JP5835620B2 - コークス製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス製造方法に関し、具体的には、コークス製造用の原料石炭の一部を乾留前に事前に加熱処理するコークス製造方法に関する。
高炉内に還元材として装入される高炉用コークスは、高炉内の通気性を確保して高炉の高出銑比かつ低還元材比操業を実現する観点から、高強度であることが望ましい。
高炉用コークスの強度を高めるためには、コークス化性に優れる石炭を原料として用いることが有効である。コークス化性は、コークス炉で石炭を乾留する工程において、石炭が軟化溶融した後さらに温度が上昇して焼き締まりコークス化する際の性質を意味し、コークス強度の強弱によって判断される。一般に、コークス製造用の原料石炭は、コークス化性に優れているが高価な粘結炭と、コークス化性に劣るが相対的に安価な非微粘結炭とを組み合わせた複数銘柄の石炭で構成される。このような2種以上の石炭を組み合わせたコークス製造用の原料石炭は配合炭とも称される。
高強度なコークスを製造する手法としては、粘結炭を多量に配合した原料石炭を使用することが一般的である。しかし、近年粘結炭が枯渇して、その価格が高騰しているため、安価な非微粘結炭を原料石炭に多量に配合することが望まれているものの、非微粘結炭の配合率を高くするとコークス化性が低下し、目標強度を有するコークスが得られないという問題があった。
そこで、安価な非微粘結炭を多量に配合した原料石炭を用いて高強度コークスを製造する手法が様々な視点から検討されている。その中で、コークス製造用の原料石炭を乾留前に事前に加熱処理することにより原料石炭のコークス化性を改善し、非微粘結炭を多量に配合した場合においても高強度コークスを製造する手法が数多く開示されている。
特許文献1には、原料石炭を流動床にて30〜103 ℃/分の昇温速度で、300℃以上で、かつ、原料石炭の軟化開始温度以下の温度範囲に急速加熱するとともに、微粉炭と粗粒炭に分級し、次いで微粉炭を成形する石炭の改質・予備処理方法が開示されている。そして、上記手法を用いることにより、従来よりも非微粘結炭を多量配合した条件下にて高強度なコークスを製造することが可能であることも開示されている。
特許文献2には、原料石炭のうち、非微粘結炭のみを多段気流塔にて、102〜106 ℃/分の昇温速度で原料石炭の軟化開始温度よりも−100℃〜+10℃の温度範囲に急速加熱し、加熱した非微粘結炭と加熱していない粘結炭とを配合したのちに、得られた原料石炭をコークス炉へ装入することが開示されている。
また、特許文献3には、石炭を所定の粘結性測定装置に充填し、1000℃/分の昇温速度で室温から380℃まで急速加熱し、300℃まで冷却した後に10℃/分の昇温速度で再固化温度まで加熱した場合、および10℃/分の昇温速度で室温から再固化温度まで加熱した場合における石炭軟化溶融時の粘度を測定し、急速加熱処理による粘度低下幅の大きい石炭を事前に急速加熱処理することが開示されている。具体的には、JIS−M8801に記載のギーセラー・プラストメーター法にて測定される攪拌棒の回転数が1分間あたり1〜100回転の石炭を、1×102〜1×106 ℃/分の昇温速度で事前に急速加熱することが開示されている。また、攪拌棒の回転数が1〜100回転の石炭は急速加熱処理による粘性低下効果が大きいことも開示されている。
特開2005−082790号公報 特許第3614919号公報 特開2001−123179号公報
しかし、特許文献1に開示された発明では、コークス炉へ装入する原料石炭の全てを加熱処理しているため、加熱処理に要する熱エネルギーが膨大である。
特許文献2に開示された発明は、コークス製造用の原料石炭の全てではなく、その一部の石炭を乾留前に事前に加熱処理する手法(以下、この加熱処理を事前加熱処理ともいう。)である。しかし、事前加熱処理を行う非微粘結炭は、事前加熱処理によるコークス化性の改善効果に基づいて分類されたものではないため、事前加熱処理により必ずしもコークス化性改善効果が得られるとは限らない。また、そもそも事前加熱処理を行うべき非微粘結炭が石炭性状等による指標を用いて明確に定義されていない。このため、実際に上記手法を用いる際には、どの銘柄の石炭を対象に事前に加熱処理を行えばよいかを判断することが困難である。
特許文献3により開示された発明では、事前加熱処理による粘度低下幅の大きい石炭に対して事前加熱処理を行っており、コークス化性の改善効果に優れる石炭に対して事前加熱処理を行ったものではない。ここで、本来、事前加熱処理によるコークス化性の改善効果は、事前加熱処理の有無によりコークス化性がどの程度改善しているか、つまり得られるコークス強度がどの程度向上しているかで判断されるべきである。このため、特許文献3に記載のように、石炭の粘度に基づいていて判断したとしても、必ずしもコークス化性の改善効果が得られるとは限らない。
このように、特許文献2および3に記載のように、コークス製造用の原料石炭の一部の石炭を対象に事前加熱処理を行う場合、事前加熱処理によりコークス化性の改善効果を示す石炭の銘柄がこれまでは明確でなかった。そのため、従来技術では必ずしも事前加熱処理によりコークス化性の改善効果が得られるとは限らず、目標強度を有するコークスが得られないおそれがある。
そこで、本発明は、種々の石炭の中からコークス化性の改善効果が高い石炭を選択して事前加熱処理を行い、コークス化性の改善効果を効果的に享受可能にすることにより、高強度のコークスを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するため、複数の銘柄の石炭を対象に、乾留前に事前加熱処理を施した石炭から得られたコークスの強度向上効果を調査した。その結果、事前加熱処理によるコークスの強度向上効果が得られる石炭を特定することができた。本発明は、この調査結果に基づき完成したものであって、具体的には次の通りである。
(1)2種以上の石炭を配合した原料石炭をコークス炉で乾留するに際し、前記原料石炭の一部を乾留前に加熱処理した後、該加熱処理を受けない残りの石炭と配合し、得られた原料石炭をコークス炉で乾留するコークス製造方法において、加熱処理を受ける前記「原料石炭の一部」は、JIS−M8816で規定される平均最大反射率が1.0未満で、かつJIS−M8801で規定される最高流動度が2.0logDDPM超である石炭を90質量%超含有し、前記加熱処理は酸素濃度が1%未満の非酸化性雰囲気中で実施され、前記最高流動度が1.0logDDPM未満の値である石炭については前記加熱処理を行わないことを特徴とするコークス製造方法。
(2)前記加熱処理を250〜350℃の温度範囲で行う前記(1)に記載のコークス製造方法。
)前記加熱処理における昇温速度が40〜1000℃/分である前記(1)または2)に記載のコークス製造方法。
本発明により、種々の石炭の中からコークス化性の改善効果が得られる石炭が特定された。すなわち、平均最大反射率が1.0未満かつ最高流動度が2.0超である石炭は、事前加熱処理を受けるとコークス化性が改善される。一方、それ以外の石炭は逆に事前加熱処理によりコークス化性が低下する傾向がある。特に、最高流動度が1.0未満である石炭は事前加熱処理によるコークス化性の低下が大きい。すなわち、本発明では、事前加熱処理を行うのに適した石炭を特定することができ、こうして特定された一部の石炭だけに事前加熱処理を施す。
本発明によれば、事前加熱処理によるコークス化性の改善効果が得られる石炭を選択して事前加熱処理を行うことにより、事前加熱処理によるコークス化性の改善効果を効率的に享受できるとともに、事前加熱処理を行うとかえってコークス化性が低下してしまう石炭の事前加熱処理を避けることができる。その結果、非微粘結炭を多量に配合した原料石炭を使用しても高強度のコークスを製造することが可能となり、石炭資源の有効利用につながる。
複数の銘柄の石炭を対象に、冷間処理を行った石炭から得られたコークスおよび事前加熱処理を行った石炭から得られたコークスのドラム強度指数(DI)を示すグラフである。 複数の銘柄の石炭を対象に、各石炭の平均最大反射率(Ro)および最高流動度(MF)と、コークスのドラム強度指数(DI)の変化幅(ΔDI)との関係を示すグラフである。 複数の銘柄の石炭を対象に、事前加熱処理を行った石炭および事前加熱処理を行っていない石炭の最高流動度(MF)を示すグラフである。 2種類の石炭を配合した原料石炭とこれらの原料石炭から得られたコークスのドラム強度指数(DI)を示すグラフである。 4種類の石炭を配合した原料石炭とこれらの原料石炭から得られたコークスのドラム強度指数(DI)を示すグラフである。
以下、本発明に係るコークス製造方法を実施するための形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、2種以上の石炭を配合した原料石炭をコークス炉で乾留するに際し、前記原料石炭の一部を乾留前に加熱処理した後、該加熱処理を受けない残りの石炭と配合し、得られた原料石炭をコークス炉で乾留するコークス製造方法に関する。本発明によれば、加熱処理を受ける前記「原料石炭の一部」が、JIS−M8816で規定される平均最大反射率が1.0未満で、かつJIS−M8801で規定される最高流動度が2.0超である石炭を90質量%超含有し、前記加熱処理は酸素濃度が1%未満の非酸化性雰囲気中で実施される。
このように、本発明に係るコークス製造方法は、所定の要件を満たす原料石炭の一部の石炭を事前加熱処理し、加熱処理した加熱炭を加熱処理がなされていない残りの石炭(以下、非加熱炭ともいう。)と配合し、得られた原料石炭をコークス炉に装炭して乾留するものである。本発明において、「原料石炭の一部」とは、原料石炭を構成する2種以上の銘柄の石炭のうちの一部の銘柄の石炭を意味する。
まず、2種以上(2銘柄以上)の石炭を配合する前に、JIS−M8816で規定される平均最大反射率が1.0未満で、かつJIS−M8801で規定される最高流動度が2.0超である石炭を90質量%超含有する「原料石炭の一部」を、酸素濃度が1%未満の非酸化性ガス雰囲気中で加熱処理する。
JIS−M8816で規定される平均最大反射率は、微細組織成分及び反射率測定方法記載の方法で測定されるビトリニットの平均最大反射率を表す(以下、Roともいう。)。JIS−M8801で規定される最高流動度は、ギーセラー・プラストメーター法による流動性試験にて求められるギーセラー流動度(DDPM<dial division per minute>と称する数値で求められる)において、温度に対して流動度を測定した場合の最大値として得られる最高流動度(logDDPM)を表す(以下、最高流動度を「MF」ともいう。MF=logDDPM)。
本発明では、原料石炭を構成する2種以上の石炭のうち、Roが1.0未満でかつMFが2.0超である石炭に対して、事前加熱処理を行う。これは、このような石炭は、後で詳述するように、事前加熱処理を行うことによって、乾留後に得られるコークスの粘結強度を示すドラム強度指数が増大し、結果としてコークスの高強度化につながるからである。一方、Roが1.0未満またはMFが2.0超の少なくとも一方を満たさない石炭を事前加熱処理すると、乾留で得られたコークスのドラム強度指数は低下傾向を示す。ただし、このような石炭が事前加熱処理を受ける石炭に混入していても、その混入割合が10質量%未満であれば、コークスの高強度化の効果は得られる。この混入割合が10質量%以上になると、事前加熱処理によるコークス化性向上効果が阻害されるようになり、事前加熱処理による効果を十分に享受することができない。
そのため、事前加熱処理を行う石炭は、Roが1.0未満でかつMFが2.0超の石炭を90質量%超の割合で含むものとする。ここで、90質量%超とは100%を含む意味である。事前加熱処理を受ける石炭は、好ましくはRoが1.0未満でかつMFが2.0超の石炭の割合が100%のものである。10質量%未満の量で混入していてもよい他の石炭は、好ましくはMFが1.0以上である石炭である。後述するように、MFが1.0未満の石炭は、事前加熱処理による強度低下が顕著となるので、事前加熱処理をしないことが好ましい。この「他の石炭」のRoは特に問わない。
本発明では、配合に先立って一部の石炭を事前加熱処理するために、配合槽の上流に配置した加熱装置で一部の石炭の事前加熱処理を行う。加熱装置の種類に特に制限はないが、投入した石炭の全てを均一に加熱できるとともに設備コストを抑える観点から、流動床を用いることが好ましい。流動床の加熱は、流動床に供給するガスとして加熱ガスを用いることにより実施することができるが、他の加熱手段を採用してもよい。
加熱温度は、加熱する石炭近傍に設置された測温計により確認することができる。加熱温度が目標温度から外れている場合には適宜加熱条件を変更して加熱温度を調節すればよい。例えば、流動床を用いる場合には、測温計の温度に基づいて流動床に導入するガスの温度を調節すればよい。
事前加熱処理の条件として、加熱処理温度は250〜350℃であることが好ましい。250℃未満の場合には十分なコークス化性改善効果が得られず、350℃より高い場合には石炭の熱分解反応が進行してコークス強度が低下してしまう。より好ましい加熱温度は280〜330℃である。
事前加熱処理の条件として、昇温速度は、40〜1000℃/分であることが好ましい。40℃/分未満の場合、石炭を所定温度まで加熱するための時間が長くなり、コークス生産性の低下を招く。1000℃/分を超える場合、昇温速度が速すぎるために加熱処理温度を制御できず、石炭温度が軟化開始温度を超えて加熱されてしまう。このため、石炭の熱分解反応が進行し、コークス化性が低下してしまう。より好ましい昇温速度は100〜800℃/分である。
事前加熱処理は非酸化性ガス雰囲気で行う。これは、後述のように、雰囲気中に石炭の実質的な酸化が起こると、石炭の銘柄によってはコークスのDIが大幅に低下するためである。本発明で使用できる非酸化性ガスとしては、N2、希ガスなどの不活性ガスに加えて、コークス炉にて加熱石炭から生成するガス(Cガス)やLPGなどの可燃性ガスを燃焼して得られた燃焼ガス(二酸化炭素および水蒸気を含有)が挙げられる。コスト面からは、燃焼ガスの使用が有利である。雰囲気から酸素を完全に排除することはできないので、非酸化性ガス雰囲気は微量の酸素を含有しうるが、雰囲気中の酸素濃度は1%未満であることが好ましい。
ここで、Roが1.0未満でかつMFが2.0超である石炭を事前加熱処理の対象とする理由を詳述する。
図1は、表1に示すRoおよびMFの値を有する複数の銘柄の石炭を対象に、事前加熱処理を行った石炭と非加熱の石炭とから得られたコークスのドラム強度指数(DI)を示すグラフである。図中、「冷間」とは、常温窒素での流動床内にて流動処理を行った石炭から得られたコークスを意味する。
コークスのドラム強度指数とは、JIS−K2151で規定されるドラム強度指数であり、10kgの塊コークスを所定ドラム内で150回回転させた後の15mm篩上重量分率を表す(以下、DIともいう。)。
Figure 0005835620
この評価におけるコークスの製造方法を以下に詳述する。なお、この製造方法は、後述する実施例においても採用されている。
まず、事前加熱処理を行う前に、コークス製造用の原料石炭として用いられる各銘柄の石炭から、予め粒径0.3mm以下の微粉を篩い分けにて取り除く。これは、流動床において微粉が排ガスとともに排出されてその回収が不十分となる可能性があるためである。また、本発明では発塵を防止する観点から微粉の成型処理を行うことを想定しており、微粉を取り除いても本発明の評価が可能であるためである。
微粉を取り除いた石炭を流動床に装入し、加熱窒素ガスを用いて窒素雰囲気下で100℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、80℃まで冷却した。冷却は常温の窒素ガスを流動床に供給することにより行った。冷却を80℃で停止したのは、本発明では、原料石炭の一部の石炭だけを事前加熱処理し、事前加熱処理した加熱炭を残りの非加熱の石炭と混合して原料石炭とするため、得られた原料石炭の温度は加熱炭の温度より低くなるからである。
80℃まで冷却した事前加熱処理ずみの石炭を、流動床から乾留容器に排出し、試験用コークス炉で乾留した。乾留条件は、乾留温度を1150℃とし、乾留時間を18時間とした。乾留で得られたコークスを窒素雰囲気下で室温まで冷却し、DIを測定した。
冷間処理の場合は、流動床にて石炭を常温の窒素を用いて流動処理を行っており、加熱処理条件とは温度のみが異なっている。よって、冷間処理と加熱処理を比較することにより、純粋に石炭の事前加熱がコークス化性、すなわちDIへ及ぼす影響について把握することが可能となる。
図1に示すように、石炭の事前加熱処理によるコークスのDIの変化は石炭銘柄により異なっている。事前加熱処理によりコークスのDIが増大している石炭がある一方で、コークスのDIが減少している石炭もあり、DIの増大率または減少率も個々に異なる。本発明では、コークスのDIが向上した銘柄の石炭とコークスのDIが低下した銘柄の石炭とを、RoおよびMFを用いて以下のように分類した。
図2は、複数の銘柄の石炭を対象に、各石炭の平均最大反射率Roおよび最高流動度MFと、コークスのDIの変化幅(ΔDI)との関係を示すグラフである。本発明では、冷間処理を行った石炭から得られたコークスのDIと事前加熱処理を行った石炭から得られたコークスのDIとの変化幅を、以下の式に示すΔDIと定義する(以下、ΔDIともいう。)。
ΔDI=(事前加熱処理を行った石炭から得られたコークスのドラム強度指数DI)−(冷間処理を行った石炭から得られたコークスのドラム強度指数DI)
図2中、白塗りプロットがΔDI>0、黒塗りプロットがΔDI<0、プロットの大きさがΔDIの絶対値の大きさを示す。
図2および表1からわかるように、Roが1.0未満でかつMFが2.0超であるA炭、B炭、C炭、D炭、およびE炭は、事前加熱処理により、得られるコークスのDIが向上している。つまり、これらの石炭は事前加熱処理によりコークス化性が改善していることになる。このため、図2に示すように、Roが1.0未満でかつMFが2.0超であるこれらの石炭については、事前加熱処理を行うことが有効であることがわかる。
一方、Roが1.0以上の値を示す石炭であるF炭、G炭、H炭、およびI炭については、事前加熱処理を施しても各々の石炭から製造したコークスのDIが向上していない。この理由としては、まず、Roが1.0以上の値を示す石炭は元々このような石炭から製造したコークスのDIが高い値を示すために、事前加熱処理によるコークス化性の改善効果が発現し難いことが挙げられる。
また、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、事前加熱処理により石炭のMFが低下することを突き止め、前記条件を導出するに至った。図3は、複数の銘柄の石炭を対象に、事前加熱処理を行った石炭および事前加熱処理を行っていない石炭の最高流動度MFを示すグラフである。図3に示すように、全ての銘柄の石炭は事前加熱処理により石炭のMFが低下している。これは、石炭を加熱する際、加熱雰囲気中に僅かながら含まれる酸素によって、石炭表面が酸化されたことによるものである。
ここで、図1に示す結果および図3に示す結果によれば、コークス化性の改善効果を奏するA炭、B炭、C炭、D炭、およびE炭は、事前加熱処理により石炭のMFが低下しているにもかかわらず、各々の石炭から製造したコークスのDIが向上している。これは、石炭の事前加熱処理によるコークスのDIの増加量が石炭のMFの低下によるコークスのDIの低下量を上回ることによるものと推定される。
一方、コークス化性の改善効果を奏しないF炭、G炭、H炭、およびI炭は、事前加熱処理により各々の石炭から製造したコークスのDIの増加量が石炭のMFの低下によるコークスのDIの低下量を下回るため、結果として事前加熱処理によりコークスのDIが低下するものと推定される。特に、MFが1.0未満であるH炭およびI炭は、いずれも事前加熱処理を行うことによりコークスのDIの減少率が著しく大きくなる。これは、MFがもともと低い石炭は、事前加熱処理によるMFの更なる低下により軟化溶融時の石炭粒子間接着力が著しく低下するためである。
また、F炭、G炭、H炭、およびI炭の各々から製造したコークスのDI低下を抑制する手段として、事前加熱処理時の石炭酸化を防ぐことが有効とも思われる。これを実現するためには、加熱雰囲気中に含まれる酸素濃度を0にする必要がある。しかし、本発明で使用した窒素ガスの純度は99.999%であって、酸素含有率は限りなく0に近い。さらに流動床は予め流動床内部を窒素にてパージし、かつ流動床内部を正圧にすることにより外部からの空気混入が極力生じないような条件下にて、事前加熱処理を行っている。それにもかかわらず、図3に示すように、流動床での事前加熱処理により石炭のMFが低下している。
つまり、いくら対策を講じても事前加熱処理雰囲気における僅かな酸素の混入を避けることはできず、現実的に加熱雰囲気中の酸素濃度を0にすることは困難であるため、事前加熱処理することにより生じる石炭のMFの低下を避けることはできないと考えられる。このように、事前加熱処理時の石炭の酸化によるMFの低下が避けられないため、もともと低MFであるMFが1.0未満の石炭については、事前加熱処理を行わない方が好ましい。MFが非常に低い石炭が原料石炭中の加熱処理する石炭に含まれると、コークスのDIへの悪影響が非常に大きくなる。
以上のことから、従来技術のようにコークス炉へ装入する原料石炭全量を乾留前に事前加熱処理してしまうと、コークスのDIが低下する石炭の存在により、効率的にコークスのDIの向上効果を享受できない可能性が大きい。また、特許文献3に提案されているようにMFが低い石炭を事前加熱処理すると、かえって逆効果になる場合がある。本発明では、コークスのDI向上効果が得られる銘柄の石炭(Roが1.0未満でかつMFが2.0超の石炭)について事前加熱処理を行い、その他の銘柄の石炭については事前加熱処理を行わずに、事前加熱処理した石炭と配合して原料石炭とし、コークス炉へ装入する。
次に、このようにして事前加熱処理によりコークスのDIが高められた加熱炭を、非加熱炭と配合する。非加熱炭は、Roが1.0以上であるか、および/またはMFが2.0以下である石炭である。このような石炭は、前述のように、事前加熱処理してもコークスのDI向上効果が得られない。よって、これらの石炭に対して事前加熱処理を行わないことが好ましい。特にMFが1.0未満の石炭は、コークスDIへの悪影響が大きいので、事前加熱処理を避けることが好ましい。
配合は、コークスを連続装置で製造する場合には、事前加熱処理のための加熱装置(例、流動床)の下流に設けた配合槽内で実施することができる。原料石炭における加熱炭と非加熱炭との配合比は、特に限定されることはないが、本発明の効果を十分に得るには、原料石炭の少なくとも25質量%を加熱炭とすることが好ましく、より好ましくは原料石炭の40質量%以上を加熱炭とする。
最後に、原料石炭をコークス炉へ装入し、乾留してコークスを製造する。乾留の条件は特に限定されるものではなく、従来と同様でよい。例えば、前述の乾留条件で乾留を行うことができる。
以下、実施例により本発明を例証する。以下の実施例および比較例において、各石炭はいずれも予め粒径0.3mm以下の微粉を除去してから使用した。
(実施例1)
2種類の石炭(表1に記載のA炭およびF炭)を配合した原料石炭を用いた場合の結果を以下に例証する。使用した2種類の石炭のうち、A炭はRoが1.0未満でかつMFが2.0超という条件を満たし、F炭はRoが1.0以上であるので、この条件を満たさない。
A炭を、窒素ガスによる加圧雰囲気の流動床に装入し、流動床内で100℃/分の昇温速度で300℃まで加熱し、80℃まで冷却して、A炭の事前加熱処理を行った。その後、流動床に、質量でA炭と同量の事前加熱処理を行っていないF炭を装入して、流動床内で加熱炭であるA炭と非加熱炭であるF炭との配合を実施し、得られた原料石炭を乾留容器に排出した。この試験用コークス炉において、乾留温度1150℃、乾留時間18時間の条件で乾留を行い、コークスを製造した。流動床処理後の石炭水分および装炭嵩密度は特に調整しなかった。乾留後のコークスを窒素雰囲気下にて冷却し、冷却後のコークスのDI(DI150 15)をJIS−K 2151に記載の手法で測定した。
(比較例1)
A炭とF炭とを質量で等量配合し、得られた原料石炭に対して、実施例1と同様に流動床内で100℃/分の昇温速度で300℃まで加熱することによる事前加熱処理を行った。流動床内で80℃まで冷却した後、乾留容器に排出し、試験用コークス炉において実施例1と同様に乾留と冷却を行い、得られたコークスのDIを測定した。本例でも石炭水分および装炭嵩密度は特に調整しなかった。
(比較例2)
A炭とF炭とを質量で等量配合した。得られた原料石炭を、JIS−M 8812に記載の方法で測定される水分量が6.5%となるように調整し、乾留容器に充填し、試験用コークス炉において実施例1と同様に乾留と冷却を行い、得られたコークスのDIを測定した。この水分量の調整は水分添加および風乾処理により行った。6.5%という値は、現状の実機コークス製造工程において、石炭の水分調整が行われているが、その水分値が概ね6.5%である、という理由で選択した。
図4は、実施例1および比較例1、2において2種類の石炭を配合した原料石炭から得られたコークスのドラム強度指数(DI)を示すグラフである。図4より、A炭のみ事前加熱処理を行った実施例1のコークスは、事前加熱処理を全く施していない比較例2はもちろんのこと、A炭およびF炭を配合した原料石炭の事前加熱処理を行った比較例1よりも高いDIを示した。
これは、実施例1では、A炭のみ事前加熱処理を行っているため、F炭の事前加熱処理による石炭のMF低下の影響がなく、コークスのDIが最も高い結果を示したと考えられる。一方、比較例1では、A炭に加えてF炭をも300℃まで事前加熱処理しているため、F炭の事前加熱処理の影響によりコークスのDIが低下したと考えられる。
(実施例2)
本例では、4種類の石炭(表1に記載のC炭、G炭、F炭、I炭)を配合した原料石炭を用いた場合の結果を例証する。使用した石炭のうち、C炭だけが、Roが1.0未満でかつMFが2.0超という条件を満たす。
C炭を、窒素ガスによる加圧雰囲気の流動床に装入し、流動床内で100℃/分の昇温速度で300℃まで加熱し、80℃まで冷却して、C炭の事前加熱処理を行った。その後、流動床に加熱処理を行っていないG炭、F炭、およびI炭を装入して、流動床内で加熱炭であるC炭と非加熱炭である残りの石炭との配合を実施し、得られた原料石炭を乾留容器に排出した。これらの石炭の配合割合は、質量比でC炭:G炭:F炭:I炭=45:25:25:5であった。この原料石炭を試験用コークス炉において、乾留温度1150℃、乾留時間18時間の条件で乾留を行い、コークスを製造した。流動床処理後の石炭水分および装炭嵩密度は特に調整しなかった。乾留後のコークスを窒素雰囲気下にて冷却し、冷却後のコークスのDI(DI150 15)をJIS−K 2151に記載の手法で測定した。
(比較例3)
実施例2を繰り返したが、流動床には、C炭とI炭を質量比でC炭:I炭=45:5の割合で装入して事前加熱処理を行い、冷却後の流動床に残りの非加熱のG炭およびF炭を装入して配合することにより原料石炭とし、乾留容器に排出した。その後、得られた原料石炭を実施例2と同様に乾留してコークスを製造し、DIを測定した。C炭、G炭、F炭、およびI炭の配合割合は実施例2と同様であった。
図5は、実施例2および比較例3で得られたコークスのドラム強度指数(DI)を示すグラフである。図5に示すように、C炭のみ事前加熱処理を行った実施例2のコークスは、C炭およびI炭の事前加熱処理を行った比較例3よりもコークスのDIが高い値を示した。実施例2では、C炭のみ事前加熱処理を行っているため、I炭の事前加熱処理による石炭のMF低下の影響がなく、コークスのDIが高い値を示したと考えられる。一方、比較例3では、C炭に加えて、MFが1.0未満であるI炭も300℃まで事前加熱処理を行っているため、原料石炭中に占めるI炭の割合は5質量%と少ないにもかかわらず、事前加熱処理によりI炭のMFが著しく低下したため、得られたコークスのDIが低下したと考えられる。

Claims (3)

  1. 2種以上の石炭を配合した原料石炭をコークス炉で乾留するに際し、前記原料石炭の一部を乾留前に加熱処理した後、該加熱処理を受けない残りの石炭と配合し、得られた原料石炭をコークス炉で乾留するコークス製造方法において、加熱処理を受ける前記「原料石炭の一部」は、JIS−M8816で規定される平均最大反射率が1.0未満で、かつJIS−M8801で規定される最高流動度が2.0logDDPM超である石炭を90質量%超含有し、前記加熱処理は酸素濃度が1%未満の非酸化性雰囲気中で実施され、前記最高流動度が1.0logDDPM未満の値である石炭については前記加熱処理を行わないことを特徴とするコークス製造方法。
  2. 前記加熱処理を250〜350℃の温度範囲で行う請求項1に記載のコークス製造方法。
  3. 前記加熱処理における昇温速度が40〜1000℃/分である請求項1または2に記載のコークス製造方法。
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