しかしながら、従来の車載用電子機器では、警報の表示態様が一般的であったために、車両の運転者の注意を十分に喚起することができないという問題があった。すなわち、従来の車載用電子機器では、警報開始から警報解除までの間、目標物を示すマークや目標物までの距離を示す数字を継続的に表示したり、例えば、1000m、500mの地点から連続的に1つの警報を表示したりしていた。ところが、このような一般的な警報の表示態様では、警報開始から警報解除までの間に同様の警報を継続的に表示するだけなので、運転者が警報開始時に画面の変化を見逃してしまった場合には、その後、警報の表示に気付くことが困難である。
また、本来、車両が目標物に接近するほど、運転者の注意をより強く引き付けなければならない。ところが、従来の一般的な警報の表示態様では、警報開始から警報解除までの間に同様の警報を継続的に表示するだけなので、刻一刻と変化する状況に応じて、警報の表示態様を変化させることができず、運転者の注意を引く程度が常に一定であり、警報の表示態様が単調であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりも運転者の注意を強く引き付けることが可能な車載用電子機器の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の車載用電子機器は、(1)表示手段と、この表示手段の画面上に所定の警報を表示させる警報手段とを備えた車載用電子機器において、前記警報手段は、警報開始から警報解除までの間の少なくとも一部の期間に、前記画面上に複数の警報を次々と重ねて表示する構成となっている。
上記構成によれば、既に表示した警報の上に、後に表示した警報を重ねる表示動作が連続的に繰り返されるので、一連の警報の表示態様が動的であり、経時的に画面上の表示内容が大きく変化し、運転者の注意を強く引き付ける視覚的効果を得ることができる。最終的には、多数の警報が画面上の表示領域を概ね占有し、運転者の注意は、最新に更新された警報に集中することになる。この結果、警報開始から警報解除までの間に、運転者の注意を継続的に喚起することが可能となる。この結果、従来の警報の表示態様の単調さを解消することができ、警報開始時に画面の変化を見逃すと、その後に警報の表示に気付くことが困難であるという問題も解決できる。
ここで、本発明における「表示手段」には、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)のほかに、有機ELD(Organic Electroluminescent Display)又はCRT(Cathode Ray Tube)等の情報表示が可能なディスプレイを備えた表示装置が広く含まれる。また、「表示手段の画面」とは、表示手段のディスプレイの表示可能領域をいう。
本発明における「警報」には、運転者に注意を促すための表示手段の画面上の表示を広く含み、この表示自体と、複数の表示を次々と重ねる一連の表示態様との両方の意味を含む。また、「画面上に複数の警報を次々と重ねて表示する」とは、2以上の警報の表示領域の少なくとも一部を重ねて表示することをいう。
(2)好ましくは、前記警報手段に、種類の異なる所定の警報対象を複数設定し、前記警報手段は、複数の前記警報対象のうちの少なくとも一の前記警報対象について、前記画面上に複数の前記警報を次々と重ねて表示する構成とするとよい。
上記構成によれば、例えば、速度測定装置への接近といった一の警報対象について、複数の警報を次々と重ねて表示するので、この一の警報対象に対する運転者の注意を確実に喚起することができる。
なお、本発明の車載用電子機器は、種類の異なる複数の警報対象についての異なる警報を互いに重ねて表示する態様を排除するものではなく、警報手段は、複数の警報対象を同時期に検出した場合には、各警報対象についての異なる警報どうしを次々に重ねて表示する態様を採用することもできる。
ここで、「所定の警報対象」とは、警報手段が警報を表示するものとして予め設定された対象である。例えば、一般的なレーダー探知機は、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等の各機能を備えており、これら機能ごとに所定の警報対象が設定されている。「所定の警報対象」の具体例については、発明の実施形態において詳述する。
(3)好ましくは、前記警報は、所定形状の輪郭で画定した表示領域を有し、前記警報手段は、複数の前記警報を前記画面上に時間差で表示し、既に表示した前記警報に、これより後に表示した前記警報の一部を重ねて表示する構成とするとよい。
上記構成によれば、警報の表示領域を所定形状の輪郭で画定することにより、警報どうしの重なり合いが視認しやすくなり、例えば、既に表示した警報の内容は、後に表示した警報が重なって視認できなくなり、後に表示した警報の内容のみが視認可能となる。このように、本発明では、既に表示した警報に、後に表示した警報を重ねることで、警報の内容を更新しているのである。そして、既に表示した警報は、そのまま表示手段の画面上に残り、時間の経過とともに、複数の警報が画面上の表示領域を占める割合が増大し、運転者の注意を強く引き付けることになる。
ここで、本発明における警報の「表示領域」とは、単一の警報の表示領域をいい、警報の「表示領域」は、上述した表示手段の画面の「表示領域」と比較して面積を小さく設定することも、大きく設定することも可能である。例えば、警報の「表示領域」を画面の「表示領域」の面積よりも小さく設定した場合には、警報の全体又は一部だけを画面上に表示する態様となり、大きく設定した場合には、警報の一部だけを画面上に表示する態様となる。警報の一部だけを画面上に表示する態様とした場合は、警報の表示しない部分が、仮想的に画面の「表示領域」外にあるような印象を運転者に与え、運転者に対して「表示領域」外の内容を知りたいという気持ちを喚起させることができるため、運転者の注意を強く引きつけることができる。また、下記(4)のように、複数の警報の「表示領域」の面積を大小異ならせて、画面上に混在させる表示態様とすることもできる。
(4)好ましくは、複数の前記警報の全部又は一部の輪郭を互いに相似形状とした構成とするとよい。
上記構成によれば、大きさの異なる相似形状の警報を用いることで、複数の警報を次々と重ねる一連の表示態様の趣向を凝らし、運転者の注意を引き付けることが可能となる。例えば、小さな警報に大きな警報を重ねることで遠近感を表現したり、警報対象の種類に応じて警報の大きさを変更したりして、本発明における警報の視覚的効果を向上させることができる。
また、例えば、異なる種類の警報対象についての警報を互いに異なる形状の輪郭とするとともに、同じ種類の警報対象についての警報の輪郭を互いに相似形状とした構成としてもよい。このような構成によれば、警報の輪郭に基づいて、報知された警報対象の種類を一見して判別することが可能となり、画面上で次々と重なる複数の警報が、同じ種類の警報対象についてのものなのか、異なる種類の警報対象についてのものなのか、どの種類の警報対象かを容易に判別することができるようになる。
(5)好ましくは、前記警報には、前記警報の内容を知らせるための文字、記号、図形、静止画若しくは動画、又はこれらの組合せからなる警報情報を含む構成とするとよい。
本発明における警報は、運転者に注意を促すための表示手段の画面上の表示であり、上記警報情報を含むことで、運転者に警報の内容をストレートに知らせることができる。さらに、本発明は、既に表示した警報の上に、後に表示した警報を重ねる一連の表示態様に特徴があり、既に表示した警報の警報情報が、後に表示した警報によって隠れるようになっている。この結果、運転者は、警報の内容を知るために、ある程度の注意をもって警報を視認することになり、その一方で、警報の内容を知りたい、という興味を運転者に持たせることにもなる。
(6)好ましくは、前記警報手段は、前記警報情報の少なくとも一部を視認不能な時間間隔で、複数の前記警報を次々と重ねて表示し、その後に表示する一又は複数の前記警報の表示時間は、前記警報情報の全部を視認可能な時間とした構成とするとよい。
上記構成によれば、警報情報が視認不能な時間間隔で、複数の警報を次々と重ねて表示することで、運転者の注意ないし興味を強く引き付けることができ、その後、警報情報の全部を視認可能とすることにより、運転者に警報の内容を確実に認識させることが可能となる。
すなわち、複数の警報を次々と表示したときの画面の変化によって、運転者の注意を引き付けるとともに、次々と表示した警報を重ねて、その警報情報の一部を意図的に視認不能とすることで、この警報情報の内容を知りたいという積極的な心理状態を運転者に生じさせる。これが運転者の注意ないし興味を強く引き付ける要因となり、その後、警報情報の全部が視認可能となるまで、運転者の注意ないし興味が持続することになる。そして、自ら知りたいという積極的な心理状態をもって警報情報を視認した運転者は、その内容を確実に認識することになる。したがって、上記構成を採用した場合は、従来の警報の表示態様と比較して、運転者に注意を促す警報の効果が格段に向上する。
(7)好ましくは、前記警報には、少なくとも前記警報情報と背景とを含み、前記背景を赤系の色とした構成とするとよい。
上記構成によれば、警報を構成する背景を赤系の色としたことにより、視覚的に運転者の注意を引き付けることが可能となる。特に、本発明は、既に表示した警報の上に、後に表示した警報を重ねる一連の表示態様に特徴があり、既に表示した警報が、表示手段の画面上に残る。この結果、表示手段の画面は、時間の経過とともに複数の赤系の警報によって占有され、アラームライト(警報灯)と同様の視覚的ないし心理的効果を生み、運転者の運転者の注意を大きく喚起することができる。
ここで、本発明における「赤系の色」とは、赤色及び赤色と他の色の中間色を含み、例えば、マンセル・カラー・システム上で分類される「R(赤)」、「YR(黄赤)」、「RP(赤紫)」に属する全ての色が含まれる。
(8)好ましくは、地図情報を記憶する記憶手段を備え、前記表示手段が、前記地図情報に基づいて前記画面上に地図を表示し、前記警報手段は、警報開始から警報解除までの間の少なくとも一部の期間に、前記地図上に重ねて、複数の前記警報を次々と重ねて表示する構成とするとよい。
上記構成によれば、レーダー探知機やカーナビゲーションシステムなどの車載用電子機器において、警報対象の位置や車両の位置を画面上の地図に表示し、この地図上に警報を重ねて表示することができる。この結果、複数の警報を次々と重ねて表示する表示態様が進行するに伴って、既存の表示である地図が、画面上で次々と増殖する警報によってあたかも侵食されるかのような危機的イメージを形成し、運転者に注意を促す警報の効果が格段に向上する。
(9)好ましくは、複数の前記警報のうち、少なくとも最初に表示した前記警報が、前記画面上の所定ポイントから拡大するように出現する動画を含む構成とするとよい。
上記構成によれば、最初の警報が画面上の所定ポイントから拡大するように出現する、従来にない表示動作を採用したことにより、警報開始時に、視覚的インパクトを与えて運転者の注意を強く引き付けることができる。その後は、既に表示した警報の上に、後に表示した警報を重ねる表示動作が連続的に繰り返され、警報解除までの間、運転者の注意を継続的に喚起することが可能となる。また、上記構成を採用することで、警報が出現した画面上の位置と、警報との関連性を運転者に視覚的に伝えることができる。
(10)好ましくは、前記画面上に前記地図を表示し、複数の前記警報のうち、少なくとも最初に表示する前記警報が、前記地図上の所定ポイントから拡大するように出現する動画を含む構成とするとよい。
上記構成によれば、警報開始時に、視覚的インパクトを与えて運転者の注意を強く引き付けることができるとともに、地図上の所定ポイントと、警報との関連性を運転者に視覚的に伝えることが可能となる。例えば、地図上の所定ポイントから速度検出装置への接近についての警報が拡大するように出現すれば、運転者は、地図上の所定ポイントに速度検出装置が設置されていることを一見して認識することができる。
(11)好ましくは、前記警報には背景を含み、この背景が前記所定ポイント周辺の拡大地図である構成とするとよい。
上記構成によれば、地図上の所定ポイントから拡大するように出現した警報が、警報対象の位置を伝えるのみならず、警報自体が所定ポイント周辺の拡大地図を含むので、警報対象に関するより詳細な情報を運転者に伝えることが可能となる。また、地図上の所定ポイントから拡大地図が出現する表示態様は、従来にない斬新なものであり、運転者の注意ないし興味を強く引き付けることができる。
(12)好ましくは、車両の位置を検出する位置検出手段と、所定の警報対象の位置情報を記憶する位置記憶手段と、を備え、前記警報手段は、前記車両の位置及び前記警報対象の位置情報に基づいて、前記車両が前記警報対象に所定の距離まで接近したことを検出し、この接近検出に基づく警報開始から警報解除までの間の少なくとも一部の期間に、複数の前記警報を次々と重ねて表示する構成とするとよい。
上記構成によれば、例えば、レーダー探知機やカーナビゲーションシステムなどのGPS警報機能を備えた車載用電子機器において、地図上の警報対象への車両の接近を報知するために、本発明の一連の警報の表示態様を適用することができ、この結果、従来の車載用電子機器と比較して、運転者に注意を促す警報の効果が格段に向上し、警報対象への接近警報を見逃す可能性を大幅に低減することが可能となる。
(13)好ましくは、前記警報手段は、前記車両から前記警報対象までの距離が短くなるほど、複数の前記警報を次々と重ねて表示するときの時間間隔を短くする構成とするとよい。
上記構成によれば、車両が警報対象に接近するほど、次々と重なる警報の表示速度、数及び画面上の変化が増大する。これにより、警報対象への接近度合いに応じて、運転者の危機感を煽る特別な視覚的効果が得られ、車両が警報対象に接近するほど、運転者の注意を喚起することが可能となる。
ここで、複数の警報を次々と重ねて表示するときの時間間隔を短くするための構成は、特に限定されるものではない。例えば、刻一刻と変化する車両から警報対象までの距離と連動して、次々と表示する警報の時間間隔を連続的に短くする構成としてもよい。また、制御処理の契機となる警報対象までの所定の距離を複数設定しておき、車両が所定の距離に到達するたびに、次々と表示する警報の時間間隔を段階的に短くする構成としてもよい。この構成において、制御処理の契機となる警報対象までの所定の距離を1つだけ設定することも可能である。例えば、警報対象への車両の接近検出に基づいて警報を開始し、車両が警報対象に所定の距離まで近づく前は、比較的長い時間間隔で複数の警報を次々と重ねて表示し、その後、車両が警報対象に所定の距離まで近づくと、比較的短い時間間隔で複数の警報を次々と重ねて表示するようにしてもよい。
(14)好ましくは、前記警報手段は、前記車両が前記警報対象に接近する速度に応じた時間間隔で、複数の前記警報を次々と重ねて表示する構成とするとよい。
上記構成によれば、車両が警報対象に急速に接近するほど、次々と重なる警報の表示速度、数及び画面上の変化が増大する。これにより、警報対象への接近度合いに応じて、運転者の危機感を煽る特別な視覚的効果が得られ、車両が警報対象に接近するほど、運転者の注意を喚起することが可能となる。
ここでも、複数の警報を次々と重ねて表示するときの時間間隔を短くするための構成は、特に限定されるものではない。例えば、車両の加減速と連動して、次々と表示する警報の時間間隔を連続的に短くする構成としてもよい。また、制御処理の契機となる所定の速度を複数設定しておき、車両が所定の速度に到達するたびに、次々と表示する警報の時間間隔を段階的に短くする構成としてもよい。この構成において、制御処理の契機となる警報対象までの所定の速度を1つだけ設定することも可能である。例えば、警報対象への車両の接近検出に基づいて警報を開始し、所定の速度までは、比較的長い時間間隔で複数の警報を次々と重ねて表示し、その後、車両が所定の速度に達すると、比較的短い時間間隔で複数の警報を次々と重ねて表示するようにしてもよい。なお、制御処理の契機となる所定の速度を複数設定しておき、車両が所定の速度以下になるたびに、次々と表示する警報の時間間隔を段階的に長くする構成を備えるようにしてもよい。
(15)好ましくは、前記警報手段は、前記車両が前記警報対象を通過したときに警報を解除し、前記画面上に表示した全ての前記警報を消去する構成とするとよい。
上記構成によれば、車両が警報対象に最大限接近し、複数の警報が表示手段の画面を概ね占有した状態となっても、警報対象を通過したときに画面上の全ての警報が消去され、警報開始前の表示状態に復帰する。この結果、複数の警報を次々と重ねて表示することによって形成された危機的イメージが一転して解消され、運転者に、これまでの緊張感から一瞬で解き放たれたかの如き心理状態を生じさせることができる。
(16)好ましくは、前記警報対象が、車両速度測定装置である構成とするとよい。このような構成によれば、例えば、GPS警報機能を備えたレーダー探知機において、地図上の車両速度検出装置への車両の接近を報知するために、本発明の一連の警報の表示態様を適用することができる。
(17)好ましくは、前記警報手段に、種類の異なる所定の警報対象を複数設定するとともに、各警報対象には、その種類に応じた優先順位を定め、前記警報手段は、各警報対象のうち、予め定められた所定順位より優先順位の高いものについて、前記画面上に複数の前記警報を次々と重ねて表示する構成とするとよい。
上記構成によれば、警報対象の優先順位に応じ警報の表示態様を区別することができ、優先順位の高い警報対象について、運転者の注意を特に喚起することが可能となる。すなわち、優先順位の低い警報対象については、従来のような警報対象を示すマークや警報対象までの距離を継続的又は断続的に表示する一般的な表示態様とし、運転者の注意を一般的に喚起する。一方、優先順位の高い警報対象については、画面上に複数の警報を次々と重ねて表示する本発明の表示態様とすることで、運転者の注意を引き付ける視覚的効果が得られ、運転者の注意を特に喚起することが可能となる。なお、「複数の警報対象」及び「優先順位」の具体例については、発明の実施形態において詳述する。
(18)好ましくは、(1)〜(17)の車載用電子機器が音出力手段を備え、前記警報手段は、複数の前記警報を表示するタイミングに同期して、前記音出力手段から警報音を出力する構成とするとよい。
上記構成によれば、本発明の警報の一連の表示態様に警報音を付加し、本発明の上述した視覚的効果に、運転者の注意を引き付ける聴覚的効果を更に追加することができる。ここで、「複数の前記警報を表示するタイミング」には、本発明の警報の一連の表示態様の全部又は一部に関係をもたせたあらゆるタイミングを含む。また、「警報音」には、本発明の警報の一連の表示態様の全部又は一部に関係をもたせた、効果音、BGM、音声などのあらゆる態様の音を含む。
例えば、最初の警報の表示前後、又は最初の警報の表示と同時に、効果音、BGM、音声などの警報音を出力するとよい。いずれの場合でも、警報音を聞いた運転者に画面を向かせ、画面に表示した警報を確実に視認させることができる。また、第2、第3・・・の警報が出現するときの擬音(効果音)を各表示タイミングに出力したり、警報開始から警報解除までの間に継続してサイレンなどの効果音やBGMを出力したりすることも可能である。
以上のように、本発明によれば、従来よりも運転者の注意を強く引き付けることが可能な車載用電子機器を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係る車載用電子機器について、図面を参照しつつ説明する。以下に説明する本実施形態では、まず、本車載用電子機器の全体構成について説明し、次に、本車載用電子機器の特徴である警報の表示態様について詳細に説明する。
<車載用電子機器の全体構成>
図1(a)及び(b)は、本発明の車載用電子機器の実施形態に係るレーダー探知機の外観を示すものである。レーダー探知機10は、本体となる直方体形状の筐体11内外に、図2に示す各種機構を備えており、車両のダッシュボード上に取り付け用ブラケット12を介して固定するようになっている。
図1(a)に示すように、筐体11前面(運転者側に向く面)に配置した額縁状の前面枠13内には、表示手段であるディスプレイ部14(以下、説明に応じて「画面14」ともいう)が露出している。本実施形態では、ディスプレイ部14として、2.8インチの小型の液晶ディスプレイを用いている。前面枠13のディスプレイ部14に隣接した横位置には、リモコン28の赤外線信号を受信するための赤外線受光部15が設けてある。
図1(b)に示すように、筐体11背面(フロントウィンドウ側に向く面)の図中右側には、電源スイッチ16が設けてあるとともに、GPS受信器21が内蔵してある。また、筐体11背面の図中左側には、音出力手段としてのスピーカ17から出力された音を外部に透過させる透孔18、DC電源ジャック用の挿入孔19がそれぞれ形成してある。なお、図示は省略するが、本実施形態では、レーダー探知装置10の本体側の電源は、シガーソケット(つまり車両のバッテリーである二次電池)から取得するようになっている。さらに、筐体11背面の中央には、マイクロ波受信器22、無線受信器23が内蔵してある。
図1(b)に示す筐体11の左側面には、記憶媒体としてのメモリカード25をメモリカードリーダ24に挿入するためのスロット20が形成されている。メモリカードリーダ24は、メモリカード25に格納されたデータを内部に取り込んだり、データベース27や制御部26のメモリの内容をメモリカード25に書き込んだりすることができる。より具体的には、メモリカード25に格納されたデータに、新規な警報対象の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などについて更新情報がある場合、その更新情報を制御部26が装置に内蔵されるデータベース27に格納(ダウンロード)し、データベース27のデータを更新する。
データベース27は、制御部26のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)である。データベース27には、出荷時に一定の警報対象に関する情報等が登録してあり、その後に追加される新規な警報対象の情報等を、上記のようにしてデータ更新することができる。
無線受信器23は、飛来する所定周波数の無線を受信する。赤外線受光部15は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)28とデータ通信をし、本装置に対する各種の設定を行なう。リモコン28は、待受切替ボタン、第一設定ボタン、第二設定ボタン、選択ボタン、取消ボタン、決定ボタン、上下左右の十字ボタン(以上、図示省略)を備えている。
また、制御部26は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器を利用して所定の警報・メッセージや情報を出力する。なお、これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
本実施形態のレーダー探知機における機能は、プログラムとして制御部26のEEPROM上に格納され、このプログラムを制御部26のCPUが実行することにより実現される。プログラムによってCPUが実行する機能としては、GPSログ機能、待ち受け画面表示機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能などがあり、本発明における警報手段は、制御部26のCPUの一機能として具現化される。
GPSログ機能は、制御部26が1秒ごとにGPS受信器21によって検出された現在位置を、その検出した時刻及び速度(車速)と関連づけて位置履歴として不揮発性メモリに記憶する機能である。この位置履歴は、例えば、NMEA(National Marine Electronics Association)形式で記録する機能である。
待ち受け画面表示機能は、図3(a)に示すように、GPS受信器21によって検出した自車両の速度141、緯度142、経度143をディスプレイ部14に表示する機能である。
ここで、待ち受け画面表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能を実行しているときのディスプレイ部14の画面表示領域140は、メイン表示領域140Aと、アイコン表示領域140Bとに分かれており、各機能に関連する情報は、専らメイン表示領域140Aに表示するようになっている。一方、アイコン表示領域140Bには、方位磁針アイコン144、道路選択アイコン145、レーダー受信感度モードアイコン146、モード選択アイコン147が表示してある。さらに、アイコン表示領域140Bの図中右端には、現在時刻148が表示してある。
レーダースコープ表示機能は、図3(b)に示すように、GPS受信器21によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある警報対象をデータベース27に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車両と警報対象との相対的な位置関係をディスプレイ部14に表示する機能である。
レーダースコープ表示機能の実行中は、メイン表示領域140Aに、データベース27に記憶された地図情報に基づく地図151を表示し、この地図151上に自車両の位置を示す矢印形の自車両アイコン152を表示する。また、レーダースコープ表示機能の実行中に、イベントが発生した場合(警報を報知するための所定条件が満たされた場合)には、地図151上に「L」「RD」「P」「N」等の文字を有する警報対象アイコン153を表示して、警報対象の種類と位置を示す。さらに、レーダースコープ表示機能の実行中には、メイン表示領域140Aの図中右下に、自車両が走行中の道路の法定速度154、自車両の現在速度155を表示する。
図3(a)に示す待ち受け画面表示機能の実行中に、リモコン17に設けた待受切替ボタンの押下を検出すると、制御部26は、図3(b)に示すレーダースコープ表示機能に切り替える。また、レーダースコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
制御部26は、待ち受け画面表示機能又はレーダースコープ表示機能(以下、これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、イベントが発生した場合には、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能の各機能を実現する処理を実行する。各機能の優先順位は、高いほうから、レーダー波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順に設定している。
GPS警報機能は、制御部26が有するタイマーからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース27に記憶された警報対象の緯度経度と、GPS受信器21によって検出した現在の自車両の緯度経度とに基づいて、両者の距離を算出し、算出した距離が所定の接近距離(例えば、2km以内)になった場合に、ディスプレイ部14に警報(例えば、図8(a)の符号30を参照)を表示し、スピーカ17から効果音、BGM、音声などの警報音を出力する処理である。
GPS警報機能の警報対象としては、例えば、速度測定装置(ループコイル、LHシステム、Hシステム、レーダー式オービス等)、ネズミ捕りエリア、移動オービスエリア、追尾式取締りエリア、一時停止取締エリア、交差点取締エリア、その他取締エリア、シートベルト検問エリア、飲酒検問エリア、携帯電話検問エリア、その他検問エリア、交差点監視ポイント、信号無視抑制システム、高速道交通警察隊、Nシステム、交通監視システム、警察署、事故多発エリア、サービスエリア、パーキングエリア、ハイウェイオアシス、高速道長/連続トンネル、ハイウェイラジオ受信エリア、道の駅、ビューポイントパーキング、駐車場、公衆トイレ等があり、これら警報対象の種別情報と、その位置を示す緯度経度情報と、ディスプレイ部14に表示する模式図又は写真のデータと、音声データとを対応付けてデータベース27に記憶している。
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器22によって速度測定装置から発せられる所定周波数帯のマイクロ波に相当する電波が検出された場合に、ディスプレイ部14に警報を表示するとともに、スピーカ17から警報音を出力する警報機能である。例えば、速度測定装置の発する所定周波数帯のマイクロ波が、マイクロ波受信器22によって検出された場合には、データベース27に記憶されたレーダーの模式図又は写真を警報としてディスプレイ部14に表示するとともに、データベース27に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ17から出力する。
無線警報機能は、無線受信器23によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース27に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面としてディスプレイ部14に表示するとともに、データベース27に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ17からその無線の種別を示す警報音声を出力する。例えば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。
ここで、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能には、上述したように種類の異なる複数の警報対象が設定してあり、各警報対象の種類に応じた優先順位が定めてある。各警報対象の優先順位は、例えば、図3(b)に示す警報対象アイコン153の色を優先順位が高い順に「赤」、「黄色」、「青」又は「緑」のグループに色分けすることで視覚化している。そして、例えば、優先順位が一番高い「赤」のグループに属する警報対象については、以下に説明する本実施形態の特徴的な表示態様で警報を報知し、優先順位が二番目以下の「黄色」、「青」又は「緑」のグループに属する警報対象については、従来と同様の一般的な表示態様(図示省略)で警報を報知するようにしている。
<車載用電子機器の警報の表示態様>
次に、本車載用電子機器の特徴である警報の表示態様について、図4〜図15を参照しつつ詳述する。
以下に説明する実施形態では、上述したレーダースコープ表示機能の実行中におけるGPS警報機能を例に挙げ、また、本警報の表示態様を適用する優先順位の高い警報対象を、ループコイル、LHシステム、Hシステム、レーダー式オービス等の速度測定装置とする。図2に示す制御部26は、データベース27に記憶された速度測定装置(例えば、図3(b)の符号153を参照)の緯度経度と、GPS受信器21によって検出した現在の自車両の緯度経度(例えば、図3(b)の符号152を参照)とに基づいて、両者の距離を算出し、算出した距離が所定の接近距離になった場合に、以下に説明する構成の警報を、以下に説明する表示態様で画面14上に報知する。
<<警報自体の構成>>
まず、本実施形態に係る警報の具体例について、図4(a)〜(c)を参照しつつ説明する。これら図面において、警報30は、所定形状の輪郭32で画定した表示領域を有し、この表示領域内に、警報30の内容を知らせるための警報情報33を含んでいる。
警報30の表示領域は、例えば、同図(a)に示すように、所定の色に着色した背景31としてもよく、好ましくは、背景31を赤系の色として運転者に緊急性をイメージさせるようにするとよい。また、同図(b)に示すように、背景31は、警報対象である速度測定装置の模式図又は写真を表示してもよい。さらに、同図(c)に示すように、背景31は、速度測定装置が設置されたポイント周辺の拡大地図であってもよい。このように、背景31に含まれる速度測定装置の模式図又は写真、拡大地図は、警報30の内容を知らせるための警報情報33としての役割を果たす。
警報情報33は、警報30の内容を知らせるための文字、記号、図形、静止画若しくは動画、又はこれらの組合せからなるものであり、例えば、同図(a)〜(c)に示すような「警報」、「ループコイル」及び「2km」といった文字を表示し、これらの表示が警報である旨、警報対象である速度測定装置の種類、及び自車両から速度測定装置までの距離を運転者に報知する。
上述した警報30の背景31は、例えば、図4(a)に示すような平面的な二次元コンピュータグラフィクスの他、図5(a)に示すような二次元コンピュータグラフィクスに影31aや厚み32aを加えて立体的に描画したものでもよい。また、同図(b)に示すように、警報30全体を三次元コンピュータグラフィックスとしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータグラフィックス」とは、コンピュータを用いて作成され、又はコンピュータによって処理された視覚情報を広く含む。
さらに、警報30は、透過又は非透過のいずれでもよく、図5(c)に示すように、警報30の背景31(及び警報情報33)をガラスのような透明体として描画してもよい。同図(a)及び(b)に示すように、警報30を非透過とした場合には、既に表示した警報30の内容は、後に表示した警報30が重なって視認できなくなり、後に表示した警報30の内容のみが視認可能となる。一方、警報30を透過とした場合には、後に表示した警報30を透して、前に表示した警報30の内容が視認可能となる。
図6に示すように、複数の警報30、30、30…の輪郭32を互いに相似形状としてもよい。大きさの異なる相似形状の警報30を用いることで、複数の警報30、30、30…を次々と重ねる一連の表示態様の趣向を凝らし、運転者の注意を引き付けることが可能となる。例えば、小さな警報30に大きな警報30を重ねることで遠近感を表現したり、ループコイル、LHシステム、Hシステム、レーダー式オービス等の警報対象の種類に応じて警報30の大きさを変更したりして、本実施形態における警報30の視覚的効果を向上させることができる。
また、警報30の表示領域の大きさは、特に限定されるものではなく、図3(b)に示す画面14の表示領域140と比較して面積を小さく設定することも、大きく設定することも可能である。例えば、図7に示すように、複数の警報30A〜30Cの表示領域の面積を大小異ならせて、画面14上に混在させる表示態様とすることもできる。警報30A、30Bのように、その表示領域を画面14の表示領域140の面積よりも小さく設定した場合には、警報30A、30Bの全体又は一部だけを画面14上に表示する態様となり、同図に示す警報30Cのように、その表示領域の縦幅又は横幅を、画面14の表示領域140の縦幅又は横幅よりも大きくした場合には、警報30Cの一部だけを画面14上に表示する態様となる。なお、図示は省略するが、警報の表示領域を画面14の表示領域140の面積よりも大きく設定した場合にも、この警報の一部だけを画面14上に表示する態様となる。このように、警報30A〜30C等の一部だけを画面14上に表示する態様とした場合は、警報30A〜30C等の表示しない部分が、仮想的に画面14の表示領域140外にあるような印象を運転者に与え、運転者に対して表示領域140外の内容を知りたいという気持ちを喚起させることができるため、運転者の注意を強く引きつけることができる。
<<<作用・効果>>>
警報30の表示領域を所定形状の輪郭32で画定することにより、警報30どうしの重なり合いが視認しやすくなり、例えば、図5(a)、(b)及び図6に示すように、既に表示した警報30の内容は、後に表示した警報30が重なって視認できなくなり、後に表示した警報30の内容のみが視認可能となる。このように、本実施形態では、既に表示した警報30に、後に表示した警報30を重ねることで、警報30の内容を更新しているのである。そして、既に表示した警報30は、そのまま画面14上に残り、時間の経過とともに、複数の警報30、30、30…が画面14上の表示領域を占める割合が増大し、運転者の注意を強く引き付けることになる。
また、本実施形態における警報30は、運転者に注意を促すための画面14上の表示であり、各種の警報情報33を含むことで、運転者に警報30の内容をストレートに知らせることができる。さらに、既に表示した警報30の警報情報33が、後に表示した警報30によって隠れるようになっているので、運転者は、警報30の内容を知るために、ある程度の注意をもって警報30を視認することになり、その一方で、警報30の内容を知りたい、という興味を運転者に持たせることにもなる。
さらに、図6に示すような、大きさの異なる相似形状の警報30、30、30…を用いることで、複数の警報30を次々と重ねる一連の表示態様の趣向を凝らし、運転者の注意を引き付けることが可能となる。例えば、小さな警報30に大きな警報30を重ねることで遠近感を表現したり、警報対象の種類に応じて警報30の大きさを変更したりして、本実施形態における警報30の視覚的効果を向上させることができる。
<<一連の警報の表示態様>>
次に、本実施形態に係る一連の警報の表示態様について、図8〜図10及び図15を参照しつつ説明する。図8(a)〜(c)及び図9(a)、(b)は、本実施形態に係る一連の警報の表示態様を示す図である。図10(a)〜(c)は、一連の警報の表示態様の終盤に表示するカウントダウン警報の例を示す図である。また、図15は一連の警報の表示態様の制御処理の流れを示すフローチャートである。さらに、以下の制御処理の説明においては適宜、図2の符号を引用する。
図15のステップS1において、まず、制御部26は、データベース27に記憶された警報対象のうち、上述した優先順位の高い警報対象の緯度経度と、GPS受信器21により検出した現在の自車両の緯度経度とに基づいて、自車両が警報対象に所定距離(例えば、3km)まで接近したか否かを判断する。制御部26が、所定距離まで接近していないと判別した場合(NO)は、この図15に示す制御処理を終了する。一方、制御部26が、所定距離まで接近したと判別した場合(YES)は、ステップS2に進み、図8(a)に示す画面14上に最初の警報30を表示するとともに、スピーカ17から「ピッ!」という効果音(警報音)17aを出力する。
次いで、ステップS3に進み、制御部26は、自車両が警報対象まで2km地点に到達したか否かを判断する。制御部26が、2km地点に到達していないと判別した場合(NO)は、ステップS4に進み、前の警報30を表示してから20秒の時間間隔(効果音17aの時間間隔も同様、以下同じ)をおいて、次の警報30を、前の警報30に重ねて表示する。その後、ステップS3の判断を繰り返す。
一方、ステップS3において、制御部26が、2km地点に到達したと判別した場合(YES)は、ステップS5に進み、警報30を次々と重ねて表示する時間間隔を20秒、15秒、10秒と段階的に加速させる(図8(b)参照)。例えば、最初にステップS5の制御処理を実行したときには20秒の時間間隔、2回目にステップS5の制御処理を実行したときには15秒間隔、3回目にステップS5を実行したときには10秒間隔で警報30を次々と重ねて表示し、以後、警報対象まで1km地点に到達するまで(ステップS6のYES)、10秒の間隔を維持して警報30を次々と重ねて表示するようにする。なお、ステップS5において、警報30を次々と表示する時間間隔を段階的に加速させる代わりに、この時間間隔を20秒、19秒、18秒…10秒と連続的に加速させてもよい。
次いで、ステップS6に進み、制御部26は、自車両が警報対象まで1km地点に到達したか否かを判断する。制御部26が、1km地点に到達していないと判別した場合(NO)は、ステップS5の判断を繰り返す。一方、制御部26が、1km地点に到達したと判別した場合(YES)は、ステップS7に進み、警報30を次々と重ねて表示する時間間隔を5秒に短縮する(図8(c)参照)。
次いで、ステップS8に進み、制御部26は、自車両が警報対象まで500m地点に到達したか否かを判断する。制御部26が、500m地点に到達していないと判別した場合(NO)は、ステップS7に戻り、5秒の時間間隔を維持して警報30を次々と重ねて表示する。一方、制御部26が、500m地点に到達したと判別した場合(YES)は、ステップS9に進み、制御部26は、警報30を次々と重ねて表示する時間間隔を0.5秒に短縮する(図9(a)及び(b)参照)。
自車両が警報対象まで500m地点に到達した場合(ステップS10及びS11)には、0.5秒という極めて短い時間間隔で警報30を次々と重ねて表示するので、図9(a)及び(b)に示すように、画面14の内容が小刻みに忙しく変化するとともに、既存の表示である地図151が、画面14上で次々と増殖する警報30によってあたかも侵食されるかのような危機的イメージを形成する。このとき、スピーカ17から出力される効果音17aは、極めて短い時間間隔で表示される警報30に合わせて「ピー」という連続音に変わり、もはや運転者は、目まぐるしく変化する警報30の警報情報33を正確に視認することができない状態となる。
次いで、ステップS10に進み、制御部26は、自車両が警報対象まで300m地点に到達したか否かを判断する。制御部26が、300m地点に到達していないと判別した場合(NO)は、ステップS9に戻り、0.5秒の時間間隔を維持して警報30を次々と重ねて表示する。一方、制御部26が、300m地点に到達したと判別した場合(YES)は、ステップS11に進み、警報30の手前に図10(a)〜(c)に示すカウントダウン警報40を表示する。
自車両が警報対象まで300m地点に到達した場合(ステップS10及びS11)には、自車両の速度をすぐに減速させなければ間に合わない状況であり、図10(a)〜(c)に示すカウントダウン警報40は、「ループコイルまで10秒」、「ループコイルまで5秒」、「ループコイルまで1秒」というように、警報対象に到達するまでのタイムリミットを報知する。カウントダウン警報40で表示する秒数は、GPS受信器21から取得した現在の自車両の速度及び位置と、データベース27に記憶された警報対象の位置とに基づいて算出する。このとき、画面14上のカウントダウン警報40の背後において、500m地点から継続して、0.5秒の時間間隔で警報30を次々と重ねて表示するとともに、「ピー」という効果音17aを出力する。
その後、ステップS12に進み、制御部26は、GPS受信器21から取得した自車両の現在位置と、データベース27に記憶された警報対象の位置とを比較して、自車両が警報対象を通過したか否かを判断する。制御部26が、警報対象を通過していないと判別した場合(NO)は、ステップS11に戻り、カウントダウン警報40の表示を維持する。一方、制御部26が、警報対象を通過したと判別した場合(YES)は、ステップS13に進み、画面14上の全ての警報30及びカウントダウン警報40を消去し、本実施形態に係る一連の警報の表示態様に関する制御処理を終了する。これにより、画面14は、図3(b)に示す待ち受け状態に復帰する。
<<<作用・効果>>>
上述した本実施形態の車載用電子機器では、既に表示した警報30の上に、後に表示した警報30を重ねる表示動作が連続的に繰り返されるので、一連の警報30の表示態様が動的であり、経時的に画面14上の表示内容が大きく変化し、運転者の注意を強く引き付ける視覚的効果を得ることができる。最終的には、多数の警報30、30、30…が画面14上の表示領域を概ね占有し、運転者の注意は、最新に更新された警報30に集中することになる。この結果、警報開始から警報解除までの間、運転者の注意を継続的に喚起することが可能となる。この結果、従来の警報の表示態様の単調さを解消することができ、警報開始時に画面の変化を見逃すと、その後に警報の表示に気付くことが困難であるという問題も解決できる。
例えば、ループコイルへの接近といった一の警報対象について、複数の警報30、30、30…を次々と重ねて表示するので、この一の警報対象に対する運転者の注意を確実に喚起することができる。また、車両が警報対象に接近するほど、次々と重なる警報30の表示速度、数及び画面14上の変化が増大する。これにより、警報対象への接近度合いに応じて、運転者の危機感を煽る特別な視覚的効果が得られ、車両が警報対象に接近するほど、運転者の注意を喚起することが可能となる。
さらに、車両が警報対象に最大限接近し、複数の警報30(カウントダウン警報40を含む)が画面14を概ね占有した状態となっても、警報対象を通過したときに画面14上の全ての警報30が消去され、警報開始前の待ち受け状態に復帰する。この結果、複数の警報30を次々と重ねて表示することによって形成された危機的イメージが一転して解消され、運転者に、これまでの緊張感から一瞬で解き放たれたかの如き心理状態を生じさせることができる。
これに加え、警報対象の優先順位に応じ警報の表示態様を区別することができ、ループコイル、LHシステム、Hシステム、レーダー式オービス等の優先順位の高い警報対象について、運転者の注意を特に喚起することが可能となる。すなわち、取締りエリア、検問エリア、パーキングエリアなどの優先順位の低い警報対象については、従来のような警報対象を示すマークや警報対象までの距離を継続的又は断続的に表示する一般的な表示態様とし、運転者の注意を一般的に喚起する。一方、速度測定装置のような優先順位の高い警報対象については、画面14上に複数の警報30を次々と重ねて表示する本実施形態の表示態様とすることで、運転者の注意を引き付ける視覚的効果が得られ、運転者の注意を特に喚起することが可能となる。
以上のように、例えば、レーダー探知機やカーナビゲーションシステムなどのGPS警報機能を備えた車載用電子機器において、地図151上の警報対象への車両の接近を報知するために、本実施形態の一連の警報30の表示態様を適用することができ、この結果、従来の車載用電子機器と比較して、運転者に注意を促す警報の効果が格段に向上し、警報対象への接近警報を見逃す可能性を大幅に低減することが可能となる。
<<警報を表示する画面上の表示領域について>>
ここで、上述した図8〜図10の実施形態では、複数の警報30、30、30…を、画面14のメイン表示領域140A内において次々と重ねて表示する態様を例示したが、本発明の警報の表示態様はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、画面14の全ての表示領域140を使用して、複数の警報30、30、30…が、メイン表示領域140Aからアイコン表示領域140Bにまではみ出す表示態様としてもよい。
例えば、上述した優先順位の高い警報対象については、図11に示す画面14の全ての表示領域140を使用して、複数の警報30、30、30…がメイン表示領域140Aからアイコン表示領域140Bにまではみ出す表示態様とし、これら以外の優先順位の低い警報対象については、図8〜図10と同様に、複数の警報30、30、30…がメイン表示領域140Aからはみ出さない表示態様とするとよい。
<<警報の輪郭について>>
図12(a)〜(c)に示すように、警報対象の種類に応じて警報30、50の輪郭32、52を互いに異なる形状としてもよい。例えば、ループコイルへの接近を報知する警報30の輪郭32を四角形とし、Hシステムへの接近を報知する警報50の輪郭52を円形とする。このような構成とすることにより、警報30、50の輪郭32、52に基づいて、報知された警報対象の種類を一見して判別することが可能となり、画面14上で次々と重なる複数の警報30、50が、同じ種類の警報対象についてのものなのか、異なる種類の警報対象についてのものなのか、どの種類の警報対象かを容易に判別することができるようになる。
<<警報の出現の態様について>>
好ましくは、図13(a)〜(c)に示すように、画面14上の所定ポイントから警報60が拡大するように出現する動画を含むようにするとよい。一例として、まず、図13(a)に示す地図151上の所定ポイント、例えば、データベース27(図2参照)に記憶されたループコイルの位置に点滅する赤い点60’を極めて短い時間だけ表示する。次いで、図13(b)に示すように、地図151上の赤い点60’が点滅したポイントから急速に拡大する四角形の輪郭60”を表示する。この四角形の輪郭60”に囲まれた領域内は、拡大する過程で徐々に表示内容が明確となり、最終的には、図13(c)に示すような四角形の警報60が地図151上に出現する。本実施形態では、警報60を図13(a)の赤い点60’が示すポイント周辺の拡大地図としてある。
次いで、図14(a)に示すように、自車両が前記ループコイルに更に接近すると、地図151上から四角形の輪郭60”が急速に拡大し、次の警報60が出現する。このようにして、複数の警報60、60、60…が次々と拡大しながら出現し、画面14上で重なっていく。
また、図14(a)において、前記ループコイル以外の新たな警報対象、例えば、データベース27(図2参照)に記憶されたレーダー式オービスに接近した場合には、地図151上の前記レーダー式オービスの位置に新たな赤い点70’が点滅する。次いで、図14(b)に示すように、地図151上の赤い点70’が点滅したポイントから急速に拡大する円形の輪郭70”を表示する。上記と同様に、この円形の輪郭70”に囲まれた領域内も、拡大する過程で徐々に表示内容が明確となり、最終的には、図14(c)に示すような円形の警報70が地図151上に出現する。本実施形態の警報70は、レーダー式オービスを示す模式図又は写真としてある。
このようにして、異なる複数の警報60、60、60…及び70、70、70…が次々と拡大しながら出現し、画面14上で重なっていくが、運転者は、異なる輪郭の形状に基づいて、警報60及び70を一見して区別することが可能である。
上述したように、画面14上の所定ポイントから警報60、70が拡大するように出現する動画を含む態様とした場合には、警報60、70の出現時に、視覚的インパクトを与えて運転者の注意を強く引き付けることができるとともに、地図151上の所定ポイントと、警報60、70との関連性を運転者に視覚的に伝えることが可能となる。この結果、運転者は、地図151上の所定ポイントに前記ループコイル又は前記レーダー式オービスが設置されていることを一見して認識することができる。
<<警報を表示する時間間隔の制御処理について>>
図15に例示した制御処理では、警報対象までの距離を「2km」、「1km」、「500m」、「300m」と予め定めておき、自車両がこれら距離に到達したことを契機に、複数の警報30を次々と重ねて表示するときの時間間隔を短くするようにした。しかし、警報30の時間間隔を短くする制御処理は、図15に限定されるものではない。
例えば、制御処理の契機となる警報対象までの距離を1つだけ設定することも可能である。自車両が警報対象に3kmまで接近して本実施形態の警報を開始した後、自車両と警報対象の距離が「1km」を超えている間は、比較的長い時間間隔で複数の警報を次々と重ねて表示し、その後、自車両と警報対象の距離が「1km」に到達したときには、比較的短い時間間隔で複数の警報30を次々と重ねて表示するようにしてもよい。また、制御処理の契機となる警報対象までの距離を設定せずに、刻一刻と変化する自車両から警報対象までの距離と連動して、次々と表示する警報30の時間間隔を連続的に短くする構成としてもよい。
さらに、自車両が警報対象に接近する速度に応じた時間間隔で、複数の警報30を次々と重ねて表示することも可能である。このような制御処理とした場合には、自車両が警報対象に急速に接近するほど、次々と重なる警報30の表示速度、数及び画面上の変化が増大する。これにより、警報対象への接近度合いに応じて、運転者の危機感を煽る特別な視覚的効果が得られ、自車両が警報対象に接近するほど、運転者の注意を喚起することが可能となる。
自車両の速度に応じた制御処理の方法として、例えば、自車両の加減速と連動して、次々と表示する警報30の時間間隔を連続的に短くしてもよい。また、制御処理の契機となる所定の速度を複数設定しておき、自車両が所定の速度に到達するたびに、次々と表示する警報30の時間間隔を段階的に短くしてもよい。この場合、制御処理の契機となる警報対象までの所定の速度を1つだけ設定することも可能である。例えば、自車両が「時速50km」以下で走行しているときには、比較的長い時間間隔で複数の警報30を次々と重ねて表示し、その後、自車両が「時速50km」を超えると、比較的短い時間間隔で複数の警報30を次々と重ねて表示するようにしてもよい。なお、制御処理の契機となる所定の速度を複数設定しておき、車両が所定の速度以下になるたびに、次々と表示する警報30の時間間隔を段階的に長くする構成を備えるようにしてもよい。さらに、優先順位の高い警報対象への接近が検出された場合でも、そのときの自車両の速度が制限速度以下のときには、図15に示す制御処理を行わず、優先順位が低い警報対象と同様の態様で警報を表示するようにしてもよい。
<その他の変更>
本発明の車載用電子機器は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明を適用する車載用電子機器は、図1及び図2に示した構成のレーダー探知機に限定されるものではなく、本発明は、種々の構成の車載用電子機器、例えば、カーナビゲーションシステムに適用することが可能である。
また、図3〜図14に示した画面14上の表示は全て一例にすぎず、本発明が特徴とする複数の警報を次々と重ねる表示態様を含む限り、車載用電子機器の各種機能を実現するための表示デザイン、本発明に係る警報の表示デザイン、警報の出現の態様、一連の警報の表示態様などを自由に変更することができる。