以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るボイラシステム1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るボイラ20を含むボイラシステム1の概略を示す図である。図2は、各ボイラの燃焼パターン及び優先順位と蒸気圧制御範囲の蒸気圧帯との関係を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のボイラシステム1は、複数(3台)のボイラ20を含むボイラ群2と、ボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気集合部としての蒸気ヘッダ50と、蒸気圧測定手段としての蒸気圧センサ51と、台数制御手段としての台数制御装置53と、を備える。ボイラ20は、複数台(3台)のボイラ20からなるボイラ群2を構成する。
蒸気ヘッダ50の上流側は、蒸気管61を介してボイラ群2(各ボイラ20)に接続されている。蒸気ヘッダ50の下流側は、蒸気管62を介して蒸気使用設備58(負荷機器)に接続されている。蒸気ヘッダ50は、ボイラ群2で発生させた蒸気を集合させて溜め置くことにより各ボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備58に供給するようになっている。
蒸気圧センサ51は、信号線71を介して、台数制御装置53に電気的に接続されている。蒸気圧センサ51は、蒸気ヘッダ50の内部の蒸気圧(ボイラ群2で発生した蒸気の圧力)を測定し、測定した蒸気圧に係る信号(蒸気圧信号)を、信号線71を介して台数制御装置53に送信する。
本実施形態のボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ50を介して、蒸気使用設備58に供給可能とされている。ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、台数制御時においては、蒸気圧センサ51が測定する蒸気ヘッダ50の内部の蒸気圧(物理量)により代用されている。
蒸気使用設備58の需要の増大により負荷が増加し、供給蒸気量が不足すれば、蒸気ヘッダ50の内部の蒸気圧が減少することになる。一方、蒸気使用設備58の需要の低下により負荷が減少し、供給蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ50の内部の蒸気圧が増加することになる。このため、蒸気圧センサ51からの蒸気圧信号により負荷の変動をモニターすることができる。ボイラシステム1は、この蒸気圧に基づいて蒸気使用設備58の消費蒸気量に対応する蒸発量を算出するようになっている。
ボイラ20は、複数の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラから構成されている。段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。
各燃焼位置における燃焼量は、制御対象とされる蒸気ヘッダ50における蒸気圧(制御対象)の圧力差に対応する量の蒸気を発生するように、設定されている。段階値制御ボイラからなる3台のボイラ20には、それぞれ、各燃焼位置における燃焼量及び燃焼能力(高燃焼状態における燃焼量)が、等しく設定されている。
本実施形態におけるボイラ20は、
1)燃焼停止状態(燃焼停止位置:0%)
2)低燃焼状態(低燃焼位置:50%)
3)高燃焼状態(高燃焼位置:100%)
の3段階の燃焼状態(燃焼位置、負荷率)に制御可能とされる、いわゆる3位置制御が行われるようになっている。この場合、高燃焼状態の燃焼量を1.0と捉えれば、各ボイラ20の燃焼量は0.5刻みで変更することができることになる。
なお、N位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止状態を含めてN位置に段階的に制御可能なことを表す。燃焼位置の個数は、2位置(つまり、オン/オフのみ)、4位置(燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置及び高燃焼位置)、又は5位置以上でもよい。
ボイラ群2には、各ボイラ20とその各燃焼位置との組み合わせからなる燃焼パターンが設定されている。本実施形態においては、図2に示すように、燃焼パターンは、ボイラを高燃焼状態とする場合を「H」、低燃焼状態とする場合を「L」、燃焼停止状態とする場合を「−」として示す。燃焼パターンは、蒸気圧センサ51にて検出される蒸気圧が高くなるほど燃焼量が小さいパターンが選択され、蒸気圧が低下するほど燃焼量が大きいパターンが選択される。図2に示すように、蒸気圧制御範囲を7つの蒸気圧帯に区分し、蒸気圧帯ごとに、対応する燃焼パターンを、言い換えると燃焼状態(燃焼位置)を設定しておき、蒸気圧がどの圧力帯に対応するかによって燃焼量を決定する。燃焼パターンは、7つの蒸気圧帯に対応して、7つ設定される。
複数台のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。本実施形態においては、図2に示すように、3台のボイラ20のうち、1号機の優先順位が第1位、2号機の優先順位が第2位、3号機の優先順位が第3位に設定されている。7つの蒸気圧帯において、最上位の蒸気圧帯においては、全てのボイラ20が燃焼停止状態「−」であり、最下位の蒸気圧帯においては、全てのボイラ20が高燃焼状態「H」である。最上位の蒸気圧帯から最下位の蒸気圧帯に向けて、1号機から3号機の順で、「−」→「L」→「H」に燃焼状態が変更される。
本実施形態においては、優先順位が高いボイラが低燃焼状態「L」から高燃焼状態「H」に変更された後に、次に順位が高いボイラが燃焼停止状態「−」から低燃焼状態「L」に変更される。なお、優先順位が高いボイラが燃焼停止状態「−」から低燃焼状態「L」に変更された後で且つ高燃焼状態「H」に変更される前に、次に順位が高いボイラが燃焼停止状態「−」から低燃焼状態「L」に変更されてもよい。
ボイラ20は、図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21と、各ボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を制御するローカル制御装置25と、各ボイラ20の内部の蒸気圧を測定する蒸気圧測定手段としてのローカル蒸気圧測定部29と、を有する。
ローカル制御装置25は、各ボイラ20を制御し、要求される負荷に応じて燃焼位置(燃焼状態)を変更させることが可能とされている。ローカル制御装置25は、台数制御時には、台数制御装置53による台数制御信号に基づいて各ボイラ20を制御し、一方、ローカル制御時には、ボイラ20を直接、制御する。
ローカル蒸気圧測定部29は、例えば、蒸気圧センサ及び蒸気圧スイッチから、又は蒸気圧スイッチのみから構成され、各ボイラ20の上部ヘッダ23(後述)の内部の蒸気圧を測定する。ローカル蒸気圧測定部29は、各ボイラ20のローカル制御を行う際に用いられる蒸気圧を測定する。
各ボイラ20は、信号線72を介して、台数制御装置53に電気的に接続されている。各ボイラ20には、供給水W1及び燃料Fが供給される。各ボイラ20からは、乾き蒸気SM2が送出される(図3参照)。なお、各ボイラ20及び各ボイラ20の周辺の構成については後述する。
ローカル制御装置25は、台数制御時において台数制御装置53で用いられる信号を、信号線72を介して台数制御装置53に送信する。台数制御装置53で用いられる信号としては、例えば、ボイラ20に要求される負荷などの信号、ボイラ20の実際の燃焼状態、その他のデータが挙げられる。また、ローカル制御装置25は、制御対象のボイラ20が運転可能であるときには、運転可能であることを示す信号(運転可能信号)を、信号線72を介して台数制御装置53に送信する。
台数制御が行われる場合には、ローカル制御装置25は、蒸気圧センサ51により測定される蒸気ヘッダ50の内部の蒸気圧が高くなったときには燃焼位置を低い方に移行させて(燃焼停止位置への移行を含む)、蒸発量を減少させ、一方、蒸気ヘッダ50の内部の蒸気圧が低くなったときには燃焼位置を高い方に移行させて、蒸発量を増加させるように、各ボイラ20の燃焼位置を制御する。
ローカル制御が行われる場合には、ローカル制御装置25は、ローカル蒸気圧測定部29により測定されるボイラ20の内部の蒸気圧が高くなったときには燃焼位置を低い方に移行させて(燃焼停止位置への移行を含む)、蒸発量を減少させ、一方、ボイラ20の内部の蒸気圧が低くなったときには燃焼位置を高い方に移行させて、蒸発量を増加させるように、各ボイラ20の燃焼位置を制御する。なお、ローカル制御装置25の詳細については後述する。
台数制御装置53は、信号線72を介して、各ボイラ20に電気的に接続されている。台数制御装置53は、ボイラ20が高いボイラ効率(燃焼効率)で運転されるように、各ボイラ20の台数制御を行う。なお、各ボイラ20でローカル制御が行われる場合には、台数制御装置53による台数制御は行われない。
台数制御装置53は、各ボイラ20から受信される要求負荷などの信号に基づいて、ボイラ群2の必要燃焼量及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20のローカル制御装置25に台数制御信号を送信する。これにより、台数制御装置53は、各ボイラ20の燃焼量を制御し、ボイラ群2の台数制御を行うようになっている。
台数制御装置53は、信号線71を介して、蒸気圧センサ51からの蒸気圧信号を受信する。台数制御装置53は、蒸気圧センサ51からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に対応する必要な燃焼量を設定し、その必要燃焼量に従って各ボイラ20に燃焼位置の変更を指示し、3台のボイラ20の燃焼量を制御する。
詳述すると、台数制御装置53は、蒸気圧センサ51によって測定された蒸気圧に基づいて、蒸気圧が所定の蒸気圧制御範囲(図2参照)に収まるように、燃焼パターンを選択する。台数制御装置53は、要求負荷の変動により燃焼量が不足している場合には、燃焼停止位置から低燃焼位置、又は低燃焼位置から高燃焼位置に燃焼位置を引き上げる指示を、ボイラ20に行う。要求負荷の変動により燃焼量が過剰になっている場合には、高燃焼位置から低燃焼位置、低燃焼位置から燃焼停止位置、又は高燃焼位置から燃焼停止位置に燃焼位置を引き下げる指示を、ボイラ20に行う。
なお、ボイラ20の燃焼又はその停止は、仮想ボイラ単位で扱うこともできる。仮想ボイラとは、ボイラにおける燃焼位置(燃焼量)の違い(低燃焼位置、中燃焼位置、高燃焼位置など)をそれぞれ独立したボイラとみなし、それぞれの蒸発量をボイラに仮想したものである。例えば、オン/オフボイラ(2位置ボイラ)であれば、仮想ボイラは、1台であり、実際の物理的なボイラ数と一致する。また、3位置ボイラは、物理的に1台であっても、低燃焼量ボイラと、(高燃焼量−低燃焼量)ボイラとの2台であると、仮想的に数えることができる。4位置ボイラは、低燃焼量ボイラ、(中燃焼量−低燃焼量)ボイラ、(高燃焼量−中燃焼量)ボイラの3台であると、仮想的に数えることができる。よって、3位置ボイラが低燃焼状態であれば、その低燃焼量ボイラに対して燃焼指示を行っていると、制御上扱うことができ、一方、その(高燃焼量−低燃焼量)ボイラに対して燃焼停止指示を行っていると、制御上扱うことができる。
台数制御装置53は、各ボイラ20のローカル制御装置25と信号線72を介して接続されている。台数制御装置53は、信号線72を介して各ボイラ20のローカル制御装置25に各種の指示を行ったり、ローカル制御装置25から各種のデータを受信したりして、3台のボイラ20に対して上述の制御を行う。各ボイラ20のローカル制御装置25は、台数制御装置53から燃焼位置の変更指示の信号を受けると、その指示に従ってボイラ20を制御する。複数のボイラを備えたボイラシステムの負荷量から定めた必要燃焼量に対して、実際の燃焼量が不足していれば、ボイラ20に燃焼指示を行い、実際の燃焼量が過剰であれば、ボイラ20に燃焼停止指示を行う。
次に、各ボイラ20の構成及び各ボイラ20の周辺の構成について説明する。図3は、本発明の各ボイラ20の構成及び各ボイラ20の周辺の構成の概略を示す図である。各ボイラ20の構成は、それぞれ同様の構成であるため、1つのボイラ20について説明する。
図3に示すように、本実施形態のボイラシステム1は、前述のボイラ20及び蒸気ヘッダ50に加えて、硬水軟化装置3と、給水タンク5と、を備える。図3では、電気的な接続の経路を破線で示す。
また、ボイラシステム1は、硬度検出センサ41と、スケール検出手段としてのスケール検出温度センサ42と、温度検出手段としての上部ヘッダ温度検出センサ43と、電気伝導率センサ45と、を備える。
また、ボイラシステム1は、供給水ラインL1と、燃料供給ラインL2と、ブローラインL3と、蒸気取出ラインL4と、蒸気送出ラインL5と、降水ラインL6と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
ボイラ20は、蒸気使用設備58に供給する蒸気を生成する。ボイラ20は、ボイラ本体21と、バーナ27と、燃焼室26と、満水検出電極棒28と、水位検出器31と、給水ポンプ6と、気水分離器7と、ローカル蒸気圧測定部29と、ローカル制御装置25と、を備える。ボイラ本体21は、複数の水管22と、上部管寄せとしての上部ヘッダ23と、下部管寄せとしての下部ヘッダ24と、からなる圧力容器を形成している。
供給水ラインL1は、供給水W1をボイラ本体21に供給するラインである。供給水ラインL1の上流側の端部は、供給水W1の供給源(不図示)に接続されている。供給水ラインL1の下流側の端部は、ボイラ本体21の下部ヘッダ24(後述)に接続されている。供給水ラインL1には、供給源からボイラ20に向けて順に、硬水軟化装置3、接続部J1、給水タンク5及び給水ポンプ6が設けられている。
硬水軟化装置3は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオン(又はカリウムイオン)へ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置3は、陽イオン交換樹脂床3aを有する。陽イオン交換樹脂床3aは、ボイラ本体21に供給される供給水W1の軟水化処理を行う。硬水軟化装置3は、原水W0を陽イオン交換樹脂床3aで軟水化して得られた処理水(軟水)を供給水W1としてボイラ20に向けて供給する。
接続部J1には、硬度検出センサ41が接続されている。硬度検出センサ41は、硬水軟化装置3により軟水化された供給水W1の硬度を検出する。硬度検出センサ41で検出された供給水W1の硬度に関する情報は、ローカル制御装置25へ検出信号として送信される。
給水タンク5は、硬水軟化装置3により軟水化された処理水を、供給水W1として貯留する。給水タンク5に貯留された供給水W1は、給水ポンプ6によりボイラ本体21に供給される。給水ポンプ6は、給水タンク5から供給水W1を吸入し、供給水ラインL1を流通する供給水W1をボイラ本体21に向けて送出する。給水ポンプ6は、ローカル制御装置25と電気的に接続されている。給水ポンプ6が供給水W1をボイラ本体21に送り出すタイミングは、ローカル制御装置25から送信される駆動信号により制御される。
ボイラ本体21は、図3に示すように、上下のヘッダ間に鉛直方向に立設された水管群により構成され、ボイラ20の外形の主要部を構成する。ボイラ本体21には、供給水ラインL1により供給された供給水W1が内部にボイラ水W2として貯留される。なお、ボイラ水W2には、ボイラ本体2に一旦ボイラ水W2として溜まった後に蒸気として取り出されて、ボイラ本体2に戻ってくる水が含まれる。例えば、ボイラ水W2には、気水分離器7(後述)により分離されてボイラ本体21に返送される分離水W4も含まれる。
複数の水管22は、ボイラ本体21の上下方向に延びて配置される。上部ヘッダ23は、ボイラ本体21の上部に配置される。上部ヘッダ23は、例えば、環状の容器により構成される。上部ヘッダ23には、複数の水管22の上端部が接続される。上部ヘッダ23を、「上部管寄せ」ともいう。上部ヘッダ23には、後述する蒸気取出ラインL4の一方側の端部が接続される。
下部ヘッダ24は、ボイラ本体21の下部に配置される。下部ヘッダ24は、例えば、環状の容器により構成される。下部ヘッダ24には、複数の水管22の下端部が接続される。下部ヘッダ24を、「下部管寄せ」ともいう。下部ヘッダ24の側壁の一方には、供給水ラインL1の端部が接続される。下部ヘッダ24の側壁の他方には、降水ラインL6の端部が接続される。燃焼室26は、複数の水管22に囲まれた空間により構成される。
バーナ27は、燃焼することによりボイラ本体21の内部を加熱する。バーナ27は、ボイラ本体21の上部側の中央部に配置される。バーナ27は、燃料噴射ノズル及び空気供給ノズル(いずれも図示せず)を含んで構成される。バーナ27は、燃料噴射ノズルから燃料をボイラ本体21の燃焼室26に向けて噴射すると共に、空気供給ノズルから空気をボイラ本体21の内部に供給して、燃料を燃焼させる。
満水検出電極棒28は、水管22(ボイラ本体21)に貯留されるボイラ水W2の量が満水位置(所定量)を上回る場合に、ボイラ水W2の満水を検出する。満水検出電極棒28は、その先端がボイラ水W2に接触した場合に、ボイラ本体21の水管22に貯留されたボイラ水W2の満水を検出する。満水検出電極棒28は、ローカル制御装置25と電気的に接続されている。満水検出電極棒28で検出されたボイラ水W2の満水の検出信号は、ローカル制御装置25へ送信される。
水位検出器31は、水管22に貯留されるボイラ水W2の水位を検出する。水位検出器31は、水位検出筒31dと、3本の電極棒31a,31b,31cとを有する。水位検出筒31dの上端部は、接続ラインを介して上部ヘッダ23に接続されている。水位検出筒31dの下端部は、接続ラインを介して下部ヘッダ24に接続されている。水位検出筒31dは、上端部が上部ヘッダ23に接続されると共に下端部が下部ヘッダ24に接続されることで、水管22と同じ高さの水位で、ボイラ水W2を貯留する。
3本の電極棒31a,31b,31cは、それぞれの先端がボイラ水W2に接触した場合に、ボイラ水W2の存在を検出する。3本の電極棒31a,31b,31cの長さは、第1電極棒31a、第2電極棒31b、第3電極棒31cの順に短くなっている。水管22に貯留されるボイラ水W2の水位は、3本の電極棒31a,31b,31cのそれぞれの先端がボイラ水W2に接触しているか否かの相互の関係により検出される。例えば、第1電極棒31aの先端がボイラ水W2に接触しており、かつ、第2電極棒31bの先端がボイラ水W2に接触していない場合には、水管22に貯留されるボイラ水W2の水位は、第1電極棒31aの先端と第2電極棒31bの先端との間の高さである。本実施形態においては、第2電極棒31bの先端と第3電極棒31cの先端との間の水位を基準水位としている。なお、基準水位とは、ボイラ20が通常運転時における目標水位である。3本の電極棒31a,31b,31cそれぞれは、ローカル制御装置25と電気的に接続されている。3本の電極棒31a,31b,31cで検出されたボイラ水W2の検出信号は、ローカル制御装置25へ送信される。
燃料供給ラインL2は、バーナ27により燃焼される燃料Fをバーナ27に供給するラインである。燃料供給ラインL2の上流側の端部は、燃料Fの供給源(不図示)に接続されている。燃料供給ラインL2の下流側の端部は、バーナ27に接続されている。燃料供給ラインL2には、燃料供給弁92が設けられている。燃料供給弁92は、バーナ27に供給される燃料の量を調整する弁である。燃料供給弁92は、燃料供給ラインL2を開閉することができる。燃料供給弁92における弁体の開閉は、ローカル制御装置25からの駆動信号により制御される。
蒸気取出ラインL4は、ボイラ20により生成された蒸気SM1を、ボイラ本体21から取り出して、気水分離器7に導入させるラインである。蒸気取出ラインL4の上流側の端部は、ボイラ本体21の上部ヘッダ23の上面部に接続されている。蒸気取出ラインL4の下流側の端部は、気水分離器7の側部の上方側に接続されている。
気水分離器7は、上部ヘッダ23から蒸気取出ラインL4を介して導入された蒸気SM1を、乾き蒸気SM2と水分(以下「分離水W4」ともいう)とに分離する装置である。なお、前述のとおり、気水分離器7により分離される分離水W4は、ボイラ水W2の一部でもある。
蒸気送出ラインL5は、気水分離器7により分離された乾き蒸気SM2を、蒸気ヘッダ50に向けて送り出すラインである。蒸気送出ラインL5の上流側の端部は、気水分離器7の上面に接続されている。蒸気送出ラインL5の下流側の端部は、蒸気ヘッダ50に接続されている。なお、蒸気送出ラインL5は、図1における蒸気管61に相当する。
蒸気送出ラインL5には、気水分離器7から蒸気ヘッダ50に向けて順に、蒸気弁95が設けられている。蒸気弁95は、蒸気ヘッダ50に向けて送り出す蒸気の量を調整する弁である。蒸気弁95は、蒸気送出ラインL5を開閉することができる。本実施形態においては、蒸気弁95は、手動により開閉状態を切り替え可能な弁である。また、蒸気ヘッダ50は、前述のように、複数台設置されたボイラ20からの蒸気を集合させて、集合した蒸気SM3を蒸気使用設備58に分配させる設備である。
降水ラインL6は、気水分離器7により分離された分離水W4を、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に向けて流下させるラインである。降水ラインL6の上流側の端部は、気水分離器7の下部に接続されている。降水ラインL6の下流側の端部は、下部ヘッダ24に接続されている。降水ラインL6には、気水分離器7からボイラ本体21に向けて順に、接続部J5及び接続部J4が設けられている。降水ラインL6を「降水管」ともいう。
接続部J4には、電気伝導率センサ45が接続されている。電気伝導率センサ45は、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4の電気伝導率を検出するセンサである。なお、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4は、ボイラ水W2の一部である。電気伝導率センサ45は、ローカル制御装置25と電気的に接続されている。電気伝導率センサ45で検出された分離水W4(ボイラ水W2)の電気伝導率値は、ローカル制御装置25へ検出信号として送信される。
接続部J5には、ブローラインL3の上流側の端部が接続されている。ブローラインL3は、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4(ボイラ水W2)を、接続部J5を介して、ボイラ20の外部に排出するラインである。ブローラインL3には、ブロー弁93が設けられている。ブロー弁93は、ブローラインL3を開閉することができる。ブロー弁93における弁体の開閉は、ローカル制御装置25からの駆動信号により制御される。ブロー弁93を開状態にすることにより、降水ラインL6(降水管)を流通する分離水W4(ボイラ水W2)を外部に排出する。
スケール検出温度センサ42は、ボイラ本体21の温度を検出する温度センサである。スケール検出温度センサ42は、水管22の外面に取り付けられている。スケール検出温度センサ42は、水管22の内部に付着したスケールの量を検出するために、水管22の外面の温度を検出する。燃焼中に水管22の温度が高い場合には、水管22の内部に付着するスケールの量が多くなり、バーナ27で発生させた熱量がボイラ水W2に伝達しにくい状態となっている。すなわち、水管22の温度が上昇傾向である場合には、水管22の熱伝導率が悪化しており、スケールの発生及びボイラ本体21へのスケールの付着の危険性が高まっていることを示している。また、燃焼待機中に水管22の温度が基準値よりも低い場合には、ボイラ本体21の内部の圧力が負圧になりやすい状態となっている。すなわち、水管22の温度が基準値よりも高い場合に比べて、蒸気がボイラ本体21の内部に流入(逆流)する危険性が高まっていることを示している。
スケール検出温度センサ42は、制御装置10と電気的に接続されている。スケール検出温度センサ42で検出されたボイラ本体21の外面の温度は、制御装置10へ検出信号として送信される。
上部ヘッダ温度検出センサ43は、上部ヘッダ23の内部の温度を検出する温度センサである。上部ヘッダ温度検出センサ43は、上部ヘッダ23の内部に配置されている。上部ヘッダ23の内部の温度が低い場合には、ボイラ本体21の内部の圧力が負圧になりやすい状態となっている。すなわち、上部ヘッダ23の内部の温度が基準値よりも高い場合に比べて、蒸気がボイラ本体21の内部に流入(逆流)する危険性が高まっている。
上部ヘッダ温度検出センサ43は、制御装置10と電気的に接続されている。上部ヘッダ温度検出センサ43で検出されたボイラ本体21の外面の温度は、制御装置10へ検出信号として送信される。
次に、図4を参照して、本実施形態のボイラシステム1のローカル制御装置25の制御に係る機能について説明する。図4は、本実施形態のボイラ20におけるローカル制御装置25の機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、ローカル制御装置25は、各ボイラ2及び各ボイラ2の周辺の構成を制御する。ローカル制御装置25は、各ボイラ2における各測定装置に電気的に接続され、各測定装置から測定情報を受信する。例えば、ローカル制御装置25は、給水ポンプ6に電気的に接続され、ボイラ本体21内のボイラ水W2の水位に応じて、供給水W1をボイラ20に向けて送り出すように給水ポンプ6を制御する。
ローカル制御装置25は、ローカル制御部100と、ローカル記憶部110と、備える。ローカル制御部100は、バルブ制御部101と、タイマ部102と、燃焼制御手段としての燃焼制御部107と、を備える。
バルブ制御部101は、燃料供給弁92及びブロー弁93の開閉状態を制御する。タイマ部102は、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を継続して下回っている場合における継続時間や、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が継続して所定値を上回っている場合における継続時間等を計時する。
燃焼制御部107は、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合に、ボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御する。上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合には、ボイラ本体21の内部の圧力が負圧になりやすく、蒸気が上部ヘッダ23に流入(逆流)して凝縮水となる可能性があるためである。このような場合には、バーナ27を強制的に燃焼させて、蒸気が上部ヘッダ23に流入(逆流)することを防止する。バーナ27の強制的な燃焼は、上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を上回るまでの間、例えば、1〜2分程度実行される。
上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された温度が所定値を下回る場合とは、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された温度が所定値を所定時間継続して下回る場合である。言い換えると、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された温度が所定値を下回る場合とは、上部ヘッダ23の内部の温度が一時的に所定値を下回っている場合ではなく、上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を所定時間継続して確実に下回った場合を意味する。この所定時間は、例えば、10〜30分程度に設定される。
また、燃焼制御部107は、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る場合には、ボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御する。ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る場合には、ボイラ本体21の内部の圧力が燃焼時の圧力に対して負圧になっており、蒸気が上部ヘッダ23に流入(逆流)して凝縮水となる可能性があるためである。このような場合には、バーナ27を強制的に燃焼させて、蒸気が上部ヘッダ23に流入(逆流)することを防止する。バーナ27の強制的な燃焼は、上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を上回るまでの間、例えば、1〜2分程度実行される。
ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る場合とは、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を所定時間継続して下回る場合である。言い換えると、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る場合とは、上部ヘッダ23の内部の圧力が一時的に所定値を下回っている場合ではなく、上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を所定時間継続して確実に下回った場合を意味する。この所定時間は、例えば、10〜30分程度に設定される。
燃焼制御部107は、複数台のボイラ20のうちの他のボイラ20の燃焼中において、燃焼待機中のボイラ20(以下「待機ボイラ」ともいう)のボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御する。他のボイラ20の燃焼中においては、蒸気ヘッダ50に集合された他のボイラ20の蒸気は、完全には遮断されない場合があり、待機ボイラ20のボイラ本体21に流入(逆流)する可能性があるためである。このような場合には、他のボイラ20の燃焼中において、待機ボイラ20のバーナ27を強制的に燃焼させて、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部への他のボイラ20からの蒸気の流入(逆流)を抑制する。
ローカル記憶部110は、各ボイラの運転を実施する制御プログラムや、所定のパラメータや、各種テーブル等を記憶する。
次に、図1及び図3を参照して、本実施形態のボイラシステム1の動作について簡単に説明する。まず、各ボイラ20単体の動作について説明する。図3に示すように、ボイラ20に供給される供給水W1は、供給源(不図示)から給水タンク5へ供給される。この際、供給源から供給される供給水W1は、硬水軟化装置3において硬度成分が除去され、軟化水となる。そして、硬水軟化装置3により生成された軟化水は、供給水W1として給水タンク5に貯留される。ここでは、燃料供給弁92及びブロー弁93は、閉状態である。
次に、給水ポンプ6を作動させることにより、給水タンク5に貯留された供給水W1(軟化水)は、供給水ラインL1を通して、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に向けて送り出される。そして、ボイラ20に供給された供給水W1は、下部ヘッダ24及び各水管22において、ボイラ水W2として貯留される。
次に、燃料供給弁92を閉状態から開状態に切り替えることで、バーナ27に燃料を供給する。バーナ27が着火されることで、バーナ27は、燃焼を開始する。
下部ヘッダ24及び各水管22に貯留されたボイラ水W2は、水管壁を通してバーナ27により加熱されながら、各水管22の内部を上昇していき、その後、蒸気SM1となる。そして、各水管22の内部において生成された蒸気SM1は、上部ヘッダ23に集められ、蒸気取出ラインL4を介して、気水分離器7に導入される。
気水分離器7に導入された蒸気SM1は、乾き蒸気SM2と分離水W4とに分離される。気水分離器7で分離された乾き蒸気SM2は、蒸気弁95を閉状態から開状態に切り替えておくことにより、蒸気送出ラインL5を通して、蒸気ヘッダ50において集合される。気水分離器7で分離された分離水W4は、降水ラインL6を通して下部ヘッダ24に戻される。
次に、3台のボイラ20からなるボイラ群の動作について説明する。図1に示すように、台数制御装置53は、蒸気圧センサ51からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に対応する必要な燃焼量を設定し、その必要燃焼量に従って各ボイラ20に燃焼位置の変更を指示し、3台のボイラ20の燃焼量を制御する。また、3台のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。台数制御装置53は、ボイラ20の優先順位に基づいて、各ボイラの燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラを選択して、3台のボイラ20の燃焼量を制御する。そして、3台のボイラ20により生成された蒸気は、蒸気ヘッダ50に集合される。蒸気ヘッダ50に集合された蒸気SM3は、蒸気使用設備58へ供給される。
次に、本実施形態のボイラシステム1において、待機ボイラ20におけるバーナ27を強制的に燃焼させる制御について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係るボイラ20の動作を示すフローチャートである。本実施形態におけるバーナ27を強制的に燃焼させる制御は、台数制御装置53による制御とは無関係に、ローカル制御装置25による制御により個別の待機ボイラ20に対して行われる。詳細については後述するが、ローカル制御装置25の燃焼制御部107は、バーナ27を強制的に燃焼させるか否かの判定を行う。ローカル制御装置25により待機ボイラ20のバーナ27を強制的に燃焼させるか否かの判定する制御において、バーナ27を強制的に燃焼させるか否かの判定を行う待機ボイラ20以外のボイラを他のボイラ20ともいう。
図5に示すように、ステップST1において、燃焼制御部107は、ローカル制御装置25が受信した台数制御装置53からの信号により、複数台のボイラ20のうちの他のボイラ20が燃焼中であるか否かを判定する。他のボイラ20が燃焼中の場合(YES)には、蒸気ヘッダ50に集合された他のボイラ20の蒸気が待機ボイラ20のボイラ本体21に流入(逆流)する可能性があるため、処理は、ステップST2に進む。他のボイラ20が燃焼していない場合(NO)には、他のボイラ20の蒸気が待機ボイラ20のボイラ本体21に流入(逆流)する可能性が低いため、処理は、ステップST1へリターンする。
ステップST2において、燃焼制御部107は、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回るか否かを判定する。上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合(YES)には、蒸気が上部ヘッダ23に流入(逆流)して凝縮水となる可能性があるため、処理は、ステップST3に進む。上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を上回る場合(NO)には、蒸気が上部ヘッダ23に流入(逆流)する可能性が低いため、処理は、ステップST1へリターンする。
ステップST3において、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る時間が、所定時間継続しているか否かを判定する。上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る時間が所定時間継続している場合(YES)には、上部ヘッダ23の内部の温度が確実に所定値を下回っているため、処理は、ステップST4に進む。上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る時間が所定時間継続しない場合(NO)には、上部ヘッダ23の内部の温度が一時的に所定値を下回っているにすぎない可能性があるため、処理は、ステップST2に戻る。
ステップST4において、燃焼制御部107は、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回るか否かを判定する。上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る場合(YES)には、蒸気がボイラ本体21の内部に流入(逆流)して凝縮水となる可能性があるため、処理は、ステップST5に進む。上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を上回る場合(NO)には、蒸気が上部ヘッダ23に流入(逆流)する可能性が低いため、処理は、ステップST1へリターンする。
ステップST5において、ローカル蒸気圧測定部29により検出された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る時間が、所定時間継続しているか否かを判定する。上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る時間が所定時間継続している場合(YES)には、上部ヘッダ23の内部の圧力が確実に所定値を下回っているため、処理は、ステップST6に進む。上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る時間が所定時間継続してない場合(NO)には、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部の圧力が一時的に所定値を下回っているにすぎない可能性があるため、処理は、ステップST4に戻る。
ステップST6において、燃焼制御部107は、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部を加熱するように、バーナ27を制御する。本実施形態においては、燃焼制御部107は、バーナ27を1〜2分程度燃焼させる。このようにして、バーナ27が強制的に燃焼されて、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部は加熱される。これにより、ボイラ本体21の内部の圧力が高められるため、他のボイラ20で発生した蒸気が待機ボイラ20のボイラ本体21の内部に流入(逆流)することが抑制される。その結果、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部で蒸気が凝縮水となることが回避される。従って、待機ボイラ20においてボイラ水W2の水位が上昇することを防止することができる。
また、本実施形態においては、ステップST1〜ステップST5の判定条件を全て満たした場合(全てYESの場合)に、燃焼制御部107は、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部を加熱するように、バーナ27を制御している。そのため、ステップST2における上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合(YES)にのみバーナ27を燃焼させるよりも、バーナ27が頻繁に(過剰に)燃焼されることを抑制することができる。
以上の制御は、台数制御装置53による制御とは無関係に、ローカル制御装置25において行われる。そのため、個別の待機ボイラ20において、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部に蒸気が流入(逆流)することが抑制され、蒸気が凝縮水となることが回避される。ステップST6の後に、処理は、リターンする。
本実施形態のボイラ20によれば、例えば、次の効果が奏される。本実施形態のボイラ20においては、上部ヘッダ23の内部の温度を検出する上部ヘッダ温度検出センサ43と、水管22の内部に付着したスケールの量を検出するために水管22の温度を検出するスケール検出温度センサ42と、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された温度が所定値を下回る場合に、ボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御する燃焼制御部107と、を備える。そのため、ボイラ本体21が冷える前に内部の圧力が高められ、蒸気が流入(逆流)することが抑制される。これにより、ボイラ水W2の水位が上昇することを防止することができる。従って、満水ブロー制御によりボイラ水W2を排出する頻度を少なくすることができるため、ボイラ水W2の濃縮度、特にpH値が低くなる頻度が低減されて、ボイラ本体21の腐食を抑制することができる。
また、本実施形態のボイラ20においては、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された温度が所定値を下回る場合とは、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された温度が所定値を所定時間継続して下回る場合である。そのため、上部ヘッダ23の内部の温度が一時的に所定値を下回っている場合には、バーナ27を燃焼させる制御を行わない。従って、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された温度が所定値を確実に下回った場合に、バーナ27を燃焼させる制御を行うことができる。
また、本実施形態のボイラ20においては、上部ヘッダ23の内部の蒸気圧を測定するローカル蒸気圧測定部29を更に備え、燃焼制御部107は、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る場合には、ボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御する。そのため、圧力低下によって蒸気がボイラ本体21に流入(逆流)する可能性がある場合には、バーナ27でボイラ本体21の内部を加熱することにより、蒸気がボイラ本体21に流入(逆流)することを抑制することができる。これにより、ボイラ水W2の水位が上昇することを防止することができる。
また、本実施形態のボイラ20においては、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を下回る場合とは、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を所定時間継続して下回る場合である。そのため、ボイラ本体21の内部の圧力が一時的に所定値を下回っている場合には、バーナ27を燃焼させる制御を行わない。従って、ローカル蒸気圧測定部29により測定された上部ヘッダ23の内部の圧力が所定値を確実に下回った場合に、バーナ27を燃焼させる制御を行うことができる。
また、本実施形態のボイラ20においては、燃焼制御部107は、複数台のボイラ20のうちの他のボイラ20の燃焼中において、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御する。そのため、他のボイラ20の蒸気が待機ボイラ20のボイラ本体21に流入(逆流)する可能性がある場合に、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部の圧力を上昇させることができる。これにより、待機ボイラ20のボイラ本体21への蒸気の流入(逆流)を防止することができる。
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、ステップST1〜ステップST5の判定条件を全て満たした場合(全てYESの場合)に、燃焼制御部107は、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部を加熱するように、バーナ27を制御しているが、これに制限されない。燃焼制御部107は、ステップST2における上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合(YES)にのみ、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御してもよい。
また、燃焼制御部107は、ステップST2における上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合(YES)に加えて、ステップST1、ステップST2,ST3、ステップST4,ST5の判定条件のうちのいずれか1つ以上の判定条件を満たした場合(YESの場合)に、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御してもよい。この場合には、ステップST2における上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合(YES)に加えて、他の判定条件を満たした場合(YESの場合)にバーナ27を燃焼させることにより、ステップST2における上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合(YES)にのみバーナ27を燃焼させるよりも、バーナ27が頻繁に(過剰に)燃焼されることを抑制することができる。
また、前述の実施形態においては、燃焼制御部107は、上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合に、待機ボイラ20のボイラ本体21の内部を加熱するようにバーナ27を制御しているが、これに制限されない。例えば、燃焼制御部107は、「上部ヘッダ温度検出センサ43により検出された上部ヘッダ23の内部の温度が所定値を下回る場合」いるという前記条件に代えて、「スケール検出温度センサ42により検出された水管22の温度が所定値を下回る場合」に、バーナ27を燃焼させることもできる。
スケール検出温度センサ42により検出された温度が所定値を下回る場合とは、スケール検出温度センサ42により検出された温度が所定値を所定時間継続して下回る場合である。この所定時間は、例えば、10〜30分程度に設定される。これにより、スケール検出温度センサ42により検出された温度が所定値を確実に下回った場合に、バーナ27を燃焼させる制御を行うことができる。
また、前述の実施形態においては、複数台のボイラの数を3台としたが、これに制限されない。複数台のボイラの数を、2台で構成してもよいし、4台以上で構成してもよい。
蒸気集合部は、集合させた蒸気を貯留する蒸気ヘッダ50に制限されず、例えば、単に蒸気を集合させるだけの蒸気集合管でもよい。