JP5833932B2 - 中空糸膜モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、各種水処理分野で使用する中空糸膜モジュールに関する。
中空糸型膜モジュールは、一般に流体の出入口を有したケーシング、キャップ、中空糸膜束、中空糸膜束を保護するネット及び中空糸膜束の端部を樹脂封止固定した樹脂封止部分から構成されているものが多い。
中空糸型膜モジュールにおける処理原液又は透過水の流出入は、例えば処理原液がケーシングの上端部又は下端部で樹脂封止固定された中空糸膜束から中空糸膜外側に濾過され、この濾過液はケーシングの側面に設けられた流体の出入口から流出入させるもののほか、中央部集水管に集められるもの(特許文献1〜3)等がある。
中央部集水管を備えた中空糸膜モジュールでは、集水管の周面に形成された通水孔を通って内部に透過水が流れ込むことになるが、そのときに通水孔に近接する位置にある中空糸膜が水圧を受けて扁平に変形したり、損傷したりするほか、通水孔を塞いだりするおそれもあり、改善の余地がある。
特開2010−51844号公報 特開2010−94570号公報 特開平11−267467号公報
本発明は、集水管を備えた中空糸膜モジュールであり、高い濾過能力を有しており、濾過運転時における中空糸膜の損傷等が抑制できる中空糸膜モジュールを提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、
ケースハウジング内に集水管と中空糸膜束が収容されており、前記集水管の周囲に前記中空糸膜束が配置され、少なくとも一端側の中空糸膜束が封止用樹脂で一体化された中空糸型膜モジュールであって、
前記集水管が、周面の凹部に通水孔を有するコルゲート管である、中空糸膜モジュールを提供する。
本発明の中空糸膜モジュールによれば、高い濾過能力を維持したまま、運転時における中空糸膜の損傷を抑制することができる。
本発明の中空糸膜モジュールの軸方向への部分断面図。 図1の部分拡大図(但し、保護ネット、ヘッダーは除いている)。 図1、2の中空糸膜モジュールで使用したコルゲート管の部分正面図。 (a)は図3のコルゲート管の軸方向への部分断面図であり、(b)は(a)とは構造の異なるコルゲート管の軸方向への部分断面図。
図1〜図4により本発明の中空糸型膜モジュールの一実施形態を説明する。
中空糸型膜モジュール10は、円筒状のケースハウジング11内に集水管12と中空糸膜(又は中空糸膜束)13が収容されている。
ケースハウジング11は、原水入口、透過水出口、濃縮水出口等を備えることができる。
ケースハウジング11の両端には、ヘッダー15が取り付けられている。このヘッダー15に対して、US2003/0150807公報の図1のような公知の中空糸型膜モジュールと同様の両端側に液出入口を有するキャップを被せることができる。
ケースハウジング11、集水管12、ヘッダー15は、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製や金属製のものを用いることができる。前記の合成樹脂を使用するときは、ケースハウジング11、集水管12、ヘッダー15の強度を高めたり光を遮断したりする目的で、充填剤や顔料等を含有することができるものであり、不透明なものである。
集水管12は、コルゲート管からなるものである。集水管(コルゲート管)12は各種分野において汎用されているものであり、図2及び図3に示すように、周方向に連続して形成された凹部21と周方向に連続して形成された凸部22が、それぞれ軸方向に交互に形成されたものである。
集水管(コルゲート管)12は、図3に示すように、周面の凹部21に通水孔25を有しているものである。
通水孔25は凹部21のみに形成され、凸部22には形成されていない。
通水孔21は、1つの凹部21に等間隔で3〜10個形成されていることが好ましく、4〜10個形成されていることがより好ましく、6〜8個形成されていることがさらに好ましい。
例えば、1つの凹部21に10個の通水孔25が形成され、凹部21が全体で100あれば、合計で1000個の通水孔25が形成されていることになる。
表面が平滑な集水管の場合、余りに多くの通水孔を形成すると、集水管自体の強度が低下して実用できなくなるが、集水管12としてコルゲート管を使用すると、凸部22が補強用のリブとして作用することから、表面が平滑な集水管と比べるより多くの通水孔を形成することができる。
通水孔25の開口部径は、集水管12の大きさにより調整することができるが、2〜10mmが好ましく、3〜8mmがより好ましく、4〜5mmがさらに好ましい。なお、通水孔25が円形の場合には前記開口部径は内径であり、円形以外の場合には同面積の円に換算したときの内径である。
上記したとおり、コルゲート管を使用することによって、表面が平滑な集水管と比べるとより多くの通水孔25を形成することができるため、通水孔25全体の総開口面積を大きくしたまま(あるいは従来と同程度に維持したまま)、開口部径を小さくすることができる。通水孔25の開口部径を小さくすることで、通水孔25から集水管12内に透過水が流入するときの水圧を減少させることができるため、通水孔25に近接する位置にある中空糸膜13への影響を小さくできるので好ましい。
通水孔25の総開口面積は、集水管12の半径方向断面積の3倍以上であることが好ましく、3〜6倍であることがより好ましい。なお、集水管12の半径方向断面積は、半径方向に正対する凹部同士間の断面積である。
前記断面積比が3以上であると、通水孔25から集水管12内に透過水が流入するときの水圧をより減少させることができるため好ましい。
集水管(コルゲート管)12の凹凸部の軸方向断面形状は、図4(a)、(b)に示すような台形状のものが好ましく、前記台形の角部分は中空糸膜13と接触した場合でも損傷させることがないように丸みを付けたものが好ましい。
図4(a)は、凸部22が閉塞面20で閉塞されたものであり、図4(b)は、閉塞面20に相当するものがなく、凸部22が開口したものであり、どちらの構造のものでも使用することができる。
軸方向に隣接する凸部22同士の間隔(p1)は、軸方向に隣接する凹部21同士の間隔と同じであるから、凹部21に形成する通水孔25の開口径を考慮して決定される。
凸部22の高さ(凹部21の深さ)(h1)は6〜8mm程度にすることができる。
中空糸膜束13の両端側は、それらの間に配置された不透明な樹脂製リング30と共に樹脂封止部35にて封止用樹脂で一体化されている。
樹脂製リング30の外周面30aと中空糸膜束13が封止用樹脂で固着されており、集水管12は樹脂と接していない。
なお、集水管12自体の長さをより長くして、樹脂製リング30の長さをより短くすることで、集水管12の端部と樹脂製リング30の両方が樹脂と接触するようにしてもよい。
樹脂製リング30と集水管12は、樹脂製リング30の下部にて外周面30aと外周面30bの間に形成された筒状溝31内に集水管12の端部が嵌め込まれた状態で封止樹脂を介して固着されている。
なお、樹脂製リング30の内側に形成された環状段差面30cは、図示していない透過水管の端部を差し込んだときに透過水管の開口部を当接支持するためのものである。
樹脂製リング30の開口部付近の内周壁は、透過水管と接続できるような内部構造(例えば、ねじ込むためのねじ山、嵌め込むための段差を有している)を形成することができる。
樹脂封止部35を形成するために用いる封止用樹脂としては、尿素樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、レソルシノール樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、ポリウレタン接着剤、ビニルウレタン接着剤を挙げることができ、これらの中でもポリウレタン接着剤が好ましい。
図1では、集水管12の周囲を覆った状態で保護ネット40が配置されている。
保護ネット40は、中空糸膜束13を包み込むようにして配置することもできる。
次に図1、図2に示す中空糸膜モジュールの運転方法を説明する。
中空糸膜モジュール10の運転時においては、中空糸膜13で濾過して得られた透過水は、集水管12の凹部21に形成されている通水孔25を通って集水管12内部に入る。
その後、集水管12の端部に接続された透過水ラインを経て排水されるか、又は透過水タンクに送られて貯水される。透過水タンクに貯水された透過水は中空糸膜13の逆圧洗浄等に再利用することができる。
本発明の中空糸膜モジュール10では、集水管12としてコルゲート管を使用していることから、凹部21に形成された通水孔25と中空糸膜13は凸部22の高さ分だけの間隔が存在している。
このため、公知の表面が平坦な集水管のように通水孔と中空糸膜が実質的に接触した状態にある場合と比べると、通水孔25から集水管12内部に透過水が流れ込むときの中空糸膜13に対する水圧(吸引圧)の影響が緩和される。
また、通水孔25の総開口面積を減少させることなく、1つの通水孔25の開口径も小さくできるので、より前記水圧(吸引圧)の影響を緩和する効果が大きくなる。
そして、通水孔25側に中空糸膜13が引き寄せられたとしても、凸部22の存在によって凹部21に形成された通水孔25が閉塞されることもない。
よって、本発明の中空糸膜モジュール10使用して濾過運転するときは、中空糸膜13が変形したり、損傷したりすることが防止されるほか、透過水が流れ込むときの抵抗も非常に小さくできるため、濾過能力も高いレベルで維持することができる。
実施例1及び比較例1
酢酸セルロース系樹脂からなる中空糸膜束(ダイセン・メンブレン・システムズ社製)13と両端部にABS製環状部材(樹脂リング30)を取り付けた、ポリエチレン製コルゲート管の集水管12(内径:75mm,長さ:935mm)を、ケースハウジング11(内径:270mm,長さ:1100mm)に収容した。
その後、ポリウレン接着剤(商品名コロネード4428と商品名ニッポラン4221の混合品,日本ポリウレタン社製)を用いて両端部を接着固定した(樹脂封止部35)。
封止された中空糸膜束13の端部をスライサー(自動トリミング装置,コムス社製)を用いて中空糸膜束13端部を開口させた。
中空糸膜モジュール端面中央に連結管(透過水出口)を取付け、キャップを組立て、ろ過流量測定装置に設置した。
処理水入口から所定の流量(7.5m3/h)を供給し、全量濾過過方式で運転して、運転開始から5分後の中空糸膜モジュールの透過流束を測定した。
なお、比較例1として、同寸法のパイプを使用したほかは同一の中空糸膜モジュールを製造し、同様に透過流束を測定した。
その結果、実施例1の中空糸膜モジュールは、比較例1の中空糸膜モジュールと比べて約10%の圧力損失が低減された。
運転終了後、実施例1の中空糸膜モジュールを解体し中央部の中空糸膜13、特にコルゲート管からなる集水管12付近をサンプリングし観察したところ、圧痕や座屈、切断等の損傷は認められなかった。
10 中空糸膜モジュール
11 ケースハウジング
12 集水管(コルゲート管)
13 中空糸膜(束)
21 凹部
22 凸部
25 通水孔

Claims (4)

  1. ケースハウジング内に集水管と中空糸膜束が収容されており、前記集水管の周囲に前記中空糸膜束が配置され、少なくとも一端側の中空糸膜束が封止用樹脂で一体化された中空糸型膜モジュールであって、
    前記集水管が、周面の凹部に等間隔で3〜10個の通水孔を有するコルゲート管であ
    前記通水孔の開口部径が2〜10mmであり、
    前記通水孔の総開口面積が、前記集水管の半径方向断面積の3倍以上である、中空糸膜モジュール。
  2. 前記集水管であるコルゲート管が、周面の凹部にのみ通水孔を有しているものである、請求項1記載の中空糸膜モジュール。
  3. 前記集水管であるコルゲート管が、凹凸部の軸方向断面形状が台形状のものである、請求項1または2記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記集水管と前記中空糸膜の間に保護ネットが介在されている、請求項1〜のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
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