以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る空調管理システム1は、ビル(施設)内の空調を管理するためのシステムである。空調管理システム1は、図1に示すように、複数の空調機器2と、空調制御装置3と、監視端末4と、電力量計測機器5と、を備える。
空調機器2、空調制御装置3及び電力量計測機器5は、専用通信線6を介して、互いに通信可能に接続されている。また、空調制御装置3及び監視端末4は、汎用通信線7を介して、互いに通信可能に接続されている。
複数の空調機器2は、ビル内の予め定めた居住空間にそれぞれ設置されている。各空調機器2は、空調制御装置3の制御の下で、設置された居室空間の温度が設定された目標温度に近づくように、居住空間(設置された場所の周辺)の空気調和を行う。具体的には、各空調機器2は、専用通信線6を介して、冷房や暖房の開始指令、停止指令、送風指令、目標温度の変更指令等の各種指令(コマンド)を空調制御装置3から受信する。そして、各空調機器2は、受信した指令に従って、リニア電磁弁の開度等を動的に制御することにより居室空間の空気調和を行う。例えば、各空調機器2は、周囲温度(室温)と目標温度との温度差が大きくなるとリニア電磁弁の開度を大きくして冷媒の流入量を増やす制御を行い、温度差が小さくなるとリニア電磁弁の開度を小さくして冷媒の流入量を減らす制御を行う。また、各空調機器2は、専用通信線6を介して、現在のリニア電磁弁の開度や運転状態を示す情報を空調制御装置3に送信する。なお、この複数の空調機器2を、以下では空調機器群8とも呼ぶ。
空調制御装置3は、空調機器群8を統括的に管理(監視、制御)する。空調制御装置3は、図2に示すように、空調機器通信部31と、監視端末通信部32と、表示装置33と、入力装置34と、データ記憶部35と、制御部36と、を備える。
空調機器通信部31は、専用通信線6のインタフェースとして機能する。この空調機器通信部31を介して、空調制御装置3と空調機器群8及び電力量計測機器5の各々との間でデータの送受信が行われる。なお、専用通信線6は必ずしも専用の通信線である必要はなく、汎用的な通信線であるLAN(Local Area Network)やRS−485インタフェースなどを用いた構成としてもよい。
監視端末通信部32は、汎用通信線7のインタフェースとして機能する。この監視端末通信部32を介して、空調制御装置3と監視端末4との間でデータの送受信が行われる。本実施形態では、監視端末4と空調制御装置3との間の通信用プロトコルとして、一般にWebブラウザで利用されるHTTPプロトコルを利用するが、必ずしもHTTPプロトコルを利用する必要はなく、WebSocketなどの他のプロトコルを用いても良い。
表示装置33は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は有機ELディスプレイなどから構成され、制御部36の制御の下、空調機器群8を管理するための各種の画面等を表示する。
入力装置34は、キーボード、マウス、タッチパネル等から構成される。なお、タッチパネルは、表示装置33の表示画面上に設置されている。管理者等が入力装置34を操作すると、その操作内容(例えば、監視画面の切り換え、空調機器群8の操作、各種設定等の指示)に応じた信号が制御部36に出力される。
データ記憶部35は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の記憶装置であり、制御部36が空調機器群8の制御を行うために必要となる各種データを記憶する。データ記憶部35によって記憶されるデータは、空調機器データD11、WebコンテンツデータD12、省エネ設定データD13及び電力量データD14に大別される。なお、データ記憶部35は、本発明の能力セーブデータ記憶手段に対応する。
空調機器データD11には、接続情報D111、運転状態データD112及び空調能力データD113が含まれる。
接続情報D111は、空調制御装置3によって管理される各空調機器2のアドレス、空調機器識別番号、操作グループ番号、機種識別情報など、各空調機器2にアクセスするために必要なデータである。また、接続情報D111は、複数の空調機器2から構成される空調ブロックを定義する情報も保持する。これにより、空調制御装置3は、空調ブロック毎に、各空調機器2にアクセスすることも可能となる。
運転状態データD112は、運転・停止状態や、冷房や暖房などの運転モード、設定温度などの各空調機器2の現在の運転状態を示すデータである。運転状態データD112は、定期的に各空調機器2から運転状態を受信することにより、随時更新される。
空調能力データD113は、各空調機器2の現在の空調能力を1〜100%の値で示したデータである。空調能力データD113は、空調機器2のリニア電磁弁の開度から求められ、空調能力データD113が大きい程、空調機器2に流入する冷媒の流入量が多いことを意味する。例えば、空調能力0%は、冷媒が流れておらず空調機器2がサーモオフ状態であることを示す。また、空調能力100%は、空調機器2が最大出力(最大冷媒量)で稼働していることを示す。空調能力データD113は、定期的に各空調機器2からリニア電磁弁の開度を受信することにより、随時更新される。
WebコンテンツデータD12は、監視端末4のWebブラウザ上に表示されるWebコンテンツを定義するデータである。WebコンテンツデータD12には、画面構成ファイルD121及び監視操作プログラムD122が含まれる。
画面構成ファイルD121は、HTML(HyperText Markup Language)等の記述言語で作成されたファイル群である。監視端末4は、画面構成ファイルD121を読み込むことにより、Webブラウザ上に監視画面や操作画面や省エネ設定画面等を表示することが可能となる。なお、監視画面は、各空調機器2の運転状態や空調能力をモニタするための画面である。操作画面は、各空調機器2に対して運転の開始や停止の指示、運転モードの変更指示、設定温度等の設定値の変更指示等を行うための画面である。省エネ設定画面は、省エネ制御を行うための設定情報等を入力するための画面である。
監視操作プログラムD122は、監視端末4によりダウンロードされて実行されるプログラムである。監視操作プログラムD122を実行することにより、監視端末4は、空調制御装置3との間で各種の通信が可能となり、監視画面の表示等を実現することが可能となる。監視操作プログラムD122は、例えば、JavaScript(登録商標)、Javaアプレット、またはFlash(登録商標)などで記述されている。
省エネ設定データD13は、省エネ制御を実行するためのスケジュールや条件などの設定データである。省エネ設定データD13には、省エネ制御タイムテーブルD131と、省エネ制御内容D132と、が含まれる。なお、省エネ設定データD13は、本発明の能力セーブデータに対応する。
省エネ制御タイムテーブルD131は、省エネ制御のサイクルとする単位時間内(30分内)で、各空調機器2の省エネ制御が実行されるタイミング(スケジュール)を規定するテーブルである。なお、本実施形態では、ビル全体の電力使用レベル毎に、対応する省エネ制御タイムテーブルD131が省エネ設定データD13に保持される。なお、電力使用レベルは、ビル内でどれくらい電力を使用しているかを表す指標であり、例えば、ビル全体の直近の電力量から算出すること可能である。
図3に、省エネ制御タイムテーブルD131の例を概念的に示す。図3に示す省エネ制御タイムテーブルD131では、単位時間(30分)を3分間毎のt0〜t9の時間区分に分割し、時間区分毎に、空調機器2の省エネ制御を実行するタイミング(○)及び実行しないタイミング(×)が設定されている。例えば、図3(A)に示す省エネ制御タイムテーブルD131からは、各空調機器2は、単位時間内に時間区分1回分(即ち、3分間)の省エネ制御が実行されることがわかる。また、図3(B)に示す省エネ制御タイムテーブルD131からは、各空調機器2は、単位時間内に時間区分2回分(即ち、6分間)の省エネ制御が実行されることがわかる。また、図3(C)に示す省エネ制御タイムテーブルD131からは、各空調機器2は、単位時間内に時間区分3回分(即ち、9分間)の省エネ制御が実行されることがわかる。
図2に戻り、省エネ制御内容D132は、各空調機器2で実行される省エネ制御の内容を示す。本実施形態では、省エネ制御内容D132として、「停止」、「サーモオフ」、「能力セーブXX%」、「設定温度±2℃」、「デマンド制御」などを設定することが可能である。なお、本実施形態では、ビル全体の電力使用レベル毎に、対応する省エネ制御内容D132が省エネ設定データD13に保持される。
電力量データD14には、実績データD141、目標データD142及び予測データD143が含まれる。
実績データD141は、ビル全体の電力量、または空調機器2全体の電力量、または各空調ブロック単位の電力量が所定時間毎(例えば、1時間毎)に記録されたデータである。
目標データD142は、ビル全体の電力量の目標を示すデータであり、日、月、年等の各スパンに応じた複数の目標を保持する。
予測データD143は、ビル全体の電力量の今後の予測値を示すデータあり、目標データD142と同様に、日、月、年等の各スパンに応じた複数の予測値を保持する。
制御部36は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ(いずれも不図示)を備え、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより、空調制御装置3の各部を制御する。また、制御部36は、機能的に、空調機器制御部36aと、省エネ制御部36bと、Webサーバ部36cと、電力量管理部36dと、を備える。
空調機器管理部36aは、各空調機器2の運転状態の監視や制御を行う。例えば、空調機器管理部36aは、空調機器通信部31を介して各空調機器2の動作状態やリニア電磁弁の開度を示すデータを受信し、受信したデータに基づいて、運転状態データD112や空調能力データD113の内容を最新の状態に更新する。また、例えば、空調機器管理部36aは、ユーザからの指示に従って、各空調機器2に冷房や暖房の開始指令や停止指令等を送信して、各空調機器2を制御する。
省エネ制御部36bは、接続された各空調機器2の運転状態を監視し、各空調機器2の使用電力量を削減するための各種の設定や制御(省エネ制御)を行う。具体的には、省エネ制御部36bは、一定時間毎に各空調機器2の停止やサーモオフ、設定温度変更等を行って電力使用量を削減するサイクリック制御や、電力使用量レベルに対する省エネルギー制御内容を予め設定しておき、指定のレベルに達すると各空調機器2を停止させるデマンド制御等を実行する。
また、省エネ制御部36b(能力セーブデータ設定手段)は、入力装置34を介して、ユーザから省エネ制御を実行するタイミングや制御内容(能力セーブデータ)の指定を受け付け、省エネ設定データD13を設定する。
また、省エネ制御部36b(省エネ制御手段)は、省エネ制御が開始されたタイミングで、省エネ制御内容D132で設定されている能力セーブ値(低減値)だけ減算した空調能力になるように、各空調機器2を制御する。例えば、能力セーブ値が20%に設定されている場合、省エネ制御部36bは、空調能力100%で運転している空調機器2に対しては80%、空調能力50%で運転している空調機器2に対しては30%の空調能力で運転するように制御する。
Webサーバ部36cは、監視端末4にWebコンテンツデータD12や空調機器データD11等を送信する。
電力量管理部36dは、ビル全体の電力量、または空調機器2全体の電力量、または各空調ブロック単位の電力量を電力量計測機器5から所定時間毎(例えば、1時間毎)に取得し、実績データD141を更新する。なお、電力量管理部36dは、各空調機器の運転時間、サーモON時間、空調能力値の積算値等に基づいて、取得した電力量を按分する機能も備えており、各空調機器2の電力量を個別に算出することも可能である。また、電力量管理部36dは、ユーザからの指示に従い、電力量の目標値を設定して目標データD142を更新する。また、電力量管理部36dは、実績データD141が示す電力量の推移等から、ビル全体の今後の電力量、空調機器2全体の今後の電力量及び空調ブロック単位の今後の電力量を予測し、予測データD143を更新する。
図1に戻り、監視端末4は、Webブラウザ機能を有したPC等であり、汎用通信線7を介して空調制御装置3からWebコンテンツデータD12を受信し、WebコンテンツデータD12に従って監視画面や設定画面等を表示する。例えば、空調制御装置3及び各利用者の監視端末4を構内LAN(又は専用のLAN)を構成する汎用通信線7に接続し、監視端末4のWebブラウザに、空調制御装置3内のWebコンテンツのURL(Uniform Resource Locator)を入力することで、監視画面等を表示することができる。以下、監視端末4の構成について詳述する。
図4に示すように、監視端末4は、通信部41と、表示装置42と、入力装置43と、データ記憶部44と、制御部45と、を備える。
通信部41は、汎用通信線7のインタフェースとして機能する。この通信部41を介して、監視端末4と空調制御装置3との間でデータの送受信が行われる。
表示装置42は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は有機ELディスプレイなどから構成され、各種の情報を表示する。例えば、表示装置42は、制御部45の制御の下、空調制御装置3から取得したWebコンテンツデータD12に基づいて、Webブラウザ上に空調機器2の監視画面や設定画面等を表示する。なお、タッチパネル(又はタッチスクリーン)など、表示装置42と入力装置43とが一体化したものを用いてもよい。タッチパネルを用いる場合は、入力装置43が、表示装置42の画面上に設置される。
入力装置43は、マウス、キーボード、又はタッチパネル等の入力用デバイスである。監視端末4は、複数種の入力装置43(マウス及びタッチパネル等)を有していてもよい。
データ記憶部44は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の記憶装置であり、制御部45が各種画面の表示処理を行うために必要となる各種データを記憶する。また、データ記憶部44は、空調制御装置3から取得した空調機器データD11やWebコンテンツデータD12や電力量データD14を一時的に記憶する。
制御部45は、空調制御装置3からWebコンテンツデータD12を取得し、WebコンテンツデータD12に基づいて、表示装置42に監視画面を表示するための処理を行う。制御部45は、機能的に、画面構成ファイル解析部45aと、監視プログラム実行部45bと、を備える。
画面構成ファイル解析部45aは、空調制御装置3から取得したWebコンテンツデータD12内の画面構成ファイルD121を読み込み、監視画面等を表示するためのテンプレートとなる画面の画面データを作成する。
監視プログラム実行部45bは、WebコンテンツデータD12内の監視操作プログラムD122を実行することにより、通信部41を介して空調制御装置3と通信を行い、各空調機器2の監視用の情報を取得し、監視画面を表示装置42に表示する。監視プログラム実行部45bは、機能的に、データ通信管理部45b1と、監視画面表示部45b2と、を備える。
データ通信管理部45b1は、定期的に又はユーザからの指示があった際に、監視操作プログラムD122を実行することにより空調制御装置3と通信を行い、空調機器データD11や電力量データD14等を取得する。
監視画面表示部45b2は、画面構成ファイル解析部45aが作成した画面データにデータ通信管理部45b1が取得したデータを合成した監視画面を表示装置42に表示する。
図1に戻り、電力量計測機器5は、ビル全体又は空調管理システム1の電力量を計測し、計測結果を空調制御装置3に出力する。
続いて、空調制御装置3による省エネ制御に関する処理の動作について説明する。
(省エネ設定処理)
始めに、省エネ制御を行うために省エネ設定データD13の設定を行う省エネ設定処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
ビルの管理者等であるユーザは、空調制御装置3の入力装置34を介して、表示装置33に表示されているメニュー画面の項目から省エネ設定メニューを選択する等の操作をする。この操作に応答して、省エネ制御部36bは、図6に示す省エネ設定画面を表示装置33に表示する(ステップS101)。ユーザは、入力装置34を操作して、省エネ設定画面上の各リストボックスの項目を選択することで、電力使用レベル毎に、省エネ制御実行時間と省エネ制御内容とを設定し、決定ボタンを押下する。なお、省エネ制御実行時間は、単位時間(30分)内に省エネ制御を実行する時間を示す。
決定ボタンが押下されると、省エネ制御部36bは、電力使用レベル毎に、設定された省エネ実行時間を満たすような省エネ制御タイムテーブルD131を作成して、省エネ設定データD13内に保存する(ステップS102)。
例えば、省エネ実行時間「3分間」と設定された場合、図3(A)に示すような省エネ制御タイムテーブルD131が作成される。この例では、各空調機器2は、単位時間(30分間)当たり、時間区分1回分、即ち3分間だけ、省エネ制御が実行されることを示す。
また、例えば、省エネ実行時間「6分間」と設定された場合、図3(B)に示すような省エネ制御タイムテーブルD131が作成される。この例では、各空調機器2は、単位時間(30分間)当たり、時間区分2回分、即ち6分間だけ、省エネ制御が実行されることを示す。
また、例えば、省エネ実行時間「9分間」と設定された場合、図3(C)に示すような省エネ制御タイムテーブルD131が作成される。この例では、各空調機器2は、単位時間(30分間)当たり、時間区分3回分、即ち9分間だけ、省エネ制御が実行されることを示す。
なお、設定された省エネ実行時間を満たすならば、どのような省エネ制御タイムテーブルD131を作成するかは自由である。例えば、各空調機器2を、図3(A)〜(C)のように規則的ではなく、ランダムに省エネ制御するように省エネ制御タイムテーブルD131を作成してもよい。
図5に戻り、続いて、省エネ制御部36bは、電力使用レベル毎に設定された省エネ制御内容に基づいて、省エネ制御内容D132を更新する(ステップS103)。なお、ステップS103の処理をステップS102の処理よりも先に行ってもよい。以上で省エネ設定処理は終了する。
(省エネ制御処理)
続いて、省エネ制御処理について説明する。なお、前提として、前述した省エネ設定処理が既に実施済みであり、データ記憶部35には、適切な省エネ設定データD13が格納されているものとする。
例えば、入力装置34を介してユーザが省エネ制御の開始を指示した場合、又は、省エネ制御の開始時刻としてスケジューリングされている時刻に達した場合、空調制御装置3の省エネ制御部36bは、図7に示す省エネ制御処理を行う。
まず、省エネ制御部36bは、単位時間(30分間)測定用のカウンタiに0を設定する(ステップS201)。
続いて、省エネ制御部36bは、現在の電力使用レベルを判別する(ステップS202)。例えば、省エネ制御部36bは、実績データD141を参照して直近1時間のビルの使用電力量を取得し、取得した使用電力量と所定の基準とを比較することにより、電力使用レベルを判別すればよい。
続いて、省エネ制御部36bは、空調機器群8を構成する空調機器2から1つを選択する(ステップS203)。
そして、省エネ制御部36bは、ステップS202で判別した電力使用レベルに対応した省エネ制御タイムテーブルD131を参照して、選択した空調機器2が、省エネ制御を開始するタイミングであるか否かを判別する(ステップS204)。本実施形態では、上述したカウンタiの現在値をnとすると、図3に示す省エネ制御タイムテーブルD131において、時間区分tnの開始時点が現時点に相当する。従って、省エネ制御部36bは、省エネ制御タイムテーブルD131の時間区分tnにおいて、選択した空調機器2に○又は×の何れかが設定されているかを確認すればよい。
例えば、対応する省エネ制御タイムテーブルD131が図3(B)に示すように与えられており、空調機器識別番号「1」の空調機器2を選択した場合を考える。この場合、現時点が時間区分t0及又はt3の開始時点であるときに、この選択した空調機器2に対して省エネ制御を開始するタイミングであると判別される。
図7に戻り、省エネ制御を開始するタイミングであると判別した場合(ステップS204;Yes)、省エネ制御部36bは、ステップS202で判別した電力使用レベルに対応した省エネ制御内容D132を取得する(ステップS205)。そして、省エネ制御部36bは、取得した省エネ制御内容D132が示す省エネ制御の内容が、能力セーブを示す制御であるか否かを判別する(ステップS206)。
制御内容が能力セーブを示す制御では無いと判別した場合(ステップS206;No)、省エネ制御部36bは、その制御内容が示すサーモオフ制御やデマンド制御等の制御を実行させるための制御コマンドを選択した空調機器2に送信し(ステップS207)、ステップS212に処理は移る。空調機器2は、受信した制御コマンドに従って、サーモオフ制御やデマンド制御等の省エネ制御を行う。
一方、制御内容が能力セーブを示す制御であると判別した場合(ステップS206;Yes)、省エネ制御部36bは、空調能力データD113が示す選択した空調機器2の現在の空調能力の値から、この制御内容が示す能力セーブ値を減算する(ステップS208)。なお、省エネ制御部36bは、減算した値がマイナスである場合は、空調能力「0%」と算出する。そして、省エネ制御部36bは、算出した空調能力値で運転するように指示する能力セーブコマンドを、選択した空調機器に送信し(ステップS209)、ステップS212に処理は移る。空調機器2は、受信した能力セーブコマンドに従って、リニア電磁弁の開度を低下させる等して、ステップS208で算出した空調能力値になるように自身を制御する。
また、省エネ制御を開始するタイミングで無いと判別した場合(ステップS204;No)、省エネ制御部36bは、ステップS202で判別した電力使用レベルに対応した省エネ制御タイムテーブルD131を参照して、選択した空調機器2が、省エネ制御の実行を停止するタイミングであるか否かを判別する(ステップS210)。例えば、対応する省エネ制御タイムテーブルD131が図3(B)に示すように与えられており、空調機器識別番号「1」の空調機器2を選択した場合を考える。この場合、現時点が時間区分t1又はt4の開始時点であるときに、この選択した空調機器2の省エネ制御を停止するタイミングであると判別される。
省エネ制御を停止するタイミングであると判別した場合(ステップS210;Yes)、省エネ制御部36bは、現在実施している省エネ制御の解除を指示する制御解除コマンドを選択した空調機器2に送信し(ステップS211)、ステップS212に処理は移る。空調機器2は、受信した制御解除コマンドに従って、実行中の省エネ制御を解除する。
一方、省エネ制御を停止するタイミングでは無いと判別した場合(ステップS210;No)、ステップS212に処理は移る。
ステップS212において、省エネ制御部36bは、空調機器群8を構成する全ての空調機器2を今回のステップS203で選択したか否かを判別する。
未選択の空調機器2がある場合(ステップS212;No)、ステップS203に処理は戻り、省エネ制御部36bは、未選択の空調機器2を選択し、省エネ制御の開始/終了タイミングを判別し、各種コマンドを送信する一連の処理(ステップS203〜ステップS211)を繰り返す。
一方、全ての空調機器2を選択した場合(ステップS212;Yes)、省エネ制御部36bは、省エネ制御タイムテーブルD131の時間区分1回分に相当する時間(3分間)待機する(ステップS213)。
そして、省エネ制御部36bは、単位時間(30分間)測定用のカウンタiに1を加算する(ステップS214)。
続いて、省エネ制御部36bは、カウンタiの値が10であるか否かを判別する(ステップS215)。
カウンタiの値が10で無い場合(ステップS215:No)、ステップS203に処理は戻る。
カウンタiの値が10である場合(ステップS215;Yes)、省エネ制御の1サイクルである単位時間(30分)が経過したこととなる。従って、ステップS201に処理は戻る。
続いて、上述した省エネ制御処理で、制御内容「能力セーブ50%」の省エネ制御を行った場合の空調機器2の空調能力の変化について、図8を用いて説明する。
この場合、図8(A)に示すように、空調能力「80%」で稼働していた空調機器2は、省エネ制御の開始時刻tAから終了時刻tBまでの間、元の80%から50%が減算された30%の空調能力で稼働するよう制御される。
また、空調能力「50%」で稼働していた空調機器2は、図8(B)に示すように、省エネ制御の開示時刻tAから終了時刻tBまでの間、元の50%から50%が減算された0%の空調能力で稼働するよう制御される。
従来、省エネ制御としてサーモオフ制御を実施した場合、サーモオフ制御は空調能力0%で制御することに相当するため、空調能力「80%」で稼働していた空調機器2は80%分の空調能力が削減され、空調能力「50%」で稼働していた空調機器2は50%分の空調能力が削減される。従って、従来では、各空調機器2に同一のサーモオフ制御を実行したにも係わらず、省エネ制御中の室温の変化率は、空調能力「80%」で稼働していた空調機器2の周辺の方が、空調能力「50%」で稼働していた空調機器2の周辺よりも大きくなってしまい、温度が急激に上昇(又は下降)して、周囲の快適性が損なわれてしまう虞があった。
これに対し、本実施形態の省エネ制御では、図8に示すように、各空調機器2で同一の能力セーブ値(この例では50%)が削減されるため、空調機器2間で省エネ制御中の室温の変化率の差が少なくなり、特定の空調機器2の周辺で温度が急激に上昇して、快適性が損なわれてしまうという問題を防止することが可能となる。
(監視画面表示処理)
続いて、監視端末4で実施される監視画面表示処理の動作について、図9のフローチャートを参照して説明する。
ユーザは、監視端末4の入力装置43を操作して、監視画面の表示を指示する。この指示に応じて、制御部45は、空調制御装置3からWebコンテンツデータD12を取得する(ステップS301)。そして、制御部45は、取得したWebコンテンツデータD12内の画面構成ファイルD121を解析して監視画面の画面データを作成する(ステップS302)。なお、ここで作成される画面データは、監視画面に表示する電力量等の情報は空欄の画面データである。
続いて、制御部45は、取得したWebコンテンツデータD12に含まれる監視操作プログラムD122を実行する(ステップS303)。そして、監視操作プログラムD122の処理として、制御部45は、空調制御装置3と通信を行い、空調機器データD11と電力量データD14とを取得する(ステップS304)。
続いて、制御部45は、ステップS302で作成した画面データに、ステップS304で取得したデータが示す各種の情報を埋め込んだ監視画面を表示装置42に表示する(ステップS305)。以上で監視画面表示処理は終了する。
ここで、ステップS305で表示される監視画面の例を図10に示す。この監視画面では、左側に、ビル全体の1日の電力量の目標と使用実績とを表示する電力量グラフA1が設けられている。なお、電力量の目標と使用実績は、空調制御装置3から受信した電力量データD14から取得すればよい。
また、この監視画面の右上には、能力セーブ値設定エリアA2が設けられている。ユーザは、この能力セーブ値設定エリアA2から、各空調機器2の能力セーブ値を設定することが可能である。具体的には、ユーザは、入力装置43を操作して、能力セーブ値設定エリアA2内のバーを左右にスライドさせ、この操作に応答して、制御部45は、スライド位置に対応する能力セーブ値を示す情報を空調制御装置3に送信する。空調制御装置3は、受信した監視端末4からのかかる情報に基づいて、省エネ設定データD13の省エネ制御内容D132を更新する。なお、この能力セーブ値設定エリアA2から指定した能力セーブ値は、全電力使用レベルで共通の能力セーブ値として設定される。また、電力使用レベル毎に、対応する能力セーブ値を設定可能な能力セーブ値設定エリアA2を別に設けてもよい。
また、この監視画面の右下には、電力量予測グラフA3が設けられている。電力量予測グラフA3には、本日の消費電力量の実績値と予測値の推移が表示される。なお、電力量の実績値と予測値の推移は、空調制御装置3から受信した電力量データD14から取得すればよい。なお、能力セーブ値設定エリアA2から能力セーブ値を変更すると、空調制御装置3の電力量管理部36dは、変更後の能力セーブ値に基づいて、ビルの電力量の推移を予測し直す。これにより、監視端末4の表示装置42で表示される監視画面(電力量予測グラフA3)を更新される。
以上説明したように、本実施形態に係る空調管理システム1によれば、各空調機器2に対して省エネ制御をする際、同一の能力セーブ値で、各空調機器2の空調能力を低減させる。従って、各空調機器2を一律にサーモオフするような省エネ制御よりも、空調機器2間で省エネ制御中の室温の変化率の差が少なくなり、特定の空調機器2の周辺で温度が急激に上昇して、快適性が損なわれてしまうという問題を防止することが可能となる。
また、本実施形態に係る空調管理システム1によれば、各空調機器2で削減するエネルギー量がほぼ同等となることで、従来のサーモオフ制御のように熱負荷の大きい場所に設定された空調機器2周辺の室温が他の空調機器2周辺と比較して極端に快適性が落ちてしまうことを防止し、熱負荷の大きい場所においても省エネルギー制御時の快適性を向上することが可能となる。
また、本実施形態に係る空調管理システム1によれば、能力セーブ値等の省エネ制御に関する設定をユーザが行うことが可能である。
また、本実施形態に係る空調管理システム1によれば、監視端末4に監視画面を表示し、能力セーブ値の設定とともに、ビル全体の電力量に関する情報(目標値、実績値、予測値等)を表示することができる。従って、ユーザは、ビル全体の電力量に関する様々な情報を容易に確認することができ、省エネ化のための対策等をより早く的確に講じることが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない部分での種々の修正は勿論可能である。
例えば、監視端末4に表示する監視画面は図10に限定されず、図11に示すような監視画面を表示してもよい。図11に示す監視画面は、各空調機器2の状態監視を目的に表示される画面である。この監視画面では、ビルのフロアの平面図が表示され、この平面図上の対応する設置位置に各空調機器2を示すアイコンB1〜B4が表示されている。また、各アイコンB1〜B4の下には、各空調機器2の現在の空調能力値(0〜100%)がグラフC1〜C4で示されている。ユーザは、この監視画面を確認することで、各空調機器2の設置場所と関連付けて、周囲の熱負荷の大小を容易に確認することができる。
また、上記実施形態では、空調制御装置3が図5に示す省エネ設定処理を行い、監視端末4が図9に示す監視画面表示処理を行う例を説明した。しかしながら、省エネ設定処理や監視画面表示処理は、空調制御装置3及び監視端末4のどちらからでも実行可能である。また、監視端末4で実行される全ての処理は、空調制御装置3においても実行可能である。
また、上記実施形態では、省エネ制御処理において、現在の空調能力値から能力セーブ値を減算し、減算後の空調能力値が示す空調能力で稼動するように各空調機器2を制御した。しかしながら、各空調機器2の空調能力値を、電力使用レベルに応じて予め設定された割合だけ低減させ、各空調機器2を低減後の空調能力値が示す空調能力で稼動するように制御してもよい。
また、例えば、本実施形態に係る空調制御装置3の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータや情報端末機器等に適用することで、当該パーソナルコンピュータ等を本発明に係る空調制御装置3として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。