JP5771888B1 - 圧雪層の形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、雪を制御下に製造する方法および装置に関し、タイヤ評価試験を行うのに、温度制御した環境室内において、環境室の床上に氷の基盤層を設け、基盤層の上に、所定厚さの雪層を設け、この雪層を圧雪し、圧雪した雪層の表面に水を散布し、雪面を整備し、雪の有効厚さが得られるまで、圧雪工程、水散布工程および雪面整備工程を繰り返す点を開示する。
より詳細には、特許文献1は、水噴射用ノズルを用いて、空気中に水を噴射することにより、空気中に氷結晶を生成することにより、人工雪を模擬していることから、氷結晶の粒径の調整と、含水率の調整とを独立に行うことが困難であり、たとえば積雪した路面上を車が繰り返し通過することにより形成されるような圧雪路、換言すれば、所望のかさ密度あるいは所望の硬度の圧雪層を形成するのは困難である。
この点、特許文献2には、ドラム本体内周面に形成される圧雪路面は、ドラムを所要の回転数で回転させながら、スノーガンのノズルより雪を内周面に噴射させるとともに、圧雪ローラで圧雪することにより形成し、スノーガンに供給する水の温度および試験室の室温を制御することにより、圧雪路面の雪質を所望に制御すると記載されている。
しかしながら、第2の技術的問題点として、特許文献2による圧雪技術では、圧雪層が圧雪層形成予定面から剥がれたり、圧雪層に亀裂、割れが生じたりして、円滑なタイヤ試験を行うのが困難となる。
この点、自然雪が路面に降雪して、たとえば、自重により、あるいは車の往来により圧雪路が形成される場合には、かさ密度が増大するとともに、焼結(焼成)作用が徐々に進行して、雪層の硬度が長時間経過後に形成され、この場合には、雪層のかさ密度と雪層の硬度との関係はほぼ比例し、全体として雪質が形成されるのであり、所望のかさ密度と所望の硬度とを互いに独立に、効率的に圧雪路を模擬することが業界内で要望されている。
なお、特許文献1において、圧雪層に対して水を散布する点が開示されているが、これは、タイヤ評価試験に際し、雪面に適切なせん断強度を与えることにより、雪面の品質を確保するために行われており(特許文献5、
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、自然界の圧雪状態を効率的に模擬可能な圧雪層の形成方法を提供することにある。
製氷した氷片を破砕して所定粒径の氷粒とすることにより、圧雪層の形成に利用する人工雪を準備する段階と、
圧雪層の形成予定面を取り囲む密閉スペースを所定温度かつ所定湿度に管理する段階と、
圧送空気を用いて、圧送管により氷粒を空気圧送しつつ、前記密閉スペース内で、圧送管の流出口において、流出口から流出する氷粒に対して水を噴霧させることにより、所定の含水率で氷粒に含水させる段階と、
密閉スペース内で、温度および湿度管理された圧雪層の形成予定面に、含水した氷粒を供給することにより人工雪を模擬して、氷粒を所定厚みにて積層させる段階と、
積層した雪の上面から圧雪層の形成予定面に向かって所定の押圧力で面圧しつつ、含水する水分を氷結させることにより、積層した雪を圧雪する段階とを有する圧雪層の形成方法であって、
圧雪層の上面に要求される表面粗さに応じて、所定粒径を設定し、圧雪層に要求されるかさ密度に応じて、設定した所定粒径に基づいて、氷粒の単位時間当たり、単位面積当たりの供給量を設定し、圧雪層に要求される硬度に応じて、設定した氷粒の単位時間当たり、単位面積当たりの供給量に基づいて、所定の含水率を設定し、設定した所定の含水率に基づいて、所定の押圧力を設定し、設定した所定の押圧力に基づいて、密閉スペース内の所定温度および所定湿度を設定し、それにより、圧雪層の形成開始前に、圧雪層の所望雪質に応じたパラメータ設定段階を有する、構成としている。
さらに、前記積層段階は、所定温度および所定湿度に管理された圧送空気を用いて、圧送管により含水済の氷粒を空気圧送するのがよい。
加えて、互いに平行に外周面を対向させて所定の間隔を隔てて配置され、上方から最狭部に向かう向きに回転可能である一対の破砕ドラムであって、該一対の破砕ドラムの間の前記最狭部より上のスペースに、投入される氷片を受けることが可能なように配置された一対の破砕ドラムを設け、前記最狭部の間隔を調整することにより、破砕される氷粒の粒径を調整するのがよい。
さらに、圧雪層は、水平方向を中心に回転可能なインナードラムの内周面に形成され、
インナードラムの内部に構成される密閉空間が、前記密閉スペースを形成するのでもよい。
さらにまた、目標厚みに向かって形成中の圧雪層の表面に対してタイヤを押し当てながら、タイヤおよび/またはインナードラムを回転することにより、圧雪層の形成とオンラインでタイヤの雪上試験に利用するのがよい。
加えて、目標厚みの圧雪層を形成した後に、圧雪層の表面に対してタイヤを押し当てながら、タイヤおよび/またはインナードラムを回転することにより、圧雪層の形成とオフラインでタイヤの雪上試験に利用するのでもよい。
製氷した氷片を破砕して所定粒径の氷粒とすることにより、圧雪層の形成に利用する人工雪を準備する段階と、
圧雪層の形成予定面を取り囲む密閉スペースを所定温度かつ所定湿度に管理する段階と、
圧送空気を用いて、圧送管により氷粒を空気圧送しつつ、前記密閉スペース内で、圧送管の流出口において、流出口から流出する氷粒に対して水を噴霧させることにより、所定の含水率で氷粒に含水させる段階と、
密閉スペース内で、温度および湿度管理された圧雪層の形成予定面に、含水した氷粒を供給することにより人工雪を模擬して、氷粒を所定厚みにて積層させる段階と、
積層した雪の上面から圧雪層の形成予定面に向かって所定の押圧力で面圧しつつ、含水する水分を氷結させることにより、積層した雪を圧雪する段階とを有する圧雪層の形成方法であって、
圧雪層の雪の所望かさ密度が300kg/m3以下、かつその所望硬度が80kg/cm2以上である場合に、所望かさ密度に基づいて、所定含水率を設定し、所望硬度に基づいて、密閉スペース内の所定温度および所定湿度を設定することにより、圧雪層の形成予定面に積層した氷粒の再凍結速度を調整しつつ、積雪内の空気が押し出されないように、圧雪層の形成予定面に積層した氷粒が再凍結してから、所定の押圧力で圧雪する、構成としている。
以下では、本発明に係る圧雪層の形成装置10をタイヤの雪上試験に適用する場合を例として、詳細に説明する。
より詳細には、圧雪層形成装置10は、たとえば、油圧あるいは電動モータが駆動源である相対移動ユニット19により、自走式であり、各ユニットはケーシング21に連結され、あるいは固定され、ケーシング21はローラー12により、相対移動ユニット19により、圧雪層形成面11に対して圧雪層形成面11の長手方向に相対移動可能に構成され、ケーシング21は移動しながら、その内部において圧雪層形成面11に雪を積雪し、圧雪するようにしている。
ケーシング21の上面には、後に説明する雪生成ユニット16の搬送管、含水ユニット18の水供給管、および温度湿度制御ユニット22の空調用空気供給管それぞれが貫通し、この貫通部により、それぞれの管が固定支持されており、これらの管は、可撓性を有する管であり、圧雪層形成装置10が圧雪層形成面11の長手方向に移動する際、圧雪層形成装置10の移動に支障のないように、それぞれ余裕のある長さを有する。
氷片の破砕装置26は、氷片を内部に投入する開口部102を有するケーシング104と、ケーシング104内に配置される一対の破砕ドラム106とを有する。
より詳細には、ロータリーフィーダー46は、複数枚の回転羽根(図示せず)を放射状に配設したロータがケーシング104内で回転する際、ホッパー等から落下する粉粒体を隣設する羽根間にためて回転し、下側の排出口から落とすようにしている。より具体的には、ロータにおいて、複数の回転羽根を、ケーシング104を介して支持されたロータリーシャフトを中心に放射状に配設し、隣設する回転羽根の間に粉粒体を詰めるためのロータポケットを形成しており、たとえば、駆動モータ(図示せず)によりロータリーシャフとを駆動するようしている。
このために、図13に示すように、一対の破砕ドラム106の水平投影上の外輪郭とケーシング104の内表面116との間には、必然的に隙間が形成され、氷片が一対の破砕ドラム106に供給される際、氷片には最狭部110を通らずにこの隙間を介してバイパスしようとするものがある。特に、一対の破砕ドラム106の間において、最狭部110の上方にスパイラル式振り分けローラー(図示せず)が設けられる場合には、それにより、一対の破砕ドラム106の間の最狭部110より上のスペースに受けられる氷片は、一対の破砕ドラム106のドラム軸線方向に振り分けられるようにしている。このため、最狭部110より上のスペースに溜まる氷片は、ドラム軸線方向に均されるものの、一対の破砕ドラム106それぞれのドラム軸線方向の端面118とケーシング104の内表面116との間からよりバイパスしやすくなる。
一対の破砕ドラム106は、一対の破砕ドラム106の間の最狭部110より上のスペースに、投入される氷片を受けることが可能なように配置される。最狭部110の間隔は、氷片を破砕して氷粒にするのに必要な粒径がどれぐらいであるかにより決定される。
さらに、開口部は、搬送路170の断面形状と一致するように、最狭部110に向かって上方に先細に形成されるのがよい。加えて、軸受ケース150の中心点P3の一方のドラムの軸線からの偏心量は、一方のドラムと他方のドラムとの間の所定間隔Dに要求される変動幅に応じて決定され、それに応じて、円弧状開口部154の開口長さが決定されるのがよい。
突歯は、三角錐の底面が二等辺三角形をなし、長辺からなる二等辺がドラム円周方向に、短辺がドラムの円周方向と直角をなすように、ドラムの外周面上に形成されている。特に、短辺と三角錐の頂点が形成する三角形状の切削面は、回転方向に対して例えば6°程度後退させてドラムの外周面に形成されるのが好ましい。
より詳細には、搬送管170は、ケーシング104内において、一対の破砕ドラム106の最狭部110の下方に、ドラム軸方向に延びる向きに形成され(図13において、表裏方向)、ケーシング104のドラム軸を回転可能に支持する両側面にはそれぞれ、搬送管170を密封可能に貫通する開口172が設けられる。
図12に示すように、搬送管170は、一対の破砕ドラム106それぞれの最狭部110より下方レベルの外周面108がその内壁面の一部を形成するように設けられる。より具体的には、搬送管170は、一対の破砕ドラム106の最狭部110に向かって、最狭部110より下方レベルの外周面108を覆うように下方から設けられる細長プレート150により、形成される。
このように、一対の破砕ドラム106の外周面108を利用して、搬送管170を形成することにより、搬送管170を一対の破砕ドラム106の直下方に設けることが可能であり、それにより、ケーシング104内において、破砕された氷粒の及ぶ領域を制限することが可能であり、ケーシング104内での氷粒の付着のリスクを低減することができる。
両バイパス防止板材120は、その構造は同じであるので、一方について、以下説明する。
バイパス防止板材120は、開口部160を有し、開口部160が搬送管170に連通するように配置される。
なお、図1において、2本の搬送管170を設けているが、いずれも図3の構成により、生成した雪、およびこの雪に含水させる水を供給している。
ちなみに、水の圧送をポンプ59ではなく、圧縮空気で行ってもよい。この場合、密閉水タンク58の気相部へ圧縮機から圧力空気を供給して水をノズルに送るようにして、水の供給量調節は圧送用空気の圧力を調節して行なうのがよい。
水スプレー43は、傾斜面74により拡散する雪粒に対して、目標積雪面に積雪する前に、水を雪粒の噴雪流に向かって拡散状に噴射し、それにより、目標積雪面の上方に、噴雪流と噴水流との混合空間が形成されるようにしている。
なお、後に説明するサイクロン部66をこれらの水スプレー43の上流側に設けてもよい。
変形例として、一流体ノズルである水スプレー48によれば、水滴径が大きくなり、それにより雪質にむらが生じる可能性があるところ、一流体ノズルの代わりに、加圧水とともに加圧空気を混合した二流体ノズルとしてもよく、これによると、微小なミスト(水滴)が生成可能であり、水垂れが少なく、しかも水滴径および噴霧量を空気圧と水圧との組み合わせにより調整可能であるという技術利点がある。
雪粒の粒子の大きさ、およびサイクロン部66における雪粒の旋回流の最大径に応じて、搬送空気の搬送速度を調整することにより、サイクロン方式により、搬送空気と、雪粒とを一部分離する。
図6(A)に示すように、傾斜円板75は、棒状部材80を介して搬送管170により支持される。棒状部材80は、上端が、搬送管170に連結され、搬送管170の略中心軸線上を延び、下端78が傾斜円板75の中心部に連結し、それにより、傾斜円板75は、搬送管170により支持される。これにより、雪粒が噴出開口33から噴出する際、棒状部材80により阻害されないようにしている。
なお、傾斜円板75は、搬送管170と、同心状に配置され、傾斜円板75の中心を通る鉛直方向を中心に回転可能と、され、それにより、雪粒の噴雪流の目標積雪面に対する拡散領域82が連続的に変更されるようにしてもよい。
また、変形例として、上述のように、一定方向に雪を飛散させつつ拡散させるのでなく、傾斜円板75により放射状に雪を拡散したい場合には、たとえば傾斜円板75の代わりに、円錐面を設けてもよい。
面接触部84は、プレート状であり、巾はケーシング21の幅より若干狭く、圧雪層Lに接触する接触面は、難着雪性の材質あるいは表面加工され、さらに、面接触部84の圧雪層形成面11に対するレベル決め手段88が設けられる。
図7に示すように、圧雪部90は、圧雪層形成面11の形状に沿って形成され、図7(A)に示すように、圧雪層形成面11が平面状の場合は、平面状、図7(B)に示すように、圧雪層形成面11が凹状の場合は、凹状、図7(C)に示すように、圧雪層形成面11が凸状の場合は、凸状である。
さらに、押圧部86は、図1に示すようなバネ87により、圧雪部90を圧雪層形成面11に向かって付勢するように構成され、それにより、レベル決め手段88により圧雪層形成面11に対してレベル決めされた面接触部84を用いて、相対移動ユニット19により、圧雪層形成面11上に積層した雪を案内部92に通して、案内部92により案内されながら、圧雪部90により積層した雪を圧雪する。
図8に示すように、面接触部84は、プレート部の接触面と反対側に中実本体部94をさらに有し、中実本体部94は、案内部92から圧雪部90まで徐々に硬度が増大するようにしてある。そのために、中実本体部94について、たとえば、案内部92については、案内部92から圧雪部90に向かって、スポンジ製、ゴム製とし、一方圧雪部90を金属製の材質で構成してもよい。
湾曲形状は、谷部および山部を含む1波長分の正弦波状であるのがよい。
図10に示すように、圧雪層形成面11の延び方向への圧雪層Lの滑りを防止する機械的絡み合い部98が設けられる。具体的には、図10(A)および(B)に示すように、それぞれ上端部にフック部を設けた多数の細長突起部材を圧雪層形成面11に設けたり、図10(C)に示すように、圧雪層形成面11の表面をその長手方向と、交差する向きに延びる凹凸部を設けたりするのが好ましい。これにより、圧雪層形成面11上の積雪を圧雪荷重板85により圧雪する際、圧雪層Lの下面と、圧雪層形成面11と、の間に滑りが発生するのを防止し、積雪が確実に圧雪荷重板85に案内されるようにしている。細長突起部材あるいは凹凸部の高さhは、この観点より、定めればよい。
まず、圧雪層形成面11に圧雪層を形成するために、以下の工程を行う。
各ステップごとに、以下、詳細に説明する。なお、圧雪層形成装置10は、相対移動ユニット19により、圧雪層形成面11の長手方向に沿って移動させながら、圧送工程、含水工程、積雪工程、および圧雪工程を行うようにしており、移動速度はこの観点から決定すればよい。
積雪の硬度Rは、ばねの先に取り付けられた面積Sの円柱を雪面に垂直に押し付け、雪面を破壊し貫入させるときの積雪の反抗力Fを測定することにより、R=F/Sで定義され、その際、従来既知のプッシュプルゲージを用いればよい。
新雪は、密度が100前後(kg/m3)であり、こな雪は、粒径が、0.05ないし0.3ミリ、密度が270ないし410(kg/m3)であり、つぶ雪は、粒径が、0.3ミリ以上、密度が280ないし500(kg/m3)であり、圧雪は、粒径が、0.05ないし0.3ミリ、密度が450ないし750(kg/m3)であり、氷膜は、厚さが1ミリ以下であり、氷板は、厚さが1ミリ以上、密度が750以上(kg/m3)であり、水べた雪は、含水率が約30%以上、粒径が、1ミリ以上、密度が800ないし960(kg/m3)である。なお、ここに、粒径は、粒径分布で表した際に、重量割合での最頻度粒径を意味する。
本発明による圧雪層の形成方法によれば、各工程(造雪工程、砕氷工程、温度湿度管理工程、搬送工程、含水工程、積雪工程、および圧雪工程)における各種パラメータを適切に設定することにより、上述のあらゆる雪の種類の圧雪層を形成することが可能であり、硬度とかさ密度とは、ほぼ比例関係にあるところ、後に詳述するように、特に、新雪の上を車両が往来することにより圧雪が形成される場合のように、かさ密度が小さく、硬度が高い雪も人工雪として模擬することが可能である。
次いで、設定した含水率に基づいて、押圧力を調整する。より具体的には、荷重板85による押圧力値を小さく設定する一方、押圧力負荷のタイミングを遅く設定する。これにより、フワッとした態様で積雪させた積雪層をそのままの状態に保持することができる。したがって、押圧力を小さくしながら、密閉スペース20の周囲温度をおよび周囲湿度をそれぞれ低く設定することにより、押圧力負荷のタイミングを遅くし、再凍結した後に押圧力負荷すれば、かさ密度が小さく、高硬度の雪質となり、一方押圧力負荷のタイミングを早くし、再凍結する前に押圧力負荷すれば、かさ密度が大きく、それに応じて高硬質の雪質となり、より含水率を大きくすれば、更にかさ密度の大きい雪質を実現することが可能である。一方含水率を小さくし、押圧力負荷を小さくし、押圧力のタイミングを遅くして、更に密閉スペース20の周囲温度および周囲湿度をより高く設定することによって、かさ密度が小さく低硬度の雪質も実現することが可能である。
この場合、正確には、一対の破砕ドラム106による氷粒の破砕により、所定の粒度分布が生じるところ、一対の破砕ドラム106同士の隙間を調整することにより、生じる粒度分布のピークにおける粒径を増減させることが可能である。
以上のように、所望の雪質、特にかさ密度と硬度とを独立に調整可能とすることにより、単に自然雪が降雪した直後の状態だけでなく、たとえば、自然雪の積雪層上に繰り返し車両が通過して、圧雪される場合、自然雪の積雪層上に車両がアイドリング状態で長時間通過して、積雪面が融雪する場合等圧雪状態をきめ細かく模擬した試験を行うことが可能である。
ステップ1において、雪生成ユニットにより、圧雪層の形成に利用する雪を準備する。より詳細には、たとえば、製氷し、製氷した氷を破砕して所定粒径(0.2ミリないし0.3ミリ)の微小氷とする。
この場合、軸受ケース150を中心点P3を中心に所望角度に亘って回転させることにより、一対の破砕ドラム106間の最狭部110の間隔を調整することにより、粒径を調整する。
ステップ2において、圧雪層形成面11を取り囲む密閉スペース20を所定温度かつ所定湿度に管理する。所定温度は、−10℃ないし0℃であり、所定湿度は、60%以上であり、より好ましくは、−3℃ないし0℃、80%以上である。
この場合、搬送管170の先端部のサイクロン部66により、搬送空気と、雪粒とを一部分離し、それにより、搬送空気により圧雪層形成面11に積雪中の雪を乱すことがないようにしている。
具体的には、サイクロン方式により、空気搬送される雪粒に対して遠心力により旋回流を生じさせることで、搬送空気と、雪粒とを一部分離し、雪粒が搬送空気に乗って圧雪層形成面11まで達する一方、圧雪層形成面11に積もる雪粒を乱さないようにすることで、搬送空気により圧雪層形成面11上の積雪が巻き上がることなく、圧雪層形成面11に効率的に積雪させることが可能である。
具体的には、搬送管170内において搬送空気により噴出開口33に向かって雪粒を下向きに圧送する場合、傾斜面74を噴出開口33に対して対向するように配置する際、傾斜面74を雪粒の噴出方向に対して所定角度α傾斜する向きとしたうえで、傾斜面74において、噴出開口33の雪粒の噴出方向への傾斜面74への投影領域が、傾斜面74内に包含されるような大きさとすることにより、搬送管170内を搬送空気により圧送される雪粒が噴出開口33より噴出する際、雪粒の噴雪流が確実に傾斜面74に衝突することにより、傾斜面74の雪粒の噴出方向に対する傾斜角度αに応じて、雪粒は噴出開口33より下方レベルの目標積雪面に到達するまでに拡散することから、雪を目標積雪面上に効率的かつ一様に積雪させることが可能である。
この場合、含水段階および積層段階は、所定温度および所定湿度に管理された圧送空気を用いて、搬送管170により微小氷を空気圧送しつつ、密閉スペース20内で、搬送管170の噴出口33において、噴出口33から流出する氷粒に対して水を噴霧させる。
この場合、中実本体部94は、案内部92から圧雪部90まで徐々に硬度が増大するようにしてあるとともに、案内部92について圧雪層形成面11との間隔が圧雪部90に向かって徐々に狭まるように湾曲してあるので、積層した雪は、相対移動ユニット19により案内部92と圧雪層形成面11との間に達する際、圧雪層形成面11との間で滑りを生じたり、案内部92が抵抗となることなく、圧雪部90に向かって円滑に案内される。
圧雪層が目標厚さに達するまで、圧雪層形成装置10を相対移動ユニット19により、再度初期位置まで戻すことにより、積層段階および圧雪段階を繰り返し、それにより、圧雪層を形成する。積層段階および圧雪段階を繰り返す際、積層段階により次の圧雪層を形成する前に、直前の圧雪段階により形成された圧雪層の表面に対して、次の圧雪層が絡みやすいように、回転ブラシ101により、凹凸を形成しておくとともに、水スプレー48により、圧雪層の表面に水を散布して、次の圧雪層が付着しやすいようにする。
なお、回転ブラシ101による凹凸の形成および/または水スプレー48による水の散布は、圧雪層形成装置10を初期位置に戻す間に行ってもよい。
以上で、圧雪層の形成が完了する。
この場合、インナードラムの内部温度を調整することにより、圧雪層が形成される内周面の温度を調整する。
なお、ロードセル(図示せず)で検出した計測データは演算処理装置(図示せず)へ出力され、ここで計測データが記憶回路に取り込まれて演算処理されることにより、種々の条件下でのスリップ率、摩擦係数μ などを算出するとよく、また演算処理装置 には、演算処理した結果を表示する計測結果表示手段(図示せず)を付設してもよい。
特に、圧雪層の雪の所望かさ密度が300kg/m3以下、かつその所望硬度が80kg/cm2以上である場合に、所望かさ密度に基づいて、所定含水率を設定し、所望硬度に基づいて、密閉スペース20内の所定温度および所定湿度を設定することにより、圧雪層の形成予定面に積層した氷粒の再凍結速度を調整しつつ、積雪内の空気が押し出されないように、圧雪層の形成予定面に積層した氷粒が再凍結してから、所定の押圧力で圧雪する。
たとえば、本実施形態において、圧雪層の形成装置をタイヤの雪上試験に適用する場合として説明したが、それに限定されることなく、圧雪層の雪質、すなわち硬度、かさ密度、場合により表面状態が重視される限り、滑り摩擦試験関係としては、冬用の靴の滑り防止試験、スキー、スノーボートの滑走性試験、あるいは寒冷地における「そり」を利用した移動体の試験、圧雪工程がなく含水した雪を敷き詰める技術として利用する場合には、含水状態の積雪用途として、鉄道車両が走行した際に、線路上の含水した雪が巻き上げられる現象があり、巻き上げられた雪が車両に付着し、この付着した雪が はがれて後部に衝突したり、線路に敷き詰めた石に衝突すると石がはじかれて 石が後部を損傷したり、石が対抗車に衝突する雪害が生じる(バラスト現象という)ところ、この試験用に利用できる可能性がある。
たとえば、本実施形態において、単一の圧雪荷重板85をインサイドドラム12の内部に設けるものとして説明したが、それに限定されることなく、インサイドドラム12の内周面に沿って、互いに所定角度間隔を隔てて複数の圧雪荷重板85を設け、それぞれの圧雪荷重板85により積雪を圧雪してもよい。
たとえば、本実施形態において、目標厚みの圧雪層Lを形成した後に、圧雪層Lの表面に対してタイヤを押し当てながら、タイヤおよび/またはインサイドドラム12を回転することにより、圧雪層Lの形成と、オフラインでタイヤの雪上試験に利用するものとして説明したが、それに限定されることなく、圧雪層Lの形成と、オンラインでタイヤの雪上試験に利用してもよい。
P2 他方の破砕ドラムのドラム軸の回転中心位置
P3 軸受けケースの回転中心位置
T 試験タイヤ
L 圧雪層
S 雪粒
10 圧雪層形成装置
11 圧雪層形成面
12 インサイドドラム
13 ローラー
14 内周面
16 雪生成ユニット
17 搬送管
18 含水ユニット
19 相対移動ユニット
20 密閉スペース
21 ケーシング
22 温度湿度制御ユニット
23 カーテン
24 雪圧送ユニット
25 破砕機
26 圧雪ユニット
27 上面
28 ドラム保持部
30 ドラム回転駆動部
32 ドラム本体
34 試験タイヤ保持部
36 タイヤ回転駆動部
38 背面壁
40 雪ホッパー
42 フィーダ
43 噴出ノズル
44 ホース
45 インバータ
46 ブロワ
50 含水率制御ユニット
52 層厚さ検出手段
54 硬度検出手段
56 水供給量調整手段
58 水タンク
59 ポンプ
63 流量計
66 サイクロン部
67 調整弁
68 固気分離空間
69 空気抜出管
71 抽出口
73 給気口
74 傾斜面
75 傾斜円板
76 湾曲面部
80 平面部
80 棒状部材
82 拡散領域
85 圧密用荷重板
87 付勢手段
88 レベル調整手段
90 圧雪部
91 バネ
93 雪面検出部
92 湾曲案内部
94 中実本体部
96 機械的絡み合い部
98 下地処理手段
102 開口部
104 ケーシング
106 一対の破砕ドラム
108 外周面
110 最狭部
112 送りドラム
114 スパイラル式振り分けローラー
116 内表面
118 端面
120 バイパス防止板材
150 軸受けケース
152 ボルト
154 円弧状開口
Claims (8)
- 製氷した氷片を破砕して所定粒径の氷粒とすることにより、圧雪層の形成に利用する人工雪を準備する段階と、
圧雪層の形成予定面を取り囲む密閉スペースを所定温度かつ所定湿度に管理する段階と、
圧送空気を用いて、圧送管により氷粒を空気圧送しつつ、前記密閉スペース内で、圧送管の流出口において、流出口から流出する氷粒に対して水を噴霧させることにより、所定の含水率で氷粒に含水させる段階と、
密閉スペース内で、温度および湿度管理された圧雪層の形成予定面に、含水した氷粒を供給することにより人工雪を模擬して、氷粒を所定厚みにて積層させる段階と、
積層した雪の上面から圧雪層の形成予定面に向かって所定の押圧力で面圧しつつ、含水する水分を氷結させることにより、積層した雪を圧雪する段階とを有する圧雪層の形成方法であって、
圧雪層の上面に要求される表面粗さに応じて、所定粒径を設定し、圧雪層に要求されるかさ密度に応じて、設定した所定粒径に基づいて、氷粒の単位時間当たり、単位面積当たりの供給量を設定し、圧雪層に要求される硬度に応じて、設定した氷粒の単位時間当たり、単位面積当たりの供給量に基づいて、所定の含水率を設定し、設定した所定の含水率に基づいて、所定の押圧力を設定し、設定した所定の押圧力に基づいて、密閉スペース内の所定温度および所定湿度を設定し、それにより、圧雪層の形成開始前に、圧雪層の所望雪質に応じたパラメータ設定段階を有する、ことを特徴とする、圧雪層の形成方法。 - 前記積層段階は、圧雪層が目標厚さに達するまで、圧雪層ごとに、氷粒の粒径の調整と氷粒の含水率の調整とを連動させながら、前記積層段階および前記圧雪段階を繰り返し、それにより、圧雪層を形成する、請求項1に記載の圧雪層の形成方法。
- 前記積層段階は、所定温度および所定湿度に管理された圧送空気を用いて、圧送管により含水済の氷粒を空気圧送する、請求項1または請求項2に記載の圧雪層の形成方法。
- 互いに平行に外周面を対向させて所定の間隔を隔てて配置され、上方から最狭部に向かう向きに回転可能である一対の破砕ドラムであって、該一対の破砕ドラムの間の前記最狭部より上のスペースに、投入される氷片を受けることが可能なように配置された一対の破砕ドラムを設け、前記最狭部の間隔を調整することにより、破砕される氷粒の粒径を調整する、請求項1に記載の圧雪層の形成方法。
- 圧雪層は、水平方向を中心に回転可能なインナードラムの内周面に形成され、
インナードラムの内部に構成される密閉空間が、前記密閉スペースを形成する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の圧雪層の形成方法。 - 目標厚みに向かって形成中の圧雪層の表面に対してタイヤを押し当てながら、タイヤおよび/またはインナードラムを回転することにより、圧雪層の形成とオンラインでタイヤの雪上試験に利用する、請求項5に記載の圧雪層の形成方法。
- 目標厚みの圧雪層を形成した後に、圧雪層の表面に対してタイヤを押し当てながら、タイヤおよび/またはインナードラムを回転することにより、圧雪層の形成とオフラインでタイヤの雪上試験に利用する、請求項5に記載の圧雪層の形成方法。
- 製氷した氷片を破砕して所定粒径の氷粒とすることにより、圧雪層の形成に利用する人工雪を準備する段階と、
圧雪層の形成予定面を取り囲む密閉スペースを所定温度かつ所定湿度に管理する段階と、
圧送空気を用いて、圧送管により氷粒を空気圧送しつつ、前記密閉スペース内で、圧送管の流出口において、流出口から流出する氷粒に対して水を噴霧させることにより、所定の含水率で氷粒に含水させる段階と、
密閉スペース内で、温度および湿度管理された圧雪層の形成予定面に、含水した氷粒を供給することにより人工雪を模擬して、氷粒を所定厚みにて積層させる段階と、
積層した雪の上面から圧雪層の形成予定面に向かって所定の押圧力で面圧しつつ、含水する水分を氷結させることにより、積層した雪を圧雪する段階とを有する圧雪層の形成方法であって、
圧雪層の雪の所望かさ密度が300kg/m3以下、かつその所望硬度が80kg/cm2以上である場合に、所望かさ密度に基づいて、所定含水率を設定し、所望硬度に基づいて、密閉スペース内の所定温度および所定湿度を設定することにより、圧雪層の形成予定面に積層した氷粒の再凍結速度を調整しつつ、積雪内の空気が押し出されないように、圧雪層の形成予定面に積層した氷粒が再凍結してから、所定の押圧力で圧雪する、ことを特徴とする、圧雪層の形成方法。
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