JP5849144B2 - 圧雪層の形成装置および該装置を具備するタイヤの雪上試験システム - Google Patents
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Description
特許文献1は、水平方向を中心に回転可能な回転ドラムの内周面に氷結層を形成して、形成した氷結層に対してタイヤを当てて、回転ドラムを回転すること、により、タイヤの氷上試験を行い、特に、氷結層は、水を凍らせた一定の厚さの氷の層または圧縮された雪の層からなり、氷結層の形成には、従来公知の様々な方法が採用可能であると、記載されている。
第1に、所望の雪質、特に所望のかさ密度、所望の硬度および所望の表面状態の圧雪層を効率的に形成すること、が困難な点である。
より詳細には、特許文献1、特許文献3および特許文献4はいずれも、模擬路面上に水膜を直接形成して、凍らせること、により、氷結層、氷雪面あるいはアイスバーンを形成するものであり、層自体が全体と、して凍らず、たとえば積雪した路面上を車が繰り返し通過すること、により形成されるような圧雪路、換言すれば、所望のかさ密度あるいは所望の硬度の圧雪層を形成するのは困難である。
この点、特許文献2は、このような氷結層、氷雪面あるいはアイスバーンでなく、水を添加して膨潤させた粒状の吸水性材料からなる人工雪を層状に設けており、転圧ローラーの押圧力を調整すること、により、人工雪層を種々の硬さの圧雪路に設定すること、が可能であると、記載されているが、人工雪ゆえに表面の摩擦係数は自然雪と、は大きく相違するものであり、たとえば、タイヤのスリップ評価を適正に行うこと、が困難である。
しかしながら、第2の技術的問題点と、して、特許文献5による圧雪技術では、圧雪層が圧雪層形成予定面から剥がれたり、圧雪層に亀裂、割れが生じたりして、円滑なタイヤ試験を行うのが困難と、なる。
この点、自然雪が路面に降雪して、たとえば、自重により、あるいは車の往来により圧雪路が形成される場合には、かさ密度が増大すると、もに、焼結(焼成)作用が徐々に進行して、雪層の硬度が長時間経過後に形成され、この場合には、雪層のかさ密度と、雪層の硬度と、の関係はほぼ比例し、全体と、して雪質が形成されるのであり、所望のかさ密度と、所望の硬度と、を互いに独立に、効率的に圧雪路を模擬すること、が業界内で要望されている。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、設備を大型化することなく、あるいは既存設備の大幅な改造を必要とすることなく、所望のかさ密度、所望の硬度あるいは所望の表面状態の圧雪層を用いて試験を行うことが可能な圧雪層の形成装置および該装置を具備するタイヤの雪上試験システムを提供することにある。
雪を生成する雪生成ユニットと、
生成された雪に所定含水率の水分を含水する含水ユニットと、
圧雪層形成面を取り囲む密閉スペースを所定温度および所定湿度に制御する温度湿度制御ユニットと、
含水した雪を前記密閉スペース内で、圧雪層形成面に向かって圧送する雪圧送ユニットと、
圧雪層形成面に積層した積雪の上面から圧雪層形成面に向かって所定の押圧力で面圧する圧雪ユニットと、
を有し、
前記圧雪ユニットは、圧雪層形成面に積層した積雪の上面に面接触可能な面接触部と、該面接触部を圧雪層形成面に向かって押圧する押圧部と、を有し、
前記面接触部は、プレート状であり、圧雪層に接触する接触面は、難着雪性の材質あるいは表面加工され、さらに、前記面接触部の前記圧雪層形成面に対するレベル決め手段が設けられ、
前記面接触部は、圧雪層形成面の形状に沿って形成された圧雪部と、該レベル決め手段により前記面接触部を前記圧雪層形成面に対してレベル決めした際、前記接触面と前記圧雪層形成面との間隔が前記圧雪部に向かって徐々に狭まるように湾曲し、かつ前記圧雪部の一端に対して連続的に滑らかに連結した案内部とを有し、
さらに、前記押圧部は、前記圧雪部を圧雪層形成面に向かって付勢するように構成され、
それにより、前記レベル決め手段により圧雪層形成面に対してレベル決めされた前記面接触部を用いて、圧雪層形成面上に積層した雪を前記案内部に通して、前記案内部により案内されながら、前記圧雪部により積層した雪を圧雪する、構成としている。
さらにまた、前記相対移動ユニットは、圧雪層形成面を前記圧雪ユニットに対して、圧雪層形成面の延び方向に沿って相対移動させるのでもよい。
さらに、前記相対移動ユニットは、前記圧雪層形成面、または前記雪生成ユニット、前記含水ユニット、前記雪圧送ユニット、前記圧雪ユニットおよび前記温度湿度制御ユニットを一体に、往復直線運動させるのでもよい。
また、前記面接触部は、前記プレート部の前記接触面と、反対側に中実本体部をさらに有し、
前記中実本体部は、前記案内部から前記圧雪部まで徐々に硬度が増大するようにしてあるのがよい。
さらにまた、前記湾曲形状は、谷部および山部を含む1波長分の正弦波状であるのがよい。
前記雪圧送ユニットは、微小氷粒を空気圧送する圧送管を有し、
前記含水ユニットは、前記圧送管の流出開口から流出する微小氷粒に対して水を噴霧する水スプレーを有し、
さらに、前記圧送空気の温度および湿度を調整するための圧送空気温度湿度制御部を有するのでもよい。
また、前記圧雪層形成面には、圧雪層形成定面の延び方向への圧雪層の滑りを防止する機械的絡み合い部が設けられるのでもよい。
さらにまた、前記密閉スペース内を氷点以下の温度に保持した状態で、形成した圧雪層の上面を上面に平行な向きに研磨する表面研磨手段をさらに有するのでもよい。
以下では、本発明に係る圧雪層の形成装置10をタイヤの雪上試験に適用する場合を例と、して、詳細に説明する。
より詳細には、圧雪層形成装置10は、たとえば、油圧あるいは電動モータが駆動源である相対移動ユニット19により、自走式であり、各ユニットとはケーシング21に連結され、あるいは固定され、ケーシング21はローラー12により、相対移動ユニットと、19により、圧雪層形成面11に対して圧雪層形成面11の長手方向に相対移動可能に構成され、ケーシング21は移動しながら、その内部において圧雪層形成面11に雪を積雪し、圧雪するようにしている。
ケーシング21の上面には、後に説明する雪生成ユニット16の搬送管、含水ユニット18の水供給管、および温度湿度制御ユニット22の空調用空気供給管それぞれが貫通し、この貫通部により、それぞれの管が固定支持されており、これらの管は、可撓性を有する管であり、圧雪層形成装置10が圧雪層形成面11の長手方向に移動する際、圧雪層形成装置10の移動に支障のないように、それぞれ余裕のある長さを有する。
なお、図1において、2本の搬送管17を設けているが、いずれも図3の構成により、生成した雪、およびこの雪に含水させる水を供給している。
ちなみに、水の圧送をポンプ59ではなく、圧縮空気で行ってもよい。この場合、密閉水タンク58の気相部へ圧縮機から圧力空気を供給して水をノズルに送るようにして、水の供給量調節は圧送用空気の圧力を調節して行なうのがよい。
水スプレー43は、傾斜面74により拡散する雪粒に対して、目標積雪面に積雪する前に、水を雪粒の噴雪流に向かって拡散状に噴射し、それにより、目標積雪面の上方に、噴雪流と噴水流との混合空間が形成されるようにしている。
なお、後に説明するサイクロン部66をこれらの水スプレー43の上流側に設けてもよい。
変形例として、一流体ノズルである水スプレー48によれば、水滴径が大きくなり、それにより雪質にむらが生じる可能性があるところ、一流体ノズルの代わりに、加圧水とともに加圧空気を混合した二流体ノズルとしてもよく、これによると、微小なミスト(水滴)が生成可能であり、水垂れが少なく、しかも水滴径および噴霧量を空気圧と水圧との組み合わせにより調整可能であるという技術利点がある。
たとえば、雪粒径が0.2ミリないし0.3ミリの場合、密閉スペース20内の所定温度は、−10℃ないし0℃であり、所定湿度は、60%以上であり、より好ましくは、−3℃ないし0℃、80%以上であり、この範囲外であると、雪質に係らず、後に説明するような、雪中に含水させる水の接着効果を十分に奏することが困難となる。なお、ここに、雪粒径は、粒径分布で表した際に、重量割合での最頻度粒径を意味する。
雪粒は、乾き雪であり、粒径が0.2ミリないし0.3ミリであり、サイクロン部66の流出開口を圧雪層形成面11から1メートル以内に配置する。
雪粒の粒子の大きさ、およびサイクロン部66における雪粒の旋回流の最大径に応じて、搬送空気の搬送速度を調整すること、により、サイクロン部方式により、搬送空気と、雪粒と、を一部分離する。
特に、含水率が0%の乾き雪、約1〜20%の湿り雪、約21〜95%のシャーベット雪、約96%以上の雪水と、分類した場合、乾き雪の場合には、図6(A)に示すように、湾曲面部76のない平面部80だけの傾斜面74でよく、一方、湿り雪あるいはシャーベット雪の場合には、図6(B)に示すように、湾曲面部76と、平面部80と、を有する傾斜面74が好ましく、いずれにせよ、図6(C)に示すように、噴出開口33から噴出する雪粒のすべてが傾斜面74に衝突して確実に拡散し、圧雪形成面11上に到達するまでに、さらに拡散して、圧雪形成面11上での積雪エリアを拡げること、が可能である。
傾斜円板75は、棒状部材80を介して搬送管17により支持される。棒状部材80は、上端が、搬送管17に連結され、搬送管17の略中心軸線上を延び、下端78が傾斜円板75の中心部に連結し、それにより、傾斜円板75は、搬送管17により支持される。これにより、雪粒が噴出開口33から噴出する際、棒状部材80により阻害されないようにしている。
なお、傾斜円板75は、搬送管17と、同心状に配置され、傾斜円板75の中心を通る鉛直方向を中心に回転可能と、され、それにより、雪粒の噴雪流の目標積雪面に対する拡散領域82が連続的に変更されるようにしてもよい。
また、変形例として、上述のように、一定方向に雪を飛散させつつ拡散させるのでなく、傾斜円板75により放射状に雪を拡散したい場合には、たとえば傾斜円板75の代わりに、円錐面を設けてもよい。
面接触部84は、プレート状であり、巾はケーシング21の幅より若干狭く、圧雪層Lに接触する接触面は、難着雪性の材質あるいは表面加工され、さらに、面接触部84の圧雪層形成面11に対するレベル決め手段88が設けられる。
図7に示すように、圧雪部90は、圧雪層形成面11の形状に沿って形成され、図7(A)に示すように、圧雪層形成面11が平面状の場合は、平面状、図7(B)に示すように、圧雪層形成面11が凹状の場合は、凹状、図7(C)に示すように、圧雪層形成面11が凸状の場合は、凸状である。
さらに、押圧部86は、図1に示すようなバネ87により、圧雪部90を圧雪層形成面11に向かって付勢するように構成され、それにより、レベル決め手段88により圧雪層形成面11に対してレベル決めされた面接触部84を用いて、相対移動ユニット19により、圧雪層形成面11上に積層した雪を案内部92に通して、案内部92により案内されながら、圧雪部90により積層した雪を圧雪する。
面接触部84は、プレート部の接触面と反対側に中実本体部94をさらに有し、中実本体部94は、案内部92から圧雪部90まで徐々に硬度が増大するようにしてある。そのために、中実本体部94について、たとえば、案内部92については、案内部92から圧雪部90に向かって、スポンジ製、ゴム製とし、一方圧雪部90を金属製の材質で構成してもよい。
湾曲形状は、谷部および山部を含む1波長分の正弦波状であるのがよい。
図10に示すように、圧雪層形成面11の延び方向への圧雪層Lの滑りを防止する機械的絡み合い部98が設けられる。具体的には、図10(A)および(B)に示すように、それぞれ上端部にフック部を設けた多数の細長突起部材を圧雪層形成面11に設けたり、図10(C)に示すように、圧雪層形成面11の表面をその長手方向と、交差する向きに延びる凹凸部を設けたりするのが好ましい。これにより、圧雪層形成面11上の積雪を圧雪荷重板85により圧雪する際、圧雪層Lの下面と、圧雪層形成面11と、の間に滑りが発生するのを防止し、積雪が確実に圧雪荷重板85に案内されるようにしている。細長突起部材あるいは凹凸部の高さhは、この観点より、定めればよい。
変形例として、図11に示すように、密閉スペース20内に砕氷機25を設け、搬送管17により密閉スペース20に搬送された氷片をロータリーフィーダーを有する砕氷機25に破砕し、ロータリーフィーダーにより生成された氷粒をそのまま圧雪形成面11に向かって落下させてもよい。この場合には、搬送空気が圧雪形成面11に及ぶのを防止することが可能であることから、搬送管17にサイクロン部66を設けなくてもよい。
まず、圧雪層形成面11に圧雪層を形成するために、以下の工程を行う。
各ステップごとに、以下、詳細に説明する。なお、圧雪層形成装置10は、相対移動ユニット19により、圧雪層形成面11の長手方向に沿って移動させながら、圧送工程、含水工程、積雪工程、および圧雪工程を行うようにしており、移動速度はこの観点から決定すればよい。
ステップ2において、圧雪層形成面11を取り囲む密閉スペース20を所定温度かつ所定湿度に管理する。所定温度は、−10℃ないし0℃であり、所定湿度は、60%以上であり、より好ましくは、−3℃ないし0℃、80%以上である。
この場合、搬送管17の先端部のサイクロン部66により、搬送空気と、雪粒と、を一部分離し、それにより、搬送空気により圧雪層形成面11に積雪中の雪を乱すこと、がないようにしている。
具体的には、サイクロン方式により、空気搬送される雪粒に対して遠心力により旋回流を生じさせることで、搬送空気と、雪粒と、を一部分離し、雪粒が搬送空気に乗って圧雪層形成面11まで達する一方、圧雪層形成面11に積もる雪粒を乱さないようにすることで、搬送空気により圧雪層形成面11上の積雪が巻き上がることなく、圧雪層形成面11に効率的に積雪させることが可能である。
具体的には、搬送管17内において搬送空気により噴出開口33に向かって雪粒を下向きに圧送する場合、傾斜面74を噴出開口33に対して対向するように配置する際、傾斜面74を雪粒の噴出方向に対して所定角度α傾斜する向きとしたうえで、傾斜面74において、噴出開口33の雪粒の噴出方向への傾斜面74への投影領域が、傾斜面74内に包含されるような大きさとすること、により、搬送管17内を搬送空気により圧送される雪粒が噴出開口33より噴出する際、雪粒の噴雪流が確実に傾斜面74に衝突することにより、傾斜面74の雪粒の噴出方向に対する傾斜角度αに応じて、雪粒は噴出開口33より下方レベルの目標積雪面に到達するまでに拡散することから、雪を目標積雪面上に効率的かつ一様に積雪させること、が可能である。
図13に示すように、この含水段階は、圧雪層形成予定面に積層する最初の積雪層から積雪層を積層するに連れて、含水率を低減し、最初の積雪層を形成する際の含水率は、約10%であるのが好ましい。これにより、積雪工程の当初は、含水率を高くすることにより、水の表面張力により圧雪層形成面11と積雪との間の接着性を高め、積雪工程が進むにつれて、約3%程度まで低減させる。
図13において、約3%程度まで低減させるタイミングtについて、最初の積雪層を圧雪層形成面11に対して十分に接着させるために、当初は、約10%の含水率とするが、圧雪層形成面11の機械的絡み合い部(図10参照)が積雪により隠れたら、最初の積雪層と圧雪層形成面11とが接着完了と判断し、雪粒同士の接着を維持するのに最低限必要な含水率として、所望の雪質を実現する観点からも、約3%程度まで低減させる。
具体的には、拡散した雪粒が目標積雪面である圧雪層形成面11に積雪する前に、水ノズル43より水を雪粒に向かって拡散状に噴射すること、により、雪粒の噴雪流を一様に含水することが可能であり、しかも搬送空気の圧送度に応じて水噴射の水圧を上げる必要もないので、所望の含水率の雪を生成すること、が可能であり、一様に含水した所望の含水率の雪を効率良く積雪すること、が可能である。
この場合、含水段階および積層段階は、所定温度および所定湿度に管理された圧送空気を用いて、圧送管により微小氷を空気圧送しつつ、密閉スペース20内で、搬送管17の噴出口33において、噴出口33から流出する氷粒に対して水を噴霧させる。
この場合、中実本体部94は、案内部92から圧雪部90まで徐々に硬度が増大するようにしてあるとともに、案内部92について圧雪層形成面11との間隔が圧雪部90に向かって徐々に狭まるように湾曲してあるので、積層した雪は、相対移動ユニット19により案内部92と圧雪層形成面11との間に達する際、圧雪層形成面11との間で滑りを生じたり、案内部92が抵抗となることなく、圧雪部90に向かって円滑に案内される。
圧雪層が目標厚さに達するまで、圧雪層形成装置10を相対移動ユニット19により、再度初期位置まで戻すことにより、積層段階および圧雪段階を繰り返し、それにより、圧雪層を形成する。積層段階および圧雪段階を繰り返す際、積層段階により次の圧雪層を形成する前に、直前の圧雪段階により形成された圧雪層の表面に対して、次の圧雪層が絡みやすいように、回転ブラシ101により、凹凸を形成しておくとともに、水スプレー48により、圧雪層の表面に水を散布して、次の圧雪層が付着しやすいようにする。
ステップ7において、密閉スペース内を氷点以下の温度に保持した状態で、形成した圧雪層の上面を上面に平行な向きに研磨するように表面処理する。これにより、たとえば、いわゆるつるつる路面の摩擦係数をほぼ再現した路面を模擬することが可能である。
以上で、圧雪層の形成が完了する。
この場合、インナードラムの内部温度を調整すること、により、圧雪層が形成される内周面の温度を調整する。
なお、ロードセル(図示せず)で検出した計測データは演算処理装置(図示せず)へ出力され、ここで計測データが記憶回路に取り込まれて演算処理されること、により、種々の条件下でのスリップ率、摩擦係数μ などを算出すると、よく、また演算処理装置 には、演算処理した結果を表示する計測結果表示手段(図示せず)を付設してもよい。
より詳細には、圧雪層形成装置10は、水平方向を中心に回転可能なインサイドドラム12の内部スペースに配置され、インサイドドラム12の内周面14に圧雪層Lを形成し、形成した圧雪層Lの上面27にタイヤを押し当てた状態で、インサイドドラム12を水平方向を中心に回転させること、により、タイヤの雪上試験を行うようにしている。
図15に示すように、インサイドドラム12の内部に構成される密閉空間が、密閉スペース20を構成し、圧雪層形成ユニット10は、密閉スペース20内に配置される。
このような構成によれば、第1実施形態に比べ、温度湿度管理スペースである密閉スペースを敢えて設けることなく、インサイドドラム12の内部を利用することが可能であるともに、たとえば、圧雪層形成面11をタイヤの雪上試験に利用する場合、圧雪層形成面11を必ずしも平面状に設ける必要がないので、圧雪層形成面11が長手方向に延びる形態に比べて、圧雪層形成面11を設けるスペースを大幅に削減することが可能である。
特に後者の場合、インサイドドラム12の内周面に雪を数ミリ積層させた後に圧雪処理を行い、再度、積雪および圧雪を繰り返してもよいし、圧雪のみを間欠的に行い、積雪は連続的に行ってもよい。
たとえば、本実施形態において、圧雪層の形成装置をタイヤの雪上試験に適用する場合として説明したが、それに限定されることなく、圧雪層の雪質、すなわち硬度、かさ密度、場合により表面状態が重視される限り、滑り摩擦試験関係としては、冬用の靴の滑り防止試験、スキー、スノーボートの滑走性試験、あるいは寒冷地における「そり」を利用した移動体の試験、圧雪工程がなく含水した雪を敷き詰める技術として利用する場合には、含水状態の積雪用途として、鉄道車両が走行した際に、線路上の含水した雪が巻き上げられる現象があり、巻き上げられた雪が車両に付着し、この付着した雪が はがれて後部に衝突したり、線路に敷き詰めた石に衝突すると石がはじかれて 石が後部を損傷したり、石が対抗車に衝突する雪害が生じる(バラスト現象という)ところ、この試験用に利用できる可能性がある。
たとえば、本実施形態において、単一の圧雪荷重板85をインサイドドラム12の内部に設けるものと、して説明したが、それに限定されること、なく、インサイドドラム12の内周面に沿って、互いに所定角度間隔を隔てて複数の圧雪荷重板85を設け、それぞれの圧雪荷重板85により積雪を圧雪してもよい。
たとえば、本実施形態において、目標厚みの圧雪層Lを形成した後に、圧雪層Lの表面に対してタイヤを押し当てながら、タイヤおよび/またはインサイドドラム12を回転すること、により、圧雪層Lの形成と、オフラインでタイヤの雪上試験に利用するものと、して説明したが、それに限定されること、なく、圧雪層Lの形成と、オンラインでタイヤの雪上試験に利用してもよい。
L 圧雪層
S 雪粒
10 圧雪層形成装置
11 圧雪層形成面
12 インサイドドラム
13 ローラー
14 内周面
16 雪生成ユニット
17 搬送管
18 含水ユニット
19 相対移動ユニット
20 密閉スペース
21 ケーシング
22 温度湿度制御ユニット
23 カーテン
24 雪圧送ユニット
25 破砕機
26 圧雪ユニット
27 上面
28 ドラム保持部
30 ドラム回転駆動部
32 ドラム本体
34 試験タイヤ保持部
36 タイヤ回転駆動部
38 背面壁
40 雪ホッパー
42 フィーダ
43 噴出ノズル
45 インバータ
46 ブロワ
48 水スプレー
50 含水率制御ユニット
52 層厚さ検出手段
54 硬度検出手段
56 水供給量調整手段
58 水タンク
59 ポンプ
63 流量計
66 サイクロン部
67 調整弁
68 固気分離空間
69 空気抜出管
71 抽出口
73 給気口
74 傾斜面
75 傾斜円板
76 湾曲面部
80 平面部
80 棒状部材
82 拡散領域
85 圧雪荷重板
87 付勢手段
88 レベル調整手段
90 圧雪部
93 雪面検出部
92 湾曲案内部
94 中実本体部
98 絡み合い部
101 回転ブラシ
103 検知手段
Claims (14)
- 雪を生成する雪生成ユニットと、生成された雪に所定含水率の水分を含水する含水ユニットと、圧雪層形成面を取り囲む密閉スペースを所定温度および所定湿度に制御する温度湿度制御ユニットと、含水した雪を前記密閉スペース内で、圧雪層形成面に向かって圧送する雪圧送ユニットと、圧雪層形成面に積層した積雪の上面から圧雪層形成面に向かって所定の押圧力で面圧する圧雪ユニットと、を有し、前記圧雪ユニットは、圧雪層形成面に積層した積雪の上面に面接触可能な面接触部と、該面接触部を圧雪層形成面に向かって押圧する押圧部と、を有し、前記面接触部は、プレート状であり、圧雪層に接触する接触面は、難着雪性であり、さらに、前記面接触部の前記圧雪層形成面に対するレベル決め手段が設けられ、前記面接触部は、圧雪層形成面の形状に沿って形成された圧雪部と、該レベル決め手段により前記面接触部を前記圧雪層形成面に対してレベル決めした際、前記接触面と前記圧雪層形成面との間隔が前記圧雪部に向かって徐々に狭まるように湾曲し、かつ前記圧雪部の一端に対して連続的に滑らかに連結した案内部とを有し、さらに、前記押圧部は、前記圧雪部を圧雪層形成面に向かって付勢するように構成され、それにより、前記レベル決め手段により圧雪層形成面に対してレベル決めされた前記面接触部を用いて、圧雪層形成面上に積層した雪を前記案内部に通して、前記案内部により案内されながら、前記圧雪部により積層した雪を圧雪する、ことを特徴とする圧雪層形成装置。
- さらに、前記圧雪ユニットと前記圧雪層形成面との間で相対移動させる相対移動ユニット
を有する、請求項1に記載の圧雪層形成装置。 - 前記相対移動ユニットは、圧雪層形成面を前記圧雪ユニットに対して、圧雪層形成面の延
び方向に沿って相対移動させる、請求項2に記載の圧雪層形成装置。 - 前記相対移動ユニットは、前記雪生成ユニット、前記含水ユニット、前記雪圧送ユニット
、前記圧雪ユニットおよび前記温度湿度制御ユニットを一体に、圧雪層形成面に対して圧
雪層形成面の延び方向に沿って相対移動させる、請求項2に記載の圧雪層形成装置。 - 前記相対移動ユニットは、前記圧雪層形成面、または前記雪生成ユニット、前記
含水ユニット、前記雪圧送ユニット、前記圧雪ユニットおよび前記温度湿度制御ユニット
を一体に、往復直線運動させる、請求項3または請求項4に記載の圧雪層形成装置。 - 前記案内部は、積層した雪を前記圧雪部に円滑に案内することが可能な湾曲形状および/
または材質および/またはプレート厚みであり、少なくと、も前記圧雪部より柔軟な材質
である、請求項1に記載の圧雪層形成装置。 - 前記面接触部は、前記プレート部の前記接触面と、反対側に中実本体部をさらに有し、
前記中実本体部は、前記案内部から前記圧雪部まで徐々に硬度が増大するようにしてある
、請求項1に記載の圧雪層形成装置。 - 前記湾曲形状は、谷部および山部を含む1波長分の正弦波状である、請求項6または請求
項7に記載の圧雪層形成装置。 - 前記雪生成ユニットは、微小氷粒からなる人工雪を生成し、前記雪圧送ユニットは、微小氷粒を空気圧送する圧送管を有し、前記含水ユニットは、前記圧送管の流出開口から流出する微小氷粒に対して水を噴霧する水スプレーを有し、さらに、前記圧送空気の温度および湿度を調整するための圧送空気温度湿度制御部を有する、請求項1に記載の圧雪層形成装置。
- さらに、含水率制御ユニットを有し、該含水率制御ユニットは、圧雪層の層厚さ
検出手段と、圧雪層の硬度検出手段と、検出した層厚さおよび硬度に応じて水分の供給量
を調整する手段と、を有する、請求項1に記載の圧雪層形成装置。 - さらに、面圧荷重制御ユニットを有し、該面圧荷重制御ユニットは、圧雪層の層厚さ
検出手段と、圧雪層の硬度検出手段と、検出した層厚さおよび硬度に応じて面圧荷重を調整する手段と、を有する
、請求項1に記載の圧雪層形成装置。 - 前記圧雪層形成面には、圧雪層形成予定面の延び方向への圧雪層の滑りを防止する機械的絡
み合い部が設けられる、請求項1に記載の圧雪層の形成装置。 - 形成された圧雪層の表面に対して、次の圧雪層が絡みやすいように凹凸を形成す
るための表面処理手段がさらに設けられる、請求項1に記載の圧雪層の形成装置。 - さらに、前記密閉スペース内を氷点以下の温度に保持した状態で、形成した圧雪
層の上面を上面に平行な向きに研磨する表面研磨手段をさらに有する、請求項1に記載の
圧雪層の形成装置。
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