以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1、及び図2は、本実施の形態に係る撮像装置100の全体的な構成を示す斜視図である。図1は、撮像装置100を左前方から見た斜視図であり、図2は、撮像装置100を右前方から見た斜視図である。以下の説明では、説明の明確化のため、図に示すようなxyz直交座標系を用いて、説明を行う。
ここでは、x軸が、撮像装置100の前後方向を示し、y軸が撮像装置100の上下方向(鉛直方向)を示し、z軸が撮像装置100の左右方向(横方向)を示している。すなわち、x方向が、撮像装置100に設けられたレンズの光軸に平行な方向であり、y方向、及びz方向が撮像装置100に設けられたレンズの光軸と垂直な方向である。さらに、レンズ6側を被写体(物体)側に向け、レンズ6と反対側をユーザ側に向け、かつ、操作部16を上方に向けてユーザが撮像装置100を把持した状態において、撮像装置100を把持するユーザを基準に方向を特定する。すなわち、+x側が後方側、−x側が前方側、+y側が上方側、−y側が下方側、+z側が左側、−z側が右側とする。もちろん、上記の方向は、相対的なものであり、撮像装置100の向きに応じて変化する。
(全体構成)
図1、図2に示すように、撮像装置100は、本体部5と、モニタ部3と、レンズ6と、レンズバリア10と、操作部18とを有している。撮像装置100は、手ブレ補正機構を有している。
本体部5は、略直方体形状を有しており、レンズ6を有するレンズ鏡筒、撮像素子を有する手ブレ補正機構、制御回路、及びメモリなどが内蔵されている。そして、本体部5の前面には、レンズ6を覆うレンズバリア10が設けられている。このレンズバリア10が開くことで、レンズ6が露出して、撮像可能な状態となる。さらに、本体部5の右側面の前方側には、レンズバリア10の開閉を切り替えるためのレバー17が設けられている。本体部5の上面には、操作ボタンなどを有する操作部18が設けられている。操作部18は、録画開始ボタン、録画終了ボタン等を備えている。ユーザが、操作部18を操作することで、被写体を撮像することができる。
図2に示すように、本体部5の左側面には、モニタ部3が設けられている。モニタ部3は、本体部5に対して、ヒンジ4を介して接続されている。ヒンジ4によって、モニタ部3が本体部5に開閉可能に取り付けられている。モニタ部3は、被写体、記憶された画像データ、設定情報、その他の情報を表示する液晶ディスプレイなどを有している。なお、モニタ部3を開いた状態では、モニタ部3のモニタは、後方側、すなわちユーザ側を向いて配置されている。タッチパネル機能を備える場合には、モニタ部3のディスプレイが操作部の一部となる。
レンズ6は、外部の光を撮像装置100内の撮像素子に導くものである。また、本体部5には、撮像素子、制御回路等が配置されている。撮像装置100は、レンズ6を通して伝播してきた光を受光して、被写体を撮像する。さらに、本体部5のモニタ部3が設けられた左側面と対向する右側面には、バッテリが収納されている。バッテリは、本体部5に対して脱着可能に設けられ、撮像装置100のモニタ部3や撮像素子に電源を供給する。
(手ブレ補正機構の構成)
次に、本体部5に収納された手ブレ補正機構について、図3〜図7を用いて説明する。図3は、本体部5に収納されたカメラユニット2を後側から見た斜視図である。図3に示すように、カメラユニット2は、レンズを有するレンズユニット7と、レンズユニット7の後側に配置された手ブレ補正機構9とを備えている。レンズユニット7は、複数のレンズを保持するレンズ鏡筒等を有している。手ブレ補正機構9は、CMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を有しており、撮像素子をレンズユニット7に対して移動させることで手ブレ補正を行う。
図4は、カメラユニット2の分解斜視図を示す。図4に示すように、手ブレ補正機構9は、カバーユニット20と、上ホルダ30と、下ホルダ40と、ベースプレート50と、zプレート60と、yプレート70と、センサユニット80と、リアカバー90とを備えている。
図5は、手ブレ補正機構のリアカバー90を取り除いた状態を後側から見た示す斜視図である。図6は、手ブレ補正機構9のリアカバー90とセンサユニット80とを取り外した状態を後側から見た斜視図である。
図4に示すように、レンズユニット7の後側には、ベースプレート50、zプレート60、yプレート70(プレート部)がこの順で配置される。ベースプレート50、zプレート60、yプレート70は、互いに重ね合っており、zプレート60がベースプレート50とyプレート70の間に配置される。ベースプレート50、zプレート60、yプレート70は、樹脂材料によって形成されている。
ベースプレート50、zプレート60、yプレート70には、レンズユニット7のレンズ6の光を通過させるための開口部8が形成されている(図6を合わせて参照)。開口部8は矩形状に形成されている。そして、開口部8内にセンサユニット80の撮像素子が配置される(図5を合わせて参照)。具体的には、yプレート70の背面側にセンサユニット80を取り付ける。
さらに、センサユニット80には、撮像素子を保護するためのカバーユニット20が取り付けられている。カバーユニット20は、センサユニット80の撮像素子の前側に取り付けられ、開口部8に配設される。すなわち、レンズ6と、センサユニット80との間に、カバーユニット20が配置される。センサユニット80の背面側には、リアカバー90が設けられている。センサユニット80の背面側は、リアカバー90によって覆われている。リアカバー90には、後述する配線基板93等が取り付けられる。
ベースプレート50、zプレート60、yプレート70の上側(+y側)には、上ホルダ30が配置され、下側(−y側)には、下ホルダ40が配置される。上ホルダ30は、開口部8よりも上側に配置され、下ホルダ40は開口部8よりも下側に配置される。上ホルダ30、及び下ホルダ40のそれぞれは、ベースプレート50に取り付けられている。例えば、上ホルダ30をベースプレート50に対して、上側から嵌め込むことができるようになっており、下ホルダ40をベースプレート50に対して、下側から嵌め込むことができるようになっている。そして、上ホルダ30、及び下ホルダ40のそれぞれは、ベースプレート50に固定される。さらに、ベースプレート50とyプレート70の間には、zプレート60が挟み込まれる。
ベースプレート50は、レンズユニット7に対して固定される。zプレート60は、ベースプレート50に対して、z軸方向に揺動可能に取り付けられる。具体的には、ベースプレート50の背面側に、z方向に延びたzシャフト51が設けられている。そして、zシャフト51を介して、ベースプレート50とzプレート60とが連結されている。zプレート60は、zシャフト51に沿ってスライド移動する。ベースプレート50の背面側には、回転球52が配置されている。回転球52は、ベースプレート50とzプレート60の間に配置される。回転球52は、ベースプレート50に設けられた球受けに配設され、zプレート60のスライド移動に応じて、球受け内で転がる。これにより、zプレート60の移動によって発生する摩擦力を軽減することができる。
yプレート70は、zプレート60に対して、y軸方向に揺動可能に取り付けられる。具体的には、zプレート60の背面側に、y方向に延びたyシャフト61が設けられている。そして、yシャフト61を介して、yプレート70とzプレート60とが連結されている。yプレート70は、yシャフト61に沿ってスライド移動する。zプレート60の背面側には、回転球62が配置されている。回転球62は、yプレート70とzプレート60の間に配置される。回転球62は、zプレート60に設けられた球受けに配設され、yプレート70のスライド移動に応じて、球受け内で転がる。これにより、yプレート70の移動によって発生する摩擦力を軽減することができる。
上述のように、ベースプレート50はレンズユニット7に対して固定され、センサユニット80は、yプレート70に対して固定されている。従って、yプレート70がzプレート60に対して、y方向に移動すると、レンズ6に対するセンサユニット80の位置が変化する。また、zプレート60が、ベースプレート50に対して、z方向に移動すると、レンズ6に対するセンサユニット80の位置が変化する。yz平面内において、レンズ6に対して、センサユニット80が自在に移動する。撮像装置100の手ブレを補正する方向に、センサユニット80が揺動する。
下ホルダ40は永久磁石41が取り付けられたヨークとなっている。一方、zプレート60には、コイル63が設けられている。永久磁石41とコイル63は、対向するように配置されている。すなわち、yz平面において、永久磁石41とコイル63が重複するように配置されている。同様に、上ホルダ30は永久磁石31が取り付けられたヨークとなっており、この永久磁石31はyプレート70に設けられたコイル(図4では、図示せず)と対向して配置されている。すなわち、yz平面において、永久磁石31とyプレート70のコイルが重複するように配置されている。後述するように、永久磁石41とコイル63は、z方向のアクチュエータとして用いられ、永久磁石31と、yプレート70に設けられたコイルは、y方向のアクチュエータとして用いられる。
なお、下ホルダ40には、永久磁石42が取り付けられ、上ホルダ30には、永久磁石32が取り付けられている。後述するように、永久磁石42、及び永久磁石32は、手ブレ補正機構9の位置検出に用いられる。また、yプレート70には、配線基板93が取り付けられ、zプレート60には、配線基板94が取り付けられている。配線基板93、94は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit board)である。配線基板93、94には、コイル、及び位置検出用の素子に対する配線が形成されている。
(動作原理の概念説明)
次に、手ブレ補正機構9の動作について、図7を用いて説明する。図7は、手ブレ補正機構の構成を概念的に示す側面図である。なお、図7では、カバーユニット20、及びリアカバー90を省略して図示している。まず、撮像素子81を移動させるための原理に付いて説明する。レンズユニット7には、ベースプレート50が固定されている。ベースプレート50には、上ホルダ30と下ホルダ40とが取り付けられている。
ベースプレート50は、zシャフト51を介してzプレート60と連結されている。ベースプレート50とzプレート60との間には、回転球52が介在している。下ホルダ40に設けられた永久磁石41は、zプレート60に設けられたコイル63と対向して配置されている。従って、永久磁石41とコイル63がアクチュエータを構成する。コイル63に供給する電圧を制御すると、zプレート60がz方向にスライドする。このように、下ホルダ40の永久磁石41とコイル63とがz方向に直動するモータとして機能する。このとき、zプレート60は、zシャフト51に沿って直動する。また、zプレート60の直動によって、回転球52が球受け内で回転する。これにより、スライド移動による摩擦力が軽減され、速やかな移動が可能になる。なお、zシャフト51を用いているため、ベースプレート50に対してzプレート60はy方向にほぼ変位しない。これにより、直進性よく、zプレート60を移動させることができる。
zプレート60は、yシャフト61を介してyプレート70と連結されている。yプレート70とzプレート60との間には、回転球62が介在している。上ホルダ30に設けられた永久磁石31は、yプレート70に設けられたコイル76と対向して配置されている。従って、永久磁石31とコイル76がアクチュエータを構成する。すなわち、yz平面において、永久磁石31とコイル76が重複するように配置されている。よって、コイル76に供給する電圧を制御すると、yプレート70がy方向にスライドする。このように、上ホルダ30の永久磁石31とコイル76とがy方向に直動するモータとして機能する。このとき、yプレート70は、yシャフト61に沿って直動する。また、yプレート70の直動によって、回転球62が球受け内で回転する。これにより、スライド移動による摩擦力が軽減され、速やかな移動が可能になる。なお、yシャフト61を用いているため、ベースプレート50に対してyプレート70はz方向にほぼ変位しない。これにより、直進性よく、yプレート70を移動させることができる。
このように、ベースプレート50に対して、zプレート60がz方向に移動し、yプレート70がy方向に移動する。yプレート70には、センサユニット80が固定されている。さらに、zプレート60とyプレート70が移動可能に連結されているため、zプレート60のz方向の直動に応じて、yプレート70もz方向に変位する。これにより、センサユニット80に設けられた撮像素子81が、yz平面において移動する。換言すると、ベースプレート50に対して、yプレート70が移動可能に連結される構成となっている。
なお、ベースプレート50とzプレート60との間には、回転球52が配置されているため、隙間が生じている。当該隙間は、上ホルダ30内部の空間を介して、レンズユニット7の外部の空間と通じている。同様に、zプレート60とyプレート70との隙間も、レンズユニット7の外部の空間と通じている。
また、ベースプレート50とzプレート60とyプレート70を貫通する開口部8が、レンズ6の後側に配置される。従って、レンズ6で屈折した光、開口部8を通過して、撮像素子81に入射する。撮像素子81は、開口部8内を自在に移動する。撮像装置100に設けられたセンサによって、手ブレによる撮像素子81のyz方向の変位を検出し、その変位に応じてコイル63、76に供給する電流を制御する。こうすることで、手ブレ補正を行うことができる。
ホール素子72、74によって、yプレート70の位置を検出している。そして、位置検出の結果に基づいて、コイル76、コイル63に供給する電圧を制御している。手ブレ補正機構9をフィードバック制御することができ、効果的に手ブレ補正を行うことができる。以下、撮像素子81の位置検出を行うための構成について説明する。
位置検出のために、永久磁石32、及び永久磁石42が使用される。例えば、永久磁石32は、ホール素子74と対向するように、上ホルダ30に固定される。yz平面視において、ホール素子74と永久磁石32とは、重複するように、下ホルダ40に固定される配置される。また、ホール素子74は、吸引ヨーク73を介して、yプレート70に固定されている。
ホール素子74は、永久磁石32が発生する磁界を検出する。永久磁石32とホール素子74との相対位置が変化すると、ホール素子74の検出結果が変化する。従って、ホール素子74から出力される出力信号によって、ベースプレート50に対するyプレート70の変位量を検出することができる。換言すると、ホール素子74は、撮像素子81の位置を検出する。
同様に、永久磁石42は、ホール素子72と対向するように、下ホルダ40に取り付けられる。yz平面視において、ホール素子72と永久磁石42とは、重複するように配置される。ホール素子72は、永久磁石42が発生する磁界を検出する。永久磁石42とホール素子72との相対位置が変化すると、ホール素子72の検出結果が変化する。従って、ホール素子72から出力される出力信号によって、ベースプレート50に対するyプレート70の変位量を検出することができる。換言すると、ホール素子72は、撮像素子81の位置を検出する。
このように、ホール素子72、74は、撮像素子81のベースプレート50に対する相対位置を検出する。例えば、ホール素子72、74の一方で、y方向の位置を検出し、他方でz方向の位置を検出する。すなわち、ホール素子72、74をそれぞれ、リニア位置センサとして用いる。ホール素子72、74からの出力信号によって、コイル63とコイル76に供給する電圧を制御する。こうすることで、撮像素子81をフィードバック制御することができ、より効果的に手ブレ補正を行うことができる。
また、永久磁石32は吸引ヨーク73を引き寄せる磁力を発生する。この磁力によって、yプレート70がベースプレート50に対して吸引される。これにより、回転球52、62がプレート間に保持される。
(シャフト及び回転球によるリニアガイド)
上記のように、zプレート60、及びyプレート70をそれぞれz方向、及びy方向にスライド移動させることで、手ブレ補正を行っている。以下、yシャフト61と、zシャフト51、並びに、回転球52と、回転球62を用いて、スライド移動をガイドさせるガイド機構について説明する。図8は、zプレート60の構成を示す正面図であり、zシャフト51と回転球52を合わせて図示している。図9は、yプレート70の構成を示す正面図であり、yシャフト61と回転球62を合わせて図示している。
図8に示すように、zプレート60の中央部分には、矩形状の開口部60aが設けられており、この開口部60aが上述した開口部8に対応する。また、開口部60aの下側(−y側)には、2つの軸穴64が設けられている。2つの軸穴64は、z方向に沿って配列されている。z方向において、2つの軸穴64の一方は、開口部60aの右側に配置され、他方は開口部60aの左側に配置される。
そして、2つの軸穴64には、z方向に沿ったzシャフト51が挿入される。もちろん、zシャフト51が開口部60aと重ならないように、軸穴64が配置されている。zシャフト51は開口部60aから−y方向にずれて配置されている。zシャフト51は、開口部60aよりも長くなっており、z方向に開口部60aからはみ出している。なお、ベースプレート50の背面側にも、同様に、zシャフト51を挿入するための軸穴が形成され、zシャフト51がベースプレート50に固定される。これにより、ベースプレート50とzプレート60とが、zシャフト51を介して、連結される。
また、開口部60aの上側(+y側)には、球受け65が形成されている。例えば、zプレート60に、テーパ状の窪み(V溝)を形成することで、球受け65が形成される。そして、球受け65には、回転球52が配設されている。なお、図示を省略しているが、ベースプレート50の背面側にも、回転球52の位置に、同様の球受けが形成されている。球受け65内において、回転球52は、ベースプレート50とzプレート60の間に挟み込まれる。ベースプレート50とzプレート60の間において、球受け65内に回転球52が回転可能に保持される。さらに、zシャフト51の下側には、zプレート60を駆動するためのコイル63が設けられている。コイル63はx軸を巻き軸としてターンしている。そして、コイル63を有するアクチュエータが、zプレート60をz方向に移動させる。
図9に示すように、yプレート70の中央部分には、矩形状の開口部70aが設けられており、この開口部70aが上述した開口部8に対応する。従って、開口部60aと開口部70aは重複するように配置されている。また、開口部70aの−z側には、2つの軸穴77が設けられている。2つの軸穴77は、y方向に沿って配列されている。y方向において、2つの軸穴77の一方は、開口部70aの上側に配置され、他方は開口部70aの下側に配置される。
そして、軸穴77には、y方向に沿ったyシャフト61が挿入される。もちろん、zシャフト51が開口部70aと重ならないように、軸穴77が配置されている。yシャフト61は開口部70aからずれて配置されている。yシャフト61は、開口部70aよりも長くなっており、y方向に開口部70aからはみ出している。なお、zプレート60の背面側にも、同様に、yシャフト61を挿入するための軸穴が形成され、yシャフト61が固定される。これにより、yプレート70とzプレート60とが、yシャフト61を介して、連結される。
また、開口部70aの上側(+y側)には、球受け75が形成されている。例えば、yプレート70に、テーパ状の窪み(V溝)を形成することで、球受け75が形成される。そして、球受け75には、回転球62が配設されている。なお、図示を省略しているが、zプレート60の背面側にも、回転球62の位置に、同様の球受けが形成されている。回転球62は、yプレート70とzプレート60の間に挟み込まれる。yプレート70とzプレート60の間において、球受け75内に回転球62が回転可能に保持される。さらに、開口部60aの上側には、yプレート70を駆動するためのコイル76が設けられている。コイル76はx軸を巻き軸としてターンしている。そして、コイル76を有するアクチュエータが、yプレート70をy方向に移動させる。
上記のように、1方向のスライドをガイドするために、シャフトと回転球の両方を用いている。こうすることで、直進性良く、プレートを移動させることができる。例えば、シャフトを用いずに回転球のみを用いた場合、少なくとも3つの回転球をプレート間に配置する必要がある。この場合、一つの回転球を軸として、撮像素子81がローテーションしてしまうため、直進性が低下する。さらに、プレートを保持するための機構を複数配置する必要が生じる。
一方、回転球を用いずに、シャフトのみを用いる場合、シャフトを開口部の両側に配置する構成となる。2本のシャフトを軸穴に通すためには、軸穴とシャフトの隙間を広くする必要がある。すなわち、軸穴とシャフトの隙間分だけ、直進性が劣化してしまう。本実施の形態のように、シャフトと回転球の両方を用いることで、直進性良く移動させることができる。これにより、有効に手ブレを補正することができる。
ここで、回転球62と回転球52の配置について、図10を用いて説明する。図10は、zシャフト51とyシャフト61に対する回転球62と回転球52の平面配置を模式的に示す図である。図10に示すように、回転球52は、開口部8の上側に配置され、zシャフト51は下側に配置されている。換言すると、y方向において、回転球52とzシャフト51との間に、開口部8が配置される。回転球52はz方向におけるzシャフト51の中央近傍に配置されている。こうすることで、z方向の直進性を向上することができる。さらに、yシャフト61は、開口部8の左側に配置され、回転球62は、開口部8の右上に配置されている。
z方向において、開口部8の間に回転球52が配置されている。具体的には、z方向における開口部8の一端(左端)から他端(右端)の間で、回転球52が開口部8の外側に配置されている。これにより、zプレート60の回転によるzシャフト51の傾き量を小さくすることができる。よって、撮像素子81を直進性よく移動させることができる。
従って、回転球62と回転球52は、開口部の一端側、ここでは、上側に配置されている。このようにすることで、開口部8の上側にのみ、回転球をプレート間に挟み込むための吸引力を発生させればよくなる。すなわち、開口部8の下側に吸引力を発生させる必要がなくなるため、部品点数を削減することができる。例えば、吸引力を発生させるための永久磁石や、ヨークが不要になる。さらに、部品点数の削減により、組み立て工程を簡略化することができ、よりコスト低減を図ることができる。さらに、z方向において、zシャフト51の中央近傍に、回転球52を配置しているため、z方向の直進性を向上することができる。
また、回転球62の他の配置例について、図11を用いて説明する。図11は、zシャフト51とyシャフト61と回転球52と回転球62の他の配置例を示すyz平面図である。図11に示す配置例では、図10に示す配置例に対して、回転球62とのその球受けの位置が異なっている。ここでは、回転球62が、y方向における開口部8の中央近傍に配置される。すなわち、y方向における開口部8の一端(上端)から他端(下端)の間の中央近傍で、回転球62が開口部8の外側に配置されている。これにより、y方向の移動の直進性を向上することができる。さらに、z方向についても同様の構成となっている。すなわち、z方向における開口部8の一端(左端)から他端(右端)の間の中央近傍で、回転球52が開口部8の外側に配置されている。これにより、z方向の移動の直進性を向上することができる。
このように、回転球52を、z方向における開口部8の中央近傍に配置し、回転球62をy方向における開口部8の中央近傍に配置する。こうすることで、y方向の移動と、z方向の移動において、ローテーションによる影響を軽減することができる。これにより、直進性よく、撮像素子を移動させることができる。 また、yz平面における回転球52と回転球62の位置が異なるよう、ずらして配置している。これにより、zプレート60の表裏の同じ位置に球受けを設ける必要が無くなるため、組立を容易に行うことができる。図10の構成に加え、y方向において、開口部8の間に回転球62が配置されている。これにより、yプレート70の回転によるyシャフト61の傾き量を小さくすることができる。よって、撮像素子81を直進性よく移動させることができる。
(手ブレ補正機構の位置検出)
上記のように、ホール素子72、74がyプレート70の位置を検出することで、フィードバック制御を行っている。以下に、この位置検出について説明する。
図12は、上ホルダ30の構成を示す側面図である。上ホルダ30は、永久磁石31と永久磁石32とヨーク33とを有している。永久磁石31と、永久磁石32とは、ヨーク33に固定される。ヨーク33は、xy平面視において、コの字型に形成されている。ここで、コの字型のヨーク33の間の空間を凹部34とする。凹部34は、下側を向いて配置される。この凹部34に、永久磁石31が配置される。永久磁石31で発生した磁界は、ヨーク33との間で閉じる。そして、凹部34に、上述したコイル76が挿入される。これにより、コイル76と、永久磁石31とが対向配置されるため、モータとして機能する。また、ヨーク33の+x側の端面には、位置検出用の永久磁石32が取り付けられている。永久磁石32の磁力が、yプレート70を吸引するための吸引力となる。
図13は、下ホルダ40の構成を示す側面図である。下ホルダ40は、永久磁石41と永久磁石42とヨーク43とを有している。永久磁石41と、永久磁石42とは、ヨーク43に固定される。ヨーク43は、xy平面視において、コの字型に形成されている。ここで、コの字型のヨーク43の間の空間を凹部44とする。凹部44は、上側を向いて配置される。この凹部44には、永久磁石41が配置される。永久磁石41で発生した磁界は、ヨーク43との間で閉じる。そして、凹部44に、上述したコイル76が挿入される。これにより、コイル63と永久磁石41とが対向配置されるため、モータとして機能する。また、ヨーク43の+x側の端面には、位置検出用の永久磁石42が取り付けられている。
ベースプレート50に対して、上ホルダ30と下ホルダ40を取り付けた様子を図14〜図18を用いて説明する。図14、図15は、上ホルダ30と下ホルダ40によって、ベースプレート50に対して、zプレート60と、yプレート70とを取り付けた状態を示す背面図であり、図16、図17はその斜視図である。また、図14、図16では、説明の明確化のため、コイルに電流を供給するための配線基板93、94を省略している。図18は、手ブレ補正機構の断面図である。
上ホルダ30は、ベースプレート50に固定され、上ホルダ30の凹部34にyプレート70のコイル76が挿入されている。永久磁石31で発生した磁界と、コイル76の電流とが、x方向とz方向とで直交しているとする。コイル76に流れる電流を制御することで、yプレート70が上ホルダ30に対してy方向に直動する。このとき、yプレート70に設けられたホール素子74と、永久磁石32とが対向して配置されている。上ホルダ30に対してyプレート70がy方向に移動すると、永久磁石32とホール素子74の相対位置が変化する。ホール素子74は、磁界の変化を検出する。ホール素子74から出力される出力信号によって、ベースプレート50に対するyプレート70の変位量を検出する。換言すると、ホール素子74は、撮像素子81の位置を検出する。
下ホルダ40は、ベースプレート50に固定され、下ホルダ40の凹部44にzプレート60のコイル63が挿入されている。永久磁石41の磁界と、コイル63に流れる電流が、x方向とy方向とで直交しているとする。コイル63に流れる電流を制御することで、zプレート60が下ホルダ40に対してz方向に直動する。このとき、zプレート60に設けられたホール素子72と、永久磁石42とが対向して配置されている。下ホルダ40に対してzプレート60がz方向に移動すると、永久磁石42とホール素子72の相対位置が変化する。ホール素子72は、磁界の変化を検出する。ホール素子74から出力される出力信号によって、ベースプレート50に対するyプレート70の変位量を検出する。換言すると、ホール素子74は、撮像素子81の位置を検出する。こうすることで、撮像素子81のフィードバック制御することができ、より効果的に手ブレ補正を行うことができる。なお、ホール素子72とホール素子74の出力信号は、配線基板93を介して取り出される。
(回転球の保持機構)
プレート間に回転球52と回転球62を保持するために、yプレート70をベースプレート側に吸引している。以下、yプレート70を、ベースプレート50に吸引して、回転球52、62を保持するための構成について説明する。永久磁石32による磁力を吸引力として用いて、ベースプレート50とyプレート70との間の間隔が一定になるように保持している。
図17、図18に示すように、ホール素子74の背面側には、吸引ヨーク73が配置されている。具体的には、吸引ヨーク73が、配線基板93に取り付けられている。従って、吸引ヨーク73と永久磁石32とは、ホール素子74を介して、対向して配置される。これにより、永久磁石32に磁石によって、吸引ヨーク73が吸引される。永久磁石32は上ホルダ30を介してベースプレート50に取り付けられ、配線基板93がyプレート70に取り付けられている。このため、永久磁石32が、yプレート70をベースプレート50に吸引する。永久磁石32に磁力によって一定の吸引力が発生する。yプレート70がベースプレート50から外れるのを防ぐことができ、回転球52と回転球62がプレート間に保持される。位置検出に用いる永久磁石32で回転球52、62を保持しているため、部品点数を削減することができる。これにより、組立工程を簡略化することができ、生産性を向上することができる。吸引ヨーク73は、永久磁石32に吸引される材料であればよく、例えば、強磁性体等を用いることができる。
さらに、本実施の形態では、回転球52と回転球62の両方が、開口部8の上側に配置されている。従って、磁力による吸引を開口部8の上側のみで行えばよい。すなわち、開口部8の下側については、吸引ヨークを取り付ける必要が無くなるため、部品点数を削減することができる。また、組立工程を簡略化することができ、生産性を向上することができる。回転球52と回転球62を配置する位置は、開口部8の上側に限定されるものではない。すなわち、開口部8の一端側に配置されていればよい。こうすることで、回転球52、62の脱落を防ぐための吸引力を簡便な構成で発生させることができる。
さらに、図18の側面断面図に示すように、コの字型の上ホルダ30が、ベースプレート50に対してyプレート70を保持している。ベースプレート50とzプレート60とyプレート70を重ね合わせた状態で、yプレート70が上ホルダ30の凹部34に挿入されるように、上ホルダ30をベースプレート50に取り付ける。つまり、ベースプレート50、zプレート60、及びyプレート70のうち、最も撮像素子81側のyプレート70の端部が凹部34に挿入される。これにより、yプレート70の位置が規制され、ベースプレート50とyプレート70の隙間が一定以上になるのを防ぐことができる。
すなわち、撮像装置100に外的な衝撃が加わった場合でも、回転球52、62が脱落するのを防止することができる。換言すると、上ホルダ30が無い場合、衝撃が加わると、磁力による吸引力が外れてしまうおそれがある。この場合、回転球52、62が脱落してしまう恐れがある。
しかしながら、コの字状の上ホルダ30を用いて、ベースプレート50にzプレート60を保持することができる。同様に、下ホルダ40がzプレート60の位置を規制している。よって、撮像装置100に外的な衝撃が加わった場合でも、回転球62が脱落するのを防止することができる。上ホルダ30と下ホルダ40とが、zプレート60とyプレート70とを上下両側で移動可能に保持している。これにより、ベースプレート50に対して、zプレート60とyプレート70を確実に保持することができ、回転球52、62の脱落を防ぐことができる。もちろん、凹部34と凹部44は、回転球52、62が脱落しないような寸法で設計されている。
(アクチュエータの配置)
次に、y方向、及びz方向に移動させるためのアクチュエータの配置について、図18、及び図20を用いて説明する。図19は、コイル76、及びコイル63の配置を示すzy平面図であり、図20は図19の構成に上ホルダ30と下ホルダ40とを取り付けた状態を示すyz平面図である。
図19に示すように、開口部8の上側にコイル76が配置され、下側にコイル63が配置されている。図20に示すように、コイル63を用いたモータをアクチュエータ91とし、コイル76を用いたモータをアクチュエータ92とする。アクチュエータ91は、コイル76と上記の永久磁石31によって構成され、アクチュエータ92は、コイル63と上記の永久磁石41によって構成されている。
z方向にzプレート60を駆動するアクチュエータ91は、開口部8の上側に配置され、y方向にyプレート70を駆動するアクチュエータ92は、開口部8の下側に配置される。すなわち、開口部8の外側に配置されたアクチュエータ91、92の一方のアクチュエータ91は開口部8の一端側に配置され、他方のアクチュエータ92は、その反対側の他端に配置される。yz平面視において、アクチュエータ91とアクチュエータ92との間に、開口部8が配置される。
yz平面視において、開口部8を挟むように、アクチュエータ91とアクチュエータ92とが対向配置されるこのように、開口部8の外側における開口部の上端と下端の間の領域、すなわち、開口部8の左側と右側には、アクチュエータ91、92が配置されない。このようにすることで、アクチュエータが開口部8の左右両側に配置されなくなる。開口部8のz方向の両側に、アクチュエータを配置するスペースを設ける必要がなくなる。よって、撮像装置100をz方向にスリム化することができる。もちろん、アクチュエータ91、92を左右に配置することで、縦方向にスリム化することも可能である。
(カバーユニット20)
次に、カバーユニット20の構成について、図21〜図23を用いて説明する。図21は、yプレート70にセンサユニット80、及びカバーユニット20が取り付けられた状態を示す斜視図であり、図22は、その分解斜視図であり、図23は、その断面図である。
図21に示すように、yプレート70には、センサユニット80の基板85が固定されている。基板85は、撮像素子81に接続される配線や制御回路、記憶回路等を有している。例えば、yプレート70の背面側から、センサユニット80の基板85が取り付けられ、yプレート70の開口部70aに、センサユニット80の撮像素子81が配置される。言い換えると、撮像素子81は、レンズユニット7と撮像素子81との間に配置されたベースプレート50、zプレート60、及びyプレート70のうち、最後方に位置するyプレートに配置される。撮像素子81は、光硬化性樹脂などによって、基板85に固定されている。そして、センサユニット80の前面側には、撮像素子81を保護するためのカバーユニット20が配置されている。
図22に示すように、カバーユニット20(フィルタ部)は、枠体21と、フィルタ22と、保持フレーム23とを有している。枠体21は、額縁状に形成されており、撮像素子81の受光領域に対応する開口部21aを有している。枠体21は、ポロン(登録商標)などのウレタンフォームによって形成されおり、約2.0mmの厚みを有している。もちろん、枠体21は、ウレタンフォームに限られるものではなく、厚みの数値は例示である。例えば、枠体21として、ゴムや樹脂などの弾性体を用いることができる。枠体21として、防塵材料を用いることが好ましい。
フィルタ22は、例えば、厚さ1.4mmの平坦な矩形状の板であり、撮像素子81に向かう赤外線をカットする。従って、フィルタ22はレンズ6を通過した赤外線を遮光するIRフィルタとなる。撮像素子81の受光面上に枠体21が配置され、枠体21の上にフィルタ22が配置される。すなわち、フィルタ22と撮像素子81の間には、枠体21が介在する。撮像素子81の受光面の近傍には、枠体21の厚みに対応する空間が形成される。換言すると、撮像素子81の受光面上には、枠体21の開口部21aに対応する空間が生まれる。つまり、カバーユニット20は、撮像素子81の受光領域と所定の間隔を有してフィルタ22を位置させる
保持フレーム23は枠体21とフィルタ22とを基板85に取り付ける。具体的には、保持フレーム23は、フレーム部23aと、脚部23bと、壁部23cと、を有している。フレーム部23aは、額縁状に形成されており、開口部23dを規定する、そして、フレーム部23aの対向する2辺からは、脚部23bが基板85側に向かって延在している。さらに、フレーム部23aの脚部23bが設けられた2辺以外の2辺には、壁部23cが形成されている。フレーム部23aのy方向に沿った2辺には壁部23cが形成され、z方向にった2辺には脚部23bが形成されている。壁部23cは、基板85側に向かって延在している。
一方、yプレート70には、脚部23bを係止するためのツメ部79が形成されている。保持フレーム23と基板85との間に、枠体21とフィルタ22とが挟持された状態で、ツメ部79が、脚部23bと係止する(図23を合わせて参照)。カバーユニット20が、センサユニット80に対して固定される。保持フレーム23が、フィルタ22を介して、枠体21を付勢する。従って、保持フレーム23と基板85との間にフィルタ22と、枠体21とを保持することができる。また、この状態では、対向する2つの壁部23cの間に、フィルタ22と枠体21とが配置される。よって、フィルタ22と枠体21の位置がずれるのを防ぐことができる。カバーユニット20は、開口部8内に配置される。
また、額縁状の枠体21を撮像素子81と接するように配置している。そして、フィルタ22は、枠体21によって撮像素子81の受光面上に形成された空間を密閉する。これにより、ごみや塵などが撮像素子81の受光面に付着するのを防ぐことができる、また、フィルタ22と受光面とが、十分な距離だけ離れている。上記の例の、厚さ1.4mmの枠体21と厚さ2.0mmのフィルタ22を配置した場合、ウレタンフォームで形成された枠体21が若干収縮し、フィルタ22の前面と撮像素子81の受光面までの距離は、約2.9mm程度となる。フィルタ22の前面と撮像素子81の受光面とは、枠体21とフィルタ22との厚さだけ離れている。従って、フィルタ22の密閉空間と反対側の表面に付着したゴミ等は、撮像素子81に受光面上では、無視できるレベルでしか像を結ぶことはない。よって、ゴミなどの影響を低減することができる。さらに、フィルタ22の表面に付着したゴミを除去するために、撮像素子81を振動させる機構等を設ける必要が無くなる。これにより、手ブレ補正機構9で駆動される部品を軽量化することができる。
レンズ6を通った可視光は、開口部23dを通過し、フィルタ22を通過し、開口部21aを通過して、撮像素子81に入射する。これにより、撮像素子81によって、被写体を撮像することができる。このようなカバーユニット20をyプレート70に取り付けることで、手ブレ補正のための移動に応じて、カバーユニット20も移動する。また、開口部8内に、カバーユニット20を配置することで、手ブレ補正機構9を薄型化、小型化することができる。また、ウレタンフォーム等のスポンジを用いることで、軽量化を図ることができ、撮像素子81を高速に駆動することができる。