JP5846195B2 - 電動機駆動装置の制御装置および電動機駆動システム - Google Patents
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Description
本発明は、電動機駆動装置の制御装置および電動機駆動システムに関し、例えば同期電動機へと交流電圧を印加する電動機駆動装置に関する。
非特許文献1には、同期電動機の制御方法について記載されている。同期電動機は巻線を有する電機子と、界磁とを有している。特許文献1では同期電動機の一次磁束が制御される。より詳細には、制御軸として、互いに直交するγ軸及びδ軸を採用し、一次磁束のγ軸成分を零に制御する。
かかる制御を実現すべく、同期電動機の電圧方程式において、一次磁束のγ軸成分として零を採用し、δ軸成分として指令値を採用したときの、γ軸電圧およびδ軸電圧を、それぞれの指令として採用する。更に制御精度を向上すべく、δ軸電流をフィードバック制御する。この点については後に詳述する。
また本願に関連する技術として特許文献1〜4が提示される。
瓜田、山村、常広、「同期機駆動用汎用インバータについて」、電気学会論文誌D、1999年、第119巻、第5号、p.707―712
しかしながら、後に詳述するように、同期電動機の製造バラツキに起因してδ軸電流に定常偏差(定常状態でのδ軸電流についての電流偏差)が生じる。かかる定常偏差は好ましくない。
しかも同期電動機の回転方向を考慮した適切な定常偏差の低減が望まれている。
そこで、本発明は同期電動機の回転方向に応じて定常偏差を低減できる電動機駆動装置の制御技術を提供することを目的とする。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第1の態様は、界磁(23)と電機子(21)とを有する同期電動機(2)へと交流電圧を印加し、交流電流(iu,iv,iw)を出力する駆動装置(1)を制御する装置(3)であって、前記交流電流を、δ軸と前記δ軸に対して所定の進み方向に90度進むγ軸とを有し、前記δ軸は前記界磁による前記電機子への鎖交磁束(Λ0)に対して位相(φ)を有する回転座標系におけるδ軸電流およびγ軸電流とに変換する座標変換部(33)と、前記δ軸電流(iδ)についてのδ軸電流指令(iδ*)と前記δ軸電流との電流偏差(iδ*−iδ)に対して、第1積分ゲイン(K(ω1))に基づく第1積分処理を行って第1項を求め、前記第1項に基づいて前記交流電圧の前記γ軸の成分たるγ軸電圧(vγ)についてのγ軸電圧指令(vγ*)を生成し、前記第1積分ゲインの極性は、前記進み方向と前記同期電動機の回転方向とが同じときに正であり、前記進み方向と前記回転方向とが互いに逆であるときに負であるγ軸電圧指令生成部(31)と、前記γ軸電圧指令と、前記交流電圧の前記δ軸の成分たるδ軸電圧(vδ)についてのδ軸電圧指令(vδ*)とに基づいて、前記駆動装置による前記交流電圧の印加を制御する制御信号を生成する制御信号生成部(30)とを備える。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第2の態様は、第1の態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記第1積分ゲイン(K(ω1))の絶対値は前記交流電圧の角速度(ω1)の絶対値が大きいほど大きい。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第3の態様は、第1または第2の態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記第1積分ゲイン(K(ω1))は定数の所定値(Kγ')と前記交流電圧の角速度(ω1)との積で表される。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記電流偏差(iδ*−iδ)に対し、第2積分ゲイン(Kδ')に基づく第2積分処理を行って前記δ軸電圧指令(vδ*)を生成するδ軸電圧指令生成部(32)を備える。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第5の態様は、第4の態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記δ軸電圧指令生成部(32)は、前記交流電圧の角速度(ω1)の絶対値が所定値よりも低いときにのみ前記第2積分処理を行う。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第6の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記同期電動機の電機子巻線(22)の抵抗成分の抵抗値(R0)及び前記δ軸電流(iδ)の積たる第2項と、前記電流偏差(iδ*−iδ)及び比例ゲイン(Kδ)に基づく比例制御による第1比例項との和(R0・iδ+Kδ・(iδ*-iδ))を算出して、前記δ軸電圧指令(vδ*)を生成するδ軸電圧指令生成部(32)を備え、前記γ軸電圧指令生成部(31)は、前記電機子巻線の抵抗成分の抵抗値と安定用定数(kγγ)との和と、前記交流電流の前記γ軸の成分たるγ軸電流(iγ)との積たる第3項と、前記交流電圧の角速度(ω1)及び前記鎖交磁束(Λ0)と前記電機子に流れる交流電流によって発生する電機子反作用の磁束との合成である一次磁束の指令(Λδ*)の積たる第4項と、前記第1項との和((R0+kγγ)・iγ+L0・ω1・Iδ*+K(ω1)・1/s・(iδ*−iδ))を算出して、前記γ軸電圧指令(vγ*)を生成する。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第7の態様は、第6の態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記安定用定数(kγγ)として、前記電機子巻線の抵抗成分の抵抗値と前記安定用定数(kγγ)との和が略零となる値を採用する。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第8の態様は、第6または第7の態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記γ軸電圧指令生成部(31)は、前記第3項と、前記第4項と、前記第1項と、前記電流偏差(iδ*−iδ)と第2比例ゲイン(Kγ)とに基づく第2比例項との和を算出して、前記γ軸電圧指令を生成する。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第9の態様は、第6から第8のいずれか一つの態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記γ軸電圧指令生成部(31)は、前記一次磁束の前記指令(Λδ*)を前記電機子の電機子巻線のインダクタンス(L0)で除算した値(Iδ*)が、前記界磁による前記電機子への鎖交磁束(Λ0)を前記インダクタンスで除算した値(I0)と、前記δ軸電流指令(iδ*)との和と等しいという関係(Iδ*=I0+iδ*)を用いて、前記γ軸電圧指令(vγ*)を生成する。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第10の態様は、第6から第9の何れか一つの態様にかかる電動機駆動装置の制御装置であって、前記角速度(ω1)の絶対値が所定値よりも小さいときの前記一次磁束の前記指令(Λδ*)を、前記角速度の絶対値が所定値と等しいときの値よりも大きく設定する。
本発明にかかる電動機駆動システムの第1の態様は、第1から第10の何れか一つの態様にかかる電動機駆動装置の制御装置(3)と、前記駆動装置(1)と、前記同期電動機(2)とを備える。
本発明にかかる電動機駆動システムの第2の態様は、第1の態様にかかる電動機駆動システムであって、前記界磁(23)は、コアと、前記コアの表面に張り付けられた永久磁石とを備える。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第1の態様によれば、同期電動機の回転方向によらずに、δ軸電流についての定常偏差(定常状態で生じる電流偏差)を低減することができる。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第2の態様によれば、同期電動機の電圧方程式において、γ軸電圧は、電機子巻線のインダクタンスと角速度との積を含む項を有する。よって角速度が大きいほど、電機子巻線のインダクタンスの製造バラツキに起因してδ軸電流について定常偏差(定常状態で生じる電流偏差)を生じさせる。第2の態様によれば、角速度が大きいほど定常偏差に対する第1の積分処理の積分ゲインが高いので、この定常偏差をより適切に低減できるのである。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第3の態様によれば、簡単な演算で積分ゲインを求めることができる。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第4の態様によれば、δ軸電流の定常偏差を更に低減することができる。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第5の態様によれば、角速度の絶対値が所定値よりも大きいときに角速度が大きく変動することに起因してδ軸電圧指令が不要に大きくなることを回避することができる。例えば角速度が大きく低下すると電流偏差が増大して積分項が増大してδ軸電圧指令を増大させる。角速度が低いときにはδ軸電圧指令は小さくてよいので、δ軸電圧指令の増大は不要である。第5の態様によれば角速度が高い領域では第2積分処理を行わないので、このような増大を回避できる。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第6の態様によれば制御の安定に資する。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第7の態様によれば演算を簡略化できる。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第8の態様によれば、電流偏差を速やかに低減できる。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第9の態様によれば、比較的簡易な式を用いてγ軸電圧指令を生成することができる。
本発明にかかる電動機駆動装置の制御装置の第10の態様によれば、同期電動機が出力するトルクは一次磁束のδ軸の成分が大きいほど大きく、またd−q軸回転座標とγ−δ軸回転座標との相差角が90度に近いほど大きい。ここでいうd−q軸回転座標とは電気角において互いに直交するd軸およびq軸によって形成され、d軸は界磁の磁極中心と同相な軸である。
第10の態様によれば、角速度の絶対値が小さいときには一次磁束のδ軸の成分の指令が大きく設定される。よって負荷トルクが変動しなければ、相差角は90度から遠ざかる。一旦、相差角を90度から遠ざけるので、その後に負荷トルクが増大した場合に、相差角が90度に近づくことができる。よって、同期電動機は増大した負荷トルクに応じてトルクを出力することができる。
本発明にかかる電動機駆動システムの第1及び第2の態様によれば、定常偏差を低減した電動機駆動システムを提供できる。
第1の実施の形態.
<1.電力変換装置の構成>
図1を参照して、電動機駆動システムは、駆動装置1と同期電動機2と制御部3とを備えている。駆動装置1は同期電動機2へと交流電圧を印加して交流電流を出力する。これにより同期電動機2が駆動される。同期電動機2は電機子21と界磁23とを備えている。電機子21は電機子巻線22を有する。図1の例示では、3つの電機子巻線22の一端の各々が駆動装置1に接続され、他端同士が接続される。かかる接続はいわゆるスター接続と呼ばれる。これらの電機子巻線22に三相交流電圧が印加されることによって、電機子巻線22は回転磁界を界磁23へと印加する。界磁23は電機子21へと界磁磁束を供給し、電機子21に対して回転磁界と同期して回転する。例えば界磁23は、コアと、当該コアの外周表面に設けられて界磁磁束を供給する永久磁石とを備える。このような同期電動機は表面磁石同期電動機とも呼ばれる。
<1.電力変換装置の構成>
図1を参照して、電動機駆動システムは、駆動装置1と同期電動機2と制御部3とを備えている。駆動装置1は同期電動機2へと交流電圧を印加して交流電流を出力する。これにより同期電動機2が駆動される。同期電動機2は電機子21と界磁23とを備えている。電機子21は電機子巻線22を有する。図1の例示では、3つの電機子巻線22の一端の各々が駆動装置1に接続され、他端同士が接続される。かかる接続はいわゆるスター接続と呼ばれる。これらの電機子巻線22に三相交流電圧が印加されることによって、電機子巻線22は回転磁界を界磁23へと印加する。界磁23は電機子21へと界磁磁束を供給し、電機子21に対して回転磁界と同期して回転する。例えば界磁23は、コアと、当該コアの外周表面に設けられて界磁磁束を供給する永久磁石とを備える。このような同期電動機は表面磁石同期電動機とも呼ばれる。
図1の例示では、駆動装置1はインバータであって、正極の直流電源線LHと負極の直流電源線LLとの間の直流電圧Vdcを入力し、この直流電圧Vdcを交流電圧に変換する。例えば駆動装置1はスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnと、ダイオードDup,Dvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnとを備えている。スイッチング素子Sxp,Sxn(xはu,v,wを代表する、以下同様)は直流電源線LH,LLの間で相互に直列に接続される。ダイオードDxp,Dxnはそれぞれスイッチング素子Sxp,Sxnと並列に接続される。ダイオードDxp,Dxnの順方向は直流電源線LLから直流電源線LHへ向かう方向である。スイッチング素子Sxp,Sxnを接続する接続点Pxは同期電動機2(電機子巻線22)に接続される。
駆動装置1は制御部3から制御信号を受け取る。かかる制御信号は、駆動装置1による交流電圧の印加を制御するための信号である。言い換えれば、駆動装置1は制御部3によって制御される。図1に即して説明すると、制御部3はスイッチング素子Sxp,Sxnへと制御信号(スイッチング信号)を与える。スイッチング素子Sxp,Sxnは当該スイッチング信号に基づいて導通/非導通する。適切なスイッチング信号がスイッチング素子Sxp,Sxnに与えられることで、駆動装置1は直流電圧Vdcを交流電圧に変換して同期電動機2に印加することができる。
制御部3は制御信号生成部30とγ軸電圧指令生成部31とδ軸電圧指令生成部32と座標変換部33とを備えている。制御部3の各構成については後に詳述する。
またここでは、制御部3はマイクロコンピュータと記憶装置を含んで構成される。マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップ(換言すれば手順)を実行する。上記記憶装置は、例えばROM(Read-Only-Memory)、RAM(Random-Access-Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable-Programmable-ROM)等)、ハードディスク装置などの各種記憶装置の1つ又は複数で構成可能である。当該記憶装置は、各種の情報やデータ等を格納し、またマイクロコンピュータが実行するプログラムを格納し、また、プログラムを実行するための作業領域を提供する。なお、マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップに対応する各種手段として機能するとも把握でき、あるいは、各処理ステップに対応する各種機能を実現するとも把握できる。また、制御部3はこれに限らず、制御部3によって実行される各種手順、あるいは実現される各種手段又は各種機能の一部又は全部をハードウェアで実現しても構わない。
<2.駆動装置の制御方法>
<2−1.非特許文献1の制御方法の概要>
図2は、界磁23と回転座標とを模式的に示す図である。図2では、電気的に見た界磁23が模式的に示されており、N極の磁極231とS極の磁極232とが模式的に示されている。また図2では、界磁23の磁極中心と同相な軸をd軸として示しており、d軸に対して電気角で直交する軸をq軸として示している。d軸およびq軸はd−q軸回転座標を形成し、このd−q軸回転座標は同期電動機2の回転に応じて回転する。
<2−1.非特許文献1の制御方法の概要>
図2は、界磁23と回転座標とを模式的に示す図である。図2では、電気的に見た界磁23が模式的に示されており、N極の磁極231とS極の磁極232とが模式的に示されている。また図2では、界磁23の磁極中心と同相な軸をd軸として示しており、d軸に対して電気角で直交する軸をq軸として示している。d軸およびq軸はd−q軸回転座標を形成し、このd−q軸回転座標は同期電動機2の回転に応じて回転する。
図2では、d−q軸回転座標に対して位相(以下、相差角と呼ぶ)φを有するγ−δ軸回転座標も示されている。γ−δ軸回転座標はγ軸およびδ軸によって形成される。γ軸はδ軸に対して所定の進み方向(図2では時計回り方向)において90度進む。またδ軸はd軸に対して相差角φだけ進み、γ軸はq軸に対して相差角φだけ進む。
なおここでは、同期電動機2の回転方向(界磁23の電機子21に対する回転方向)が所定の進み方向と一致するときに正転方向であると定義する。
このようなγ−δ軸回転座標において、同期電動機2の一次鎖交磁束(以下、一次磁束と呼ぶ)について考慮する。ここでいう一次磁束とは、界磁23による電機子21への鎖交磁束Λ0と、電機子21に流れる交流電流によって発生する電機子反作用の磁束との合成である。
図2に例示するように、d軸は界磁23の磁極中心と同相な軸であるので、界磁23による電機子21への鎖交磁束Λ0はd軸に沿う。よって、一次磁束のγ軸成分λ1γとδ軸成分λ1δとは、電機子巻線22を流れる交流電流のγ軸成分たるγ軸電流iγと、δ軸成分たるδ軸電流iδと、電機子巻線22のインダクタンスLとを用いて以下の式で表される。
λ1γ=L・iγ+λ2γ ・・・(1)
λ2γ=−Λ0・sinφ ・・・(2)
λ1δ=L・iδ+λ2δ ・・・(3)
λ2δ=Λ0・cosφ ・・・(4)
λ2γ=−Λ0・sinφ ・・・(2)
λ1δ=L・iδ+λ2δ ・・・(3)
λ2δ=Λ0・cosφ ・・・(4)
ここで、λ2γ,λ2δはそれぞれ鎖交磁束Λ0のγ軸成分及びδ軸成分である。なお、同期電動機2が永久磁石埋込型同期電動機のように突極性を有する場合、インダクタンスLとしてd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqおよび相差角φを変数とした公知の関係式を使用することで、永久磁石埋込型同期電動機のように突極性を有する電動機にも本実施の形態を適用できる。簡易的にはd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqの平均値で近似してもよい。
出力トルクτは一次磁束と電流との外積に基づいて算出される。より詳細には出力トルクτは以下の式で表される。
τ=np・(λ1δ・iγ−λ1γ・iδ) ・・・(5)
ここでnpは界磁23の極対数を示す。
式(5)によれば、一次磁束(λ1γ,λ1δ)を以下の式で制御すれば、同期電動機2はγ軸電流iγに比例する出力トルクτを発生する。
λ1γ=0 ・・・(6)
λ1δ=Λδ* ・・・(7)
λ1δ=Λδ* ・・・(7)
ここでΛδ*は指令値であり、適宜に設定される。一次磁束が式(6),(7)で制御されることにより、δ軸は一次磁束と同相な軸となる。
次に、一次磁束が式(6),(7)を満足するように駆動装置1を制御すべく、駆動装置1が出力する交流電圧の指令値について考察する。まず同期電動機2の電圧方程式は以下の式で表される。
vγ=R・iγ+L・P・Iγ’+L・ω1・Iδ’ ・・・(8)
vδ=R・iδ+L・P・Iδ’−L・ω1・Iγ’ ・・・(9)
vδ=R・iδ+L・P・Iδ’−L・ω1・Iγ’ ・・・(9)
ここで、vγ,vδはそれぞれ駆動装置1が出力する交流電圧のγ軸成分及びδ軸成分であり、それぞれγ軸電圧およびδ軸電圧と呼ぶ。Rは電機子巻線22の抵抗成分の抵抗値を示し、Pは微分演算子を示す。ω1は駆動装置1が出力する交流電圧の角速度を示す。Iγ’,Iδ’はそれぞれ一次磁束のγ軸成分λ1γ及びδ軸成分λ1δをインダクタンスLで除算した値である。
一次磁束のγ軸成分λ1γ及びδ軸成分λ1δは定常状態において一定であると近似することができる。よって定常状態では、式(8),(9)において右辺の第2項がいずれも零となる。更に式(6)からIγ’=0を式(8),(9)に代入し、式(7)からIδ’=Iδ*(=Λδ*/L)を式(8),(9)に代入すれば、式(6),(7)を満足するときのγ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδを以下の式で求めることができる。
vγ=R・iγ+L・ω1・Iδ* ・・・(10)
vδ=R・iδ ・・・(11)
vδ=R・iδ ・・・(11)
このように算出されたγ軸電圧vγおよびδ軸電圧vδをそれぞれγ軸電圧指令vγ*およびδ軸電圧指令vδ*として採用できるものの、このような制御はいわゆるフィードフォワード制御となる。さらに非特許文献1では電流をフィードバック制御する。そこで、電流指令値について考察する。式(1),(2)及び式(3),(4)から、それぞれ以下の式が導かれる。
Iγ’=iγ−I0・sinφ ・・・(12)
Iδ’=iδ+I0・cosφ ・・・(13)
Iδ’=iδ+I0・cosφ ・・・(13)
ここで、I0は鎖交磁束Λ0をインダクタンスLで除算した値である。式(6)からIγ’=0を式(12)に代入し、式(7)からIδ’=Iδ*を式(13)に代入すれば、γ軸電流iγについてのγ軸電流指令iγ*と、δ軸電流iδについてのδ軸電流指令iδ*とが以下の式で導かれる。
iγ*=I0・sinφ ・・・(14)
iδ*=Iδ*−I0・cosφ ・・・(15)
iδ*=Iδ*−I0・cosφ ・・・(15)
つまり、式(6),(7)を満足するときのγ軸電流iγ及びδ軸電流iδがそれぞれ式(14),(15)で表される。
ただし、ここでは、δ軸電流iδについてフィードバック制御を行い、γ軸電流iγについてはフィードバック制御を行わない。より詳細には、γ軸電圧指令vγ*およびδ軸電圧指令vδ*を以下の式で算出する。
vγ*=R・iγ+L・ω1・Iδ*+Kγ・(iδ*−iδ)/ω1・・・(16)
vδ*=R・iδ+Kδ・(iδ*−iδ) ・・・(17)
vδ*=R・iδ+Kδ・(iδ*−iδ) ・・・(17)
式(16)には角速度ω1の逆数が設けられている。これによって、非特許文献1に記載のとおり、磁束制御の特性方程式の定数項において角速度ω1の項をキャンセルすることができ、安定性を向上できる。
一方で角速度ω1が零である場合、角速度ω1の逆数を算出できないことから、非特許文献1では以下の近似式を採用する。
1/ω1=ω1/{(ω1*)^2+(0.05ωr)^2} ・・・(18)
ここでω1*は角速度ω1についての指令を示し、ωrは定格角速度を示す。またA^BはA,Bをそれぞれ底、指数とする、べき乗を意味する。
以上のように、式(15)〜(18)を用いてγ軸電圧指令vγ*及びδ軸電圧指令vδ*を算出する。そして、これらに公知の座標変換を適用して三相の相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を生成し、公知の手法により相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に基づいて駆動装置1へ与えるスイッチング信号を出力する。これにより、駆動装置1は理想的には相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*と等しい相電圧を出力する。
ただし、γ軸電圧指令vγ*及びδ軸電圧指令vδ*の算出に採用される抵抗値R及びインダクタンスLは実測値ではなく例えば公称値が採用される。しかるに、実際には製造バラツキがあるので、インダクタンスLおよび抵抗値Rはそれぞれの公称値と一致しない。よってこの制御では、実際のインダクタンスL及び抵抗値Rに応じたγ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδは同期電動機2に印加されない。同期電動機2には、インダクタンスLおよび抵抗値Rの公称値に応じたγ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδが印加されることとなる。そして、この差異がδ軸電流iδの定常偏差(定常状態での電流偏差(iδ*−iδ))を生じさせる。
なお以下では、制御に採用されるインダクタンスLおよび抵抗値Rを、それぞれインダクタンスL0(例えば公称値)および抵抗値R0(例えば公称値)とも呼ぶ。
<2−2.本実施の形態の制御方法>
<2−2−1.γ軸電圧についての積分ゲインの符号>
そこでかかる定常偏差を適切に低減すべく、本実施の形態では、γ軸電圧指令生成部31は、δ軸電流指令iδ*とδ軸電流iδとの電流偏差(iδ*−iδ)に対して、積分ゲインK(ω1)に基づく積分処理を行ってγ軸電圧指令vγ*を生成する。
<2−2−1.γ軸電圧についての積分ゲインの符号>
そこでかかる定常偏差を適切に低減すべく、本実施の形態では、γ軸電圧指令生成部31は、δ軸電流指令iδ*とδ軸電流iδとの電流偏差(iδ*−iδ)に対して、積分ゲインK(ω1)に基づく積分処理を行ってγ軸電圧指令vγ*を生成する。
このγ軸電圧指令vγ*の生成は次のようにも把握できる。即ち、γ軸電圧指令vγ**に対して、積分処理による積分項を加算する補正を行ってγ軸電圧指令vγ*を生成する、とも把握できる。より詳細には以下の式でγ軸電圧指令vγ*を算出する。
vγ*=vγ**+K(ω1)・1/s・(iδ*−iδ) ・・・(19)
ここで、sはラプラス演算子である。γ軸電圧指令vγ**は電圧方程式に基づいて生成される。例えばγ軸電圧指令vγ**は式(16)のγ軸電圧指令vγ*と等しい。ただし、比例制御は必須ではない。式(19)の右辺の第2項が上記積分項に相当する。
また積分ゲインK(ω1)は、同期電動機2の回転方向が正転方向であるときに正であり、当該回転方向が逆転方向であるときに負である。これによって、回転方向に応じて定常偏差を適切に低減することができる。以下に詳細に説明する。
δ軸電流iδとδ軸電流指令iδ*とが互いに等しいとすると、式(15)からIδ*=iδ+I0・cosφが成立する。これを式(10)に代入すると、γ軸電圧指令vγ*は以下の式で表すことができる。
vγ*=R・iγ+ω1・(L・iδ+Λ0・cosφ) ・・・(20)
なお、同期電動機2の回転方向が逆転方向である場合に角速度ω1が負となれば、回転方向が逆転方向である場合にも、式(20)が成立する。
式(20)によれば、同期電動機2の回転方向が正転方向であるときには、δ軸電流iδが高いほどγ軸電圧指令vγ*が高い。逆にいえばγ軸電圧指令vγ*の増大はδ軸電流iδの増大に資する。一方、同期電動機2の回転方向が逆転方向であるときには、角速度ω1が負となるので、δ軸電流iδが高いほどγ軸電圧指令vγ*は小さい。逆にいえばγ軸電圧指令vγ*の増大はδ軸電流iδの低減に資する。特に、角速度ω1の絶対値が高い領域では式(20)の第1項の絶対値に対して第2項の絶対値が大きくなるので、γ軸電圧指令vγ*とδ軸電流との間の上記相関が強まる。
そして本実施の形態では、積分ゲインK(ω1)は回転方向が正転方向であるときに正となり回転方向が逆転方向であるときに負となる。よって回転方向が正転方向であれば、式(19)の第2項は、δ軸電流がδ軸電流指令iδ*よりも小さいときに、正となる。よってこのときγ軸電圧指令vγ*は増大する。正転方向においてγ軸電圧指令vγ*の増大はδ軸電流iδの増大に資するので、δ軸電流iδについての定常偏差を低減できる。また式(19)の第2項は、δ軸電流がδ軸電流指令iδ*よりも大きいときに、負となる。よってこのときγ軸電圧指令vγ*は低減する。正転方向においてγ軸電圧指令vγ*の低減はδ軸電流指令iδ*の低減に資するので、δ軸電流iδについての定常偏差を低減することができる。
同様に、回転方向が逆転方向であるときにも、δ軸電流iδについての定常偏差を低減できる。したがって、式(19)のγ軸電圧指令vγ*によれば、回転方向に応じてδ軸電流iδについての定常偏差を適切に低減できるのである。
なお非特許文献1では、抵抗値Rおよび値I0(=Λ0/L)についての誤差を低減すべく、これらの推定値を用いて抵抗値Rおよび値I0を自動的に補正している。本実施の形態ではこのような自動補正は必要ではない。また抵抗値Rおよび値I0として予め設定された固定値を採用することができる。
以下、式(19)における各パラメータについて説明する。δ軸電流指令iδ*はδ軸電流iδについての指令であって式(15)で表される。さらに非特許文献1のように、相差角φを(1−iγ^2/2)で近似してδ軸電流指令iδ*を算出してもよい。より詳細には、δ軸電流指令iδ*を以下の式に基づいて算出してもよい。
iδ*=Iδ*−I0+iγ^2・I0/2 ・・・(21)
式(21)の値I0(=Λ0/L0)は予め設定された値である。指令Iδ*は例えば外部から制御部3に入力される。なお、δ軸電流指令iδ*が外部から制御部3に入力され、指令Iδ*がIδ*=iδ*+I0−iγ^2・I0/2(式(21)参照)に基づいて算出されてもかまわない。
δ軸電流iδ及びγ軸電流iγは検出値である。δ軸電流iδ及びγ軸電流iγは次のように検出される。まず同期電動機2に出力される交流電流(線電流)iu,iv,iwが検出される。図1の例示では、三相の交流電流iu,iv,iwのうち二相の交流電流iu,ivが電流検出部4によって検出される。三相の交流電流iu,iv,iwの総和は理想的には零であるので、二相の交流電流iu,ivから残りの一相の交流電流iwを算出することができる。なお駆動装置1に入力される直流電流idcを検出し、その検出時点での駆動装置1のスイッチングパターンに基づいて、当該直流電流idcを当該交流電流として検出しても良い。かかる検出方法は公知であるので詳細な説明は省略する。
検出された交流電流iu,ivは制御部3(より詳細には座標変換部33)に入力される。交流電流iu,ivは座標変換部33によって周知の座標変換が適用されて、δ軸電流iδ及びγ軸電流iγが算出される。なお座標変換に必要な角度は周知のように角速度ω1の積分により求めることができる。
角速度ω1は公知の手法で算出される。例えば角速度ω1についての指令たる角速度指令ω1*を角速度ω1として採用してもよく、或いは例えば非特許文献1と同様にして角速度ω1を以下の式で求めても良い。
ここで、Km及びTmは予め設定される定数である。
図1の例示では、制御部3には同期電動機2の回転速度ωmについての回転速度指令ωm*が入力される。角速度ω1は回転速度ωmと極対数npとの積で表されるので、角速度指令ω1*は回転速度指令ωm*と極対数npとの積で算出される。なお回転速度ωmは正転方向において正となり、逆転方向において負となる。
γ軸電圧指令生成部31は式(19)に基づいてγ軸電圧指令vγ*を生成する。例えば式(19)のγ軸電圧指令vγ**として式(16)のγ軸電圧指令vγ*を採用し、δ軸電流指令iδ*として式(21)を採用し、角速度ω1として式(22)を採用する。
またδ軸電圧指令生成部32は式(6),(7),(9)を用いてδ軸電圧指令vδ*を生成する。例えば式(17)を用いてδ軸電圧指令vδ*を生成する。ただし、式(17)の第2項はなくてもよい。
以上のようにして生成されたγ軸電圧指令vγ*とδ軸電圧指令vδ*とは、制御信号生成部30に入力される。制御信号生成部30はγ軸電圧指令vγ*とδ軸電圧指令vδ*とに基づいて、公知の手法によりスイッチング信号を生成し、これを駆動装置1へと出力する。
<2−2−2.γ軸電圧についての積分ゲインの大きさ>
式(20)において、γ軸電圧指令vγ*はインダクタンスLと角速度ω1との積(L・ω1)を項として有する。よってインダクタンスLについての製造バラツキΔLに起因するδ軸電流iδの定常偏差は、角速度ω1の絶対値が大きいほど大きい。
式(20)において、γ軸電圧指令vγ*はインダクタンスLと角速度ω1との積(L・ω1)を項として有する。よってインダクタンスLについての製造バラツキΔLに起因するδ軸電流iδの定常偏差は、角速度ω1の絶対値が大きいほど大きい。
そこで、積分ゲインK(ω1)の絶対値を角速度ω1の絶対値が大きいほど大きくなるように、予め設定してもよい。これによって、角速度ω1の絶対値が大きいほど、積分処理によるγ軸電圧指令vγ*の変動量を増大することができ、以って定常偏差を適切に低減することができる。
例えば積分ゲインK(ω1)を、角速度ω1とゲインKγ’との積(Kγ’・ω1)で設定する。ゲインKγ’の正負の極性は回転方向によらず同一であり、例えば正である。これによれば、簡単に積分ゲインK(ω1)を算出することができる。また角速度ω1が正転方向において正となり、逆転方向において負となれば、積分ゲインK(ω1)の符号も上述の説明を満足する。
<2−2−3.δ軸電圧指令についての積分処理>
δ軸電流iδの定常偏差をさらに低減するために、δ軸電圧指令生成部32は、電流偏差(iδ*−iδ)に対して積分ゲインKδ’に基づく積分処理を行ってδ軸電圧指令vδ*を生成してもよい。ただし、積分ゲインKδ’は角速度ω1に依存する必要はない。なぜなら、一次磁束制御が行われればIγ’=0であるので、式(11)により、δ軸電圧vδは角速度ω1に依存しないからである。したがって、δ軸電圧指令vδ*についての積分処理では、γ軸電圧指令vγ*についての積分処理とは異なって、角速度ω1に依存しない定数の積分ゲインKδ’を採用する。
δ軸電流iδの定常偏差をさらに低減するために、δ軸電圧指令生成部32は、電流偏差(iδ*−iδ)に対して積分ゲインKδ’に基づく積分処理を行ってδ軸電圧指令vδ*を生成してもよい。ただし、積分ゲインKδ’は角速度ω1に依存する必要はない。なぜなら、一次磁束制御が行われればIγ’=0であるので、式(11)により、δ軸電圧vδは角速度ω1に依存しないからである。したがって、δ軸電圧指令vδ*についての積分処理では、γ軸電圧指令vγ*についての積分処理とは異なって、角速度ω1に依存しない定数の積分ゲインKδ’を採用する。
なお、このようなδ軸電圧指令vδ*の生成は、δ軸電圧指令vδ**に対して積分処理による積分項を加算する補正を行ってδ軸電圧指令vδ*を生成する、とも把握できる。より詳細には以下の式を用いてδ軸電圧指令vδ*を算出する。
vδ*=vδ**+Kδ’・1/s・(iδ*−iδ) ・・・(23)
ここでいうδ軸電圧指令vδ**は、例えば式(17)のδ軸電圧指令vδ*であってもよい。ただし式(17)の右辺の第2項はなくてもよい。式(23)の右辺の第2項が積分項に相当する。
このようにδ軸電圧指令vδ*についても積分処理を行うことによって、δ軸電流iδの定常偏差を更に低減することができる。
<2−2−4.δ軸電圧指令についての積分処理の実行条件>
δ軸電圧指令生成部32は、角速度ω1の絶対値が所定値よりも低いときのみ、δ軸電圧指令vδ*についての積分処理を行ってもよい。言い換えれば、δ軸電圧指令生成部32は、角速度ω1の絶対値が所定値ωrefよりも低いときに積分処理を行ってδ軸電圧指令vδ*を生成し、角速度ω1の絶対値が所定値ωrefよりも高いときにはδ軸電圧指令vδ**をそのままδ軸電圧指令vδ*として採用してもよい。
δ軸電圧指令生成部32は、角速度ω1の絶対値が所定値よりも低いときのみ、δ軸電圧指令vδ*についての積分処理を行ってもよい。言い換えれば、δ軸電圧指令生成部32は、角速度ω1の絶対値が所定値ωrefよりも低いときに積分処理を行ってδ軸電圧指令vδ*を生成し、角速度ω1の絶対値が所定値ωrefよりも高いときにはδ軸電圧指令vδ**をそのままδ軸電圧指令vδ*として採用してもよい。
このような処理は、例えば角速度ω1の絶対値が所定値ωrefよりも高いときに零となる積分ゲインKδ’を採用することで実現できる。
或いは図3に示すように、δ軸電圧指令生成部32は、補正前指令生成部321と、スイッチ322と、比較部323と、積分処理部324とを備えていてもよい。補正前指令生成部321はδ軸電圧指令vδ**を生成する。比較部323は角速度ω1の絶対値と所定値ωref1とを比較し、その比較結果をスイッチ322に出力する。またスイッチ322の入力端322aにはδ軸電圧指令vδ**が入力される。スイッチ322は、角速度ω1の絶対値が所定値ωref1よりも大きいときに入力端322aと出力端322bとを接続し、角速度ω1の絶対値が所定値ωref1よりも小さいときに入力端322aと出力端322cとを接続する。積分処理部324は出力端322bを入力し、積分処理を行ってδ軸電圧指令vδ*を出力する。出力端322bは積分処理部324の出力端に接続される。
このようなδ軸電圧指令vδ*の生成によれば、角速度ω1の絶対値が高いときに生じるδ軸電圧vδの不要な増大を抑制できる。以下に詳述する。
角速度ω1の絶対値が所定値ωrefよりも高い状況で角速度ω1の絶対値が大きく低下した場合、電流偏差(iδ*−iδ)は比較的大きな値を採り続け、これが積分されて積分項{Kδ’・1/s・(iδ*−iδ)}が増大する。かかる積分項によってδ軸電圧指令vδ*が不要に増大することとなる。
そこで、角速度ω1の絶対値が所定値よりも低いときのみ、積分制御を行ってδ軸電圧指令vδ*を生成することで、このようなδ軸電圧vδの増大を回避するのである。
なおこのような場合であっても、γ軸電圧指令vγ*についての積分ゲインK(ω1)の絶対値は角速度ω1の絶対値が低いほど小さい値を採るので、γ軸電圧vγの増大は招きにくい。
第2の実施の形態.
第2の実施の形態にかかる電動機駆動システムの概念的な構成は図1と同一である。第2の実施の形態では、制御の安定性の向上に資する電動機駆動システムを提供する。まず非特許文献1における制御の不安定について述べる。以下に、具体的に説明する。
第2の実施の形態にかかる電動機駆動システムの概念的な構成は図1と同一である。第2の実施の形態では、制御の安定性の向上に資する電動機駆動システムを提供する。まず非特許文献1における制御の不安定について述べる。以下に、具体的に説明する。
ここでは電機子巻線22のインダクタンスLと、その抵抗成分の抵抗値Rとをそれぞれ以下の式で表す。
R=R0−ΔR ・・・(24)
L=L0−ΔL ・・・(25)
L=L0−ΔL ・・・(25)
R0,L0は上述のようにそれぞれ制御で用いる抵抗値(例えば公称値)およびインダクタンス(例えば公称値)であり、ΔR,ΔLは製造バラツキに相当する。式(24),(25)を式(8),(9)に代入すると、同期電動機2の電圧方程式は以下の式で表される。
vγ=(R0−ΔR)・iγ+(L0−ΔL)・P・Iγ'+(L0−ΔL)・ω1・Iδ' ・・・(26)
vδ=(R0−ΔR)・iδ+(L0−ΔL)・P・Iδ'−(L0−ΔL)・ω1・Iγ' ・・・(27)
vδ=(R0−ΔR)・iδ+(L0−ΔL)・P・Iδ'−(L0−ΔL)・ω1・Iγ' ・・・(27)
一方、式(16)、(17)では抵抗値R0およびインダクタンスL0が採用される。よって非特許文献1では、δ軸電圧指令vδ*とγ軸電圧指令vγ*とは以下の式で表される。
vγ*=R0・iγ+L0・ω1・Iδ*+Kγ・(iδ*−iδ)・ω1/{(ω1*)^2+(0.05ωr)^2}
・・・(28)
vδ*=R0・iδ+Kδ・(iδ*−iδ) ・・・(29)
・・・(28)
vδ*=R0・iδ+Kδ・(iδ*−iδ) ・・・(29)
そして非特許文献1に記載のように(さらに特許文献1も参照)、vγ=vγ*、vδ=vδ*が成立する場合についての特性方程式を導出すると、製造バラツキを含んだ以下の特性方程式が導出される。
角速度ω1が零であるときは、係数α2は−ΔR・Kδ/(L0)^2となり、製造バラツキΔRによっては負の値を採りえる。このとき、ラウス・フィルビッツの安定条件(α0>且つα1>0且つα2>0)が成立しない。したがって、制御の不安定を招く。
そこで制御の安定性を向上すべく、γ軸電圧指令生成部31およびδ軸電圧指令生成部32は、以下の式を用いてそれぞれγ軸電圧指令vγ*およびδ軸電圧指令vδ*を生成する。
vγ*=(R0+kγγ)・iγ+L0・ω1・Iδ*+K(ω1)・1/s・(iδ*−iδ) ・・・(31)
vδ*=R0・iδ+Kδ・(iδ*−iδ) ・・・(32)
vδ*=R0・iδ+Kδ・(iδ*−iδ) ・・・(32)
ここで、kγγは予め定められる値であり、以下では安定用定数とも呼ぶ。なお第1の実施の形態のようにδ軸電圧指令vδ*についても積分処理を採用してもよい。またδ軸電圧指令vδ*についての積分処理は角速度ω1の絶対値が所定値ωrefよりも小さいときのみ実行されてもよい。これらの点は後述する他の制御についても同様であるので、繰り返しの説明を避ける。
なおかかる指令の生成は次のようにも表現できる。即ち、γ軸電圧指令生成部31は、電機子巻線22の抵抗成分の抵抗値R0と安定用定数kγγとの和と、γ軸電流iγとの積たる項と、角速度ω1及び一次磁束のδ軸成分の指令Λδ*(=L0・Iδ*)の積たる項と、電流偏差(iδ*−iδ)および積分ゲインK(ω1)に基づく積分項との和を算出して、γ軸電圧指令vγ*を生成する。またδ軸電圧指令生成部32は、抵抗値R0及びδ軸電流iδの積たる項と、電流偏差(iδ*−iδ)及び比例ゲイン(Kδ)に基づく比例制御による第1比例項との和を算出して、δ軸電圧指令vδ*を生成する。
簡単のために積分ゲインK(ω1)(あるいはさらに積分ゲインKδ’)を零とすると、特性方程式の係数α0,α1,α2はそれぞれ以下の式で表される。
よって角速度ω1が零であるときに常に係数α1,α2の両方が正の値を採るように、製造バラツキΔRの範囲において、以下の式を満足すればよい。
Kδ−kγγ>2・ΔR・L0 ・・・(34)
−ΔR・(Kδ―kγγ)−Kδ・kγγ>0 ・・・(35)
−ΔR・(Kδ―kγγ)−Kδ・kγγ>0 ・・・(35)
製造バラツキΔRが最大値ΔRmaxを採るときに、式(34)を満たすように比例ゲインKδと安定用定数kγγを設定すれば、製造バラツキΔRによらずに常に式(34)が満足する。このとき(Kδ−kγγ)は正であるので、式(35)の左辺の第1項は製造バラツキΔRが最大値ΔRmaxを採るときに、最小となる。よって製造バラツキΔRが最大値ΔRmaxを採るときに、式(35)を満たすように比例ゲインKδと安定用定数kγγを設定すれば、製造バラツキΔRによらずに常に式(35)を満足する。したがって、以下の式を満足すればよい。
Kδ−kγγ>2・ΔRmax・L0 ・・・(36)
Kδ・kγγ>ΔRmax・(Kδ―kγγ)・・・(37)
Kδ・kγγ>ΔRmax・(Kδ―kγγ)・・・(37)
式(36)を用いると式(37)は以下のように変形できる。
Kδ・kγγ>2・ΔRmax^2・L0・・・(38)
以上のように式(36),(38)の両方を満たすように比例ゲインKδと安定用定数kγγとを設定すれば、ラウス・フィルビッツの安定条件を満足できる。よって制御を安定にすることができる。したがって、式(31)(32)を用いて生成したγ軸電圧指令vγ*及びδ軸電圧指令vδ*に基づく制御は、その安定性の向上に資する。
また式(31)において、安定用定数kγγとして、抵抗値R0と安定用定数kγγとの和が略零となる値(例えば抵抗値R0と−1との積)を採用してもよい。この場合、γ軸電圧指令vγ*は以下の式で表される。
vγ*=L0・ω1・Iδ*+K(ω1)・1/s・(iδ*−iδ) ・・・(39)
式(39)のγ軸電圧指令vγ*によれば、式(31)を採用する場合に比して、演算処理を低減することができる。
簡単のために積分ゲインK(ω1)(或いは更に積分ゲインKδ’)を零とすると、特性方程式の係数α0,α1,α2はそれぞれ以下の式で表される。
角速度ω1が零であるときに常に係数α1,α2の両方が正の値を採るように、比例ゲインKδを設定することができる。即ち、以下の式の両方を満たす比例ゲインKδを採用すればよい。
Kδ>2ΔRmax・L0−R0 ・・・(41)
Kδ>ΔRmax・R0/(R0−ΔRmax) ・・・(42)
Kδ>ΔRmax・R0/(R0−ΔRmax) ・・・(42)
以上のように式(39)(32)を用いて生成したγ軸電圧指令vγ*及びδ軸電圧指令vδ*に基づく制御は、その安定性の向上に資する。
またγ軸電圧指令vγ*について、電流偏差(iδ*−iδ)に対して比例ゲインKγに基づく比例処理を行ってもよい。より詳細には、γ軸電圧指令vγ*を以下の式を用いて算出してもよい。
vγ*=(R0+kγγ)・iγ+L0・ω1・Iδ*+{Kγ/ω1+Kγ(ω1)・1/s}・(iδ*−iδ)
・・・(43)
・・・(43)
また式(40)において角速度ω1の逆数は必ずしも必要ではない。ただし、角速度ω1の逆数を設けることで、制御の安定に資する。また角速度ω1の逆数として、式(18)を採用することができる。
なお式(43)に基づく指令の生成は次のように表現できる。即ち、γ軸電圧指令生成部31は、電機子巻線22の抵抗成分の抵抗値R0と安定用定数kγγとの和と、γ軸電流iγとの積たる項と、角速度ω1及び一次磁束のδ軸成分の指令Λδ*(=L0・Iδ*)の積たる項と、電流偏差(iδ*−iδ)と比例ゲインKγとに基づく比例項と、電流偏差(iδ*−iδ)および積分ゲインK(ω1)に基づく積分項との和を算出して、γ軸電圧指令vγ*を生成する。
式(43)を採用すれば、式(19)に比して、比例処理{Kγ/ω1・(iδ*−iδ)}が追加される。したがってこの比例処理により、電流偏差(iδ*−iδ)を速やかに低減することができる。
また簡単のために積分ゲインK(ω1)(或いは更に積分ゲインKδ’)を零とすると、特性方程式の係数α0,α1,α2はそれぞれ以下の式で表される。なおここでは式(18)を用いている。
角速度ω1が零であるときの係数α1,α2は式(33)と同じであるので、常に係数α1,α2の両方が正の値を採るように、比例ゲインKδと安定用定数kγγとを設定することができる。
なお式(43)においても安定用定数kγγとして−R0を採用してもよい。これによって演算処理を簡易にできる。
このときの特性方程式の係数α0,α1,α2は以下の式で表される。ただし、簡単のために積分ゲインK(ω1)(或いは更に積分ゲインKδ’)を零とする。
角速度ω1が零であるときの係数α1,α2は式(40)と同じであるので、常に係数α1,α2の両方が正の値を採るように、比例ゲインKδを設定することができる。
第3の実施の形態.
第3の実施の形態にかかる電動機駆動システムの概念的な構成は図1と同一である。ここでは演算処理を簡易にしてγ軸電圧指令vγ*を生成する。以下に詳細に説明する。
第3の実施の形態にかかる電動機駆動システムの概念的な構成は図1と同一である。ここでは演算処理を簡易にしてγ軸電圧指令vγ*を生成する。以下に詳細に説明する。
δ軸電流指令iδ*と指令Iδ*とは式(15)で示される関係を満たす。定常状態では相差角φをゼロに近似できるので、式(15)においてφ=0を代入すると以下の式が導かれる。
Iδ*=I0+iδ* ・・・(46)
γ軸電圧指令生成部31は式(46)を用いてγ軸電圧指令vγ*を生成する。言い換えれば、γ軸電圧指令生成部31は、一次磁束のδ軸成分の指令Λδ*をインダクタンスLで除算した指令Iδ*が、界磁23による電機子21への鎖交磁束Λ0をインダクタンスLで除算した値I0と、δ軸電流指令iδ*との和と等しいという関係を用いて、γ軸電圧指令vγ*を生成する。
より詳細には、例えば外部からδ軸電流指令iδ*がγ軸電圧指令生成部31に入力され、式(46)に基づいて指令Iδ*が生成される。そして、かかる指令Iδ*およびδ軸電流指令iδ*を用いて、第1または第2の実施の形態と同様にしてγ軸電圧指令vγ*を生成する。
或いは、例えば外部から指令Iδ*が入力され、式(46)に基づいてδ軸電流指令iδ*を生成し、これらを用いて第1または第2の実施の形態と同様にしてγ軸電圧指令vγ*を生成してもよい。
第3の実施の形態によれば、式(21)を採用する場合に比して演算処理を簡易にすることができる。
第4の実施の形態.
第4の実施の形態にかかる電動機駆動システムの概念的な構成は図1と同一である。ただし第4の実施の形態では、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2よりも低いときに、一次磁束のδ軸成分についての指令Λδ*(或いは指令Iδ*)を、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2と等しいときの指令Λδ*(Iδ*)よりも大きく設定する。以下に、その意義について述べる。
第4の実施の形態にかかる電動機駆動システムの概念的な構成は図1と同一である。ただし第4の実施の形態では、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2よりも低いときに、一次磁束のδ軸成分についての指令Λδ*(或いは指令Iδ*)を、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2と等しいときの指令Λδ*(Iδ*)よりも大きく設定する。以下に、その意義について述べる。
第1の実施の形態で述べたように、一次磁束(λ1γ,λ1δ)が式(6),(7)を満足すれば、出力トルクτをγ軸電流iγに比例させることができる。このとき、出力トルクτは以下の式で示される(式(5)も参照)。
τ=np・Λδ*・iγ ・・・(47)
理想的にはγ軸電流iγはγ軸電流指令iγ*と一致するので、式(6),(12)を用いて以下の式が導かれる。
τ=np・Λδ*・I0・sinφ ・・・(48)
ここで極対数np、値I0(=Λ0/L)はいずれも同期電動機2の構成によって決まる定数であり、指令Λδ*は設定値である。相差角φは変数であり、相差角φが90度を採るときに出力トルクτは最大値を採る。
さて、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2よりも低い低速時または起動時では、負荷トルクは定常状態に比べて大きくなる傾向がある。よって、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2よりも低いときに、指令Λδ*を増大させることで、低速時または起動時において出力トルクτが採り得る範囲(最大値)を増大させる。これによって、負荷トルクが増大したとしても、当該負荷トルクに応じた出力トルクτを出力することができる。
しかも角速度ω1の絶対値が所定値ωref2よりも高いときに、即ち負荷トルクが比較的小さいときに、より小さい指令Λδ*を採用すれば、電機子巻線22に流れる電流(例えばδ軸電流iδ)を低減できるので、消費電力を低減できる。
かかる指令Λδ*(或いはIδ*)の設定は例えば次のようにして行うことができる。即ち、一次磁束のδ軸成分についての補正前の指令Λδ**に対して、角速度ω1の絶対値に応じた補正を行って、指令Λδ*を生成する。より詳細には、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2よりも低いときに、指令Λδ**を増大させて指令Λδ*を生成し、角速度ω1の絶対値が所定値ωref2よりも高いときに指令Λδ**をそのまま指令Λδ*として採用する。
1 駆動装置
2 同期電動機
21 電機子
22 電機子巻線
23 界磁
vδ*,vγ* 電圧指令
iδ* 電流指令
2 同期電動機
21 電機子
22 電機子巻線
23 界磁
vδ*,vγ* 電圧指令
iδ* 電流指令
Claims (12)
- 界磁(23)と電機子(21)とを有する同期電動機(2)へと交流電圧を印加し、交流電流(iu,iv,iw)を出力する駆動装置(1)を制御する装置(3)であって、
前記交流電流を、δ軸と前記δ軸に対して所定の進み方向に90度進むγ軸とを有し、前記δ軸は前記界磁による前記電機子への鎖交磁束(Λ0)に対して位相(φ)を有する回転座標系におけるδ軸電流およびγ軸電流とに変換する座標変換部(33)と、
前記δ軸電流についてのδ軸電流指令(iδ*)と前記δ軸電流との電流偏差(iδ*−iδ)に対して、第1積分ゲイン(K(ω1))に基づく第1積分処理を行って第1項を求め、前記第1項に基づいて前記交流電圧の前記γ軸の成分たるγ軸電圧(vγ)についてのγ軸電圧指令(vγ*)を生成し、前記第1積分ゲインの極性は、前記進み方向と前記同期電動機の回転方向とが同じときに正であり、前記進み方向と前記回転方向とが互いに逆であるときに負であるγ軸電圧指令生成部(31)と、
前記γ軸電圧指令と、前記交流電圧の前記δ軸の成分たるδ軸電圧(vδ)についてのδ軸電圧指令(vδ*)とに基づいて、前記駆動装置による前記交流電圧の印加を制御する制御信号を生成する制御信号生成部(30)と
を備える、電動機駆動装置の制御装置。 - 前記第1積分ゲイン(K(ω1))の絶対値は前記交流電圧の角速度(ω1)の絶対値が大きいほど大きい、請求項1に記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 前記第1積分ゲイン(K(ω1))は定数の所定値(Kγ')と前記交流電圧の角速度(ω1)との積で表される、請求項1または2に記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 前記電流偏差(iδ*−iδ)に対し、第2積分ゲイン(Kδ')に基づく第2積分処理を行って前記δ軸電圧指令(vδ*)を生成するδ軸電圧指令生成部(32)を備える、請求項1から3のいずれか一つに記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 前記δ軸電圧指令生成部(32)は、前記交流電圧の角速度(ω1)の絶対値が所定値よりも低いときにのみ前記第2積分処理を行う、請求項4に記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 前記同期電動機の電機子巻線(22)の抵抗成分の抵抗値(R0)及び前記δ軸電流(iδ)の積たる第2項と、前記電流偏差(iδ*−iδ)及び比例ゲイン(Kδ)に基づく比例制御による第1比例項との和(R0・iδ+Kδ・(iδ*-iδ))を算出して、前記δ軸電圧指令(vδ*)を生成するδ軸電圧指令生成部(32)を備え、
前記γ軸電圧指令生成部(31)は、前記電機子巻線の抵抗成分の抵抗値と安定用定数(kγγ)との和と、前記交流電流の前記γ軸の成分たるγ軸電流(iγ)との積たる第3項と、前記交流電圧の角速度(ω1)及び前記鎖交磁束(Λ0)と前記電機子に流れる交流電流によって発生する電機子反作用の磁束との合成である一次磁束の指令(Λδ*)の積たる第4項と、前記第1項との和((R0+kγγ)・iγ+L0・ω1・Iδ*+K(ω1)・1/s・(iδ*−iδ))を算出して、前記γ軸電圧指令(vγ*)を生成する、請求項1から3のいずれか一つに記載の電動機駆動装置の制御装置。 - 前記安定用定数(kγγ)として、前記電機子巻線の抵抗成分の抵抗値と前記安定用定数(kγγ)との和が略零となる値を採用する、請求項6に記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 前記γ軸電圧指令生成部(31)は、前記第3項と、前記第4項と、前記第1項と、前記電流偏差(iδ*−iδ)と第2比例ゲイン(Kγ)とに基づく第2比例項との和を算出して、前記γ軸電圧指令を生成する、請求項6または7に記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 前記γ軸電圧指令生成部(31)は、前記一次磁束の前記指令(Λδ*)を前記電機子の電機子巻線のインダクタンス(L0)で除算した値(Iδ*)が、前記界磁による前記電機子への鎖交磁束(Λ0)を前記インダクタンスで除算した値(I0)と、前記δ軸電流指令(iδ*)との和と等しいという関係(Iδ*=I0+iδ*)を用いて、前記γ軸電圧指令(vγ*)を生成する、請求項6から8のいずれか一つに記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 前記角速度(ω1)の絶対値が所定値よりも小さいときの前記一次磁束の前記指令(Λδ*)を、前記角速度の絶対値が所定値と等しいときの値よりも大きく設定する、請求項6から9の何れか一つに記載の電動機駆動装置の制御装置。
- 請求項1から10の何れか一つに記載の電動機駆動装置の制御装置(3)と、
前記駆動装置(1)と、
前記同期電動機(2)と
を備える、電動機駆動システム。 - 前記界磁(23)は、コアと、前記コアの表面に張り付けられた永久磁石とを備える、請求項11に記載の電動機駆動システム。
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