以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
まず、図1及び図2にて、画像形成装置全体の構成及び動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、中間転写ユニット10の中間転写ベルト11に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y,6M,6C,6Bkが並設されている。なお、装置本体100に設置される4つの作像部6Y,6M,6C,6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2において、作像部6と感光体ドラム1と1次転写バイアスローラ9とにおける符号のアルファベット(Y,M,C,Bk)を省略して図示する。
図2を参照して、作像部6は、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4、現像部としての現像装置5、クリーニング部2等で構成されている(図1では現像装置5のみ表示)。感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2は、それぞれ、画像形成装置本体100に対して着脱自在に設置できるように構成されている。そして、それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換可能となっている。
なお、本実施形態では、作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2を、それぞれ、単独のユニットとしたが、これらを一体化して、装置本体100に着脱自在に設置されるプロセスユニットとすることもできる。その場合、作像部6のメンテナンスを行う際の作業性が向上する。
図2に基づき、作像部6における現像装置5の構成についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置5は、感光体ドラム1に対向する現像剤担持体としての現像ローラ51、現像ローラ51の下方に設置された現像剤規制部材としてのドクターブレード52、現像剤収容部53,54内に配設された現像剤攪拌搬送部材としての2つの搬送スクリュー55,56、現像剤Gを収容するケース50等で構成されている。ここで、現像剤Gとしては、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を用いている。また、現像装置5には、現像剤G中のトナー濃度を検知する図示しないトナー濃度センサが設けてある。
図2を参照して、感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4の位置で、帯電ローラ4aにより感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、現像装置5の現像ローラ51との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト11及び第1転写バイアスローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト11上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって回収される(クリーニング工程)。
最後に、感光体ドラム1の表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
なお、上述した作像プロセスは、4つの作像部6Y,6M,6C,6Bkで、それぞれ行われる。すなわち、図1に示す読み取り部32で読み取った画像情報に基づいて、作像部の下方に配設された図示しない露光部から、レーザ光L(図2参照)が、各作像部6Y,6M,6C,6Bkの感光体ドラム1上に向けて照射される。詳しくは、露光部は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム1上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体ドラム1上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト11上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト11上にカラー画像が形成される。
4つの1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9BKは、それぞれ、中間転写ベルト11を感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Bkに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト11は、図の矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Bkの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bk上の各色のトナー像が、中間転写ベルト11上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト11は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト11を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト11上に形成されたカラートナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の被転写材P上に転写される。このとき、中間転写ベルト11には、被転写材Pに転写されなかった未転写トナーが残存するが、中間転写ベルト11上の残存トナーは図示しないベルトクリーニング装置によって除去される。
こうして、中間転写ベルト11上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された被転写材Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の被転写材Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の被転写材Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対28に搬送された被転写材Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト11上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、被転写材Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、被転写材P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された被転写材Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。
その後、被転写材Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置本体100外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
また、図1において、中間転写ユニット10の上方には、トナー補給部31が配設されている。トナー補給部31は、各色のトナーが充填された4つのトナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkを有する。各トナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkからは、対応する現像装置5Y,5M,5C,5Bkにトナー搬送経路が延びており、このトナー搬送経路を介して、トナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkから現像装置5Y,5M,5C,5Bkにトナーが供給されるようになっている。これにより、各現像装置5Y,5M,5C,5Bkでのトナー消費量に応じてトナーを新たに供給することができ、長期に亘って現像装置を利用することが可能である。
上記4つのトナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkは、異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、以下、1つのトナー補給装置の構成について説明する。
図3は、トナー補給装置の斜視図である。なお、図3において、トナー補給装置60における符号のアルファベット(Y,M,C,Bk)は省略している。
図3に示すように、トナー補給装置60は、トナーを充填したトナー収容器(粉体収容器)としてのトナーカートリッジ61と、トナーカートリッジ61を保持する保持部材としての引出トレイ62と、トナーカートリッジ61を固定する固定部63と、トナーカートリッジ61から排出されたトナーを貯留するトナー貯留部(粉体貯留部)としてのサブホッパ64等によって構成されている。また、サブホッパ64には、内部に貯留されたトナーを現像装置に向けて搬送するための図示しないトナー搬送パイプが接続されている。
引出トレイ62は、本体側フレーム65に対して水平方向に移動可能に取り付けられている。引出トレイ62を図の矢印X1方向に移動させた場合は、引出トレイ62を装置本体から引き出すことができ、反対に、引出トレイ62を図の矢印X2方向に移動させた場合は、引出トレイ62を装置本体に収容できるようになっている。
図4は、トナーカートリッジ61の構成図である。同図において、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は断面図を示す。
図4に示すように、トナーカートリッジ61は、粉体としてのトナーを収容するトナー収容部(粉体収容部)66と、トナー収容部66内のトナーを外部へ排出するための排出部67によって構成されている。
図4(d)に示すように、トナー収容部66は、一端部側で開口したトナー投入口(粉体投入口)66aを有する変形可能な長手状の袋部材で構成されている。このトナー収容部66の素材としては、柔軟な素材が用いられ、例えば、PET製の薄いシート材などが挙げられる。図4に示すトナー収容部66は、4枚のシート材を貼り合わせて構成したものであるが、1枚のシート材を袋状につなぎ合わせて構成することも可能である。また、トナー収容部66には、トナー投入口66aからトナーを充填しやすいように、トナー投入口66aを開口した状態に保持する開口保持部材68が設けられている。
排出部67には、トナーを導入するための導入口67aと、トナーを排出するための排出口67bとが形成されている。本実施形態では、排出口67bは下方を臨むように配設されている。これにより、トナーを排出口67bから重力によって落下させてサブホッパ64へ送ることができ、トナーを排出する構成の簡素化を図ることが可能である。また、排出部67内には、導入口67aから排出口67bに向かって下方に傾斜した傾斜面67cが設けられており、トナーが排出口67bへスムーズに搬送されるようになっている。この傾斜面67cの水平面に対する傾斜角度は、10°以上に設定することが望ましい。また、排出口67bの底面(下面)には、排出口67bを開閉するためのスライドシャッタ67dが図4(b)の矢印Y方向にスライド移動可能に設けられている。
図5は、トナーカートリッジ61の分解図である。同図において、(a)は排出部67の斜視図、(b)は開口保持部材68の斜視図、(c)は開口保持部材68をトナー収容部66に設けた状態の斜視図を示す。
図5(b)に示すように、開口保持部材68は、短筒状の挿入部68aと、フランジ状の連結部68bとが一体成型されて構成されている。図5(c)に示すように、挿入部68aは、トナー収容部66のトナー投入口66aに挿入可能となっている。本実施形態では、トナー収容部66と開口保持部材68とを熱容着にて接着するようにしているが、接着剤等により接着してもよい。また、熱容着する際に、挿入部68aの挿入箇所を図5(c)の上下方向から抑えやすいように、挿入部68aの外形は略六角形状に形成されている。
図5(a)に示すように、排出部67の導入口67a側には、開口保持部材68の連結部68bと係合可能な一対の溝部67eが設けられている。上記のように、開口保持部材68をトナー収容部66に挿入して接着した後、開口保持部材68を溝部67eに上方から挿入して係合させることにより、トナー収容部66と排出部67とを一体的に連結させることが可能となっている。また、排出部67の開口保持部材68との連結部には、当該連結部からトナーが漏れないようにシール材69が設けられている。
図6(a)は、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着する前の状態を示す平面図、同図の(b)は、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着した状態を示す平面図である。
図6(b)に示すように、排出部67の両側面にはそれぞれ凹部67fが設けられている。一方、各凹部67fに対応する引出トレイ62の部位には、凸部62aが設けてあり、各凸部62aは対応する凹部67f内に挿入可能となっている。また、トナー収容部66の排出部67側とは反対側の端部には、相手側の係止部に係止される被係止部としての孔部66bが形成されている。一方、孔部66bに対応する引出トレイ62の部位には、係止部としてのフック状の引っ掛け部62bが設けられている。
そして、この引っ掛け部62bを孔部66bに挿入して係止すると共に、上記凸部62aを上記凹部67f内に挿入することによって、トナーカートリッジ61は引出トレイ62に対して装着された状態となる。また、このようにトナーカートリッジ61を装着した状態では、通常、凸部62aと凹部67fは互いに非接触状態となっている。しかし、引出トレイ62を装置本体に対し引き出す又は収容する際に、トナーカートリッジ61が長手方向に移動した場合、凸部62aが凹部67fに当接することでトナーカートリッジ61の長手方向の移動を規制するようになっている。
また、トナーカートリッジ61を引出トレイ62から取り外すには、凹部67fを凸部62aから離脱させ、引っ掛け部62bを孔部66bから離脱させればよい。本実施形態では、各凸部62a(又は各凹部67f)は、互いに同じ形状に形成されているが、異なる形状とすることで、トナーカートリッジ61の誤装着を防止することも可能である。
図7は、上記固定部63の拡大図である。同図において、(a)は固定部63にトナーカートリッジ61を固定する前の状態を示し、(b)は固定部63にトナーカートリッジ61を固定した状態を示す。
図7に示すように、固定部63は、サブホッパ64の上部に接続された本体部70と、本体部70の上部に取り付けられた固定アーム71と、固定アーム71と本体部70とに渡って取り付けられたバネ部材72と、固定アーム71よりも下方で本体部70に取り付けられたシャッタ開放部材73を有している。なお、固定アーム71、バネ部材72及びシャッタ開放部材73は、それぞれ、図の手前側と奥側に1つずつ設けられている。
固定アーム71は、凹部71aを有する略C字状に形成されている。また、固定アーム71は、その中間部に配設された水平方向の支軸71bを中心に本体部70に回動可能に取り付けられている。この支軸71bを中心に固定アーム71が回動することで、固定アーム71は、図7(a)に示す固定解除位置と、図7(b)に示す固定位置とに切り換えられるようになっている。
バネ部材72は、引張コイルバネであり、その一端部は固定アーム71に取り付けられ、他端部は本体部70に取り付けられている。図7(a)(b)に示すように、固定アーム71が固定位置と固定解除位置との間で回動すると、バネ部材72の固定アーム71に取り付けられた端部が固定アーム71の回動支点(支軸71b)を越えて移動するようになっている。このように、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が回動支点を越えることで、バネ部材72は固定アーム71をその回動させる方向へ付勢するようになっている。
一方、排出部67には、上記固定アーム71によって固定される被固定部としての突起部67gが設けられている。この突起部67gは、排出部67の両側面にそれぞれ1つずつ設けられている(図4(a)又は(c)参照)。
シャッタ開放部材73は、水平方向の支軸73bを中心に本体部70に回動可能に取り付けられている。また、シャッタ開放部材73は、排出部67に設けられたスライドシャッタ67dの凸部670dを保持するための凹部73aを有する。
また、固定部63の本体部70には、切欠き部70aが形成されている。一方、排出部67の両側面には、それぞれ、前記切欠き部70aの上部に当接可能なL字状の突片部67hが突設されている。
トナーカートリッジ61を固定部63に固定するには、まず、上記図6において説明したようにトナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着する。そして、引出トレイ62を装置本体に収容する方向(図3の矢印X2方向)へ移動させる。この収容動作に伴って、図7(a)に示すように、トナーカートリッジ61の排出部67が固定部63に接近すると、排出部67に設けてある突起部67gが固定アーム71の一端部(図の下方の端部)71cに当接し、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の反時計方向に回動させる。これにより、固定アーム71は、図7(a)に示す固定解除位置から図7(b)に示す固定位置へと切り換えられる。その結果、図7(b)に示すように、突起部67gは、固定アーム71の凹部71a内に収容されると共に、固定アーム71の他端部(図の左側の端部)71dと本体部70の縁とによって挟まれて固定される。また、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が固定アーム71の回動支点を越えると、バネ部材72は固定アーム71を切換後の位置に保持する方向に付勢するようになる。
また、トナーカートリッジ61の排出部67が固定部63に接近することにより、排出部67に設けてある突片部67hが本体部70の切欠き部70aに挿入され、突片部67hが切欠き部70aの上部に当接する(図7(b)参照)。これにより、排出部67の上下方向のがたつきが防止される。
さらに、排出部67に設けてあるスライドシャッタ67dがシャッタ開放部材73に当接し、シャッタ開放部材73を図の時計方向へ回動させる。そして、図7(b)に示すように、スライドシャッタ67dの凸部670dがシャッタ開放部材73の凹部73aに挿入され保持される。また、このとき、シャッタ開放部材73が回動して本体部70に当接することにより、シャッタ開放部材73のそれ以上の回動が規制されるため、スライドシャッタ67dはシャッタ開放部材73によって排出部67の後方へと押されて移動する。これにより、スライドシャッタ67d(排出口)が開放され、排出部67からサブホッパ64へトナーを排出することが可能となる。
以上のようにして、トナーカートリッジ61の固定部63への固定が完了する。
また、トナーカートリッジ61の固定を解除する場合は、引出トレイ62を装置本体に対して引き出す方向(図3の矢印X1方向)へ移動させる。この引出動作により、トナーカートリッジ61は図7(b)において左方向へ移動し、排出部67に設けてある突起部67gが固定アーム71の他端部71dを押して、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の時計方向に回動させる。これにより、固定アーム71は図7(b)に示す固定位置から図7(a)に示す固定解除位置へ移動し、突起部67gが固定アーム71から離脱する。また、これと同時に、排出部67に設けてある突片部67hとスライドシャッタ67dとが、それぞれ切欠き部70aとシャッタ開放部材73とから離脱し、トナーカートリッジ61の固定が解除される。また、シャッタ開放部材73から離脱したスライドシャッタ67dは、図示しないバネ等の付勢力を受けて排出口を閉塞する方向にスライド移動させられるようになっており、排出口からのトナー漏れを防止する。
上記のように、本実施形態では、引出トレイ62の引出・収容操作(固定部63への着脱動作)に連動して、固定アーム71の回動操作と、スライドシャッタ67dの開閉動作を行うことができるので、トナーカートリッジ61の固定及びその解除と、排出口の開閉を容易に行うことができ、操作性に優れる。また、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が固定アーム71の回動支点を越えることにより、バネ部材72は固定アーム71をその回動させる方向へ付勢するようになるので、固定アーム71を切換後の位置で確実に保持することが可能である。さらに、突片部67hが切欠き部70aに当接することにより、排出部67の上下方向のがたつきを防止できるので、トナーカートリッジの固定状態を安定させることができる。なお、本実施形態では、トナー収容部66と排出部67とを一体として、引出トレイ62に対して着脱されるように構成しているが、排出部67が引出トレイ62(又は固定部63)に据え置きになっていて、トナー収容部66を着脱するように構成してもよい。
図8は、引出トレイ62の斜視図である。
図8に示すように、引出トレイ62は、上記トナーカートリッジ61の両側面を支持する一対の側壁62cと、トナーカートリッジ61を載置する載置面62dとを有する。各側壁62cの図の手前側の端部には、上記本体側フレーム65に取り付ける際に主基準となる主基準軸62eが配設されている。なお、本実施形態では、この主基準軸62eは、後述のトナー搬送装置に駆動力を伝達する伝達ギヤ74の支軸として用いられている。また、各側壁62cの図の奥側の端部には、それぞれ本体側フレーム65に取り付ける際に従基準となる従基準軸62fが1つずつ配設されている。
図9は、引出トレイ62を本体側フレーム65に取り付けた状態の斜視図である。
図9に示すように、本体側フレーム65は、引出トレイ62の引出方向X1及び収容方向X2に伸びる一対のガイドレール65aを有する。また、各ガイドレール65aの上端縁は、引出トレイ62の両側壁62cに形成された溝62g内に挿入されている。これにより、引出トレイ62はガイドレール65aに沿って引出方向X1と収容方向X2とに移動可能に構成されている。
また、本体側フレーム65の図の手前側の端部には、引出トレイ62の上記主基準軸62eと嵌合可能な第1の位置決め凹部65bが形成され(図10参照)、本体側フレーム65の図の奥側の端部には、上記従基準軸62fと嵌合可能な第2の位置決め凹部65cが形成されている。これにより、引出トレイ62を収容方向X2に移動させた際、主基準軸62e及び従基準軸62fが、第1及び第2の位置決め凹部65b,65cに挿入されて互いに嵌合することにより、引出トレイ62は本体側フレーム65に対して所定の位置に位置決めされるようになっている。
また、図9に示すように、本体側フレーム65の図の手前側の端部には、駆動装置によって駆動される駆動ギヤ75が設けられている。この駆動ギヤ75は、引出トレイ62を収納し本体側フレーム65に位置決めされた状態で、伝達ギヤ74と連結されるようになっている。
また、図11に示すように、本体側フレーム65には、引出トレイ62を加圧して固定する加圧部材76が設けられている。本実施形態では、加圧部材76を2つのレバーを組み合わせたもので構成している。引出トレイ62を収容方向X2に移動させた際、これら2つのレバーで引出トレイ62の下面に設けた凸部62hを挟み込むように加圧することによって、引出トレイ62を第1及び第2の位置決め凹部65b,65c側へ押し付けて固定するようになっている。
また、図12に示すように、引出トレイ62には、トナー収容部66内のトナーを排出部67側へ搬送するためのトナー搬送装置(粉体搬送装置)8が設けてある。以下、図12〜図15に基づき、トナー搬送装置8の構成を詳しく説明する。
図13に示すように、上記トナー搬送装置8は、ベース部材80と、ベース部材80に取り付けられた送出部材81及び一対の脚部材82と、ベース部材80を移動させる移動手段としてのベルト部材83と、ベース部材80をガイドするガイド部材としての一対のガイドレール84等によって構成されている。なお、図13において、手前側のガイドレール84は図示省略している。
ベース部材80は、上部80aと下部80bとに分割されており、これら上部80aと下部80bによってベルト部材83を挟み込むことによって、ベルト部材83にベース部材80が取り付けられている。ベルト部材83は、無端状のベルトで構成されており、引出トレイ62に設けられた2つのローラ77,78(図12参照)によって張架されている。一方のローラ77に上記伝達ギヤ74(図8参照)から駆動力が伝達されることにより、ベルト部材83は正逆両方向に回転可能に構成されている。このように、ベルト部材83が正方向又は逆方向に回転することによって、ベース部材80と、これに取り付けられた送出部材81及び脚部材82は、一体的に、排出部67側へ向かう送出方向Z1と、それとは逆方向の戻り方向Z2とに、往復移動可能となっている。
また、ベース部材80の両側面には、ガイドレール84上を転動する回転体としてのコロ85が2つずつ設けてある。このように、ベース部材80にコロ85を設けることで、ベース部材80がガイドレール84に沿って円滑に移動できるようになっている。なお、一対のガイドレール84は、引出トレイ62に固定されている。
また、図13に示すように、送出部材81と脚部材82は、水平方向の支軸86を介して互いに開閉可能に取り付けられている。詳しくは、送出部材81と脚部材82は、それぞれ、前記支軸86を中心に互いに独立して回動可能に構成されており、送出部材81又は脚部材82が当該支軸86を中心に回動することで、送出部材81と脚部材82は互いに開閉可能となっている。また、送出部材81と脚部材82は、図示しない付勢部材としての捩りコイルバネによって互いに開く方向に付勢されている。また、送出部材81には、脚部材82を閉じた際に当該脚部材82を収容するための収容凹部81aが形成されている。
図14は、送出部材81と脚部材82の側面図である。
図14に示すように、脚部材82は、上記引出トレイ62の載置面62dに当接しており、この載置面62dに沿って送出方向Z1と戻り方向Z2に往復移動可能となっている。すなわち、載置面62dは、脚部材82をガイドするガイド面としての機能も有する。上記のように、送出部材81と脚部材82は捩りコイルバネによって互いに開くように付勢されているが、脚部材82は、載置面62dに当接することによって水平方向に配設された状態で支持されている。一方、送出部材81は、水平方向に支持されている脚部材82に対して送出方向Z1(排出部67側)へ回動して開くように付勢されているが、図示しないストッパー等の規制部が前記捩りコイルバネの付勢力に抗して送出部材81の開く方向への回動を規制している。これにより、送出部材81は載置面62dに対して起立した状態(図の実線で示す状態)となるように支持されている。このように、載置面62dと規制部とによって、送出部材81が載置面62dに対して所定の起立した状態となるように、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は所定の角度αに保持されている。
また、図14において、開き角度βは、送出部材81を上記規制部によって規制しないようにした場合の角度である。すなわち、この角度βは、上記捩りコイルバネが自然状態である場合の開き角度を示す。図14に示すように、自然状態の捩りコイルバネによって保持される開き角度βは、送出部材81が所定の起立した状態となる開き角度αより大きく、かつ、180°よりも小さい範囲内で設定されている。
図15において、矢印H1、H2、H3で示す範囲は、それぞれ、送出部材81の移動範囲である。本実施形態では、これら3種類の移動範囲H1,H2,H3のうち、いずれかを選択して送出部材81を移動させる。すなわち、送出部材81の移動範囲は可変となっている。ただし、各移動範囲H1,H2,H3における上記トナーカートリッジ61の排出部67側の端部(図15の左側の端部)の位置は、全て同じ位置に設定されている。また、各移動範囲H1,H2,H3の両端部には、脚部材82が侵入可能な複数の凹部62i〜62lが設けられている。これらの凹部62i〜62lを設けることで、送出部材81を載置面62dに対して起立した状態と倒れた状態とに切換可能としている。なお、凹部の代わりに、貫通した孔部とすることも可能である。
以下、図16と図17に基づき、送出部材81を起立した状態と倒れた状態とに切り換える切換動作について説明する。
まず、最小の移動範囲H1で送出部材81を往復移動させる場合を例に、そのときの送出部材81の切換動作を説明する。
図16(a)は、送出部材81が、送出方向Z1の端部側の凹部62iに到達する前の状態を示す。この状態では、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、図示しない規制部と載置面62dによって所定の角度αに保持されており、送出部材81は載置面62dに対して所定の起立した状態となっている。
そして、図16(b)に示すように、送出部材81が送出方向Z1に移動し、脚部材82が凹部62iの位置に到達すると、この位置では脚部材82を支持する載置面62dが存在しないため、脚部材82は図示しない捩りコイルバネの付勢力を受けて下方に開き、脚部材82が凹部62i内に侵入する。このときの送出部材81と脚部材82との間の開き角度は、上記捩りコイルバネの自然状態で保持される角度βとなる。
その後、図16(c)に示すように、移動方向が切り換えられ、送出部材81が戻り方向Z2へ移動すると、脚部材82が凹部62iの縁(開口部付近)に当接し、脚部材82の先端が上方へ持ち上げられる。このように脚部材82が持ち上げられ、さらに開く方向に脚部材82が回動すると、開き角度が上記角度βより大きくため、上記捩りコイルバネによる付勢力は閉じる方向へ作用する。その結果、送出部材81は閉じる方向に付勢力を受け載置面62d上に倒される。
そして、図16(d)に示すように、脚部材82が凹部62iから脱すると、送出部材81及び脚部材82は、載置面62d上に水平状に倒れた状態で保持される。詳しくは、この状態で、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、180°に近い角度に開いているため、送出部材81と脚部材82は捩りコイルバネによって互いに閉じる方向に付勢力を受けているが、載置面62dによって送出部材81と脚部材82の回動が規制されているので、送出部材81と脚部材82は水平状に倒れた状態で保持される。なお、送出部材81と脚部材82は、互いに180°以上開かないように構成されている。
図17(a)は、上記のようにして倒された送出部材81が、戻り方向Z2の端部側の凹部62jに到達する前の状態を示す。この状態では、上記図16(d)に示す状態と同様に、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、180°に近い角度に開いており、送出部材81と脚部材82は載置面62d上で水平状に倒れた状態で保持されている。
そして、図17(b)に示すように、脚部材82が凹部62jの位置に到達すると、この位置では脚部材82を支持する載置面62dが存在しないため、脚部材82は上記捩りコイルバネの付勢力を受けて下方に閉じ、脚部材82が凹部62j内に侵入する。また、このときの送出部材81と脚部材82との間の開き角度は、捩りコイルバネの自然状態で保持される角度βとなる。なお、送出部材81は、凹部62j内に侵入できないように構成されているため、送出部材81は凹部62j上を通過する。
その後、図17(c)に示すように、移動方向が切り換えられ、送出部材81が送出方向Z1へ移動すると、脚部材82が凹部62jの縁(開口部付近)に当接し、脚部材82の先端が上方へ持ち上げられる。このように脚部材82が持ち上げられ、さらに閉じる方向に脚部材82が回動すると、開き角度が上記角度βより小さくため、上記捩りコイルバネによる付勢力は開く方向へ作用する。その結果、送出部材81は開く方向に付勢力を受け起立させられる。
そして、図17(d)に示すように、脚部材82が凹部62jから脱すると、送出部材81は、所定の開き角度αで起立した状態に保持される。
以上、凹部における送出部材81の切換動作について、最小の移動範囲H1での往復移動を例に説明したが、その他の移動範囲H2,H3で送出部材81を往復移動させる場合も、両端部に設けられた凹部での切換動作は上記と同様であるので、説明を省略する。ただし、最小よりも大きい移動範囲H2,H3で送出部材81を移動させる場合、送出部材81の往路と復路の途中にある凹部では、図18に示すカバー部材90によって、脚部材82が侵入しないようになっている。
図15において、カバー部材90は、送出部材81の移動方向に並ぶ4対の凹部62i〜62lのうち、同図の左から2番目と3番目の2対の凹部62j,62kに設けられている。図18に示すように、カバー部材90は、図示しない駆動手段によって水平方向に移動可能に設けられている。カバー部材90が水平方向に移動することで、凹部62j,62kが開閉可能となっている。
具体的に、最小の移動範囲H1で送出部材81を往復移動させる場合は、図15の左から2番目にある凹部62jはカバー部材90で閉鎖せず開放した状態にする。また、それよりも一段階大きい移動範囲H2で送出部材81を移動させる場合は、図15の左から2番目にある凹部62jはカバー部材90で閉じ、同図の左から3番目にある凹部62kは開放した状態にする。また、最大の移動範囲H3で送出部材81を移動させる場合は、図15の左から2番目と3番目の凹部62j、62kをいずれもカバー部材90で閉じた状態にする。
このように、本実施形態では、通過する凹部をカバー部材90で閉鎖することで、脚部材82がその凹部内に侵入することにより送出部材81が往路と復路の途中で倒れるのを防止することができる。その結果、送出部材81が凹部通過時に倒れることによるトナーの送り出し機能の一時的な損失を防止できる。また、脚部材82が通過する凹部内に侵入するのを防止することにより、凹部通過時の振動や衝突音の発生も回避できる。
なお、カバー部材90を設けていなくても、上記送出機能の一時的な損失や、凹部通過時における振動及び衝突音は生じるが、送出部材81を往復移動させることはできるので、トナー搬送を行うことは可能である。
以下、送出部材81によるトナー送出動作(搬送動作)につて説明する。
図19(a)に示すように、引出トレイ62にトナーカートリッジ61を装着した状態で、トナー収容部66の下面が、起立した送出部材81によって内側へ押し込まれた状態となっている。この状態で、送出部材81が送出方向Z1に移動することで、トナー収容部66内のトナーTが排出部67側へ移動させられる。そして、排出部67側へ移動させられたトナーTは、慣性力と重力によって排出部67から下方へ排出される。
また、排出部67側に移動した送出部材81は、その後、反対方向へ移動し、元の位置へ戻される。このとき、送出部材81は倒れた状態に切り換えられるので、戻り方向Z2へ移動する送出部材81によってトナーが戻されるのを防止することが可能である。
続けて、送出部材81の移動範囲の可変方法について説明するが、その前に、まず、図19を用いて、送出部材81の移動範囲を可変しない場合の問題点について説明する。
図19では、送出部材81の移動範囲を、図15における最大の移動範囲H3のみに設定している。
図19(a)に示すように、トナー収容部66内のトナーTの残量がある程度減った状態では、送出部材81は移動開始位置で起立した状態となっている。その後、送出部材81が送出方向Z1に移動しても、その間、送出部材81は起立した状態で保持される。
しかし、図19(b)に示すように、トナー収容部66内にトナーTが大量に充填されている状態では、移動開始時、送出部材81は倒れた状態となる。これは、トナー収容部66内にトナーTが大量に存在する箇所では、トナーTが詰まっていることでトナー収容部66が硬くなっていると共に、トナーTの重量で重くなっているからである。このため、送出部材81は、トナーTが大量に存在する箇所では倒れた状態のまま送出方向Z1に移動し、図19(c)に示すように、送出部材81が排出部67付近のトナーTの比較的少ない位置に達すると、送出部材81は起立した状態となる。
このように、図19に示す例では、送出部材81による押し込み量がトナー収容部66内のトナー量に応じて変化し、特に、トナー収容部66内のトナー量が多い場合は、トナーの重量等の影響により送出部材81はほとんど倒れた状態で移動する。このため、送出部材81のトナー送出機能があまり発揮されない移動時間帯が多くなり、その間の動力や駆動時間に無駄が生じてしまうといった問題がある。
そこで、本実施形態では、以下のように、送出部材81の移動範囲を可変するようにしている。
図20〜図22は、本実施形態に係る送出部材の制御フローの一例を示す図である。
以下、図20〜図22を参照しつつ、本実施形態に係る移動範囲の可変方法について説明する。
図20に示すように、最初、送出部材81の移動範囲は最小の移動範囲H1に設定されている(図20のS1)。その後、トナー補給指示があった場合は、送出部材81を往復移動させてトナーを供給するが、トナー補給を行うか否かの判断は、供給先であるサブホッパ64内のトナー量に基づいて行われる。具体的には、図示しないトナー量検知センサ(粉体量検知手段)でサブホッパ64内のトナー量が予め設定した所定量以上か否かを検知することにより判断する(図20のS3)。トナー量検知センサとしては、超音波センサ、透過型光学センサ、あるいは反射型光学センサなど、サブホッパ64内のトナー量を、体積や嵩などで検知できるものであればよい。
トナー量検知センサでサブホッパ64内のトナー量を検知した結果、トナー量が所定量を下回っていた場合は、送出部材81を最小の移動範囲H1で1回往復移動させる(図20のS5)。また、このとき、送出部材81を一回往復移動させたことを、図示しない記憶手段に記憶させる(図20のS6)。そして、再び、トナー量検知センサでサブホッパ64内のトナー量を検知し(図20のS3)、トナー量が所定量に達していた場合は、上記記憶した往復移動回数n1をリセットし(図20のS2)、次の往復移動指示(トナー補給指示)があるまで送出部材81を待機させる。
一方、トナー量が所定量に達していなかった場合は、さらに、もう1回、送出部材81を最小の移動範囲H1で往復移動させる(図20のS5)。また、このとき、送出部材81の往復移動回数n1を1回加算し、累積2回として記憶する(図20のS6)。そして、再び、トナー量検知センサでサブホッパ64内のトナー量を検知する(図20のS3)。以降、トナー量の検知のたびに、トナー量が所定量に達していれば、記憶している往復移動回数n1をリセットし(図20のS2)、反対にトナー量が所定量に達していなければ、さらに送出部材81を1回往復移動させ(図20のS5)、往復移動回数n1を加算する(図20のS6)といったフローを繰り返す。
その後、送出部材81を予め設定されている所定回数a1だけ往復移動させても(往復移動回数n1の累積値が前記所定回数a1に到達しても)トナー量が所定量に達しなかった場合は(図20のS4)、その移動範囲H1内では送出部材81が供給できるトナー量が少なくなったと判断して、送出部材81の移動範囲を一段階大きくする。この場合、最小の移動範囲H1から2番目に大きい移動範囲H2に変更する(図20のS7)。その後、図21に示すフローへと移行する。
図21に示すように、移動範囲を一段階大きくした場合は、上記記録している往復移動回数n1をリセットし(図21のS8)、一段階大きくした移動範囲H2で送出部材81を1回往復移動させる(図21のS9)。そして、トナー量検知センサでサブホッパ64内のトナー量を検知する(図21のS10)。その結果、トナー量が所定量に達しなかった場合は、再度、送出部材81を同じ移動範囲H2で1回往復移動させ(図21のS12)、送出部材81を一回往復移動させたことを記憶する(図21のS13)。この送出部材81の往復移動(図21のS12)と、往復移動回数n2の記憶の工程(図21のS13)は、上記と同様に、トナー量が所定量に達するまで、予め設定されている所定回数a2だけ繰り返される。
その結果、送出部材81の往復移動回数n2の累積値が所定回数a2に到達しても、トナー量が所定量に達しなかった場合は(図21のS11)、その移動範囲H2内では送出部材81が供給できるトナー量が少なくなったと判断して、送出部材81の移動範囲をさらに一段階大きくする。この場合、2番目に大きい移動範囲H2から最大の移動範囲H3に変更する(図21のS14)。
一方、トナー量の検知によって(図21のS10)、トナー量が所定量に達していると判断された場合は、そのときの往復移動回数n2が基準回数b2以内であるか否かが判断される(図21のS16)。この基準回数b2は、上記予め設定されている所定回数a2よりも少ない回数に設定されている。すなわち、ここでは、所定回数a2よりも少ない回数の往復移動でトナー供給を完了できたか否かが判断される。
その結果、往復移動回数n2が基準回数b2以内であれば、そのこと、つまり基準回数b2内の往復移動でトナー供給を完了したことが、図示しない記憶手段によって記憶される(図21のS17)。その後、基準回数b2内の往復移動でトナーの供給を完了した場合が連続して生じた場合は、その都度、基準回数内トナー供給完了回数m1を加算していく(図21のS17)。なお、往復移動回数n2の累積値は、前記基準回数内トナー供給完了回数m1が加算されるたびにリセットされる(図21のS21)。
そして、基準回数内トナー供給完了回数m1の累積値が、予め設定されている所定回数c1に達した場合は(図21のS18)、トナーがトナー収容部66の排出部67側にある程度寄せ集められた状態になっていると判断して、送出部材81の移動範囲を元の移動範囲H1に戻す(図21のS19)。
一方、基準回数内トナー供給完了回数m1の累積値が上記所定回数c1に達する前に、一度でも、基準回数b2内の往復移動でトナー供給を完了しないことがあった場合は、基準回数内トナー供給完了回数m1と往復移動回数n2の両方がリセットされる(図21のS20)。すなわち、本実施形態では、基準回数b2内での往復移動によるトナー供給完了が連続して所定回数c1生じた場合に限って、元の移動範囲に戻すようにしている。
また、本実施形態では、上記移動範囲を大きくした後に最初に行われた往復移動の結果(図21のS9)、トナー量が所定量に達していると判断された場合であっても、これを基準回数内トナー供給完了回数m1としてカウントしないようにしている(図21のS15)。
上記のように、移動範囲が元の範囲H1に戻された場合は、上記説明した図20に示すフローに基づき送出部材81の制御が行われる。一方、移動範囲がさらに一段階大きくして最大の移動範囲H3に設定した場合は、図22に示すフローへと移行する。
図22に示すように、移動範囲を一段階大きくした場合は、上記記録している往復移動回数n2及び基準回数内トナー供給完了回数m1をリセットし(図22のS22)、最大の移動範囲H3で送出部材81を1回往復移動させる(図22のS23)。そして、トナー量検知センサでサブホッパ64内のトナー量を検知する(図22のS24)。
ここで、トナー量が所定量に達していると判断された場合、図22のS29〜S35で示すフローは、上記説明した図21に示すS15〜S21のフローと基本的に同様である。すなわち、この場合においても、基準回数b3以内の往復移動回数n3でトナーの供給を完了できた回数m2が、累積で、所定回数c2となった場合は、移動範囲を最大の移動範囲H2から2番目に大きい移動範囲H2に戻す。このように、2番目に大きい移動範囲H2に戻された場合は、上記説明した図21に示すフローに基づき送出部材81の制御が行われることとなる。なお、最大の移動範囲H3から2番目に大きい移動範囲H2に戻された後、さらに、最小の移動範囲H1に戻される場合もある。
一方、トナー量の検知を行った結果(図22のS24)、トナー量が所定量に達しなかった場合は、送出部材81の往復移動(図22のS26)と、往復移動回数n3の記憶の工程(図22のS27)を、上記と同様に、トナー量が所定量に達するまで、予め設定されている所定回数a3繰り返し行う。その結果、送出部材81の往復移動回数n3が累積で所定回数a3に到達しても、トナー量が所定量に達しなかった場合は(図22のS25)、トナーカートリッジ内にトナーが無くなったと判断して、トナーカートリッジの交換を促す表示がされる(図22のS28)。
以上のように、上記本発明の実施形態では、初め、移動範囲を最小の移動範囲H1に設定することで、送出部材81を排出部67側のトナーの動かしやすい範囲で移動させるようにしている。このように構成することで、特にトナー収容部66内のトナー量の多い初期状態においては、送出部材81をトナーの動かしやすく送出部材81の倒れにくい範囲で移動させることができるようになる。その結果、送出部材81が倒れた状態で移動する範囲を少なくすることができ、送出部材81の動力や駆動時間の無駄を削減することが可能となる。
また、その後、トナー収容部66内のトナー量が減り、トナーを送り出しにくくなってきた場合は、移動範囲を順次大きくすることで、トナー供給量(搬送量)を十分に確保することができる。これにより、トナー収容部66内のトナー量にかかわらず、安定したトナー搬送を実現できる。
また、上記基準回数b2内の往復移動によるトナー供給完了が連続して所定回数c1生じた場合は、移動範囲を元の小さい範囲に戻すことで、送出部材81の移動範囲を必要最低限の範囲に設定することができる。これにより、安定したトナー搬送量を確保しつつ、送出部材81の無駄な移動を低減することができるようになる。
このように、本発明によれば、送出部材81の移動範囲を可変にすることで、トナーの収容量にかかわらず安定したトナー搬送を実現でき、さらに、そのトナー搬送を必要最低限の動力と時間で行うことができるようになる。これにより、トナー供給時間を短縮することができ、省エネルギーにも寄与することができる。さらに、部品の耐用寿命も延ばすことができるので、省資源にも貢献できる。
また、本発明によれば、小ストレスでトナーを搬送することが可能であり、トナーの凝集や劣化を抑制することができる。また、本発明によれば、大きな振動や衝撃が生じることがないので、振動による異常画像の発生の虞も無い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。上述の実施形態では、トナー収容部66の全体を変形可能な部材で構成しているが、送出部材81が押し込む箇所のみを変形可能な部材で構成してもよい。また、本発明の構成をトナー以外の粉体を搬送する粉体搬送装置に適用することも可能である。また、本発明に係る粉体搬送装置を搭載する画像形成装置は、図1に示すプリンタに限らず、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。