以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における水位観測システムの構成例を示す図である。図1において、水位観測システム1は、河川R沿いに設置された集約ノードN0、及び観測ノードNs1〜Ns9等を含む。
観測ノードNs1〜Ns9は、それぞれが設置された位置における河川Rの水位を観測する装置である。なお、観測ノードNs1〜Ns9のそれぞれを区別しない場合、「観測ノードNs」という。
集約ノードN0は、各観測ノードNsから、観測水位の値等を含む観測データの収集等を実行する装置である。各観測ノードNsからの観測データの収集等には、無線通信が利用される。すなわち、集約ノードN0及び各観測ノードNsは、無線通信装置を有する。集約ノードN0と各観測ノードNsとの間では、無線通信装置を利用して、無線通信ネットワーク(無線アドホックネットワーク)が形成される。なお、集約ノードN0と、各観測ノードNsとを区別しない場合、「通信ノードN」という。
本実施の形態において、観測ノードNs1〜Ns9によって水位の観測が行われる範囲は、複数の観測エリアによって分割される。観測エリアは、物理的又は地理的な位置関係に基づいて、水位観測システム1の観測範囲を分割する概念である。図1では、観測エリアA1〜A3に分割された例が示されている。観測エリアA1には、観測ノードNs1〜Ns3が含まれる。観測エリアA2には、観測ノードNs4〜Ns6が含まれる。観測エリアA3には、観測ノードNs7〜Ns9が含まれる。以下、観測エリアA1〜A3を区別しない場合、「観測エリアA」という。なお、各観測ノードNsには、当該観測ノードNsが属する観測エリアAのエリア番号が記憶されている。エリア番号は、観測エリアAの識別情報の一例である。本実施の形態では、観測エリアAの末尾の数値を、当該観測エリアAのエリア番号とする。したがって、観測ノードNs1〜Ns3には、エリア番号として「1」が記憶されている。観測ノードNs4〜Ns6には、エリア番号として「2」が記憶されている。観測ノードNs7〜Ns9には、エリア番号として「3」が記憶されている。
図2は、本発明の実施の形態における各通信ノードが有する無線通信装置のハードウェア構成例を示す図である。図2において、無線通信装置10は、ROM101、不揮発性記憶媒体102、RAM102、CPU104、及び通信インタフェース105等を有する。
無線通信装置10での処理を実行させるプログラムは、ROM101又は不揮発性記憶媒体102にインストールされる。例えば、当該プログラムが、無線通信装置10の出荷時に予めインストールされる場合はROM101に格納されてもよい。なお、ROM101や不揮発性記憶媒体102には、当該プログラム以外に、当該プログラムが用いる各種データも記憶され得る。RAM102は、プログラムの起動指示があった場合に、ROM101又は不揮発性記憶媒体102から読み出されたプログラム等を格納する。CPU104は、RAM102に格納されたプログラムに従って無線通信装置10に係る後述される機能を実行する。通信インタフェース装置105は、無線通信を行うためのアンテナ等を含むハードウェアである。
以下、水位観測システム1において実行される処理手順の概要について説明する。図3〜図6は、水位観測システムにおける通信経路の生成処理の処理手順の一例を説明するための図である。図3〜図6の処理は、例えば、水位観測システム1が稼動を開始する際に実行される。
ステップS101において、集約ノードN0は、予め定められた特定の無線チャネル(以下、「無線チャネルA」という。)を利用して、「接続要求」をブロードキャスト(BC)で送信する。「接続要求」は、集約ノードN0との無線通信ネットワークの接続要求を示す電文又はメッセージ(以下、「電文」で統一する。)の一例である。無線チャネルAは、例えば、水位観測システム1において使用可能なチャネルの中で、周波数が最小の無線チャネルである。ステップS101〜S128、S130、及びS132における電文は、無線チャネルAを利用して送信される。
「接続要求」のパケットには、アドホック中継されないように、TTL(Time To Live)として1が設定される。「接続要求」には、水位観測時における無線通信において使用される全ての無線チャネル番号が指定される。本実施の形態では、無線チャネル番号として、1、2、及び3が指定される。すなわち、本実施の形態では、水位観測時において、3つの無線チャネルが使用される。なお、使用される無線チャネル番号が、各観測ノードNsにおいて既知である場合、「接続要求」には、必ずしも無線チャネル番号は指定されなくてもよい。
集約ノードN0より送信された「接続要求」を受信した観測ノードNsは、「接続応答」をブロードキャストで送信する(S102〜S105)。「接続応答」は、「接続要求」を受信したことの応答を示す電文の一例である。図3では、観測エリアA1に属する観測ノードNs1〜Ns3と、観測エリアA2に属する観測ノードNs4とを含む範囲まで、「接続要求」の電波が到達した例が示されている(ステップS101参照)。したがって、観測ノードNs1〜Ns4によって「接続応答」が送信される。
集約ノードN0は、「接続応答」を受信することにより、近隣エリアに観測ノードNsが設置されていることを認識する。集約ノードN0は、使用する無線チャネル数以上の「接続応答」が受信されるまで「接続要求」の送信を継続する。すなわち、各「接続応答」は、相互に衝突しないように、時間がずらされてランダムに返信される。本実施の形態では、3つの無線チャネルが使用される。したがって、集約ノードN0は、3つの接続応答が受信されると、「接続要求」の送信を停止する。
続いて、「接続要求」を受信した各観測ノードNsは、「接続応答」の送信後、自ノードが属する観測エリアA内で、使用する無線チャネルの調停を実行する。無線チャネルの調停とは、無線チャネル番号の割り当てを意味する。すなわち、本実施の形態では、同一の観測エリアAに属する各観測ノードNsには、相互に異なる無線チャネル番号が割り当てられる。但し、一つの観測エリアAの観測ノードNs数>使用する無線チャネル数の関係に有る場合は、同一の無線チャネル番号が複数の観測ノードNsに割り当てられてもよい。この場合、使用する各無線チャネル番号が、少なくとも一つの観測ノードNsに割り当てられればよい。
具体的には、「接続応答」を送信した各観測ノードNsは、「ch調停要求」をブロードキャストで送信する(S106〜S109)。ステップS106〜S109は、その順に、観測ノードNs1〜Ns4より送信された「ch調停要求」を示す。「ch調停要求」は、自ノードと同一の観測エリアAに属する他ノードに対して、無線チャネルの調停を要求する電文の一例である。「ch調停要求」のパケットには、アドホック中継されないように、TTLとして1が設定される。また、「ch調停要求」には、自ノードが属する観測エリアAのエリア番号と、受信された「接続要求」に指定されていた無線チャネル番号、及びプライオリティ情報が指定される。集約ノードN0からの接続ノードには、無線チャネル番号として1〜3が指定されていたため、「ch調停要求」でも無線チャネル番号として1〜3が指定される。プライオリティ情報とは、無線チャネル番号の調停における優先度を示す情報をいう。本実施の形態では、各観測ノードNsのノード番号が、プライオリティ情報として指定される。本実施の形態において、ノード番号は、各観測ノードNsの符号の末尾の数字に一致する。ノード番号が小さい程、優先度は高いこととする。
自ノードが属する同一観測エリアA内の全ての他ノードから「ch調停要求」が受信された観測ノードNsは、受信された「ch調停要求」に指定されているプライオリティ情報と、自ノードのプライオリティ情報とを比較する。比較の結果、自ノードのプライオリティ情報が示す優先度が最高である観測ノードNs(すなわち、自ノードのノード番号が最小である観測ノードNs)は、同一観測エリアA内の各観測ノードに対して、無線チャネル番号の割り当てを行う。割り当て方法の詳細については後述される。
観測エリアA1においては、ステップS106〜S108において、全観測ノードAから「ch調停要求」が送信されている。したがって、優先度が最高である観測ノードNs1が、自ノードを含め、観測ノードNs2及びNs3に対する無線チャネル番号の割り当てを決定する。無線チャネル番号の割り当てが決定されると、観測ノードNs1は、無線チャネル番号の割り当て結果を示す電文の一例である「ch調停応答」をブロードキャストで送信する(S110)。「ch調停応答」のパケットには、アドホック中継されないように、TTLとして1が設定される。また、「ch調停応答」には、無線チャネル番号ごとに、当該無線チャネル番号が割り当てられた観測ノードNsのノード番号が指定される。ステップS110の例では、無線チャネル番号1、2、3の順に、観測ノードNs1、観測ノードNs2、観測ノードNs3が割り当てられた例が示されている。「ch調停応答」の送信後、一定期間内(例えば、10秒間)に、他ノードから「ch調停要求」の再送がなければ、無線チャネル番号の割り当ては確定される。
なお、無線チャネル番号の割り当ては、同一観測エリアA内の各観測ノードNsによって行われてもよい。割り当てのロジックが各観測ノードNsにおいて統一されていれば、割り当て結果は同じになるはずであるからである。但し、万が一の不整合を考慮して、本実施の形態では、優先度が最高である一つの観測ノードNsによって、無線チャネル番号の割り当てが実行される。
一方、「ch調停要求」に指定されているプライオリティ情報と、自ノードのプライオリティ情報との比較の結果、自ノードのプライオリティ情報が示す優先度が最高ではない観測ノードNs2及びNs3は、「ch調停応答」の受信を待機する。「ch調停応答」が受信されると、当該観測ノードNs2及びNs3は、「ch調停応答」において自ノードのノード番号に対して割り当てられている無線チャネル番号を、例えば、RAM102又は不揮発性RAM103に記憶する。
なお、観測エリアA2において、観測ノードNs5及びNs6は、「接続要求」を受信していない。したがって、観測ノードNs5及びNs6は、まだ、「ch調停要求」を送信しない。したがって、この時点において、観測ノードNs4は、自ノードが属する同一観測エリアA内の全ての他ノードから「ch調停要求」を受信しない。したがって、観測ノードNs4は、「ch調停要求」の送信を継続する。
続いて、無線チャネル番号の割り当てが決定された観測ノードNs1〜Ns3は、「エリア間接続要求」をブロードキャストで送信する(S111、S112、図4:S113)。「エリア間接続要求」は、隣接する観測エリアA等、他の観測エリアAに対する無線通信ネットワークの接続要求を示す電文の一例である。また、「エリア間接続要求」は、当該電文を送信元の観測ノードNsが使用する無線チャネル番号を他の観測エリアAの観測ノードNsに通知するための電文である。
「エリア間接続要求」には、送信元の観測ノードNsに割り当てられた無線チャネル番号、当該観測ノードNsが属する観測エリアAのエリア番号、コスト値、及び所属ノード番号等が指定される。本実施の形態において、コスト値とは、集約ノード0からのホップ数である。所属ノード番号とは、送信元の観測ノードNsに割り当てられた無線チャネル番号が既に割り当てられた観測ノードのノード番号の一覧である。ステップS111〜S113の段階において、所属ノード番号に指定されるノード番号は、「エリア間接続要求」の送信元の観測ノードのノード番号に一致する。
続いて、他の観測エリアAからの「エリア間接続要求」を受信した各観測ノードNsは、自ノードが属する観測エリアA内で、使用する無線チャネルの調停を実行する。すなわち、集約ノードN0からの「接続要求」が受信された場合と同様に、使用する無線チャネルの調停が実行される。
具体的には、他の観測エリアAのエリア番号が指定された「エリア間接続要求」を送信した各観測ノードNsは、「ch調停要求」をブロードキャストで送信する(S114〜S116)。ステップS114〜S116は、順番に、観測ノードNs4〜Ns6より送信された「ch調停要求」を示す。「エリア間接続要求」に応じて送信される「ch調停要求」には、自ノードのノード番号、エリア番号、及びプライオリティ情報の他に、集約ノードN0又は他のいずれの観測エリアAと、どの無線チャネル番号でどのコスト値で接続可能であるかを示す情報が指定される。当該情報は、自ノードにおいて受信された「接続要求」又は「エリア間接続要求」に基づいて指定される。
例えば、観測ノードNs4は、集約ノードN0からの「接続要求」と、観測ノードNs1〜Ns3からのそれぞれの「エリア間接続要求」を受信している。したがって、観測ノードNs4は、集約ノードN0と無線チャネル番号1〜3でコスト値0で接続可能であり、かつ、観測エリアA1と無線チャネル番号1〜3でコスト1で接続可能であることを示す情報を、ステップS114における「ch調停要求」に指定する。すなわち、受信された「接続要求」又は受信された各「エリア間接続要求」に指定されているパラメータが統合されて「ch調停要求」に指定される。観測エリアA1とのコスト値は、観測エリアA1の観測ノードNsから送信された「エリア間接続要求」に指定されているコスト値がそのまま用いられる。なお、ステップS114において、集約ノードN0は、「エリア0」として表現されている。
観測ノードNs5は、観測ノードNs1〜Ns3からのそれぞれの「エリア間接続要求」を受信している。したがって、観測ノードNs5は、観測エリアA1と無線チャネル番号1〜3によって、コスト1で接続可能であることを示す情報を、ステップS115における「ch調停要求」に指定する。
観測ノードNs6は、観測ノードNs2及びNs3からのそれぞれの「エリア間接続要求」を受信している。したがって、観測ノードNs5は、観測エリアA1と無線チャネル番号2又は3によって、コスト1で接続可能であることを示す情報を、ステップS116における「ch調停要求」に指定する。
観測エリアA2に属する全ての他ノードからの「ch調停要求」を受信し、優先度が最高である観測ノードNs4は、自ノードを含め、観測ノードNs5及びNs6に対する無線チャネル番号の割り当てを、受信された「ch調停要求」等に基づいて決定する。無線チャネル番号の割り当てが決定されると、観測ノードNs4は、無線チャネル番号の割り当て結果を示す「ch調停応答」をブロードキャストで送信する(S117)。観測ノードNs5及びNs6は、「ch調停応答」において自ノードのノード番号に対して割り当てられている無線チャネル番号を、例えば、RAM102又は不揮発性RAM103に記憶する。
なお、ステップS113における「エリア間接続要求」は、観測エリアA3に属する観測ノードNs7〜Ns9によっても受信されている。したがって、当該「エリア間接続要求」の受信に応じ、観測ノードNs7及びNs8も、「ch調停要求」の送信を開始するが、図中では便宜上、ステップS121以降に記載されている。
続いて、無線チャネル番号の割り当てが決定された観測ノードNs4〜Ns6は、「エリア間接続要求」をブロードキャストで送信する(S118、S119、S120)。各「エリア間接続要求」には、所属ノード番号として、当該「エリア間接続要求」の送信元の観測ノードNsのノード番号の他に、観測エリアA1において、当該観測ノードNsと同じ無線チャネル番号が割り当てられた観測ノードNsのノード番号が指定される。観測エリアA1において該当する観測ノードNsのノード番号は、観測エリアA1の各観測ノードNsからの「エリア間接続要求」に指定されている所属ノード番号に基づいて特定される。
観測エリアA2の各観測ノードNsより送信された「エリア間接続要求」に応じて観測エリアA3において実行される処理手順(図5:S121〜S124)の説明は、上記より自明であるため省略する。当該処理手順において、観測エリアA3に属する各観測ノードNsに対して、無線チャネル番号が割り当てられる。
本実施の形態において、最終観測エリアである観測エリアA3において、各観測ノードNsの無線チャネル番号の割り当てが決定すると、観測エリアA3の全観測ノードNsは、「経路作成要求」をブロードキャストで送信する(図6:S125〜S127)。「経路作成要求」は、無線通信の経路の作成の開始を、集約ノードN0に要求する電文である。したがって、「経路作成要求」のパケットには、当該電文が集約ノードN0に到達するように、TTLとして、例えば、「128」が指定される。また、「経路作成要求」には、送信元の観測ノードNsに割り当てられた無線チャネル番号及び当該無線チャネル番号に係る所属ノード番号が指定される。
集約ノードN0は、使用する無線チャネル番号の全ての無線チャネル番号に関して「経路作成要求」が受信されると、無線チャネルごとに、順番に経路の作成を行う。具体的には、集約ノードN0は、例えば、無線チャネルAを利用して、経路作成の対象とする無線チャネル番号が指定された、「ch変更通知」をブロードキャストで送信する(S128)。「ch変更通知」は、通信に利用する無線チャネルの変更を全観測ノードNsに要求する電文の一例である。したがって、当該電文が全観測ノードNsに到達するように、「ch変更通知」のパケットには、TTLとして、例えば、「128」が指定される。また、最初の「ch変更通知」には、例えば、無線チャネル番号として「1」が指定される。
「ch変更通知」を受信した各観測ノードNsは、通信に使用する無線チャネルを「ch変更通知」に指定された無線チャネル番号に合わせる。したがって、最初は、無線チャネル番号1に係る無線チャネルを使用して通信が行われる。
続いて、無線チャネル番号1に係る無線チャネルを使用し、集約ノードN0から各観測ノードNsへの経路作成が行われる(S129)。経路作成には、ADOV(Ad hoc On-Demand Distance Vector)等の公知のプロトコルが利用されればよい。但し、現在の無線チャネル番号である無線チャネル番号1が割り当てられていない観測ノードNsは、ルート検索パケット(経路検索パケット)の転送は行わない。すなわち、無線チャネル番号1が割り当てられていない観測ノードNsは、中継ノードとならず、経路の終端ノードとなるように、経路の設定を行う。したがって、無線チャネル番号1が割り当てられていない観測ノードNsは、無線チャネル番号1に係る無線チャネルの経路を使用した集約ノードN0からのメッセージの受信は可能であるが、当該経路において、集約ノードN0から他の観測ノードNs宛へのメッセージの転送は行わない。
続いて、他の無線チャネル番号に関しても、ステップS128及びS129と同様の処理が繰り返される(S130〜S133)。
その結果、観測エリアAを跨いで、無線チャネル番号が共通する観測ノードNsが中継ノードとして接続されるように、無線チャネル番号ごとの経路が作成される。したがって、特定の観測ノードNsへの経路の集中を回避することができる。また、無線チャネル番号ごとの経路において、当該無線チャネル番号が割り当てられていない観測ノードNsは、終端ノードとして当該経路に接続される。したがって、例えば、当該観測ノードNsに割り当てられた無線チャネル番号の経路によって、当該観測ノードNsが集約ノードN0と通信不能となった場合であっても、他の無線チャネル番号の経路(すなわち、迂回路)によって、当該観測ノードNsは、集約ノードN0と通信することができる。
図7は、無線チャネルごとの経路の一例を示す図である。図7では、集約ノードN0と、各観測ノードNs1とのメインの経路の一例が示されている。メインの経路とは、各観測ノードNsにとって、当該自ノードに割り当てられた無線チャネル番号に係る無線チャネルでの経路をいう。
例えば、観測エリアA3の観測ノードNs9は、無線チャネル番号2の無線チャネルにおける経路(以下、「経路2」という。)を介して、集約ノードN0と通信を行う。経路2では、観測ノードNs2及び観測ノードNs5によって、中継が行われる。
但し、上記したように、各観測ノードNsは、自ノードに割り当てられた無線チャネル番号以外の無線チャネル番号に係る無線チャネルでの経路にも、終端ノードとして参加している。したがって、仮に、観測ノードNs2又はNs5に障害が発生したとしても、観測ノードNs9は、無線チャネル番号3又は1に係る無線チャネルでの経路3又は経路1を利用して集約ノードと通信することができる。図7では、係る経路に関しても、破線の矢印によって示されている。すなわち、観測ノードNs9は、経路3を利用する場合、観測ノードNs3及び観測ノードNs7による中継によって、集約ノードN0と通信を行うことができる。また、観測ノードNs9は、経路1を利用する場合観測ノードNs4及び観測ノードNs8による中継によって、集約ノードN0と通信を行うことができる。このような通信が可能なのは、経路3の作成時において、観測ノードNs7は、観測ノードNs9の存在を認識し、経路1の作成時において、観測ノードNs8は、観測ノードNs9の存在を認識しているからである。
なお、観測ノードNs9では、例えば、図8に示されるような経路情報が記憶される。図8は、一つの観測ノードにおける経路情報の一例を示す図である。
図8に示される経路情報には、集約ノードN0を宛先とする経路として、無線チャネル番号ごとに、NextHop及びコスト値を含む。NextHopは、次のホップ先の観測ノードNsのノード番号である。コスト値は、当該経路でのコスト値である。図7に示されるように、観測ノードNs9に割り当てられた無線チャネル番号は2であるため、通常は、次のホップ先は、観測ノードNs5となる。
なお、他の観測ノードNsに関しても、経路の作成によって同様の経路情報が記憶される。但し、自ノードに割り当てられた無線チャネル番号に係る無線チャネルにおいて中継ノードとなる観測ノードNsは、集約ノードのみならず、他の観測ノードNsを宛先とした場合のNextHop及びコスト値等を含む経路情報を記憶する。
次に、上記のように作成された経路を利用した通信処理の一例について説明する。本実施の形態では、観測水位を示す観測データの転送等に、斯かる経路が利用される。すなわち、本実施の形態において、無線チャネルごとの経路の作成が完了すると、水位の観測が開始される。以下の説明において、同一の無線チャネル番号が割り当てられた観測ノードNsの集合を、「無線チャネルグループ」という。上記より明らかなように、無線チャネルグループは、複数の観測エリアAに対して横断的に形成される。
水位の観測に関して、本実施の形態では、主として二つの時間周期がある。一つは、集約ノードN0が、各観測ノードNsより、水位の観測データを収集する周期である。以下、当該周期を「収集周期」という。収集周期は、例えば、10分間隔等、他方の周期に比べて長周期である。もう一つは、無線チャネルグループごとに、当該無線チャネルグループに属する観測ノードNsが起動し、水位の観測(センシング)を実行する周期である。当該周期を、「観測起動周期」という。観測起動周期は、例えば、10秒間隔等、収集周期に比べて短周期である。なお、各観測ノードNsは、水位の観測の実行後は、スリープ状態(省電力状態)に移行する。したがって、観測ノードNsの起動とは、スリープ状態からの復帰をいう。
以下、水位観測システム1の水位観測時の動作の概要について説明する。
水位の観測が開始されると、各観測ノードNsは、観測起動周期で、同一の無線チャネルグループに属する観測ノードNsごとに、例えば、ラウンドロビン式で順番に起動し、水位の観測(センシング)を行う。水位が警戒水位(又は警報水位)としての閾値を超過していなければ、当該無線チャネルグループに属する観測ノードNsは、スリープ状態となる。すなわち、同一の無線チャネルグループに属する各観測ノードNsは、他の無線チャネルグループに属する各観測ノードNsとは異なるタイミングで、かつ、観測起動周期で同期して起動、観測、及びスリープを繰り返す。なお、警戒水位の超過の早期検出の観点から、各無線チャネルグループ間の観測起動周期のずれは、常に少なくとも一つの無線チャネルグループが起動状態であるように形成されることが好ましい。
観測起動周期の観測時において、警戒水位の超過を検出した観測ノードNsは、自ノードに割り当てられた無線チャネル番号に係る無線チャネルを使用して、即時的に水位超過を検出したことを集約ノードN0にユニキャストで通知する。当該通知は、当該無線チャネルに関して作成された経路で集約ノードN0に転送される。「即時的」とは、収集周期とは無関係にという意味を含む。
一方、集約ノードN0は、収集周期で、各観測ノードNsより観測データを収集する。具体的には、集約ノードN0は、無線チャネルグループ単位で順番に、当該無線チャネルグループに属する観測ノードNsよりユニキャストで観測データの送信を要求する。観測データの送信要求を受けた各観測ノードNsは、水位の観測を行い、観測データを返信する。
集約ノードN0は、収集周期とは別のタイミングで水位超過の通知が受信されると、水位超過の通知元の観測ノードNsが属する無線チャネルグループの全観測ノードNsに対し、収集周期を短周期(例えば、1分間隔)に切り替えるように指示を出す。以降、当該無線チャネルグループに関して、集約ノードN0は、短周期で観測データの収集を行う。
水位超過の通知を受信後、次の無線チャネルグループが起動したら、集約ノードN0は、当該無線チャネルグループの全観測ノードNsに対し、収集周期を短周期に切り替えるように指示を出す。このように、各無線チャネルグループの収集周期は順番に短周期に切り替えられる。
その後、全ての無線チャネルグループの全観測ノードNsによって警戒水位の超過が検出されなくなった場合、収集周期は、無線チャネルグループ単位で順番に通常周期(例えば、10分間隔)に切り替えられる。
続いて、上記において説明した処理手順を実現するために、集約ノードN0又は各観測ノードNsが有する機能構成例について説明する。
図9は、本発明の実施の形態における集約ノードの機能構成例を示す図である。図9において、集約ノードN0は、接続要求送信部121、接続応答確認部122、ch変更通知送信部123、経路作成要求処理部124、経路作成部125、観測データ要求部126、観測データ応答処理部127、スリープ命令送信部128、水位超過通知処理部129、収集周期切替通知部130、及び処理時刻設定部131等を有する。これら各部は、集約ノードN0にインストールされたプログラムが、集約ノードN0のCPU104に実行させる処理により実現される。
集約ノードN0は、また、無線グループ情報記憶部141、経路情報記憶部142、周期情報記憶部143等を利用する。これら各部は、例えば、集約ノードN0のRAM102又は不揮発性RAM103を用いて実現可能である。
接続要求送信部121は、「接続要求」を送信する。接続応答確認部122は、「接続要求」に応じて返信される「接続応答」の受信を確認する。ch変更通知送信部123は、「ch変更通知」を送信する。経路作成要求処理部124は、最終観測エリアの観測ノードNsより送信される、「経路作成要求」の受信に応じ、「経路作成要求」に指定されている無線チャネル番号と、所属ノード番号とを対応づけて、無線グループ情報記憶部141に記憶する。すなわち、無線グループ情報記憶部141は、各観測ノードNsが、いずれの無線チャネルグループに所属するのかを示す情報を記憶する。経路作成部125は、無線チャネル番号ごとの無線チャネルの経路の作成を制御する。
観測データ要求部126は、水位の観測データの送信を要求する電文の一例である、「観測データ要求」を、観測ノードNsに送信する。観測データ応答処理部127は、「観測データ要求」に応じて観測ノードNsから返信される応答に含まれる観測データに基づいて、収集周期を通常周期にすべきか、短周期にすべきかを判定する。スリープ命令送信部128は、スリープ状態(電源OFF状態又は省電力状態)への移行を指示する電文の一例である、「スリープ命令」を、観測ノードNsに送信する。水位超過通知処理部129は、観測水位が警戒水位の閾値を超えたことを通知する電文である「水位超過通知」に応じた処理を実行する。収集周期切替通知部130は、収集周期を通常周期から短周期に切り替えることを通知する電文の一例である、「収集周期切替」を、観測ノードNsに送信する。処理時刻設定部131は、収集周期又は無線チャネルグループごとの観測起動周期に基づいて、集約ノードN0が次に処理を実行すべき時刻の設定を行う。
経路情報記憶部142は、いわゆるルーティングテーブル(経路情報)を記憶する。例えば、図8に示されるような経路情報が、経路情報記憶部142に記憶される。但し、集約ノードN0における経路情報には、無線チャネルごとに各観測ノードNsを宛先とした場合のNextHop及びコスト値等を含む。周期情報記憶部143は、収集周期及び各無線チャネルグループの観測起動周期を示す情報を記憶する。
図10は、本発明の実施の形態における観測ノードの機能構成例を示す図である。図10に示されるように、各観測ノードNsは、接続要求処理部201、接続応答送信部202、ch調停要求送信部203、ch調停要求処理部204、ch調停部205、ch調停応答送信部206、ch調停応答処理部207、エリア間接続要求送信部208、エリア間接続要求処理部209、経路作成要求送信部210、経路作成要求転送部211、ch変更処理部212、経路選択部213、水位観測部214、観測データ応答部215、スリープ命令処理部216、水位超過通知部217、収集周期切替処理部218、起動時刻設定部219、及びグループ切替部220等を有する。これら各部は、各観測ノードNsにインストールされたプログラムが、各観測ノードNsのCPU104に実行させる処理により実現される。
各観測ノードNsは、また、接続チャネル情報記憶部231及び経路情報記憶部232等を利用する。これら各記憶部は、各観測ノードNsのRAM102又は不揮発性RAM103等を用いて実現可能である。
接続要求処理部201は、「接続要求」に応じた処理を実行する。例えば、接続要求処理部201は、「接続要求」に指定されている情報を、接続チャネル情報記憶部231に記憶する。接続応答送信部202は、「接続応答」を送信する。ch調停要求送信部203は、「ch調停要求」を送信する。ch調停要求処理部204は、「ch調停要求」に応じた処理を実行する。
ch調停部205は、自ノードの優先度が最高である場合、同一観測エリアA内の各観測ノードNsに対する無線チャネル番号の割り当てを行う。ch調停応答送信部206は、自ノードの優先度が最高である場合、「ch調停応答」を送信する。ch調停応答処理部207は、「ch調停応答」に応じた処理を実行する。エリア間接続要求送信部208は、「エリア間接続要求」を送信する。エリア間接続要求処理部209は、「エリア間接続要求」に応じた処理を実行する。例えば、エリア間接続要求処理部209は、「エリア間接続要求」に指定されている情報を、接続チャネル情報記憶部231に記憶する。接続チャネル情報記憶部231は、自ノードが、いずれの無線チャネル番号で、いずれの観測エリアA又は集約ノードN0と接続可能であるのかを示す情報を記憶する。
経路作成要求送信部210は、自ノードが最終観測エリアに属する場合に、「経路作成要求」を送信する。経路作成要求転送部211は、自ノードが最終観測エリアに属さない場合に、最終観測エリアの各観測ノードNsより送信された「経路作成要求」の転送又は中継を実行する。ch変更処理部212は、「ch変更通知」に応じた処理を実行する。
水位観測部214は、水位の観測を制御する。観測データ応答部215は、「観測データ要求」に応じ、水位の観測データを含む応答を、集約ノードN0に返信する。スリープ命令処理部216は、「スリープ命令」に応じた処理を実行する。水位超過通知部217は、観測水位が警戒水位を超えた場合に、「水位超過通知」を集約ノードN0に送信する。
収集周期切替処理部218は、「収集周期切替」に応じた処理を実行する。起動時刻設定部219は、収集周期又は自ノードが属する無線チャネルグループの観測起動周期に基づいて、自ノードが次に起動する時刻の設定を行う。グループ切替部220は、自ノードが属する無線チャネルグループの無線チャネルでは集約ノードN0と通信不能となった場合に、使用する無線チャネルを、他の無線チャネルグループの無線チャネルに切り替える。そうすることにより、集約ノードN0との通信に関して迂回路が確保される。
経路情報記憶部232は、いわゆるルーティングテーブル(経路情報)を記憶する。例えば、経路情報記憶部232は、図8において説明したような経路情報を記憶する。
以下、図3〜図6等において説明した処理において、集約ノードN0又は各観測ノードNsが実行する処理手順の一例を説明する。
図11は、経路作成時に集約ノードが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。なお、各電文の内容は、特に明記されない限り、図3〜図6において説明した通りである。
ステップS201において、接続要求送信部121は、「接続要求」をブロードキャストで送信する。続いて、接続応答確認部122は、「接続応答」の受信を待機する(S202)。接続応答確認部122は、「接続応答」が受信されるたびに(S202でYES)、観測エリアA1のエリア番号が指定された「接続応答」が、使用する無線チャネル数以上受信されたか否かを判定する(S203)。
観測エリアA1のエリア番号が指定された「接続応答」が、使用する無線チャネル数以上受信されると(S203でYES)、経路作成要求処理部124は、最終の観測エリアA3に属する各観測ノードNsからの「経路作成要求」の受信を待機する(S204)。経路作成要求処理部124は、「経路作成要求」が受信されるたびに、当該「経路作成要求」に指定されている無線チャネル番号と、所属ノード番号とを対応づけて、無線グループ情報記憶部141に記憶する。
図12は、無線グループ情報記憶部の構成例を示す図である。図12において、無線グループ情報記憶部141は、無線チャネル番号ごとに、所属ノード番号を記憶する。所属ノード番号は、当該無線チャネル番号が割り当てられた観測ノードNsのノード番号の一覧である。無線グループ情報記憶部141により、集約ノードN0は、各無線チャネルグループに所属する観測ノードNsを特定することができる。
使用する無線チャネル数分の「経路作成要求」が受信されると(S204でYES)、ch変更通知送信部123は、使用する無線チャネルのうちの一つの無線チャネル番号を指定して、「ch変更通知」を全観測ノードNsに対して送信する(S205)。続いて、経路作成部125は、当該無線チャネル番号に係る無線チャネルにおいて、集約ノードN0から各観測ノードNsへの経路の作成を制御する(S206)。すなわち、ステップS206における通信は、当該無線チャネルを使用して行われる。また、経路の作成には、ADOV等の公知のプロトコルが使用されてもよい。当該無線チャネルに関して各観測ノードNsとの経路の作成が完了すると(S207でYES)、経路作成部125は、使用する全ての無線チャネルに関して経路の作成が終了したか否かを判定する(S208)。未だ経路が作成されていない無線チャネルが有る場合(S208でNO)、当該無線チャネルに関してステップS205以降が実行される。全ての無線チャネルに関して経路が作成されると(S209でYES)、集約ノードN0は、水位観測処理を実行する(S210)。水位観測処理の詳細については、後述される。
図13及び図14は、経路作成時に各観測ノードが実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップS301において、観測ノードNsは、電文の受信を待機する。「接続要求」が受信されると(S302でYES)、接続要求処理部201は、「接続要求」に指定されている無線チャネル番号ごとに、集約ノードN0の識別情報に対応付けて、コスト値「0」を接続チャネル情報記憶部231に記憶する。続いて、接続応答送信部202は、「接続応答」を送信する(S303)。
一方、「エリア間接続要求」が受信された場合(S302でNOの場合でS304でYES)、接続要求処理部201は、無線チャネル番号ごとに「エリア間接続要求」に指定されているエリア番号及びコスト値を接続チャネル情報記憶部231に記憶する。
なお、「接続要求」又は「エリア間接続要求」の受信に応じた接続チャネル情報記憶部231への情報の記憶は、「接続要求」又は「エリア間接続要求」が受信されるたびに実行される。したがって、図3〜図6に示される「接続要求」又は「エリア間接続要求」が送受信された場合、各観測エリアAの各観測ノードNsには、図15に示されるような情報が、接続チャネル情報記憶部231に記憶される。
図15は、接続チャネル情報記憶部の構成例を示す図である。図15において、(1)は、観測エリアA1における観測ノードNs1〜Ns3の接続チャネル情報記憶部231の記憶内容をまとめて示したものである。第1行目の各列は、各観測ノードNsのノード番号を示す。第1列目の各行は、無線チャネル番号を示す。例えば、チャネル番号1は、「ch1」として表現されている。なお、図15において、集約ノードN0の識別情報は、「エリア0」として表現されている。
観測ノードNs1〜Ns3のそれぞれは、無線チャネル番号1〜3が指定された「接続要求」を集約ノードN0より受信している(図3:S101参照)。したがって、観測ノードNs1〜Ns3においては、無線チャネル番号1〜3のそれぞれに関して、集約ノードN0(エリア0)からコスト0で接続可能であることを示す情報(エリア0:コスト0)が記憶される。なお、各観測ノードNsの接続チャネル情報記憶部231に記憶される情報は、1列分である。例えば、観測ノードNs1の接続チャネル情報記憶部231記憶する情報は、ノード番号が「1」の列に係る情報である。
(2)は、観測エリアA2における観測ノードNs4〜Ns6の接続チャネル情報記憶部231の記憶内容をまとめて示したものである。観測ノードNs4は、集約ノードN0からの「接続要求」を受信している(図3:S101参照)。したがって、観測ノードNs4においては、ch1〜ch3のそれぞれに関して、集約ノードN0(エリア0)からコスト0で接続可能であることを示す情報(エリア0:コスト0)が記憶される。また、観測ノードNs4及びNs5は、観測エリアA1の全観測ノードNsからの「エリア間接続要求」を受信している(図3:S111、S112、図4:S113参照)。したがって、観測ノードNs4及びNs5においては、ch1〜ch3のそれぞれに関して、観測エリアA1(エリア1)からコスト1で接続可能であることを示す情報(エリア1:コスト1)が記憶される。なお、「観測エリアA1からコスト1で接続可能」とは、観測エリアA1経由で、コスト1で集約ノードN0と接続可能であることを意味する。
観測ノードNs6は、観測エリアA1の観測ノードNs2及びNs3からの、無線チャネル番号2又は3が指定された「エリア間接続要求」を受信している(図3:S112、図4:S113参照)。したがって、観測ノードNs6においては、ch2及びch3のそれぞれに関して、観測エリアA1(エリア1)からコスト1で接続可能であることを示す情報(エリア1:コスト1)が記憶される。
(3)は、観測エリアA3における観測ノードNs7〜Ns9の接続チャネル情報記憶部231の記憶内容をまとめて示したものである。観測ノードNs7〜Ns9は、観測エリアA1の観測ノードNs3からの、無線チャネル番号3が指定された「エリア間接続要求」を受信している(図4:S113参照)。したがって、観測ノードNs7〜Ns9においては、ch3に関して、観測エリアA1(エリア1)からコスト1で接続可能であることを示す情報(エリア1:コスト1)が記憶される。また、観測ノードNs7及びNs8は、観測エリアA2の観測ノードNs4からの、無線チャネル番号1及びコスト1が指定された「エリア間接続要求」を受信している(図4:S118参照)。したがって、観測ノードNs7及びNs8においては、ch1に関して、観測エリアA2(エリア2)からコスト1で接続可能であることを示す情報(エリア2:コスト1)が記憶される。また、観測ノードNs7〜Ns9は、観測エリアA2の観測ノードNs5からの、無線チャネル番号2及びコスト2が指定された「エリア間接続要求」を受信している(図4:S119参照)。したがって、観測ノードNs7〜Ns9においては、ch2に関して、観測エリアA2(エリア2)からコスト2で接続可能であることを示す情報(エリア2:コスト2)が記憶される。更に、観測ノードNs7及びNs8は、観測エリアA2の観測ノードNs6からの、無線チャネル番号3及びコスト2が指定された「エリア間接続要求」を受信している(図4:S120参照)。したがって、観測ノードNs7及び8においては、ch2に関して、観測エリアA2(エリア2)からコスト2で接続可能であることを示す情報(エリア2:コスト2)が記憶される。
ステップS303又はステップS304でYESの場合に続いて、ch調停要求送信部203は、「ch調停要求」を送信する(S305)。「ch調停要求」には、自ノードが属するエリア番号と、プライオリティ情報と、「ch調停要求」が送信される時点において、自ノードの接続チャネル情報記憶部231が記憶する情報とが指定される。
続いて、ch調停要求処理部204は、一定時間待機し、自ノードと同一観測エリアAに属する全他ノードから「ch調停要求」を受信したか否かを判定する(S306)。同一観測エリアAに属する一以上の他ノードから「ch調停要求」が受信されていない場合(S306でNO)、ステップS304以降が繰り返される。同一観測エリアAに属する全他ノードから「ch調停要求」が受信された場合(S306でYES)、ステップS307に進む。
なお、ch調停要求処理部204は、自ノードが属する観測エリアAのエリア番号と同一のエリア番号が指定された「ch調停要求」が受信されるたびに、当該「ch調停要求」に指定された情報を、接続チャネル情報記憶部231に記憶する。その結果、例えば、自ノードが観測エリアA1に属する場合、自ノードの接続チャネル情報記憶部231の記憶内容は、図15(1)に示されるようになる。すなわち、それまで他ノードの接続チャネル情報記憶部231に記憶されていた情報が、自ノードの接続チャネル情報記憶部231にも記憶される。同様に、自ノードが観測エリアA2に属する場合、自ノードの接続チャネル情報記憶部231の記憶内容は、図15(2)に示されるようになる。同様に、自ノードが観測エリアA3に属する場合、自ノードの接続チャネル情報記憶部231の記憶内容は、図15(3)に示されるようになる。
ステップS307において、ch調停部205は、自ノードのプライオリティ情報であるノード番号と、他ノードからの「ch調停要求」に指定されていたプライオリティ情報であるノード番号とを比較する。すなわち、自ノードと他ノードとの優先度が比較される。自ノードの優先度が最高である場合(S307でYES)、ch調停部205は、無線チャネル番号の割り当て処理を実行する(S308)。無線チャネル番号の割り当て処理において、自ノード及び同一の観測エリアAに属する全ての他ノードに対して、無線チャネル番号が割り当てられる。また、自ノードに対して割り当てられた無線チャネル番号は、例えば、不揮発性RAM103に記憶される。なお、無線チャネル番号の割り当て処理の詳細については、後述される。また、上記したように、各観測ノードNsのch調停部205が、自ノードに対する無線チャネル番号を判定してもよい。
続いて、ch調停応答送信部207は、無線チャネル番号の割り当て結果が指定された「ch調停応答」を送信する(S309)。「ch調停応答」の送信後、同一観測エリアA内の他ノードからの「ch調停要求」が受信されると(S311でYES)、ステップS307以降が繰り返される。例えば、「ch調停応答」を受信した他ノードにおいて、当該「ch調停応答」に指定された無線チャネル番号では、他の観測エリアAと通信不能な場合は、当該他ノードから「ch調停要求」が送信される。
同一観測エリアA内の他ノードからの「ch調停要求」が受信されない場合(S311でNO)、ch調停部205は、一定時間待機する(S312)。一定時間の待機時間の累積値が、予め設定された待ち時間を経過していない場合(S313でNO)、ステップS309以降が繰り返される。一定時間の待機時間の累積値が、予め設定された待ち時間を経過すると(S313でYES)、図14のステップS316に進む。
一方、ステップS307において、自ノードの優先度が最高ではない場合(S307でYES)、ch調停応答処理部207は、同一観測エリアA内の他ノードからの「ch調停応答」の受信を待機する(S314)。「ch調停応答」が受信されると(S314でYES)、ch調停要求処理部204は、当該「ch調停応答」において自ノードに割り当てられた無線チャネル番号が、他の観測エリアAから受信された「エリア間接接続要求」に指定されているか否かを判定する(S315)。当該判定は、接続チャネル情報記憶部231において、自ノードのノード番号と当該無線チャネル番号との組み合わせに対して、いずれかのエリア番号及びコスト値を示す情報が記憶されているか否かに基づいて行うことができる。なお、当該判定は、「ch調停応答」において割り当てられた無線チャネル番号に係る無線チャネルによって、自ノードが、他の観測エリアAと通信可能であるか否かの判定に相当する。
「ch調停応答」において自ノードに割り当てられた無線チャネル番号が、他の観測エリアAから受信された「エリア間接接続要求」に指定されていない場合(S315でNO)、ステップS304以降が繰り返される。すなわち、「ch調停要求」が再送信されることにより、無線チャネル番号の割り当てのやり直しが他ノードに対して要求される。
「ch調停応答」において自ノードに割り当てられた無線チャネル番号が、他の観測エリアAから受信された「エリア間接接続要求」に指定されている場合(S315でYES)、図14のステップS316に進む。なお、この場合、「ch調停応答」において自ノードに割り当てられた無線チャネル番号は、例えば、不揮発性RAM103に記憶される。
図14のステップS316において、経路作成要求送信部210は、自ノードが最終観測エリアに属するか否かを判定する。例えば、最終観測エリアの各観測ノードNsの不揮発性RAM103には、最終観測エリアに属することを示す情報が記憶されていてもよい。または、各観測ノードNsの不揮発性RAM103に、最終観測エリアのエリア番号が記憶されていてもよい。不揮発性RAM103に記憶されているこのような情報に基づいて、ステップS316の判定は実行可能である。
自ノードが最終観測エリアに属さない場合(S316でNO)、エリア間接続要求送信部208は、「エリア間接続要求」を送信する(S317)。続いて、経路作成要求転送部211は、最終観測エリアに属する観測ノードNsからの「経路作成要求」の受信を待機する(S318)。「経路作成要求」が受信されると(S318でYES)、経路作成要求転送部211は、「経路作成要求」に指定されているTTLから1を減算し、「経路作成要求」をブロードキャストで転送する(S319)。続いて、ステップS321に進む。
一方、自ノードが最終観測エリアに属する場合(S316でYES)、経路作成要求送信部210は、「経路作成要求」を送信する(S320)。続いて、ステップS321に進む。
ステップS321において、ch変更処理部212は、集約ノードN0からの「ch変更通知」の受信を待機する。「ch変更通信」が受信されると、ch変更処理部212は、「ch変更通知」に指定されているTTLから1を減算し、「ch調停要求」をブロードキャストで転送する(S322)。続いて、ch変更処理部212は、通信に使用する無線チャネルを、「ch変更通知」に指定されている無線チャネル番号に係る無線チャネルに変更する(S323)。したがって、次に、ステップS323が実行されるまでは、当該無線チャネルを使用して通信が行われる。
続いて、経路選択部213は、「ch変更通知」に指定された無線チャネル番号が、自ノードに割り当てられた無線チャネル番号であるか否かを判定する(S324)。「ch変更通知」に指定された無線チャネル番号が、自ノードに割り当てられた無線チャネル番号である場合(S324でYES)、経路選択部213は、ルート検索パケットを、転送するように自ノードに設定する(S325)。一方、「ch変更通知」に指定された無線チャネル番号が、自ノードに割り当てられた無線チャネル番号でない場合(S324でNO)、経路選択部213は、ルート検索パケットを、転送しないように自ノードに設定する(S326)。
ステップS325又はS326における自ノードへの設定は、例えば、フラグ情報をRAM102に記憶することにより行われてもよい。
続いて、経路選択部213は、ADOV等の公知のプロトコルを利用して、経路選択を実行する(S327)。この際、ステップS325又はS326における設定に応じて、ルート検索パケットの取り扱いを変化させる。
ステップS321からS327は、使用する全ての無線チャネル番号に関して実行される(S328)。
続いて、観測ノードNsは、水位観測処理を実行する(S329)。水位観測処理の詳細については後述される。
続いて、図13のステップS308の詳細について説明する。図16は、無線チャネル番号の割り当て処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップS401において、ch調停部205は、接続チャネル情報記憶部231を参照して、接続可能な観測ノードNsが、一つのみである無線チャネル番号の有無を判定する。ここでは、説明の便宜上、自ノードは、観測ノードNs7であるとし、接続チャネル情報記憶部231の記憶内容は、図17に示される状態であるとする。
図17は、無線チャネル番号の割り当て処理の説明のための接続チャネル情報記憶部の記憶内容の例を示す図である。
図17において、ch1は、観測ノードNs7のみが接続可能である。したがって、ステップS402に進み、ch調停部205は、観測ノードNs7に、ch1を割り当てる。
続いて、ch調停部205は、ch1が割り当てられた観測ノードNs7の列に記憶されている情報と、ch1の行に記憶されている情報とを、以降の図16における処理対象から除外する。続いて、ch調停部205は、同一観測エリアAに属する全観測ノードNsに対する無線チャネル番号の割り当ては完了したか否かを判定する(S408)。当該判定は、接続チャネル情報記憶部231に記憶されている全情報が、処理対象から除外されたか否かに基づいて行うことができる。
ここでは、観測ノードNs8及びNs9に関して無線チャネル番号が割り当てられていないため(S408でNO)、ステップS401に戻る。
ステップS401において、ch調停部205は、ch2及びch3の中で、接続可能な観測ノードNsが、一つのみである無線チャネル番号の有無を判定する。ここでは、該当する無線チャネル番号は無い(S401でNO)。そこで、ch調停部205は、無線チャネル番号が割り当てられていない観測ノードNsの中で、優先度が最高の観測ノードNsを選出する(S403)。ここでは、ノード番号が最小である観測ノードNs8が選出される。
続いて、ch調停部205は、観測ノードNs8に関して、最小のコスト値が記録されているのは、一つの無線チャネル番号に対してのみであるか否かを判定する(S404)。図17において、観測ノードNs8に関しては、最小のコスト1が記録されているのはch2に対してのみである(S404でYES)。したがって、ch調停部205は、コスト1が記録されているch2を、観測ノードNs8に対して割り当てる(S405)。
続いて、ch調停部205は、ch2が割り当てられた観測ノードNs8の列に記憶されている情報と、ch2の行に記憶されている情報とを、以降の処理対象より除外する(S407)。続いて、観測ノードNs9に関して無線チャネル番号が割り当てられていないため(S408でNO)、ステップS401に戻る。
ステップS401において、ch調停部205は、接続可能な観測ノードNsが、一つのみである無線チャネル番号の有無を判定する。ここでは、ch3及び観測ノードNs9の組しか残っていないため、ステップS402に進む。ステップS402において、ch調停部205は、観測ノードNs9に対してch3を割り当てる。
以上で同一観測エリアAにおける全観測ノードNsに対して無線チャネル番号の割り当てが完了したため(S408でYES)、図16の処理は終了する。
なお、ステップS404において、仮に、ch3に対してもコスト1が記録されていた場合(S404でNO)、ch調停部205は、観測ノードNs8に対して、コスト1が記録されている無線チャネル番号のうち、最小の無線チャネル番号を、観測ノードNs8に対して割り当てる(S406)。したがって、ch2及びch3のうち、値が小さい方のch2が観測ノードNs8に対して割り当てられる。
続いて、図11のステップS209の詳細について説明する。図18は、集約ノードが実行する水位観測処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
観測データ要求部126は、収集周期に基づく観測データの収集時刻の到来を検知すると(S501でYES)、観測データの収集に使用する無線チャネルを、最初に観測データの収集対象となる無線チャネルグループの無線チャネル番号に設定する(S502)。収集時刻は、後述されるように、前回の収集時刻において設定される。
続いて、集約ノードN0は、当該無線チャネルグループに属する全観測ノードNsから観測データを収集する(S503)。具体的には、観測データ要求部126は、当該無線チャネルグループに属する各観測ノードNsに対して、順番に「観測データ要求」をユニキャストで送信する。観測データ応答処理部127は、「観測データ要求」に対する観測ノードNsからの応答を受信し、当該応答に含まれている観測データを、例えば、RAM102に記憶する。すなわち、当該無線チャネルグループに属する各観測ノードNsに対して、順番にポーリングが行われる。当該無線チャネルグループに属する各観測ノードNsは、無線グループ情報記憶部141を参照して特定することができる。
ステップS502及びS503は、全ての無線チャネルグループに対して、順番に実行される(S504)。全ての無線チャネルグループからの観測データの収集が完了すると(S504でYES)、観測データ応答処理部127は、収集された全観測データに関して、警戒水位の閾値の超過の有無を判定する(S505)。全観測データが示す水位が閾値以下である場合(S505でNO)、観測データ応答処理部127は、収集周期を通常周期とすることを周期情報記憶部143に設定する(S506)。通常周期は、例えば、10分間隔である。一方、少なくとも一つの観測データが示す水位が閾値を超える場合(S505でYES)、観測データ応答処理部127は、収集周期を短周期とすることを周期情報記憶部143に設定する(S507)。短周期は、例えば、1分間隔である。
続いて、観測データ応答処理部127は、収集周期切替送信設定をOFFにするにする(S508)。収集周期切替送信設定とは、後述される観測起動時刻が到来した際において、観測ノードNsに対して、「収集周期切替」を送信すべきか否かを示す設定をいう。収集周期切替送信設定がOFFである場合、当該電文を送信する必要はないことを意味する。
続いて、スリープ命令送信部128は、「スリープ命令」の送信に使用する無線チャネルを、最初に送信対象の無線チャネルグループの無線チャネル番号に設定する(S509)。続いて、スリープ命令送信部128は、当該無線チャネルグループに属する全観測ノードNsに対し、ユニキャストで順番に「スリープ命令」を送信する(S510)。「スリープ命令」には、次回の収集時刻を特定可能な情報が指定される。例えば、収集周期が通常周期であるか又は短周期であるかを示す情報が「スリープ命令」に指定される。または、通常周期又は短周期に基づいて定まる、次回の収集時刻が「スリープ命令」指定されてもよい。
ステップS509及びS510は、全ての無線チャネルグループに対して、順番に実行される(S511)。全ての無線チャネルグループに関して「スリープ命令」の送信が完了すると(S511でYES)、処理時刻設定部131は、次の処理時刻は、収集時刻であるか観測起動時刻であるかを判定する(S512)。収集時刻及び観測起動時刻は、収集周期又は各無線チャネルグループの観測起動周期に基づいて特定することができる。
次の処理時刻が収集時刻である場合(S512でYES)、処理時刻設定部131は、収集周期は通常周期であるか否かを周期情報記憶部143を参照して判定する(S513)。収集周期が通常周期である場合(S513でYES)、処理時刻設定部131は、最後の収集時刻に通常周期を加算して、次の収集時刻を算出する(S514)。収集周期が短周期である場合(S513でNO)、処理時刻設定部131は、最後の収集時刻に短周期を加算して、次の収集時刻を算出する(S515)。ステップS514又はS515において算出された収集時刻は、例えば、RAM102に記憶される。
ステップS512において、次の処理時刻が、いずれかの無線チャネルグループの観測起動時刻であると判定された場合(S512でNO)、処理時刻設定部131は、当該無線チャネルグループの最後の観測起動時刻に観測起動周期を加算して、次の観測起動時刻を算出する。処理時刻設定部131は、算出された観測起動時刻を、例えば、RAM102に記憶する(S516)。
一方、水位超過通知処理部129は、ステップS516において、或る無線チャネルグループに関して設定された観測起動時刻の到来を検知すると(S521でYES)、当該無線チャネルグループの無線チャネル番号に係る無線チャネルを、使用する無線チャネルとして設定する(S522)。
続いて、水位超過通知処理部129は、収集周期切替送信設定はONであるか否かを判定する(S523)。収集周期切替送信設定がOFFである場合(S523でNO)、水位超過通知処理部129は、「水位超過通知」の受信待ち時間の間に(S526)、「水位超過通知」が受信されれば(S524でYES)、収集周期切替送信設定をONにする(S525)。
「水位超過通知」の受信待ち時間の経過後(S526でYES)、収集周期切替送信設定がONである場合(S527でYES)、収集周期切替通知部130は、「収集周期切替」を現在の無線チャネルグループの全観測ノードNsに対して、順番にユニキャストで送信する(S528)。「収集周期切替」の送信には、ステップS522において設定された無線チャネルが使用される。
一方、ステップS523において収集周期切替送信設定がONである場合(S523でYES)、ステップS528が直ちに実行される。この場合、他の無線チャネルグループにおいて、水位超過が観測されため、現在の無線チャネルグループに対しても、収集周期が短周期になることを通知するためである。
ステップS528に続いて、ステップS512以降が実行される。
続いて、図14のステップS329の詳細について説明する。図19は、各観測ノードが実行する水位観測処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
観測ノードNsは起動時刻になると(S601)、スリープ状態から起動状態となる。起動時刻は、収集周期に基づいて定まる観測時刻、又は観測起動周期に基づいて定まる観測起動時刻のいずれかである。
現在時刻が収集時刻である場合(S602でYES)、観測データ応答部215は、自ノードが属する無線チャネルグループの無線チャネル番号に係る無線チャネルを、使用する無線チャネルとして設定する(S603)。続いて、水位観測部214は、水位の観測を実行する(S604)。収集時刻における水位観測は、観測起動時刻における水位観測よりも、長い時間行われてもよい。例えば、20秒〜60秒程度観測され、平滑化処理が行われてもよい。続いて、観測データ応答部215は、ステップS603において設定した無線チャネルを使用して、集約ノードN0からの「観測データ要求」の受信を待機する(S605)。「観測データ要求」が受信されると(S605でYES)、観測データ応答部215は、ステップS604における観測結果を示す観測データを含む応答を、集約ノードN0に返信する(S606)。
続いて、スリープ命令処理部216は、「スリープ命令」の受信を待機する(S607)。待ち時間分待機しても、「スリープ命令」が受信されない場合(S608でYES)、当該観測ノードNsは、スリープせずに、ステップS601に戻る。
「スリープ命令」が受信された場合(S607でYES)、起動時刻設定部219は、「スリープ命令」に指定されている収集周期は通常周期であるか否かを判定する(S609)。「スリープ命令」に指定されている収集周期が通常周期である場合(S609でYES)、起動時刻設定部219は、次の起動時刻は、収集時刻であるか観測起動時刻であるかを判定する(S610)。収集時刻及び観測起動時刻は、収集周期又は自ノードが属する無線チャネルグループの観測起動周期に基づいて特定することができる。
次の起動時刻が収集時刻である場合(S610でYES)、起動時刻設定部219は、次の収集時刻を次の起動時刻として設定する(S611)。次の起動時刻が観測起動時刻である場合(S610でNO)、起動時刻設定部219は、自ノードが属する無線チャネルグループの次の観測起動時刻を次の起動時刻として設定する(S612)。
ステップS609において、「スリープ命令」に指定されている収集周期が短周期である場合(S609でNO)、起動時刻設定部219は、最後の収集時刻に短周期を加算して、次の収集時刻を算出する。起動時刻設定部219は、算出された収集時刻を次の起動時刻として設定する(S613)。
ステップS611、S612、又はS613の実行後、当該観測ノードNsは、スリープ状態となる。
一方、起動時刻が、収集時刻でない場合(S602でNO)、水位観測部214は、水位の観測を実行する(S614)。例えば、3秒間程度の短期間の観測が行われる。続いて、水位観測部214は、観測水位が警戒水位の閾値を超過しているか否かを判定する(S615)。観測水位が閾値以下である場合(S615でNO)、ステップS609以降が実行される。
観測水位が閾値を超えている場合(S615でYES)、水位超過通知部217は、「水位超過通知」を、ステップS603において設定された無線チャネルを使用して、ユニキャストで集約ノードN0に送信する(S616)。続いて、収集周期切替処理部218は、「収集周期切替」の受信を待機する(S617)。「収集周期切替」が受信されると(S617でYES)、ステップS609以降が実行される。この際、ステップS609では、収集周期は短周期であると判定される。
このように、本実施の形態の水位の観測方法によれば、各観測ノードNsは、無線チャネルグループという概念で、複数の観測エリアAを跨いでグループ化され、無線チャネルグループ単位でラウンドロビン式に水位観測を行う。したがって、同一の観測エリアA内では、常に水位観測を実施することができる。その結果、警戒水位の超過の検出のリアルタイム性を確保することができる。すなわち、観測水位が閾値を超えたことを即座に検知することができ、例えば、収集周期を即座に短周期に切り替えて、観測頻度を高めることができる。
「収集周期切替」が、待ち時間を経過しても受信されない場合(S618でYES)、現在の無線チャネルの経路上において障害が発生した可能性がある。そこで、グループ切替部220は、自ノードが使用する無線チャネル番号を、無線チャネル番号順で次の無線チャネルグループの無線チャネル番号に変更する(S619)。続いて、グループ切替部220は、次の無線チャネルグループの観測起動時刻を、自ノードの起動時刻として設定する(S620)。無線チャネルグループごとの観測起動周期のずれは、予め各観測ノードNsに設定されていればよい。当該ずれに基づいて、次の無線チャネルグループの観測起動時刻を算出することができる。ステップS620の実行後、当該観測ノードNsは、スリープ状態となる。次回、当該観測ノードNsが起動する際は、当該観測ノードNsは、次の無線チャネルグループの観測ノードNsと同期して起動する。したがって、当該観測ノードNsは、次の無線チャネルグループの無線チャネルの経路(すなわち、迂回路)を利用して、集約ノードN0と通信を行うことができるようになる。
上述したように、本実施の形態の通信経路の作成方法によれば、観測エリアAごとに、各観測ノードNsに対して無線チャネル番号が割り当てられる。その後、集約ノードN0と各観測ノードNsとが同期して無線チャネル番号ごとに無線チャネルを切り替えて、集約ノードN0と当該無線チャネル番号が割り当てられた観測ノードNsとの間の経路が作成される。その結果、無線チャネルグループごとに、経路が分散される。したがって、特定の観測ノードNsに経路が集中するのを回避することができる。
また、経路の作成に係る無線チャネルの無線チャネル番号が割り当てられていない観測ノードNsは、当該経路の終端ノードとして、当該経路を構成する。終端ノードであるから、当該観測ノードNsに、経路が集中する可能性は低い。また、自ノードに割り当てられていない無線チャネル番号に係る経路を構成することで、通信障害時の経路の再構成の必要性が低減される。その結果、各観測ノードNsは、迂回路を迅速に確保することができる。また、迂回用の観測ノードNsが予め設置される必要性を低減することができる。
更に、各観測ノードNsは、同一観測エリアA内の全ての観測ノードNsに対する無線チャネル番号の割り当てが完了すると、自ノードに割り当てられた無線チャネル番号が指定された「エリア間接続要求」を送信する。以降の観測エリアAにおける各観測ノードNsには、自ノードが受信した「エリア間接続要求」に指定された無線チャネル番号の中のいずれかの無線チャネル番号が割り当てられる。したがって、実際に通信可能である可能性の高い無線チャネル番号を、各観測ノードNsに動的に割り当てることができる。
このように、自動的に各観測ノードNsの無線チャネル番号が選択されることにより、水位観測システム1の設計者等による、各観測ノードNsへの無線チャネル番号の割り当ての設計の必要性を低減させることができる。
より詳しくは、予め設計によって各観測ノードNsの無線チャネル番号を定める場合、実際の観測ノードNs間の受信電界強度が、周囲の環境の影響によって設計時に想定した値よりも弱いといった事態が発生しうる。この場合、問題となっている観測ノードNsの設置位置(観測位置)を変更したり、当該観測ノードNsが使用する無線チャネルを同一観測エリアA内の他の観測ノードと交換したりして、受信電界強度のいい観測ノードNs経由で通信を行えるように設計変更する必要がある。本実施の形態によれば、このような煩雑な作業が発生する可能性を低減させることができる。
また、各観測ノードNsは、自ノードに割り当てられていない無線チャネル番号に係る経路においては、終端ノードであるため、当該無線チャネル番号に係る無線チャネルによって通信が行われる際は、スリープ状態となっても、当該無線チャネル番号が割り当てられた他の観測ノードNsの通信に影響を与える可能性は低い。換言すれば、各観測ノードNsは、自ノードに割り当てられていない無線チャネル番号に係る無線チャネルによって通信が行われている期間は、スリープ状態となることができる。したがって、消費電力を削減することができる。
また、本実施の形態の水位の観測方法によれば、各観測ノードNsは、無線チャネルグループという概念で、複数の観測エリアAを跨いでグループ化され、無線チャネルグループ単位でラウンドロビン式に水位観測を行う。したがって、同一の観測エリアA内では、常に水位観測を実施することができる。その結果、警戒水位の超過の検出のリアルタイム性を確保することができる。
また、無線チャネルグループ単位でラウンドロビン式に水位観測が行われるため、各観測ノードNsについて、スリープ時間を確保することができる。したがって、観測ノードNsによる消費電力の削減を期待することができる。
このように、観測のリアルタイム性と省電力化といった、相反する課題を、解決することができる。
すなわち、仮に、全観測ノードNsが同じタイミングで、かつ、同じ周期でスリープ及び起動を繰り返した場合、当該周期を短くすれば、消費電力が増加し、当該周期を長くすれば、水位観測のリアルタイム性が劣化する。本実施の形態では、このような課題を同時に解決することができる。
また、警戒水位の超過が検出された場合、収集周期は短周期に切り替えられる。警戒が必要な状態において、観測流域の最新の情報を早期に収集することができる。
なお、本実施の形態において説明した方法によって作成された経路を利用した通信方法の用途は、水位の観測データの通信に限定されない。例えば、他の観測情報の通信に利用されてもよいし、スマートグリッド又はスマートメータ等の通信に利用されてもよい。
なお、本実施の形態において、観測ノードNsは、第一の通信装置の一例である。集約ノードN0は、第二の通信装置の一例である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
地理的に分割されたエリアごとに複数配置される第一の通信装置と、前記各第一の通信装置と無線通信を行う第二の通信装置とを含む通信システムにおける経路作成方法であって、
前記エリアごとに、当該エリアに属する前記各第一の通信装置が、エリア内で無線チャネル番号が重複しないように、又はエリア内で各無線チャネル番号が少なくとも一つの前記第一の通信装置に割り当てられるように、複数の無線チャネル番号のうちのいずれか一つを当該エリアに属する前記各第一の通信装置へ割り当て、
前記第二の通信装置及び前記各第一の通信装置が同期して前記無線チャネル番号ごとに使用する無線チャネルを順番に切り替えて、前記第二の通信装置と、切り替え先の無線チャネル番号が割り当てられた前記各第一の通信装置との間の経路を作成する処理を実行する経路作成方法。
(付記2)
前記経路を作成する処理において、前記切り替え先の無線チャネル番号が割り当てられていない前記第一の通信装置は、当該無線チャネル番号に係る無線チャネルの経路を使用した前記第二の通信装置からの電文は受信し、当該経路を使用した、前記第二の通信装置から他の前記第一の通信装置への電文の転送は行わないように経路を設定する付記1記載の経路作成方法。
(付記3)
前記各第一の通信装置は、当該第一の通信装置に割り当てられた無線チャネル番号に係る無線チャネルを使用して前記第二の通信装置との通信が出来ない場合は、当該無線チャネル番号とは異なる無線チャネル番号に係る無線チャネルを使用して、前記第二の通信装置との通信を行う付記2記載の経路作成方法。
(付記4)
同一の無線チャネル番号が割り当てられた前記第一の通信装置群は、同期して、かつ、他の無線チャネル番号が割り当てられた前記第一の通信装置群に対してずれを有する周期で、通信不能な省電力状態への移行と前記省電力状態からの復帰とを繰り返す付記1乃至3いずれか一項記載の経路作成方法。
(付記5)
前記各第一の通信装置は、省電力状態から復帰している状態において、観測対象の状態を観測し、
前記第二の通信装置は、第一の周期で前記各第一の通信装置による観測結果を前記各第一の通信装置より収集し、
前記第二の通信装置は、前記観測結果に基づいて前記観測対象が所定の状態であることを検出した場合は、前記第一の周期を短くする付記4記載の経路作成方法。
(付記6)
前記割り当てる処理は、
前記エリアごとに順番に、前記各第一の通信装置へ無線チャネル番号を割り当て、
前記各第一の通信装置は、当該第一の通信装置が属するエリア内の全ての前記第一の通信装置への無線チャネル番号の割り当ての完了に応じ、当該第一の通信装置に割り当てられた無線チャネル番号が指定された電文を送信し、
他のエリアよりも後に前記各第一の通信装置への無線チャネル番号の割り当てが実行されるエリアに属する前記各第一の通信装置には、前記他のエリアに属する前記第一の通信装置から送信された前記電文のうち、当該第一の通信装置が受信した前記電文に指定されているいずれかの無線チャネル番号が割り当てられる付記1乃至5いずれか一項記載の経路作成方法。
(付記7)
地理的に分割されたエリアごとに複数配置される第一の通信装置と、前記各第一の通信装置と無線通信を行う第二の通信装置とを含む通信システムであって、
前記エリアごとに、当該エリアに属する前記各第一の通信装置が、エリア内で無線チャネル番号が重複しないように、又はエリア内で各無線チャネル番号が少なくとも一つの前記第一の通信装置に割り当てられるように、複数の無線チャネル番号のうちのいずれか一つを当該エリアに属する前記各第一の通信装置へ割り当て、
前記第二の通信装置及び前記各第一の通信装置が同期して前記無線チャネル番号ごとに使用する無線チャネルを順番に切り替えて、前記第二の通信装置と、切り替え先の無線チャネル番号が割り当てられた前記各第一の通信装置との間の経路を作成する通信システム(4)。
(付記8)
前記切り替え先の無線チャネル番号が割り当てられていない前記第一の通信装置は、当該無線チャネル番号に係る無線チャネルの経路を使用した前記第二の通信装置からの電文は受信し、当該経路を使用した、前記第二の通信装置から他の前記第一の通信装置への電文の転送は行わないように経路を設定する付記7記載の通信システム。
(付記9)
前記各第一の通信装置は、当該第一の通信装置に割り当てられた無線チャネル番号に係る無線チャネルを使用して前記第二の通信装置との通信が出来ない場合は、当該無線チャネル番号とは異なる無線チャネル番号に係る無線チャネルを使用して、前記第二の通信装置との通信を行う付記8記載の通信システム。
(付記10)
同一の無線チャネル番号が割り当てられた前記第一の通信装置群は、同期して、かつ、他の無線チャネル番号が割り当てられた前記第一の通信装置群に対してずれを有する周期で、通信不能な省電力状態への移行と前記省電力状態からの復帰とを繰り返す付記7乃至9いずれか一項記載の通信システム。
(付記11)
前記各第一の通信装置は、省電力状態から復帰している状態において、観測対象の状態を観測し、
前記第二の通信装置は、第一の周期で前記各第一の通信装置による観測結果を前記各第一の通信装置より収集し、
前記第二の通信装置は、前記観測結果に基づいて前記観測対象が所定の状態であることを検出した場合は、前記第一の周期を短くする付記10記載の通信システム。
(付記12)
前記エリアごとに順番に、前記各第一の通信装置へ無線チャネル番号を割り当て、
前記各第一の通信装置は、当該第一の通信装置が属するエリア内の全ての前記第一の通信装置への無線チャネル番号の割り当ての完了に応じ、当該第一の通信装置に割り当てられた無線チャネル番号が指定された電文を送信し、
他のエリアよりも後に前記各第一の通信装置への無線チャネル番号の割り当てが実行されるエリアに属する前記各第一の通信装置には、前記他のエリアに属する前記第一の通信装置から送信された前記電文のうち、当該第一の通信装置が受信した前記電文に指定されているいずれかの無線チャネル番号が割り当てられる付記7乃至11いずれか一項記載の通信システム。