JP5835959B2 - 踏切障害物検知装置 - Google Patents
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Description
しかし、上記平均化処理では、クラッタノイズそのものを除去することができないので、ある程度SN比を改善できるものの、その改善効果が十分とは言えず、更なる改善が求められている。
本発明は、このような実情に着目してなされたものであり、降雨時や霧発生時の水滴や降雪時の雪などによるクラッタノイズの更なる低減を図り、もって障害物の検知精度の低下や誤検知の発生を効果的に抑制することのできる踏切障害物検知装置を提供することを目的とする。
図1は、本発明の一実施形態による踏切障害物検知装置の全体構成を示している。この踏切障害物検知装置1は、列車T1,T2の走行する線路51,52と道路53(破線で示す)とが交差する踏切道10内における障害物の有無を検知するものであり、図1に示すように、踏切道10の近傍に配置された第1送受信機2及び第2送受信機3と、第1送受信機2及び第2送受信機3に接続された制御装置4と、を含む。
図2に示すように、第1送受信機2は、第1〜第3送受信ユニット2a〜2cを含む。第1送受信ユニット2aは、送信部21a、送信アンテナ22a、受信部23a、受信アンテナ24a及びビート信号生成部25aを有する。第1送受信ユニット2aにおいて、送信部21aは送信アンテナ22aを介して図1中に一点鎖線で示された扇形状の領域S1aに周波数をスイープさせた電波(検知ビーム)を送信し、受信部23aは受信アンテナ24aを介して反射波を受信する。そして、ビート信号生成部25aは、送信波及び反射波に基づいて、送信波と反射波の周波数差に対応する周波数を有するビート信号を生成する。このビート信号が障害物判定用の信号に相当する。
そして、第1送受信機2、第2送受信機3は、それぞれ領域S1a〜S1c、領域S2a〜S2cに対する電波の送信を周期的(すなわち、所定の検知周期毎)に繰り返して行い、ビート信号を生成して制御装置4へと出力する。なお、各送受信ユニットから送信される電波は、特に制限されないが、本実施形態においては周波数帯域が30〜300GHz(波長10〜1nm)のミリ波を用いている。
図3に示すように、制御装置4は、ビート信号を解析・処理するビート信号処理部41と、電波(検知ビーム)の送信領域内の雰囲気状態を検知する雰囲気検知部42と、ビート信号からノイズ成分を除去するノイズ成分除去部43と、障害物の有無を判定する判定処理部44と、を含む。
なお、上記のような誤検知を招くおそれのある雰囲気状態を検知することができればよく、雰囲気検知部42に代えて降雨計、降雪計、霧検知センサなどを用い、これらの出力が所定値以上である場合に、誤検知を招くおそれのある雰囲気状態であることを検知するようにしてもよい。
図5に示すように、ノイズ成分除去部43は、離散フーリエ変換部431と、スペクトル減算部432と、逆離散フーリエ変換部433と、を含む。
また、離散フーリエ変換部431は、電波の送信領域のうち監視領域S以外の領域に対応する特定の周波数について、N個の信号レベルデータを離散フーリエ変換によって周波数領域のスペクトルに変換し、これを上記ノイズ成分のスペクトルPn(W)とする。このようにしてノイズ成分のスペクトルPn(W)を求めるのは、電波の送信領域のうち監視領域S以外の領域は、通常、人や物などが進入しない領域であり、水滴(雨、霧)、雪、砂塵などの上記障害物とはならない反射物に起因する信号成分(すなわち、ノイズ成分)のスペクトルのみを取得するのに適しているからである。なお、上記特定の周波数は一つである必要はなく、電波の送信領域のうち監視領域S以外の領域に対応する複数の周波数のそれぞれについて、N個の信号レベルデータを離散フーリエ変換によって周波数領域のスペクトルに変換し、これらに基づいて上記ノイズ成分のスペクトルPn(W)を設定してもよい。
D(W)=Ps(W)−αPn(W)
但し、D(W)≦βPn(W)の場合、D(W)=βPn(W)
ここで、α、βは係数である。
そして、逆離散フーリエ変換部433は、スペクトル減算部432で得られたスペクトルD(W)を逆離散フーリエ変換によって時間領域の信号レベルデータに変換する。
図6(A)は、監視領域Sに対応する特定の周波数f1(図4参照)の信号レベルの時間変動(時間領域の信号レベルデータ)を示している。図6(A)に示される信号レベルには、障害物となる物体からの反射波の信号レベルだけではなく、上述したような障害物とはならない反射物に起因する信号成分がノイズ成分として含まれている。
なお、上記実施形態において、第1送受信機2及び第2送受信機3は、監視領域Sとそれ以外の領域とを区別することなく、これらを含む所定領域内に電波を送信しているが、監視領域Sとそれ以外の領域とを区別して電波を送信するように構成してもよい。
すなわち、監視領域Sに対応する各周波数の信号レベルデータ(上記ノイズ成分が含まれる)を離散フーリエ変換によってスペクトルPs(W)に変換し、そこから上記ノイズ成分のスペクトルPn(w)又はこれに所定の係数を乗算したものを差し引き、その結果得られたスペクトルD(W)を逆離散フーリエ変換することによって上記ノイズ成分が除去された信号レベルデータを復元する。これにより、各信号レベルデータについて、本来の信号レベルの低下を招くことなく、各信号レベルデータに含まれた上記ノイズ成分のみを効果的に除去することができる。
但し、これに限るものではなく、監視領域S内であっても人や物などが存在していない状態であれば、監視領域Sに対応する周波数の信号レベルデータを離散フーリエ変換して上記ノイズ成分のスペクトルPn(W)として用いることができる。また、監視領域S以外の特定領域に対応する一又は複数の周波数の信号レベルと上記ノイズ成分のスペクトルPn(W)とが対応付けられたテーブルを予め作成しておき、監視領域S以外の上記特定領域に対応する一又は複数の周波数の信号レベルデータに基づき上記テーブルを参照することによって上記ノイズ成分のスペクトルPn(W)を設定してもよい。
Claims (8)
- 踏切道の監視領域を含む所定領域内に電波を送信すると共にその反射波を受信する送受信部と、
前記反射波に基づいて生成され、前記所定領域内の雰囲気中に一様に存在する反射物に起因するノイズ成分が除去された信号に基づき前記監視領域内における障害物の有無を判定する判定処理部と、
を含み、
前記ノイズ成分は、前記所定領域に対応する信号のうち前記監視領域以外の領域に対応する信号に基づいて設定される、
踏切障害物検知装置。 - 前記ノイズ成分は、前記所定領域内の雰囲気中に一様に存在する反射物に基づくテーブル参照値である、請求項1に記載の踏切障害物検知装置。
- 前記送受信部は、送信波とその反射波との周波数差に対応する周波数を有するビート信号を生成して出力するものであり、
前記判定処理部は、前記ビート信号から前記反射物に起因する信号成分を前記ノイズ成分として除去して得られた信号に基づいて障害物の有無を判定する、請求項1又は2に記載の踏切障害物検知装置。 - 前記ビート信号の周波数解析を行って周波数毎の信号レベルデータを求めるビート信号処理部と、
前記監視領域に対応する各周波数の信号レベルデータから前記ノイズ成分を除去するノイズ成分除去部と、
をさらに含み、
前記判定処理部は、前記ノイズ成分が除去された後の各信号レベルデータに基づいて障害物の有無を判定する、請求項3に記載の踏切障害物検知装置。 - 前記ノイズ成分除去部は、
前記各周波数の信号レベルデータを離散フーリエ変換によって周波数領域のスペクトルに変換する離散フーリエ変換部と、
前記各周波数の信号レベルデータのスペクトルから前記ノイズ成分のスペクトルを減算するスペクトル減算部と、
前記スペクトル減算部によって得られたスペクトルを逆離散フーリエ変換によって時間領域の信号レベルデータに変換する逆離散フーリエ変換部と、
を含む、請求項4に記載の踏切障害物検知装置。 - 前記ノイズ成分のスペクトルは、前記監視領域以外の領域に対応する少なくとも一つの周波数の信号レベルデータを離散フーリエ変換によって周波数領域のスペクトルに変換して得られたものである、請求項5に記載の踏切障害物検知装置。
- 前記ノイズ成分のスペクトルは、前記監視領域以外の領域に対応する少なくとも一つの周波数の信号レベルデータに基づくテーブル参照値である、請求項5に記載の踏切障害物検知装置。
- 前記判定処理部は、前記ビート信号処理部によって求められた前記周波数毎の信号レベルデータにおいて、予め設定された閾値を超える信号レベルデータの割合が所定値以下である場合には、前記ノイズ成分の除去処理を行うことなく、前記周波数毎の信号レベルデータに基づいて前記障害物の有無を判定する、請求項4〜7のいずれか一つに記載の踏切障害物検知装置。
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