JP5848697B2 - X線画像診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、X線画像診断装置、医用画像処理プログラム及び方法に係り、特に散乱X線を除去するためのグリッドを使用したX線撮影により得られた画像の画質向上に関する。
従来、X線平面検出器上にグリッドを配置して、被写体内部で発生した散乱X線が画像化されるのを防いでいる。しかし、X線平面検出器より生成される画像は、2次元的に画像信号をサンプリングするため、ピクセルピッチとグリッド密度が干渉し、エリアシング(モアレ)が生じる。このモアレを低減するための技術として、例えば特許文献1には、X線平面検出器の画素サイズとグリッドのグリッド密度からモアレ成分の周波数帯域を算出し、モアレが高周波帯域に出現するグリッドを選択し、フィルタリング処理或いは、フーリエ変換し、フーリエ変換により得られた周波数データを低減または除去し、逆フーリエ変換する画像処理方法が開示されている。
特開平3-12785号公報
被検体を撮像したX線画像を間引きして縮小画像を表示する場合、間引き処理に伴い低周波帯域にグリッド成分が出現することがあり、特許文献1の画像処理方法ではグリッド成分の出現に起因するモアレ除去ができないという問題があった。
また、モアレ除去に使用する画素に欠陥画素が含まれる場合、欠陥画素補正により縮小画像の周波数帯域が変化し、モアレ除去できない場合や周波数が異なるためアーチファクトが生じうるという問題があった。
更に、同一グリッドを使用してX線撮像を行った場合であっても、実際に撮影する距離(SID)やグリッドの集束距離によって、モアレが出現する周波数帯域が異なるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、間引き処理を行った縮小画像に対しても有効にグリッド縞(モアレ)除去を行えるX線画像診断装置、医用画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るX線画像診断装置は、X線管と、前記X線管に対向配置され、被検体を透過した透過X線を検出して画像データを出力するX線平面検出器と、前記X線平面検出器上に配置され、前記透過X線の散乱光を除去するグリッドと、前記画像データの間引き数を決定する間引き数決定手段と、前記決定された間引き数で間引き処理をされた前記画像データに含まれるグリッド縞の周波数を算出する周波数算出手段と、前記算出されたグリッド縞の周波数に応じて、前記間引き処理をされた画像データの画像補正を行う補正手段と、前記画像補正後の画像データに基づく被検体画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、グリッド縞周波数に応じた欠陥画素補正やグリッド縞除去補正を行うことにより、間引き処理を行った縮小画像に対しても有効にグリッド縞(モアレ)除去を行えるX線画像診断装置、医用画像処理方法及びプログラムを提供することができる。
本実施形態に係るX線画像診断装置10の概略構成を示す模式図 グリッド縞発生原理を示す説明図 撮影距離によりグリッド縞周波数が異なる原理を示す説明図 本実施形態の概略のブロック図 本実施形態の概略の処理の流れを示すフローチャート 本実施形態の処理の流れを示すフローチャート 間引き数と間引き後の画像サイズとの関係を示す説明図 撮影距離と周波数応答との対応関係を示すグラフ 本実施形態に係る欠陥画素補正処理を示す説明図であり、(a)は高周波帯域における欠陥画素補正処理を示し、(b)は低周波帯域における欠陥画素補正処理を示す。 本実施形態に係るグリッド縞除去処理を示す説明図であり、(a)はミラーリング処理を示し、(b)は一次元FFT処理結果の一例を示し、(c)はバンドパスフィルタの処理結果の一例を示し、(d)は逆一次元FFT処理結果の一例を示す。 本実施形態による効果と従来手法による効果との比較説明図
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係るX線画像診断装置10の概略構成を示す模式図である。
X線画像診断装置10は、被検体1にX線を照射するX線管11と、X線管11より照射されるX線の被検体1への照射を制限するX線絞り12と、被検体1により生じる散乱X線を除去するグリッド13と、X線管11に対向配置され、被検体1の透過X線を検出するX線平面検出器14と、X線平面検出器14より出力される画像データに対して、欠陥画素補正、グリッド縞除去処理、及び階調処理等の画像処理を施す画像処理装置15と、画像処理装置15により生成されたプレビュー(撮影確認)画像データを表示するプレビュー表示装置16と、画像処理装置15により生成された透視時の動画像や、静止画像を表示する画像表示装置17と、X線管11を含むX線発生ユニット、X線平面検出器14、画像処理装置15、プレビュー表示装置16、及び画像表示装置17と電気的に接続され、各動作の制御を行う制御装置18と、を備える。
制御装置18は、X線撮影時におけるX線管11からX線平面検出器14までの距離(SID)を測定する測距部18aと、X線管11を含むX線発生ユニット、X線平面検出器14、及び画像処理装置15等の各装置の動作を制御したり、必要な情報の送受信を行ったりする制御部18bとを含む。
画像処理装置15は、図示を省略するものの、CPUやMPUといった制御・演算装置と、ROM、RAM、ハードディスクからなる記憶装置と、X線平面検出器14から画像データを受信するためのインターフェースと、プレビュー表示装置16及び画像表示装置17に表示用画像データを出力するためのインターフェースと、を備えたハードウェアにより構成される。
また、画像処理装置15には、本実施形態に係る欠陥画素補正やグリッド縞除去補正を行うための画像処理プログラムが格納される。この画像処理プログラムは、主に、X線平面検出器14から被検体1を撮像して得られた画像データを読み込む画像データ取得部15aと、画像データの間引き数を決定する間引き数決定部15bと、決定された間引き数に基づいて、グリッド縞の周波数を算出する周波数算出部15cと、算出されたグリッド縞の周波数帯域に応じて欠陥画素の画素値を補正する欠陥画素補正部15dと、欠陥画素補正部15dで補正された画像データから、周波数算出部15cで算出されたグリッド縞の周波数成分を除去するグリッド縞除去部15eと、画像データに対して間引き処理を行う間引き処理部15fと、表示画像用に階調処理を行う階調処理部15gと、を備える。
そして、画像処理装置15を構成するメモリ上にロードされてCPUやMPUからなる制御・演算装置により実行されることにより、ハードウェアと協働して画像処理プログラムの各機能が実現される。
本実施形態では、画像処理装置15は、欠陥画素補正部15dとグリッド縞除去部15eとを備え、グリッド縞除去部15eは、欠陥画素補正部15dで補正された画像データから周波数算出部15cで算出されたグリッド縞の周波数成分を除去するが、画像処理装置15が欠陥画素補正部15dだけを備えて、算出されたグリッド縞の周波数帯域に応じて欠陥画素の画素値を補正してもよい。また、画像処理装置15がグリッド縞除去部15eだけを備えて、画像データ取得部15aが取得した画像データや、従来の欠陥画素補正処理をされた画像データに対して、周波数算出部15cで算出された周波数帯域のグリッド縞成分を除去してもよい。
次に、図2に基づいてグリッド13に起因するグリッド縞の発生原理について説明する。図2は、グリッド縞発生原理を示す説明図である。
本実施形態に係るX線平面検出器14は、検出素子を2次元平面上にマトリックス状に配置して構成されるFlat Panel Detector(以下「FPD」と記す)である。検出素子の幅は143μmである。このX線平面検出器14上に、グリッド13を配置する。グリッド13は、吸収箔である鉛13bを格子密度40本/cm(=250μmピッチ)に配して構成される。図2において、曲線13iは、グリッド通過後のX線強度分布曲線を示し、曲線14bは、FPDサンプリング後の輝度分布曲線である(以下の説明では画素値を輝度として扱う)。グリッド13を透過したX線は、250μm間隔に配置されているグリッド13の鉛13bにより、図2中のグリッド通過後のX線強度分布曲線13iに示すように、格子密度と同じく250μm間隔のX線強度分布を生じる。FPDのサンプリングピッチがX線強度分布と同じく250μmであれば、同位相の強度分布を常にサンプリングできるためグリッド縞は発生しないが、実際にはFPDサンプリングピッチは143μmであるためX線強度分布(13i)とFPDサンプリングピッチ(14b)の位相がずれ、X線強度分布曲線14b上の丸印で示される位置でデータサンプリングされる。
その結果、FPDより出力される画像には、これらFPDサンプリング点を結ぶ実線がグリッド縞(モアレ縞ともいう)として認識される。
本実施形態では、このグリッド縞周波数に応じた欠陥画素補正処理とグリッド縞除去補正を行うが、そのためにはグリッド縞周波数を算出することが必要である。グリッド縞周波数は、同一構造のグリッドを用いても撮影距離(SID)が異なると、グリッド縞周波数も異なる。図3に基づいて、撮影距離によりグリッド縞周波数が異なる原理について説明する。図3は、撮影距離によりグリッド縞周波数が異なる原理を示す説明図である。図3(a)、図3(b)は、同一構造のグリッド13を、異なる撮影距離(SID)で撮影したときのグリッド通過後のX線強度分布13iを示し、図3(a)はグリッドの集束距離と同じ撮影距離(SID)において撮影したときのX線強度分布13iを示し、図3(b)は図3(a)よりも短い撮影距離(SID)において撮影したときのX線強度分布13iを示す。ここで、グリッド13の集束距離とは、集束グリッドにおいて吸収箔の面、すなわち鉛板13bの面の延長が一つの直線に集中するときの距離をいい、集束グリッドの幾何学性能を示す指標の一つとなる。
図3(a)に示すように、グリッド集束距離と同じ撮影距離(SID)において撮像した場合には、グリッド縞は高周波となり、図3(b)に示すように撮影距離(SID)が短くなるにつれてX線画像に現れるグリッド縞は低周波となる。なお、本実施形態において、高周波帯域とは、グリッド縞周波数がナイキスト周波数に近い場合を示し、低周波帯域とは、グリッド縞周波数がナイキスト周波数から離れている周波数を示す。ナイキスト周波数は、表1に示すように間引き数によって異なる。画像のプロファイル例は、高周波は図9(a)、低周波は図9(b)となり、詳細については後述する。
よって、グリッド縞の周波数が撮影距離によって変動するため、グリッド縞周波数に応じた画像補正を行うには、撮影距離(SID)を考慮しなければならない。
次に図4乃至図6に基づいて、本実施形態に係る画像処理について説明する。
図4は、本実施形態の概略のブロック図である。
また、図5は、本実施形態の概略の処理の流れを示すフローチャートである。
また、図6は、本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。図6では、被検体のX線撮像後に、プレビュー画像を表示する場合を例に説明するが、画像表示装置17に透視時の動画を表示する場合にも適用できる。すなわち、間引きを行う画像表示処理の全てに、本実施形態を適用することができる。以下、図4を用いて、図5の各ステップに沿って本実施形態の概略の処理の流れを説明した後、図6の各ステップに沿って本実施形態の詳細の処理の流れを説明する。
(ステップS1)
画像データ取得部15aは、被検体1にX線を照射し撮影した画像データをX線平面検出器14から所得し、間引き数決定部15bと間引き処理部15fによって、取得した画像データの間引き数を決定し間引き処理を行なう。
(ステップS2)
周波数算出部15cは、間引き処理をした画像データに対し、除去するグリッド縞の周波数を算出する。該算出は、グリッド密度、グリッド集束距離、X線管11からX線平面検出器14までの撮影距離(SID)等の値に応じて行なう。
(ステップS3)
欠陥画素判定手段は、ステップS2で間引き処理をした画像データに対し、欠陥画素が含まれているかを判定する。含まれている場合はステップS4に進み、含まれていない場合はステップS5に進む。
(ステップS4)
欠陥画素補正部15dは、周波数算出部15cによって算出したグリッド縞の周波数を用いて、画像データの欠陥画素補正を行う。
(ステップS5)
グリッド縞除去部15eは、周波数算出部15cによって算出されたグリッド縞の周波数を用いて、欠陥画素補正を行った画像データ、又は欠陥画素がないと判断された画像データからグリッド縞を除去する。
(ステップS6)
階調処理部15gは、グリッド縞を除去した画像データに対し階調処理を行い、階調処理を行なった画像データをプレビュー画像表示装置16又は画像表示装置17に表示する。
上記各ステップは図6に示す各ステップに以下のように対応する。図5のステップS1は、図6のステップS11乃至S13に、図5のステップS2は、図6のステップS21に、図5のステップS3は、図6のステップS31に、図5のステップS4は、図6のステップS41乃至S45に、図5のステップS5は、図6のステップS51乃至S55に、図5のステップS6は、図6のステップS61に、それぞれ対応する。
次に、図6の各ステップに沿って本実施形態の詳細の処理の流れを説明する。
(ステップS11)
測距部18aはX線管11からX線平面検出器14までの撮影距離(SID)を測定し、制御部18bが、撮影距離に応じた撮影条件を設定する。操作者が図示しない曝射ボタンを押し下げるとX線管11からX線が照射され、被検体1が撮像される(S11)。
(ステップS12)
X線平面検出器14から画像処理装置15へ画像データが転送されて、画像データ取得部15aが画像データを取得する。また、制御部18bから画像処理装置15へ、グリッド13の情報(グリッド密度やグリッド集束距離)、また測距部18aが測定した撮影距離(SID)、プレビュー表示装置16の画面サイズ又はプレビュー画像の画像サイズ等の撮影条件データが転送される(S12)。
(ステップS13)
間引き数決定部15bが、S12で取得したプレビュー画像の間引き数を算出するとともに、間引き処理部15fは画像データ取得部15aが取得した画像データを間引き処理する(S13)。間引き数は、X線平面検出器14から取得した画像データのサイズと、画面サイズ・プレビュー画像の画像サイズとを対応させたテーブルを予め用意しておき、間引き数決定部15bがそのテーブルを参照して決定する。
図7に基づいて、間引き数と間引き後の画像サイズとの関係を説明する。図7は、間引き数と間引き後の画像サイズとの関係を示す説明図である。例えば、図7に示すように、X線平面検出器14から出力されて取得した画像データのサイズが、フルサイズで3000×3000画素とし、プレビュー画像表示装置16aに表示されるプレビュー画像の画像サイズを750×750画素とすると、間引き数は「4」と算出される。また、プレビュー画像表示装置16bに表示されるプレビュー画像の画像サイズを300×300画素とすると、間引き数は「10」となる。これらのプレビュー画像の画像サイズは可変であり、プレビュー画像表示装置の表示サイズや、X線絞りを除いた照射野領域サイズに依存し変更される。
(ステップS21)
周波数算出部15cは、除去するグリッド縞の周波数を算出する(S21)。間引き処理部15fは、グリッド13のみを撮像して得られた画像データ(以下「グリッド縞画像データ」という)に、ステップS12で取得した間引き数と同じ数で間引き処理を行う。続いて、グリッド縞除去部15eは、その機能の一つである1次元FFT処理を行う。周波数算出部15cは、1次元FFT処理の結果を参照してグリッド縞周波数を算出する。
なお、ステップS13、S21において、間引き数及びグリッド周波数を算出すると記載したが、プレビュー表示装置16やグリッド13を各X線撮像において同じものを使用し続けることを前提とすると、プレビュー画像が表示される画像サイズやグリッド密度等は、X線画像診断装置10が据付けられた時に固定となる。よって、X線撮像の度に算出せず、予め校正データを生成して、画像処理装置15の記憶装置に記憶しておいても良い。次に表1と図8とに基づいて校正データについて説明する。表1は、間引き数とグリッド縞周波数(モアレ周波数ともいう)の対応関係を規定したテーブルであり、図8は、撮影距離と周波数応答との対応関係を示すグラフである。
Figure 0005848697
表1は、プレビュー画像(縮小画像)の画像サイズ、間引き数、ナイキスト周波数、グリッド縞周波数、及び空間周波数(縦軸が周波数応答、横軸が周波数成分を示し、横軸中央が0で左右対称に描出されている)である。表1は、グリッド共通、撮影距離を一定にし、間引き数を変更して得られたグリッド縞画像データを基に、グリッド縞除去部15eのフーリエ変換処理機能を用いて算出した校正データである。
また、この校正データを撮影距離ごとに作成すると、異なる撮影距離で撮影したときのグリッド縞周波数を取得できる。一例として、集束距離1800mmのグリッドを使用し、撮影距離を変化させた場合の周波数を図8に示す。図8は、撮影距離と周波数応答との対応関係を示し、縦軸が周波数応答、横軸が撮影距離を示し、横軸中央が0で左右対称に描出されたグラフである。図8に示すように、撮影距離が異なることによって、同一のグリッドを用いても画像に現れるグリッド縞の周波数は変化する。よって、X線画像診断装置10は、間引き数×撮影距離数分の校正データを予め用意しておき、周波数算出部15cがステップS12で得た撮影条件に合った校正データを参照してグリッド縞周波数を決定してもよい。なお、プレビュー画像や透視時における間引き数を固定してX線画像診断装置10を使用する場合には、周波数算出部15cは、間引き数固定として、毎回の撮影時において撮影距離を変数とし、撮影距離に応じてグリッド縞周波数を求めてもよい。また、胸部X線画像や胃の透視X線撮影の集団検診のように、毎回の撮影時において撮影距離を一定にしてX線画像を撮影する場合には、プレビュー画像や透視時の間引き数を変数として周波数算出部15cはグリッド縞周波数を求めてもよい。続いて、ステップS41〜S45において、周波数算出部15cで得られた周波数帯域に応じて、欠陥画素補正部15dがX線平面検出器14の欠陥画素を補正する。
(ステップS31)
欠陥画素判定手段は、ステップS21で間引き処理をした画像データに対し、欠陥画素が含まれているかを判定する。含まれている場合はステップS41に進み、含まれていない場合はステップS51に進む。
(ステップS41)
まず、欠陥画素補正部15dは、画像データ取得部15aが取得し、間引き処理後の画像データの輝度を、グリッド縞直交方向(図9参照)に沿って画素列毎に読出しを行う。
そして、輝度が、欠陥画素の位置を境界として所定値以上に変動しているか、すなわち、欠陥画素が輝度のベース値の境界にあるか否かを判断する(S41)。上記所定値以上とは、グリッド縞による輝度の変化量を超える値であり、この場合、画像データ取得部15aが取得した補正対象となる画像データに、欠陥画素を境界として異なる部位や物が撮影された領域(例えば空気が撮影された領域と被検体が撮影された領域、また被検体の輝度が大きく異なる部位)があると推定される。そこで、欠陥画素補正部15dは、上記判断において肯定であればステップS42へ進み、否定であればステップS43へ進む。
なお、欠陥画素の位置は、X線平面検出器14の出荷時に判明しており、その位置情報は、X線画像診断装置10の図示しないROMなどの記憶装置に記録されている。そこで、欠陥画素補正部15dは、この位置情報を参照することで欠陥画素の位置情報を取得する。
(ステップS42)
欠陥画素補正部15dは、欠陥画素が境界にある場合における欠陥画素補正を行う。より具体的には、ステップS41で読み出した画素列において、欠陥画素の一方向側(例えばグリッド縞直交方向を左右方向と定義した場合に、欠陥画素の右側または左側のどちらか一方の側)に位置する画素を用いて欠陥画素補正を行う(S42)。例えば、欠陥画素の右側において隣接する画素の輝度を、欠陥画素の輝度として補間する。これにより、欠陥画素補正による画像データの輪郭のボケを防ぐことができる。
(ステップS43)
欠陥画素補正部15dは、欠陥画素が境界にない場合における欠陥画素補正を行う。まず欠陥画素補正部15dは、ステップS21で周波数算出部15cが算出したグリッド縞周波数が高周波帯域にあるか低周波帯域にあるかを判断し、高周波帯域であればステップS44へ、低周波帯域であればステップS45へ進む(S43)。
(ステップS44)
欠陥画素補正部15dは、高周波帯域における欠陥画素補正を行う。以下、図9に基づいて本実施形態に係る欠陥画素補正処理を説明する。図9は、本実施形態に係る欠陥画素補正処理を示す説明図であり、図9(a)は高周波帯域における欠陥画素補正処理を示し、図9(b)は低周波帯域における欠陥画素補正処理を示す。グリッド縞周波数が高周波帯域にある場合、ステップS41で読み出した画素列の輝度は、サンプリング点ごとに輝度の高ピーク(山)と低ピーク(谷)とを繰り返す。そこで、欠陥画素補正部15dは、ステップS41で読み出した画素列の輝度分布パターン74を生成し、欠陥画素の位置に、高ピーク(山)と低ピーク(谷)とのどちらがくるかを推定する。そして、欠陥画素の位置に高ピーク(山)が来ると推定されると、欠陥画素を挟んで左右両方向において最も近い高ピーク(山)を用いて欠陥画素の画素値を求める。また、欠陥画素の位置に低ピーク(谷)が来ると推定されると、欠陥画素を挟んで左右両方向において最も近い低ピーク(谷)を用いて欠陥画素の画素値を求める。例えば、図9(a)の例では、欠陥画素1には、低ピーク(谷)がくると推定されるので、欠陥画素1の画素値として、図9(a)の斜線画素、すなわち、欠陥画素1に左側で最も近い低ピーク(谷)の画素70の輝度と右側で最も近い低ピーク(谷)の画素71の輝度の平均値を補間する。同様に、欠陥画素補正部15dは、欠陥画素2については、高ピーク(山)がくると推定されるので、欠陥画素2に左側で最も近い高ピーク(山)の画素72と、右側で最も近い高ピーク(山)の画素73の輝度との平均値を補間する。なお、欠陥画素を挟んでどちらか片方にしかピークがない場合には、その片方のピークの輝度を用いて補間してもよい。
本実施形態に係る欠陥画素補正の結果を従来補正結果と比較する。図9(a)の輝度分布パターン75は、従来補正の結果得られるパターンであり、輝度分布パターン76は、本実施形態に係る補正の結果得られるパターンである。従来補正では、欠陥画素の隣接の画素値を用いて補正をするため、欠陥画素1に対して高ピーク(山)と高ピーク(山)とを用いて補正する。そのため、欠陥画素1の部分で周波数が壊れていた。これに対し、本実施形態に係る補正では、欠陥画素に、高ピーク(山)と低ピーク(谷)のどちらが来るかを推定し、推定の結果、低ピーク(谷)がくると推定されるときは、隣接する画素値ではなく、最も近い両側の低ピーク(谷)を用いて補正するため、欠陥画素1の部分で周波数が壊れることを防ぐことができる。また、欠陥画素2についても、高ピーク(山)がくると推定して、隣接する画素でなく、最も近い高ピーク(山)の輝度を用いて補正をするため、グリッド縞周波数が壊れることを防ぐ。
(ステップS45)
欠陥画素補正部15dは、低周波帯域における欠陥画素補正を行う。図9(b)に基づいて、低周波帯域における欠陥画素補正について説明する。グリッド縞が低周波の場合、ステップS41で読み出した画素列の輝度は、サンプリング点によって、高ピーク(山)と低ピーク(谷)と、ピーク値の中間値とを示す。そこで、欠陥画素補正部15dは、ステップS41で読み出した画素列の輝度分布パターンを生成し、欠陥画素の位置に、高ピーク(山)、低ピーク(谷)、ピーク値の中間値のどれがくるかを推定する。そして、欠陥画素の位置に高ピーク(山)又は高ピーク(山)が来ると推定されると、欠陥画素を挟んで左右両方向において最も近い高ピーク(山)又は低ピーク(谷)を用いて欠陥画素の画素値を求める。また、欠陥画素の位置にピーク値の中間値が来ると推定されると、欠陥画素に隣接する画素値を用いて欠陥画素の画素値を補間する。
例えば、図9(b)の例では、欠陥画素補正部15dは、補正前の輝度分布パターン83を生成し、パターンマッチング等の手法を用いて、欠陥画素1にはピーク値の中間値が来ると推定する。そこで、欠陥画素補正部15dは、欠陥画素1の両側で隣接する画素80の輝度と画素81の輝度との平均値を算出し、その値で欠陥画素1を補間する。
また、欠陥画素補正部15dは、欠陥画素2には、高ピーク(山)がくると推定する。
そこで、欠陥画素2に左側において最も近い高ピーク(山)の画素81の輝度と、右側において最も近い高ピーク(山)の画素82の輝度との平均値を補間する。
本実施形態に係る欠陥画素補正の結果を従来補正結果と比較する。図9(b)に示すように、従来補正を行った場合(図9(b)の輝度分布ターン84)、欠陥画素がピーク以外の場合は、従来補正でも周波数は壊れないが、欠陥画素が高ピーク(山)、例えば欠陥画素2にある場合は、周波数が壊れる。これに対し、本実施形態に係る欠陥画素補正によれば、ピーク以外の場合は隣接画素の輝度を用いて補正し、ピーク値の場合は同一のピークに基づいて欠陥画素を補正することができる。更に1周期分の周波数をマッチングさせたり、ベース濃度のオフセットを補正したりしてもよい。
従来補正のように、グリッド縞の周波数が変化すると、次工程のグリッド縞除去処理によりアーチファクトが発生するが、本実施形態によれば、グリッド縞の周波数を変化させることなく欠陥画素補正が行えるので、これに続くグリッド縞除去処理の結果、アーチファクトを発生させないという効果がある。
(ステップS51)
グリッド縞除去部15eは、ステップS42、S44、S45で欠陥画素補正がされた画像データ、又は、欠陥画素がないと判断された画像データに対し、間引き数決定部15bにより得られた間引き数に応じてミラーリング処理を行う(S51)。このミラーリング処理は、ステップS52以降のフーリエ変換処理のための前処理となる。以下、図10に基づいて、グリッド縞除去処理について説明する。図10は、グリッド縞除去処理を示す説明図であって、(a)はミラーリング処理を示し、(b)は一次元FFT処理結果の一例を示し、(c)はバンドパスフィルタの処理結果の一例を示し、(d)は逆一次元FFT処理結果の一例を示す。
ミラーリング処理は、図10(a)に示すように、グリッド縞直交方向に沿って画像領域90の左右端部の画像領域を、画像領域90のエッジ(例えば90L)を中心に反転させて追加する処理である。例えば、図10では、画像領域90の左端部から所定の画素数(これは表2を参照して決められる。詳細は後述する)範囲の信号成分(画像領域91)を、画像領域90の左端90Lを中心として左方向に反転させて追加する。追加した領域は、図10におけるミラーリング領域91’である。同様に、画像領域90の右端部から所定の画素数範囲の信号成分(画像領域92)を、画像領域90の左端90Rを中心として左方向に反転させて追加する。追加した領域は、図10におけるミラーリング領域92’である。
Figure 0005848697
表2は、間引き数に応じたミラーリングする画素数を定めたテーブルである。このテーブルも表1と同様、予め生成しておき、X線画像診断装置10を据え付け時に画像処理装置15に記憶しておき、随時グリッド縞除去部15eが参照するように構成してもよい。
表2は、「間引き数」と、間引き後の「グリッド縞直交方向画像サイズ」と、当該間引き数において1次フーリエ変換処理(以下、フーリエ変換を「FFT」と記す)を行うのに必要な最小画素数「FFT」と、ミラーリングする画素数を定めた「ミラーリング画素」と、ミラーリング後の画像サイズを定めた「ミラーリング後画素」とを定めたものである。
「ミラーリング後画素」は、フーリエ変換最小画素と間引き後のグリッド縞直交方向画素サイズとの差分より、両端画素にどれくらいの画素が存在するかを判断基準としている。これは後述するフーリエ変換処理(ステップS52)を行ない、バンドパスフィルタ処理(特定の周波数応答を除去する)を行なった後(ステップS53)、逆フーリエ変換処理する(ステップS54)と、画像両端にエリアシング(アーチファクト)が発生するが、このアーチファクト部分を切り取って最終出力画像にエリアシングが表示されることを防止する目的である。例えば、X線平面検出器14からフルサイズで3000×3000画素の画像データが得られる場合、間引き数「4」とすると間引き後の画像は750×750となる。一方、間引き数「4」の場合、表2を参照すると、画像領域90のグリッド縞直交方向の画素数は750画素、FFTをするのに必要な最小の画素数は1024画素なので、図10(a)では、画像領域91、92は、画像領域90の左右端部90L、90Rから137画素内側の領域からなるミラーリング領域とする。その結果、ミラーリング後の画素は、1024画素(750+137×2)となる。
(ステップS52)
ミラーリング後の画像データに対し、グリッド縞除去部15eは、1次元FFT処理を行う(S52)。図10(b)は、1次元FFT処理結果を示すグラフ93を示す。グラフ93は、縦軸が周波数応答、横軸が周波数を示し、横軸中央を0として左右対称に表示したグラフである。
(ステップS53)
グリッド縞除去部15eは、1次元FFT処理後の画像データの周波数成分から、グリッド縞の周波数成分を取り除くためのバンドパスフィルタ処理を行う(S53。)図10(c)は、バンドパスフィルタ処理の結果を示すグラフ94を示す。グラフ94は、縦軸が周波数応答、横軸が周波数を示し、横軸中央を0として左右対称に表示したグラフである。
(ステップS54,S55)
バンドパスフィルタ処理後の画像データに対し、グリッド縞除去部15eは、1次元逆FFT処理を行う(S54)。図10(d)は、1次元逆FFT処理後に得られる画像を示す。画像95の左右端部にはエリアシングが発生しているので、グリッド縞除去部15eが画像95の中央部だけを切り出すことにより、アーチファクトがなく、かつ、グリッド縞が除去された最終画像を得ることができる(S55)。
(ステップS61)
その後、階調処理部15gにより、ステップS55において切り出された最終画像に対して階調処理が行われ、プレビュー画像表示装置16に表示される(S61)。
本実施形態による欠陥画素補正とグリッド縞除去補正の効果について図11に基づいて説明する。図11は、本実施形態による効果と従来手法による効果との比較説明図である。
図11(a)グリッド縞と直交する方向に欠陥画素列96があり、この欠陥画素列96を従来手法による欠陥画素補正、すなわち欠陥画素に隣接する画素値を用いて補正をすると、図11(b)のようにグリッド縞の周波数が変化する。この画像に対してグリッド縞除去を行うと、図11(c)のようにグリッド縞の周波数が変化した位置にアーチファクトが発生する。
これに対し、本実施形態では、図11(a)の画像に対し、図11(d)のようにグリッド縞周波数を変化させないように欠陥画素補正を行う。この画像からグリッド縞成分を除去すると、図11(e)のようにアーチファクトが発生しない画像が得られる。
本実施形態によれば、間引き数に応じてグリッド縞周波数を求め、その周波数帯域に応じた補正を行うことができる。すなわち、欠陥画素を補正する際には、グリッド縞周波数の壊すことなく欠陥画素の補正が行える。そして、その欠陥画素補正後の画像データに対して、グリッド縞除去処理を行う。この際、グリッド縞周波数が低周波帯域にあった場合にも、間引き数に応じてミラーリング処理によりデータ数を増加させてからフーリエ変換を行うため、周波数分解能が向上し、精度良くグリッド縞のみを除去することが可能となる。
1 被検体、10 X線画像診断装置、11 X線管、12 X線絞り、13 グリッド、14 X線平面検出器、15 画像処理装置、16 プレビュー画像表示装置、17 画像表示装置、18 制御装置

Claims (6)

  1. X線管と、前記X線管に対向配置され、被検体を透過した透過X線を検出して画像データを出力するX線平面検出器と、前記X線平面検出器上に配置され、前記透過X線の散乱光を除去するグリッドと、前記画像データの間引き数を決定する間引き数決定手段と、前記決定された間引き数で間引き処理された前記画像データに含まれるグリッド縞の周波数を算出する周波数算出手段と、前記算出されたグリッド縞の周波数に応じて、前記間引き処理をされた画像データの画像補正を行う補正手段と、前記画像補正後の画像データに基づく被検体画像を表示する表示手段と、を備え、
    前記補正手段は、前記X線平面検出器に含まれる欠陥画素の画素値を、前記算出されたグリッド縞の周波数に応じて補正する欠陥画素補正手段であって、
    前記欠陥画素補正手段は、前記算出されたグリッド縞の周波数が高周波帯域にある場合、前記欠陥画素の位置と、前記グリッド縞の直交方向に沿った画素列の画素値分布と、に基づいて、前記欠陥画素の画素値が、前記画素値分布の高ピーク又は低ピークのいずれに該当するかを推定し、高ピークに該当すると推定すると、前記欠陥画素の近傍に位置する高ピークの画素値に基づいて前記欠陥画素の画素値を補間し、低ピークに該当すると推定すると、前記欠陥画素の近傍に位置する低ピークの画素値に基づいて前記欠陥画素の画素値を補間し、前記算出されたグリッド縞の周波数が低周波帯域にある場合、前記欠陥画素の位置と、前記グリッド縞の直交方向に沿った画素列の画素値分布と、に基づいて、前記欠陥画素の画素値が、前記画素値分布の高ピーク、低ピーク、又は中間値のいずれに該当するかを推定し、高ピークに該当すると推定すると、前記欠陥画素の近傍に位置する高ピークの画素値に基づいて前記欠陥画素の画素値を補間し、低ピークに該当すると推定すると、前記欠陥画素の近傍に位置する低ピークの画素値に基づいて前記欠陥画素の画素値を補間し、中間値に該当すると推定すると、前記欠陥画素に隣接する画素値に基づいて前記欠陥画素の画素値を補間する、ことを特徴とするX線画像診断装置。
  2. 前記周波数算出手段は、前記決定された間引き数、又は前記被検体の撮影時における前記X線管と前記X線平面検出器との間の撮影距離、の少なくとも一つに基づいて前記グリッド縞の周波数を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載のX線画像診断装置。
  3. 前記欠陥画素補正手段は、前記画素列の画素値分布が、前記欠陥画素を境界として、前記算出されたグリッド縞の周波数成分による変動幅を超えて変化する場合には、前記高周波帯域にある場合及び前記低周波帯域にある場合における画素値の補間に代えて、前記画素列上において前記欠陥画素の左右どちらかの側の近傍にある画素値を用いて前記欠陥画素の画素値を補間する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線画像診断装置。
  4. 前記欠陥画素補正手段により補正された画像データから、前記周波数算出手段で算出されたグリッド縞の周波数成分を除去するグリッド縞除去手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線画像診断装置。
  5. 前記グリッド縞除去手段は、前記欠陥画素の補正後の画像データにおけるグリッド縞の直交方向に沿った両端部にあって、前記決定された間引き数に応じた大きさの画素領域をミラーリングすることにより、前記欠陥画素の補正後の画像データを増幅させ、当該画像データをグリッド縞の直交方向にフーリエ変換を行って第一次周波数成分を生成し、その第一次周波数成分から前記周波数算出手段より算出された前記グリッド縞の周波数成分を除去して第二次周波数成分を生成し、その第二次周波数成分に対して逆フーリエ変換を行って画像を生成し、その画像から出力画像を切り出す処理を行う、ことを特徴とする請求項4記載のX線画像診断装置。
  6. X線管と、前記X線管に対向配置され、被検体を透過した透過X線を検出して画像データを出力するX線平面検出器と、前記X線平面検出器上に配置され、前記透過X線の散乱光を除去するグリッドと、前記画像データの間引き数を決定する間引き数決定手段と、前記決定された間引き数で間引き処理された前記画像データに含まれるグリッド縞の周波数を算出する周波数算出手段と、前記算出されたグリッド縞の周波数に応じて、前記間引き処理をされた画像データの画像補正を行う補正手段と、前記画像補正後の画像データに基づく被検体画像を表示する表示手段と、を備え、
    前記補正手段は、前記X線平面検出器に含まれる欠陥画素の画素値を、前記算出されたグリッド縞の周波数に応じて補正する欠陥画素補正手段、前記欠陥画素補正手段により補正された画像データから、前記周波数算出手段で算出されたグリッド縞の周波数成分を除去するグリッド縞除去手段とを備え
    前記グリッド縞除去手段は、前記欠陥画素の補正後の画像データにおけるグリッド縞の直交方向に沿った両端部にあって、前記決定された間引き数に応じた大きさの画素領域をミラーリングすることにより、前記欠陥画素の補正後の画像データを増幅させ、当該画像データをグリッド縞の直交方向にフーリエ変換を行って第一次周波数成分を生成し、その第一次周波数成分から前記周波数算出手段より算出された前記グリッド縞の周波数成分を除去して第二次周波数成分を生成し、その第二次周波数成分に対して逆フーリエ変換を行って画像を生成し、その画像から出力画像を切り出す処理を行う、ことを特徴とするX線画像診断装置。
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