定結果である用紙の厚さの測定値に基づいて、二次転写バイアスの制御目標値の補正を調整している。
本実施形態3の第5の補正制御例(補正制御例5)は、上記補正制御例1の画像形成装置をベースにし、クリーニングバイアスを用いた漏れ電流の予測精度をさらに向上させることを目的とした例である。なお、上記補正制御例2〜4の画像形成装置をベースにした場合も同様である。
上記補正制御例1では、負極性のクリーニングバイアスとして、第一面通紙時の二次転写バイアス(二次転写電流)と同じ電流を出力して印加する定電流制御を行っている。これに対し、本補正制御例5では、第一面通紙時における二次転写バイアスの電源ン出力電流の80%の電流及び100%の電流をそれぞれクリーニングバイアスとして印加し、各水準のクリーニングバイアス印加時における漏れ電流を測定している。そして、これら2水準のクリーニングバイアス印加時に測定された2点の漏れ電流の測定結果から計算して予測される二次転写バイアスの電源出力電流の制御目標値と漏れ電流との関係を用いて、第一面通紙時の漏れ電流の予測と、二次転写バイアスの電源出力電流の制御目標値の補正とを行っている。
JC[x]={(JC[30]−JC[24])/6}x+5×J[24]−4×J[30] ・・・(12)
X=Y−JC[Y]=Y−({(JC[30]−JC[24])/6}Y−5J[24]+4J[30]) ・・・(13)
Y=(6X+30JC[24]−24JC[30])/(JC[30]−JC[24]−6) ・・・(14)
次に、本発明の更に他の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、本実施形態4についての以下の説明において、上記実施形態1〜3と同様な構成及び制御並びに同様に適用可能な補正制御例については説明を省略する。
本実施形態4は、三つ以上の転写部から漏れてくる可能性がある構成の場合の制御例である。
本実施形態4の画像形成装置は、図1に記載のような4連タンデム方式の画像形成装置であるが、作像順番が中間転写ベルト表面移動方向の上流から順にK(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)となっている点が上記実施形態1及び2と異なる。通常、作像順として、モノクロ印刷時のファーストプリントタイムの観点からはK(黒)が最下流とされることが好まれるが、装置構成の制約などから、K(黒)が最上流となる例が存在している。このとき、二次転写入口ローラ25への漏れ電流は、フルカラーモード時及びモノクロモード時のそれぞれにおいて次のようになる。フルカラーモード時は、C(シアン)の一次転写バイアスローラ22Cに印加された一次転写バイアスの漏れ電流と、二次転写バイアスローラ(斥力ローラ)23に印加された二次転写バイアスの漏れ電流とがそれぞれ、二次転写入口ローラ25に漏れて流れる。また、モノクロモード時は、K(黒)の一次転写バイアスローラに印加された一次転写バイアスの漏れ電流と、上記二次転写バイアスの漏れ電流とがそれぞれ、二次転写入口ローラ25に漏れて流れる。また、上記二つの一次転写バイアスローラ22C,22Kと二次転写入口ローラ25との距離が互いに異なるため、Cの一次転写バイアスの漏れ電流およびKの一次転写バイアスの漏れ電流は互いに異なる。そこで、本実施形態3では、三つの漏れ電流(Cの一次転写バイアスの漏れ電流、Kの一次転写バイアスの漏れ電流、二次転写バイアスの漏れ電流)について、それぞれ異なるタイミングで測定及び補正をすることにより、良好な画像品質が得られるようにしている。
そして、実際の画像形成動作時(作像時)は、上記実施形態1と同様に、二次転写バイアスの電源出力電流について目標電流値I2を上記(4)式及び(5)式に基づいて決定する。ただし、上記(4)式及び(5)式の中のJ1[I]の値として、モノクロモードではKの一次転写バイアスの漏れ電流値(測定値または計算値)を用い、フルカラーモードではCの一次転写バイアスの漏れ電流値(測定値または計算値)を用いて補正を行う。
以上のように、上記各漏れ電流の検知タイミングをそれぞれに適したタイミングに設定することにより、3箇所以上の転写部から一つの接地箇所(二次転写入口ローラ25の接地箇所)に漏れてくる場合でも、制御にて良好な画像が得られるようにすることができる。
4連タンデム間接一次転写方式と斥力二次転写方式とを組み合わせた画像形成装置において、中間転写ベルト表面移動方向における最下流のK(黒)の作像ユニット11Kと二次転写バイアスローラ(斥力ローラ)23との間に、接地されている二次転写入口ローラ25があるとする。このとき、K(黒)の一次転写ローラ22Kから二次転写入口ローラ25へ、二次転写バイアスローラ23斥力ローラから入口ローラへ、中間転写ベルト21の裏面(内周面)を伝わって漏れ電流を流れる。
上記漏れ電流量は、制御方式、各転写バイアスローラ22K,23に対向している対向部材、及び中間転写ベルト21の抵抗(ベルト抵抗)で決まる。簡単に言えば、各転写バイアスローラ22K,23から中間転写ベルト21を伝って二次転写入口ローラ25まで流れる経路の抵抗と、各転写バイアスローラ22K,23からそれぞれ対応する対向部材に流れる経路の抵抗との比で、転写バイアスの電流の分配が決まる。また、電流総量は、各転写バイアスローラ22K,23に印加される転写バイアスの電源出力電流で決まる。従って、一次転写バイアスの漏れ電流量は、「ベルト体積方向の抵抗と像担持体(感光体1)の抵抗の合成」と「ベルト裏面の抵抗」とによって決定される。また、二次転写は「ベルト体積方向の抵抗、紙抵抗および二次転写バイアスローラ抵抗の合成」と「ベルト裏面の抵抗」とによって決定される。ここで、上記「ベルト体積方向の抵抗」は中間転写ベルト21の厚さ方向の電気抵抗(体積抵抗)であり、上記「ベルト裏面の抵抗」は中間転写ベルト21の裏面(内周面)の電気抵抗(表面抵抗)である。
上記ベルト体積方向の抵抗及びベルト裏面の抵抗は、個々の中間転写ベルトで決まるものであり、温湿度による変動も小さいため、画像形成装置(中間転写ユニット20)に固有の値と言える。また、像担持体(感光体1)の抵抗は温湿度や像担持体の帯電電位によって決まる。ただし、帯電電位による変動は帯電させることを前提とする場合、それほど大きな影響を持たず、温湿度の方が支配的となる。従って、像担持体の抵抗は大まかには温湿度でほぼ決まり、プロセス条件で僅かに変動する。また、二次転写バイアスローラ23の抵抗は、個々の二次転写バイアスの元々の抵抗と温湿度でほぼ決まる。そして、紙は様々な抵抗を有しており、紙面内での抵抗ばらつきも大きい。
これら抵抗変動の違いを考慮すると、一次転写側の漏れ電流というのは、中間転写ユニット20及び温湿度でほぼ決まり、プロセス条件を変えると若干の変化がある。一方、二次転写側の漏れ電流は、通紙する紙によって変わるため、毎回の画像形成ごとに細かく変動する。また、両面通紙時は定着装置で温められた用紙が第二面印刷時に転写部を通過するため、二次転写バイアスローラ23も徐々に温められるなどがある。
これらのことから、一次転写側の漏れ電流については、ユニット交換時や温湿度変化時にさえ値を測定しておけば、以後細かく測定しなくてもさしたる変動はない。精度良く測定するのであれば、これに加えてプロセス条件を変更した際に測定を行えばよい。一方、二次転写側の漏れ電流については、画像形成動作時(作像時)にリアルタイムで測定することが望ましい。従って、事前に一次転写の漏れ電流を測っておき、画像形成動作時(作像時)にリアルタイムで合成の漏れ電流を測定すれば、二次転写バイアスの漏れ電流を検知することができる。これにより、各々の転写バイアスの漏れを推定して補正することができるので、複数個所の転写部から漏れてくるような場合でも、上記制御によって安定した画像品質を提供することができる。
(1)中間転写ベルトの抵抗及び二次転写ローラといった漏れ電流に大きく関わる部品情報は空転(クリーニングバイアス印加)時の漏れ電流からほぼわかる。
(2)用紙の電気抵抗の影響による漏れ電流は用紙の第一面と第二面で大きくは変わらない。
(3)用紙の第一面通紙時であれば、二次転写電流設定可能幅(=画像が安定して出力できる二次転写電流設定の幅)が広いので、二次転写バイアスの補正の精度は粗くてもよい。これに対し、第二面通紙時は、二次転写電流設定可能幅が狭いので、第二面通紙時における二次転写バイアスについては、第一面通紙時よりも精度の良い補正が求められる。
このような特性から、第一面通紙時における二次転写バイアスの補正量は用紙の影響を無視した漏れ電流の測定値から大雑把に見積もり、第二面通紙時における二次転写バイアスの補正量は第一面通紙時の補正量から見積もるように補正すれば、画像の安定性を図ることができる。また、このような補正の制御を行った場合は、必要となる計算量も減るので、複数個所から漏れてくるような場合でも効率良く制御することによって、安価なハードウェアを用いて安定した画像品質を提供することができる。
(態様A)
感光体1Y,M,C,Kなどの像担持体に形成されたトナー像の用紙Pなどの記録媒体への直接転写又は中間転写ベルと21などの中間転写体を介した転写に用いられる複数の転写部(一次転写部、二次転写部)と、前記複数の転写部それぞれにバイアスを印加する電源40Y,M,C,K,42などのバイアス印加手段と、前記複数の転写部それぞれにおいて前記バイアスの電流の一部が直接または中間転写ベルト21などの抵抗体を介して二次転写入口ローラ(アースローラ)25などの接地箇所に漏れ電流として流れる漏れ電流経路と、前記接地箇所に流れる漏れ電流を検知する電流計42などの検知手段と、前記複数の転写部それぞれに印加される画像形成用の転写バイアスを制御する制御部200などの制御手段と、を備えた画像形成装置10であって、画像形成動作を実行していないタイミングに、前記複数の転写部のうち一部の転写部にバイアスを印加し他の転写部にバイアスを印加しない状態で前記接地箇所に流れる第1の漏れ電流を検知し、その第1の漏れ電流の検知結果に基づいて、前記一部の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正し、画像形成動作を実行していないタイミング又は画像形成動作中に、前記複数の転写部のすべてにバイアスを印加した状態で前記接地箇所に流れる第2の漏れ電流を検知し、前記第1の漏れ電流の検知結果と第2の漏れ電流の検知結果とに基づいて、前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、複数の転写部のうち一部の転写部(例えば、Kの一次転写部)については、画像形成動作を実行していないタイミングに第1の漏れ電流を検知し、その第1の漏れ電流の検知結果に基づいて画像形成用の転写バイアスを補正する。一方、複数の転写部の他の転写部(例えば、二次転写部)については、画像形成動作を実行していないタイミング又は画像形成動作中に、前記複数の転写部のすべてにバイアスを印加した状態で前記接地箇所に流れる第2の漏れ電流を検知し、前記第1の漏れ電流の検知結果と第2の漏れ電流の検知結果とに基づいて、前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正する。このように複数の転写部それぞれについて前記漏れ電流について補正された適切な画像形成用の転写バイアスを印加するように制御できる。しかも、この転写バイアスの制御にあたって、前記複数の転写部それぞれから接地箇所に重ね合わされて流れる漏れ電流を検知すればよいので、複数の転写部それぞれの漏れ電流をそれぞれ個別に検知する場合に比してコストアップを抑えることができる。また、複数の転写部のいずれか一つについてのみ漏れ電流が発生し他の転写部については漏れ電流が発生しにくくなるように装置内のレイアウトを設定する必要がないので、レイアウト上の自由度が制約を受けないとともに、転写部における転写方式についても引力ローラ方式及び斥力ローラ方式のいずれも自由に使うことができ制約がない。従って、転写バイアスが印加されたときに接地箇所へ漏れる漏れ電流が発生し得る複数の転写部(一次転写部、二次転写部)を備える場合でも、コストアップを抑えるとともに装置内のレイアウト及び転写方式についての制約を回避しつつ、安定した転写特性を確保して良好な画像品質を得ることができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、前記他の転写部は、用紙Pなどの記録媒体にトナー像を転写する二次転写部であり、前記画像形成動作を実行していないタイミングにおける他の転写部を記録媒体が通過していないときに、第2の漏れ電流の検知及びその検知結果に基づく他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスの補正を行う。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記第2の漏れ電流の検知及び転写バイアスの補正を画像形成動作中にリアルタイムに場合に比して、前記第2の漏れ電流の検知及び転写バイアスの補正のためのソフトウェア及びハードウェアの負荷を低減できるとともに、コストの増加を抑制できる。
(態様C)
上記態様Bにおいて、前記補正された転写バイアスを他の転写部に印加した状態で用紙Pなどの記録媒体の第一面にトナー像を転写し、その転写の際に前記接地箇所に流れる第3の漏れ電流を検知し、その第3の漏れ電流の検知結果に基づいて、前記記録媒体の第二面にトナー像を転写するときの他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正する。これによれば、上記実施形態について説明したように、記録媒体の第二面に対する他の転写部の転写バイアスの補正の際に、その第二面にトナー像を転写するときの漏れ電流の測定が不要になるので、第二面に対する他の転写部の転写バイアスの補正が簡易になる。
(態様D)
上記態様B又は態様Cにおいて、他の転写部に複数の用紙Pなどの記録媒体を順次通過させて各記録媒体にトナー像を転写する場合、他の転写部に第2番目以降の記録媒体を通過させてトナー像を転写するときの転写バイアスを、少なくとも一つ前の記録媒体が他の転写部に通過したときに検知された漏れ電流の検知結果に基づいて補正する。これによれば、上記実施形態について説明したように、第2番目以降の記録媒体に対する他の転写部の転写バイアスの補正の際に、その記録媒体にトナー像を転写するときの漏れ電流の測定が不要になるので、第2番目以降の記録媒体に対する他の転写部の転写バイアスの補正が簡易になる。
(態様E)
上記態様B乃至態様Dのいずれかの態様において、他の転写部でトナー像が転写される転写対象の用紙Pなどの記録媒体の厚さを測定する測定手段を備え、前記記録媒体の厚さの測定結果に基づいて、他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスの補正を調整する。これによれば、上記実施形態について説明したように、複数種類の厚さの記録媒体にトナー像を転写する場合に、その厚さに応じて他の転写部の転写バイアスの補正を調整できるので、各記録媒体における画質が安定する。
(態様F)
上記態様B乃至態様Eのいずれかの態様において、前記第2の漏れ電流を検知するときに他の転写部に印加されるバイアスとして、他の転写部をクリーニングするために印加されるクリーニング用のバイアスを兼用する。これによれば、上記実施形態について説明したように、画像形成動作を行っているタイミングにクリーニング用のバイアスを印加して他の転写部をクリーニングしているときに、そのクリーニング用のバイアスの漏れ電流を検知し、その検知結果を利用して他の転写部の転写バイアスの補正を行うことができる。したがって、記録媒体にトナー像を転写するときの漏れ電流の測定が不要になり、他の転写部の転写バイアスの補正が簡易になる。
(態様G)
上記態様Cにおいて、前記第2の漏れ電流を検知するときに前記他の転写部に印加されるバイアスとして、前記他の転写部をクリーニングするために印加されるクリーニング用のバイアスを兼用し、前記クリーニング用のバイアスとして、画像形成用の転写バイアスと同極性であって互いに異なる少なくとも2水準以上のバイアスをそれぞれ印加し、各水準のバイアスが印加されたときに検知される前記複数の第3の漏れ電流に基づいて、用紙Pなどの記録媒体にトナー像を転写するときの他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正する。これによれば、上記実施形態について説明したように、クリーニング用のバイアスを用いた他の転写部の漏れ電流の予測精度をさらに向上させることができる。
(態様H)
上記態様A乃至態様Gのいずれかの態様において、制御部200などの制御手段は、他の転写部に印加される画像形成用の転写バイアスを制御目標値に基づいて制御し、前回の転写バイアスが印加されたときに検知された第2の漏れ電流の検知結果に基づいて補正された前記他の転写部に対する転写バイアスの制御目標値と、電源42などのバイアス印加手段から実際に出力された前回の転写バイアスの制御目標値との比較結果に基づいて、前記他の転写部に対して次に印加される転写バイアスを補正する。これによれば、上記実施形態について説明したように、前回の転写バイアスの制御目標値を考慮して他の転写部の転写バイアスの補正を修正することができるため、転写バイアスの急激な変化を抑制できる。
(態様I)
上記態様A乃至態様Hのいずれかの態様において、温度及び湿度の少なくとも一方を含む環境情報を検知する環境検知手段を備え、前記環境検知手段の検知結果に基づいて、他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスの補正を調整する。これによれば、上記実施形態について説明したように、使用環境が変化する場合でも、その使用環境に応じて他の転写部に対する転写バイアスの補正を調整できるので、記録媒体における画質が安定する。
(態様J)
上記態様A乃至態様Iのいずれかの態様において、前記画像形成動作を実行していないタイミングは、画像形成装置10の立ち上げ時、待機時、調整時、又は、画像形成動作の指示を受けてから画像形成動作を開始するまでのタイミングである。これによれば、上記実施形態について説明したように、画像形成動作に影響を与えることなく、上記漏れ電流の検知及び画像形成用の転写バイアスの補正量の決定を行うことができる。
(態様K)
上記態様A乃至態様Jのいずれかの態様において、前記複数の転写部に印加する転写バイアスの制御は定電流制御である。これによれば、上記実施形態について説明したように、上記漏れ電流を補正した転写電流が転写部に流れるように所定の電源出力電流からなる転写バイアスを安定に印加できる。
(態様L)
上記態様A乃至態様Jのいずれかの態様において、前記複数の転写部に印加する転写バイアスの制御は定電圧制御である。これによれば、上記実施形態について説明したように、上記漏れ電流を補正した転写電流が転写部に流れるように所定の電源出力電圧からなる転写バイアスを安定に印加できる。
(態様M)
上記態様A乃至態様Lのいずれかの態様において、前記漏れ電流の検知及び画像形成用の転写バイアスの補正量の決定は、前記複数の転写部のうち、画像形成動作時に転写バイアスが同時に印加され接地箇所に漏れ電流が重ね合わされて流れる少なくとも二つの転写部について実行する。これによれば、上記実施形態について説明したように、画像形成動作時に転写バイアスが同時に印加され接地箇所に漏れ電流が重ね合わされて流れる少なくとも二つの転写部について、上記漏れ電流の検知及び画像形成用の転写バイアスの補正量の決定を行う制御を実行するので、漏れ電流が発生している転写部について安定した転写特性を確保できるとともに、前記複数の転写部のすべてについて上記制御を実行する場合に比して制御を簡易にすることができる。
(態様N)
上記態様A乃至態様Mのいずれかの態様において、前記接地箇所に重ね合わされて複数の漏れ電流の極性は、正極性及び負極性の両方を含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写部に印加される転写バイアスの極性や漏れ電流の極性にかかわらず、当該転写部について安定した転写特性を確保できる。
(態様O)
上記態様A乃至態様Nのいずれかの態様において、前記漏れ電流の検知タイミングとして、予め設定されている複数の検知タイミングの候補のいずれを使用するかを判断するときの判断基準、及び、前記漏れ電流の再検知を行うか否かの判断基準が、前記複数の転写部ごとに設定されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、各転写部ごとに適したタイミングで上記漏れ電流の検知及び画像形成用の転写バイアスの補正量の決定を行うことができるとともに、各転写部ごとに適した画像形成用の転写バイアスの補正量を決定できる。
(態様P)
上記態様A乃至態様Oのいずれかの態様において、前記複数の転写部の少なくとも一つは、非画像形成時に前記漏れ電流を検知する。これによれば、上記実施形態について説明したように、画像形成動作に影響を与えることなく、上記漏れ電流の検知及び画像形成用の転写バイアスの補正量の決定を行うことができる。
(態様Q)
上記態様A乃至態様Pのいずれかの態様において、前記複数の転写部の少なくとも一つは、画像形成動作中に検知した漏れ電流に基づいて転写バイアスを制御する。これによれば、上記実施形態について説明したように、画像形成動作中に漏れ電流が変化しやすい転写部についても安定した転写特性を確保できる。
(態様R)
上記態様A乃至態様Qのいずれかの態様において、前記漏れ電流の検知結果を記憶する記憶手段を備え、前記複数種類の条件それぞれのもとで検知した複数の漏れ電流の検知結果を前記記憶手段に保存しておき、前記複数の転写部の少なくとも一つは、前記記憶手段に保存されている複数の漏れ電流の検知結果の組み合わせに基づいて、前記画像形成用の転写バイアスの補正量を決定する。これによれば、上記実施形態について説明したように、複数種類の条件それぞれのもとで検知した複数の漏れ電流の検知結果を予め保存しておくことにより、画像形成動作中に漏れ電流を検知することなく、画像形成用の転写バイアスの補正量を適切に決定することができる。
(態様S)
上記態様A乃至態様Rのいずれかの態様において、複数種類の転写バイアスをそれぞれ前記転写部に印加して検知した複数の漏れ電流の検知結果に基づいて、該転写バイアスと該漏れ電流との関係を一次関数で近似し、その一次関数に基づいて、漏れ電流について補正された目標の転写バイアスを決定する。これによれば、上記実施形態について説明したように、漏れ電流を検知する転写バイアスの条件を増やすことなく、様々な転写バイアスの条件について、漏れ電流に基づく画像形成用の転写バイアスの補正量の決定を行うことができる。
(態様T)
上記態様A乃至態様Sのいずれかの態様において、互いに異なる色のトナー像が形成されるように並設された複数の感光体1Y,M,C,Kなどの像担持体と、各像担持体のトナー像が順次重ね合わせるように転写される中間転写ベルト21などの中間転写体とを備え、前記複数の転写部は、複数の像担持体それぞれから前記中間転写体にトナー像を転写する複数の一次転写部と、中間転写体から用紙Pなどの記憶媒体にトナー像を転写する二次転写部とを含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、複数の像担持体から中間転写体への一次転写部及び中間転写体から記録媒体への二次転写部それぞれにおいて安定した転写特性を確保することができる。
(態様U)
上記態様Tにおいて、中間転写体は、無端状の中間転写ベルト21であり、複数の一次転写部それぞれにおいて転写バイアスが印加される一次転写バイアスローラ22Y,M,C,Kなどの一次転写部材は金属のローラである。これによれば、上記実施形態について説明したように、一次転写バイアスが印加される複数の金属ローラがそれぞれ対向している複数の像担持体から中間転写体への一次転写部において安定した転写特性を確保することができる。
(態様V)
上記態様T又は態様Uにおいて、前記二次転写部は、中間転写ベルト21などの中間転写体のトナー像が担持される面とは反対側の面が接するように配設された二次転写バイアスローラ23を有し、その二次転写バイアスローラ23は、トナー像に対して二次転写バイアスローラ23から遠ざける向きの静電気力(斥力)を発生させる二次転写バイアスが印加される。これによれば、上記実施形態について説明したように、画像形成動作中に一次転写バイアスと同様に漏れ電流が接地箇所に流れる二次転写バイアスの漏れ電流を、一次転写バイアスの漏れ電流と区別して検知し、その検知結果に基づいて二次転写バイアスの補正量を決定することができる。
10 画像形成装置
11Y,M,C,K 作像ユニット
20 中間転写ユニット
21 中間転写ベルト
22Y,M,C,K 一次転写バイアスローラ
23 二次転写バイアスローラ
24 クリーニングバックアップローラ(テンションローラ)
25 二次転写入口ローラ
26 二次転写対向ローラ
40Y,M,C,K 一次転写バイアス電源
41 二次転写バイアス電源
42 電流計
200 制御部
Claims (18)
- 像担持体に形成されたトナー像の記録媒体への直接転写又は中間転写体を介した転写に用いられる複数の転写部と、前記複数の転写部それぞれにバイアスを印加するバイアス印加手段と、前記複数の転写部それぞれにおいて前記バイアスの電流の一部が直接または抵抗体を介して接地箇所に漏れ電流として流れる漏れ電流経路と、前記接地箇所に流れる漏れ電流を検知する検知手段と、前記複数の転写部それぞれに印加される画像形成用の転写バイアスを制御する制御手段と、を備えた画像形成装置であって、
画像形成動作を実行していないタイミングに、前記複数の転写部のうち一部の転写部にバイアスを印加し他の転写部にバイアスを印加しない状態で前記接地箇所に流れる第1の漏れ電流を検知し、その第1の漏れ電流の検知結果に基づいて、前記一部の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正し、
画像形成動作を実行していないタイミング又は画像形成動作中に、前記複数の転写部のすべてにバイアスを印加した状態で前記接地箇所に流れる第2の漏れ電流を検知し、前記第1の漏れ電流の検知結果と第2の漏れ電流の検知結果とに基づいて、前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
前記他の転写部は、記録媒体にトナー像を転写する転写部であり、
前記画像形成動作を実行していないタイミングにおける前記他の転写部を記録媒体が通過していないときに、前記第2の漏れ電流の検知及びその検知結果に基づく前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスの補正を行うことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
前記補正された転写バイアスを前記他の転写部に印加した状態で記録媒体の第一面にトナー像を転写し、その転写の際に前記接地箇所に流れる第3の漏れ電流を検知し、その第3の漏れ電流の検知結果に基づいて、前記記録媒体の第二面にトナー像を転写するときの前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2又は3の画像形成装置において、
前記他の転写部に複数の記録媒体を順次通過させて各記録媒体にトナー像を転写する場合、前記他の転写部に第2番目以降の記録媒体を通過させてトナー像を転写するときの前記転写バイアスを、少なくとも一つ前の記録媒体が前記他の転写部に通過したときに検知された漏れ電流の検知結果に基づいて補正することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2乃至4のいずれかの画像形成装置において、
前記他の転写部でトナー像が転写される転写対象の記録媒体の厚さを測定する測定手段を備え、
前記記録媒体の厚さの測定結果に基づいて、前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスの補正を調整することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2乃至5のいずれかの画像形成装置において、
前記第2の漏れ電流を検知するときに前記他の転写部に印加されるバイアスとして、前記他の転写部をクリーニングするために印加されるクリーニング用のバイアスを兼用することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3の画像形成装置において、
前記第2の漏れ電流を検知するときに前記他の転写部に印加されるバイアスとして、前記他の転写部をクリーニングするために印加されるクリーニング用のバイアスを兼用し、
前記クリーニング用のバイアスとして、前記画像形成用の転写バイアスと同極性であって互いに異なる少なくとも2水準以上のバイアスをそれぞれ印加し、各水準のバイアスが印加されたときに検知される複数の前記第3の漏れ電流に基づいて、前記記録媒体にトナー像を転写するときの前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスを補正することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至7のいずれかの画像形成装置において、
前記制御手段は、前記他の転写部に印加される画像形成用の転写バイアスを制御目標値に基づいて制御し、
前回の転写バイアスが印加されたときに検知された前記第2の漏れ電流の検知結果に基づいて補正された前記他の転写部に対する転写バイアスの制御目標値と、前記バイアス印加手段から実際に出力された前回の転写バイアスの制御目標値との比較結果に基づいて、前記他の転写部に対して次に印加される転写バイアスを補正することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至8のいずれかの画像形成装置において、
温度及び湿度の少なくとも一方を含む環境情報を検知する環境検知手段を備え、
前記環境検知手段の検知結果に基づいて、前記他の転写部に対する画像形成用の転写バイアスの補正を調整することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至9のいずれかの画像形成装置において、
前記画像形成動作を実行していないタイミングは、前記画像形成装置の立ち上げ時、待機時、調整時、又は、画像形成動作の指示を受けてから該画像形成動作を開始するまでのタイミングであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至10のいずれかの画像形成装置において、
前記複数の転写部に印加する転写バイアスの制御は定電流制御であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至11のいずれかの画像形成装置において、
前記漏れ電流の検知及び前記画像形成用の転写バイアスの補正は、前記複数の転写部のうち、画像形成動作時に転写バイアスが同時に印加され前記接地箇所に漏れ電流が重ね合わされて流れる少なくとも二つの転写部について実行することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至12のいずれかの画像形成装置において、
前記接地箇所に重ね合わされて複数の漏れ電流の極性は、正極性及び負極性の両方を含むことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至13のいずれかの画像形成装置において、
前記漏れ電流の検知タイミングとして、予め設定されている複数の検知タイミングの候補のいずれを使用するかを判断するときの判断基準、及び、前記漏れ電流の再検知を行うか否かの判断基準が、前記複数の転写部ごとに設定されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至14のいずれかの画像形成装置において、
前記漏れ電流の検知結果を記憶する記憶手段を備え、
前記複数種類の条件それぞれのもとで検知した複数の漏れ電流の検知結果を前記記憶手段に保存しておき、前記複数の転写部の少なくとも一つは、前記記憶手段に保存されている複数の漏れ電流の検知結果の組み合わせに基づいて、前記画像形成用の転写バイアスを補正することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至15のいずれかの画像形成装置において、
複数種類のバイアスをそれぞれ前記転写部に印加して検知した複数の漏れ電流の検知結果に基づいて、該バイアスと該漏れ電流との関係を一次関数で近似し、その一次関数に基づいて、前記画像形成用の転写バイアスを補正することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至16のいずれかの画像形成装置において、
互いに異なる色のトナー像が形成されるように並設された複数の像担持体と、各像担持体のトナー像が順次重ね合わせるように転写される中間転写体とを備え、
前記複数の転写部は、前記複数の像担持体それぞれから前記中間転写体にトナー像を転写する複数の一次転写部と、前記中間転写体から記憶媒体にトナー像を転写する二次転写部とを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項17の画像形成装置において、
前記二次転写部は、前記中間転写体のトナー像が担持される面とは反対側の面が接するように配設された二次転写バイアスローラを有し、
前記二次転写バイアスローラは、前記トナー像に対して該二次転写バイアスローラから遠ざける向きの静電気力を発生させる転写バイアスが印加されることを特徴とする画像形成装置。
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