以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態>
<パイロットコントローラ分離設置型減圧弁の全体構成>
図1に示すように、第1実施の形態における自力式調整弁としてのパイロットコントローラ分離設置型減圧弁1(以下、これを単に「分離型減圧弁」と呼ぶ。)は、上流側配管H1および下流側配管H2の間に配置されるものである。
この分離型減圧弁1は、上流側配管H1から一次側流路12aを介して供給される流体を二次側流路12bから下流側配管H2へ流出させる減圧弁本体2と、この減圧弁本体2の外周側面に分離設置された補助圧力供給用のパイロットコントローラ3とによって構成されている。
<減圧弁本体の構成>
図1および図2に示すように減圧弁本体2は、上流側配管H1および下流側配管H2の間に接続される弁箱11と、その弁箱11の矢印B方向の上部に固定されたバネ保護筒35とを有している。
弁箱11は、流路12の入口側(上流側)に設けられたフランジ部11aに上流側配管H1が接続されるとともに、この流路12の出口側(下流側)に設けられたフランジ部11bに下流側配管H2が接続される。
弁箱11の一次側流路12aおよび二次側流路12bは、その弁箱11の内部に設けられた隔壁13により区切られており、この隔壁13の中央部分に形成された貫通孔に円筒形状でなる弁座14が固定されている。
弁座14と対向する位置には円環状でなる弁体15が設けられ、この弁体15が円環状でなる弁体受16の上端面の凹部に嵌合固定されている。したがって、弁座14と弁体15との間隙が狭まったり拡がったりすることにより、一次側流路12aから二次側流路12bへ流れる流体の流量が調整される。
弁体受16には、弁座14の中心を貫通しその弁座14の上下方向に突出した弁棒17が一体に固定されている。この場合、弁体受16の中央の貫通孔に弁棒17が貫通された状態で固定されている。
この弁体受16の下方に突出した弁棒17の下端部17bは、弁箱11の底部に取り付けられた下部蓋21における弁棒ガイド部21aのガイド孔21bに摺動自在に支持されている。
弁棒ガイド部21aと対向する位置であり、かつ、弁体受16の下面には、弁棒17の下端部17bに対して六角ナット18が取り付けられており、弁棒17に対して弁体受16を矢印AB方向における図中の位置に固定している。
下部蓋21における弁棒ガイド部21aの周囲底面には環状の凹部21cが形成されており、その凹部21cに弁体バネ19の下端が支持されている。この弁体バネ19の上端は六角ナット18を囲むように弁体受16の下面に支持されている。なお、弁体バネ19は、弁体15を弁座14に当接させる矢印B方向へ弁体受16を付勢している。
弁箱11の上方開口部には、略円筒形状のライナー22が取り付けられている。このライナー22の下方の貫通孔22aには、弁体受16の上方に突出した弁棒17が矢印AB方向へ摺動自在に支持されている。
ライナー22の上方の貫通孔22bには、バランスピストン23が摺動自在に支持されている。このライナー22の貫通孔22bに対して摺動自在に支持されるバランスピストン23の内周面には、Oリング31が取り付けられている。
バランスピストン23の内部に設けられた貫通孔には、弁棒17およびその上端部17aが一体に固定されている。バランスピストン23の上端部のフランジ部23aには、そのフランジ部23aの外周端面に環状の段部が形成されており、その段部にドーナッツ形状の例えば合成ゴム製のダイヤフラム30が載置されている。
ダイヤフラム30の上端面には、ダイヤフラム受24が載置されている。このダイヤフラム受24の貫通孔24aに対して弁棒17の上端部17aが貫通され、その上端部17aに対して六角ナット26が螺着されている。
すなわち、この場合、ダイヤフラム30は、バランスピストン23のフランジ部23aとダイヤフラム受24との間に挟み付けられた状態で六角ナット26により締め付けられる。かくして、ダイヤフラム30は、弁棒17を介して弁体15と一体化される。
また、ダイヤフラム30の外周縁は、弁箱11の開口部に設けられた段部に載置される。弁箱11の開口部の外周縁には、バネ保護筒35の外周縁が対向した状態で当接され、ボルト41により弁箱11の外周縁とバネ保護筒35の外周縁とが一体に取り付けられる。
ダイヤフラム受24の上端面に形成された段差部24bと、バネ保護筒35の内側空間に設けられたバネ受39の下面に形成された段差部39bとに対して調節バネ34の一端および下端が支持される。
バネ受39の上端面中央に設けられた凹部39aには、バネ保護筒35の頂部35aに形成された雌ネジ部35bに螺着された調節ネジ36の先端部36aが嵌合されている。なお、調節バネ34は、弁座14から弁体15を離反させる矢印A方向へダイヤフラム受24およびダイヤフラム30を付勢している。
調節ネジ36は、その頭部36bの回転によりバネ保護筒35の内部に押し込まれることが可能である。調節ネジ36には六角ナット38が取り付けられており、バネ保護筒35の内部にその調節ネジ36を押し込んだ状態で固定するために用いられる。
したがって、その調節ネジ36の先端部36aを介してバネ受39を矢印A方向へ移動させることにより調節バネ34を圧縮させることができる。また、その調節ネジ36の先端部36aを介してバネ受39を矢印B方向へ移動させることにより調節バネ34を伸張させることができる。これにより弁体15および弁座14による弁開度を調節バネ34の設定圧力により調整することが可能となる。
バネ保護筒35の内部空間であり、ダイヤフラム30の上方には密閉されたバネ室40が形成される。弁箱11において、このダイヤフラム30の下方には、ダイヤフラム室50が形成される。弁箱11のダイヤフラム室50と二次側流路12bとの間には互いに連通した連通孔32が形成されている。
このような構成の減圧弁本体2における単体の動作としては、二次側流路12b側の蛇口(図示せず)が閉栓された状態、すなわち、二次側流路12bの二次側圧力が高い場合、連通孔32およびダイヤフラム室50を介してダイヤフラム30に矢印B方向へ作用する上方への力が大きい。このため、弁棒17と共に弁体15が上方に持ち上げられることになり、弁体15と弁座14とが当接されて閉弁する。
その後、減圧弁本体2は、二次側流路12b側の蛇口が開栓され、その二次側流路12bの二次側圧力が低下すると、連通孔32およびダイヤフラム室50を介してダイヤフラム30に作用する上方への力が小さくなる。このため、調節バネ34の付勢力により弁棒17と共に弁体15が下方へ押し下げられることになり、弁座14から弁体15が離反されて開弁する。
このように減圧弁本体2は、調節バネ34によるダイヤフラム30を介した弁体15の下方への開弁力と、二次側流路12bの二次側圧力によるダイヤフラム30を介した弁体15の上方への閉弁力との2つの力の差によって、弁座14に対する弁体15の矢印AB方向の位置が変化して一次側流路12aから二次側流路12bへ流れる流体の流量が制御される。
<パイロットコントローラの構成>
図1および図3に示すように、パイロットコントローラ3は、配管H2から分岐されたサブ配管H2aと、このパイロットコントローラ3から減圧弁本体2のバネ室40へ補助圧力を生成して供給するための補助圧力供給用配管H3との間に接続されている。
パイロットコントローラ3は、全体が略直方体形状でなる本体部60、その本体部60の上方開口部を塞ぐ上蓋部80によって構成されている。
本体部60は、矢印A方向の下方から下段部61、中段部62および上段部63が積層されて構成されている。その本体部60の上段部63に対して上蓋部80がさらに積層された状態で、ボルト81により上蓋部80、上段部63、中段部62および下段部61が一体に固定される。なお中段部62と下段部61との間にはOリング61aが装着されている。
本体部60の下段部61に載置された中段部62には、直径W1の空気供給路65が矢印D方向の側面から矢印C方向の内方に向かって形成されている。この空気供給路65の空気供給口65aには、空気供給用のエアーコンプレッサー(図示せず)が接続される。
また、中段部62には、減圧弁本体2のバネ室40に補助圧力供給用配管H3を介して補助圧力を供給するための直径W1の空気出力路66が矢印C方向の側面から矢印D方向の内方に向かって形成されている。この空気出力路66の空気出力口66aには、補助圧力供給用配管H3が接続される。
中段部62の空気供給路65と空気出力路66との間には、直径W2(W2<W1)の絞り67が形成されている。空気出力口66aと絞り67との間には、補助空気室70が構成される。
さらに、中段部62における空気供給路65の上方には、矢印D方向の側面から矢印C方向の内方に向かって排気路68が形成されている。さらに、中段部62における補助空気室70の矢印B方向の上方には、エアーコンプレッサーから空気供給路65に供給された補助圧力用流体としての圧縮空気を排気するための貫通孔69が形成されている。したがって、補助空気室70と排気路68とは中段部62の貫通孔69を介して連通される。
さらに、中段部62に形成された貫通孔69の上方開口周縁部には僅かに矢印B方向に突出した弁座64が形成されている。
中段部62の上端面には下ダイヤフラム71が載置されており、この下ダイヤフラム71の中央の貫通孔に弁体72が貫通されている。弁体72は、弁座64に対向配置された弁部72aを有し、その弁部72aが下ダイヤフラム71よりも矢印A方向の下方に位置付けられるとともに排気路68に配置されている。
弁体72の軸部72bは、下ダイヤフラム71よりも矢印B方向の上方に位置付けられ、この軸部72bに対して略円筒形状の弁体受73が一体に固定されている。
下ダイヤフラム71の上端面には上段部63が載置されており、この上段部63に形成されたダイヤフラム室75に弁体受73が位置付けられている。また上段部63には、減圧弁本体2の二次側流路12bとサブ配管H2aを介して連通される二次側圧力検出路74が矢印D方向の側面から矢印C方向の内方に向かって形成されている。二次側圧力検出路74の圧力検出口74aにサブ配管H2aが接続される。
上段部63の上端面には上ダイヤフラム76が一体に固定されている。この上ダイヤフラム76には、ダイヤフラム受82が一体に固定されている。ダイヤフラム受82の中央の貫通孔には、弁体72の軸部72bの矢印B方向の後端部が貫通されており、その後端部の雄ネジ部分に対して六角ナット83が螺着される。かくして、弁体72は、下ダイヤフラム71、弁体受73、上ダイヤフラム76、ダイヤフラム受82と一体化される。
上ダイヤフラム76が上蓋部80と上段部63との間に挟持された状態において、上段部63に上蓋部80が取り付けられる。したがって上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71は、弁体72と一体に構成されているため、上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71の矢印AB方向へ上下の動きに連動して弁体72が上下に移動することにより、弁体72の弁部72aと弁座64との弁開度が変化する。
上蓋部80と上ダイヤフラム76により形成される内側空間には、ダイヤフラム受82が配置され、そのダイヤフラム受82の上端面の凸部82aの周囲に形成された段差部82bと、このダイヤフラム受82と対向するように上蓋部80の内側空間に設けられたバネ受84の下面に形成された段差部84bとに対して調節バネ85の一端および下端が支持される。なお、調節バネ85は、弁座64に対して弁体72を押し付ける矢印A方向へダイヤフラム受82および上ダイヤフラム76を付勢している。
バネ受84の上端面中央に設けられた凹部84aには、上蓋部80の頂部80aに形成された雌ネジ部80bに螺着される調節ネジ86の先端部86aが当接されている。
調節ネジ86は、その頭部86bの回転により上蓋部80の内部空間に押し込まれることが可能である。調節ネジ86には上蓋部80の頂部80aにおいて六角ナット87が取り付けられている。この六角ナット87は、上蓋部80の内部にその調節ネジ86を押し込んだ状態を固定するために用いられる。
したがって、その調節ネジ86の先端部86aを介してバネ受84を矢印A方向へ移動させることにより調節バネ85を圧縮させることができる。また、その調節ネジ85の先端部86aを介してバネ受84を矢印B方向へ移動させることにより調節バネ85を伸張させることができる。これにより弁体72における弁部72aの貫通孔69に対する弁開度を調節バネ85の設定圧力により調整することが可能となる。
なお、上蓋部80の周側面には貫通孔80cが形成されており、バネ受84が矢印A方向へ移動したときには、外部から上蓋部80の貫通孔80cを介して上蓋部80の内側空間に空気を取り込む。
一方、バネ受84が矢印B方向へ移動したときには、上蓋部80の内側空間の空気を貫通孔80cから排気する。これにより、バネ受84の矢印AB方向への移動が円滑に行われる。
このような構成のパイロットコントローラ3における単体の動作としては、エアーコンプレッサーから空気供給路65に所定圧力の圧縮空気が常時供給されていることを前提として以下説明する。
パイロットコントローラ3は、二次側流路12b側の蛇口(図示せず)が閉栓された状態、すなわち、二次側流路12bの二次側圧力が高い場合、サブ配管H2aおよび二次側圧力検出路74を介して上ダイヤフラム76に矢印B方向へ作用する上方への力が大きいため、上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が上方に押し上げられ、弁部72aが弁座64から離反して開弁する。
ここで、エアーコンプレッサーから空気供給路65に所定圧力の圧縮空気が供給されているが、弁部72aが弁座64から離反して開弁しているため、絞り67を介して補助空気室70に供給された圧縮空気はその殆どが排気路68から大気解放されてしまう。
すなわち、絞り67を介して補助空気室70に供給された圧縮空気は、空気出力経路66から補助圧力供給用配管H3を経由して減圧弁本体2のバネ室40に供給されることはない。
その後、パイロットコントローラ3は、二次側流路12b側の蛇口(図示せず)が開栓され、二次側流路12bの二次側圧力が次第に低くなると、サブ配管H2aおよび二次側圧力検出路74を介して上ダイヤフラム76に矢印B方向へ作用する上方への力が小さくなる。
これにより、調節バネ85の付勢力により上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が矢印A方向へ押し下げられ、弁部72aが弁座64に向かって次第に近づいていく。
すなわち、パイロットコントローラ3は、減圧弁本体2の二次側圧力による上ダイヤフラム76を矢印B方向へ持ち上げる力と、調節バネ85による上ダイヤフラム76に対する矢印A方向へ押し下げる力とが互いに向かい合ってバランスしている。この状態において、減圧弁本体2における二次側流路12bの二次側圧力に増減が生じると、弁体72の弁部72aと弁座64との開度が変化するのである。
このとき、エアーコンプレッサーから空気供給路65に供給される圧縮空気の圧力は、排気路68から大気解放されるときの空気の圧力よりも大きい。そして、絞り67を通過して補助空気室70に流れた空気の圧力は、エアーコンプレッサーから空気供給路65に供給される圧縮空気の圧力よりも小さくなるが、排気路68から大気解放されるときの空気の圧力よりも大きくなる。したがって、この補助空気室70の圧縮空気が中間圧力として空気出力路66から補助圧力供給用配管H3を経由して減圧弁本体2のバネ室40に供給される。
この後、減圧弁本体2における二次側流路12bの流量が最大となって二次側圧力が最も低くなると、サブ配管H2aおよび二次側圧力検出路74を介して上ダイヤフラム76に作用する上方への力が最も小さくなるため、調節バネ85の付勢力により上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が最も下方へ押し下げられ、やがて弁部72aと弁座64とが当接されて完全に閉弁する。
このとき、エアーコンプレッサーから空気供給口65に供給される圧縮空気は排気路68から大気解放されなくなるため、絞り67を通過して補助空気室70に流れた圧縮空気が空気出力路66から補助圧力供給用配管H3を経由して減圧弁本体2のバネ室40に供給される。
したがって、空気出力路66から補助圧力供給用配管H3を経由して減圧弁本体2のバネ室40に供給される補助空気室70の中間圧力は、パイロットコントローラ3における上ダイヤフラム76の下面に対する減圧弁本体2の二次側圧力が高くなると低下し、上ダイヤフラム76の下面に対する減圧弁本体2の二次側圧力が低くなると高くなる。
かくしてパイロットコントローラ3は、減圧弁本体2における二次側流路12bの二次側圧力が次第に低くなるに連れて、弁部72aと弁座64との隙間が小さくなり、絞り67を通過した圧縮空気の中間圧力が次第に高くなりながら減圧弁本体2のバネ室40に補助圧力として供給されるのである。
<減圧弁の動作>
このような構成の分離型減圧弁1における全体の動作について説明する。
分離型減圧弁1では、二次側流路12b側の蛇口(図示せず)が閉栓された状態、すなわち、減圧弁本体2における二次側流路12bの二次側圧力が高い場合、連通孔32およびダイヤフラム室50を介してダイヤフラム30に作用する上方への力が大きく、弁棒17と共に弁体15が上方に持ち上げられるため弁体15と弁座14とが当接されて閉弁する。
このとき、減圧弁本体2の二次側流路12b、サブ配管H2a、およびパイロットコントローラ3の二次側圧力検出路74を介して上ダイヤフラム76に作用する上方への力が大きいため、上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が上方に持ち上げられ、弁体72の弁部72aが弁座64から離反して開弁した状態となる。
この場合、パイロットコントローラ3の空気供給路65にエアーコンプレッサーから供給される圧縮空気は殆どが排気路68から大気解放されてしまい、補助空気室70の圧縮空気が空気出力路66および補助圧力供給用配管H3を経由して減圧弁本体2のバネ室40に供給されることはない。つまり、この時点では、パイロットコントローラ3が設置されていない場合の従来の減圧弁本体2と何ら変わることはない。
その後、減圧弁本体2における二次側流路12b側の蛇口が開栓されて流路内の流体の流量が増大し、その二次側流路12bの二次側圧力が低下すると、連通孔32およびダイヤフラム室50を介してダイヤフラム30に作用する上方への力が小さくなる。この結果、調節バネ34の付勢力により弁棒17と共に弁体15が下方へ押し下げられるため、弁座14から弁体15が離反して開弁する。
これにより、減圧弁本体2では、一次側流路12aから二次側流路12bへ流体が流れ始める。すなわち減圧弁本体2は、このように機械的に動作するため、二次側流路12b側の蛇口が開栓されると、瞬間的に弁体15が応答動作を行う。
このとき、減圧弁本体2の二次側流路12b、サブ配管H2a、パイロットコントローラ3の二次側圧力検出路74を介して上ダイヤフラム76に作用する上方への力が次第に小さくなる。このため、パイロットコントローラ3では、調節バネ85の付勢力により上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が下方へ押し下げられ、弁体72の弁部72aが弁座64に対して次第に近づいていく。
そうすると、エアーコンプレッサーから空気供給路65および絞り67を介して補助空気室70に流れた圧縮空気は、排気路68から大気解放される分が次第に減少するため、徐々に圧力を高めながら、空気出力路66から補助圧力供給用配管H3を経由して減圧弁本体2のバネ室40へ供給される。
ここで、パイロットコントローラ3に内蔵されている弁座64の弁口径は非常に小さいため、空気出力路66から減圧弁本体2のバネ室40に供給される圧縮空気の圧力は、排気路68からの微量の排気によって精密に制御される。
すなわち、パイロットコントローラ3の補助空気室70からの中間圧力の圧縮空気により減圧弁本体2のバネ室40の圧力を変化させるには所定の時間が必要となる。
このため、パイロットコントローラ3の補助空気室70から減圧弁本体2のバネ室40に供給される圧縮空気の中間圧力は、時間の経過とともに徐々に高くなる。
このように、減圧弁本体2のバネ室40に供給される中間圧力が次第に高くなりながらバネ室40に供給されるため、この中間圧力により減圧弁本体2のダイヤフラム30が下方へ次第に押し下げられる。
減圧弁本体2のダイヤフラム30がパイロットコントローラ3から供給される圧縮空気の中間圧力によって下方へ更に押し下げられる分だけ、弁座14から弁体15が離反することになり、図4に示すように、従来に比べて弁座14に対する弁体15の弁開度が次第に大きくなる。
このように、パイロットコントローラ3は、減圧弁本体2における二次側流路12bの二次側圧力が低くなるに連れて、弁部72aと弁座64との間隔が狭くなるため、絞り67を通過した圧縮空気の中間圧力が次第に高くなりながら減圧弁本体2のバネ室40に補助圧力として供給される。
この後、減圧弁本体2における二次側流路12bの流量が最大となって二次側圧力が最も低くなると、サブ配管H2aおよびパイロットコントローラ3の二次側圧力検出路74を介して上ダイヤフラム76に作用する上方への力が最も小さくなる。
そして、調節バネ85の付勢力により上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が最も下方へ押し下げられ、やがて弁体72の弁部72aと弁座64とが当接されてパイロットコントローラ3が閉弁する。
このとき、エアーコンプレッサーからパイロットコントローラ3の空気供給路65に供給される圧縮空気は排気路68から大気解放されなくなり、絞り67を通過して補助空気室70に流れた圧縮空気が空気出力路66から補助圧力供給用配管H3を経由して減圧弁本体2のバネ室40に供給される。
パイロットコントローラ3における弁体72の弁部72aが弁座64に当接して閉弁すると、補助空気室70からの圧縮空気の中間圧力が最大となり、その時点以降の減圧弁本体2の弁体15および弁座14間の弁開度は一定となる(図4)。
したがって、パイロットコントローラ3から減圧弁本体2のバネ室40に供給される圧縮空気(補助圧力)によって減圧弁本体2の弁体15および弁体14間の弁開度が従来よりも大きく一定となるため、図5に示すように二次側流路12bの二次側圧力の低下を防止して、オフセットを無くすことができる。
その後、二次側流路12bの二次側圧力が高くなると、パイロットコントローラ3が徐々に開弁していくため、パイロットコントローラ3から減圧弁本体2のバネ室40に供給される圧縮空気(補助圧力)も減少し、減圧弁本体2の弁体15および弁座14間の弁開度を小さくし、やがて閉弁する。
<効果>
このように、分離型減圧弁1では、減圧弁本体2の二次側流路12bの二圧力が低下したときの弁体15および弁座14間の弁開度は数秒以内に安定する(図4)。
この間は、パイロットコントローラ3の補助空気室70からの圧縮空気が減圧弁本体2のバネ室40に供給されていても、弁体15および弁座14間の弁開度が安定しておらずオフセットが生じていると考えられるため高精度ではない。
しかし、時間の経過とともにパイロットコントローラ3から減圧弁本体2のバネ室40に供給される圧縮空気の中間圧力が増大するに連れて、減圧弁本体2の弁体15および弁座14間の弁開度を徐々に大きくすることができる(図4)。
このように分離型減圧弁1では、弁体15および弁座14間の弁開度が安定してから、その弁開度を更に大きくしながらオフセットを無くすように修正制御することができる。
これにより分離型減圧弁1は、弁体15に振動等を生じさせることなく動作の安定性を保ちながら、減圧弁本体2における二次側流路12bの二圧力の低下を防止し高精度化することができる。かくして、分離型減圧弁1は、大型化することなく、従来の直動式の減圧弁とは比較にならないほどの高精度な制御を行うことができる。
なお分離型減圧弁1では、バネ保護部35の外部にパイロットコントローラ3が分離設置されているため、このパイロットコントローラ3を減圧弁本体2に対して後から外付け設置することもできる。
<第2の実施の形態>
<パイロットコントローラ一体設置型減圧弁の全体構成>
図1との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、第2実施の形態における自力式調整弁としてのパイロットコントローラ一体設置型減圧弁100(以下、これを単に「一体型減圧弁」と呼ぶ。)は、上流側配管H1および下流側配管H2の間に配置される。
この一体型減圧弁100は、弁箱11と、その弁箱11の矢印B方向の上部に固定されたバネ保護筒150と、そのバネ保護筒150の上端面に一体に固定された補助圧力供給用のパイロットコントローラ130とによって構成されている。ここで、弁箱11およびその内部構造については、第1の実施の形態における減圧弁本体2と同一であるため、ここでは便宜上その説明を省略する。
<バネ保護筒の構成>
バネ保護筒150は、弁箱11の上端部にボルト41により一体に取り付けられている。このバネ保護筒150は、その上端部に貫通孔151aが形成されている。またバネ保護筒150は、その上端部の下面151bとダイヤフラム受24の段差部24bとに対して、調節バネ152の一端および他端が支持されている。
このバネ保護筒150では、第1の実施の形態における減圧弁本体2の調節ネジ36(図1、図2)が設けられていないため、バネ保護筒150の上端部の下面151bとダイヤフラム受24の段差部24bとに支持される調節バネ152が予め決められた設定圧力に調整されている。なお、このバネ保護筒150の内部に配置される弁棒17、ダイヤフラム受24および六角ナット26については第1の実施の形態における減圧弁本体2と同一である。
<パイロットコントローラの構成>
パイロットコントローラ130は、第1の実施の形態における分離型減圧弁1のパイロットコントローラ3の下段部61が取り外された状態でバネ保護筒150の上端面に一体に固定された構成を有している。すなわちパイロットコントローラ130は、下段部61が存在しない以外、パイロットコントローラ3と同一の基本構成である。なお、図示しないが、パイロットコントローラ3の空気出力路66aはプラグ等で閉塞されている。
この場合、中段部62に下段部61が取り付けられる代わりに、その中段部62がバネ保護筒150の上端面に一体に固定されているため、パイロットコントローラ130の補助空気室70と、バネ保護筒150のバネ室40とは、そのバネ保護筒150の貫通孔151aを介して連通されている。
このような構成の一体型減圧弁100の動作について説明する。一体型減圧弁100では、減圧弁本体2における二次側流路12bの二次側圧力が高い場合、連通孔32およびダイヤフラム室50を介してダイヤフラム30に作用する上方への力が大きく、弁棒17と共に弁体15が上方に持ち上げられるため弁体15と弁座14とが当接されて閉弁する。
このとき、減圧弁本体2の二次側流路12bからサブ配管H2aを介してパイロットコントローラ130の二次側圧力検出路74から上ダイヤフラム76に対して上方に作用する力が大きいため、上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が上方に持ち上げられ、弁体72の弁部72aが弁座64から離反して開弁した状態となる。
この場合、パイロットコントローラ130の空気供給口65にエアーコンプレッサーから供給される圧縮空気は殆どが排気路68から大気解放されてしまい、補助空気室70からバネ保護筒150の貫通孔151aを経由してバネ室40に圧縮空気が供給されることはない。
その後、一体型減圧弁100では、二次側流路12bの二次側圧力が低下すると、連通孔32およびダイヤフラム室50を介してダイヤフラム30に作用する上方への力が小さくなる。
この結果、調節バネ152の付勢力により弁棒17と共に弁体15が下方へ押し下げられるため、弁座14から弁体15が離反して開弁し、一次側流路12aから二次側流路12bへ流体が流れ始める。
このとき、二次側流路12bからサブ配管H2aを介してパイロットコントローラ130の二次側圧力検出路74から上ダイヤフラム76に作用する上方への力が次第に小さくなるため、調節バネ85の付勢力により上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が下方へ押し下げられ、弁体72の弁部72aが弁座64に次第に近接していく。
これにより、エアーコンプレッサーから空気供給口65に供給される圧縮空気は、絞り67を通過して補助空気室70に流れ、その補助空気室70の圧縮空気が中間圧力(図3)として、バネ保護筒150の貫通孔151aを経由してバネ室40へ供給される。
したがって、パイロットコントローラ130の補助空気室70からの圧縮空気の中間圧力が増大するに連れて(時間の経過とともに)、徐々にバネ室40の圧力が増大される。
すなわち、バネ室40に供給される中間圧力が次第に高くなりながら供給されるため、この中間圧力が補助圧力となり、ダイヤフラム30が下方へ更に押し下げられることになる。
この結果、ダイヤフラム30が下方へ更に押し下げられる分だけ、弁座14から弁体15が離反することになり、従来に比べて弁開度が大きくなる。このように、パイロットコントローラ130は、弁箱11の二次側圧力が低くなるに連れて、弁体72の弁部72aと弁座64との間隔が小さくなるため、絞り67を通過した補助空気室70の中間圧力が次第に高くなりながらバネ室40に補助圧力として供給される。
この後、二路12bの流量が最大となって二圧力が最も低くなると、サブ配管H2aおよび二次側圧力検出路74を介して上ダイヤフラム76に作用する上方への力が最も小さくなり、調節バネ85の付勢力により上ダイヤフラム76および下ダイヤフラム71と共に弁体72が最も下方へ押し下げられ、やがて弁部72aと弁座64とが当接されて閉弁する。
このとき、エアーコンプレッサーから空気供給口65に供給される圧縮空気は排気路68から完全に大気解放されなくなり、絞り67を通過して補助空気室70に流れた圧縮空気の全てがバネ保護筒150の貫通孔151aを経由してバネ室40に供給される。
パイロットコントローラ130の弁体72の弁部72aが弁座64に当接して閉弁すると、補助空気室70からの圧縮空気の中間圧力が最大となるため、その時点以降の減圧弁本体2の弁体15および弁座14間の弁開度が一定となる(図4)。
したがって、パイロットコントローラ130からバネ室40に供給される圧縮空気(補助圧力)によって弁体15および弁体14間の弁開度が従来よりも大きくなるため、図5に示したように二次側流路12bの二次側圧力の低下を防止して、オフセットを無くすことができる。
<効果>
一体型減圧弁100においても、二路12bの二次側圧力が次第に低下していくときのパイロットコントローラ130からバネ室40に供給される圧縮空気(補助圧力)の増大とともに、弁体15および弁座14間の弁開度を次第に大きくすることができる。
このように一体型減圧弁100は、弁体15および弁座14間の弁開度を次第に大きくして修正制御するので、弁体15に振動等を生じさせることなく動作の安定性を保ちながら、二次側流路12bの二次側圧力の低下を防止し高精度化することができる。かくして、一体型減圧弁100は、大型化することなく、従来の直動式の減圧弁とは比較にならないほどの高精度な制御を行うことができる。
なお一体型減圧弁100は、パイロットコントローラ130がバネ保護部150の上部に一体設置されているため、第1の実施の形態における分離型減圧弁1に比べてその構成を全体的に小型化することができる。
<第3の実施の形態>
<パイロット作動式減圧弁の全体構成>
図1との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、第3実施の形態における自力式調整弁としてのパイロット作動式減圧弁200は、上流側配管H1および下流側配管H2の間に配置され、主弁201、エゼクタ(絞り弁)220およびパイロット弁230により構成された従来の一般的なものであるが、従来と異なる点として、このパイロット弁230に対してパイロットコントローラ3(図3)が分離設置されている。
このパイロットコントローラ3は、第1の実施の形態と同一の構成であり、サブ配管H2aと補助圧力供給用配管H3との間に接続され、その補助圧力供給用配管H3がパイロット弁230のバネ室240に導通されている。
この場合、パイロット作動式減圧弁200は、二路202bの二圧力が低下すると、二次側流路202bからサブ配管H2aを介してパイロットコントローラ3の弁体72の弁部72aが弁座64に次第に近接していく。
このとき、エアーコンプレッサーから空気供給口65に供給される圧縮空気が、絞り67を通過して補助空気室70に流れ、その補助空気室70の圧縮空気が中間圧力として、パイロット弁230のバネ室240へ次第に圧力が増大されながら供給される。
したがって、パイロットコントローラ3の補助空気室70からの圧縮空気の中間圧力が増大するに連れて(時間の経過とともに)、徐々にパイロット弁230のバネ室240の圧力が高くなるので、パイロット弁230の開弁度が大きくなる。
これにより、パイロット弁230の開弁度が従来よりも大きくなるため、主弁201のダイヤフラム室216からエゼクタ220、パイロット弁230、二次側流路202bへ流体が多く流れることになる。
かくして、パイロット作動式減圧弁200は、パイロット弁230の開弁度が従来よりも大きくなった分だけ、主弁201の弁体211が矢印B方向へ従来よりも大きく開弁するので、一次側流路202aの圧力に対して二次側流路202bの圧力低下を防止し、オフセットを無くすことができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した第1および第2の実施の形態においては、直動式の減圧弁1、100に対してパイロットコントローラ3、130を分離型または一体型のように設置する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、直動式の背圧弁に対してパイロットコントローラ3、130を分離型または一体型のように設置するようにしても良い。
また、上述した第3の実施の形態においては、パイロット弁230に対してパイロットコントローラ3を分離設置するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第2の実施の形態と同様に、パイロット弁230の上部にパイロットコントローラ3を一体的に設置するようにしてもよい。
さらに、上述した第1乃至第3の実施の形態においては、パイロットコントローラ3、130の内部に絞り67を設けるようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、空気供給路65の外側に絞り弁(図示せず)を設け、その絞り弁を介してエアーコンプレッサーからの圧縮空気を空気供給路65から補助空気室70に供給するようにしても良い。