JP5839017B2 - 表面微細凹凸体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、凹凸パターンの平均ピッチが1〜10μmの表面微細凹凸体は、光拡散体として利用できることが知られている(特許文献1,2)。
また、特許文献4には、同様の方法で表面微細凹凸体を製造した後、その凹凸パターン上に金属細線状の金属層を形成することで、ワイヤーグリッド偏光板を製造できることが記載されている。
前記基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tg1と、前記硬質層を構成する樹脂のガラ
ス転移温度Tg2との差(Tg2−Tg1)は10℃以上であることが好ましい。
[表面微細凹凸体およびその製造方法]
(表面微細凹凸体)
図1は、本実施形態の製造方法で製造されるシート状の表面微細凹凸体を模式的に示すものである。この表面微細凹凸体10は、樹脂製の加熱収縮性フィルムが加熱により収縮(熱収縮)した基材11と、基材11の片面全体に設けられた樹脂製の硬質層12とを備えて構成され、硬質層12がシート状の表面に沿って周期的に繰り返される波状の凹凸パターン12aを有するものである。
図1の表面微細凹凸体10は、一軸方向(この例では、Cross Machine Direction:CD方向(幅方向))に主に加熱収縮する加熱収縮性フィルムを基材11として具備したものである。そのため、この例では、CD方向が収縮の主方向(以下、主収縮方向という。)であり、凹凸パターン12aを形成している筋状の凸部と凹部とは、CD方向と直交する方向(Machine Direction:MD方向)に沿って延びて形成されている。
以下、ヤング率は、JIS K 7113−1995に準拠して測定した値である。
加熱収縮温度における基材11と硬質層12とのヤング率の差は、凹凸パターン12aを容易に形成できることから、0.01〜300GPaであることが好ましく、0.1〜10GPaであることがより好ましい。
なお、分散度とは、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比:Mw/Mnである。
例えば、表面微細凹凸体10が反射防止体に使用される場合には、1〜100nmの範囲が好ましく、異方性拡散体に使用される場合には、0.05〜5μmの範囲が好ましく、ワイヤーグリッド偏光子に使用される場合には、1〜100nmの範囲が好ましい。このような硬質層12の厚みであれば、それぞれの用途に応じた適切なサイズの凹凸パターン12aを形成することができる。
また、基材11と硬質層12との間には、密着性の向上やより微細な構造を形成することを目的として、プライマー層を形成してもよい。また、硬質層12の上には、樹脂層を設けてもよい。
具体的には、表面微細凹凸体10の用途が例えば異方性拡散体の場合には、1〜20μmが好適である。また、このような光拡散体用途である場合に、最頻ピッチが1μmを超え、5μm以下であると、ギラツキが抑制され、視認性に優れた光拡散体とすることができる。一方、表面微細凹凸体10の用途が反射防止体やワイヤーグリッド偏光子の場合には、0.2μm以下が好適である。また、凹凸パターン12aを容易に形成できる点からは、好ましくは0.05μm以上である。
すなわち、凹凸パターンについて、原子間力顕微鏡、レーザー顕微鏡などによりHeight像を観察(グレースケール画像に変換する)し、その観察したグレースケール画像をフーリエ変換する。このフーリエ変換像は、フーリエ変換像のXF−YF座標面上に、頻度が濃淡で表される。これには凹凸パターン12aのピッチおよび配向の情報が含まれる。
ついで、このフーリエ変換のZF軸情報の頻度について、必要に応じてスムージングを行う。フーリエ変換像の中心部を除く部分の最大頻度を示す位置(XFmax、YFmax)から、最頻ピッチA=1/{√(XFmax 2+YFmax 2)}を求める。なお、最頻ピッチは、各ピッチの平均値とみてもよい。
また、各ピッチA1,A2,A3・・・は、連続的に変化しても構わない。
平均深さHとは、凹凸パターンの凸部のピークから凹部の底までの深さの平均のことを意味し、ここでは次のようにして求める。
すなわち、凹凸パターンを原子間力顕微鏡などにより観察し、その観察から表面微細凹凸体10の断面図(筋状の凸部および凹部と直交する方向に切断した表面微細凹凸体の厚み方向の断面図)を得る。1つの凹部の底までの深さは、両隣の2つの凸部のピークから凹部の底までの距離の和の1/2である。そこで、無作為に抽出した10個以上の各凹部について、このように両隣の2つの凸部のピークから凹部の底までの距離の和を求め、さらにその1/2をそれぞれ求め、得られた値の平均値を平均深さHとする。
各深さが平均深さHの±60%の範囲内にあれば、深さが均一となり、光学素子としてより優れた性能を発揮する。
また、各深さH1,H2,H3・・・は、平均深さHが最頻ピッチAを100%とした際の10%以上であることを満たした上で、連続的に変化しても構わない。
配向度は、以下のようにして求められる。
すなわち、上述と同様にしてフーリエ変換像を求め、その最大輝度部分をXF−YF座標面のXF軸上にθだけ回転させてXF軸上に最大輝度部分が一致するようにθ回転したフーリエ変換像を作成し、(XFmax、YFmax)を通るYF軸に並行な補助線Y’Fを引き、補助線Y’Fを横軸として、補助線Y’F上の輝度(ZF軸)を縦軸としたY’F−ZF図を作成する。このY’F−ZF図のY’F軸の値を最頻ピッチの逆数(1/A)で割ったY”F−ZF図を作成し、Y”−ZF図からピークの半値幅W(頻度が最大値の半分になる高さでのピークの幅)を求める。この半値幅Wが配向度である。
以上説明した表面微細凹凸体10は、加熱収縮性フィルムからなる樹脂製の基材11の少なくとも片面に、樹脂製の硬質層12を設けて積層フィルムを形成する積層フィルム形成工程と、得られた積層フィルムを加熱して基材11を収縮させることにより、硬質層12を折り畳むように変形させ、凹凸パターンを形成する収縮工程と、主収縮方向と直交する方向に沿って、積層フィルムを延伸する延伸工程とを有する方法により製造できる。この方法によれば、特に、配向のばらつきが小さい凹凸パターン12aを備えた表面微細凹凸体10を製造できる。
ここで硬質層を形成する樹脂としては、上述のとおり、重量平均分子量が20万以上、分散度が2以上の熱可塑性樹脂が好適であり、このような熱可塑性樹脂は、溶媒中、ビニル基を有するビニル系単量体をラジカル重合するラジカル溶液重合により行える。
さらに、スチレン系単量体としては、例えば、ポリスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
アクリル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸等のカルボキシル基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、単独で開裂して遊離ラジカルを生成するものである。生成したラジカルはビニル基への付加反応および水素引き抜き反応をすることで重合反応を起こす。ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジアウロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、ジ−(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルゼンゾイル)パーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。これらラジカル重合開始剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
収縮工程では、主収縮方向において、40%以上収縮させることが好ましい。このように収縮率を40%以上とすることによって、光学素子に用いた場合に十分な性能を発揮する表面微細凹凸体10を製造することができる。また、収縮率が大きくなりすぎると、得られる表面微細凹凸体10の面積が小さくなるため、歩留まり上好ましくない。このような観点からは、収縮率の上限は80%が好ましい。
なお、本発明における収縮率とは、(収縮率[%])={(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)}/(収縮前の長さ)×100 である(但し、いずれの長さも収縮の主方向の長さである)。
基材11を熱収縮させる際の加熱温度(加熱収縮温度)は、使用する加熱収縮性フィルムの種類および目的とする凹凸パターン12aのピッチ、深さなどに応じて適宜選択することが好ましい。具体的には、硬質層12を構成する第2の樹脂のガラス転移温度Tg2以上の温度でもよいが、好ましくは、上述のとおり、硬質層12を構成するガラス転移温度Tg2と基材11を構成する第1の樹脂のガラス転移温度Tg1との間の温度で行うことが好ましい。このようにTg2とTg1の間の温度で熱収縮させると、基材11のヤング率が硬質層12のヤング率より高くなる条件で加工でき、その結果、硬質層12に凹凸パターン12aを容易に形成できる。
延伸温度は、硬質層に亀裂が生じないようにするために、硬質層12を構成する第2の樹脂のガラス転移温度Tg2を超える温度とすることが好ましい。延伸の具体的方法としては、主収縮方向と直交する方向の両端部などを互いに反対方向に引張って、積層フィルムに張力を作用させるなど、公知の方法を採用できる。
延伸倍率は、1〜5倍の範囲であることが好ましい。5倍を超えると、硬質層12に亀裂が生じる可能性がある。
そのため、得られた表面微細凹凸体10は、筋状の凹部および凸部の方向性が延伸方向に沿って向上し、互いの平行性が良好なものとなる。その結果、配向のばらつきが抑制されて配向度の小さな凹凸パターン12aを備えた表面微細凹凸体10が得られる。このような表面微細凹凸体10を例えば異方性拡散体に使用した場合には、主拡散方向に十分な拡散角度が得られ、例えばワイヤーグリッド偏光子に使用した場合には、十分な偏光特性が得られる。
例えば、積層フィルムとして、CD方向が主収縮方向である連続フィルムを用意し、この連続フィルムを、独立に温度制御が可能な第1〜第3の温度調整ゾーンが直列配置された延伸収縮ラインに供給する。この際、延伸収縮ラインの入口ライン速度よりも出口ライン速度が大きくなるように、ライン速度を調整するとともに、最も前段側である第1の温度調整ゾーンについては収縮工程に適した温度に設定し、第2の温度調整ゾーンについては延伸工程に適した温度に設定し、第3の温度調整ゾーンについては、第1および第2の温度調整ゾーンよりも低温であり、冷却に適した温度に設定する。
このような方法により、第1の温度調整ゾーンで収縮工程を行い、第2の温度調整ゾーンで延伸工程を連続的に行うことで、効率的に表面微細凹凸体10を製造することができる。
このような方法によれば、拡散性(拡散角度)を適度に抑制する一方で異方性を高めることができ、拡散性と異方性とのバランスが適宜調整された異方性拡散体を製造することも可能となる。
このような場合には、拡散性を適度に抑制するために、まず収縮工程において、積層フィルムの基材11をその最大収縮率よりも小さな収縮率で収縮させる。これにより、拡散性(拡散角度)が適度に制御され、かつ、配向度が小さく、ばらつきのない凹部および凸部が形成される。
ここで、最大収縮率よりも小さな収縮率で収縮させる方法としては、積層フィルムの主収縮方向における両端部などをクリップで把持して、互いに反対方向に引っ張るなどして、積層フィルムが最大収縮率まで収縮しないように、収縮とは反対の方向の張力を作用させながら、収縮工程を行う方法が挙げられる。
そこで、延伸工程を行う前に、積層フィルムの収縮方向における両端部などを互いに反対方向に引っ張るなどして、積層フィルムに張力を作用させた状態で、延伸工程の延伸温度以上に加熱する熱セット工程を行う。このような熱セット工程を行ってから延伸工程を行うと、延伸工程において加熱されても、積層フィルムはそれ以上収縮しない。
ここでの延伸温度は、上述のとおり、硬質層に亀裂が生じないようにするために、硬質層12を構成する第2の樹脂のガラス転移温度Tg2を超える温度とすることが好ましく、加熱収縮温度は、上述したように、硬質層12を構成するガラス転移温度Tg2と基材11を構成する第1の樹脂のガラス転移温度Tg1との間の温度で行うことが好ましい。すなわち、加熱収縮温度をTa、熱セット温度をTb、延伸温度をTcとした場合、Ta<Tc≦Tbとすることが好適である。
また、基材11に使用する加熱収縮性フィルムとして、一軸方向に主に加熱収縮する加熱収縮性フィルムを用いたが、二軸方向に加熱収縮する加熱収縮性フィルムであってもよい。その場合には、収縮する2方向のうち、より収縮率の大きな方向を主収縮方向とし、収縮工程後の延伸工程では、この主方向に直交する方向に沿って延伸すればよい。
上述の表面微細凹凸体10の凹凸パターンを転写する転写工程を行うことにより、凹凸パターン12aが転写された転写体を製造することができる。
転写体としては、上述の表面微細凹凸体10の凹凸パターン12aが転写された樹脂シート状の転写体が挙げられる。樹脂製のシート状の転写体は、上述の表面微細凹凸体10と同様に、光学素子などの用途に好適に使用できる。
(a)表面微細凹凸体10の凹凸パターン12aが形成された面に、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する工程と、活性エネルギー線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を表面微細凹凸体10から剥離する工程とを有する方法。ここで、活性エネルギー線とは、通常、紫外線または電子線のことであるが、本明細書においては、可視光線、X線、イオン線等も含むものとする。
(b)表面微細凹凸体10の凹凸パターン12aが形成された面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、加熱して前記液状熱硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を表面微細凹凸体10から剥離する工程とを有する方法。
(c)表面微細凹凸体10の凹凸パターン12aが形成された面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の熱可塑性樹脂を表面微細凹凸体10に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を表面微細凹凸体10から剥離する工程とを有する方法。
2次工程用成形物を用いる具体的な方法としては、下記(d)〜(f)の方法が挙げられる。
(e)表面微細凹凸体10の凹凸パターン12aが形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を表面微細凹凸体10から剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面(凹凸パターンが転写された面)に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、加熱により該樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(f)表面微細凹凸体10の凹凸パターン12aが形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を表面微細凹凸体10から剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面(凹凸パターンが転写された面)に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。または、前記と同様の方法で作製した2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面(凹凸パターンが転写された面)に、溶融状態の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、溶融状態の熱可塑性樹脂を冷却しシート状とする工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥がす工程とを有する方法。
未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。
また、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。
未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を紫外線により硬化する場合には、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
また、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂には、硬化後の硬度を上昇させる目的で、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を使用してもよい。また、反応性無機酸化物粒子および/または反応性有機粒子を含有してもよい。
なお、表面微細凹凸体10は、枚葉のシートであってもよい。枚葉のシートを用いる場合、枚葉のシートを平板状の型として使用するスタンプ法、枚葉のシートをロールに巻きつけて円筒状の型として使用するロールインプリント法等を適用できる。また、射出成形機の型の内側に枚葉の表面微細凹凸体10を配置させてもよい。
また、(b)の方法における硬化温度は、表面微細凹凸体10のガラス転移温度より低いことが好ましい。硬化温度が表面微細凹凸体10のガラス転移温度以上であると、硬化時に転写体の凹凸パターン12aが変形するおそれがあるからである。
シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧する際の圧力は1〜100MPaであることが好ましい。押圧時の圧力が1MPa以上であれば、凹凸パターンを高い精度で転写させることができ、100MPa以下であれば、過剰な加圧を防ぐことができる。
また、(c)の方法における熱可塑性樹脂の加熱温度は、表面微細凹凸体10のガラス転移温度より低いことが好ましい。加熱温度が表面微細凹凸体10のガラス転移温度以上であると、加熱時に表面微細凹凸体10の凹凸パターン12aが変形するおそれがあるからである。
加熱後の冷却温度としては、凹凸パターン12aを高い精度で転写させることができることから、熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
以上説明した樹脂シート状の転写体は、例えば、異方性拡散体、ワイヤーグリッド偏光子、位相差板、反射防止体などの光学素子に好適に使用されるほか、液晶の配向を制御するための基板としても好適に使用される。
異方性拡散体に使用する場合には、転写体の片面または両面に、他の層を備えてもよい。例えば、凹凸パターンが形成されている側の面に、その面の汚れを防止するために、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂を主成分として含有する厚さ1〜5nm程度の防汚層を備えてもよい。
また、凹凸パターンが形成されていない側の面には、透明樹脂製あるいはガラス製の支持体が備えられていてもよい。さらに、凹凸パターンが形成されていない側の面に粘着剤層が形成されていてもよく、機能性を適宜持たせるために色素を含んでもよい。
上述した凹凸パターンが表面に形成された転写体を備えた異方性拡散体は、優れた異方性を備える。
無機光拡散剤としては、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス、マイカ等が挙げられる。
有機光拡散剤としては、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等が挙げられる。これらの光拡散剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
光拡散剤の含有量は、光透過性を損ないにくいことから、転写体を構成する樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
微細気泡の形成方法としては、転写体に発泡剤を混入する方法(例えば、特開平5−212811号公報、特開平6−107842号公報に開示された方法)や、アクリル系発泡樹脂を発泡処理させて微細気泡を含有する方法(例えば、特開2004−2812号公報に開示された方法)などを適用できる。さらに微細気泡は、より均一な面照射が可能となる点では、特定の位置に不均一に発泡させる方法(例えば、特開2006−124499号公報に開示された方法)が好ましい。
なお、前記光拡散剤と微細発泡を併用することもできる。
また、凹凸パターンが形成されていない側の面には、例えば、反射防止体の基材として、例えばトリアセチルセルロース等の樹脂製のシートなどが備えられていてもよい。
画像表示装置に取り付けた場合には、照明の映りこみを防止できるため、画像の視認性が向上する。発光ダイオードの発光部先端に取り付けた場合には、光の取り出し効率が向上する。太陽電池パネルの表面に取り付けた場合には、光の取り込み量が多くなるため、太陽電池の発電効率が向上する。
反射防止体には、転写体ではなく、表面微細凹凸体10を用いることもできる。
ワイヤーグリッド偏光子は、光の一方の偏光成分を透過し、他方を反射する反射型の偏光子である。ワイヤーグリッド偏光子は、平行に配置された多数の金属細線に垂直に振動する光を透過し、金属細線に平行に振動する光を反射する特性を有する。ワイヤーグリッド偏光子が偏光特性を示すのは、金属細線の周期が使用する光の波長より十分に短い場合である。
また、ワイヤーグリッド偏光子用途の場合には、最頻ピッチは、上述のように、0.2μm以下が好適である。また、好適な平均深さは、0.1〜0.4μmである。
金属系蒸着層の金属種としては、蒸着できる金属であれば公知のものを使用でき、ゲルマニウム、スズ、シリコン等の半金属やITO(酸化インジウム−スズ)などの金属化合物も含む。具体的には、金、アルミニウム、銀、炭素、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマス、ITOよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくはアルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、コバルト、金、銀、銅、ITOであり、特に好ましくは値段、金属光沢の安定性等の理由によりアルミニウムおよび/またはニッケルである。
金属系蒸着層の表面は、空気暴露により酸化されていても構わない。
ここで斜方蒸着角は、図2に示すように、金属の蒸着源Pと蒸着される場所Qを結んだ直線(以下、J線と呼ぶ。)と、蒸着される場所Qを通るシート法線方向の直線(シート面に対して直交する線。以下、H線と呼ぶ。)とのなす角度(J線とH線のなす角)αのことであり、J線とH線が一致する場合は斜方蒸着角が0°である。なお、ここでシート法線方向とは、表面微細凹凸体10全体または転写体全体としてのシート面に対する法線方向のことであり、各凹部や各凸部に対応した各々の法線のことではない。
また、斜方蒸着したシート状の転写体を該転写体の中心を軸として180°回転させて、再度蒸着することもできる。例えば、ロールツーロール式蒸着の場合は、シート搬送方向と凹部および凸部に沿う方向とが一致する場合、あるいはこれらの方向がなす角が45°以下の場合は、斜方蒸着したシートを180°回転させて、再度蒸着することが、得られる偏光板の偏光特性の面内均一性の観点から好ましい。なお、ここで「180°回転させて再度蒸着する」とは、斜方蒸着角αで蒸着した後、斜方蒸着角−αで蒸着することと同じことである。
ナノ金属塗布層は公知の塗布方式により形成することができる。例えば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等を好ましく挙げることができる。
また、ワイヤーグリッド偏光子には、必要に応じて公知の粘着層、反射防止層、拡散層、視野角補正層(液晶ディスプレーにこの偏光板を用いる場合は、例えばディスコティク液晶を斜め配向した視野角補正層、コレステリック液晶を用いた視野角補正層、棒状の液晶を配向させた視野角補正層等を設けることもできる。)を設けることができる。また位相差板、その他機能向上のため各種フィルム等を貼り合わせて用いたり、組み合わせて用いたりすることもできる。
また、このワイヤーグリッド偏光子は、公知の各種フラットパネルディスプレーに好ましく用いることができる。より好ましくは、液晶ディスプレー(LCD)、有機ELディスプレー、無機ELディスプレーである。従来からのヨウ素吸収型偏光板あるいは染料吸収型偏光板に変えて、これらのディスプレーに上述のワイヤーグリッド偏光子を用いることにより、輝度を向上させることができる。これは上述のワイヤーグリッド偏光子がS波(またはP波のどちらか)を選択的に反射するため、その反射されたS波(またはP波)を再度位相変換し透過可能なP波(またはS波)として有効利用できるからである。このワイヤーグリッド偏光子は、従来からのヨウ素吸収型偏光板あるいは染料吸収型偏光板と組み合わせて、必要に応じて貼り合わせるなどして、用いることもできる。
ワイヤーグリッド偏光子には、転写体ではなく、表面微細凹凸体10を用いることもできる。
以上説明した表面微細凹凸体の形態は上述した実施形態に限定されない。例えば、波状に繰り返される周期的な凹凸パターンの形成方向は、表面微細凹凸体のCD方向でもMD方向でもよい。また、基材11としては、一軸方向に主に加熱収縮する加熱収縮性フィルムを用いることが好適であるが、主収縮方向と直交する方向にも多少収縮するものを用いて、主収縮方向に沿う方向に延びる凹部と凸部とを備えた表面微細凹凸体としてもよい。
また、凸部の形状は屈折率の点では、先端が尖っていることが好ましいが、先端が丸みを帯びていても構わない。また、表面微細凹凸体の形状はシート状の他、板状など他の形状であってもよい。
また、基材と硬質層の間には、密着性向上等の必要性に応じて、プライマー層が設けられていてもよい。
<製造例1>
(積層フィルム形成工程)
基材として、表面が平坦で、一軸方向(CD方向)に主に加熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(三菱樹脂社製ヒシペットLX−61S、ガラス転移温度70℃)を用いた。この片面に、ポリメタクリル酸メチル(藤倉化成社製、AcrybaseMH−101−10、重量平均分子量56万、分散度3.4、ガラス転移温度100℃)をトルエンに希釈した液をグラビアコーティングにて塗工して硬質層を形成し、表面が平坦な積層フィルムを得た。この際、硬質層は、乾燥後の塗工厚さが3μmになるよう塗工して形成した。
なお、重量平均分子量および重合分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて測定した。分子量の標準物質としては既知の分子量のポリスチレンを用いた。測定には、カラムとして、東ソー社製TSKgel HZシリーズを用い、また、溶離液としてTHFを使用し、流速0.35ml/分、温度40℃の条件により行った。
また、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を使用して測定した。
次に、この積層フィルムを1m角に断裁したものを80℃の乾燥機に1分間入れて加熱収縮を行った。収縮後の積層フィルムは48cm(主収縮方向)×95cm(主収縮方向に直交する方向)の大きさであった。
主収縮方向の収縮率は、52%であった。
収縮後の積層フィルムの硬質層側の表面をレーザー顕微鏡にて観察したところ、表面微細凹凸構造(平均深さH18μmの凹凸パターン)が形成されていた。なお、平均深さHは、レーザー顕微鏡測定より得られる断面画像にて、凹凸パターンの凸部のピークから凹部の底までの深さを10箇所について測定した平均値である。
すなわち、レーザー顕微鏡画像をグレースケール画像に変換した後、2次元フーリエ変換を行った。このフーリエ変換像の頻度(ZF)のスムージングを行い、フーリエ変換像の中心部を除く部分の最大頻度を示す位置(XFmax、YFmax)から最頻ピッチA=1/{√(XFmax 2+YFmax 2)}を求めた。その結果、最頻ピッチAは22μmであった。
続いて、このフーリエ変換画像を用いて、既に説明した方法により配向度を求めた。
すなわち、フーリエ変換像の最大輝度部分をXF−YF座標面のXF軸上にθだけ回転させてXF軸上に最大輝度部分が一致するようにθ回転したフーリエ変換像を作成し、(XFmax、YFmax)を通るYF軸に並行な補助線Y’Fを引き、補助線Y’Fを横軸として、補助線Y’F上の輝度(ZF軸)を縦軸としたY’F−ZF図を作成した。このY’F−ZF図のY’F軸の値を最頻ピッチの逆数(1/A)で割ったY”F−ZF図を作成し、Y”−ZF図からピークの半値幅W(頻度が最大値の半分になる高さでのピークの幅)を求めた。半値幅、すなわち配向度Wは、0.3であった。
この収縮後の積層フィルムについて、光拡散体としての性能を次のように評価した。すなわち、GENESIA GonioFar Field Profiler(ジェネシア社製)を用いて、拡散角度(FWHM)を測定した。その結果、主拡散方向の拡散角度は30°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は4.5°であった。これらの結果を表1に示す。
得られた収縮後の積層フィルムを120℃の乾燥機中で主収縮方向に直交する方向に延伸した。延伸後のフィルムの大きさは、38cm(主収縮方向)×147cm(延伸方向=主収縮方向に直交する方向)であった。
延伸倍率は、1.5倍であった。
このようにして得られた延伸フィルム(表面微細凹凸体)の硬質層側の凹凸パターンについて、上記と同様にして、平均深さH1、最頻ピッチA1、配向度W1を求めた。
そして、得られた表面微細凹凸体の光学素子としての拡散性能を上述の方法にて測定したところ、主拡散方向の拡散角度は30°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は1.2°であった。結果を表1に示す。
延伸工程後の表面微細凹凸体は、延伸工程前の積層フィルムよりも、配向度が小さく、そのため、主拡散方向と直交する方向の拡散角度も低下した。すなわち、延伸工程により異方性が向上することが確認できた。
得られた拡散板の凹凸パターンについて、上記と同様にして平均深さH2、最頻ピッチA2、配向度W2を求めた。結果を表2に示す。
また、拡散角度についても上記と同様にして求めたところ、主拡散方向の拡散角度は28°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は1.2°であった。
(積層フィルム形成工程)
基材として、表面が平坦で、一軸方向(CD方向)に主に加熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(三菱樹脂社製ヒシペットLX−61S、ガラス転移温度70℃)を用いた。この片面に、ポリスチレン(アルドリッチ社品番182435−25G、重量平均分子量24万、分散度2.0、ガラス転移温度100℃)をトルエンに希釈した液をグラビアコーティングにて塗工して硬質層を形成し、表面が平坦な積層フィルムを得た。この際、硬質層は、乾燥後の塗工厚さが0.7μmになるように塗工して形成した。
次に、この積層フィルムを1m角に断裁したものを80℃の乾燥機に1分間入れて加熱収縮を行った。収縮後の積層フィルムは45cm(主収縮方向)×94cm(主収縮方向に直交する方向)の大きさであった。
主収縮方向の収縮率は、55%であった。
収縮後の積層フィルムの硬質層側の表面をレーザー顕微鏡にて観察したところ、表面微細凹凸構造(平均深さH4.3μmの凹凸パターン)が形成されていた。
得られた収縮後の積層フィルムを120℃の乾燥機中で主収縮方向に直交する方向に延伸した。延伸後のフィルムの大きさは、30cm(主収縮方向)×282cm(延伸方向=主収縮方向に直交する方向)であった。
延伸倍率は、3倍であった。
このようにして得られた延伸フィルム(表面微細凹凸体)の硬質層側の凹凸パターンについて、上記と同様にして平均深さH1、最頻ピッチA1、配向度W1を求めた。結果を表1に示す。
そして、得られた表面微細凹凸体の光学素子としての拡散性能を上述の方法にて測定したところ、主拡散方向の拡散角度は35°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は0.3°であった。
延伸工程後の表面微細凹凸体は、延伸工程前の積層フィルムよりも、配向度が小さく、そのため、主拡散方向の拡散角度が向上し、主拡散方向と直交する方向の拡散角度が低下した。すなわち、延伸工程により、異方性が向上することが確認できた。
次に、得られた表面微細凹凸体の凹凸パターンのニッケル電鋳によりスタンパーを製造し、ロールtoロールUVナノインプリント機(東芝機械社製)にてPET基材(コスモシャインA4300:厚さ100μm[東洋紡社製])とUV樹脂(PAK−02[東洋合成社製])を用いて、UV樹脂転写シート(凹凸パターンを有する転写体)を製造した。
得られたUV樹脂転写シートの凹凸パターンについて、上記と同様にして平均深さH2、最頻ピッチA2、配向度W2を求めた。結果を表2に示す。
また、拡散角度についても上記と同様にして求めたところ、主拡散方向の拡散角度は33°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は0.3°であった。
(積層フィルム形成工程)
基材として、表面が平坦で、一軸方向(CD方向)に主に加熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(三菱樹脂社製ヒシペットLX−61S、ガラス転移温度70℃)を用いた。この片面に、ポリメタクリル酸メチル(藤倉化成社製、AcrybaseMH−101−10、重量平均分子量56万、分散度3.4、ガラス転移温度100℃)をトルエンに希釈した液をグラビアコーティングにて塗工して硬質層を形成し、表面が平坦な積層フィルムを得た。この際、硬質層は、乾燥後の塗工厚さ0.7μmになるように塗工して形成した。
得られた積層フィルムの巻取りを巻出しゾーンに設置し、フローティングドライヤーを3機直列に備える温度調整ゾーンに搬送し、巻取った。具体的には、第1の温度調整ゾーンは90℃、第2の温度調整ゾーンは120℃、第3の温度調整ゾーンは10℃の冷風とし、各ゾーンには60秒滞在するように、かつ、これらゾーンの出口ライン速度/入口ライン速度比が1.5となるように調整し、収縮工程と延伸工程を連続的に行った。
巻き取った積層フィルムの幅(CD方向)は、巻き出しの時の積層フィルムの幅の40%であり、長さは1.5倍となっていた。すなわち、収縮率は60%で、延伸倍率は1.5倍であった。
そして、巻き取った積層フィルム(表面微細凹凸体)の光拡散体としての性能を上述の方法にて測定したところ、主拡散方向の拡散角度は28°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は1.8°であった。
次に、表面微細凹凸体の凹凸パターンのニッケル電鋳によりスタンパーを製造し、これに厚さ200μmのアクリルシートを重ね、加熱し、押圧した。押圧しながら冷却し、スタンパーとアクリルシートを剥がすことにより、転写シート(凹凸パターンを有する転写シート)を製造した。
得られた転写シートの凹凸パターンについて、上記と同様にして平均深さH2、最頻ピッチA2、配向度W2を求めた。結果を表2に示す。
また、拡散角度についても上記と同様にして求めたところ、主拡散方向の拡散角度は25°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は0.3°であった。
(積層フィルム形成工程)
基材として、表面が平坦で、一軸方向(CD方向)に主に加熱収縮する厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(東洋紡社製S7561、ガラス転移温度70℃)を用いた。この片面に、ポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量150万、分散度1.3、ガラス転移温度100℃)をトルエンに希釈した塗料をグラビアコーティングにて塗工して硬質層を形成し、表面が平坦な積層フィルムを得た。この際、硬質層は、乾燥後の塗工厚さ0.03μmになるように塗工して形成した。
次に、この積層フィルムを1m角に断裁したものを90℃の乾燥機に1分間入れて加熱収縮を行った。収縮後の積層フィルムは55cm(主収縮方向)×93cm(主収縮方向に直交する方向)の大きさであった。
主収縮方向の収縮率は、45%であった。
収縮後の積層フィルムの硬質層側の表面を原子間力顕微鏡(日本ビーコ社製ナノスコープIII)により測定した。測定した凹凸パターンの画像をグレースケール画像に変換した後、製造例1と同様にして2次元フーリエ変換を行い、最頻ピッチAを求めたところ、100nmであった。また、配向度Wは0.25であった。次に、先に説明したように平均深Hさを求めたところ、75nmであった。結果を表3に示す。
収縮後の積層フィルムを120℃の乾燥機中で主収縮方向に直交する方向に延伸し、延伸フィルム(表面微細凹凸体)を得た。このフィルムの大きさは、48cm(主収縮方向)×120cm(延伸方向=主収縮方向に直交する方向)であった。
延伸倍率は、1.3倍であった。
この延伸フィルムについて、上記と同様にして平均深さH1、最頻ピッチA1、配向度W1を求めた。結果を表4に示す。
次に、得られた表面微細凹凸体の凹凸パターンのニッケル電鋳によりスタンパーを製造し、ロールtoロールUVナノインプリント機(東芝機械社製)にてPET基材(コスモシャインA4300:厚さ100μm[東洋紡社製])とUV樹脂(PAK−02[東洋合成社製])を用いて、UV樹脂転写シート(凹凸パターンを有する転写体)を製造した。
得られたUV樹脂転写シートの凹凸パターンについて、上記と同様にして平均深さH2、最頻ピッチA2、配向度W2を求めた。結果を表4に示す。
得られた転写シートの凹凸パターン上に、斜方蒸着角60°、I線と、凹部および凸部に沿う方向とのなす角度を90°として、抵抗加熱蒸着にて、アルミニウムを積層厚30nmになるように蒸着して、アルミニウム細線を形成した。このようにしてワイヤーグリッド偏光子Aを製造した。
このワイヤーグリッド偏光子Aの偏光特性をKOBRA(王子計測機器社製)にて測定したところ、偏光度92、透過率41%であった。結果を表4に示す。
また、比較として、収縮工程後に延伸をしていない積層フィルムを用いて、ニッケル電鋳によりスタンパーを製造し、同様にしてUV樹脂転写シートを製造し、その上にアルミニウム細線を形成し、ワイヤーグリッド偏光子A’とした。
このワイヤーグリッド偏光子A’の偏光度は84、透過率40%であった。結果を表3に示す。
延伸工程後の表面微細凹凸体は、延伸工程前の積層フィルムよりも、配向度が小さく、そのため、この表面微細凹凸体の転写体を用いて得られたワイヤーグリッド偏光子Aは、延伸工程を経ていない積層フィルムの転写体を用いて得られたワイヤーグリッド偏光子A’よりも、偏光度が優れていた。
(積層フィルム形成工程)
基材として一軸方向(CD方向)に主に加熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(三菱樹脂社製ヒシペットLX−61S、ガラス転移温度70℃)を用いた。この片面に、ポリスチレン(アルドリッチ社製品番182435−25G、重量平均分子量24万、分散度2.0、ガラス転移温度100℃)をトルエンに希釈した液を塗工して硬質層を形成し、表面が平坦な積層フィルムを得た。この際、硬質層は、乾燥後の塗工厚さ0.7μmになるよう塗工して形成した。
また、ここで使用した基材の最大収縮率、すなわち、後述する延伸工程の際の温度(90℃)での最大収縮率は、70%である。
次に、積層フィルムの主収縮方向(CD方向)における両端部をクリップで把持して、互いに反対方向に引っ張り、積層フィルムが最大収縮率まで収縮しないように張力を作用させながら、85℃、1分間で収縮工程を行った。その結果、主収縮方向の長さが加熱収縮前の70%に収縮し、表面に凹凸パターンが形成された積層フィルムが得られた。
ついで、凹凸パターンが形成された積層フィルムがこれ以上収縮しないように、主収縮方向(CD方向)における両端部をクリップで把持しながら、この積層フィルムを95℃で1分間加熱した。
ついで、熱セット工程後の積層フィルムについて、90℃、1分間の条件で、主収縮方向に直交する方向に張力を作用させて延伸し、表面微細凹凸体を得た。延伸倍率は1.5倍とした。
また、これらについて、光拡散体としての性能である拡散角度を上記と同様の方法で評価したところ、熱セット工程を省略したものでは、主拡散方向の拡散角度は32°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は0.3°であり、製造例2と拡散性能が同一になったのに対して、熱セット工程を行ったものでは、主拡散方向の拡散角度は20°、主拡散方向と直交する方向の拡散角度は0.2°であった。このように、熱セット工程を適宜行うことによって、拡散角度を調整できた。
11 基材
12 硬質層
12a 凹凸パターン
Claims (2)
- 樹脂製の基材と、該基材の少なくとも片面に設けられた樹脂製の硬質層とを備え、該硬質層が波状の凹凸パターンとされた表面微細凹凸体であって、
前記基材は、熱収縮した加熱収縮性フィルムであり、
前記硬質層は、重量平均分子量が20万以上で、かつ、分散度が2以上の熱可塑性樹脂からなり、
前記凹凸パターンは、配向度が0.1未満であることを特徴とする表面微細凹凸体。 - 前記基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tg1と、前記硬質層を構成する樹脂のガラス転移温度Tg2との差(Tg2−Tg1)が10℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面微細凹凸体。
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