以下、本発明の実施の形態について、図1〜図39を参照しながら説明する。なお、図1〜図39は歯車の歯の概要を模式的に図示しており、歯の数や位相、形状などが正確に図示されていない部分がある。
まず、本発明の第1のタイプの駆動ユニットの実施例1−1乃至実施例1−8について、図1〜図16を参照しながら説明する。
<実施例1−1> 実施例1−1の駆動ユニット10について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1(a)は駆動ユニット10の断面図である。図1(b)及び(c)は、駆動ユニット10の要部拡大断面図である。図2(a)は、図1(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図2(b)は、図1(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図1及び図2に示すように、駆動ユニット10は、第1の歯車部材20と、第2の歯車部材30と、中間歯車部材40と、アクチュエータ50とを備える。
第1の歯車部材20には、第1の内歯車22と第2の内歯車24とが同軸に、かつ間隔を設けて形成されている。第1の歯車部材20は、第1の内歯車22が形成された左側部分と、第2の内歯車24が形成された右側部分とが、中心軸28を介して結合されている。第2の歯車部材30には、第1の歯車部材20の第1の内歯車22と第2の内歯車24との間に同軸に配置される第3の内歯車32が形成されている。
第1の歯車部材20には、第1乃至第3の内歯車22,24,32と中心軸28との間にドーナツ状の空洞部26が形成され、空洞部26内に、中間歯車部材40とアクチュエータ50とが配置されている。
中間歯車部材40は、第1の歯車部材20の第1の内歯車22及び第2の内歯車24と、第2の歯車部材30の第3の内歯車32とに対向して配置される環状の部材であり、外周面には外歯車42が形成されている。中間歯車部材40の外歯車42は、第1の歯車部材20の第1の内歯車22及び第2の内歯車24と、第2の歯車部材30の第3の内歯車32とにそれぞれ噛み合う部分を有する。
第1の内歯車22と外歯車42の歯数比と第2の内歯車24と外歯車42の歯数比とは、互いに等しく、かつ、それぞれ、第3の内歯車32と外歯車42の歯数比とは異なるようにする。例えば、この例では、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。
中間歯車部材40の内側には、アクチュエータ50が配置されている。アクチュエータ50は、ゴム等の弾性材料からなり、内部に複数の圧力室52が形成されている。
アクチュエータ50は、図1(b)の要部拡大断面図に示すように、外歯車42に沿って薄く連続的に延在する中間歯車部材40を保持する。あるいは、図1(c)の要部拡大断面図に示すように、外周面に外歯車42が形成された略筒形状の中間歯車部材40を保持する。アクチュエータ50によって保持された中間歯車部材40は、半径方向に自在にたわむことができる。
アクチュエータ50の圧力室52には、図1(a)において矢印58で示すように、外部から空気や油、水等の流体が供給・排出され、圧力室52の容積が増減し、これに伴って、アクチュエータ50と中間歯車部材40とは一体となって径方向に変形する。例えば図2(a)及び(b)に示すように、楕円状に変形する。
次に、駆動ユニット10の動作について説明する。
駆動ユニット10は、中間歯車部材40の外歯車42が第1乃至第3の内歯車22,24,32と周方向の一部で噛み合う箇所(噛み合い位置)を周方向に移動させるように、アクチュエータ50によって中間歯車部材40を半径方向にたわませることによって、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30とを相対的に回転させる。
例えば第1の歯車部材20をベース部材18に固定し、アクチュエータ50の各圧力室52に供給する流体の圧力を周期的に変化させ、中間歯車部材40の外歯車42と、第1乃至第3の内歯車22,24,32とが噛み合う位置を、周方向に順次移動させることによって、第2の歯車部材30を回転させる。
具体的には、図2(a)及び(b)に示すように、アクチュエータ50の上下の圧力室52a,52dに相対的に高い圧力を与え、他の圧力室52b,52c,52e,52fに相対的に低い圧力を与え、中間歯車部材40が上下方向に長く、左右方向に短くなるように変形させ、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車42とが、上下位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の右上と左下の圧力室52b,52eに相対的に高い圧力を与え、他の圧力室52a,52c,52d,52fには相対的に低い圧力を与え、中間歯車部材40を右上及び左下方向に長くなるように変形させ、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車42とが、右上及び左下の位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の右下と左上の圧力室52c,52fに相対的に高い圧力を与え、他の圧力室52a,52b,52d,52eには相対的に低い圧力を与え、中間歯車部材40を右下及び左上方向に長くなるように変形させ、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車42とが、右下及び左上の位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の上下の圧力室52a,52dに相対的に高い圧力を与え、他の圧力室52b,52c,52e,52fには相対的に低い圧力を与え、中間歯車部材40が上下方向に長く、左右方向に短くなるように変形させ、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車42とが、上下の位置で噛み合うようにする。
以下、同様に繰り返し、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車42との噛み合い位置を図2において時計まわりに回転させる。このとき、この例では外歯車42と第1及び第2の内歯車22,24の歯数が同じであるので、中間歯車部材40と第1の歯車部材20とは相対回転しない。しかし、外歯車42と第3の内歯車32との歯数に差があるため、中間歯車部材40と第2の歯車部材30との間に相対回転が生じ、第2の歯車部材30は、第1の歯車部材20に対して回転する。したがって、第1の歯車部材20を固定した場合には、第2の歯車部材30を出力部とすることができる。
第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数を同じにすると、アクチュエータ50と中間歯車部材40との間を固着することができ、構成を簡単にすることができる。
第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数が異なり、第1の歯車部材20と中間歯車部材40とが相対回転する場合には、アクチュエータ50と中間歯車部材40との間で相対回転可能なように支持すればよい。例えば、すべりが生じるように構成すればよい。
第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数が異なり、第3の内歯車32と外歯車42の歯数が同じになるようにすれば、第2の歯車部材30と中間歯車部材40との間で相対回転が生じない。
第2の歯車部材30が出力部となる場合に、出力部に大きな負荷トルクが作用すると、出力部は、(1)一部は第2の歯車部材30の第3の内歯車32、中間歯車部材40の外歯車42、第1の歯車部材20の第1及び第2の内歯車22,24を介して、ベース部材18により支持される。(2)また、一部は、第2の歯車部材30の第3の内歯車32、中間歯車部材40の外歯車42、アクチュエータ50、第1の歯車部材を介して、ベース部材18により支持される。このため、アクチュエータのみで出力部を支持する場合と比べて剛性を高くすることができる。また、中間歯車部材40を剛性の高い第1の歯車部材20で支持しており、カップ状の部品を用いて支持する場合と比べて剛性を高くできる。
さらに、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30との間でトルクが伝達されるときに、中間歯車部材40の外歯車42の両端は同じ方向に力を受けるため、中間歯車部材の噛み合っている部分が傾きにくい。中間歯車部材と第1の歯車部材とが1か所で噛み合い、中間歯車部材と第2の歯車部材とが1か所で噛み合う構成においては、第1の歯車部材と第2の歯車部材との間でトルクが伝達されるときに、中間歯車部材の両端部が逆方向に力を受けるため、中間歯車部材の噛み合っている部分が傾きやすい。中間歯車部材40と第1の歯車部材20とが2か所で噛み合い、その間において中間歯車部材40と第2の歯車部材30とが噛み合う構成にすることで中間歯車部材の噛み合っている部分が傾きにくい状態でトルクを伝達することができる。
このように、駆動ユニット10は出力部の支持部の剛性を高めることができるので、高精度の位置決めが可能となる。
また、カップ状の部品を必要としないことから、駆動ユニット10を小型化することができる。
第2の歯車部材30を固定した場合には、第2の歯車部材30に対して第1の歯車部材20が相対的に回転するので、第1の歯車部材20を出力部とすることができる。この場合も、第1の歯車部材20を固定した場合と同様に、出力部の支持部の剛性を高くすることができるので、高精度な位置決めが可能となる。
第1の内歯車22と外歯車42との有効歯幅と、第2の内歯車24と外歯車42との有効歯幅とを同じにすれば、第1の内歯車22と外歯車42の接触部の剛性と、第2の内歯車24と外歯車42の接触部の剛性とを均等にしやすくなる。
なお、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車42とが周方向の一部で噛み合う箇所の数(噛み合い位置の数)は、本実施例のように中間歯車部材を楕円形状に変形させる場合は2であるが、2に限られない。例えば、中間歯車部材40を略M角形形状(M=3,4,・・・)に変形させ、噛み合い位置の数がMになるようにしてもよい。
<実施例1−2> 実施例1−2の駆動ユニット10aについて、図3及び図4を参照しながら説明する。
実施例1−2の駆動ユニット10aは、実施例1−1の駆動ユニット10と略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。以下では、実施例1−1の駆動ユニット10との相違点を中心に説明し、同じ構成部分には同じ符号を用いる。
図3(a)は駆動ユニット10aの断面図である。図3(b)及び(c)は、駆動ユニット10aの要部拡大断面図である。図4(a)は、図3(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図4(b)は、図3(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図3及び図4に示すように、実施例1−2の駆動ユニット10aは、実施例1−1の駆動ユニット10と略同様に構成されているが、中間歯車部材40を変形させるアクチュエータの構成が実施例1−1の駆動ユニット10と異なる。
弾性部材54は、図3(b)の要部拡大断面図に示すように、外歯車42に沿って薄く連続的に延在する中間歯車部材40を保持する。あるいは、図3(c)の要部拡大断面図に示すように、外周面に外歯車42が形成された略筒形状の中間歯車部材40を保持する。弾性部材54によって保持された中間歯車部材40は、半径方向に自在にたわむことができる。
図3(a)及び図4に示すように、弾性部材54の内側に複数のシリンダ60が配置されている。シリンダ60は、先端側に備えている伸縮部材62が弾性部材54に固着され、基端側が第1の歯車部材20の中心軸28に固定されている。伸縮部材62によって圧力室64が形成され、図3(a)において矢印68で示すように、空気や油、水等の流体が流路66を通って圧力室64に供給・排出されることによって、伸縮部材62が伸縮し、中間歯車部材40及び弾性部材54が径方向に変形する。
例えば図4のように、図において上下のシリンダ60a,60bが流体の供給により最も伸び、図において左右のシリンダ60c,60dが流体の排出により最も縮んだ状態では、中間歯車部材40及び弾性部材54は上下方向には伸び、左右方向には縮み、楕円形状に変形する。これにより、外歯車42と第1乃至第3の内歯車22,24,32とは、図において上下で噛み合う。
実施例1−2の駆動ユニット10aは、実施例1−1の駆動ユニット10と同様に動作させる。すなわち、各シリンダ60に供給する圧力を順次変化させて、中間歯車部材40の楕円形状を回転させ、外歯車42と第1乃至第3の内歯車22,24,32との噛み合い位置を周方向に移動させることによって、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30とを相対的に回転させる。
<実施例1−3> 実施例1−3の駆動ユニット10bについて、図5及び図6を参照しながら説明する。
図5(a)は駆動ユニット10bの断面図である。図5(b)及び(c)は、駆動ユニット10bの要部拡大断面図である。図6(a)は、図5(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図6(b)は、図5(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図5及び図6に示すように、実施例1−3の駆動ユニット10bは、実施例1−2の駆動ユニット10aと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。
ただし、実施例1−2の駆動ユニット10aと異なり、中間歯車部材40を変形させるアクチュエータに複数対の永久磁石70及び電磁石72を用いている。
すなわち、中間歯車部材40に固着された弾性部材54の内側に、複数個の永久磁石70が固定されている。ベース部材18に固定された第1の歯車部材20の中心軸28の外周には、各永久磁石70に対向する位置に、それぞれ電磁石72が固定されている。電磁石72に供給する電流の大きさや向きを変えることにより、図6(b)において白抜き矢印で示すように、対をなす永久磁石70と電磁石72とが接離する方向に、吸引力あるいは反発力が発生する。
例えば図6(b)において白抜き矢印で示すように、図において上下の電磁石72a,72bが対をなす永久磁石70に最も反発し、図において左右の電磁石72c,72dが対をなす永久磁石70を最も吸引した状態では、中間歯車部材40及び弾性部材54は上下方向には伸び、左右方向には縮み、楕円形状に変形する。これにより、外歯車42と第1乃至第3の内歯車22,24,32とは、図において上下で噛み合う。
実施例1−3の駆動ユニット10bは、実施例1−1の駆動ユニット10と同様に動作させる。すなわち、各電磁石72に印加する電流の大きさや向きを順次変化させて、中間歯車部材40の楕円形状を回転させ、外歯車42と第1乃至第3の内歯車22,24,32との噛み合い位置を周方向に移動させることによって、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30とを相対的に回転させる。
<実施例1−4> 実施例1−4の駆動ユニット10cについて、図7及び図8を参照しながら説明する。
図7(a)は駆動ユニット10cの断面図である。図7(b)及び(c)は、駆動ユニット10cの要部拡大断面図である。図8(a)は、図7(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図8(b)は、図7(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図7及び図8に示すように、実施例1−4の駆動ユニット10cは、実施例1−1の駆動ユニット10と略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。
ただし、実施例1−1の駆動ユニット10と異なり、第1の歯車部材20cの中心軸28cの径方向外側に配置された中間歯車部材40cを変形させるアクチュエータ50cが、中間歯車部材40cの径方向外側、かつ第1及び第2の内歯車22,24よりも軸方向外側に配置されている。
すなわち、第1の歯車部材20cには、第1及び第2の内歯車22,24よりも軸方向両外側に、2つのドーナツ状の空洞部26cが形成され、空洞部26c内にそれぞれアクチュエータ50cが配置されている。アクチュエータ50cの外周面は、第1の歯車部材20cに固着されている。アクチュエータ50cの内周面は、図7(c)の要部拡大断面図に示すように、自在にたわむ環状の接続部材41の外周面の両端部に固着されている。接続部材41は、アクチュエータ50cによって径方向に変形する。
図7(b)の要部拡大断面図に示すように、外歯車42が形成された中間歯車部材40cの内周面は、接続部材41の外周面に、間隔を設けて対向し、あるいは摺接する。
実施例1−4の駆動ユニット10cは、図7(a)において矢印58cで示すようにアクチュエータ50cの各圧力室52sに供給・排出する流体の圧力を制御し、接続部材41を変形させ、接続部材41を介して中間歯車部材40cを径方向に変形させることで、実施例1−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材40cの外歯車42がそれぞれ第1乃至第3の内歯車22,24,32と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、中間歯車部材40cを半径方向にたわませることによって、第1の歯車部材20cと第2の歯車部材30cとを相対的に回転させる。
なお、第1の歯車部材20cに対して中間歯車部材40cが自転する場合は、アクチュエータ50cと中間歯車部材40cの間で相対回転が可能となるように、例えば、接続部材41などを用いることが必要となるが、第1の歯車部材20cに対して中間歯車部材40cが自転しない場合は、接続部材41を用いなくてもよく、アクチュエータ50cと中間歯車部材40cを直接固定すればよい。
<実施例1−5> 実施例1−5の駆動ユニット10dについて、図9及び図10を参照しながら説明する。
図9(a)は駆動ユニット10dの断面図である。図9(b)及び(c)は、駆動ユニット10dの要部拡大断面図である。図10(a)は、図9(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図10(b)は、図9(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図9及び図10に示すように、実施例1−5の駆動ユニット10dは、実施例1−4の駆動ユニット10cと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。
ただし、実施例1−4の駆動ユニット10cと異なり、第1の歯車部材20dの中心軸28dの径方向外側に配置された中間歯車部材40dを変形させるアクチュエータ50dが、第1及び第2の内歯車22,24の間(軸方向内側)に配置されている。
すなわち、第1の歯車部材20dには、第1の内歯車22と第2の内歯車24との間に、2つのドーナツ状の空洞部26dが形成され、空洞部26d内にそれぞれアクチュエータ50dが配置されている。
アクチュエータ50dの外周面は、第1の歯車部材20dに固着されている。アクチュエータ50dの内周面は、中間歯車部材40dに固定されている。アクチュエータ50dは、図9(b)の要部拡大断面図に示すように、外歯車42に沿って薄く連続的に延在する中間歯車部材40dを保持する。あるいは、図9(c)の要部拡大断面図に示すように、外周面に外歯車42が形成された略筒形状の中間歯車部材40dを保持する。中間歯車部材40dは、アクチュエータ50dの圧縮・引張によって、半径方向にたわむ。
実施例1−5の駆動ユニット10dは、図9(a)において矢印58dで示すようにアクチュエータ50dの各圧力室52sに供給する流体の圧力を制御し、実施例1−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材40dの外歯車42がそれぞれ第1乃至第3の内歯車22,24,32と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、中間歯車部材40dを半径方向にたわませることによって、第1の歯車部材20dと第2の歯車部材30dとを相対的に回転させる。
<実施例1−6> 実施例1−6の駆動ユニット10eについて、図11及び図12を参照しながら説明する。
図11(a)は駆動ユニット10eの断面図である。図11(b)及び(c)は、駆動ユニット10eの要部拡大断面図である。図12(a)は、図11(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図12(b)は、図11(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図11及び図12に示すように、実施例1−6の駆動ユニット10eは、実施例1−5の駆動ユニット10dと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。
ただし、実施例1−5の駆動ユニット10dと異なり、第1の歯車部材20eの中心軸28eの径方向外側に配置された中間歯車部材40eを変形させるアクチュエータ50eの外周面が、第2の歯車部材30eに固着されている。
すなわち、第2の歯車部材30eには、第3の内歯車32の軸方向両側に、2つのドーナツ状の空洞部36eが形成され、空洞部36e内にそれぞれアクチュエータ50eが配置されている。アクチュエータ50eの外周面は、第2の歯車部材30eに固着されている。アクチュエータ50eの内周面は、実施例1−5と同様に、中間歯車部材40eに固着されている。アクチュエータ50eは、図11(b)の要部拡大断面図に示すように、外歯車42に沿って薄く連続的に延在する中間歯車部材40eを保持する。あるいは、図11(c)の要部拡大断面図に示すように、外周面に外歯車42が形成された略筒形状の中間歯車部材40eを保持する。中間歯車部材40eは、アクチュエータ50eの圧縮・引張によって、半径方向にたわむ。
実施例1−6の駆動ユニット10eは、アクチュエータ50eの各圧力室52tに供給する流体の圧力を制御し、中間歯車部材40eを径方向に変形させることで、実施例1−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材40eの外歯車42がそれぞれ第1乃至第3の内歯車22,24,32と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、中間歯車部材40eを半径方向にたわませることによって、第1の歯車部材20eと第2の歯車部材30eとを相対的に回転させる。
<実施例1−7> 実施例1−7の駆動ユニット10xについて、図13及び図14を参照しながら説明する。
図13(a)は駆動ユニット10xの断面図である。図13(b)は、駆動ユニット10xの要部拡大断面図である。図14(a)は、図13(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図14(b)は、図13(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図13及び図14に示すように、実施例1−7の駆動ユニット10xは、実施例1−4の駆動ユニット10cと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。
ただし、実施例1−4の駆動ユニット10cと異なり、中間歯車部材40を変形させるアクチュエータに複数対の永久磁石70及び電磁石72を用いている。
すなわち、中間歯車部材40の外周面に、複数個の永久磁石70が固定されている。ベース部材18に固定された第1の歯車部材20には、各永久磁石70に対向する位置に、それぞれ電磁石72が固定されている。電磁石72に供給する電流の大きさや向きを変えることにより、対をなす永久磁石70と電磁石72とが接離する方向に、吸引力あるいは反発力が発生し、中間歯車部材40が径方向に変形する。
実施例1−7の駆動ユニット10xは、実施例1−3の駆動ユニット10bと同様に動作させる。すなわち、各電磁石72に印加する電流の大きさや向きを順次変化させて、例えば中間歯車部材40の楕円形状を回転させ、外歯車42と第1乃至第3の内歯車22,24,32との噛み合い位置を周方向に移動させることによって、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30とを相対的に回転させる。
<実施例1−8> 実施例1−8の駆動ユニット10yについて、図15及び図16を参照しながら説明する。
図15(a)は駆動ユニット10yの断面図である。図15(b)は、駆動ユニット10yの要部拡大断面図である。図16(a)は、図15(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図16(b)は、図15(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図15及び図16に示すように、実施例1−8の駆動ユニット10yは、実施例1−7の駆動ユニット10xと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車42の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102とする。
ただし、実施例1−7の駆動ユニット10xと異なり、中間歯車部材40を変形させるアクチュエータの永久磁石70が、中間歯車部材40の内周面に固定されている。アクチュエータの電磁石72は、対をなす永久磁石70と、中間歯車部材40を介して対向するように、第1の歯車部材20に固定されている。すなわち、中間歯車部材40の径方向内側と径方向外側にそれぞれアクチュエータの永久磁石70と電磁石72とが配置されている。アクチュエータの永久磁石70と電磁石72とは、入れ替えて配置することも可能である。
電磁石72に供給する電流の大きさや向きを変えることにより、対をなす永久磁石70と電磁石72とが接離する方向に、吸引力あるいは反発力が発生し、中間歯車部材40が径方向に変形する。
実施例1−8の駆動ユニット10yは、実施例1−7の駆動ユニット10xと同様に動作させる。すなわち、各電磁石72に印加する電流の大きさや向きを順次変化させて、例えば中間歯車部材40の楕円形状を回転させ、外歯車42と第1乃至第3の内歯車22,24,32との噛み合い位置を周方向に移動させることによって、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30とを相対的に回転させる。
次に、本発明の第2のタイプの駆動ユニットの実施例2−1乃至実施例2−4について、図17〜図24を参照しながら説明する。
<実施例2−1> 実施例2−1の駆動ユニット12について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17(a)は駆動ユニット12の断面図である。図17(b)は、駆動ユニット12の要部拡大断面図である。図18(a)は、図17(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図18(b)は、図17(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図17及び図18に示すように、実施例2−1の駆動ユニット12は、実施例1−1の駆動ユニット10と略同様に構成されている。すなわち、第1及び第2の歯車部材20,30に形成された第1乃至第3の内歯車22,24,32の内側に、図17(b)に示すように外周面に外歯車46が形成された環状の中間歯車部材44が配置されている。中間歯車部材44と、第1の歯車部材20の中心軸28との間には、圧力室52を有するアクチュエータ50が配置されている。
ただし、実施例1−1の駆動ユニット10と異なり、中間歯車部材44は、略筒状の剛体であり、楕円状に変形しない。
実施例1−1の駆動ユニット10と同じく、第1の内歯車22と外歯車46の歯数比と第2の内歯車24と外歯車46の歯数比とは、互いに等しく、かつ、それぞれ第3の内歯車32と外歯車46の歯数比とは異なるようにする。例えば、第1及び第2の内歯車22,24の歯数と外歯車46の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102にする。
実施例2−1の駆動ユニット12は、実施例1−1の駆動ユニット10と同様に、中間歯車部材44の外歯車46が第1乃至第3の内歯車22,24,32と周方向の一部で噛み合う箇所(噛み合い位置)を周方向に移動させるように、アクチュエータ50の各圧力室52内の圧力を順次変化させて中間歯車部材44を公転させ、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30とを相対回転させることによって駆動する。
すなわち、アクチュエータ50の各圧力室52内の圧力を順次変化させることにより、中間歯車部材44が第1の歯車部材20の中心軸28に対して偏心する方向を変化させ、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46との噛み合い位置を周方向に移動させる。
具体的には、アクチュエータ50の上の圧力室52aに相対的に高い圧力を与え、アクチュエータ50の下の圧力室52dに相対的に低い圧力を与え、他の圧力室52b,52c,52e,52fに中間の圧力を与え、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが上の位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の右上の圧力室52bに相対的に高い圧力を与え、左下の圧力室52eに相対的に低い圧力を与え、他の圧力室52a,52c,52d,52fには中間の圧力を与え、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが右上の位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の右下の圧力室52cに相対的に高い圧力を与え、左上の圧力室52fに相対的に低い圧力を与え、他の圧力室52a,52b,52d,52eには中間の圧力を与え、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが右下の位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の下の圧力室52dに相対的に高い圧力を与え、上の圧力室52aに相対的に低い圧力を与え、他の圧力室52b,52c,52e,52fには中間の圧力を与え、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが下の位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の左下の圧力室52eに相対的に高い圧力を与え、右上の圧力室52bに相対的に低い圧力を与え、他の圧力室52a,52c,52d,52fには中間の圧力を与え、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが左下の位置で噛み合うようにする。
次いで、アクチュエータ50の左上の圧力室52fに相対的に高い圧力を与え、右下の圧力室52cに相対的に低い圧力を与え、他の圧力室52a,52b,52d,52eには中間の圧力を与え、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが左上の位置で噛み合うようにする。
以下、同様に繰り返すことにより、中間歯車部材44は、第1の歯車部材20の中心軸28の周りを公転する。
第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが噛み合う位置が周方向に移動すると、第1の内歯車22と外歯車46の歯数比と第2の内歯車24と外歯車46の歯数比とは、互いに等しく、かつ、それぞれ、第3の内歯車32と外歯車46の歯数比とは異なるため、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30との間に相対回転が発生する。第1の歯車部材20と第2の歯車部材30のいずれか一方を固定すれば、他方を出力部とすることができる。
駆動ユニット12は、第1乃至第3の内歯車22,24,32と外歯車46とが噛み合った状態を保ちながら、中間歯車部材44が第1の歯車部材20の中心軸28に対して公転する。このとき、第1及び第2の内歯車22,24と外歯車46の歯数を同じにすると、中間歯車部材44は自転しない。自転がないと、アクチュエータ50と中間歯車部材44との間を固着することができ、構成を簡単にすることができる。
第1及び第2の内歯車22,24と外歯車46の歯数が異なり、中間歯車部材44が自転する場合には、アクチュエータ50と中間歯車部材44との間で相対回転可能なように支持すればよい。例えば、すべりが生じるように構成すればよい。
<実施例2−2> 実施例2−2の駆動ユニット12pについて、図19及び図20を参照しながら説明する。
図19(a)は駆動ユニット12pの断面図である。図19(b)は、駆動ユニット12pの要部拡大断面図である。図20(a)は、図19(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図20(b)は、図19(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図19及び図20に示すように、実施例2−2の駆動ユニット12pは、実施例2−1の駆動ユニット12と略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24の歯数と外歯車46の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102にする。
ただし、実施例2−1の駆動ユニット12と異なり、中間歯車部材44と第1の歯車部材20の中心軸28との間に配置され、中間歯車部材44を移動させるアクチュエータに、実施例1−3の駆動ユニット10bと同様の複数対の永久磁石70及び電磁石72を用いている。
すなわち、図19に示すように、中間歯車部材44の内周面に永久磁石70が固定されている。ベース部材18に固定された第1の歯車部材20の中心軸28には、対をなす永久磁石70に対向するように、電磁石72が固定されている。
実施例2−2の駆動ユニット12pは、実施例2−1の駆動ユニット12と同様に動作させる。すなわち、各電磁石72に流す電流の大きさや向きを順次変化させて、外歯車46と第1乃至第3の内歯車22,24,32との噛み合い位置を周方向に移動させることによって、第1の歯車部材20と第2の歯車部材30とを相対的に回転させる。
<実施例2−3> 実施例2−3の駆動ユニット12qについて、図21及び図22を参照しながら説明する。
図21(a)は駆動ユニット12qの断面図である。図21(b)は、駆動ユニット12qの要部拡大断面図である。図22(a)は、図21(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図22(b)は、図21(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図21及び図22に示すように、実施例2−3の駆動ユニット12qは、実施例2−1の駆動ユニット12と略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24の歯数と外歯車46の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102にする。
ただし、実施例2−1の駆動ユニット12と異なり、第1の歯車部材20qの中心軸28qの径方向外側に配置された中間歯車部材44qを移動させるアクチュエータ50qが、中間歯車部材44qの径方向外側、かつ第1及び第2の内歯車22,24よりも軸方向外側に配置されている。
すなわち、第1の歯車部材20qには、第1及び第2の内歯車22,24よりも軸方向両外側に、2つのドーナツ状の空洞部26qが形成され、空洞部26q内にそれぞれアクチュエータ50qが配置されている。アクチュエータ50qの外周面は、第1の歯車部材20qに固着されている。アクチュエータ50qの内周面は、図21(b)の要部拡大断面図に示すように、略筒形状の接続部材45の外周面の両端部に固着されている。接続部材45は、アクチュエータ50qによって径方向に移動する。外歯車46が形成された中間歯車部材44qの内周面は、接続部材45の外周面に間隔を設けて対向し、あるいは摺接するようになっている。
実施例2−3の駆動ユニット12qは、図21(a)において矢印58qで示すようにアクチュエータ50qの各圧力室52qに供給・排出する流体の圧力を制御し、接続部材45を介して中間歯車部材44qを径方向に移動させることで、実施例2−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材44qの外歯車46が第1乃至第3の内歯車22,24,32と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、アクチュエータ50qの各圧力室52q内の圧力を順次変化させて中間歯車部材44qを公転させ、第1の歯車部材20qと第2の歯車部材30qとを相対回転させることによって駆動する。
なお、第1の歯車部材20qに対して中間歯車部材44qが自転する場合は、アクチュエータ50qと中間歯車部材44qの間で相対回転が可能となるように、例えば、接続部材45などを用いることが必要となるが、第1の歯車部材20qに対して中間歯車部材44qが自転しない場合は、接続部材45を用いなくてもよく、アクチュエータ50qと中間歯車部材44qを直接固定すればよい。
<実施例2−4> 実施例2−4の駆動ユニット12rについて、図23及び図24を参照しながら説明する。
図23は駆動ユニット12rの断面図である。図24(a)は、図23の線A−Aに沿って切断した断面図である。図24(b)は、図23の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図23及び図24に示すように、実施例2−4の駆動ユニット12rは、実施例2−3の駆動ユニット12qと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の内歯車22,24の歯数と外歯車46の歯数は100、第3の内歯車32の歯数は102にする。
ただし、実施例2−3の駆動ユニット12qと異なり、第1の歯車部材20rの中心軸28rの径方向外側に配置された中間歯車部材44rを公転させるアクチュエータ50rが第1及び第2の内歯車22,24の間(軸方向内側)に配置され、かつアクチュエータ50rの外周面が、第2の歯車部材30rに固着されている。
すなわち、第2の歯車部材30rには、第3の内歯車32の軸方向両側に、2つのドーナツ状の空洞部36rが形成され、空洞部36r内にそれぞれアクチュエータ50rが配置されている。アクチュエータ50rの外周面は、第2の歯車部材30rに固着されている。アクチュエータ50rの内周面は、中間歯車部材44rの外周面に固着されている。中間歯車部材44rは、アクチュエータ50rによって、径方向に移動する。
実施例2−4の駆動ユニット12rは、実施例2−1と同様に、アクチュエータ50rの各圧力室52r内の圧力を順次変化させ、中間歯車部材44rを第1乃至第3の内歯車22,24,32に対して偏心させながら移動させることによって駆動する。すなわち、中間歯車部材44rの外歯車46が第1乃至第3の内歯車22,24,32と周方向の一部で噛み合う箇所(噛み合い位置)を周方向に移動させるように、アクチュエータ50rの各圧力室52r内の圧力を順次変化させて中間歯車部材44rを公転させ、第1の歯車部材20rと第2の歯車部材30rとを相対回転させることによって駆動する。
次に、本発明の第3のタイプの駆動ユニットの実施例3−1乃至実施例3−3について、図25〜図30を参照しながら説明する。
<実施例3−1> 実施例3−1の駆動ユニット14pについて、図25及び図26を参照しながら説明する。
図25(a)は駆動ユニット14pの断面図である。図25(b)及び(c)は、駆動ユニット14pの要部拡大断面図である。図26(a)は、図25(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図26(b)は、図25(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
実施例3−1の駆動ユニット14pは、実施例1−1の駆動ユニット10の外歯車と内歯車の関係が逆になっている。
すなわち、図25及び図26に示すように、ベース部材19に固定された第1の歯車部材21pは、第1の外歯車23と第2の外歯車25とが同軸に、かつ間隔を設けて形成されている。第2の歯車部材31pには、中心軸38pに固定され、第1の歯車部材21pの第1の外歯車23と第2の外歯車25との間に同軸に配置される第3の外歯車33が形成されている。
第1の歯車部材21pには、第1乃至第3の外歯車23,25,33の径方向外側にドーナツ状の空洞部27pが形成され、空洞部27p内に中間歯車部材48pとアクチュエータ51pとが配置されている。
アクチュエータ51pの外周面は、第1の歯車部材21pに固着されている。アクチュエータ51pは、図25(b)の要部拡大断面図に示すように、内歯車49に沿って薄く連続的に延在する中間歯車部材48pを保持する。あるいは、図25(c)の要部拡大断面図に示すように、内周面に内歯車49が形成された略筒形状の中間歯車部材48pを保持する。アクチュエータ51pによって保持された中間歯車部材48pは、半径方向に自在にたわむことができる。
第1の外歯車23と内歯車49の歯数比と第2の外歯車25と内歯車49の歯数比とは、互いに等しく、かつ、それぞれ、第3の外歯車33と内歯車49の歯数比とは異なるようにする。例えば、第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数は100、第3の外歯車33の歯数は98とする。
実施例3−1の駆動ユニット14pは、アクチュエータ51pの各圧力室53pに供給する流体の圧力を制御し、中間歯車部材48pを変形させることによって、実施例1−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材48pの内歯車49が第1乃至第3の外歯車23,25,33と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、中間歯車部材48pを半径方向にたわませることによって、第1の歯車部材21pと第2の歯車部材31pとを相対的に回転させる。
第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数を同じにすると、アクチュエータ51pと中間歯車部材48pとの間を固着することができ、構成を簡単にすることができる。
第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数が異なり、第1の歯車部材21pと中間歯車部材48pとが相対回転する場合には、アクチュエータ51pと中間歯車部材48pとの間で相対回転可能なように支持すればよい。例えば、すべりが生じるように構成すればよい。
<実施例3−2> 実施例3−2の駆動ユニット14qについて、図27及び図28を参照しながら説明する。
図27(a)は駆動ユニット14qの断面図である。図27(b)及び(c)は、駆動ユニット14qの要部拡大断面図である。図28(a)は、図27(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図28(b)は、図27(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図27及び図28に示すように、実施例3−2の駆動ユニット14qは、実施例3−1の駆動ユニット14pと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数は100、第2の歯車部材31qの中心軸38qに固定された第3の外歯車33の歯数は98とする。
ただし、実施例3−1の駆動ユニット14pと異なり、中間歯車部材48qを変形させるアクチュエータ51qが、中間歯車部材48qの径方向内側、かつ第1及び第2の外歯車23,25よりも軸方向外側に配置されている。
すなわち、ベース部材19に固定された第1の歯車部材21qには、第1及び第2の外歯車23,25よりも軸方向両外側に、それぞれドーナツ状の空洞部27qが形成され、空洞部27q内にそれぞれアクチュエータ51qが配置されている。アクチュエータ51qの内周面は、第1の歯車部材21qに固着されている。アクチュエータ51qの外周面は、図27(c)の要部拡大断面図に示すように、自在にたわむ筒状の接続部材47qの内周面の両端部に固着されている。接続部材47qは、アクチュエータ51qによって径方向に変形する。図27(b)の要部拡大断面図に示すように、内歯車49が形成された中間歯車部材48qの外周面は、接続部材47qの内周面に間隔を設けて対向し、あるいは摺接するようになっている。
実施例3−2の駆動ユニット14qは、アクチュエータ51qの各圧力室53qに供給する流体の圧力を制御し、接続部材47qを介して中間歯車部材48qを径方向に変形させることで、実施例3−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材48qの内歯車49が第1乃至第3の外歯車23,25,33と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、中間歯車部材48qを半径方向にたわませることによって、第1の歯車部材21qと第2の歯車部材31qとを相対的に回転させる。
なお、第1の歯車部材21qに対して中間歯車部材48qが自転する場合は、アクチュエータ51qと中間歯車部材48qの間で相対回転が可能となるように、例えば、接続部材47qなどを用いることが必要となるが、第1の歯車部材21qに対して中間歯車部材48qが自転しない場合は、接続部材47qを用いなくてもよく、アクチュエータ51qと中間歯車部材48qを直接固定すればよい。
<実施例3−3> 実施例3−3の駆動ユニット14rについて、図29及び図30を参照しながら説明する。
図29(a)は駆動ユニット14rの断面図である。図29(b)及び(c)は、駆動ユニット14rの要部拡大断面図である。図30(a)は、図29(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図30(b)は、図29(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図29及び図30に示すように、実施例3−3の駆動ユニット14rは、実施例3−2の駆動ユニット14qと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数は100、第3の外歯車33の歯数は98とする。
ただし、実施例3−2の駆動ユニット14qと異なり、中間歯車部材48rを変形させるアクチュエータ51rが、第1及び第2の外歯車23,25の間(軸方向内側)に配置され、アクチュエータ51rの内周面が第2の歯車部材31rに固着されている。
すなわち、第2の歯車部材31rに形成された第3の外歯車33の軸方向両側に、それぞれアクチュエータ51rが配置され、アクチュエータ51rの内周面は、第2の歯車部材31rの中心軸38rに固着されている。アクチュエータ51rの外周面は、中間歯車部材48rの内周面に固着されている。アクチュエータ51rは、図29(b)の要部拡大断面図に示すように、内歯車49に沿って薄く連続的に延在する環状の中間歯車部材48rを保持する。あるいは、図29(c)の要部拡大断面図に示すように、内周面に内歯車49が形成された環状の中間歯車部材48rを保持する。中間歯車部材48rは、アクチュエータ51rの圧縮・引張によって半径方向にたわむ。
実施例3−3の駆動ユニット14rは、アクチュエータ51rの各圧力室53rに供給する流体の圧力を制御し、中間歯車部材48rを半径方向にたわませることで、実施例3−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材48rの内歯車49がそれぞれ第1乃至第3の外歯車23,25,33と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、中間歯車部材48rを半径方向にたわませることによって、第1の歯車部材21rと第2の歯車部材31rとを相対的に回転させる。
次に、本発明の第4のタイプの駆動ユニットの実施例4−1乃至実施例4−3について、図31〜図36を参照しながら説明する。
<実施例4−1> 実施例4−1の駆動ユニット16について、図31及び図32を参照しながら説明する。
図31(a)は駆動ユニット16の断面図である。図31(b)は、駆動ユニット16の要部拡大断面図である。図32(a)は、図31(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。図32(b)は、図31(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
実施例4−1の駆動ユニット16は、実施例2−1の駆動ユニット12の外歯車と内歯車の関係が逆になっている。
すなわち、図31及び図32に示すように、第1の歯車部材21には、第1の外歯車23と第2の外歯車25とが同軸に、かつ間隔を設けて形成されている。第2の歯車部材31には、第1の歯車部材21の第1の外歯車23と第2の外歯車25との間に同軸に配置される第3の外歯車33が形成されている。
第1の歯車部材21には、第1乃至第3の外歯車23,25,33に対向するドーナツ状の空洞部27が形成され、空洞部27内に中間歯車部材48とアクチュエータ51とが配置されている。中間歯車部材48は、第1乃至第3の外歯車23,25,33に対向して配置され、中間歯車部材48の径方向外側にアクチュエータ51が配置される。
中間歯車部材48の内周面には、第1の歯車部材21の第1の外歯車23及び第2の外歯車25と、第2の歯車部材31の第3の外歯車33とに噛み合うことができる内歯車49が形成されている。中間歯車部材48は、図31(b)の要部拡大断面図に示すように、略円筒状の剛体である。
第1の外歯車23と内歯車49の歯数比と第2の外歯車25と内歯車49の歯数比とは、互いに等しく、かつ、それぞれ、第3の外歯車33と内歯車49の歯数比とは異なるようにする。例えば、第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数は100、第3の外歯車33の歯数は98とする。
中間歯車部材48よりも径方向外側に、実施例2−1と同じく、ゴム等の弾性材料からなり、内部に複数の圧力室53が形成されているアクチュエータ51が配置される。図31(a)において矢印59で示すように、外部から圧力室53に空気や油、水等の流体が供給・排出され、圧力室53の容積が増減し、これに伴って中間歯車部材48の径方向の位置が変化するようになっている。
実施例4−1の駆動ユニット16は、実施例2−1の駆動ユニット12と同様に、アクチュエータ51の各圧力室53内の圧力を順次変化させて中間歯車部材48を公転させることによって駆動する。
すなわち、アクチュエータ51の各圧力室53内の圧力を順次変化させ、中間歯車部材48を、第1乃至第3の外歯車23,25,33に対して偏心する方向を変化させ、第1乃至第3の外歯車23,25,33と内歯車49とが周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させる。第1乃至第3の外歯車23,25,33と内歯車49とが周方向の一部で噛み合う箇所が周方向に移動すると、第1の外歯車23と内歯車49の歯数比と第2の外歯車25と内歯車49の歯数比とは、互いに等しく、かつ、それぞれ、第3の外歯車33と内歯車49の歯数比とは異なるため、第1の歯車部材21と第2の歯車部材31との間で相対回転が発生する。第1の歯車部材21と第2の歯車部材31のいずれか一方を固定すれば、他方を出力部とすることができる。例えば、第1の歯車部材21をベース部材19に固定すれば、第2の歯車部材31がベース部材19に対して回転し、出力部となる。
中間歯車部材48は、内歯車49が第1乃至第3の外歯車23,25,33と周方向に一部で噛み合った状態を保ちながら、第1乃至第3の外歯車23,25,33の中心軸のまわりを公転する。このとき、第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数を同じにすると、中間歯車部材48は自転しないため、アクチュエータ51と中間歯車部材48との間を固着することができ、構成を簡単にすることができる。
第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数が異なり、中間歯車部材48が自転する場合には、アクチュエータ51と中間歯車部材48との間で相対回転可能なように支持すればよい。例えば、すべりが生じるように構成すればよい。
<実施例4−2> 実施例4−2の駆動ユニット16aについて、図33及び図34を参照しながら説明する。
図33は駆動ユニット16aの断面図である。図34(a)は、図33の線A−Aに沿って切断した断面図である。図34(b)は、図33の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図33及び図34に示すように、実施例4−2の駆動ユニット16aは、実施例4−1の駆動ユニット16と略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数は100、第2の歯車部材31aの中心軸38aに固定された第3の外歯車33の歯数は98とする。
ただし、実施例4−1の駆動ユニット16と異なり、中間歯車部材48aを移動させるアクチュエータ51aが、中間歯車部材48aの径方向内側に配置され、第1の歯車部材21aに固着されている。
すなわち、第1の歯車部材21aには、第1及び第2の外歯車23,25の間よりも軸方向両外側に、2つのドーナツ状の空洞部27aが形成され、空洞部27a内にそれぞれアクチュエータ51aが配置されている。アクチュエータ51aの内周面は、第1の歯車部材21aに固着されている。アクチュエータ51aの外周面は、中間歯車部材48aの内周面の両端部に固着されている。中間歯車部材48aは、アクチュエータ51aによって径方向に移動する。中間歯車部材48aの内周面の中間部には、第1乃至第3の外歯車23,25,33に噛み合うことができる内歯車49が形成されている。
実施例4−2の駆動ユニット16aは、アクチュエータ51aの各圧力室53aに供給する流体の圧力を制御し、中間歯車部材48aを公転させることで、実施例4−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材48aの内歯車49が第1乃至第3の外歯車23,25,33と周方向の一部で噛み合う箇所を周方向に移動させるように、中間歯車部材48aを公転させることによって、第1の歯車部材21aと第2の歯車部材31aとを相対的に回転させる。
<実施例4−3> 実施例4−3の駆動ユニット16bについて、図35及び図36を参照しながら説明する。
図35は駆動ユニット16bの断面図である。図36(a)は、図35の線A−Aに沿って切断した断面図である。図36(b)は、図35の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図35及び図36に示すように、実施例4−3の駆動ユニット16bは、実施例4−2の駆動ユニット16aと略同様に構成されている。例えば、第1及び第2の外歯車23,25と内歯車49の歯数は100、第3の外歯車33の歯数は98とする。
ただし、実施例4−2の駆動ユニット16aと異なり、中間歯車部材48bを公転させるためのアクチュエータ51bが、第1及び第2の外歯車23,25の間(軸方向内側)に配置され、アクチュエータ51bの内周面が第2の歯車部材31bに固着されている。
すなわち、第2の歯車部材31bに形成された第3の外歯車33の軸方向両側に、2つのアクチュエータ51bがそれぞれ配置され、アクチュエータ51bの内周面は、第2の歯車部材31bの中心軸38bに固着されている。アクチュエータ51bの外周面は、中間歯車部材48bの内周面に固着されている。中間歯車部材48bには、第1乃至第3の外歯車23,25,33に噛み合うことができる内歯車49が形成されている。中間歯車部材48bは、アクチュエータ51bによって径方向に移動される。
実施例4−3の駆動ユニット16bは、アクチュエータ51bの各圧力室53bに供給する流体の圧力を制御し、中間歯車部材48bを公転させることで、実施例4−1と同様に駆動する。すなわち、中間歯車部材48bの内歯車49が第1乃至第3の外歯車23,25,33と周方向の一部で噛み合う状態を保ちながら中間歯車部材48bを公転させることによって、第1の歯車部材21bと第2の歯車部材31bとを相対的に回転させる。
<参考例> 参考例の駆動ユニット10zについて、図37〜図39を参照しながら説明する。図37は駆動ユニット10zの断面図である。図38は、図37の線A−Aに沿って切断した断面図である。図39は、図37の線B−Bに沿って切断した断面図である。
図37〜図39に示すように、駆動ユニット10zは、実施例1−1の駆動ユニット10と同様に、第1の歯車部材20zに第1の内歯車22と第2の内歯車24とが同軸に、かつ間隔を設けて形成されている。第2の歯車部材30zには、第1の歯車部材20zの第1の内歯車22と第2の内歯車24との間に同軸に配置される第3の内歯車32が形成されている。
実施例1−1の駆動ユニット10とは異なり、第1の歯車部材20zの第1の内歯車22と第2の内歯車24とは、第2の歯車部材30zの径方向外側を経由して固定されている。また、実施例1−1の駆動ユニット10とは異なり、駆動ユニット10zは、ベース部材18zと中心軸28zとが一体に形成されている。第1の歯車部材20zはベース部材18zに固定されている。
中心軸28zには、実施例1−1の駆動ユニット10と同様に、第1乃至第3の内歯車22,24,32に対向するドーナツ状の空洞部26が形成され、空洞部26内に、中間歯車部材40とアクチュエータ50とが配置されている。
駆動ユニット10zは、実施例1−1の駆動ユニット10と同様にアクチュエータ50を動作させることにより、第1の歯車部材20zと第2の歯車部材30zとを相対的に回転させることができる。
<まとめ> 以上に説明したように、本発明の駆動ユニットは、歯車装置にアクチュエータを組み込んでも剛性を高くすることができるため、高精度な位置決めが可能である。また、大トルク、小型の要求にも対応することができる。したがって、特に高精度な位置決め性能、大トルク、小型が要求される産業用ロボット、半導体関連機器、フラットパネルディスプレイ搬送装置などに、好適に利用することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えて実施することが可能である。
例えば、中間歯車部材を変形又は移動させるアクチュエータの種類は、流体や磁力を用いるものに限らず、静電気力、圧電素子、形状記憶合金、電気粘性流体や磁気粘性流体や電界共役流体のような機能性流体などを用いるアクチュエータや、メカノケミカルアクチュエータ(高分子アクチュエータやICPFアクチュエータなど)などの種々のタイプのものを選択可能である。磁力を用いる場合、永久磁石と電磁石とを用いるものに限らず、電磁石により吸引される鉄などの材料と電磁石とを用いてもよい。
例えば、実施例にあげた流体を用いるアクチュエータを使う駆動ユニットにおいて、流体を用いるアクチュエータの代わりに、磁石を用いるアクチュエータを使用してもよい。
中間歯車部材の第1乃至第3の外歯車の歯数、あるいは、第1乃至第3の内歯車の歯数は、互いに異なってもよい。
アクチュエータは、第1の歯車部材あるいは第2の歯車部材のいずれか一方に対して相対回転しないように固定されていればよいので、必ずしも、第1の歯車部材あるいは第2の歯車部材に固定する必要はない。ベース部材などの他の部品に固定してもよい。
第1の歯車部材の第1の内歯車と第2の内歯車とを固定する方法、あるいは、第1の歯車部材の第1の外歯車と第2の外歯車とを固定する方法には、実施例や参考例で示した方法の他に、第2の歯車部材に貫通する穴を設けてその穴を通して固定する方法などがある。