以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の易開封性パウチの一例を示す部分断面図を示す。図1は、図2に示すパウチ10を構成する積層体の、直線状切れ目9が形成された部分のX−X線に沿う断面を示す部分断面図である。図中、上方がパウチの外側を示し、下方がパウチの内側を示す。なお、本発明において、「フィルム」という場合には、フィルムおよびシートの双方を含むものとする。
図示するように、本発明のパウチは、ポリエステル系樹脂層1、接着性樹脂層2、および、ポリアミド系樹脂層3の少なくとも3層を順次備えるポリアミド系多層フィルム4と、金属フィルムからなる金属フィルム層5と、ヒートシール性樹脂フィルムからなるヒートシール性樹脂フィルム層6とを含む積層体からなる。ここで、符号7,8は、それぞれ、ポリアミド系多層フィルム4と金属フィルム5との間、および、金属フィルム層5とヒートシール性樹脂フィルム層6との間に設けられたドライラミネート接着剤層を示す。
本発明の易開封性パウチは、図示するように、上記積層体を、ポリエステル系樹脂層1が最外層となり、ヒートシール性樹脂フィルムが最内層となるように製袋することによって得られる。本発明のパウチにおいては、ポリアミド系多層フィルム4が共押出しにより形成されてなり、図示するように、最外層となるポリエステル系樹脂層1が、炭酸レーザー加工による直線状切れ目9を有し、かつ、この直線状切れ目9が、ポリアミド系樹脂層3内で終端している点に特徴がある。
本発明のパウチにおいては、ポリエステル系樹脂層1、接着性樹脂層2、および、ポリアミド系樹脂層3の少なくとも3層を備えるポリアミド系多層フィルム4を、金属フィルム5の外側に配置しているので、炭酸レーザー加工を行った際に形成される直線状切れ目9が、金属フィルム層5に達することなく、ポリアミド系樹脂層3内で終端するものとなる。これにより、金属フィルム5の損傷によるパウチの品質低下を防止しつつ、直線状切れ目9により引裂き性を向上して、直線カット性に優れた、簡易に開封することが可能なパウチとすることが可能となったものである。また、本発明のパウチは、従来のパウチと同様にポリアミド系樹脂層を備えるので、自立性や落下強度、突刺強度等の、パウチとしての要求性能を損なうことがない。さらに、本発明のパウチにおいては、ポリアミド系多層フィルム4が共押出しにより形成されているので、ドライラミネートの場合と比較してポリアミド系多層フィルム4を薄く形成することができ、環境負荷を低減できるとの効果も得ることができる。
パウチ10に対し炭酸レーザーを照射すると、ポリエステル系樹脂層1がレーザー光を吸収してフィルムの上下から溶解し、これにより、上記直線状切れ目9が形成されると考えられる。特には、ポリエステル系樹脂層1を構成するポリエステル系樹脂の、炭酸レーザー照射による余熱での溶解により、直線状切れ目9を形成することも可能である。
本発明において、上記直線状切れ目9を形成する際の炭酸レーザー加工の条件としては、ポリアミド系多層フィルム4を構成する各層の厚みや材質に依存し、また、各条件の組合せにも依存するが、具体的には例えば、以下のように設定することが好ましい。炭酸レーザーとパウチ表面との間の距離である照射距離については、好適には50mm〜600mm、より好適には100mm〜400mmの範囲である。この照射距離が小さすぎると、直線状切れ目9が金属フィルム層5に達するおそれが生じ、大きすぎると、直線状切れ目9の形成が不十分となって十分な引裂き性が得られないおそれがあり、いずれも好ましくない。また、炭酸レーザーの平均出力は、好適には4W〜100W、より好適には6W〜50Wの範囲である。平均出力が大きすぎると、直線状切れ目9が金属フィルム層5に達するおそれが生じ、小さすぎると、直線状切れ目9の形成が不十分となって十分な引裂き性が得られないおそれがあり、いずれも好ましくない。さらに、炭酸レーザーのスキャンスピードは、好適には20mm/s〜15000mm/s、より好適には500mm/s〜2000mm/sの範囲である。スキャンスピードが遅すぎると、直線状切れ目9が金属フィルム層5に達するおそれが生じ、速すぎると、直線状切れ目9の形成が不十分となって十分な引裂き性が得られないおそれがあり、いずれも好ましくない。なお、炭酸レーザーの波長は、9.3〜10.6μmの範囲で、任意に設定することができる。
本発明のパウチにおいては、最外層のポリエステル系樹脂層1に、炭酸レーザー加工により上記直線状切れ目9を設けた点のみが重要であり、それ以外の点については、常法に従い適宜構成することができ、特に制限されるものではない。
本発明において、直線状切れ目9は、図2に示すように、パウチ10の開封されるべき部位に、パウチ幅の全幅にわたり形成することができ、図示する例では3本にて設けられているが、これには限られず、1本ないし2本以上、必要であれば、本数に制限なく設けることができる。形状も自由に形成することができ、点線、パーレン、レスザン、グレーターザン、亀甲括弧、ブレイス、スラッシュ、プラス等の形状を、パウチ幅全幅に渡り形成するようデザインすることも可能である。また、本発明においては、図示するように、直線状切れ目9のパウチ幅方向端部の片側または両側にノッチ11を設けて、開封性をより向上することもできる。
図1に示す本発明のパウチを構成する積層体は、ポリアミド系多層フィルム4のポリアミド系樹脂層3側の表面に、ドライラミネート接着剤層7を介して金属フィルムをラミネートし、次いで、同様にドライラミネート接着剤層8を介してヒートシール性樹脂フィルムをラミネートすることにより、製造することができ、この積層体を、ヒートシール性樹脂フィルム6が最内層になるように製袋することによって、本発明のパウチを得ることができる。以下、図示する例に基づき、本発明のパウチの各層について説明するが、本発明のパウチの構成は、上記に限定されるものではない。
本発明のパウチを構成するポリエステル系樹脂層1は、パウチ表面に耐熱性および耐熱水性を付与し、また、後述する金属フィルム層5とともに、レトルト処理における外観変化を抑制する機能も奏するものである。ポリエステル系樹脂層1を構成するポリエステル系樹脂としては、二塩基酸とグリコールとが共重合されたポリエステル共重合体であって、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体、スルホン基含有ポリエステル等の結晶性ポリエステルが挙げられる。
上記のうち、酸成分である二塩基酸としては、スルホン酸基含有ジカルボン酸、および、その他のジカルボン酸等が挙げられる。スルホン酸基含有ジカルボン酸としては、スルホン酸金属塩含有ジカルボン酸等が挙げられる。スルホン酸金属塩含有ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等)が挙げられる。特に、良好な接着性および耐変形性を得る観点からは、ナトリウムスルホテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を使用することが好ましい。スルホン基含有ポリエステルにおいて、スルホン酸基含有ジカルボン酸の共重合比率は、全酸成分に対して、好適には0.5〜10モル%であり、その極限粘度は、好適には0.3〜0.8dl/gである。また、その他のジカルボン酸とは、スルホン酸金属塩を含まない通常ジカルボン酸であり、芳香族、脂肪族、脂環式の各ジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
グリコール成分としては、炭素数2〜8個の脂肪族グリコールとして、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等、炭素数6〜12個の脂環式グリコールとして、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等、芳香族グリコールとしてp−キシレングリコール等、ポリアルキレンエーテルグリコール類としてポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。
上記ポリエステル共重合体は、通常の溶融重縮合によって得ることができる。具体的には例えば、上記ジカルボン酸成分およびグリコール成分を直接反応させ、水を留去してエステル化した後に重縮合を行う直接エステル化法や、ジカルボン酸成分のジメチルエステルとグリコール成分とを反応させ、メチルアルコールを留去してエステル交換を行った後に重縮合を行うエステル交換法等を用いることができる。その他、溶液重縮合や界面重縮合等を用いることもでき、特に限定されるものではない。
本発明においては、パウチの用途に応じて種々のポリエステル系樹脂を使用することができ、2種以上の混合物として用いてもよい。例えば、PETを使用する場合には、優れた熱寸法安定性、保香性および耐熱性が得られる。また、スルホン基含有ポリエステルを使用する場合には、高い層間接着強度を有する共押出しフィルムが得られる。
ポリエステル系樹脂層1には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができ、特に制限されるものではない。具体的には例えば、滑剤等が挙げられる。
次に、ポリアミド系樹脂層3は、パウチの強度特性を向上させて、スタンドパウチ、レトルト用パウチ、または、搬送および陳列時における保護用化粧箱の不要なパウチとして使用するために十分な強度および耐衝撃性等を与える機能を有する。
ポリアミド系樹脂層3を形成するポリアミド系樹脂組成物は、主として脂肪族ポリアミドからなるが、その他のポリアミド成分、例えば、芳香族ポリアミド等を含有してもよい。脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂肪族、脂環式等のジアミン類と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸またはその誘導体との重縮合反応で得られる脂肪族ポリアミド、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等の縮合によって得られるポリアミド樹脂、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタム化合物から得られるポリアミド樹脂、または、これらの混合物等を用いることができる。具体的には例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610等の脂肪族ポリアミド系樹脂を使用することができる。
中でも、好適な脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン−6/6,6等が挙げられる。2種以上の脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン6とナイロン6/6,6との任意の割合の組み合わせが挙げられる。ポリアミド系樹脂組成物における、脂肪族ポリアミド以外のポリアミド、例えば、芳香族ポリアミドの含有量は、0〜20質量%程度、好適には5〜17質量%程度、より好適には10〜15質量%程度とすることができる。
次に、接着性樹脂層2は、ポリエステル系樹脂層とポリアミド系樹脂層との間の親和性および密着性等を高めて、両者が強固に密接着し、層間剥離(デラミネーション)等を起こさないようにする機能を有する。本発明においては、接着性樹脂層2として、変性ポリオレフィンおよびスルホン基含有ポリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分として含有する樹脂組成物を用いることが好ましい。
変性ポリオレフィンは、主成分であるポリオレフィンの一部を共重合または共縮合等により他の物質(モノマー)で置換するか、または、適当な物質(モノマー)を局所的に反応させるなどの方法により変性したポリオレフィン樹脂である。具体的には例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリエチレン系樹脂、または、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
好ましい変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンセグメントとオレフィン以外の極性を有するセグメントとがブロック状および/またはグラフト状および/またはランダム状に結合している構造を有する共重合体であり、例えば、プロピレン系ポリオレフィンセグメントと乳酸を構成成分として含むセグメントとの共重合体、エチレン系ポリオレフィンセグメントとアクリル酸単位を構成成分として含むセグメントとの共重合体、プロピレン系ポリオレフィンセグメントとアクリル酸単位を構成成分として含むセグメントとの共重合体等が挙げられる。具体的には例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂として、三井化学(株)製のアドマーSE800,SF740,SF731,SF730を用いることができる。
スルホン基含有ポリエステルとしては、上記ポリエステル系樹脂層1について用いられるのと同様のスルホン酸基含有ジカルボン酸を酸成分として含むポリエステル系樹脂を使用することができる。
接着性樹脂層2を構成する樹脂組成物は、変性ポリオレフィンまたはスルホン基含有ポリエステルからなるか、または、これらをパウチ用途に応じて任意の割合で含有する混合物からなるものとすることが好ましい。本発明のパウチが、ボイル処理やレトルト処理等の高温水処理に付される用途で使用される場合には、接着性樹脂層2をスルホン基含有ポリエステルからなるものとするか、または、樹脂組成物中のスルホン基含有ポリエステルの配合比を高めることが好ましい。なお、本発明においては、接着性樹脂層2に代えて、後述するドライラミネート接着剤層を用いてもよい。
本発明において、ポリエステル系樹脂層1、接着性樹脂層2、および、ポリアミド系樹脂層3の少なくとも3層を順次備えるポリアミド系多層フィルム4は、共押出しにより形成されている。上述したように、ポリエステル系樹脂層1に炭酸レーザーを照射すると、ポリエステル系樹脂層1がレーザー光を吸収して溶解するので、各層のラミネートによりポリアミド系多層フィルム4を形成すると、インキもしくは接着剤がむき出しになるおそれがあるが、ポリアミド系多層フィルム4として共押出しフィルムを使用した場合、Ny面に印刷やラミネート接着剤の塗布を行うことになるので、上記のような炭酸レーザー照射によるデメリットがなく、かつ、上記直線状切れ目により、共押出しフィルムの弱点である配向の強さに起因する引裂き性の悪さを改善することが可能となる。また、共押出しフィルムを用いることで、製造時における1回のラミネート工程を省くことができるので、タンデムラミネート機による1回の巻出し・巻取り工程での製造が可能となり、コスト、時間、手間および環境負荷に関して優れた生産効率を達成することができる。
さらに、ポリアミド系多層フィルム4に含まれるポリアミド系樹脂層3は、ボイル処理またはレトルト処理等の高温処理に付されると、収縮を起こすという特性を有するので、これを防止するために、耐熱性や耐水性、耐変形性に優れたフィルム、例えば、十分な厚みを有するポリエステル系樹脂フィルムと貼り合わせて、その収縮を防ぐ必要がある。そのため従来、上記ポリアミド系樹脂フィルムとともに、かなりの厚みを有するポリエステル系樹脂フィルムが用いられており、原材料の調達および製造時だけでなく、廃棄時にも多大な環境負荷がかかることとなっていた。これに対し、本発明においては、ポリアミド系多層フィルム4として共押出しフィルムを用い、さらに金属フィルム5を積層して、ポリアミド系樹脂層3を、これらの層間で挟み込む構成としたことで、ポリアミド系樹脂層3の熱収縮を好適に防止することが可能となった。また、この場合、ポリエステル系樹脂層1の厚さを、例えば、ポリアミド系樹脂層3の厚さの10分の1程度に設定しても、良好な熱収縮防止効果が発揮されるので、積層体の厚みも薄くすることができ、かかる観点からも環境負荷を大幅に低減することができる。
本発明において、ポリアミド系多層フィルム4を形成する各層の厚みは、ポリエステル系樹脂層1の厚さ(a)、接着性樹脂層2の厚さ(b)、および、ポリアミド系樹脂層3の厚さ(c)が、それぞれ、1μm<(a)<20μm、0.1μm<(b)<20μm、および、5μm<(c)<40μmであって、ポリアミド系多層フィルム4の厚さ(a)+(b)+(c)が6.1〜80μmの範囲となるよう設定することができる。ポリエステル系樹脂層1の厚さ(a)が1μmより薄いと、レトルト用パウチに必要とされる十分な耐熱性および耐水性が得られず、20μmより厚いと、製膜化適性が低下し、かつ、環境負荷が大きくなるので好ましくない。また、接着性樹脂層2の厚さ(b)が0.1μmより薄いと、ポリエステル系樹脂層とポリアミド系樹脂層との十分な接着が得られない場合があり、一方、20μmより厚いと、製膜化適性が低下するため好ましくない。さらに、ポリアミド系樹脂層3の厚さ(c)が5μmより薄いと、スタンドパウチ、レトルトパウチまたは搬送および陳列時における保護用化粧箱の不要なパウチとして使用するのに十分な強度が得られず、一方、40μmより厚いと、製膜化適性が低下し、かつ、環境負荷が大きくなるので好ましくない。さらにまた、ポリアミド系多層フィルム4の厚さが6.1μmより薄いと、スタンドパウチ等に適用するために必要な強度が得られず、一方、80μmより厚いと、製膜化適性が低下し、かつ、環境負荷が大きくなるので好ましくない。
また、(a)/(c)の比率は、熱処理によるポリアミド系樹脂層3の収縮を防止する観点からは、積層体全体の構成によっても変化しうるが、好適には0.1以上、より好適には0.15以上、さらに好適には0.2以上である。さらに、(a)/(c)の比率は、必要な物理的強度を維持しつつ、原材料の調達や製造時および廃棄時にかかる環境負荷を小さくし、かつ、製膜化適性を向上させる観点からは、積層体全体の構成によっても変化しうるが、好適には1以下、より好適には0.5以下、さらに好適には0.25以下である。
本発明においては、具体的には例えば、ポリエステル系樹脂層1の厚さを3〜5μmとし、かつ、ポリアミド系樹脂層3の厚さを12〜20μm、特には15〜20μmとすることができる。
ポリアミド系多層フィルム4の製膜化に際しては、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良ないし改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、また、改質用樹脂等も使用することができる。その添加量としては、ごく微量から数十質量%まで、所望に応じ、任意に選定することが可能である。
共押出しフィルムとしてのポリアミド系多層フィルム4は、上記の各層を構成する樹脂組成物を、Tダイ法やインフレーション法等の製膜化方法を用いて、共押出しすることにより製造することができる。また、例えば、テンター方式、あるいはチューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してもよい。さらに、得られたフィルムには、必要に応じて、その両表面または片表面にコロナ放電処理を施すこともできる。
本発明において、ポリアミド系多層フィルム4のポリアミド系樹脂層3側の表面、すなわち、ポリエステル系樹脂層1と反対側の表面には、必要に応じて、印刷層を設けることができる。印刷層は、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要に応じて、これに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、さらに、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で十分に混練して調製したインキ組成物を用いて形成することができる。すなわち、上記ポリアミド系多層フィルム4のポリアミド系樹脂層3側の表面に、このインキ組成物を用い、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式を使用して、文字、図形、記号、模様等からなる所望の印刷模様を印刷することにより、印刷層を形成することができる。
インキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、アマニ油、キリ油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム等の1種ないし2種以上を使用することができる。
次に、ポリアミド系多層フィルム4と金属フィルム層5との間に設けられる第一のドライラミネート接着剤層7は、ポリアミド系多層フィルム4の、ポリアミド系樹脂層3側の表面、または、印刷層を設けた場合にはその上に、形成することができる。第一のドライラミネート接着剤層7を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、または、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
上記の接着剤は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型のいずれの組成物形態でもよく、その形状についても、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよい。また、その接着機構についても、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
本発明においては、上述したように、上記ポリアミド系多層フィルム4の、ポリアミド系樹脂層3側の表面、または、印刷層を設けた場合にはその上に、上記接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法、または、印刷法等によって施し、次いで、溶剤等を乾燥させることで、第一のドライラミネート接着剤層7を形成することができる。そのコーティングないし塗工量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
次に、金属フィルム5は、パウチにガスバリア性を付与し、かつ、上記ポリエステル系樹脂層1とともにポリアミド系樹脂層3の熱収縮を防止して、レトルト処理時のパウチの外観変化を抑制する機能を有する。本発明においては、上記第一のドライラミネート接着剤層7を形成した後に、金属フィルムをドライラミネートすることにより、金属フィルム層5を形成することができる。金属フィルムとしては、金属箔、PETフィルムを貼り合わせた金属箔、金属蒸着フィルム等が挙げられ、この金属としては、アルミニウム、銅、ステンレス等が挙げられる。本発明においては、ガスバリア性、加工性およびコスト面から、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせたアルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム等のアルミニウムフィルムが好ましく、特に、アルミニウム箔が好ましい。金属フィルム層5の厚さは、通常5〜40μm、好ましくは7〜20μmである。この厚さが5μm未満では、パウチとして使用するのに十分なガスバリア性が得られず、また、ポリアミド系樹脂層3の熱収縮を防止できないおそれがある。一方、40μmを超えると、環境負荷が大きくなるので、好ましくない。
次に、第二のドライラミネート接着剤層8は、金属フィルム層5とヒートシール性樹脂フィルム層6との間に設けられる。第二のドライラミネート接着剤層8を構成する接着剤としては、上記第一のドライラミネート接着剤層7についてと同様のものを使用することができる。この接着剤を、上記金属フィルム層5の全面にコーティングすることにより、第二のドライラミネート接着剤層8を形成することができる。
次に、ヒートシール性樹脂フィルム層6は、熱によって溶融し、融着しうる慣用のヒートシール性樹脂フィルムをドライラミネートすることにより形成される。このフィルムを形成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、または、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、これらの樹脂の1種またはそれ以上からなる混合物を用いてもよい。
本発明においては、第二のドライラミネート接着剤層8上に、上記のヒートシール性樹脂フィルムをドライラミネートして、ヒートシール性樹脂フィルム層6を形成することができる。
本発明においては、上記の樹脂のフィルムの中でも、特に、食品衛生法にて加圧加熱殺菌食品として表示をするために必要な23N/15mm以上のシール強度を得るために、厚さ30μm〜100μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましい。また、上記フィルムは、単層または多層で使用することができる。
なお、パウチは通常、物理的にも化学的にも過酷な条件に置かれることから、パウチを構成する積層体には、厳しい包装適性が必要とされ、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性等の種々の条件が要求される。そのため、本発明においては、上述の層の他にも、目的の条件を充足するその他の包装材用積層材料を任意に使用することができる。具体的には例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂のフィルムを任意に選択して使用することができる。その他、例えば、合成紙等も使用することができる。
上記のフィルムとしては、未延伸、一軸方向または二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、所望に応じ設定することが可能であり、例えば、数μmから300μm程度の範囲で適宜選択することができる。
本発明において、これらのフィルムは、種々のコーティング法、印刷法、または、ドライラミネート法等の方法を用いて、ポリアミド系多層フィルム4と金属フィルム5との間、または、金属フィルム5とヒートシール性樹脂フィルム6との間に、上記と同様のドライラミネート接着剤層を介して適宜積層することができる。
本発明の易開封性パウチは、上記の積層体を二つ折りにし、または、上記の積層体2枚を使用して、そのヒートシール性樹脂層6側の面を対向させて重ね合わせ、その端部をヒートシールすることにより、製造することができる。シール型としては、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合唱貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、スタンディングパウチを形成するためのシール型等の公知の種々の型を用いることができる。また、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができ、特に制限されるものではない。
本発明のパウチは、自立可能なスタンドパウチ、レトルト用パウチ、または、搬送および陳列時における保護用化粧箱の不要なパウチとして、好適に適用可能である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
以下の実施例および比較例において、炭酸レーザーの照射には、すべて(株)キーエンス製の3−AxisCO2レーザーマーカー(波長:10.6μm)を使用した。また、照射は、スタンドパウチの充填部から3cm上の部分に、底面と平行に3本にて行った。さらに、照射距離は、すべて300mmとした。
<実施例1>
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂((株)ベルポリエステルプロダクツ製,ベルベットEFG6C)と、接着性樹脂(三井化学(株)製,アドマーSF740)と、ポリアミド系樹脂(宇部興産(株)製,ナイロン6,UBEナイロン−1022FDX23)とを用いて、ポリエステル系樹脂層と、接着性樹脂層と、ポリアミド系樹脂層とからなるポリアミド系多層フィルムを、共押出しにより作製した。ポリエステル系樹脂層の厚み(a)は2μmであり、接着性樹脂層の厚み(b)は1μmであり、ポリアミド系樹脂層の厚み(c)は12μmであった。
次に、上記で作製したポリアミド系多層フィルムのポリアミド系樹脂層側の面に、所定の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ドライラミネート接着剤(三井化学(株)製,タケラックA310/A3)を、グラビアロールコート法を用いて厚み4.0g/m2(乾燥状態)にてコーティングして、第一のドライラミネート接着剤層を形成した。次に、この第一のドライラミネート接着剤層上に、厚み7μmのアルミニウム箔をドライラミネートし、さらに、脂肪族系ドライラミネート接着剤(ロックペイント(株)製,RU40/H4)を、グラビアロールコート法を用いて厚み4.0g/m2(乾燥状態)にてコーティングして、第二のドライラミネート接着剤層を形成した。最後に、厚み60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネートして積層し、積層体を製造した。
次に、上記で製造した積層体を2枚準備し、その無延伸ポリプロピレンフィルム側の面を対向させて重ね合わせてヒートシールすることにより、底部に船底シール部を有するとともに上方に開口部を有する、幅130mm、高さ170mm、折込35mmのスタンドパウチを製造した。
上記で得られたパウチ内に、開口部から水を210g充填包装し、その後、開口部をヒートシールして、上方シール部を形成した。このパウチに、上記条件に従い、平均出力30%(30Wに対して)、スキャンスピード1500mm/sにて炭酸レーザー加工を行って、直線状切れ目を形成した。また、直線状切れ目のパウチ幅方向端部の両側に、ノッチを設けた。その後、このパウチをレトルト釜に入れて、温度120℃、圧力2.1kgf/cm2・Gにて、30分間レトルト処理を行って、レトルト包装品を製造した。
<比較例1>
厚み12μmの二軸延伸PETフィルムに、所定の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ドライラミネート接着剤(三井化学(株)製,タケラックA310/A3)を、グラビアロールコート法を用いて厚み4.0g/m2(乾燥状態)にてコーティングして、ドライラミネート接着剤層を形成した。次に、厚み15μmのポリアミドフィルムをラミネートし、同様に、ポリウレタン系ドライラミネート接着剤からなるドライラミネート接着剤層を形成した。次に、厚み7μmのアルミニウム箔をドライラミネートし、脂肪族系ドライラミネート接着剤(ロックペイント(株)製,RU40/H4)を、グラビアロールコート法を用いて厚み4.0g/m2(乾燥状態)にてコーティングして、ドライラミネート接着剤層を形成した。最後に、厚み60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネートして積層し、積層体を製造した。
この積層体を用いて、実施例1と同様にしてスタンドパウチを製造し、レトルト処理を行って、レトルト包装品を製造した。炭酸レーザー加工は行わなかった。
<比較例2>
厚み12μmの二軸延伸PETフィルムに、所定の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ドライラミネート接着剤(三井化学(株)製,タケラックA310/A3)を、グラビアロールコート法を用いて厚み4.0g/m2(乾燥状態)にてコーティングして、ドライラミネート接着剤層を形成した。次に、厚み7μmのアルミニウム箔をドライラミネートし、脂肪族系ドライラミネート接着剤(ロックペイント(株)製,RU40/H4)を、グラビアロールコート法を用いて厚み4.0g/m2(乾燥状態)にてコーティングして、ドライラミネート接着剤層を形成した。最後に、厚み60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネートして積層し、積層体を製造した。
この積層体を用いて、実施例1と同様にしてスタンドパウチを製造し、レトルト処理を行って、レトルト包装品を製造した。炭酸レーザー加工は行わなかった。
<比較例3>
炭酸レーザー加工を行わなかった以外は実施例1と同様にして、レトルト包装品を製造した。
<比較例4>
炭酸レーザー加工の条件を、平均出力10%(30Wに対して)、スキャンスピード1500mm/sとした以外は実施例1と同様にして、レトルト包装品を製造した。
<比較例5>
炭酸レーザー加工の条件を、平均出力100%(60Wに対して)、スキャンスピード1000mm/sとした以外は実施例1と同様にして、レトルト包装品を製造した。
上記実施例1および比較例1〜5で製造したレトルト包装品について、下記の評価を行った。 その結果を、下記の表中に示す。また、図3(a),(b)に、実施例1および比較例4のレトルト包装品を構成する積層体の断面状態を示す写真図を示す。
(1)スタンド適性
スタンドパウチを作製した際の外観を観察した。その結果、上向きに立つ状態だった場合を◎とし、上向きに立たない状態だった場合を×とした。
(2)外観変化
レトルト処理前後におけるパウチの外観変化を観察した。変化がなかった場合を○、レーザー照射部よりデラミネーションが発生していた場合を×とした。
(3)落下強度
上記で作製したレトルト包装品を、高さ120cmからコンクリート面に、水平方向および鉛直方向に1回ずつ、計2回落下させて、パウチの破損および内容物の漏れの有無を確認した。破袋がなかった場合を○、破袋が生じた場合を△、照射部分より破袋した場合を×とした。
(4)突刺強度
上記方法にて作製したレトルト包装品から内容物を取出し、積層体の表面から、直径1mmφの針を200mm/minの突刺速度で突刺して、針がフィルムを貫通するのに要した強度(N)を測定した。
(5)環境性
パウチ1m2あたりの包材重量を計算して、比較した。
(6)引き裂き性
パウチの一方のノッチから他方のノッチに向かい、右利きの人10人および左利きの人10人にそれぞれ押し引き、引き引きで引裂きを行ってもらい、OKの人が16人以上の場合を◎、OKの人が10人から15人の場合を○、OKの人が10人未満の場合を×とした。なお、OKとは、ノッチからノッチまで直線で引き裂くことができた状態をいう。
上記表中の結果より明らかなように、実施例1のパウチは、比較例1〜5のパウチと比較して、スタンド適性、レトルト後外観変化、落下強度、突刺強度および環境性の全ての項目においてバランスよく優れた特性を示すとともに、引裂き性にも優れ、簡易に開封することができるものであることが確認された。
また、図3の結果から、実施例1においては、表面のPET層がレーザーを優先的に吸収して溶解し、ナイロン層がアルミニウム層の上に残存している結果、アルミニウム層が破袋しにくくなっていることがわかる。一方、比較例4では、表面のPET層がレーザーを優先的に吸収して溶解している点は同様であるが、PET層がほとんど残存しており、引裂き性が付与されていないことがわかる。さらに、比較例5では、図示はしないが、表面のPET層のみならずナイロン層およびアルミニウム層までがレーザーにより損傷しており、このためレーザー照射部よりデラミネーションが発生して、破袋が生じてしまった。