JP5839192B2 - 過熱蒸気式熱処理装置 - Google Patents
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Description
上記過熱蒸気式熱処理装置においては、函体の長手方向に沿って主配管を配置し、この主配管に、物品の搬送方向上流側において飽和蒸気供給手段を接続するとともに、下流側において過熱蒸気供給手段を接続するようにし、さらにこの主配管に、各加熱室内のノズルをその長手方向に沿って順次接続するようにしている。
これにより、物品の搬送方向上流側のノズルに飽和蒸気供給手段からの飽和蒸気を多く供給し、物品の搬送方向下流側のノズルに過熱蒸気供給手段からの過熱蒸気を多く供給するようにして、各加熱室内の温度が上流側から下流側に順次高温となるように異ならせている。
本発明はそのような事情に鑑み、各加熱室内の温度を自由に設定することが可能な過熱蒸気式熱処理装置を提供するものである。
上記過熱蒸気供給手段は、各加熱室に連通して各加熱室内から過熱蒸気を排気する排気通路と各加熱室内に過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給通路とからなる循環通路と、上記排気通路と過熱蒸気供給通路との間に設けられて、上記排気通路からの過熱蒸気を加熱するとともに該加熱した過熱蒸気を上記過熱蒸気供給通路を介して加熱室に供給する加熱手段と、上記循環通路に設けられて各加熱室内の過熱蒸気を該循環通路および加熱手段を介して各加熱室に循環させる送気手段とを備え、
また上記飽和蒸気供給手段は、飽和蒸気を発生させる飽和蒸気発生手段と、この飽和蒸気発生手段によって発生された飽和蒸気を少なくとも低温側の加熱室内に供給される過熱蒸気に供給する飽和蒸気供給通路と、この飽和蒸気供給通路に設けられて流通する飽和蒸気の流量を調整する流量調整手段とを備えることを特徴とするものである。
他方、飽和蒸気供給手段によって発生された飽和蒸気は、飽和蒸気供給通路を介して少なくとも低温側の加熱室内に供給される過熱蒸気に供給されるようになる。そしてこの飽和蒸気供給通路は、飽和蒸気の流量を調整する流量調整手段を備えているので、この流量調整手段によって当該過熱蒸気への飽和蒸気量を調整することができ、それによって当該加熱室内の温度を調整することができる。
仮に物品の種類が変更されて、上記加熱室内の温度を調整する必要が生じた際には当該加熱室内に供給される過熱蒸気への飽和蒸気量を調整すればよく、したがって加熱室内の温度を自由に調整することができる。
上記函体1内には複数の区画壁1cを設けてあり、この区画壁1cによって函体1内を6つの室に区画してある。具体的には、物品3の搬送方向上流側から下流側に向けて、1つの入口室4と、4つの加熱室5a〜5dと、さらに1つの出口室6とを設けてある。
また、最も上流側の隔壁1cと最も下流側の隔壁1cとは上記開口1dを除いて函体1内を完全に仕切っているが、その中間の3つの隔壁1cは、すなわち上記4つの加熱室5a〜5dを区画する隔壁1cは、その底部において各加熱室5a〜5d間を連通させるように函体1の底壁から離隔させてある。そして函体1の底部に水を貯溜することによって、各加熱室5a〜5d間の連通を遮断させるようにしてある。
このような構成により、各加熱室5a〜5dの洗浄が容易なものとなるようにしてある。
上記各ノズル7は水平面内で平行に配置した多数のパイプ(図示せず)を備えており、各パイプに形成した多数の貫通孔から過熱蒸気を噴射することができるようにしてある。
各過熱蒸気供給手段11は、それぞれブロワ等の送気手段12と電気式や燃焼式ヒータ等の加熱手段13とを備えており、加熱手段13によって飽和蒸気より高温の200〜500℃の範囲の所要温度に加熱された過熱蒸気は、加熱手段13の下流側で複数に分岐された過熱蒸気供給通路14を介してそれぞれ2つの加熱室5a、5b(5c、5d)内の各ノズル7に供給されるようになっている。
そして各加熱手段13によって再び所要の温度に加熱された過熱蒸気は、上述した過熱蒸気供給通路14およびノズル7を介して各加熱室5a〜5d内に循環供給されるようになっている。
本実施例では、各加熱室内から過熱蒸気を排気する上記排気通路15と各加熱室内に過熱蒸気を供給する上記過熱蒸気供給通路14とによって循環通路16が構成されており、上記加熱手段13は排気通路15と過熱蒸気供給通路14との間に設けられている。
上記飽和蒸気供給手段21は、ボイラなどの飽和蒸気を発生させる飽和蒸気発生手段22を備えており、この飽和蒸気発生手段22で発生させた飽和蒸気を複数に分岐させた飽和蒸気供給通路23を介して上記各ノズル7に供給することができるようにしてある。
上記過熱蒸気供給手段11は2組設けてあるが、飽和蒸気供給手段21は両過熱蒸気供給手段11に共通に1つだけ設けてある。
このように飽和蒸気供給通路23からの飽和蒸気を各ノズル7に直接供給するのではなく、過熱蒸気供給通路14を流通する過熱蒸気に混合させてから各ノズル7に供給することにより、各ノズル7から均一の温度の過熱蒸気を各加熱室5a〜5dに噴射させることができる。
しかしながらこれに限定されるわけではなく、必要に応じて、飽和蒸気供給通路23からの飽和蒸気を各ノズル7に直接供給するようにしてもよいことは勿論である。
各流量調整手段24の流量は、図示しない制御装置によって制御されるようになっており、過熱蒸気に混合される飽和蒸気量を調整することによって、各加熱室5a〜5d内に噴射される過熱蒸気の温度を制御できるようにしてある。
そして各飽和蒸気噴射ノズル27から飽和蒸気を噴射させることにより、各開口1dを閉鎖するエアカーテンを形成できるようにしてあり、それによって各加熱室5a〜5d内に導入される空気を遮断して各加熱室5a〜5d内の酸素濃度を低酸素濃度に維持することができるようにしてある。
また上記入口室4の上部と出口室6の上部とにはそれぞれ排出口28を設けてあり、各排出口28の開度を調節することにより、入口1a、出口1bから外部への蒸気の流出を防ぐとともに、各室内の圧力が加熱室5a〜5d内の圧力よりも高くなることが無いようにしてある。
一例として、上流側の加熱手段13によって350℃の過熱蒸気が得られ、下流側の加熱手段13によって400℃の過熱蒸気が得られるようにしてある。
飽和蒸気供給手段21から供給される飽和蒸気の温度は110〜150℃なので、上記各流量調整手段24により過熱蒸気に混合される飽和蒸気量を調整すれば、各ノズル7から噴射される過熱蒸気の温度を調整することができる。
一例として、加熱室5aに供給される過熱蒸気の温度は300℃に調整することができ、また加熱室5bに対しては330℃、加熱室5cに対しては350℃、加熱室5dに対しては380℃にそれぞれ調整することができる。
したがって物品3の種類が変更され、それに伴なって各ノズル7から噴射される過熱蒸気の温度を変更する場合であっても、極めて容易にその変更作業を実行することができる。
すなわち本実施例では、送気手段12よりも下流側の排気通路を2つに分岐してあり、一方の第1排気通路15aを上記加熱手段13に接続するとともに、他方の第2排気通路15bを各ノズル7に接続している。
そして第1排気通路15aを流通する過熱蒸気と第2排気通路15bを流通する過熱蒸気との分流の割合を調整するために、両排気通路15a、15bの分岐点よりも下流側位置において、それぞれ流量調整手段34、35を設けている。
他方、第1排気通路15aにおいては、加熱手段13よりも下流側となる過熱蒸気供給通路14に、それぞれ各ノズル7に連通する手前の位置に流量調整手段35を設けてある。つまり各流量調整手段35も上記流量調整手段34と同様に、各加熱室5a〜5d毎となるように設けてある。
このように、各加熱室5a〜5d毎にそれぞれ流量調整手段34、35を設けてあり、それによって各加熱室5a〜5d毎に別個に、上記第1排気通路15aを流通する過熱蒸気と第2排気通路15bを流通する過熱蒸気との分流の割合を調整することができるようにしてある。
他方、送気手段12によって給送される過熱蒸気の残部は、第2排気通路15bにより加熱手段13をバイパスして各ノズル7に直接供給されるようになる。このため、第2排気通路15bから各ノズル7に供給される過熱蒸気は、過熱蒸気供給通路14を介して各ノズル7に供給される過熱蒸気よりも低温となっている。
なお第1実施例と同様に、必要に応じて、飽和蒸気供給通路23からの飽和蒸気を各ノズル7に直接供給するようにしてもよいことは勿論である。
その他の構成は第1実施例と同様に構成してあり、第1実施例と同一又は相当部分には第1実施例と同一の符号を付して示してある。
また、全ての過熱蒸気を加熱手段13に供給してその温度を所定温度まで加熱した後に、これに飽和蒸気量を混合して所要温度まで低下させるようにした場合に比較して、エネルギーロスを低減することができる。
また、上記実施例では、例えば下流側の過熱蒸気供給手段11についていえば、加熱手段13によって400℃の過熱蒸気を得てからこれを350℃と380℃とに低下させているが、加熱手段13によって380℃の過熱蒸気を得るように設定すれば、高温側の加熱室5dの温度調整は不要となる。つまり高温側となる加熱室5d側については、飽和蒸気供給通路23やこれに設けた流量調整手段24は必ずしも必要なものではなく、それらを省略することが可能である。
1b 出口 1c 区画壁
1d 開口 2 搬送手段
3 物品 4 入口室
5a〜5d 加熱室 6 出口室
7 ノズル 11 過熱蒸気供給手段
12 送気手段 13 加熱手段
14 過熱蒸気供給通路 15、15a、15b 排気通路
16 循環通路 21 飽和蒸気供給手段
22 飽和蒸気発生手段 23 飽和蒸気供給通路
24、34、35 流量調整手段 27 飽和蒸気噴射ノズル
Claims (5)
- 一方の端部に入口、他方の端部に出口が開口された函体と、この函体の入口から出口に向けて物品を搬送する搬送手段と、上記函体内に設けられ、物品の通過を許容する開口を形成した区画壁によって区画された複数の加熱室と、各加熱室内にそれぞれ設けられて過熱蒸気を噴射する複数のノズルと、各ノズルに過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給手段と、上記過熱蒸気に飽和蒸気を供給する飽和蒸気供給手段とを備えて、上記加熱室内の温度を異ならせるようにした過熱蒸気式熱処理装置において、
上記過熱蒸気供給手段は、各加熱室に連通して各加熱室内から過熱蒸気を排気する排気通路と各加熱室内に過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給通路とからなる循環通路と、上記排気通路と過熱蒸気供給通路との間に設けられて、上記排気通路からの過熱蒸気を加熱するとともに該加熱した過熱蒸気を上記過熱蒸気供給通路を介して加熱室に供給する加熱手段と、上記循環通路に設けられて各加熱室内の過熱蒸気を該循環通路および加熱手段を介して各加熱室に循環させる送気手段とを備え、
また上記飽和蒸気供給手段は、飽和蒸気を発生させる飽和蒸気発生手段と、この飽和蒸気発生手段によって発生された飽和蒸気を少なくとも低温側の加熱室内に供給される過熱蒸気に供給する飽和蒸気供給通路と、この飽和蒸気供給通路に設けられて流通する飽和蒸気の流量を調整する流量調整手段とを備えることを特徴とする過熱蒸気式熱処理装置。 - 上記飽和蒸気供給通路は過熱蒸気供給通路に接続されており、飽和蒸気供給通路からの飽和蒸気は過熱蒸気供給通路を流通する過熱蒸気に混合されてから上記ノズルに供給されることを特徴とする請求項1に記載の過熱蒸気式熱処理装置。
- 上記送気手段は排気通路の途中に設けられており、かつ該排気通路は送気手段よりも下流側で2つに分岐されて一方の第1排気通路は上記加熱手段に接続されるとともに、他方の第2排気通路は上記ノズルに連通されていることを特徴とする請求項1に記載の過熱蒸気式熱処理装置。
- 上記飽和蒸気供給通路は第2排気通路に接続されており、飽和蒸気供給通路からの飽和蒸気は第2排気通路を流通する過熱蒸気に混合されてから上記ノズルに供給されることを特徴とする請求項3に記載の過熱蒸気式熱処理装置。
- 最も上流側の加熱室の入口となる開口と、最も下流側の加熱室の出口となる開口とにそれぞれ飽和蒸気噴射ノズルが設けられており、各飽和蒸気噴射ノズルから飽和蒸気が噴射されて各開口を閉鎖するエアカーテンが形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の過熱蒸気式熱処理装置。
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