以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るボイラシステム1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るボイラシステム1の概略を示す図である。図1に示すように、本実施形態のボイラシステム1は、ボイラ2と、硬水軟化装置3と、給水タンク5と、スケール防止剤添加装置81と、腐食抑制剤添加装置82と、制御装置10と、蒸気ヘッダ50と、を備える。図1では、電気的な接続の経路を破線で示す。
また、ボイラシステム1は、硬度検出手段としての硬度検出センサ41と、スケール検出手段としてのスケール検出温度センサ42と、pH値検出手段としてのpH値検出センサ43と、溶存酸素濃度検出手段としての溶存酸素濃度検出センサ44と、電気伝導率検出手段としての電気伝導率センサ45と、シリカ濃度検出手段としてのシリカ濃度センサ46と、を備える。
また、ボイラシステム1は、供給水ラインL1と、燃料供給ラインL2と、排出部としてのブローラインL3と、蒸気取出ラインL4と、蒸気送出ラインL5と、降水ラインL6と、分離水回収ラインL7と、凝縮水回収ラインL8と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
ボイラ2は、蒸気使用設備(不図示)に供給する蒸気を生成する。ボイラ2は、ボイラ本体21と、バーナ27と、燃焼室26と、満水検出電極棒28と、給水ポンプ6と、気水分離器7と、ブロー弁93と、蒸気弁95と、を備える。ボイラ本体21は、複数の水管22、上部ヘッダ23と、下部ヘッダ24と、からなる圧力容器を形成している。
供給水ラインL1は、供給水W1をボイラ本体21に供給するラインである。供給水ラインL1の上流側の端部は、供給水W1の供給源(不図示)に接続されている。供給水ラインL1の下流側の端部は、ボイラ本体21の下部ヘッダ24(後述)に接続されている。供給水ラインL1には、供給源からボイラ2に向けて順に、硬水軟化装置3、接続部J1、給水タンク5、添加部J2及び給水ポンプ6が設けられている。
硬水軟化装置3は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオン(又はカリウムイオン)へ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置3は、陽イオン交換樹脂床3aを有する。陽イオン交換樹脂床3aは、ボイラ本体21に供給される供給水W1の軟水化処理を行う。硬水軟化装置3は、原水W0を陽イオン交換樹脂床3aで軟水化して得られた処理水(軟水)を供給水W1としてボイラ2に向けて供給する。
接続部J1には、硬度検出センサ41が接続されている。硬度検出センサ41は、硬水軟化装置3により軟水化された供給水W1の硬度を検出する。硬度検出センサ41で検出された供給水W1の硬度に関する情報は、制御装置10へ検出信号として送信される。
給水タンク5は、硬水軟化装置3により軟水化された処理水を、供給水W1として貯留する。給水タンク5に貯留された供給水W1は、給水ポンプ6によりボイラ本体21に供給される。給水ポンプ6は、給水タンク5から供給水W1を吸入し、供給水ラインL1を流通する供給水W1をボイラ本体21に向けて送出する。給水ポンプ6は、制御装置10と電気的に接続されている。給水ポンプ6が供給水W1をボイラ本体21に送り出すタイミングは、制御装置10から送信される駆動信号により制御される。
添加部J2には、第1薬剤添加手段としてのスケール防止剤添加装置81と、第2薬剤添加手段としての腐食抑制剤添加装置82とが、接続されている。スケール防止剤添加装置81は、ボイラ本体21に供給される供給水W1にスケール防止剤を添加する装置である。スケール防止剤は、水中でのスケールの成長、或いは水管22の内面等へのスケールの堆積を防止するために用いられる薬品である。スケール防止剤としては、例えば、スケール抑制成分として、エチレンジアミン四酢酸及びそのアルカリ金属塩を含むものを挙げることができる。
スケール防止剤添加装置81は、制御装置10と電気的に接続されている。スケール防止剤添加装置81から供給水ラインL1の添加部J2へスケール防止剤を添加するタイミング及び添加量は、制御装置10のスケール防止剤添加制御部106(後述)から送信される駆動信号により制御される。
腐食抑制剤添加装置82は、ボイラ本体21に供給される供給水W1に腐食抑制剤を添加する装置である。腐食抑制剤は、主にボイラ本体21の腐食を抑制するために用いられる薬品である。腐食抑制剤としては、例えば、シリカ(ケイ酸又はケイ酸塩)及びアルカリ金属の水酸化物を含むものを挙げることができる。
腐食抑制剤添加装置82は、制御装置10と電気的に接続されている。腐食抑制剤添加装置82から供給水ラインL1の添加部J2へ腐食抑制剤を添加するタイミング及び添加量は、制御装置10の腐食抑制剤添加制御部107(後述)から送信される駆動信号により制御される。
ボイラ本体21は、上下のヘッダ間に鉛直方向に立設された水管群より構成され、ボイラ2の外形の主要部を構成する。ボイラ本体21には、供給水ラインL1により供給された供給水W1が内部にボイラ水W2として貯留される。なお、ボイラ水W2には、ボイラ本体21に一旦ボイラ水W2として溜まった後に蒸気として取り出されて、ボイラ本体21に戻ってくる水が含まれる。例えば、ボイラ水W2には、気水分離器7(後述)により分離されてボイラ本体21に返送される分離水W4も含まれる。
複数の水管22は、ボイラ本体21の上下方向に延びて配置される。上部ヘッダ23は、ボイラ本体21の上部に配置される。上部ヘッダ23は、例えば、環状の容器により構成される。上部ヘッダ23には、複数の水管22の上端部が連結される。上部ヘッダ23を、「上部管寄せ」ともいう。上部ヘッダ23には、後述する蒸気取出ラインL4の一方側の端部が接続される。
下部ヘッダ24は、ボイラ本体21の下部に配置される。下部ヘッダ24は、例えば、環状の容器により構成される。下部ヘッダ24には、複数の水管22の下端部が連結される。下部ヘッダ24を、「下部管寄せ」ともいう。下部ヘッダ24の側壁の一方には、供給水ラインL1の端部が接続される。下部ヘッダ24の側壁の他方には、降水ラインL6の端部が接続される。燃焼室26は、複数の水管22に囲まれた空間により構成される。
バーナ27は、燃焼することによりボイラ本体21の内部を加熱する。バーナ27は、ボイラ本体21の上部側の中央部に配置される。バーナ27は、燃料噴射ノズル及び空気供給ノズル(いずれも図示せず)を含んで構成される。バーナ27は、燃料噴射ノズルから燃料をボイラ本体21の燃焼室26に向けて噴射すると共に、空気供給ノズルから空気をボイラ本体21の内部に供給して、燃料を燃焼させる。
満水検出電極棒28は、水管22に貯留されるボイラ水W2の量が満水位置を上回る場合に、ボイラ水W2の満水を検出する。満水検出電極棒28は、その先端がボイラ水W2に接触した場合に、ボイラ本体21の水管22に貯留されたボイラ水W2の満水を検出する。満水検出電極棒28は、制御装置10と電気的に接続されている。満水検出電極棒28で検出されたボイラ水W2の満水の検出信号は、制御装置10へ送信される。
燃料供給ラインL2は、バーナ27により燃焼される燃料Fをバーナ27に供給するラインである。燃料供給ラインL2の上流側の端部は、燃料Fの供給源(不図示)に接続されている。燃料供給ラインL2の下流側の端部は、バーナ27に接続されている。燃料供給ラインL2には、燃料供給弁92が設けられている。燃料供給弁92は、バーナ27に供給される燃料の量を調整する弁である。燃料供給弁92は、燃料供給ラインL2を開閉することができる。燃料供給弁92における弁体の開閉は、制御装置10からの駆動信号により制御される。
蒸気取出ラインL4は、ボイラ2により生成された蒸気SM1を、ボイラ本体21から取り出して、気水分離器7に導入させるラインである。蒸気取出ラインL4の上流側の端部は、ボイラ本体21の上部ヘッダ23の上面部に接続されている。蒸気取出ラインL4の下流側の端部は、気水分離器7の側部の上方側に接続されている。
気水分離器7は、上部ヘッダ23から蒸気取出ラインL4を介して導入された蒸気SM1を、乾き蒸気SM2と水分(以下「分離水W4」ともいう)とに分離する装置である。なお、前述のとおり、気水分離器7により分離される分離水W4は、ボイラ水W2の一部でもある。
蒸気送出ラインL5は、気水分離器7により分離された乾き蒸気SM2を、蒸気ヘッダ50に向けて送り出すラインである。蒸気送出ラインL5の上流側の端部は、気水分離器7の上面に接続されている。蒸気送出ラインL5の下流側の端部は、蒸気ヘッダ50に接続されている。
蒸気送出ラインL5には、気水分離器7から負荷機器(図示せず)に向けて順に、蒸気弁95、蒸気ヘッダ50が設けられている。蒸気弁95は、蒸気ヘッダ50に向けて送り出す蒸気の量を調整する弁である。蒸気弁95は、蒸気送出ラインL5を開閉することができる。本実施形態においては、蒸気弁95は、手動により開閉状態を切り替え可能な弁である。
蒸気ヘッダ50は、複数台設置されたボイラ(図示せず)からの蒸気を集合させて、集合した蒸気SM3を蒸気使用設備(図示せず)に分配させる設備である。蒸気ヘッダ50には、凝縮水回収ラインL8の上流側の端部が接続されている。
凝縮水回収ラインL8は、蒸気ヘッダ50内で蒸気の凝縮が起こった場合に、発生した凝縮水W5を給水タンク5に回収するラインである。凝縮水回収ラインL8には、凝縮水を蒸気から分離するためのスチームトラップ32が設けられている。凝縮水回収ラインL8の下流側の端部は、給水タンク5に接続されている。
降水ラインL6は、気水分離器7により分離された分離水W4を、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に向けて流下させるラインである。降水ラインL6の上流側の端部は、気水分離器7の下部に接続されている。降水ラインL6の下流側の端部は、下部ヘッダ24に接続されている。降水ラインL6には、気水分離器7からボイラ本体21に向けて順に、接続部J5及び接続部J4が設けられている。なお、降水ラインL6を「降水管」ともいう。
接続部J4には、電気伝導率センサ45が接続されている。電気伝導率センサ45は、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4の電気伝導率を検出するセンサである。なお、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4は、ボイラ水W2の一部である。電気伝導率センサ45は、制御装置10と電気的に接続されている。電気伝導率センサ45で検出された分離水W4(ボイラ水W2)の電気伝導率値は、制御装置10へ検出信号として送信される。
接続部J5には、ブローラインL3の上流側の端部が接続されている。ブローラインL3は、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4(ボイラ水W2)を、接続部J5を介して、ボイラ2の外部に排出するラインである。ブローラインL3には、降水ラインL6側から順に、接続部J6及びブロー弁93が設けられている。ブロー弁93は、ブローラインL3を開閉することができる。ブロー弁93における弁体の開閉は、制御装置10からの駆動信号により制御される。ブロー弁93を開状態にすることにより、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4(ボイラ水W2)を外部に排出する。
接続部J6には、分離水回収ラインL7の上流側の端部が接続されている。分離水回収ラインL7は、気水分離器7により降水ラインL6に送り出された分離水W4を給水タンク5に回収するラインである。分離水回収ラインL7の下流側の端部は、給水タンク5に接続されている。また、分離水回収ラインL7には、回収弁96が設けられている。回収弁96は、分離水回収ラインL7を開閉することができる。回収弁96における弁体の開閉は、制御装置10からの駆動信号により制御される。
ブロー弁93及び回収弁96は、ブローラインL3を流通する分離水W4をそのまま外部に排出させるか、又は、分離水回収ラインL7を介して給水タンク5に回収するかを選択的に切り替え可能な弁である。つまり、分離水W4を外部に排出させる場合には、ブロー弁93が開状態に制御される一方で、回収弁96が閉状態に制御される。また、分離水W4を給水タンク5に回収する場合には、ブロー弁93が閉状態に制御される一方で、回収弁96が開状態に制御される。なお、分離水W4の排出も回収も行わない場合には、ブロー弁93及び回収弁96は共に閉状態に制御される。
スケール検出温度センサ42は、ボイラ本体21の温度を検出する温度センサである。スケール検出温度センサ42は、水管22の外面に取り付けられている。スケール検出温度センサ42は、水管22の内部に付着したスケールの量を検出するために、水管22の外面の温度を検出する。水管22の温度が相対的に高い場合には、水管22の内部に付着するスケールの量が多くなり、バーナ27で発生させた熱量がボイラ水W2に伝達しにくい状態となっている。すなわち、水管22の温度が上昇傾向である場合には、水管22の熱伝導率が悪化しており、スケールの発生及びボイラ本体21へのスケールの付着の危険性が高まっていることを示している。スケール検出温度センサ42は、制御装置10と電気的に接続されている。スケール検出温度センサ42で検出された水管22の外面の温度は、制御装置10へ検出信号として送信される。
pH値検出センサ43は、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に貯留されるボイラ水W2のpH値を検出するセンサである。pH値検出センサ43は、下部ヘッダ24の内部に配置される。pH値検出センサ43は、制御装置10と電気的に接続されている。pH値検出センサ43で検出されたボイラ水W2のpH値は、制御装置10へ検出信号として送信される。
溶存酸素濃度検出センサ44は、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に貯留されるボイラ水W2の溶存酸素濃度を検出するセンサである。溶存酸素濃度検出センサ44は、下部ヘッダ24の内部に配置される。溶存酸素濃度検出センサ44は、制御装置10と電気的に接続されている。溶存酸素濃度検出センサ44で検出されたボイラ水W2のpH値は、制御装置10へ検出信号として送信される。
シリカ濃度センサ46は、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に貯留されるボイラ水W2のシリカ濃度を検出するセンサである。シリカ濃度センサ46は、下部ヘッダ24の内部に配置される。シリカ濃度センサ46は、制御装置10と電気的に接続されている。シリカ濃度センサ46で検出されたボイラ水W2のシリカ濃度は、制御装置10へ検出信号として送信される。
次に、図2を参照して、本実施形態のボイラシステム1の制御に係る機能について説明する。図2は、本実施形態のボイラシステム1の制御に係る機能ブロック図である。制御装置10は、本実施形態のボイラシステム1における各部を制御する。制御装置10は、ボイラシステム1における各測定装置に電気的に接続され、各測定装置から測定情報を受信する。また、制御装置10は、給水ポンプ6に電気的に接続され、ボイラ本体21内のボイラ水W2の水位に応じて、供給水W1をボイラ2に向けて送り出すように給水ポンプ6を制御する。
また、制御装置10は、制御部100と、メモリ部110と、備える。制御部100は、バルブ制御部101と、計時手段としてのタイマ部102と、排水モード設定手段としての排水モード設定部103と、排水モード切替手段としての排水モード切替部104と、再生不良判定としての再生不良判定部105と、第1薬剤添加手段としてのスケール防止剤添加制御部106と、第2薬剤添加手段としての腐食抑制剤添加制御部107と、を備える。
バルブ制御部101は、燃料供給弁92、ブロー弁93及び回収弁96の開閉状態を制御する。タイマ部102は、バーナ27の燃焼時間や、定期排水モードでの排水時間や、高濃縮排水モードでの排水時間等を計時する。
排水モード設定部103は、定期排水モード(第1排水モード)、及び、高濃縮排水モード(第2排水モード)のうちのいずれか一方の排水モードを通常の排水モードとして設定可能である。
定期排水モードとは、タイマ部102により計時されたバーナ27の燃焼時間に基づいて、降水ラインL6を流通する分離水W4(ボイラ水W2)を、ブローラインL3からボイラ2の外部に排出する排水モードである。定期排水モードでは、定期的にボイラ水W2を排出することで、ボイラ水W2が長時間滞留することを抑制して、ボイラ本体21の内部にスケールが付着することを防止する。なお、ボイラ2が複数の燃焼ステージ(例えば、燃焼量100%、燃焼量50%及び燃焼量0%の3段階)を有する場合、燃焼時間は、最も燃焼量の高いステージの時間に換算して計時する。
高濃縮排水モードとは、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率に基づいて、降水ラインL6を流通する分離水W4(ボイラ水W2)を、ブローラインL3からボイラ2の外部に排出するモードである。高濃縮排水モードでは、電気伝導率に応じてボイラ水W2を排出することで、ボイラ水W2が過度に濃縮することを抑制して、ボイラ水W2に含まれる溶解物質が蒸気の中に混入してボイラ2の外部に運び出される、いわゆる「キャリーオーバー」を防止する。なお、定期排水モード及び高濃縮水モードの動作については、後述する。
排水モード切替部104は、排水モードを、定期排水モードから高濃縮排水モードに、又は、高濃縮排水モードから定期排水モードに切り替え可能である。排水モード切替部104は、ボイラ水W2又は供給水W1の水質に関する所定の条件を満たした場合において、通常の排水モードとして定期排水モードが設定されているときには、排水モードを定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替える一方で、通常の排水モードとして高濃縮排水モードが設定されているときには、排水モードを高濃縮排水モードから定期排水モードに切り替える。
排水モードを定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替えて運転することにより、ボイラ水W2が過度に濃縮されることを防止することができる。また、排水モードを高濃縮モードから定期排水モードに切り替えて運転することにより、ボイラ水の濃縮度が高くない場合においても、定期的にボイラ本体21からボイラ水を排出することにより、ボイラ本体21にスケールが付着することを防止することができる。
具体的には、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして高濃縮モードが設定されている場合に、スケール検出温度センサ42により検出された温度が上昇傾向にあるときには、排水モードを、高濃縮排水モードから定期排水モードに切り替える。なお、「スケール検出温度センサ42により検出された温度が上昇傾向にある」との判断は、所定の温度値を上回った場合に判断してもよいし、温度上昇の傾きや所定温度範囲における温度上昇に要する時間等により判断してもよい。
また、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして高濃縮排水モードが設定されている場合に、後述する再生不良判定部105によりイオン交換樹脂床3aの再生処理が不良であると判定されたとき、又は、硬度検出センサ41により検出された硬度が所定値を上回るときには、排水モードを高濃縮排水モードから定期排水モードに切り替える。
また、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして定期排水モードが設定されている場合に、pH値検出センサ43により検出されたpH値が所定値を下回るとき、シリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度が所定値を下回るとき、又は、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率が所定値を下回るときには、排水モードを定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替える。
また、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして定期排水モードが設定されている場合に、溶存酸素濃度検出センサ44により検出された溶存酸素濃度が所定値を上回るときには、排水モードを定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替える。なお、排水モード切替部104における排水モードの切り替え動作の具体例について、排水モード切替部104における排水モードの状態遷移として、後述する。
再生不良判定部105は、硬水軟化装置3の再生処理が不良であるか否かを判定する。具体的には、再生不良判定部105は、硬水軟化装置3において、再生液の濃度が所定値よりも下回る場合や、再生液を流通させるラインが詰まっている場合等に、硬水軟化装置3の再生処理が不良であると判定する。硬水軟化装置3は、再生液の濃度が所定値よりも下回ることや、再生液を流通させるラインが詰まっていることを、不図示の検出センサ等により検出することができる。硬水軟化装置3における検出センサにより検出された信号は、再生不良判定部105に送信される。
スケール防止剤添加制御部106は、通常の排水モードとして高濃縮排水モードが設定されている場合であって、かつ、定期排水モードを実行中において、タイマ部102により計時された燃焼時間に基づいて、スケール防止剤を供給水W1に添加するようにスケール防止剤添加装置81を制御する。一方、腐食抑制剤添加制御部107は、通常の排水モードとして定期排水モードが設定されている場合であって、かつ、高濃縮排水モードを実行中において、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導度、pH値検出センサ43により検出されたpH値、又はシリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度に基づいて、腐食抑制剤を供給水W1に添加するように腐食抑制剤添加装置82を制御する。
メモリ部110は、本実施形態のボイラシステム1の運転を実施する制御プログラムや、所定のパラメータや、各種テーブル等を記憶する。本実施形態においては、メモリ部110は、排水モード切替部104が排水モードを切り替える際の判断の基準となる各種閾値等を記憶する。例えば、メモリ部110は、スケール検出温度センサ42により検出される温度が上昇傾向にあるか否かの閾値や、硬度検出センサ41により検出された硬度の判断の閾値となる所定値や、pH値検出センサ43により検出されたpH値の判断の閾値となる所定値や、シリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度の判断の閾値となる所定値や、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率の判断の閾値となる所定値や、溶存酸素濃度検出センサ44により検出された溶存酸素濃度の判断の閾値となる所定値等を記憶する。
次に、図1を参照して、本実施形態のボイラシステム1の動作について簡単に説明する。まず、供給水W1は、供給源(不図示)から給水タンク5へ供給される。この際、供給源から供給される供給水W1は、硬水軟化装置3において硬度成分が除去され、軟化水となる。そして、硬水軟化装置3により生成された軟化水は、供給水W1として給水タンク5に貯留される。ここでは、燃料供給弁92、ブロー弁93及び回収弁96は、閉状態である。
次に、給水ポンプ6を作動させることにより、給水タンク5に貯留された供給水W1(軟化水)は、供給水ラインL1を通して、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に向けて送り出される。そして、ボイラ2に供給された供給水W1は、下部ヘッダ24及び各水管22において、ボイラ水W2として貯留される。
次に、燃料供給弁92を閉状態から開状態に切り替えることで、バーナ27に燃料を供給する。バーナ27が着火されることで、バーナ27は、燃焼を開始する。
下部ヘッダ24及び各水管22に貯留されたボイラ水W2は、水管壁を通してバーナ27により加熱されながら、各水管22の内部を上昇していき、その後、蒸気SM1となる。そして、各水管22の内部において生成された蒸気SM1は、上部ヘッダ23に集められ、蒸気取出ラインL4を介して、気水分離器7に導入される。
気水分離器7に導入された蒸気SM1は、乾き蒸気SM2と分離水W4とに分離される。気水分離器7で分離された乾き蒸気SM2は、蒸気弁95を閉状態から開状態に切り替えておくことにより、蒸気送出ラインL5を通して、蒸気ヘッダ50において集合される。蒸気ヘッダ50に集合された蒸気SM3は、蒸気使用機器(不図示)へ供給される。気水分離器7で分離された分離水W4は、降水ラインL6を通して下部ヘッダ24に戻される。
このようなボイラシステム1の運転において、ボイラ2の燃焼待機中にボイラ本体21内が冷却されて圧力低下が起こると、蒸気ヘッダ50からボイラ本体21に蒸気が逆流することがある。この逆流した蒸気は、ボイラ本体21内で凝縮水となって貯留されるため、ボイラ本体21が満水状態となることがある。ボイラ本体21が満水状態のまま燃焼を開始した場合には、蒸気SM1の乾き度が極めて低くなる等、種々の不具合が起こるようになる。そこで、従来は、燃焼待機中に満水検出電極棒28がボイラ水W2の満水を検知した場合には、ボイラ水W2の水位が所定水位未満に低下するまで排出させる制御(いわゆる、満水ブロー制御)が行われていた。しかしながら、燃焼待機時間が長くなる程、満水ブローの頻度が高くなるため、ボイラ水W2が凝縮水で次第に希釈されることになる。その結果、ボイラ水W2のpH値が所定範囲よりも低い状態となり、ボイラ本体21が腐食しやすくなるという問題がある。
これに対し、本実施形態においては、ボイラ2の燃焼待機中に満水ブローを行わずに凝縮水の貯留を許容し、満水状態のまま燃焼を開始する制御を実行する。この場合、燃焼の初期には乾き度の非常に低い蒸気SM1が蒸気取出ラインL4から取り出され、気水分離器7では、多量の分離水W4が発生する。この分離水W4をそのまま下部ヘッダ24に戻すと、ボイラ水W2の濃縮が進行しないため、本実施形態においては、分離水W4を下部ヘッダ24に戻さずに、分離水回収ラインL7を介して給水タンク5に回収する制御を実行する。また、本実施形態においては、蒸気ヘッダ50は、凝縮水回収ラインL8を介して給水タンク5に接続されており、蒸気ヘッダ50で蒸気SM2の凝縮が起こった場合に、凝縮水W5を給水タンク5に回収できるように構成されている。
具体的には、ボイラ2の燃焼待機後の燃焼開始時において、所定時間(例えば、5分)が経過するまでは、ブロー弁93を閉状態で保持した状態で、分離水W4をブローラインL3から分離水回収ラインL7に流入させるように、回収弁96を開状態に切り替える。これにより、気水分離器7で分離された分離水W4を、分離水回収ラインL7を通して給水タンク5に回収する。そして、所定時間が経過すると、回収弁96を閉状態に戻す。また、分離水W4の回収に同期して、凝縮水回収ラインL8に設けたスチームトラップ32の作動により、蒸気ヘッダ50で生成した凝縮水W5を給水タンク5に回収する。
以上のように、ボイラ2の燃焼待機中に満水ブローを行わないように構成すると共に、気水分離器7で分離された分離水W4及び蒸気ヘッダ50で生成された凝縮水W5を給水タンク5に戻すように構成する。これにより、燃焼待機中のボイラ水W2の希釈を抑制して、ボイラ本体21の腐食を抑制することができる。
次に、排水モード切替部104における排水モードの状態遷移について説明する。図3は、本実施形態のボイラシステム1の排水モードの状態遷移図である。なお、図3中において、各モード間に記載した矢印は、第1動作例におけるイベントE11、E12;第2動作例におけるイベントE21、E22;第3動作例におけるイベントE31、E32;第4動作例におけるイベントE41、E42を示す。
排水モード切替部104は、前述のように、排水モードを、定期排水モードから高濃縮排水モードに、又は、高濃縮排水モードから定期排水モードに切り替え可能である。排水モード切替部104は、図3に示すように、例えば、第1動作例〜第4動作例において、それぞれ所定の移行条件(イベント)に基づいて、高濃縮排水モードから定期排水モードに、又は、定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替える。第1動作例及び第2動作例は、通常の排水モードとして高濃縮排水モードを設定した場合における動作例である。第3動作例及び第4動作例は、通常の排水モードとして定期排水モードを設定した場合における動作例である。
第1動作例におけるイベントE11は、通常の排水モードとして高濃縮排水モードを設定した場合に、排水モードが高濃縮排水モードから定期排水モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、スケール検出温度42で検出された検出温度が上昇傾向にある場合を挙げることができる。一方、第1動作例におけるイベントE12は、排水モードが高濃縮排水モードから定期排水モードへ移行した後に、排水モードが定期排水モードから高濃縮排水モードへ移行する(戻る)場合を示す。この移行条件としては、スケール検出温度42に検出された検出温度が下降傾向にある場合、又は所定範囲で安定する場合を挙げることができる。
第2動作例におけるイベントE21は、通常の排水モードとして高濃縮排水モードを設定した場合に、排水モードが高濃縮排水モードから定期排水モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、硬水軟化装置3が再生不良である場合、又は、硬度検出センサ41により検出された硬度が所定値を上回る場合を挙げることができる。一方、第2動作例におけるイベントE22は、排水モードが高濃縮排水モードから定期排水モードへ移行した後に、排水モードが定期排水モードから高濃縮排水モードへ移行する(戻る)場合を示す。この移行条件としては、硬水軟化装置3の再生が正常であり、かつ、硬度検出センサ41により検出された硬度が所定値を下回る場合を挙げることができる。
第3動作例におけるイベントE31は、通常の排水モードとして定期排水モードを設定した場合に、排水モードが定期排水モードから高濃縮排水モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、pH値検出センサ43に検出されたpH値、シリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度、又は、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率のいずれかが各々の所定値を下回る場合を挙げることができる。一方、第3動作例におけるイベントE32は、排水モードが定期排水モードから高濃縮排水モードへ移行した後に、排水モードが高濃縮排水モードから定期排水モードへ移行する(戻る)場合を示す。この移行条件としては、pH値検出センサ43に検出されたpH値、シリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度、及び、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率のすべてが各々の所定値を上回る場合を挙げることができる。
第4動作例におけるイベントE41は、通常の排水モードとして定期排水モードを設定した場合に、排水モードが定期排水モードから高濃縮排水モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、溶存酸素濃度検出センサ44に検出された溶存酸素濃度が所定値を上回る場合を挙げることができる。一方、第4動作例におけるイベントE42は、排水モードが定期排水モードから高濃縮排水モードへ移行した後に、排水モードが高濃縮排水モードから定期排水モードへ移行する(戻る)場合を示す。この移行条件としては、溶存酸素濃度検出センサ44に検出された溶存酸素濃度が所定値を下回る場合を挙げることができる。
以上のように、本実施形態におけるボイラシステム1においては、排水モード切替部104は、それぞれ所定の移行条件(イベント)に基づいて、高濃縮排水モードから定期排水モードに、又は、定期排水モードから高濃縮排水モードに、切り替えることができる。
次に、本実施形態のボイラシステム1の高濃縮排水モード及び定期排水モードの動作について説明する。図4は、本実施形態のボイラシステム1の高濃縮排水モードの処理手順を示すフローチャートである。図5は、本実施形態のボイラシステム1の定期排水モードの処理手順を示すフローチャートである。本実施形態のボイラシステム1は、前述のように、通常の排水モードを高濃縮排水モード又は定期排水モードに設定して実行することができると共に、設定された排水モードを状態遷移させて高濃縮排水モード又は定期排水モードで実行することができる。
まず、高濃縮排水モードを実行中におけるフローについて説明する。図4に示すように、ステップST11において、ボイラシステム1は、排水モードを高濃縮排水モードで実行している。本実施形態において、高濃縮排水モードで実行している場合とは、通常の排水モードが高濃縮排水モードである場合と、通常の排水モードが定期排水モードであるが一時的に排水モードを高濃縮排水モードに切り替えている場合とがある。
ステップST12において、腐食抑制剤添加制御部107は、高濃縮排水モードで実行中において、通常の排水モードが定期排水モードであるかを判定する。通常の排水モードが定期排水モードである場合(YES)には、処理は、ステップST13に進む。一方、通常の排水モードが高濃縮排水モードである場合(NO)には、処理は、ステップST14に進む。
ステップST13において、腐食抑制剤添加制御部107は、通常の排水モードが定期排水モードである場合における高濃縮排水モードを実行中において、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導度、pH値検出センサ43により検出されたpH値、又はシリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度に基づいて、腐食抑制剤を供給水W1に添加するように腐食抑制剤添加装置82を制御する。腐食抑制剤を供給水W1に添加する理由は、高濃縮排水モードに移行する前の定期排水モードでは、ボイラ水W2の濃縮が進行しにくいため、下部ヘッダ24や水管22で腐食の危険性が高まるためである。そこで、少なくとも高濃縮排水モードに移行した直後に、腐食抑制剤を供給水W1に添加することにより、下部ヘッダ24や水管22の腐食を抑制することができる。
ステップST14において、バルブ制御部101は、電気伝導率センサ45により検出された検出電気伝導率が所定値よりも大きいか否かを判定する。電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率が所定値よりも大きい場合(YES)には、分離水W4(ボイラ水W2)の濃縮度が高くブローラインL3により分離水W4を外部に排出する必要があるため、処理は、ステップST15に進む。一方、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率が所定値以下の場合(NO)には、分離水W4(ボイラ水W2)の濃縮度が低いため、処理は、ステップST14に戻り、分離水W4の電気伝導率を継続して検出する。
ステップST15において、バルブ制御部101は、ブロー弁93を閉状態から開状態に切り替えるように制御する。これにより、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4は、接続部J5及びブローラインL3を介して、ボイラ2の外部に排出される。
ステップST16において、バルブ制御部101は、分離水W4の排水時間が所定時間を経過したか否かを判定する。分離水W4の排水時間が所定時間を経過した場合(YES)には、ブローラインL3を介しての排水を停止させるため、処理は、ステップST17に進む。一方、分離水W4の排水時間が所定時間を経過しない場合(NO)には、分離水W4の排水を継続させるため、処理は、ステップST16に戻る。
ステップST17において、バルブ制御部101は、ブロー弁93を開状態から閉状態に切り替えるように制御する。これにより、降水ラインL6(降水管)を流通される分離水W4は、ブローラインL3を介して排出されずに、降水ラインL6を介して、ボイラ2の下部ヘッダ24に戻される。ステップST17の後、処理は、ステップST11へリターンする。
次に、定期排水モードを実行中におけるフローについて説明する。図5に示すように、ステップST21において、ボイラシステム1は、排水モードを定期排水モードで実行している。本実施形態において、定期排水モードで実行している場合とは、通常の排水モードが定期排水モードである場合と、通常の排水モードが高濃縮排水モードであるが一時的に排水モードを定期排水モードに切り替えている場合とがある。
ステップST22において、スケール防止剤添加制御部106は、定期排水モードで実行中において、通常の排水モードが高濃縮排水モードであるかを判定する。通常の排水モードが高濃縮排水モードである場合(YES)には、処理は、ステップST23に進む。一方、通常の排水モードが定期排水モードである場合(NO)には、処理は、ステップST24に進む。
ステップST23において、スケール防止剤添加制御部106は、通常の排水モードが高濃縮排水モードである場合における定期排水モードを実行中において、タイマ部102により計時された燃焼時間に基づいて、スケール防止剤を供給水W1に添加するようにスケール防止剤添加装置81を制御する。スケール防止剤を供給水W1に添加する理由は、定期排水モードに移行する前の高濃縮排水モードでは、ボイラ水W2が長時間排出されずに滞留することがあるため、熱負荷の高い水管22の内部においてスケールの発生及びスケールの付着の危険性が高まるためである。そこで、少なくとも定期排水モードに移行した直後に、スケール防止剤を供給水W1に添加することにより、水管22の内部においてスケールの発生及びスケールの付着を防止することができる。
ステップST24において、バルブ制御部101は、バーナ27の燃焼時間が所定時間を上回ったか否かを判定する。バーナ27の燃焼時間が所定時間を上回った場合(YES)には、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4を排出するため、処理は、ステップST25に進む。一方、バーナ27の燃焼時間が所定時間を上回らない場合(NO)には、分離水W4を排出する時期には至っていないため、処理は、ステップST24に戻る。
ステップST25において、バルブ制御部101は、ブロー弁93を閉状態から開状態に切り替えるように制御する。これにより、降水ラインL6(降水管)を流通される分離水W4は、接続部J5及びブローラインL3を介して、ボイラ2の外部に排出される。
ステップST26において、バルブ制御部101は、分離水W4の排水時間が所定時間を経過したか否かを判定する。分離水W4の排水時間が所定時間を経過した場合(YES)には、ブローラインL3を介しての排水を停止させるため、処理は、ステップST27に進む。一方、分離水W4の排水時間が所定時間を経過しない場合(NO)には、分離水W4の排水を継続させるため、処理は、ステップST26に戻る。
ステップST27において、バルブ制御部101は、ブロー弁93を開状態から閉状態に切り替えるように制御する。これにより、降水ラインL6(降水管)を流通される分離水W4は、ブローラインL3を介して排出されずに、降水ラインL6を介して、ボイラ2の下部ヘッダ24に戻される。ステップST27の後、処理は、ステップST21へリターンする。
上述した本実施形態に係るボイラシステム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
本実施形態におけるボイラシステム1においては、ボイラ水W2が貯留されるボイラ本体21と、ボイラ水W2を排出するブローラインL3と、バーナ27の燃焼時間に基づいてボイラ水W2を排出する定期排水モード、及び、電気伝導率に基づいてボイラ水W2を排出する高濃縮排水モードのうちの一方を通常の排水モードとして設定可能な排水モード設定部103と、ボイラ水W2又は供給水W1の水質に関する所定の条件を満たした場合において、通常の排水モードとして定期排水モードが設定されているときには定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替え、通常の排水モードとして高濃縮排水モードが設定されているときには高濃縮排水モードから定期排水モードに切り替える排水モード切替部104と、を備える。
そのため、通常の排水モードとして定期排水モード又は高濃縮排水モードで実行することによりボイラ水W2の過濃縮又は濃縮不足のいずれかの状態を回避することができる。また、定期排水モード又は高濃縮排水モードの実行中に、ボイラ水W2又は供給水W1の水質に関する所定の条件を満たし、ボイラ本体21での腐食又はスケール付着の危険性を察知した場合には、腐食の原因となる濃縮不足を解消するように、又は、スケール発生の原因となる過濃縮を解消するように、排水モードを切り替えることができる。従って、ボイラ水W2の水質を良好に保つように、ボイラ本体21からボイラ水W2を効率よく排出することができる。
また、本実施形態におけるボイラシステム1においては、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして高濃縮排水モードが設定されている場合に、スケール検出温度センサ42により検出された温度が上昇傾向にあるときには、排水モードを高濃縮排水モードから定期排水モードに切り替える。そのため、通常においては高濃縮排水モードを実行することで、ボイラ水W2の排出頻度を減らした状態でボイラ水W2の濃縮不足を解消し、ボイラ本体21での腐食を抑制できる。そして、ボイラ本体21にスケールが付着する傾向がある場合には、排水モードを定期排水モードに切り替えることでボイラ水W2の過濃縮を解消し、ボイラ本体21にスケールが付着することを防止することができる。
また、本実施形態におけるボイラシステム1においては、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして高濃縮排水モードが設定されている場合に、再生不良判定部105によりイオン交換樹脂床3aの再生処理が不良であると判定されたとき、又は、硬度検出センサ41により検出された硬度が所定値を上回るときには、排水モードを高濃度排水モードから定期排水モードに切り替える。そのため、通常においては高濃縮排水モードを実行することで、ボイラ水W2の排出頻度を減らした状態でボイラ水W2の濃縮不足を解消し、ボイラ本体21での腐食を抑制できる。そして、ボイラ水W2の硬度が高くなる危険性がある場合には、排水モードを定期排水モードに切り替えることでボイラ水W2の過濃縮を解消し、ボイラ本体21にスケールが付着することを防止することができる。
また、本実施形態におけるボイラシステム1においては、ボイラ本体21に供給される供給水W1にスケール防止剤を添加するスケール防止剤添加装置81と、定期排水モードを実行中において、タイマ部102により計時された燃焼時間に基づいて、スケール防止剤を供給水W1に添加するようにスケール防止剤添加装置81を制御するスケール防止剤添加制御部106を備える。そのため、定期排水モードを実行中にスケール防止剤を供給水W1に添加することにより、先に実行された高濃縮排水モードでボイラ水W2の過濃縮が進行していた場合でも、ボイラ本体21にスケールが付着することを防止できる。
また、本実施形態におけるボイラシステム1においては、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして定期排水モードが設定されている場合に、pH値検出センサ43により検出されたpH値が所定値を下回るとき、シリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度が所定値を下回るとき、又は、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率が所定値を下回るときには、排水モードを定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替える。そのため、通常においては定期排水モードを実行することで、ボイラ水W2の排出頻度を増やした状態でボイラ水W2の過濃縮を解消し、ボイラ本体21でのスケール付着を防止できる。そして、ボイラ水W2中の腐食抑制成分が少ない場合には、排水モードを高濃縮モードに切り替えることでボイラ水W2の濃縮不足を解消し、ボイラ本体21の腐食を抑制することができる。
また、本実施形態におけるボイラシステム1においては、排水モード切替部104は、通常の排水モードとして定期排水モードが設定されている場合に、溶存酸素濃度検出センサ44により検出された溶存酸素濃度が所定値を上回るときには、排水モードを定期排水モードから高濃縮排水モードに切り替える。そのため、通常においては定期排水モードを実行することで、ボイラ水W2の排出頻度を増やした状態でボイラ水W2のボイラ本体21でのスケール付着を防止できる。そして、ボイラ水W2中の溶存酸素濃度が高い場合には、排水モードを高濃縮モードに切り替えることでボイラ水W2のpH値を高め、溶存酸素に起因するボイラ本体21の腐食を抑制することができる。
また、本実施形態におけるボイラシステム1においては、ボイラ本体21に供給される供給水W1に腐食抑制剤を添加する腐食抑制剤添加装置82と、高濃縮排水モードを実行中において、電気伝導率センサ45により検出された電気伝導率、pH値検出センサ43により検出されたpH値、又はシリカ濃度センサ46により検出されたシリカ濃度に基づいて、腐食抑制剤を供給水W1に添加するように腐食抑制剤添加装置82を制御する腐食抑制剤添加制御部107と、を更に備える。そのため、高濃縮排水モードを実行中に腐食防止剤を供給水W1に添加することにより、先に実行された定期排水モードでボイラ水W2の濃縮不足が起こっていた場合でも、ボイラ本体21の腐食を抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。