本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、プローブなどの接触体や被接触物を損傷することなく簡単な構成で精度良く接触体の被接触物への接触状態を検出することができる接触状態検出装置、接触状態検出方法および接触状態検出用コンピュータプログラムを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の特徴は、被接触物に接触することにより変形する接触体における前記接触による変形部分を含む領域に向けて光を照射する光照射手段と、光照射手段から前記接触体に向けて照射した光のうち前記被接触物の表面によって鏡面反射する反射光の光路外に配置され、接触体における前記変形部分を撮像して接触体撮像画像情報を出力する撮像手段と、接触体撮像画像情報によって表される前記変形部分からの反射光の領域変化を用いて接触体の被接触物への押圧状態を検出する接触状態検出手段とを備えたことにある。この場合、押圧状態の検出とは、接触体が被接触物に接して押圧する程度(度合い)を検出するのであって、必ずしも押圧力の大きさ(量)自体を検出することを意味しない。
このように構成した請求項1に記載した本発明の特徴によれば、接触状態検出装置は、被接触物に向って変位して接触することにより変形する接触体における変形部分を含む領域に光を照射するとともに、同変形部分を撮像した接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の領域変化を用いて接触体の被接触物への押圧状態を検出している。すなわち、接触状態検出装置は、接触体が被接触物に接触して変形したことによる変形部分からの反射光の領域変化を接触体撮像画像情報の変化によって検出することにより接触体の被接触物への押圧状態を検出している。この場合、光照射手段が光を照射する接触体における変形部分とは、接触体が被接触物に接触することにより、接触する前と比べて形や向きが変わった部分であり、例えば、接触体における前記被接触物への接触部分から前記接触による変形部分までの範囲が相当する。また、この場合、反射光の領域変化とは、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の2次元平面内での変化、例えば、面積、位置および形状などの変化である。また、接触体からの反射光の検出も接触体における前記変形部分を含む領域を、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの各種撮像素子で撮像することにより行なわれる。すなわち、照射する光の照射位置および反射光の受光位置を厳密に調整する必要がない。これにより、接触体への光の照射位置の位置決めおよび接触体からの反射光の受光素子に対する位置決めに必要な光学部品の部品点数やアライメント調整作業工数を低減することができ、装置構成を単純化できるとともに検出精度維持のためのメンテナンス作業の作業負担が軽減される。また、接触体における前記変形部分を撮像する撮像手段が被接触物の表面からの反射光の光路外に配置されているため、接触状態検出手段は前記変形部分の領域変化を被接触物の表面からの反射光の影響を受けることなく精度良く検出することができる。また、接触状態検出装置は、接触体の機械的変形に基づいて接触体の押圧状態の検出を行なっているため、接触体が接触する被接触物の被接触部分に酸化膜などの絶縁領域が形成された場合であっても精度良く接触体の押圧状態の検出を行なうことができる。これにより、接触体が被接触物に強く押し付けられることによる接触体および被接触物の損傷を防止することができる。これらの結果、接触体や被接触物を損傷することなく簡単な構成で精度良く接触体の被接触物への押圧状態を検出することができる。
また、請求項2に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、接触状態検出手段は、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の面積変化を用いて接触体の被接触物への押圧状態を検出することにある。この場合、接触状態検出装置は、面積変化に代えてまたは加えて、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の光量の変化を用いて接触体の押圧状態を検出することもできる。
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の面積変化を用いて接触体の押圧状態を検出している。これにより、接触状態検出装置は、反射光の面積変化から簡単に接触体の接触状態を検出することができる。
また、請求項1に係る接触状態検出装置に代えて、請求項11に示すように、被接触物に接触することにより変形する接触体を保持した状態で被接触物に接触させる方向に接触体を被接触物に対して相対変位させる接触体変位手段と、接触体における被接触物への接触による変形部分を含む領域に向けて光を照射する光照射手段と、光照射手段から前記接触体に向けて照射した光のうち被接触物の表面によって鏡面反射する反射光の光路外に配置され、接触体における前記変形部分を撮像して接触体撮像画像情報を出力する撮像手段と、撮像手段が出力した接触体撮像画像情報に基づいて撮像画像を表示する撮像画像表示手段とを備えるとよい。
このように構成した請求項11に記載した本発明の特徴によれば、接触状態検出装置は、被接触物に向って変位して接触することにより変形する接触体における変形部分を含む領域に光を照射するとともに、同変形部分を撮像した接触体撮像画像を撮像画像表示手段によって表示している。これにより、接触状態検出装置を用いて接触体の被接触物への接触を検出する作業者は、撮像画像表示手段を視認することにより接触体の被接触物への押圧状態を視覚で確認することができ、検出結果に基づいて接触体の被接触物への変位を直ちに停止させることなどができる。この場合、接触体における前記変形部分を撮像する撮像手段が被接触物の表面からの反射光の光路外に配置されているため、作業者は撮像画像表示手段に表示される前記変形部分の領域変化を被接触物の表面からの反射光の影響を受けることなく精度良く検出することができる。すなわち、請求項11に係る接触状態検出装置によっても、上記接触状態検出装置と同様の作用効果を期待することができる。
また、請求項3に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、接触状態検出手段は、接触体撮像画像情報によって表わされる前記変形部分の一部を用いて接触体の被接触物への押圧状態を検出することにある。
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、接触体撮像画像情報によって表わされる接触体の変形部分の一部を用いて接触体の被接触物への押圧状態を検出している。これにより、撮像画像情報中のノイズの影響を除去して高精度に押圧状態の検出を行なうことができる(SN比の向上)とともに、押圧状態の検出に用いる領域の設定によって押圧状態の検出の位置や範囲、押圧状態の検出の感度および接触体の被接触物WKへの押圧力を任意に設定することができる。
また、請求項4に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、接触状態検出手段は、接触体撮像画像情報を光量に応じて二値化するとともに、同二値化した接触体撮像画像情報に応じて接触体の被接触物への押圧状態を検出することにある。
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、接触体を撮像した接触体撮像画像情報を所定の光量(輝度または明度ともいう)に応じて二値化した接触体撮像画像情報を用いて接触体の押圧状態の検出を行なっている。これによれば、接触体の撮像画像を表す接触体撮像情報を用いて少ない計算処理負担で迅速に接触体の被接触物への押圧状態を検出することができる。
また、請求項5に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、撮像手段は、接触体における前記変形部分を含む領域に向けて照射される光の接触体における入射角に等しい鏡面反射の反射角上に配置されることにある。
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置における撮像手段は、接触体の変形部分に照射される光の反射角上に配置されるため、接触体からの反射光を精度良く撮像することができる。これにより、接触状態検出装置による接触体の押圧状態の検出精度を向上させることができる。また、指向性の高い光(例えば、LED)を用いることにより反射光を撮像手段により効率的に導くことができ、接触状態検出装置による接触体の押圧状態の検出精度をより向上させることができる。
また、請求項6に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、接触体を、被接触物における接触体との被接触部分を含む表面に交わる姿勢で保持しながら被接触物に向かって変位させる接触体変位手段を備えることにある。
このように構成した請求項6に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、接触体を、被接触物における接触体との被接触部分を含む表面に交わる姿勢で保持しながら被接触物に向かって変位させる接触体変位手段を備えている。すなわち、接触体における光の照射部分と接触体が接触する被接触物上の被接触部分を含む面とが平行でない。このため、光照射手段から照射された光の一部が被接触物上に照射された場合であっても、接触体からの反射光と被接触物からの反射光とが共に撮像手段に入射することが防止される。これにより、接触体からの反射光のみを精度良く撮像することができ、接触状態検出装置による接触体の押圧状態の検出精度を向上させることができる。
また、請求項7に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、接触体変位手段は、被接触物における接触体との被接触部分を含む表面に沿って接触体を被接触物に対して相対変位させることにある。
このように構成した請求項7に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、接触体変位手段により接触体を被接触物の表面に沿って変位させることができる。これにより、接触状態検出装置は、被接触物上の任意の位置で接触体の押圧状態の検出を行なうことができ、接触状態検出装置の用途や適用範囲を拡げることができる。
また、請求項8に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、さらに、被接触物に光を照射する被接触物照射手段を備え、撮像手段は、被接触物を撮像して被接触物撮像画像情報を出力することにある。
このように構成した請求項8に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、被接触物に光を照射する被接触物照射手段を備えるとともに、撮像手段は被接触物を撮像した被接触物撮像画像情報を出力する。これにより、接触状態検出装置は、被接触物撮像画像情報を用いて被接触物上における接触体の位置を特定することができ、接触状態検出装置の用途や適用範囲を拡げることができる。
また、請求項9に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、さらに、撮像手段が撮像した撮像画像を表示する撮像画像表示手段を備えることにある。
このように構成した請求項9に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、撮像手段が撮像した撮像画像を表示する撮像画像表示手段を備えている。これにより、接触状態検出装置を用いて接触体の接触検出を行なう作業者は、被接触物に対する接触体の押圧状態や、被接触物に対する接触物の位置関係を視覚によって確認することができ接触状態検出装置の使い勝手が向上する。
また、請求項10に記載した本発明の他の特徴は、前記各接触状態検出装置において、さらに、それぞれ導体で構成された被接触物と接触体との電気的な接触を検出する電気的接触検出手段を備えることにある。この場合、電気的接触検出手段は、例えば、被接触物と接触体との間に電圧を印加して被接触物と接触体との間に流れる電流値を検出するほか、例えば、接触体に電圧を印加可能な2つの接触子を形成しておいてこれら2つの接触子間に被接触物を介して流れる電流値を検出することで被接触物と接触体との電気的な接触を検出することができる。
このように構成した請求項10に係る本発明の他の特徴によれば、接触状態検出装置は、それぞれ導体で構成された被接触物と接触体との電気的な接触を検出する電気的接触検出手段を備えている。これにより、接触状態検出装置は、被接触物に対する接触体の接触検出を物理的な接触および電気的な接触をそれぞれ検出することによって行なうことができる。これにより、接触体が被接触物に物理的または電気的に接触したとき、または接触体が被接触物に物理的および電気的に接触したときに接触体が被接触物に接触したものとして接触体の接触検出を行なうことができ、接触状態検出装置の用途や適用範囲を拡げることができる。
また、本発明は接触状態検出装置の発明として実施できるばかりでなく、接触状態検出方法および接触状態検出装置に用いられる接触状態検出用コンピュータプログラム、接触状態検出装置を備える電気伝導度測定システムおよび接触状態検出方法を含む電気伝導度測定方法の発明としても実施できるものである。
具体的には、請求項12に示すように、例えば、被接触物に接触することにより変形する接触体における前記接触による変形部分を含む領域に向けて光を照射する光照射ステップと、光照射手段から接触体に向けて照射した光のうち被接触物の表面によって鏡面反射する反射光の光路外の位置から接触体における前記変形部分を撮像して接触体撮像画像情報を出力する撮像ステップと、接触体撮像画像情報によって表される前記変形部分からの反射光の領域変化を用いて接触体の被接触物への押圧状態を検出する接触状態検出ステップとを備えるとよい。
また、請求項13に示すように、より具体的には、例えば、被接触物に接触することにより変形する接触体を保持した状態で被接触物に接触させる方向に接触体を被接触物に対して相対変位させる接触体変位手段と、接触体における被接触物への接触による変形部分を含む領域に向けて光を照射する光照射手段と、光照射手段から接触体に向けて照射した光のうち被接触物の表面によって鏡面反射する反射光の光路外に配置され、接触体における前記変形部分を撮像して接触体撮像画像情報を出力する撮像手段とを備え、接触体の被接触物への接触状態を検出する接触状態検出装置に用いられる接触状態検出プログラムであって、光照射手段によって、接触体における前記変形部分を含む領域に光を照射させた状態で、接触状態検出装置が備えるコンピュータに、接触体変位手段によって、前記保持した接触体を被接触物に接触させる方向に同被接触物に対して相対変位させ、撮像手段によって、接触体における前記変形部分を撮像して接触体撮像画像情報を出力させ、接触体撮像画像情報によって表される前記変形部分からの反射光の領域変化を用いて接触体の被接触物への押圧状態を検出させるとよい。
また、請求項14に示すように、より具体的には、例えば、請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載した接触状態検出装置と、接触状態検出装置における接触体に接続され、同接触体を接触状態検出装置における接触状態の検出対象である被接触物に接触させることにより同被接触物の電気伝導度を測定する電気伝導度測定手段とを備えた電気伝導度測定システムであって、電気伝導度測定手段は、接触状態検出装置による接触体の被接触物への押圧状態の検出結果に応じて被接触物の電気伝導度測定を実行するとよい。これによれば、前記接触状態検出装置と同様の作用効果を得ながら被接触物の電気伝導度の測定を行うことができる。
また、この場合、請求項15に示すように、例えば、前記電気伝導度測定システムにおいて、さらに、接触体に接続され、接触体と被接触物との間で絶縁破壊を生じさせるための電圧を印加する電圧印加手段を備えるとよい。これによれば、被接触物の表面に絶縁被膜が形成されて接触体が物理的に被接触物に接触しても電気的に接触していない場合において、電圧印加手段により絶縁被膜を破壊して接触体と被接触物との電気的な接触状態を確保することができる。
また、請求項16に示すように、より具体的には、例えば、請求項12に記載した接触状態検出方法における各ステップと、接触状態検出方法における接触体に接続され、同接触体を接触状態検出方法における接触状態の検出対象である被接触物に接触させることにより同被接触物の電気伝導度を測定する電気伝導度測定ステップとを含む電気伝導度測定方法であって、電気伝導度測定ステップは、接触状態検出装置による接触体の被接触物への押圧状態の検出結果に応じて被接触物の電気伝導度測定を実行するとよい。これによれば、前記接触状態検出方法と同様の作用効果を得ながら被接触物の電気伝導度の測定を行うことができる。
以下、本発明に係る接触状態検出装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る接触状態検出装置を含む電気伝導度測定システム100の構成を模式的に示したブロック図である。なお、本明細書において参照する図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この電気伝導度測定システム100は、測定対象である被接触物WKの表面の体積抵抗率(電気伝導度)を4探針測定法を用いて測定する検査装置である。ここで4探針測定法とは、一列に並んだ4つの針状の探針を試料に接触させて試料本来の体積抵抗率(電気伝導度)を測定するものである。より具体的には、4つの探針のうち外側2つの探針間で一定電流を流すとともに、同2つの探針間の内側において内側2つの探針で電圧を測定することにより所謂配線抵抗や接触抵抗を除外した試料本来の体積抵抗率(電気伝導度)を測定する。
(接触状態検出装置の構成)
電気伝導度測定システム100は、電気伝導度測定システム100による体積抵抗率の測定対象である被接触物WKを保持するとともに、同被接触物WKに接触させる接触体110を保持するアプローチステージ装置120を備えている。この場合、被接触物WKは、表面の電気伝導度の測定が可能な試料(例えば、各種材料からなるインゴット、ウエハ、イオン注入層や拡散層などの各種層、金属薄膜やシリコン薄膜などの各種薄膜)であれば特に限定されるものではない。本実施形態においては、板状の半導体上に金属薄膜が形成された試料を被接触物WKとしている。
また、接触体110は、被接触物WKに接触体110を接触させる目的に応じて適宜形成されるものであるが、被接触物WKへの接触および押圧状態(以下、単に「押圧状態」という)の検出のために被接触物WKに接触することにより変形する素材で構成されている。本実施形態においては、接触体110は被接触物WKの体積抵抗率を4探針測定法で測定するための測定子で構成されている。より具体的には、接触体110は、図2に示すように、電子回路配線111が形成された基板112の図示左側先端部に4つの薄板針状のプローブ113がそれぞれ張り出して形成されて構成されている。これら4つのプローブ113は、基板112からの突出量が約50μm、幅が約6μm、厚さが約1μmの酸化シリコンカンチレバーにチタンコーティングが施されて形成されている。そして、各プローブ113は、約10μmのピッチで幅方向に並んで基板112の先端部にて電子回路配線111に接続されている。なお、図2は、接触体110を底面から見た状態を示しており、各プローブ113は誇張して示している。
アプローチステージ装置120は、主として、ワークステージ部121、駆動ベース部122および接触体アプローチ部123を備えて構成されている。ワークステージ部121は、被接触物WKを載置した状態で着脱自在に保持する板状の載置台である。このワークステージ部121は、上面が水平となる姿勢で駆動ベース部122によって支持されている。駆動ベース部122は、ワークステージ部121を支持した状態で図示X軸方向および同X軸方向に直交するY軸方向に変位させる駆動装置である。
具体的には、駆動ベース部122は、後述するコンピュータ装置140によって作動が制御される図示しないX軸方向アクチュエータおよびY軸方向アクチュエータを備えており、これら各軸方向ごとのアクチュエータの作動制御によってワークステージ部121を図示X軸方向およびY軸方向にそれぞれ変位させる。これらのX軸方向アクチュエータおよびY軸方向アクチュエータは、それぞれ粗駆動用の電動モータと微駆動用のPZT(チタン酸ジルコ酸鉛)などからなる圧電素子とによって構成されており、ワークステージ111を各軸方向ごとに粗送り(mm/s)および精密送り(nm/s)することができる。
接触体アプローチ部123は、被接触物WKに接触させる接触体110の一端部を保持した状態で図示X軸方向およびY軸方向に直交するZ軸方向(図示上下方向)に変位させる駆動装置であり、主として、接触体保持部123aおよび支柱123bによって構成されている。接触体保持部123aは、図示水平方向に延びて形成されており、接触体110をワークステージ部121の上面に対して交わる姿勢、すなわち、ワークステージ部121上に載置される被接触物WKの上面に対して斜めの姿勢で着脱自在に保持する部材である。また、支柱123bは、接触体保持部123aの一端部(図示右側端部)を支持した状態で図示Z軸方向(図示上下方向)に変位させる駆動装置である。
具体的には、支柱123bは、前記コンピュータ装置140によって作動が制御される図示しないZ軸方向アクチュエータを備えており、このZ軸方向アクチュエータの作動制御によって接触体保持部123aを図示Z軸方向に変位させる。このZ軸方向アクチュエータは、前記X軸方向アクチュエータおよびY軸方向アクチュエータと同様に、粗駆動用の電動モータと微駆動用のPZT(チタン酸ジルコ酸鉛)などからなる圧電素子とによって構成されており、接触体保持部123aを図示Z軸方向に粗送り(mm/s)および精密送り(nm/s)することができる。
接触体アプローチ部123の支柱123bには、4探針測定回路124が設けられている。4探針測定回路124は、接触体110の接触検出および被接触物WKの電気伝導度を測定するための電気回路で構成されている。具体的には、4つのプローブ113における外側2つのプローブ113に電流を流すための直流電源および同外側2つのプローブ113に流れている電流値を測定するための電流計と、内側2つのプローブ113間の電位差を測定するための電圧計とを備えている。この4探針測定回路124は、コンピュータ装置140によって作動が制御されるとともに、各測定値をコンピュータ装置140に出力する。
アプローチステージ装置120のワークステージ部121の上方には、プローブ光源131およびビームスプリッタ132がそれぞれ設けられている。プローブ光源131は、ワークステージ部121上の被接触物WKの表面に向って変位するプローブ113に向かって光を照射して接触体110を照らすための照明器具であり、コンピュータ装置140によって作動が制御される。本実施形態においては、プローブ光源131は、LEDによって構成されている。このプローブ光源131は、プローブ光源131の向きや姿勢を変化させて光の照射位置を任意の位置に変更できる図示しないプローブ光源支持機構によってワークステージ部121の斜め上方に支持されている。
ビームスプリッタ132は、入射した光の一部を透過させるとともに、同入射した光の他の一部を入射方向と直交する方向に反射させる光学部品である。このビームスプリッタ132における図示Z軸方向の光軸上には、ワーク光源133が設けられている。ワーク光源133は、ワークステージ部121上に載置される被接触物WKの表面を照らすための照明器具であり、コンピュータ装置140によって作動が制御される。本実施形態においては、ワーク光源133は白熱電球によって構成されている。
一方、ビームスプリッタ132における図示X軸方向の光軸上には、集光レンズ134および撮像素子135がそれぞれ設けられている。集光レンズ134は、ビームスプリッタ132を介して導かれる光を撮像素子135上に集光させるための光学素子である。また、撮像素子135は、集光レンズ134の集光位置に配置され、受光面に結像した像に応じた電気信号をコンピュータ装置140に出力する光学素子である。本実施形態においては、撮像素子132をCCDイメージセンサで構成した。これらのビームスプリッタ132、ワーク光源133、集光レンズ134および撮像素子135は、ワークステージ部121上における任意の位置に一体的に変位させることができる図示しない撮像光学系支持機構によってワークステージ部121の上方に支持されている。
コンピュータ装置140は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、キーボードおよびマウスからなる入力装置141からの指示に従って、図示しない制御プログラムを実行することによりアプローチステージ装置120、4探針測定回路124、プローブ光源131、ワーク光源133および撮像素子135の作動をそれぞれ制御する。また、コンピュータ装置140は、液晶ディスプレイからなる表示装置142を備えており、コンピュータ装置140の作動状態、前記制御プログラムの実行状態および撮像素子135による撮像画像などを適宜表示させる。すなわち、本実施形態においてコンピュータ装置140は、個人向けパーソナルコンピュータ(所謂パソコン)を想定している。
また、コンピュータ装置140は、図5に示すアプローチプログラムを実行することにより、接触体アプローチ部123の接触体保持部123aに保持した接触体110を被接触物WKに向って変位させて接触させる。この場合、コンピュータ装置140は、撮像素子135から出力される撮像画像をそのまま表示装置142に表示させることができるとともに、同撮像画像を表す撮像画像情報をピクセルごとに受光光量に対応する輝度(明度ともいう)に応じて二値化、具体的には、各ピクセルごとの撮像画像情報の輝度が所定値以上の部分を白色とするとともに同所定値未満の部分を黒色としたモノクロ画像に変換して表示する。このアプローチプログラムを含む前記制御プログラムは、作業者により予め前記ハードディスクに記憶されている。なお、コンピュータ装置140は、アプローチステージ装置120、4探針測定回路124、プローブ光源131、ワーク光源133および撮像素子135の作動を制御することができれば、どのような形式のコンピュータ装置であってもよい。
(接触状態検出装置の作動)
次に、上記のように構成した接触状態検出装置を含む電気伝導度測定システム100の作動について説明する。なお、この作動説明においては、本発明に直接関わる部分である被接触物WKに対して接触体110のプローブ113を接触させる過程について作動説明を行い、被接触物WKの電気伝導度測定に関する作動については一般的な4探針法による電気伝導度測定技術であるため、その説明は適宜省略する。
まず、作業者は、電気伝導度測定の対象となる被接触物WKをアプローチステージ装置120におけるワークステージ部121上にセットするとともに、接触体110を接触体アプローチ部123の接触体保持部123aに保持させる。この場合、作業者は、被接触物WKを、被接触物WKにおける電気伝導度を測定する側の表面を接触体保持部123a側に向けてワークステージ部121上にセットする。また、作業者は、ワークステージ部121上にセットされた被接触物WKに接触体110のプローブ113を被接触物WKの上面に対して交わる図示斜めの姿勢で対向させた状態で接触体保持部123aに保持させる。
次に、作業者は、被接触物WK上における電気伝導度の測定位置の上方に接触体保持部123aに保持された接触体110のプローブ113の先端部を位置決めする。具体的には、作業者は、コンピュータ装置140の入力装置141を操作することによりワーク光源133を点灯させるとともに撮像素子135の作動を開始させて表示装置142に撮像画像を表示させる。この場合、作業者は、撮像素子135が撮像した画像をそのまま表示装置142に表示するようにコンピュータ装置140に指示する。これにより、表示装置142の表示画面には、撮像素子135の視野内に存在する接触体110および被接触物WKの画像が表示される。次いで、作業者は、表示装置142の表示画面の略中央部に接触体保持部123aに保持された接触体110のプローブ113の画像を位置させる。具体的には、作業者は、撮像光学系支持機構(図示せず)を手動操作することによりビームスプリッタ132、ワーク光源133、集光レンズ134および撮像素子135の位置を一体的に調節する。
この位置決め作業においては、ワーク光源133から出射した光は、ビームスプリッタ132を介して接触体110および被接触物WKをそれぞれ照射する。これらのうち、接触体110に照射された光WLは、図3(A)に示すように、接触体110における光WLの照射面がワーク光源133の中心軸に対して傾斜しているため、照射された光WLの大部分がビームスプリッタ132とは異なる方向に反射する。一方、被接触物WKに照射された光WLは、図3(B)に示すように、被接触物WKにおける光WLの照射面がワーク光源133の中心軸に対して直交しているため、照射された光WLの大部分がビームスプリッタ132に向かって反射して撮像素子135に導かれる。これにより、表示装置142の表示画面には、被接触物WKの表面が明るく表示されるとともに、接触体110が暗い影状に表示される。すなわち、ワーク光源133によって照らされた被接触物WKを撮像素子135で撮像した撮像画像を表す撮像画像情報が、本発明に係る被接触物撮像画像情報に相当する。なお、図3(B)において、プローブ113は説明の便宜上破線で示している。
そして、作業者は、接触体保持部123aに保持された接触体110を直接目視するとともに表示装置142の表示画面を目視しながら、同表示画面の略中央部に接触体110のプローブ113の画像が位置するように撮像光学系支持機構(図示せず)を操作してビームスプリッタ132、ワーク光源133、集光レンズ134および撮像素子135の位置を一体的に位置決めする。次いで、作業者は、被接触物WKに対する接触体110の位置決めを行なう。具体的には、作業者は、接触体保持部123aに保持された接触体110を直接目視するとともに表示装置142の表示画面を目視しながら入力装置141を操作することによりワークステージ部121を図示X軸方向およびY軸方向に変位させて接触体110のプローブ113の先端部の位置を位置決めする。これにより、被接触物WK上における電気伝導度の測定位置の上方に接触体保持部123aに保持された接触体110のプローブ113の先端部が位置決めされる。
次に、作業者は、プローブ光源131の位置決めを行う。このプローブ光源131の位置決めは、図4(A)に示すように、プローブ光源131からの出射光PLの大部分が接触体110のプローブ113に照射されるとともに、同プローブ113からの反射光がビームスプリッタ132に導かれる位置にプローブ光源131を位置決めするものである。作業者は、コンピュータ装置140の入力装置141を操作することによりワーク光源133を消灯するとともにプローブ光源131を点灯させる。また、作業者は、コンピュータ装置140の入力装置141を操作して表示装置142による撮像画像表示を白黒のニ値画像表示に切り替える。
これにより、プローブ光源131から出射され被接触物WKおよび/または接触体110に反射された反射光が撮像素子135に導かれる。したがって、撮像素子135は、導かれた反射光に対応する撮像画像情報をコンピュータ装置140に出力する。コンピュータ装置140は、入力した撮像画像情報を各ピクセルごとの輝度に応じて二値化する。これにより、表示装置142の表示画面には、撮像素子135に導かれた光のうち所定の光量以上の光が白色で表示される。したがって、作業者は、表示装置142の表示画面を目視しながら、表示画面にプローブ113の形状が白色の画像で表示されるようにプローブ支持機構(図示せず)を操作してプローブ光源131の位置を調節する。これにより、結果として、図4(A)に示すように、プローブ光源131から出射されて接触体110に照射される光PLの入射角と等しい反射角上にビームスプリッタ132が位置するようにプローブ光源131の位置が調節される。
一方、プローブ光源131から出射され接触体110以外の物体、具体的には、主に被接触物WKの表面に照射された光PLは、図4(B)に示すように、被接触物WKの表面が接触体110のプローブ113に対して非平行であるため、照射された光PLの大部分がビームスプリッタ132とは異なる方向に反射される。すなわち、撮像素子135は、プローブ光源131から照射された光PLのうちの被接触物WKの表面からの反射光が直接入らない位置、換言すれば、同反射光の光路外に配置される。このため、表示装置142の表示画面には、図4(C)に示すように、接触体110のプローブ113の部分が白色で表示されるとともに、プローブ113以外の部分、具体的には、被接触物WKの表面部分が黒色で表示される。なお、図4(B)において、プローブ113は説明の都合上破線で示している。また、図4(C)においては、基板112、プローブ113、被接触物WKに対応する表示画像部分にそれぞれ基板112、プローブ113、被接触物WKの符号を付す。
次に、作業者は、接触体110の被接触物WKへの接触作業を行う。具体的には、作業者は、コンピュータ装置140の入力装置141を操作することにより、コンピュータ装置140に接触体110の被接触物WKへの接触処理を実行させる。この指示に応答してコンピュータ装置140は、図5に示す接触体110を被接触物WKに接触させるためのアプローチプログラムをステップS100にて開始して、ステップS102にて接触検出領域SEの設定を作業者に促す。
この接触検出領域SEの設定とは、被接触物WKに対する接触体110の押圧状態の検出感度および接触体110の被接触物WKへの押圧力を規定するために、撮像素子135から出力される撮像画像情報の中から接触体110の接触検出に用いる撮像画像情報を選択するものである。すなわち、接触検出領域SEの設定は、被接触物WKへの接触による接触体110の変形部分のうちどの部分を用いて、接触体110の押圧状態の検出を行なうかを設定するものである。具体的には、作業者は、図6に示すように、表示装置142の表示画面に表示される枠状の接触検出領域SEの位置および大きさを接触体110の白色画像上において図示しないマウス(ポインティングデバイス)などを用いて調整し設定する。本実施形態においては、4つのプローブ113の各先端部を含んだ状態で、表示装置142の表示画面に表示された白色のプローブ113のうち先端部から約半分の白色部分を領域内に含めた選択率約50%の領域を接触検出領域SEとして設定する。
次に、コンピュータ装置140は、ステップS104にて、接触体110のプローブ113に接触検出用の電圧を印加する。具体的には、コンピュータ装置140は、4探針測定回路124の作動を制御することにより、接触体110の4つのプローブ113のうち外側2つのプローブ113に所定の電圧を印加する。また、4探針測定回路124は、内蔵する電流計の作動を開始させて電流計測値をコンピュータ装置140に出力する。
次に、コンピュータ装置140は、ステップS106にて、撮像素子135の作動を制御して撮像素子135による撮像処理を開始させる。これにより、撮像素子135は、プローブ光源131によって照らされた接触体110の表面を撮像した撮像画像を表す接触体撮像画像情報を出力する。この場合、プローブ光源131から出射された光は接触体110のプローブ113の他に被接触物WKにも照射されるため、接触体撮像画像情報には、接触体110のプローブ113の他に被接触物WKの表面の撮像画像も含まれる。但し、撮像素子135には、主として接触体110のプローブ113に照射された光の反射光が導かれるため、接触体撮像画像情報は接触体110を表わす部分が被接触物WKの表面を表わす部分より高輝度で表わされる。
次に、コンピュータ装置140は、ステップS108にて、接触体撮像画像情報の二値化処理を開始する。具体的には、コンピュータ装置140は、撮像素子135から入力した接触体撮像画像情報をピクセルごとに受光光量(輝度)に応じて二値化、より具体的には、各ピクセルごとの撮像画像情報の輝度が所定値以上の部分を白色とするとともに同所定値未満の部分を黒色としたモノクロ画像に変換する。これにより、接触体撮像画像情報のうち、接触体110に相当する接触体撮像画像情報が白色で表わされるとともに、その他の部分(主として被接触物WKの表面)を表わす接触体撮像画像情報が黒色で表わされる(図4(C)、図6参照)。
次に、コンピュータ装置140は、ステップS110にて、接触体110を被接触物WKに向けて変位させる。具体的には、コンピュータ装置140は、Z軸方向アクチュエータ(図示せず)の作動を開始させて接触体保持部123aを支柱123bに沿って図示下方、すなわち、ワークステージ部121上の被接触物WKに向って変位させる。
次に、コンピュータ装置140は、ステップS112にて、接触体110の被接触物WKへの押圧状態を検出する。具体的には、コンピュータ装置140は、4探針計測回路124から出力される電流計測値を監視して同電流計測値が0A(アンペア)より大きくなったとき、または撮像素子135から出力されて二値化された接触体撮像画像情報のうち接触検出領域SE内の撮像画像情報の略すべて(本実施形態においては、全体の略90%)が黒色となったときに接触体110が被接触物WKに接触して押圧状態となったと判定する。
この接触体110の押圧状態検出処理において、4探針計測回路124から出力される電流計測値が0Aより大きくなった場合とは、2つの外側のプローブ113間が電気的に接触したことにより電流が流れたことを意味しており、これは、2つの外側のプローブ113が被接触物WKの表面にそれぞれ接触したことを意味している。また、撮像素子135から出力された接触体撮像画像情報のうち接触検出領域SE内の撮像画像情報の略すべてが黒色となった場合とは、撮像素子135に接触体110のプローブ113からの反射光が入射しなくなったことを意味しており、これは、プローブ113が被接触物WKの表面に接触して同表面を押圧することにより撓み変形して反射光の進行方向が変化したことを意味している。
この接触体撮像画像情報のうち接触検出領域SE内の撮像画像情報が黒色に変化する過程について、より詳しく説明する。接触体110のプローブ113が被接触物WKの表面に接触してない場合には、前記図4(C)および図6に示すように、表示装置142の表示画面にはプローブ113の全体形状が白色画像として表示される。これは、接触体110のプローブ113によって反射された反射光の多くが撮像素子135に導かれるためである。
その後、プローブ113が被接触物WKに向って変位することにより同プローブ113の先端部が被接触物WKの表面に接触し始めると、図7(A)に示すように、プローブ113における被接触物WKの表面への接触部分が撓み変形する。これにより、プローブ113における変形部分からの反射光の進行方向が変化してビームスプリッタ133に導かれなくなるため、図7(B)に示すように、表示装置142に表示される前記変形部分(プローブ113の先端部分)に対応する撮像画像が黒色に変化する。
そして、プローブ113が更に被接触物WKの表面に向って変位することにより、図8(A)に示すように、プローブ113が被接触物WKの表面を押圧してプローブ113における被接触物WKの表面と平行に変形した接触部分が増加する。これにより、プローブ113から撮像素子135に導かれる反射光が更に少なくなり、図8(B)に示すように、表示装置142の表示される接触検出領域SE内のプローブ113の撮像画像の白色部分の殆どが黒色に変化する。すなわち、コンピュータ装置140は、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の受光部分(領域)の面積変化を用いて接触体110の押圧状態を検出する。
したがって、コンピュータ装置140は、ステップS112の判定処理にて、4探針計測回路124から出力される電流計測値が0Aより大きくなるまで、または撮像素子135から出力される接触体撮像画像情報のうち接触検出領域SEの撮像画像情報の略すべてが黒色となるまでの間、「No」と判定し続けてステップS112の判定処理を繰り返し実行する。このステップS112による判定処理を繰り返し実行している間、コンピュータ装置140は、接触体110を被接触物WK側に送るピッチごとに4探針計測回路124から出力される電流計測値および接触体撮像画像情報の監視処理を実行する。
一方、コンピュータ装置140は、ステップS112の判定処理にて、4探針計測回路124から出力される電流計測値が0Aより大きくなったとき、または撮像素子135から出力される接触体撮像画像情報のうち接触検出領域SEの撮像画像情報の略すべてが黒色となったとき、接触体110が被接触物WKに接触して押圧状態となったとして「Yes」と判定してステップS114に進む。なお、このステップS112による押圧状態判定処理を実行している間、作業者は、表示装置142の表示画面を監視することにより接触体110の異常な接触を検出することができる。例えば、4つのプローブ113のうち1つのプローブ113のみが黒色に変化した場合には、同1つのプローブ113が何らかのものに接触して変形していると考えられるため、作業者は、入力装置141を操作し直ちに接触体110の被接触物WKへの接触作業を中断することができる。すなわち、本発明に係る接触状態検出装置は、接触体110の被接触物WKの接触の有無のみならず、の状態も検出することができる。
次に、コンピュータ装置140は、ステップS114にて、接触体110の押圧状態の検出の中断処理を実行する。具体的には、コンピュータ140は、Z軸方向アクチュエータ(図示せず)、4探針測定回路124および撮像素子135の作動をそれぞれ停止させる。これにより、接触体保持部123aの変位、2つの外側のプローブ113への電圧印加および接触体113の撮像処理がそれぞれ中断される。また、コンピュータ装置140は、接触体撮像画像情報の二値化処理を中断するとともに、表示装置142に接触体110のプローブ113が被接触物WKの表面に接触し押圧状態にある旨を表示する。この場合、コンピュータ装置140は、接触体110の被接触物WKへの押圧状態の検出の原因、すなわち、接触体110の押圧状態を電流計測値の変化によって検出したのか、接触体撮像画像情報の変化によって検出したのかを表示装置142に表示させる。そして、コンピュータ装置140は、ステップS116にて、このアプローチプログラムの実行を終了する。
作業者は、表示装置142に表示された表示内容を確認した後、接触体110の押圧状態の検出の原因に応じた作業を行う。すなわち、接触体110の被接触物WKへの押圧状態が電流計測値の変化によって検出された場合には、接触体110のプローブ113と被接触物WKとが電気的に接触しているため、作業者はコンピュータ装置140の入力装置141を操作して引き続き被接触物WKの電気伝導度の測定作業を行う。一方、接触体110の被接触物WKへの押圧状態が接触体撮像画像情報の変化によって検出された場合には、接触体110のプローブ113と被接触物WKとが物理的に接触していても電気的に接触していないと考えられるため、被接触物WKの電気伝導度の測定作業を行うことができない。このため、作業者は、接触体110が被接触物WKに電気的に接触しない原因を特定するとともに対応処置を施した後、再度アプローチプログラムを実行する。これにより、従来、プローブ113と被接触物WKとの電気的な接続状態が検出されない状態でプローブ113が被接触物WKに強く押し付けられることによる接触体110および被接触物WKの破損を防止することができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、電気伝導度測定システム100に適用された接触検出装置は、被接触物WKに接触することにより変形する接触体110の変形部分に光PLを照射するとともに、同被接触物WKに向って変位する接触体110を撮像した接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の変化を用いて接触体110の被接触物WKへの押圧状態を検出している。すなわち、接触状態検出装置は、接触体110が被接触物WKに接触して変形したことによる変形部分からの反射光の変化を接触体撮像画像情報の変化によって検出することにより接触体110の被接触物WKへの押圧状態を検出している。そして、この場合、接触体110からの反射光の検出は、接触体110における前記変形部分を含む領域をCCDイメージセンサからなる撮像素子135で撮像することにより行なわれる。すなわち、照射する光PLの照射位置および反射光の受光位置を厳密に調整する必要がない。これにより、接触体110への光PLの照射位置の位置決めおよび接触体110からの反射光の受光素子に対する位置決めに必要な光学部品の部品点数やアライメント調整作業工数を低減することができ、装置構成を単純化できるとともに検出精度維持のためのメンテナンス作業の作業負担が軽減される。また、接触状態検出装置は、接触体110の機械的変形に基づいて接触体110の押圧状態の検出を行なっているため、接触体110が接触する被接触物WKの被接触部分に酸化膜などの絶縁領域が形成された場合であっても精度良く接触体の押圧状態の検出を行なうことができる。これにより、接触体110が被接触物WKに強く押し付けられることによる接触体110および被接触物WKの損傷を防止することができる。これらの結果、接触体110や被接触物WKを損傷することなく簡単な構成で精度良く接触体110の被接触物WKへの押圧状態を検出することができる。
(各種変形例)
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記変形例の説明においては、参照する各図における上記実施形態と同様の構成部分に同じ符号または対応する符号を付して、その説明は省略する。
例えば、上記実施形態においては、接触体110を撮像した接触体撮像画像情報に選択率約50%の接触検出領域SEを設定することにより、接触体110の押圧状態の検出を行なうように構成した。しかし、接触検出領域SEの大きさや位置は、接触体110の押圧状態の検出の目的に応じて適宜設定することができる。例えば、接触検出領域SEの大きさを大きく(選択率を増加)することにより、接触体110の押圧状態の検出に用いる白色部分が増加するため押圧状態の検出の感度を鈍くすることができる。これは、接触体110の押圧状態の検出時における接触体110が被接触物WKを押し付ける力を大きくすることができることも意味している。したがって、接触体110を構成する素材のバネ定数を用いることにより接触体110が被接触物WKを押し付ける押圧力も規定することができるとともに、接触体撮像画像情報に基づいて接触体110の押圧力を特定することもできる。そして、接触検出領域SEの大きさを小さく(選択率を減少)することにより接触体110の押圧状態の検出に用いる白色部分が少なくなるとともにS/N比が向上するため押圧状態の検出の感度を鋭くすることができる。
一方、接触検出領域SEの位置を接触体110(プローブ113)の先端部に位置させることにより接触体110の押圧状態の検出の感度を鋭くすることができる一方、接触検出領域SEの位置を接触体110(プローブ113)の後端部側に位置させることにより接触体110の押圧状態の検出の感度を鈍くすることができる。さらに、接触検出領域SEの大きさおよび位置を調節して接触体110の一部(例えば、1つのプローブ113のみ)を押圧状態の検出に用いることもできる。また、さらには、2つ以上の接触検出領域SEを設けてそれぞれ位置や大きさを設定することもできる。例えば、4つのプローブ113ごとにそれぞれ接触検出領域SEを設定することにより、4つのプローブ113ごとに押圧状態の検出を行なうことができる。すなわち、接触体撮像画像情報によって表わされる接触体110の変形部分上での接触検出領域SEの大きさ、位置および数を適宜設定することにより、押圧状態の検出の範囲、接触検出の感度および接触体110の被接触物WKへの押圧力を任意に設定することができる。
また、上記実施形態においては、撮像素子135が撮像して得た接触体撮像画像情報の一部(上記実施形態においては選択率約50%)を用いて接触体110の押圧状態の検出を行なうように構成した。しかし、接触検出領域SEを設けることなく撮像素子135が出力した接触体撮像画像情報のすべてを用いて接触体110の押圧状態の検出を行なうこともできることは当然である。
また、上記実施形態においては、撮像素子135から出力された接触体撮像画像情報のうち接触検出領域SE内の撮像画像情報の略すべて(上記実施形態においては、全体の略90%)が黒色となったときに接触体110が被接触物WKに対して押圧状態となったと判定した。すなわち、接触状態検出装置は、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の面積変化を用いて接触体の押圧状態を検出した。しかし、接触体110の押圧状態検出の判定の基準となる接触体撮像画像情報における白色画像から黒色画像への変化率(量)は、接触体110の押圧状態検出精度に応じて適宜決定されるものであり、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、接触体110の押圧状態検出の判定の基準として小さい変化率(量)を用いれば接触体110の押圧状態検出精度が高くなり、大きい変化率(量)を用いれば押圧状態検出精度が低くなる。
また、接触体の押圧状態の検出は、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の面積変化の他に位置や形状の変化を用いることもできる。すなわち、接触状態検出装置は、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の面積、位置および形状などの反射光領域の変化、換言すれは反射光が占める部分の2次元平面内での変化を用いて接触体の押圧状態を検出することができる。また、接触状態検出装置は、接触体撮像画像情報によって表わされる反射光の光量の変化を用いて接触体の押圧状態を検出することもできる。
また、上記実施形態においては、プローブ光源131としてLEDを用いるとともにワーク光源133として白熱電球を用いた。しかし、プローブ光源131およびワーク光源133の光源は、接触体110および被接触物WKを撮像素子135によって撮像して撮像画像情報を取得可能な光PL,WLを発する光源であれば上記実施形態に限定されるものではない。例えば、プローブ光源131およびワーク光源133の光源として、LED、白熱電球、蛍光灯、ハロゲンランプ、HIDランプまたはレーザ光などを用いることができる。なお、プローブ光源131は、少なくとも接触体110に光PLを照射できれば良いため、指向性の高い光源(例えば、LEDやレーザ光)が好ましい。一方、ワーク光源133は、被接触物WKにおける接触体110との接触領域を照らすことができれば良く、幅広い光源を用いることができる。
また、上記実施形態においては、ワーク光源133を用いて被接触物WKに光WLを照射するとともに同光WLが照射された被接触物WKを撮像素子135で撮像して被接触物撮像画像情報を取得した。しかし、被接触物WK自体の位置や被接触物WK上における接触体110の位置関係を確認する必要がない場合には、ワーク光源133および撮像素子135による被接触物撮像画像情報の取得処理は、必ずしも必要ではない。これらのワーク光源133および撮像素子135による被接触物撮像画像情報の取得処理を省略することにより接触状態検出装置の構成を簡単にすることができる。
また、上記実施形態においては、接触体110にプローブ光源131から出射される光PLの入射角に等しい反射角上にビームスプリッタ132を配置した。すなわち、プローブ光源131から出射されて接触体110に入射する光PLの入射角に等しい反射角上に実質的に撮像素子135を配置した。これにより、撮像素子135は、特に指向性が高い光源(例えば、LED)から出射されて接触体110によって反射された反射光を効率的に受光することができ、精度の良い接触体撮像画像情報を取得することができる。しかし、撮像素子135の配置位置は、接触体110を撮像して接触体撮像画像情報を取得できる位置であれば、必ずしも前記反射角上である必要はない。特に、プローブ光源131として指向性の低い光源を用いた場合には、接触体110からの反射光を受光可能な範囲に比較的自由に撮像素子135を配置することができる。
また、上記実施形態においては、撮像素子135としてCCDイメージセンサを用いた。しかし、撮像素子135は、接触体110を撮像して接触体撮像画像情報を取得できるものであればCCDイメージセンサ以外のイメージセンサ、例えばCMOSイメージセンサなどの各種イメージセンサを用いることもできる。本発明は、接触体110を比較的広範囲で撮像した接触体撮像画像情報を用いて接触体110の押圧状態の検出を行なうことにより、必要な光学素子およびアライメント(光軸調整)工数を低減できることが特徴の1つである。
また、上記実施形態においては、コンピュータ装置140は、撮像素子135から入力した接触体撮像画像情報を二値化した接触体撮像画像情報を用いて接触体110の押圧状態を検出した。しかし、接触体撮像画像情報は必ずしも二値化する必要はなく、撮像素子135から入力した接触体撮像画像情報をそのまま用いて接触体110の押圧状態を検出することもできる。例えば、撮像素子135から入力した接触体撮像画像情報の受光光量に対応する輝度(明度ともいう)の変化を用いて接触体110の押圧状態を検出することもできる。
また、上記実施形態においては、接触体110は、接触体アプローチ部123の接触体保持部123aによって被接触物WKにおける被接触部分を含む表面に対して交わる姿勢で保持されている。このため、プローブ光源131からの出射光が被接触物WKの表面に照射された場合であっても、接触体110からの反射光と被接触物WKからの反射光とが共に撮像素子135に導かれることが防止される。これにより、撮像素子135は接触体110からの反射光のみを精度良く撮像することができ、結果として接触体110の接触検出精度を向上させることができる。すなわち、撮像素子135は、プローブ光源131から照射された光PLのうちの被接触物WKの表面からの反射光が直接入らない位置、換言すれば、同反射光の光路外に配置されていればよい。
また、上記実施形態においては、接触体110を保持して被接触物WKに接近させる接触体アプローチ部123は電気伝導度測定システム100を構成する構成要素であり、接触状態検出装置に必須の構成要素ではない。しかし、接触体アプローチ部123を接触状態検出装置の構成要素とすることにより接触状態検出装置において前記作用効果を発揮させることができる。また、被接触物WKを保持して接触体110に対して図示X軸方向およびY軸方向に変位させるワークステージ部121および駆動ベース部122も前記接触体アプローチ部123と同様に、電気伝導度測定システム100を構成する構成要素であり、接触状態検出装置に必須の構成要素ではない。
しかし、ワークステージ部121および駆動ベース部122を接触状態検出装置の構成要素とすることにより、被接触物WK上の任意の位置で接触体110の押圧状態の検出を行なうことができ、接触状態検出装置の用途や適用範囲を拡げることができるものである。すなわち、アプローチステージ装置120が、本発明に係る接触体変位手段に相当する。この場合、アプローチステージ装置120は、接触体110と被接触物WKとを相対変位させれば良く、必ずしもどちらか一方のみを変位させる構成である必要はない。すなわち、アプローチステージ装置120は、接触体110および被接触物WKのどちらか一方をまたは両方を変位させてもよい。また、接触体110を保持する姿勢も被接触物WKにおける被接触部分を含む表面に対して平行であっても接触体110の押圧状態の検出は可能である。この場合、主として接触体110に光が照射され被接触物WKにはできるだけ光が照射されないように構成することが好ましい。
また、上記実施形態においては、撮像素子135が撮像した撮像画像を表示させるために表示装置142を用いた。すなわち、表示装置142は、本発明に係る撮像画像表示手段に相当する。これにより、作業者は、接触体110の接触状態や被接触物WKにおける被接触部分周辺の状態を視認により確認しながら作業を行なうことができる。したがって、これらを視認する必要がない場合には、表示装置142は不要である。すなわち、接触体110の押圧状態の検出は、コンピュータ装置140による演算処理によって行われているため、接触体110の押圧状態を必ずしも表示させなくても接触体110の押圧状態の検出は可能である。
一方、接触体110の押圧状態の検出を作業者が行なう場合には、接触体110の押圧状態を作業者が確認できる何らかの表示手段が必要である。この場合、接触体110の押圧状態の検出自体は作業者が行なうため、押圧状態の検出のためのコンピュータ装置140による演算処理、すなわち、接触状態検出手段は不要である。具体的には、作業者は、表示装置142の表示される接触体110の白色画像の変化を目視しながら、白色画像の適当な変化状態において接触体110が被接触物WKに押圧状態になったと判定して入力装置141を操作することにより接触体110の変位を停止させる。これによっても、接触体110の押圧状態を検出することができる。
また、上記実施形態においては、接触体110の押圧状態の検出に4探針計測回路124から出力される電流計測値と撮像素子135から出力された接触体撮像画像情報とを用いた。これにより、接触体110が被接触物WKに物理的または電気的に接触したときに接触体が被接触物に接触したものとして接触体の押圧状態の検出を行なうことができる他に、接触体110が被接触物WKに物理的および電気的に接触したときに接触体が被接触物に押圧状態になったものとして接触体の押圧状態の検出を行なうこともできる。この結果、接触状態検出装置の用途や適用範囲を拡げることができる。しかし、接触体110の押圧状態の検出は、撮像素子135から出力された接触体撮像画像情報のみで行なうことができることは当然である。
また、上記実施形態においては、接触体110が被接触物WKに押圧状態となって変形することにより接触体110からの反射光が撮像素子135に導かれなくなることを利用して接触体110の押圧状態を検出するように構成した。しかし、本発明は、接触体110が被接触物WKに押圧状態となって変形することによる反射光の進行方向の変化を利用して接触体110の接触を検出するように構成すれば、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、図9(A)に示すように、プローブ光源131は、接触体110の表面に向って直交する向きで光PLを照射するように構成することもできる。これによれば、図9(B)に示すように、プローブ113が被接触物WKに接触して座屈変形することにより、プローブ113からの反射光の一部が撮像素子135に導かれなくなる。したがって、コンピュータ装置140は、接触体撮像画像情報における白色で表わされた接触体110の側面部分にプローブ113の座屈変形により生じる黒色部分を検出することにより接触体110の押圧状態を検出することができる。つまり、プローブ光源131は、接触体110に対して被接触物WKへの接触による変形前の部分または変形後の部分、すなわち、接触体110における接触による変形部分を含む領域に光PLを照射するように構成されていればよい。
また、図9(A),(B)に示す接触状態検出装置において、ビームスプリッタ132、集光レンズ134および撮像素子135に代えてまたは加えて、プローブ113が被接触物WKに接触して座屈変形した座屈部分から反射する反射光の進行方向上に撮像素子135と同様の撮像素子136(図において二点鎖線で示す)を設けることもできる。これによれば、プローブ113が被接触物WKに接触して座屈変形することにより、プローブ113からの反射光の一部が撮像素子136に導かれる。したがって、コンピュータ装置140は、接触体撮像画像情報における黒色で表わされた接触体110の側面部分にプローブ113の座屈変形による生じる白色部分を検出することにより接触体110の押圧状態を検出することができる。
また、上記実施形態においては、接触体110の被接触物WKへの押圧状態が接触体撮像画像情報の変化によって検出された場合には、被接触物WKの電気伝導度の測定作業を行わないように構成した。これは、被接触物WKの表面に絶縁膜が形成されて接触体110のプローブ113と被接触物WKとが電気的に接触していないと考えられるためである。したがって、このような場合、電気伝導度測定システム100は、図10に示すように、接触体110と被接触物WKとの間で絶縁破壊を生じさせるための電圧を印加する電圧印加装置137を接触体110に接続した状態で設けるようにするとよい。これによれば、電気伝導度測定システム100または作業者は、接触体110の被接触物WKへの押圧状態が接触体撮像画像情報の変化によって検出された場合には、電圧印加装置137を作動させることにより被接触物WKの表面に形成された絶縁膜を破壊して接触体110のプローブ113と被接触物WKとが電気的に接触した状態を確保することができる。したがって、電気伝導度測定システム100または作業者は、被接触物WKの表面に形成された絶縁膜を破壊した後、そのまま被接触物WKの電気伝導度の測定作業を行うことができる。このように、電気伝導度測定システム100は、接触状態検出装置による接触体110の被接触物WKへの押圧状態の検出結果に応じて被接触物WKの電気伝導度の測定をそのまま続行したり、同電気伝導度の測定を一旦中断したりするように構成することができる。
また、上記実施形態においては、接触状態検出装置を電気伝導度測定システム100に適用した。しかし、接触状態検出装置は、被接触物に向って変位して接触する接触体が同被接触物に接触したことを検出する接触状態検出装置として広く適用できるものである。例えば、プローブ顕微鏡におけるプローブ制御、触針式粗さ計における接触制御、マイクロマニピュレータにおける接触制御、MEMS部品などの接触力測定や機械物性評価、マイクロスイッチの接触検出などに本発明を適用することができる。
例えば、図11に示すように、接触状態検出装置を触針式粗さ計200に適用することもできる。この場合、触針式粗さ計200における図示しない制御装置(コンピュータ装置140に相当)は、プローブ113の先端部を被接触物WKの表面に所定の押圧力で押圧した状態において、プローブ113と被測定物WKとを図示X軸方向に相対変位させる。そして、触針式粗さ計200における制御装置は、撮像素子135から出力された接触体撮像画像情報を用いて被接触物WKの表面粗さを測定することができる。
また、例えば、図12に示すように、接触状態検出装置をマイクロマニピュレータ300に適用することもできる。この場合、プローブ113は、先端が尖った平面視略三角形状の板状体で構成されている。そして、マイクロマニピュレータ300における図示しない制御装置(コンピュータ装置140に相当)は、作業者による図示しない入力装置(入力装置141に相当)の操作に応じて、プローブ113の先端部を被接触物WK(例えば、プレパラート上の細胞組織)の表面に所定の押圧力で押圧したり、同押圧した状態でプローブ113と被測定物WKとを図示X軸方向および図示Y軸方向に相対変位させたりすることにより被接触物WKに加工を施したり位置を変位させたりすることができる。この場合、マイクロマニピュレータ300における制御装置または作業者は、撮像素子135から出力された接触体撮像画像情報を用いて、または図示しない表示装置(表示装置142に相当)における表示内容によってプローブ113の被接触物WKへの押圧状態を認識できるとともに同押圧状態を適宜調整することができる。
なお、この場合、プローブ113の被接触物WKへの押圧状態には、プローブ113にあらゆる方向から作用する押圧力による押圧状態を広く含むものである。具体的には、プローブ113の被接触物WKへの押圧状態には、プローブ113が被接触物WKの表面を図示Z軸方向に押圧する状態の他に、例えば、プローブ113が被接触物WKの表面を図示Z軸方向に押圧した状態で図示X軸方向および/またはY軸方向(すなわち、X−Y軸平面内)に変位させた際にプローブ113に生じるねじりの状態も含むものである。