JP5837211B2 - 防食性能劣化検知センサーおよびそれを備えた給湯暖房システム - Google Patents

防食性能劣化検知センサーおよびそれを備えた給湯暖房システム Download PDF

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Description

本発明は、水分を含む雰囲気中で使用される金属材料の腐食、特に冷却液を循環する給湯暖房システムや熱交換器を配備した空調システム等の配管に使用されている金属材料の腐食を抑制するために配管の内面に形成された防食被膜における劣化を検知する防食性能劣化検知センサーに関するものである。
給湯暖房システムや空調システム等の設備機器では、システムを構成する配管などの金属材料の腐食を抑制するため、内面に防食被膜を形成した配管が提案されている。しかしながら、経年使用などによって防食被膜が劣化してしまうと、配管内面の防食性能が低下してしまい、金属材料の腐食が進行する。金属材料の腐食が進行すると、金属材料に貫通孔に至る孔食が発生し、結果として冷却液漏れにより熱交換性能が著しく低下してしまうということがあった。
したがって、このような設備機器における冷却液漏れによる熱交換性能の低下を防止するためには、システムを構成する配管などの金属材料における腐食が発生する前に、防食被膜の劣化を検出し、防食被膜を再形成するなど適切に対応をする必要がある。
そこで、内面に防食被覆を施した配管からなる管路内に配置された2点の電極及び管体にそれぞれ接続した3端子の組み合わせになる3通りの端子対のうち、少なくとも2つの端子対に関しての電気的特性を測定し、防食被覆の損傷の有無及び存在位置を検出する管路内面被覆の探傷方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、測定対象回路とは別に抵抗値を変更可能にした抵抗部が取り付けられた模擬回路を設け、印加した設定電圧と、模擬回路を流れる電流値と、抵抗部の抵抗値との間の相関関係に基づいてインピーダンスを決定することにより、周辺電磁波や周囲温度等の外部環境の影響を低減した配管腐食状態診断方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第2532038号(請求項1、明細書の4頁右欄から5頁左欄及び第2図) 特開2005−315864号公報(段落番号[0050]〜[0054])
特許文献1に記載の技術は、配管からなる管路内に設置された2点の電極及び管体にそれぞれ接続した3端子の組み合わせになる3通りの端子対のうち、少なくとも2つの端子対に電圧を印加した時の検出電流により電気的特性を測定し、被覆の損傷を検出する。この方法では、端子間に被覆を含む端子対についての測定が必要であるが、被覆に損傷がない場合の被覆による抵抗は非常に大きいため、検出電流が非常に小さくなり、端子間に被覆を含む端子対についての電気的特性を測定することは困難である。高電圧を印加して検出電流を増大させることにより、測定は可能になるが、高電圧の印加により被覆損傷および腐食進行の誘発の可能性が高くなるという問題がある。そのため、測定対象である被覆に測定の影響を与えることなく、被覆の損傷を検出することは困難となっている。
また、特許文献1に記載の技術における3端子の組み合わせになる3通りの端子対のいずれについても、端子間には管路を流れる管路内液体が含まれている。給湯暖房システムや空調システム等の設備機器における管路内液体には不凍液や腐食抑制剤等の塩が添加されており、管路内液体の抵抗値は温度依存性を持つため、周囲温度の変化により抵抗値、抵抗比又は電位差が大きく影響を受けてしまう。周辺温度の変化が大きい場合には、被覆の損傷を検知する基準である3通りの端子対における電気的特性の変化と比較して、周辺温度の影響の方が大きくなる場合があり、正確な被覆損傷の検出は困難となっている。
特許文献2に記載の技術は、外部環境によるインピーダンス測定への影響を低減した配管腐食状態診断方法である。インピーダンス測定では、測定対象回路に交流電圧を印加した時に検出される電流よりインピーダンスを求め、腐食等による電極の表面状態の変化を調べることができる。配管内面の防食被膜劣化の検知をする際などの測定対象回路では、電極と溶液の界面が含まれるため、インピーダンスは抵抗成分および電極と溶液の界面の電気二重層による容量成分からなる。
特許文献2に記載の技術は、測定対象回路とは別に抵抗値を変更可能にした抵抗部が取り付けられた模擬回路を設け、印加した設定電圧と、模擬回路を流れる電流値と、抵抗部の抵抗値との間の相関関係に基づいてインピーダンスを決定する。抵抗部を含む模擬回路より求めた前記の相関関係により、測定対象回路の設置された環境におけるインピーダンスの抵抗成分への外部環境による影響は低減することができる。しかしながら、この模擬回路では、配管内面の防食被膜劣化の検知をする際などの測定対象回路に含まれる電極と溶液の界面のインピーダンスに大きく影響する容量成分が考慮されておらず、インピーダンスの容量成分については外部環境の影響を受けてしまうため、正確なインピーダンスの測定は困難である。
また、容量成分等の抵抗成分以外のインピーダンス成分についても外部環境の影響を低減するためには、高精度に測定対象回路を模した複雑な模擬回路が必要であり、且つ模擬回路を測定対象回路に別途取り付ける必要があることから、模擬回路の製作を伴い、設置空間等を考慮しなくてはならなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、導電性配管の内面に形成された防食被膜について、防食被膜の劣化を検知するための測定による防食被膜損傷および腐食進行の誘発を防ぎ、外部環境による影響を高精度に分離して防食被膜の劣化を正確に検出する防食性能劣化検知センサーを提供することを目的としている。
本発明に係る防食性能劣化検知センサーは、内面に防食被膜が形成された導電性配管と、導電性配管と絶縁され導電性配管内で液体と接触する電極と、導電性配管の外面に一端を接続された抵抗体と、一方の端子は導電性配管と接続され、他方の端子は電極および抵抗体と接続された交流電源と、交流電源の交流電圧に対するインピーダンス応答の周波数依存性により防食被膜劣化の有無を検知する検知部とを備えたものである。
本発明に係る防食性能劣化検知センサーは、内面に防食被膜が形成された導電性配管と、導電性配管と絶縁され導電性配管内で液体と接触する電極と、導電性配管の外面に一端を接続された抵抗体と、一方の端子は導電性配管と接続され、他方の端子は電極および抵抗体と接続された交流電源と、交流電源の交流電圧に対するインピーダンス応答の周波数依存性により防食被膜劣化の有無を検知する検知部とを備えたので、測定による被膜損傷および腐食進行の誘発を抑えながら、外部環境による影響を分離して防食被膜の劣化状態を適切に検出できる。
本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサーの一例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサーの電気的等価回路を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサーにおける電極4の設置場所の一例を示す図である。 電極4と溶液の界面における電極反応を模擬させた一般的な電気的等価回路を示す図である。 電極4と溶液からなる電気的回路において、印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。 抵抗体5のみからなる電気的回路において、印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。 電極4と溶液からなる電気的回路において、溶液の温度変化によるインピーダンスの周波数依存性への影響を示す図である。 電極4と溶液からなる電気的回路において、溶液の組成を変化させたときのインピーダンスの周波数依存性への影響を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサーにおいて、印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る防食性能劣化検知センサーを備えた給湯暖房システムの概要構成の一例を示す図である。 バイパスにより接続された防食性能劣化検知センサー100を備えた給湯暖房システムの概要構成の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100の概要構成の一例を示す図である。防食性能劣化検知センサー100は、例えば、給湯暖房システムや熱交換器を配備した空調システム等のような設備機器の導電性配管2に備えられるものであり、配管内面に施された防食被膜1の劣化を検知するものである。
[防食性能劣化検知センサー100の構成]
図1に示すように、防食性能劣化検知センサー100は、内面に防食被膜1が形成された導電性配管2と、導電性配管2からなる管路を流れる管路内液体3と接触するが導電性配管2とは絶縁を保つように管路内に設置された電極4と、導電性配管2の外面に一端を接続された抵抗体5と、一方の端子に導電性配管2からとった端子が接続され他方の端子に電極4および抵抗体5からとった端子が電流計6を介して接続された交流電源7と、インピーダンス測定器8と、防食性能劣化判定器9とを有する。また、内面に防食被膜1が形成された導電性配管2は、内面防食配管10になっている。さらに、電流計6、交流電源7、インピーダンス測定器8、及び防食性能劣化判定器9を一括したものがインピーダンス解析装置11である。なお、インピーダンス測定器8と防食性能劣化判定器9とで構成されるものは、本発明における検知部に相当する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100の電気的等価回路を示す図である。Cdlは防食被膜1および導電性配管2と管路内液体3との間に形成される電気二重層による容量、Rsは管路内液体3による溶液抵抗、Rctは防食被膜1が形成されていない導電性配管2と管路内液体3と電極4とからなる経路における電荷移動抵抗、Riは防食被膜1による抵抗、Rxは抵抗体5による抵抗である。図1および図2に示しているように、防食性能劣化検知センサー100における防食被膜1の劣化を検知するための電気的回路は、導電性配管2と、防食被膜1と、管路内液体3と、電極4とからなる点線で示される経路A、及び導電性配管2と、抵抗体5とからなる一点鎖線で示される経路Bを並列に接続した回路となっている。
防食被膜1は、導電性配管2と管路内液体3の間の電流の導通を遮断するものであり、導電性配管2の内面における腐食を防止することを目的として設置されるものである。
導電性配管2は、導電性の配管であり、銅、ステンレス鋼などからなり、一般的に給湯暖房システム等の設備機器において冷却液等を循環するための管路を形成するものである。
図1に示しているような直線状の配管に限らず、L字配管、T字配管等の一般的に給湯暖房システム等の設備機器において使用される管路内液体3が循環できる導電性配管2であれば任意の形状のものを用いることができる。
管路内液体3は、例えば、導電性配管2からなる管路内を流れる冷却液、冷媒であり、用途に応じて不凍液や腐食抑制剤等の塩を添加したものを用いることができる。
電極4は、経路Aに電流を流すための電極であり、導電性配管2を貫通するリード線により電流計6を介して交流電源7にその一端が接続されている。電極4を導電性配管2とは絶縁を保つようにするために、前記リード線としては、絶縁性の樹脂等で被覆されたリード線を用いることができる。また、電極4は管路内液体3と接触するため、電気化学的安定性が高く電流が流れても腐食しにくい金属から構成されている。具体的には、電極4は、金、白金、チタン、銅、ステンレス鋼など電気化学的に貴な金属で構成するとよい。
電極4の設置場所は、導電性配管2と絶縁を保ち、管路内液体3に接触していれば、図1のような導電性配管2の管路中央への設置に限られるものではなく、任意の場所に設置することができる。給湯暖房システム等の設備機器を構成する導電性配管全体について、高精度に防食被膜1の劣化を検知するためには、導電性配管全体の中で防食被膜1の劣化が発生する可能性が高い場所に電極4を設置することが好ましい。
具体的には、「防食被膜1が管路内液体3の流れにより物理的に破壊される可能性があるような場所(例えば、管路内液体3の流速の大きい場所、管路内液体3の流れが乱流となっている場所)」や「管路内液体3の液性が変化する可能性の高い場所(例えば、管路内液体3の流速が小さい場所、管路内液体3の流れがなくよどみが発生している場所)」等に電極4を設置することが好ましい。
また、電極4は導電性配管2の管路内に設置されるものであるので、管路内液体3の流れを乱さないような位置にすることが好ましい。導電性配管2として直線状のものを用いる場合は、導電性配管2の中心軸上に設置することができる。また、導電性配管2としてT字状のものを用いる場合は、管路内液体3の流れを乱すことなく、電極4を管路内液体3に接触するように管路内に設置することができる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100における電極4の設置場所の一例を示す図である。T字状の導電性配管2の2つの開口部を繋ぐ直線部分を管路内液体3が循環するようにし、2つの開口部を繋ぐ直線部分に垂直な残りの1つの開口部に円柱状の電極4を絶縁性シール部材15により導電性配管2と絶縁を保った状態で管路内液体3の流れを乱すことなく設置することができる。ここで、絶縁性シール部材15は、導電性配管2と電極4との間に設置され、それらの間の電流の導通を遮断し、導電性配管2と電極4の隙間を埋めて管路内液体3の漏れを防止するものであり、絶縁性の樹脂等からなる。
電極4の形状は、円柱、角柱、球形等どのような形態でも適用できる。ただし、電極4は管路内液体3の流れを乱す可能性があるので、管路内液体3の流れを乱さないような形状にすることが好ましい。具体的には、導電性配管2として直線状のものを用いる場合は、円柱や正多角形からなる角柱等の管路内液体3の流れの方向に垂直な断面の対称性が高い形状とすることが好ましい。
電極4が管路内液体3に接する面積は十分大きくすることが好ましい。防食被膜1が劣化した時、電流は図2の経路Aにおいて、管路内液体3を介して電極4に流れる。そのため、防食被膜1の劣化に伴い管路内液体3から流れてくる電流を感度良く検出するためには、電極4が管路内液体3に接する面積を十分大きくすることが好ましい。導電性配管2として直径20mm程度のものを用いる場合には、電極4が管路内液体3に接する面積は1cm以上とすることが好ましい。
抵抗体5は、図2における経路Aおよび経路Bからなる並列回路における電流の流れる経路を制御するための抵抗体5である。具体的には、防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、管路内液体3と、電極4とからなる防食被膜1が未形成の経路Aで測定された所定の抵抗値よりも大きい値とすることができる。
また、防食被膜1の抵抗値よりも小さい値とすることができる。
防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、管路内液体3と、電極4とからなる防食被膜1が未形成の経路Aにおける抵抗値は一般的な水道水(導電率:約100〜200μS/cm)を用いた場合は10Ω程度であり、防食被膜1の抵抗値は10Ω以上であると考えられることから、抵抗体5の抵抗値は10〜10Ωとすることができる。
抵抗体5の抵抗値が10Ωに近いほど防食被膜劣化に伴う周波数依存性の変化が小さくなり、防食被膜1の劣化検知が困難になる。抵抗体5の抵抗値が10に近いほど防食被膜1が劣化しても経路Aに電流が流れにくくなるため、防食被膜1の劣化検知が困難になる。したがって、抵抗体5の最適な抵抗値としては、10〜10Ωの中間値である5×10Ωとすることができる。
電流計6は、経路Aおよび経路Bからなる並列回路に交流電圧を印加した時に回路を流れる電流を検出するためのものである。具体的には、測定箇所の回路を開いてその2点間に接続した抵抗における電圧降下より電流値を求める電流計6や回路を開くことなく電流値を測定できるクランプメータなどを用いることができる。
交流電源7は、経路Aおよび経路Bからなる並列回路に対して交流電圧を印加するものである。印加する交流電圧の値については、電圧が高いほど電流応答の感度がよくなるが、一方で電極反応(電極4と溶液の界面近傍で起こる電気化学反応であり、電極4の腐食等を含む。以下において同じ)が進行しやすくなるため、最適化する必要がある。電流応答感度と電極反応進行の抑制を両立させるためには、印加電圧は10mV以上、50mV以下であることが好ましい。
また、管路内液体3の温度変化によるインピーダンスへの影響を低減するためには、周波数を0.1Hz〜1kHzの中周波数とすることが好ましい。
インピーダンス測定器8は、交流電源7に2つ以上の所定周波数の交流電圧を印加する指令を出し、それに対する検出電流値を電流計6より取得し、交流電圧値を検出電流値により除することによりインピーダンスを算出する。
防食性能劣化判定器9は、インピーダンス測定器8により連続して測定した2つ以上の所定周波数におけるインピーダンスの値を取得し、インピーダンスの値の一致性より防食被膜1の劣化の有無を判定する。2つ以上の所定周波数での測定における測定時の外部環境の違いを無視できるように、前記連続した測定の測定間隔は十分小さくすることが好ましい。
この防食性能劣化判定器9による防食被膜1の劣化判定の間隔は、任意の間隔とすることができる。本実施の形態1にかかる防食性能劣化検知センサー100では、防食被膜1に劣化がない場合は、抵抗体5にのみ電流が流れ、防食被膜1を含む経路には電流が流れないため、防食被膜1の劣化を検知するための測定による被膜損傷および腐食進行の誘発の可能性を極めて小さくすることができる。したがって、防食被膜1の劣化判定の間隔を極端に短くすることもできる。一般的な給湯暖房システム等の設備機器においては、防食性能劣化判定器9による防食被膜1の劣化判定の間隔は1ヶ月〜1年程度とすることが適当だと考えられる。
[防食性能劣化検知センサー100の動作説明]
本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100は、交流電源7により経路Aおよび経路Bからなる並列回路に2つ以上の所定周波数の交流電圧を連続して印加することにより、それぞれの周波数に対する電流応答からインピーダンスを算出し、それらのインピーダンスの一致性より防食被膜1の劣化を検知する。すなわち、インピーダンスの周波数依存性を調べることにより、防食性能劣化検知センサー100は防食被膜1の劣化を検知できるものである。
図2に示している経路Aおよび経路Bからなる並列回路における電流の流れる経路は、防食被膜1の劣化の有無により変化する。すなわち、防食被膜1に劣化がない場合は、防食被膜1の高い抵抗のために経路Aには電流が流れ込まず経路Bのみに流れる。一方、防食被膜1が劣化すると、防食被膜1の抵抗値の低下により経路Aに電流が流れ込む。
この結果、防食被膜1に劣化がない状態では、経路Aには電流が流れないため、測定による被膜損傷および腐食進行の誘発の可能性を低減することができ、その状態を経路Bにおける抵抗体5による一定値を示すインピーダンスとして正確に検出できる。
また、経路Bのインピーダンスが抵抗体5のみによる抵抗成分のみからなるのに対して、経路Aのインピーダンスは電極4と溶液の界面における容量等を含む複雑なものであり経路Bとは全く異なる電気的特性を示す。具体的には、電極4と溶液の界面を含む経路Aのインピーダンスは周波数によりインピーダンスの値が大きく変化し、抵抗体5のみからなる経路Bのインピーダンスは周波数に依らず一定値を示す。外部環境の変化によりインピーダンスの値は変化すると考えられるが、これらのインピーダンスの周波数依存性の特徴は変化せず、経路の違いにより周波数依存性に明確な差異が現れると考えられる。
すなわち、外部環境が変化した場合も、任意の一時刻において測定された経路Aのインピーダンス応答は周波数により大きく変化し、任意の一時刻において測定された経路Bのインピーダンス応答は周波数に依らず一定値を示すと考えられる。したがって、外部環境が変化した場合も、連続して測定された2つ以上の所定周波数におけるインピーダンスの値が一致するか否かを調べることにより、電流が経路Aと経路Bのどちら側を流れているのかを明確に検出することができ、電流の経路より防食被膜1の劣化の有無を検知できる。
以上のように、本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100を用いることにより、測定による防食被膜損傷および腐食進行の誘発を防止しながら外部環境による影響を高精度に分離して防食被膜1の劣化を正確に検出することができる。
[防食被膜1について]
本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100の検知対象である防食被膜1は、配管内面における腐食を防止するために、管路内液体3と接する管路内面全体に形成されるものである。防食被膜1を形成する方法としては、配管内面に防食塗料を塗布する方法や管路内液体3に防食被膜1を形成する腐食抑制剤を添加する方法などがある。
配管内面に防食塗料を塗布する方法は、管路内面に樹脂等からなる絶縁性の被膜を形成する塗料を塗布するものであり、求められる防食性能に応じて塗膜の厚みを調整することができる。
管路内液体3に防食被膜1を形成する腐食抑制剤を添加する方法では、腐食抑制剤として、ベンゾトリアゾール、8−キノリノールなどの沈殿被膜型腐食抑制剤、テトラアルキルアンモニウムなどの吸着被膜型腐食抑制剤、亜硝酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウムなどの酸化被膜型腐食抑制剤が採用される。腐食抑制剤による防食被膜1の形成メカニズムは、防食被膜1を形成する対象物の材料により異なるため、対象物を構成する材料に応じて最適な腐食抑制剤を用いることが好ましい。具体的には、対象物が銅で構成されている際には、腐食抑制剤としてベンゾトリアゾールなどの沈殿被膜型を採用し、対象物が鉄で構成されている際には、亜硝酸ナトリウムなどの酸化被膜型の腐食抑制剤を採用するとよい。
[インピーダンスの周波数依存性について]
電気化学インピーダンス測定では、電極界面を模擬させた電気的等価回路モデルを組み立てて電極4の表面状態・電極反応を評価する。電極4と溶液の界面における電極反応を模擬させた一般的な電気的等価回路を図4に示す。Cdlは電極4と溶液の界面に形成される電気二重層の容量であり、表面被膜に蓄えられる電荷の影響を考慮したものである。Rsは溶液抵抗であり、電解液の抵抗を考慮したものである。Rctは電荷移動抵抗であり、電極反応のうち電子授受に関わる抵抗成分を表し、電極4と溶液の界面における酸化被膜や防食被膜1等による被膜抵抗に対応する。
図4は、電極4と溶液の界面における電極反応を模擬させた一般的な電気的等価回路を示す図である。本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100において防食被膜1が劣化した状態と同一の状態であると見なすことができる防食被膜1が形成されていない配管と、管路内液体3と、管路内に設置された電極4とからなる経路は図4の電気的等価回路で表すことができる。
図4の電気的等価回路に対して交流電圧を印加し、その電流応答からインピーダンスを検出する。この検出したインピーダンスZtotalについて、印加する角周波数ωに依存した以下の式が成立する。
Figure 0005837211
この式(1)において、ω→∞とするとZtotalはRsに、ω→0とすると、ZtotalはRs+Rctに近づく、すなわち高周波数領域では溶液抵抗に関する情報、低周波数領域においては溶液抵抗に加えて電荷移動抵抗に関する情報、そして、中周波数領域においては溶液抵抗、電荷移動抵抗の他に電気二重層の容量に関する情報が得られることを意味している。ここで言う高周波数領域とは1kHzより高い領域、低周波数領域とは0.1Hz未満を表し、中周波数領域とはこれらの間を表す。
図5は、電極4と溶液からなる電気的回路において、印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図であり、より具体的には図4の電気的等価回路で表すことができる電極4と溶液からなる電気的回路において、印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。電極4としては、銅からなる1組の電極4を用い、印加する交流電圧の振幅を10mV、周波数を1mHz〜100kHzとした。図5に示すように、溶液を含む回路における電流応答から抽出されるインピーダンスは、低周波数領域0.1Hz以下および高周波数領域1kHz以上で一定値を示すのに対して、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下では電極4と溶液の界面における電気的特性から周波数により値が大きく変化している。
図6は、抵抗体5のみからなる電気的回路において、印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。抵抗体5としては10Ωの標準抵抗を用い、印加する交流電圧の振幅を10mV、周波数を1mHz〜100kHzとした。抵抗体5のみからなる回路における電流応答から抽出されるインピーダンスは、いずれの周波数においても抵抗体5の抵抗値に一致する一定値を示しており、図5に示している電極4と溶液からなる電気的回路におけるインピーダンスの周波数依存性とは全く異なる応答を示す。
以上より、測定対象の回路が溶液を含む回路と抵抗体5のみからなる回路のどちらであるのかは、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下のインピーダンス応答においてインピーダンスの値が最小および最大となる1組の固定周波数を用いることにより、明確に検出することができる。また、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100では、防食被膜1の劣化に伴う抵抗体5のみからなる回路から溶液を含む回路への測定回路の変化による周波数依存性の変化を検出し、防食被膜1の劣化の有無を検知する。
したがって、前述の[防食性能劣化検知センサー100の構成]における2つ以上の所定周波数としては、防食被膜1の劣化に伴う測定回路の変化を明確に検出できるように中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下で防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、管路内液体3と、電極4とからなる防食被膜1が未形成の経路Aのインピーダンス応答においてインピーダンスの値が最小および最大となる1組の周波数を含むことが好ましい。
図2の経路Aで示される溶液を含む回路におけるインピーダンスは0.1Hzで最大、1kHzで最小となるような周波数依存性を示すと考えられる。後述の[外部環境によるインピーダンスへの影響について]に示すように、外部環境が変化した場合であっても、この周波数依存性は変化しないと考えられる。一方、図2の経路Bで示される抵抗体5のみからなる回路のインピーダンスは周波数に依らず一定値であると考えられる。
したがって、溶液を含む回路と抵抗体5のみからなる回路を明確に区別するには、前述の[防食性能劣化検知センサー100の構成]における2つ以上の所定周波数(ここでは簡単のため2つの周波数fa、fbについて示す)は、以下の式を満たす必要がある。
Figure 0005837211
ただし、周波数faとfbが近い値である場合は、2つの周波数におけるインピーダンスが近い値となるため、周波数依存性の検出が困難となり、溶液を含む回路と抵抗体5のみからなる回路を区別することが困難な場合がある。インピーダンス測定の測定精度は、測定に使用する機器にも依るが、少なくとも10%以上のインピーダンス値の違いは明確に検出できると考えられる。図5より、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下におけるインピーダンスは、周波数が10Hz変化するとインピーダンスが10%程度変化していることが分かる。これらより、溶液を含む回路と抵抗体5のみからなる回路を明確に区別するためには、式(2)と共に、以下の式が満たされることが好ましい。
Figure 0005837211
外部環境の変化による影響を考慮すると、0.1Hz未満および1kHzを超える周波数では溶液の温度や組成によりインピーダンスが大きく変化する可能性がある。一方、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下では、溶液の温度変化によるインピーダンスへの影響は小さいと考えられる。したがって、外部環境の変化による影響を低減し、溶液を含む回路と抵抗体5のみからなる回路をさらに明確に区別するためには、式(2)および式(3)と共に、以下の式が満たされることが好ましい。
Figure 0005837211
以上の式(2)〜(4)を満たす具体的な周波数の最適条件としては、fa=0.1Hz、fb=1kHzとすることができる。
[外部環境によるインピーダンスへの影響について]
本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100の図2の等価回路で示される測定対象のインピーダンスは、外部環境の影響により変化する可能性がある。外部環境を決定する因子としては、管路内液体3の温度および液性が挙げられる。
図7は、電極4と溶液からなる電気的回路において、溶液の温度変化によるインピーダンスの周波数依存性への影響を示す図である。具体的には、図4の電気的等価回路で表すことができる電極4と溶液からなる電気的回路において、溶液温度を20℃、40℃、60℃に変化した時の印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。電極4としては、銅からなる1組の電極4を用い、印加する交流電圧の振幅を10mV、周波数を0.1Hz〜100kHzとした。
図7に示すように、100Hz以上の高周波数領域では溶液温度が高くなるほどインピーダンスが小さくなる傾向がある。高周波数領域におけるインピーダンスは溶液抵抗を反映すると考えられる。温度上昇に伴って溶液抵抗が小さくなったために、高周波数領域におけるインピーダンスが低下したと考えられる。
図7より、中周波数領域では、温度変化によるインピーダンスへの影響は小さいことがわかる。中周波数領域におけるインピーダンスは電気二重層容量を反映すると考えられる。電気二重層容量を決定する防食被膜1の誘電率は一般的に温度変化の影響を受けないため、中周波数領域では温度変化による影響が見られなかったと考えられる。今回の測定した周波数範囲外ではあるが、低周波数領域では温度上昇に伴ってインピーダンスは低下すると考えられる。低周波数領域におけるインピーダンスは電荷移動抵抗を反映し、温度上昇に伴って反応が活性化して電荷移動抵抗が低下しインピーダンスは低下すると考えられる。
また、インピーダンスの周波数依存性については、図7より、いずれの温度においても周波数依存性は近い形となっていることが分かる。低周波数領域0.1Hz以下で一定値を示すのに対して、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下では周波数により値が大きく変化していることがわかる。
図8は、電極4と溶液からなる電気的回路において、溶液の組成を変化させたときのインピーダンスの周波数依存性への影響を示す図である。具体的には、図4の電気的等価回路で表すことができる電極4と溶液からなる電気的回路において、3種の異なる組成の溶液を用いた時の印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。溶液の導電率は、溶液Aが1.96mS/cm、溶液Bが1.00mS/cm、溶液Cが0.43mS/cmである。電極4としては、銅からなる1組の電極4を用い、印加する交流電圧の振幅を10mV、周波数を0.1Hz〜100kHzとした。
図8に示すように、100Hz以上の高周波数領域では溶液の導電率が小さくなるほどインピーダンスが大きくなる傾向が見られる。導電率の値に反比例して変化する溶液抵抗の変化を反映していると考えられる。一方、100Hz未満の周波数領域では、導電率変化に対してインピーダンスは変化していない。中周波数領域では電気二重層容量成分を、低周波数領域では電荷移動抵抗を反映するため、溶液抵抗の変化の影響が現れなかったと考えられる。
また、インピーダンスの周波数依存性については、図8より、いずれの導電率においても周波数依存性は近い形をしている。低周波数領域0.1Hz以下で一定値を示すのに対して、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下では周波数により値が大きく変化していることがわかる。
以上より、外部環境が変化した場合であっても、本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100の図2の等価回路で示される測定対象のインピーダンスの周波数依存性は大きく変化しないと考えられる。すなわち、外部環境が変化した場合であっても、低周波数領域0.1Hz以下では一定値を示し、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下では周波数により値が大きく変化すると考えられる。また、外部環境が変化した場合であっても、抵抗体5のみからなる回路のインピーダンスの周波数依存性は変化せず、周波数に依らず一定値を示すと考えられる。
したがって、外部環境が変化した場合であっても、2つ以上の所定周波数を用いることにより、測定対象の回路が溶液を含む回路と抵抗体5のみからなる回路のどちらであるのかを明確に検出できると考えられる。すなわち、外部環境が変化した場合であっても、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100により、防食被膜1の劣化に伴う抵抗体5のみからなる回路から溶液を含む回路への測定回路の変化による周波数依存性の変化を検出し、防食被膜1の劣化の有無を検知することができると考えられる。
[抵抗体5の抵抗値について]
図2に示しているように、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100は経路Aおよび経路Bを並列に接続した電気的回路からなる。本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100における抵抗体5は、前記の並列回路における電流の流れを制御する役割を担っている。すなわち、防食被膜1に劣化がない場合は抵抗体5を含む経路Bのみに電流が流れ、防食被膜1が劣化すると管路内液体3を含む経路Aに電流が流れるという効果は、抵抗体5により実現される。以下では、図2における容量Cdl、液抵抗Rsおよび電荷移動抵抗RctからなるインピーダンスZtotalと、防食被膜1による抵抗Riと、抵抗体5による抵抗Rxの抵抗値について、上記の電流の経路の切り替わりを実現するための条件を示す。
防食性能劣化検知センサー100は、ZtotalとRiとからなる直列回路と抵抗体5を並列に接続した回路に交流電圧を印加することにより、防食被膜1の劣化を検知する。防食被膜1に劣化がない場合は、Ztotalと比較してRiは十分に大きいと考えられることから、電流の経路は、RiとRxの大小関係により決定される。一方、防食被膜1が劣化した場合は、上記の防食被膜1による抵抗Riがゼロであると見なせることから、電流の経路は、ZtotalとRxの大小関係により決定される。
以上より、防食被膜1に劣化がない場合は抵抗体5を含む経路Bのみに電流が流れ、防食被膜1が劣化すると管路内液体3を含む経路Aに電流が流れるという効果を実現するための抵抗体5の抵抗値Rxの条件は、以下の関係式を満たす必要がある。
Figure 0005837211
すなわち、抵抗体5の抵抗値は、防食被膜1による抵抗Riよりも十分小さく、防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、管路内液体3と、電極4とからなる防食被膜1が未形成の経路Aで測定された抵抗値以上の値とすることができる。
防食被膜1の抵抗値は10Ω以上であり、防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、管路内液体3と、電極4とからなる防食被膜1が未形成の経路Aにおける抵抗値は一般的な水道水(導電率:約100〜200μS/cm)を用いた場合は10Ω程度であると考えられる。
いずれも通常の導電レベルから考えると非常に大きい抵抗値であり、直流電圧を印加した場合は、防食被膜1および防食被膜1が未形成の経路Aのいずれにも電流が流れず、いずれも同じ電気化学特性を示すと考えられる。
一方、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100ではインピーダンス測定を用いていることから、直流電圧ではなく交流電圧を印加する。交流電圧の周波数によりインピーダンスは変化する。低周波数領域では直流電圧を印加した場合に近い電気化学特性となり、中周波数領域および高周波数領域では極性の反転速度が速いため直流電圧を印加した場合とは全く異なる電気化学特性を示す。そのため、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100で用いているインピーダンス測定では、防食被膜1(抵抗値:10Ω以上)と防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、管路内液体3と、電極4とからなる防食被膜1が未形成の経路A(抵抗値:10Ω程度)は全く異なる測定対象と見なすことができる。
すなわち、通常の導電レベルから考えると非常に大きい抵抗値(10Ω程度および10Ω以上)であり、導電性が低いという点で類似した電気的特性を有すると見なされるような2つの測定対象であっても、インピーダンス測定によれば測定対象に含まれるインピーダンス成分の差異により全く異なる電気化学特性を示す2つの測定対象として明確に識別することができる。
その結果、防食被膜1に劣化がない時は、Rx << Riの関係より、抵抗体5の抵抗値と比較して防食被膜1による抵抗が非常に大きいため管路内液体3を含む経路には電流が流れず、抵抗体5を含む経路Bのみに電流が流れる。一方、防食被膜1の劣化によりRiが減少することにより電流が防食被膜1を通過できるようになり、Ztotal ≦ Rxの関係により、管路内液体3を含む経路Aに電流が流れるようになる。
また、式(5)を満たす抵抗体5の抵抗値Rxは、次のように表すことができる。
Figure 0005837211
ここで、αは0以上1未満の定数であり、αの値により、検知する防食被膜1の劣化の程度を制御することができる。
α=0の場合は、抵抗体5の抵抗値は防食被膜1が完全に劣化した状態の抵抗値に等しく、防食被膜1が完全に劣化しなければ管路内液体3を含む経路Aへの電流の流れ込みが起こらない。この結果、防食被膜1が完全に劣化しなければ、前述の[インピーダンスの周波数依存性について]で示しているような溶液を含む回路におけるインピーダンスの周波数依存性は現れず、本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100が検知できる防食被膜1の劣化の程度は防食被膜1の完全に劣化した状態となる。
αが0よりも大きい場合は、抵抗体5の抵抗値は防食被膜1が完全に劣化した状態の抵抗値よりも大きくなるため、防食被膜1が完全に劣化する前の状態を検知することができる。例えば、α=0.5とした場合には、防食被膜1の抵抗値が半減した状態を検知することができる。
防食被膜1の膜厚が均一に減少したと仮定すると、この防食被膜1の抵抗値が半減した状態は、防食被膜1の膜厚が劣化する前の半分になったことを意味する。
以上のように、式(6)におけるαの値により、本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100が検知できる防食被膜1の劣化の程度を制御することができる。
なお、抵抗体5の抵抗値を決定する具体的な方法としては、防食被膜1が形成されていない配管と、管路内液体3と、電極4とからなる回路で所定の周波数の印加電圧に対するインピーダンス測定を実施し、そのインピーダンス応答におけるインピーダンスの最大値をZtotal、物性値より求めた防食被膜1の抵抗値をRiとして式(6)に代入し、検知したい防食被膜1の劣化の程度に応じて設定したαの値により算出した式(6)のRxを抵抗体5の抵抗値とする方法を用いることができる。上記の最大値は、防食被膜1を形成する前にインピーダンス測定を行うことにより、容易に求めることができる。
ただし、防食被膜1が形成されていない配管と、管路内液体3と、電極4とからなる回路のインピーダンスの値は周波数によって変化することから、防食被膜1の劣化を検知するための測定における防食被膜1が劣化した状態のインピーダンスの値を抵抗体5の抵抗値に適切に反映することができるように、上記の所定の周波数は、防食被膜1の劣化を検知するための測定に用いる印加電圧の周波数を全て含む周波数帯であることが好ましい。
[防食被膜劣化の有無の判定について]
本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100は、前述の[インピーダンスの周波数依存性について]に示しているように、周波数によらず一定値のインピーダンスを示す経路Bから、周波数によって大きくインピーダンスの値が異なる経路Aに、測定回路が変化することによる周波数依存性の大きな変化に基づいて防食被膜1の劣化を検知する。すなわち、本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100は、2つ以上の所定周波数の交流電圧に対するインピーダンスの値の一致性により防食被膜1の劣化を検知できるものである。
本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100の測定回路における2つ以上の所定周波数の交流電圧に対するインピーダンスの任意の2つについての差は、前記測定回路のインピーダンスの周波数依存性により生じる。したがって、2つ以上の所定周波数の交流電圧に対するインピーダンスの任意の2つについての差は、前記測定回路のインピーダンスの周波数依存性における最小値と最大値の差以下となる。前述の[インピーダンスの周波数依存性について]に示しているように、周波数依存性における最小値と最大値の差が最も大きくなるのは防食被膜1が劣化した場合である。したがって、本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100の測定回路における2つ以上の所定周波数の交流電圧に対するインピーダンスの任意の2つについての差は、防食被膜1が劣化した状態に対応する防食被膜1が未形成の経路Aの周波数0.1Hz以上、1kHz以下におけるインピーダンスの最小値と最大値の差ΔZ以下になると考えられる。
本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100における防食被膜劣化の有無の判定では、ΔZを基準として、2つ以上の所定周波数の交流電圧に対するインピーダンスの任意の2つについての一致性より防食被膜1の劣化の有無を判定する。すなわち、2つ以上の所定周波数の交流電圧に対するインピーダンスの任意の2つの差のいずれもが、ΔZ/s未満の時はインピーダンスが一致し防食被膜1の劣化がないと判定し、ΔZ/s以上の時はインピーダンスが一致せず防食被膜1が劣化していると判定する。
前記のsはインピーダンスの一致性の判定基準を規定する数値であり、大きいほどインピーダンスの一致性を厳密に検出することができ、防食被膜1の劣化による周波数依存性の変化を早期に検出できる。
[防食性能劣化検知センサー100の動作の実証結果]
図9は、本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100において、印加する交流電圧に対するインピーダンスの周波数依存性を示す図である。検知対象である内面に防食被膜1が形成された配管としては、防食被膜1に劣化のない導電性配管2Aおよび防食被膜1に劣化が発生した導電性配管2Bを用いた。インピーダンスの測定条件としては、印加する交流電圧の振幅を10mV、周波数を1mHz〜100kHzとし、防食被膜1に劣化のない導電性配管2Aを黒丸で、防食被膜1に劣化が発生した導電性配管2Bを白丸で示している。
抵抗体5の抵抗値は、防食被膜1が形成されていない配管と、管路内液体3と、電極4とからなる回路において、上記のインピーダンスの測定条件に対応した周波数1mHz〜100kHzでのインピーダンス測定を実施し、そのインピーダンスの値の最大値876kΩとした。ここでは、前述の[抵抗体5の抵抗値について]で示した式(6)におけるαを0として、防食被膜1が完全に劣化した状態を検知できるように設定した。また、防食被膜1の抵抗値は10Ω・cmであり、抵抗体5の抵抗値よりも十分大きいことから、この抵抗体5の抵抗値は、前述の[抵抗体5の抵抗値について]で示した式(5)の防食被膜1に劣化がない場合は抵抗体5を含む経路のみに電流が流れ、防食被膜1が劣化すると管路内液体3を含む経路に電流が流れるという効果を実現するための条件を満たしている。今回の測定対象回路である上記の配管では、防食被膜1の抵抗値が抵抗体5の抵抗値と比較して十分大きくなっているが、防食被膜1の抵抗値が抵抗体5の抵抗値と比較して十分大きくない場合は、防食被膜1の種類または厚みなどの制御により防食被膜1の抵抗値を大きくすることが好ましい。
図9に示すように、防食被膜1に劣化のない導電性配管2Aにおけるインピーダンス応答は周波数に依らず一定値を示している。一方、防食被膜1に劣化が発生した導電性配管2Bにおけるインピーダンス応答は、低周波数領域0.1Hz以下および高周波数領域1kHz以上のそれぞれでは周波数による違いは小さく一定値を示しているが、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下では周波数によりインピーダンスの値が大きく変化している。
前記の[インピーダンスの周波数依存性について]に示しているように、この防食被膜1の劣化の有無によるインピーダンスの周波数依存性における差異は、図2に示している経路Aおよび経路Bからなる並列回路において電流の流れる経路が防食被膜1の劣化の有無により変化するために現れたものである。すなわち、防食被膜1の劣化を検知する対象である経路Aに上記のように抵抗値を設定した抵抗体5を含む経路Bを並列に接続することにより、防食被膜1に劣化がない導電性配管2Aでは防食被膜1の高い抵抗のために経路Aには電流が流れ込まず経路Bのみに流れ、一方、防食被膜1が劣化した導電性配管2Bでは防食被膜1の抵抗値の低下により経路Aにも電流が流れるという効果が得られた。
また、防食被膜1に劣化がない状態である導電性配管2Aでは、経路Aには電流が流れないため、測定による被膜損傷および腐食進行の誘発の可能性を低減することができると考えられ、防食被膜1に劣化がない状態を経路Bにおける抵抗体5による一定値を示すインピーダンスとして正確に検出できている。
一方、防食被膜1に劣化が発生した導電性配管2Bでは、中周波数領域0.1Hz以上、1kHz以下で周波数により値が大きく変わるインピーダンス応答が得られており、導電性配管2Aとは全く異なるインピーダンスの周波数依存性を示している。
前述の[インピーダンスの周波数依存性について]に示している2つ以上の所定周波数についての条件より、前記2つ以上の所定周波数としては周波数0.1Hzおよび1kHzを用いることができる。これらの周波数を用いると、図9に示しているように、導電性配管2Aでは0.1Hzと1kHzとにおけるインピーダンスが一致していることから防食被膜1に劣化がないことを検知でき、導電性配管2Bでは0.1Hzと1kHzとにおけるインピーダンスが大きく異なることから防食被膜1に劣化が発生していることが検知できる。
本実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100を用いることにより、測定による防食被膜損傷および腐食進行の誘発を防止し、且つ防食被膜1の劣化に伴う周波数依存性における明確な変化を検出できるので、外部環境による影響を高精度に分離して防食被膜1の劣化を正確に検知することができる。
以上のように、内面に防食被膜1が形成された導電性配管2と、導電性配管2と絶縁され導電性配管内で液体と接触する電極4と、導電性配管2の外面に一端を接続された抵抗体5と、一方の端子は導電性配管2と接続され、他方の端子は電極4および抵抗体5と接続された交流電源7と、交流電源7の交流電圧に対するインピーダンス応答の周波数依存性により防食被膜劣化の有無を検知する検知部とを備えたので、測定による被膜損傷および腐食進行の誘発を抑えながら、外部環境による影響を分離して防食被膜1の劣化状態を適切に検出できる。
また、抵抗体5の抵抗値は、内面に防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、導電性配管内の液体と、導電性管路内に設置された電極4からなる回路で測定された抵抗値以上で、防食被膜1による抵抗値よりも小さくなっている。
さらに、交流電圧の周波数は、0.1Hz以上、1kHz以下の複数の所定周波数である。
また、交流電圧の所定周波数は、内面に防食被膜1が形成されていない導電性配管2と、導電性配管内の液体と、導電性管路内に設置された電極4からなる回路で測定された周波数0.1Hz以上、1kHz以下のインピーダンス応答においてインピーダンスの値が最大および最小となる1組の周波数を含んでいる。
防食被膜1による抵抗は非常に大きいため、防食被膜1に劣化がない状態を検出することは困難であるが、本発明によれば、防食被膜1に劣化がない状態は防食被膜1よりも十分小さな抵抗値の抵抗体5に十分大きな検出電流が流れるため、その状態を正確に検出することができる。また、防食被膜1に劣化がない場合は、抵抗体5にのみ電流が流れ、防食被膜1を含む経路には電流が流れないため、防食被膜1の劣化を検知するための測定による被膜損傷および腐食進行の誘発の可能性を極めて小さくすることができる。さらに、防食被膜1の劣化により測定している回路の電気的特性が大きく変化するため、防食被膜1の劣化をインピーダンスの周波数依存性における大きな変化として検出できることから、外部環境による影響を高精度に分離して防食被膜1の劣化を検知することができる。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2に係る防食性能劣化検知センサー100を備えた給湯暖房システム200の概要構成の一例を示す図である。給湯暖房システム200とは、熱源機で生成される熱を利用して、たとえば風呂、洗面室および台所などへの給湯や部屋の暖房などをすることができるものである。給湯暖房システム200における防食性能劣化検知センサー100は、給湯暖房システム200の導電性配管2の内面に形成された広範囲にわたる防食被膜1における劣化を正確に検知することができる。
[防食性能劣化検知センサー100を備えた給湯暖房システム200の構成]
図10に示すように給湯暖房システム200は、冷却対象材12と、循環ポンプ13と、前記冷却対象材12と前記循環ポンプ13とを接続した両端に接続された絶縁性継ぎ手14と、前記絶縁性継ぎ手14に一端10aおよび一端10bの両端が接続された内面防食配管10と、管路内液体3と接触するが内面防食配管10とは絶縁を保つように内面防食配管10の一端10aの内部に設置された電極4と、内面防食配管10の一端10aの外面に一端を接続された抵抗体5と、一方の端子に内面防食配管10の一端10bからとった端子が接続され他方の端子に前記電極4および前記抵抗体5からとった端子が接続されたインピーダンス解析装置11とから構成される。
給湯暖房システム200における防食性能劣化検知センサー100とは、内面防食配管10と、電極4と、抵抗体5と、インピーダンス解析装置11とから構成される部分である。内面防食配管10は図1における防食被膜1と導電性配管2とからなり、インピーダンス解析装置11は図1における電流計6と、交流電源7と、インピーダンス測定器8と、防食性能劣化判定器9とからなる。
冷却対象材12は、温度の高い物体と低い物体の間で効率的に熱を移動させる室内外の熱交換器、発生する過剰な熱を発散するラジエーター、そして循環供給用の管路内液体3を貯蔵する給湯タンクなどに対応するものである。
循環ポンプ13は、内面防食配管10からなる管路および冷却対象材12の内部に流れる管路内液体3を循環させるものである。
絶縁性継ぎ手14は、内面防食配管10と冷却対象材12および循環ポンプ13との間に設置され、それらの間の電流の導通を遮断するものであり、絶縁性の樹脂等からなる。
また、冷却対象材12、循環ポンプ13および絶縁性継ぎ手14以外の本発明の実施の形態2に係る給湯暖房システム200における防食性能劣化検知センサー100の構成については、前述の[防食性能劣化検知センサー100の構成]に示している本発明の実施の形態1に係る防食性能劣化検知センサー100と同一の構成を用いることができる。
ただし、上記のような構成では、既に設置されている防食性能劣化検知センサー100を有しない給湯暖房システム200等の設備機器に防食性能劣化検知センサー100を設置することが困難な場合がある。例えば、既設の給湯暖房システム200の内面防食配管10の内径が小さいために管路内に電極4を設置できない等の問題が発生する可能性がある。
図11は、バイパスにより接続された防食性能劣化検知センサー100を備えた給湯暖房システム200の一例を示す図である。バイパス用配管16は、一端が絶縁性継ぎ手14を介して内面防食配管10に接続され、他の一端が防食性能劣化検知センサー100に接続された配管である。バイパス用配管16の材質としては、内面防食配管10と同一のものを用いることができる。
具体的には、一端が絶縁性継ぎ手14を介して内面防食配管10に接続され、他の一端が防食性能劣化検知センサー100に接続されたバイパス用配管16と、一端が防食性能劣化検知センサー100に接続され、他の一端が絶縁性継ぎ手14を介して内面防食配管10に接続されたバイパス用配管16との2つが設けられることで、バイパス用配管16、防食性能劣化検知センサー100、及びバイパス用配管16という経路が確保されるため、内面防食配管10に対する迂回経路が形成される。
ここで、電極4は、例えば、図3を用いて上記で説明した場合と同様に設置されればよい。例えば、内面防食配管10に絶縁性継ぎ手14を介して接続されているバイパス用配管16側に、電極4が設けられてもよい。このようにすることで、防食性能劣化検知センサー100は、内面防食配管10の内径に依存せず、電極4を設けることができると共に、内面防食配管10の内面に設けられている防食被膜1の劣化を検知することができる。
図11のように、絶縁性継ぎ手14およびバイパス用配管16を用いることにより、既設の給湯暖房システム200の内面防食配管10に防食性能劣化検知センサー100を容易に接続することができる。このような構成を用いることにより、設置工事に要する時間を短縮し、内面防食配管10の内径に依らずどのような給湯暖房システム200等の設備機器にも防食性能劣化検知センサー100を設置することができる。
[防食性能劣化検知センサー100を備えた給湯暖房システム200の動作説明]
本発明の実施の形態2に係る給湯暖房システム200では、管路内液体3は循環ポンプ13により内面防食配管10および冷却対象材12を循環し、冷却対象材12を加熱または冷却する。給湯暖房システム200における防食性能劣化検知センサー100は、管路内液体3の循環路である内面防食配管10の内面の広範囲にわたって形成されている防食被膜1における劣化を内面防食配管10の全体について検知することができる。
冷却対象材12および循環ポンプ13を内面防食配管10とは絶縁性を保つように絶縁性継ぎ手14により接続することによって、冷却対象材12および循環ポンプ13による防食被膜1の劣化の検知への影響を防ぐことができる。すなわち、防食被膜1の劣化を検知するための測定において交流電源7により交流電圧を印加した場合でも、冷却対象材12および循環ポンプ13には電流が流れず、給湯暖房システム200における防食性能劣化検知センサー100の電気的等価回路にこれらの因子は含まれない。すなわち、本発明の実施の形態2に係る給湯暖房システム200における防食性能劣化検知センサー100の電気的等価回路は、実施の形態1の防食性能劣化検知センサー100と同様の図2の回路図で示すことができる。したがって、本発明の実施の形態2に係る給湯暖房システム200における防食性能劣化検知センサー100は、前述の[防食性能劣化検知センサー100の動作説明]と同様の動作をする。
つまり、防食被膜1に劣化がない時は内面防食配管10の導電性配管2と抵抗体5とからなる経路のみに電流が流れ、測定による被膜損傷および腐食進行の誘発の可能性を低減することができ、そのインピーダンスは周波数によって変化せず一定値を示す。一方、内面防食配管10のいずれかの箇所において防食被膜1が劣化すると、防食被膜1が劣化した箇所から管路内に電流が流れ込むため、管路内液体3および電極4を含む経路に電流が流れ、インピーダンスは周波数により異なる値を示す。したがって、これらの周波数依存性の違いにより防食被膜1の劣化の有無を検知できる。
以上のように、給湯暖房システム200は、配管内の液体によって加熱または冷却される冷却対象材12と、配管内に液体を循環させる循環ポンプ13と、冷却対象材12と循環ポンプ13とが接続された両端に絶縁性の継ぎ手14を介して内面に防食被膜1が形成された循環用の導電性配管2と、導電性配管2に接続された防食性能劣化検知センサー100とを備えている。
よって、本発明の実施の形態2に係る防食性能劣化検知センサー100を備えた給湯暖房システム200により、測定による防食被膜損傷および腐食進行の誘発を防止しながら外部環境による影響を高精度に分離して、管路内液体の循環路である導電性配管の内面に形成された広範囲にわたる防食被膜1における劣化を正確に検知することができる。
1 防食被膜、2 導電性配管、3 管路内液体、4 電極、5 抵抗体、6 電流計、7 交流電源、8 インピーダンス測定器、9 防食性能劣化判定器、10 内面防食配管、11 インピーダンス解析装置、12 冷却対象材、13 循環ポンプ、14 絶縁性継ぎ手、15 絶縁性シール部材、16 バイパス用配管、100 防食性能劣化検知センサー、200 給湯暖房システム。

Claims (6)

  1. 内面に防食被膜が形成された導電性配管と、
    前記導電性配管と絶縁され前記導電性配管内で液体と接触する電極と、
    前記導電性配管の外面に一端を接続された抵抗体と、
    一方の端子は前記導電性配管と接続され、他方の端子は前記電極および前記抵抗体と接続された交流電源と、
    前記交流電源の交流電圧に対するインピーダンス応答の周波数依存性により防食被膜劣化の有無を検知する検知部とを備えたことを特徴とする防食性能劣化検知センサー。
  2. 前記抵抗体の抵抗値は、内面に防食被膜が形成されていない導電性配管と、前記導電性配管内の液体と、前記導電性配管内に設置された電極からなる回路で測定された抵抗値以上で、防食被膜による抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の防食性能劣化検知センサー。
  3. 交流電圧の周波数は、0.1Hz以上、1kHz以下の複数の所定周波数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防食性能劣化検知センサー。
  4. 交流電圧の所定周波数は、内面に防食被膜が形成されていない導電性配管と、前記導電性配管内の液体と、前記導電性配管内に設置された電極からなる回路で測定された周波数0.1Hz以上、1kHz以下のインピーダンス応答においてインピーダンスの値が最大および最小となる1組の周波数を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防食性能劣化検知センサー。
  5. 配管内の液体によって加熱または冷却される冷却対象材と、
    前記配管内に液体を循環させる循環ポンプと、
    前記冷却対象材と前記循環ポンプとが接続された両端に絶縁性の継ぎ手を介して接続され、内面に防食被膜が形成された循環用の導電性配管と、
    前記導電性配管に接続された請求項1からのいずれか1項に記載の防食性能劣化検知センサーとを備えたことを特徴とする給湯暖房システム。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の防食性能劣化検知センサーと、
    前記導電性配管を構成する第1の配管と、
    前記第1の配管の内側を流れる液体によって加熱または冷却される冷却対象材と、
    前記液体を循環させる循環ポンプと、
    前記導電性配管を構成する第1のバイパス用配管と、
    前記導電性配管を構成する第2のバイパス用配管と、
    を備え、
    前記第1のバイパス用配管は、
    一端が前記第1の配管に接続され、他の一端が前記防食性能劣化検知センサーに接続され、
    前記第2のバイパス用配管は、
    一端が前記防食性能劣化検知センサーに接続され、他の一端が前記第1の配管に接続され、
    前記電極は、
    前記第1のバイパス用配管又は前記第2のバイパス用配管の内部で前記液体と接触する位置に設けられた
    ことを特徴とする給湯暖房システム。
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