JP5830672B2 - 補聴器フィッティング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、補聴器の使用設定を行う補聴器フィッティング装置に関するものである。
補聴器フィッティング装置は、補聴器の補聴特性を、この補聴器使用者の聴力に合わせて設定するものである。
実際の設定時には、先ず、使用者の聴力を、可聴周波数帯の低音から高音にわたって測定し、その測定結果である聴力データに基づいて、補聴特性を調整する。しかし、その調整作業は、熟練者が行ったとしても、長時間かかってしまうことが多い。
すなわち、音の聞こえ方に対する感覚は、個人ごとに、また測定環境(季候、測定空間の大きさ等)、時間、使用者の体調などによっても大きく異なる。このため、調整者が調整を進めて徐々に最終値に追い込んでいるつもりでも、使用者が、先程の音の方が良かったと言って、調整作業が逆戻りしてしまうこともしばしば発生し、調整時間が長時間となってしまう。
そこで、従来は、対話型遺伝的アルゴリズムを利用することで、補聴特性を短時間で設定できるようにする取り組みも検討されている(例えば、下記特許文献1)。
特開2001−175637号公報
対話型遺伝的アルゴリズムを利用して補聴特性の設定を行う場合、補聴器使用者の聴力に合わせて複数の補聴特性を用意し、これを比較しながら最終的に選択する補聴特性を選び出していく。このため、場合によっては、調整時間は短くなることもある。しかしながら、このような対話型遺伝的アルゴリズムを利用する場合でも、一つずつの補聴特性を設定する時には、従来と同じように、調整者は、使用者との対話に基づいて、時間をかけて調整する作業が必要となり、結果として調整時間が長時間となってしまうおそれがあった。
また、以上のようにして補聴特性を設定したにも関わらず、使用者が実生活で使用してみると、必ずしも満足できない場合がある。具体的には、上述したような補聴器設定を行った場所の音環境と実使用時の音環境とが大きく異なる場合には、補聴器使用者は、実使用時に不満感を抱くおそれがある。
本発明は、補聴器の使用設定を短時間で行うことができるとともに、補聴器の設定に対する補聴器使用者の満足度を高めることを目的とするものである。
(課題を解決するための手段)
本発明の補聴器フィッティング装置は、聴力入力部と、代表特性特定部と、初期調整候補選択部と、微調整部と、を備えている。聴力入力部は、使用者の聴力データが入力される。代表特性特定部は、聴力入力部から入力された聴力データに類似する複数の聴力データに対する複数の補聴調整結果データから代表特性抽出する。初期調整候補選択部は、代表特性特定部によって代表特性として抽出された複数の補聴調整結果データを補聴特性として切り替えながら出力して、使用者にとって最適なものを選択させる。微調整部は、初期調整候補選択部によって切り替えられた複数の補聴調整結果データから選択された補聴調整結果データを、使用者にとってさらに適合するように微調整を行う。
本発明の補聴器フィッティング装置は、補聴器使用者の聴力データが入力される入力部と、補聴器から複数種類の使用環境毎の使用環境ログデータおよび複数種類の使用環境毎の調整値パラメータを読み込む補聴器読込み部と、補聴器読込み部において読み込まれた聴力データ、使用環境ログデータおよび調整値パラメータから補聴器使用者の聴力データに近いユーザを抽出し、抽出されたユーザが設定している複数の使用環境の内から、補聴器使用者が設定している複数の使用環境に対応する使用環境毎の調整値パラメータを抽出し、抽出された使用環境毎の調整値パラメータから、補聴器使用者の使用環境ログデータに近い使用環境毎の調整値パラメータを抽出する調整値パラメータ抽出部と、調整値パラメータ抽出部によって抽出さた調整値パラメータを、補聴器の調整値データ収納部に書き込む補聴器書込み部と、を備えている。
(発明の効果)
本発明の補聴器フィッティング装置によれば、調整者は聴力入力部を介して聴力データを入力するだけで、この聴力データに類似する複数の聴力データに対する補聴調整結果データが出力される。そして、これらの補聴調整結果データは、そのような聴力を持つ多くの人の嗜好も考慮したものとなっているため、従来のように、選択すべき特性を作成する必要がなくなる。この結果、補聴器の使用設定を、短時間で行うことができる。また、選択された補聴調整結果データは、微調整部により微調整を行うので、使用者にマッチした補聴特性となり、使用感の良い、補聴効果の高いものとなる。
本発明の一実施の形態に係る補聴器フィッティング装置を説明するための模式図。 図1の補聴器フィッティング装置の制御ブロック図。 図1の補聴器フィッティング装置を用いた補聴器フィッティング方法を説明するための図。 図1の補聴器フィッティング装置を用いた補聴器フィッティング方法を説明するための図。 図1の補聴器フィッティング装置の顧客クラスデータ収納部に格納される聴力/クラス対応表とクラス/代表特性の対応表とを示す図。 図1の補聴器フィッティング装置の顧客クラスデータ収納部に格納される表を示す図。 図1の補聴器フィッティング装置の制御ブロック図。 本発明の一実施の形態に係る補聴器フィッティングシステムとそれを用いたフィッティング方法を説明するための模式図。 図8の補聴器フィッティングシステムの制御ブロック図。 図8の補聴器フィッティングシステムの制御ブロック図。 (a)、(b)および(c)は、図8の補聴器フィッティングシステムの動作の流れを示すフローチャート。 図8の補聴器フィッティングシステムにおける補聴器の補聴値データ収納部を示す図。 図8の補聴器フィッティングシステムにおける補聴器の補聴値データ収納部を示す図。 図8の補聴器フィッティングシステムの動作状態を示す図。 図8の補聴器フィッティングシステムの動作状態を示す図。 図8の補聴器フィッティングシステムの動作状態を示す図。 図8の補聴器フィッティングシステムの動作状態を示す図。
(実施形態1)
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を用いて説明する。
本実施形態の補聴器フィッティング装置1は、図1に示すように、表面に、入力部2と表示部3を備えている。補聴器フィッティング装置1と補聴器4とは、接続ボックス5、配線6,7を介して互いに接続されている。なお、補聴器4は、使用者8の左耳用、右耳用と別々に用意されるが、図1では説明の便宜上、右耳用だけを示している。
調整者9は、補聴器フィッティング装置1を操作して、補聴器4の使用設定を行う。
図2は、補聴器フィッティング装置1の制御ブロックを示している。
補聴器フィッティング装置1は、顧客データ収納部10と、近傍ユーザ特定部11と、聴力入力部12と、クラスタリング部13と、代表特性特定部14と、初期調整候補選択部15と、微調整部16と、表示部3とを備えている。
顧客データ収納部10には、過去に多くの人々の補聴器4の使用設定作業によって取得された複数の聴力データと、上記複数の聴力データのそれぞれに対応する補聴調整結果データとが蓄積されている。つまり、過去の他の使用者も、補聴器4の使用設定作業は、必ず、先ず聴力測定を行った後、調整を行って最終的な補聴特性を設定している。このため、聴力測定によって得られた聴力データと、この聴力データに対応する最終的な補聴特性である補聴調整結果データとが、関連付けられたセットにされて、顧客データ収納部10に蓄積されている。
また、顧客データ収納部10は、近傍ユーザ特定部11の入出力部に接続されている。さらに、近傍ユーザ特定部11の他の入出力部には、聴力入力部12が接続されている。
聴力入力部12に入力される聴力データは、音の静かな測定空間において、可聴周波数帯の低音から高音にわたって使用者の聴力を測定し、その結果として得られたものである。
また、近傍ユーザ特定部11の出力側には、クラスタリング部13が接続されている。さらに、クラスタリング部13の出力側には、代表特性特定部14が接続されている。また、代表特性特定部14の入力側には、初期調整候補選択部15が接続されている。さらに、代表特性特定部14の出力側には、表示部3と微調整部16とが接続されている。
微調整部16は、入力部2(図1参照)に設けられた調整値入力部17と、調整値入力部17から調整値が入力される調整値書換え部18と、調整値書換え部18の出力側に接続された補聴器書き込み部19と、代表特性特定部14、調整値書換え部18、表示部3に接続されたメイン調整値メモリ20と、を備えている。なお、聴力入力部12と調整値入力部17とは、入力部2(図1参照)に含まれる。
次に、補聴器フィッティング方法について、図2および図3を用いて説明する。
先ず、図2および図3に示すように、聴力入力部12から使用者8の聴力データが入力される。すると、近傍ユーザ特定部11において、聴力入力部12から入力された聴力データに類似する複数の聴力データに対する補聴調整結果データが、顧客データ収納部10から特定されて引き出される。
より詳細には、顧客データ収納部10には、上述したように、過去に行われた他の使用者の補聴器4の使用設定作業に取得された聴力測定により得られた聴力データと、この聴力データに対応する最終的な補聴特性である補聴調整結果データとが、関連付けされた状態で蓄積されている。例えば、図3に示すように、予めAさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさん、Gさん、Hさん、それぞれの聴力測定により得られた聴力データと、これらの聴力データに対する最終的な補聴特性である補聴調整結果データとが、セットとして顧客データ収納部10に蓄積されている。
次に、聴力入力部12に対して、今から調整が行われる補聴器の使用者8であるαさんの聴力データが入力されると、近傍ユーザ特定部11において、聴力入力部12から入力されたαさんの聴力データに類似する複数の聴力データ(Aさん、Bさん、Cさん、Dさん)に対応する補聴調整結果データが、顧客データ収納部10から特定されて引き出される。このとき、使用者8であるαさんの聴力データと、Aさん等の聴力データとが類似するか否かは、例えば、下記のようにして判定することができる。
つまり、各人の聴力データの測定周波数範囲において、複数点の周波数における可聴レベルをそれぞれ記録することにより、この聴力データを一本の線として認識する。そして、補聴データを一本の線として認識できるので、線同士の形(レベルの高さ、傾斜状態等)を比較することにより、αさんの聴力データに類似する、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの聴力データを選出することができる。よって、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの最終的な補聴特性である補聴調整結果データを、近傍ユーザ特定部11に引き出すことができる。また、このような近傍ユーザの特定方法としては、顧客の聴力データをベクトル表示し、ベクトル間距離に基づいて近傍ユーザを特定してもよい。
次に、クラスタリング部13において、近傍ユーザ特定部11によって引き出された複数の補聴調整結果データのクラスタリングを行う。ここで、クラスタリングとは、複数の補聴調整結果データを、類似度合いに基づいて分類することである。ここで、このクラスタリングは、顧客の補聴調整結果データをベクトル表示し、ベクトル間距離に基づいて行うことができる。具体的には、例えば、公知のk−means法を利用することができる。
例えば、AさんとBさんの最終的な補聴特性である補聴調整結果データが、互いに非常に類似している場合には、クラスタリング部13は、AさんとBさんの補聴調整結果データを同一のクラスタに分類する。結果として、クラスタリング部13は、AさんとBさんの補聴調整結果データを含む第1のクラスタと、Cさんの補聴調整結果データを含む第2のクラスタと、Dさんの補聴調整結果データを含む第3のクラスタとの3つのクラスタに分類する。
次に、代表特性特定部14が、各クラスタから代表特性を抽出する。
本実施形態では、代表特性特定部14は、例えば、第1のクラスタからAさん、第2のクラスタからCさん、第3のクラスタからDさんの補聴調整結果データを代表特性として抽出し、これらを表示部3に出力される。
ここで、代表特性の特定には、各クラスタの平均や重心に一番近いユーザを代表特性として選択する方法を使うことができる。あるいは、各クラスタに含まれる全てのデータの重心データを代表特性とすることもできる。あるいは、各クラスタに含まれる全てのデータの平均値データを代表特性とすることもできる。
代表特性として平均や重心に一番近いユーザの補聴調整結果データを使用した場合には、そのユーザが調整を行った際のコメント等を参照することができるため、調整に対するより具体的な情報を得ることができる。また、各クラスタの平均や重心といった推定値を代表特性とした場合には、特に、クラスタ内のデータが少量で分散度が高い場合に、平均や重心に一番近いユーザをそのまま代表特性にするよりも、そのクラスタの代表特性に近い特性を表現することができる。よって、代表特性間の違いを、より明確にすることができる。
図4は、表示部3の表示内容を示したもので、Aさん、Cさん、Dさんの最終的な補聴特性である補聴調整結果データが表示されている。なお、この図4においては、使用者8であるαさんの右耳用補聴器4の使用設定だけを説明するが、実際には、右耳用補聴器の使用設定が終われば、次に、左耳用補聴器の使用設定が行われるものとする。
次に、初期調整候補選択部15によって、Aさん、Cさん、Dさんの最終的な補聴特性である補聴調整結果データを、それぞれ補聴特性として切り替えながら、αさんに試聴させる。αさんがこれらを試聴した結果、例えば、最も適合するものとして、Dさんの補聴調整結果データが初期調整候補として選択されると、図4に示すように、表示部3にはDさんの補聴調整結果データが表示される。
Dさんの補聴調整結果データは、メイン調整値メモリ20を介して調整値書換え部18に供給される。
次に、Dさんの補聴調整結果データに基づいて、調整値入力部17によって、微調整が行われる。すなわち、αさんにとってより聞こえやすくなるように、初期調整候補のDさんの補聴調整結果データを修正する。微調整されたDさんの補聴調整結果データは、表示部3に表示される。
このとき、微調整前のデータである、Dさんの補聴調整結果データと、微調整後のDさんの補聴調整結果データとが、2つ並べて表示されることが好ましい。具体的には、右耳用として、まず、微調整前のデータであるDさんの補聴調整結果データが2つ並べて表示される。次に、微調整が終了すると、2つの表示部分のうち、一方の表示部分はDさんの補聴調整結果データから微調整されたものに変更される。他方の表示部分は、Dさんの補聴調整結果データが表示されたままとする。左耳用の場合も同様である。
これにより、調整者9やαさんは、微調整前と微調整後の補聴調整結果データを一度に見ることができるので、それらの差分が視覚的に認識しやすいという効果がある。
この微調整が終了すると、調整者9によって決定ボタン21が押下される。すると、補聴器書き込み部19によって、補聴器4の補聴特性が書き換えられ、使用設定が完了する。また、αさんの聴力データと、最終的な補聴特性である補聴調整結果データとは、関連付けされたセットとして顧客データ収納部10に蓄積される。
以上のように、本実施形態によれば、聴力入力部12からαさんの聴力データを入力するだけで、この聴力データに類似する複数の聴力データに対する補聴調整結果データを、顧客データ収納部10から近傍ユーザ特定部11に引き出すことができる。そして、これらの補聴調整結果データは、互いに類似しないデータが複数選択されて出力されることで、そのような聴力を持つ多くの人の嗜好も考慮したものとなっているので、従来のように、選択すべき特性を作成する必要がない。この結果、補聴器4の使用設定を短時間で行うことができる。
さらに、各補聴調整結果データは類似度合いに基づいて分類されており、各クラスタ内の代表的な補聴調整結果データを抽出して出力しているため、同じクラスタに分類された類似した補聴調整結果データが何度も出力されることを回避できる。この結果、従来よりも効率的に補聴器のフィッティング処理を実施することができる。
また、選択された補聴調整結果データは、微調整部16によって微調整されるため、使用者8(αさん)にマッチした補聴特性になるように設定することができるため、使用者8にとって使用感および補聴効果を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、補聴器フィッティング装置1と補聴器4とを配線6、7で接続した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、補聴器フィッティング装置1と補聴器4とを、無線によって接続してもよい。
また、上記実施形態に係る補聴器フィッティング方法は、少なくともその一部をコンピュータがプログラムを実行することにより実現してもよい。プログラムは、CD−ROM等の記録媒体又はインターネット等の伝送媒体を介して配信することができる。
(実施形態2)
本発明の他の実施形態に係る補聴器フィッティング装置について、図面を用いて以下で説明する。
ここで、上記実施形態1では、使用者8の聴力が入力された後で、顧客データ収納部10から類似した聴力レベルの近傍ユーザを抽出し、抽出された近傍ユーザの調整結果に基づいてクラスタリングを行っていた。しかしながら、クラスタリング処理には計算時間がかかってしまう。
そこで、本実施形態の補聴器フィッティング装置では、予め聴力パターンを複数のクラス(以下、聴力クラスと示す。)に分類しておき、その各々の聴力クラスに対応した代表特性を複数用意している。
これにより、単に調整を行いたい使用者の持つ聴力レベルに基づいて代表特性を検索することにより、同様の聴力を持つ様々な嗜好を考慮した補聴特性を評価することができる。
なお、本実施形態では、各々の聴力クラスに対応して複数の代表特性を保持するデータベースを、顧客クラスデータベースと呼ぶ。
顧客クラスデータベースは、様々な聴力パターンをもつ大量の顧客が格納された顧客データ収納部のデータに基づいて予め作成しておくことができる。
例えば、聴力データをベクトル表現化しk−MEANS等の方法を用いてクラスタリングする。そして、このクラスタリングにより得られた各々のクラスごとに、そのクラスに属する顧客の調整結果に対して、再度、k−means法等を用いてクラスタリングを行い、代表特性を抽出しておけばよい。
図5には、顧客クラスデータ収納部110の一例が図示されている。
聴力クラスは、予めk−means法等によって分類された聴力のクラスタを示している。代表特性は、そのクラスごとk−means法等を利用して求められた代表特性である。聴力クラスの各々に付与される聴力グラフは、そのクラスの重心、平均値などである。
図5に示すように顧客クラスデータ収納部110を構成することで、新たに調整を行いたい使用者の聴力がどの聴力クラスに属するかを、その使用者の聴力と最も近いクラスを特定することで判定し、そのクラスに格納された代表特性を特定することができる。
また、聴力クラスを、高音急墜型や高音漸傾型など聴力のパターンに基づいて予め作成しておいてもよい。すなわち、これより調整を行う補聴器使用者が属するクラスを特定することができるように、予め全ての聴力データについてクラスを定義しておく等することで実現できる。
具体的には、図6に示すように、顧客クラスデータ収納部110に、聴力/クラス対応表と、クラス/代表特性対応表を用意しておき、調整を行う補聴器の使用者の聴力がどのクラスに属するかを聴力/クラス対応表より検索する。そして、検索されたクラスに対応する代表特性を、クラス/代表特性対応表より検索して、利用すればよい。
上記補聴器フィッティング方法を実現するブロック構成を図7に示す。
本実施形態の補聴器フィッティング装置では、図2の近傍ユーザ特定部11、クラスタリング部13の代わりに、代表特性検索部31を備えている。
代表特性検索部31は、聴力入力部12に入力された補聴器使用者の聴力レベルに基づいて、顧客データ収納部10に格納された顧客データを用いて補聴器使用者の聴力クラスを特定し、代表特性を検索する。
以上の構成により、予め聴力クラスと、その各々の聴力クラスに対応する代表特性を予め用意しておくことで、毎回、補聴調整結果データのクラスタリングを行うことなく、上記実施形態1の構成と同様の効果を得ることができる。
これにより、計算時間を要するクラスタリング処理を行う必要がなくなるため、さらに効率よく、使用者に適合した補聴特性になるように補聴器を設定することができる。
さらに、各補聴調整結果データは類似度合いに基づいて予め分類されており、各クラスタ内の代表的な補聴調整結果データを1つずつ抽出して出力しているため、同じクラスタに分類された類似した補聴調整結果データが何度も出力されることを回避できる。この結果、従来よりも効率的に補聴器のフィッティング処理を実施することができる。
なお、本実施形態の構成は、顧客データ収納部110がネットワーク上に存在し、世界中の販売店からWeb経由で顧客データ収納部110を参照できるような環境、システムにおいて特に有効である。
(実施形態3)
本発明のさらに他の実施形態に係る補聴器フィッティング装置について、以下で説明する。
ここで、上記実施形態1,2では、図4に示すように、補聴器フィッティング装置の画面上に代表特性を表示し、それらの聞き比べができるように構成されていたが、調整者に対して代表特性を提示する方法としては、このような図示する方法に加えて、代表特性の性質が伝わるような方法であればどのような表現方法でも構わない。
例えば、図4に示すように、代表特性が3つ得られた場合、使用者に対して、「第1の候補です」、「第2の候補です」、「第3の候補です」とアナウンスを行ったうえで、それぞれの特性を補聴器に書き込み、それぞれ補聴特性に基づいて処理された音の試聴を行い、使用者に聞き比べてもらってもよい。
また、それぞれの代表特性の特徴を表す言語表現を、付加情報として格納しておき、グラフの代わりにその言葉を画面上に表示して、それらの中から補聴器に書き込む特性を選択してもよい。
(実施形態4)
本発明の一実施形態に係る補聴器フィッティングシステムについて、添付図面を用いて以下で説明する。
図8において、51は補聴器で、使用者52は左右両耳にそれぞれ装着される補聴器51を有しているが、図8においては、その一方だけが接続されている。図8は、補聴器51がフィッティング装置53に接続され、フィッティングが行われる状態を示している。
本実施形態の補聴器フィッティングシステムは、図8に示すように、補聴器51が接続されるフィッティング装置53と、Web共有サーバ58と、を備えている。
フィッティング装置53は、図8に示すように、フィッティング器55と接続ボックス54とを有している。接続ボックス54は、補聴器51とフィッティング器55とを接続する。フィッティング装置53は、フィッティングを行う調整者60によって操作される。
フィッティング器55は、図8に示すように、入力部56と表示部57とを備えている。さらに、フィッティング器55は、回線59を介してWeb共有サーバ58に接続されている。
補聴器51は、図9に示すように、マイクロフォン61からレシーバ(スピーカ)62に向けて順に、A/D変換器63、音環境識別部64、補聴処理部65、D/A変換器66が接続されている。音環境識別部64には、使用環境ログデータ収納部67が接続されている。さらに、補聴処理部65には、調整値データ収納部68が接続されている。また、補聴処理部65と使用環境ログデータ収納部67とには、入力部70が接続されている。
フィッティング器55は、上述のように、入力部56と表示部57とが接続されている。この内、入力部56には、調整値書換え部69が接続されている。表示部57には、調整値メモリ70aが接続されている。調整値書換え部69には、基本差分データ収納部71とメモリラベル収納部72と接続ボックス54内の補聴器書込み部73とが接続されている。
調整値メモリ70aには、サーバ送信部74と、サーバ受信部75と、補聴器読込み部76とが接続されている。サーバ送信部74は、補聴器51を使用する使用者52の聴力データおよび使用環境ログデータ、調整値パラメータを、Web共有サーバ58に送信する。サーバ受信部75は、Web共有サーバ58から返信された複数種の使用環境毎の調整値パラメータを受信する。補聴器読込み部76は、補聴器51から使用環境ログデータと調整値パラメータを読み込む。
一方、Web共有サーバ58は、図10に示すように、データ受信部76aと、データ送信部77とを有する。データ受信部76aは、サーバ送信部74から送信された使用者52の聴力データおよび使用環境ログデータ、調整値パラメータを受信する。データ送信部77は、サーバ受信部75に対して、複数種の使用環境毎の調整値パラメータを送信する。
また、データ受信部76aの出力側には、データ格納部78と近傍ユーザ特定部79とが互いに並列的に接続されている。データ格納部78の出力側には、顧客データ収納部80が接続されている。顧客データ収納部80の出力側には、近傍ユーザ特定部79が接続されている。また、近傍ユーザ特定部79の出力側とデータ送信部77の入力側との間には、メモリ別調整値抽出部81、使用環境クラスタリング部82、使用環境類似ユーザ特定部83がこの順に接続されている。
本実施形態の補聴器フィッティングシステムでは、以上のような構成において、補聴器51の初回のフィッティングは、周知の方法により、図11(a)に示すフローに従って行われる。
すなわち、まず、別途測定された使用者52の聴力データが、図9の入力部56へ入力される(図11(a)のS1)。
次に、周知の方法により、所定間隔毎の周波数の音を使用者52に聞かせながら、初期調整を行う(図11(a)のS2)。
次に、使用者52の要望に応じて、メモリラベル収納部72内から、例えば、4つの使用環境ラベルを選択する(図11(a)のS3)。
ここで、使用環境ラベルとは、使用者52が補聴器を使いたいと考える環境の分類名であって、環境ごとに調整値パラメータが異なる。本実施形態では、メモリ68a,68b,68c,68dにそれぞれ異なる環境が設定される。
使用者52が補聴器を使いたいと考える環境とは、例えば、通常の環境、騒音下の環境、電車乗車中の環境、パーティーに出席中の環境、テレビ試聴中の環境、音楽鑑賞中の環境、静かな場所にいるときの環境等がある。通常の環境に対応する使用環境ラベルは、基本用ラベルである。騒音下の環境に対応する使用環境ラベルは、騒音下用ラベルである。電車乗車中の環境に対応する使用環境ラベルは、電車用ラベルである。パーティーに出席中の環境に対応する使用環境ラベルは、パーティー用ラベルである。テレビ試聴中の環境に対応する使用環境ラベルは、テレビ用ラベルである。音楽鑑賞中の環境に対応する使用環境ラベルは、音楽用ラベルである。静かな場所にいるときの環境に対応する使用環境ラベルは、静か用ラベルである。
具体的には、図13に示すように、メモリラベル収納部72内に、基本用ラベル72a、騒音下用ラベル72b、電車用ラベル72c、パーティー用ラベル72d、テレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、静か用ラベル72gが用意されており、この内から4つの使用環境ラベルが選択される。
本実施形態では、図12に示すように、補聴器51の調整値データ収納部68に、4つのメモリ68a,68b,68c,68dが用意されている。メモリ68aには、電気的識別のために基本用ラベル72aが貼り付けられている。メモリ68bには、電気的識別のためにテレビ用ラベル72eが貼り付けられている。メモリ68cには、電気的識別のために音楽用ラベル72fが貼り付けられている。メモリ68dには、電気的識別のために電車用ラベル72cが貼り付けられている。
この時、基本用ラベル72aが貼り付けられたメモリ68aには、上述した初期調整時の調整値パラメータが入力される。また、この初期調整時の調整値パラメータは、基本となるものであるので、その他の騒音下用ラベル72b、電車用ラベル72c、パーティー用ラベル72d、テレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、静か用ラベル72g用の調整値パラメータに対する差異は、上述した基本差分データ収納部71に収納される。
したがって、上述のように、テレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、電車用ラベル72cが選択されると、図12に示すように、調整値書換え部69(図9参照)によって自動的にテレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、電車用ラベル72cに対する調整値パラメータが形成される。
そして、このようにして形成された図12に示す基本用ラベル72a、テレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、電車用ラベル72cと、それぞれの調整値パラメータが、補聴器書込み部73を介して、調整値データ収納部68の、4つのメモリ68a,68b,68c,68dに書き込まれる(図11(a)のS4)。
使用者52は、以上のように設定された調整値パラメータによる補聴作用を得た補聴器51を用いて日常生活を送る。つまり、使用者52は、通常状態では、補聴器51の入力部70を介して、補聴処理部65においてメモリ68aの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態を選択する。テレビを試聴するときには、補聴器51の入力部70を介して、補聴処理部65においてメモリ68bの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態を選択する。音楽を聴くときには、補聴器51の入力部70を介して、補聴処理部65においてメモリ68cの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態を選択する。電車内においては、補聴器51の入力部70を介して、補聴処理部65においてメモリ68dの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態を選択する。
以上のように、補聴器51の入力部70を介して、使用環境に応じてメモリ68a〜68dが選択使用されると、音環境識別部64において、その時の音圧レベルが4秒毎に1回判断される。その結果、図15に示すように、使用環境ログデータが使用環境ログデータ収納部67に記録される。
ここで、使用環境ログデータとは、それぞれのメモリを使用しているときに、どれくらいの音圧レベルがどれくらいの時間、補聴器51のマイクロフォン61から入力されるかを示すデータである。
なお、使用環境ログデータ収納部67の記録は、1週間分の結果を収納したものである。本実施形態では、使用環境ログデータの説明として音圧レベルを利用するが、レベル範囲の判定を、例えば、HMM(Hidden Markov Model(隠れマルコフモデル))を利用した音環境識別の結果と置き換えることも可能である。
図15は、通常状態の使用時において、補聴器51の入力部70が操作されて、補聴処理部65においてメモリ68aの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態が選択された場合には、(レベル範囲1)が10%、(レベル範囲2)が70%、(レベル範囲3)が15%、(レベル範囲4)が5%、(レベル範囲5)が0%、(レベル範囲6)が0%であったことを示す。
また、テレビを試聴する際に、補聴器51の入力部70が操作されて、補聴処理部65においてメモリ68bの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態が選択された場合には、(レベル範囲1)が0%、(レベル範囲2)が5%、(レベル範囲3)が30%、(レベル範囲4)が30%、(レベル範囲5)が30%、(レベル範囲6)が5%であったことを示す。
さらに、音楽を聴く際に、補聴器51の入力部70が操作されて、補聴処理部65においてメモリ68cの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態が選択された場合には、(レベル範囲1)が0%、(レベル範囲2)が0%、(レベル範囲3)が20%、(レベル範囲4)が70%、(レベル範囲5)が10%、(レベル範囲6)が0%であったことを示す。
さらにまた、電車内で使用する際に、補聴器51の入力部70が操作されて、補聴処理部65においてメモリ68dの調整値パラメータによる補聴処理を受ける状態が選択された場合には、(レベル範囲1)が0%、(レベル範囲2)が0%、(レベル範囲3)が0%、(レベル範囲4)が0%、(レベル範囲5)が20%、(レベル範囲6)が80%であったことを示す。
なお、レベル範囲とは、音圧レベルの範囲を意味している。図15に示す(レベル範囲1〜6)は、(レベル範囲1から6)に向かうに従って、音圧レベルが大きくなることを示している。
例えば、レベル範囲1は、音圧レベルが0〜48dBSPL、レベル範囲2は、音圧レベルが48〜60dBSPL、レベル範囲3は、音圧レベルが60〜72dBSPL、レベル範囲4は、音圧レベルが72〜84dBSPL、レベル範囲5は、音圧レベルが84〜96dBSPL、レベル範囲6は、音圧レベルが96dBSPL〜である。
図15に示す状態は、補聴器51の使用に際して必ずしも問題がある状況とは言えないが、使用者52が利用する電車内はかなり騒がしいことが判り、補聴器51の再調整時にはその点を考慮すべきである。
補聴器51を再調整する際には、図8に示すように、補聴器51を、フィッティング装置53の接続ボックス54を介してフィッティング器55に接続する。そして、フィッティング器55を、Web共有サーバ58に接続する。
すると、調整値データ収納部68から使用者52の聴力データと、4つのメモリ68a,68b,68c,68dに収納された基本用ラベル72a、テレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、電車用ラベル72cと、それぞれの調整値パラメータとが、補聴器読込み部76によって読み出される。また、補聴器読込み部76によって、使用環境ログデータ収納部67から、図15に示した使用環境ログデータが読み出される(図11(c)のS5)。
そして、このようにして取得された使用者52の聴力データと、4つのメモリ68a,68b,68c,68dに収納された基本用ラベル72a、テレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、電車用ラベル72cと、それぞれの調整値パラメータおよび図15に示す使用環境ログデータが、調整値メモリ70aに記録される。
その後、これらの使用者52の聴力データ、4つのメモリ68a,68b,68c,68dに収納された基本用ラベル72a、テレビ用ラベル72e、音楽用ラベル72f、電車用ラベル72cと、それぞれの調整値パラメータおよび図15に示す使用環境ログデータが、サーバ送信部74からWeb共有サーバ58に送信される(図11(c)のS6)。
Web共有サーバ58においては、これらの情報をデータ受信部76aにおいて受信し、データ格納部78を介して顧客データ収納部80に収納する。また、近傍ユーザ特定部79においては、フィッティング装置53から送信された使用者52の聴力データに近いユーザが抽出される(図11(c)のS7、図10と図14のStep1)。
聴力データが近いユーザの抽出には、各周波数の聴力値をベクトル表現し、ベクトル間距離で上位N人を近傍ユーザとする等の方法により実現できる。この時、1k〜3kHzに重み付けする等して、会話帯域に重点を置くなどの工夫をしてもよい。
図14においては、使用者52は、(αさん)としている。
顧客データ収納部80からは、(αさん)の聴力に近い聴力を有する人物としてAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人を含むN人が抽出される。後段の説明では、便宜的にN人のうち、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人について説明する。
続いて、メモリ別調整値抽出部81においては、抽出されたAさん、Bさん、Cさん、Dさんがその調整値データ収納部68に設定している複数の使用環境の内から、使用者によって調整値データ収納部68に設定された複数の使用環境に対応する使用環境毎の調整値パラメータを抽出する(図11(c)のS8、図10と図14のStep2)。
使用者52(αさん)については、上述のように、メモリ68aは基本用ラベル72a、メモリ68bはテレビ用ラベル72e、メモリ68cは音楽用ラベル72f、メモリ68dは電車用ラベル72cに対応するように設定されている。Aさんについては、基本用ラベル、音楽用ラベル、電車用ラベルおよびテレビ用ラベルが設定されている。Bさんについては、基本用ラベル、音楽用ラベル、電車用ラベルおよびパーティー用ラベルが設定されている。Cさんについては、基本用ラベル、電車用ラベル、電車用ラベルおよびテレビ用ラベルが設定されている。Dさんについては、基本用ラベル、電車用ラベル、電話用ラベルおよびテレビ用ラベルが設定されている。
従って、使用者52の基本用ラベル72aの調整については、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人が抽出される。テレビ用ラベル72eの調整については、Aさん、Cさん、Dさんの3人が抽出される。音楽用ラベル72fの調整については、Aさん、Bさんの2人が抽出される。電車用ラベル72cの調整については、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人が抽出される。
なお、ここでは、上述の通り、便宜的にAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人について説明しているが、実際には、近傍ユーザN人の中から該当する人が抽出されるものとする。
次に、使用環境クラスタリング部82と使用環境類似ユーザ特定部83とにおいて、抽出された使用環境毎の調整値パラメータから、使用者52(αさん)の使用環境ログデータに近い使用環境毎の調整値パラメータが抽出される(図11(c)のS9およびS10、図10と図14のStep3およびStep4)。
具体的には、まず、使用環境クラスタリング部82において、上記で抽出された同一のメモリが設定されている人物の該当するメモリの使用環境ログデータをクラスタリングする。
ここで、クラスタリングは、該当メモリのログデータをベクトル表現に置き換えk−means法などを用いることで実現することができる。ベクトル表現化は、各レベル範囲の割合を要素とすることで実現でき、例えば、使用者52のメモリ68aのログデータは、(0.1,0.7,0.15,0.05,0,0)と表現できる。
使用環境類似ユーザ特定部83では、k−means法によって得られたクラスタリング結果から、使用者52と同一のクラスタに属する人物を特定すればよい。
この結果、使用者52(αさん)の基本用ラベル72a(メモリ68a)に近い使用環境ログデータを保有する人物として、Aさん、Bさんが抽出される。また、使用者52(αさん)のテレビ用ラベル72e(メモリ68b)に近い使用環境ログデータを保有する人物としてCさん、Dさんが抽出される。さらに、使用者52(αさん)の音楽用ラベル72f(メモリ68c)に近い使用環境ログデータを保有する人物として、Bさんが抽出される。さらにまた、使用者52(αさん)の電車用ラベル72c(メモリ68d)に近い使用環境ログデータを保有する人物として、Aさん、Dさんが抽出される。
そして、このようにして抽出されたデータは、データ送信部77からサーバ受信部75に送信され、調整値メモリ70aに収納される(図11(c)のS11)。
次に、サーバ受信部75で受信した抽出された使用環境毎の調整値パラメータを、フィッティング装置53の表示部57に表示させる。
図16は、基本用ラベル72a(メモリ68a)に対する調整状態を示す表示部57の表示画面を示している。
なお、図16では、左右の補聴器51に対する再調整を行うために、表示部57には左右の補聴器51用のデータが表示されているが、説明の便宜上、ここでは右耳用の補聴器51についてだけ説明する。なお、左耳用の補聴器についても同様にして次に再調整すればよい。
図16に示すように、表示部57には、使用者52(αさん)の基本用ラベル72a(メモリ68a)に近い使用環境ログデータを保有する人物として、Aさん、Bさんの基本用ラベル72a(メモリ68a)に対応する調整値パラメータが表示されている。
このため、調整者60は、現在の使用者52自身の基本用ラベル72a(メモリ68a)に対応する調整値パラメータを用いて使用者52に試聴させる。次に、調整者60は、Aさん、Bさんの基本用ラベル72a(メモリ68a)に対応する調整値パラメータを順次使用者52に試聴させ、使用者52にその内から最も好ましい調整値パラメータを選択させる。
次に、調整者60が、図16の決定ボタン84が押下すると、選択された調整値パラメータが、調整値書換え部69、補聴器書込み部73を介して、調整値データ収納部68のメモリ68aに書き込まれ、再調整が完了する(図11(c)のS12)。
すると、図17に示すように、表示部57には、次のテレビ用ラベル72e(メモリ68b)のデータが表示される。具体的には、この表示部57には、使用者52(αさん)のテレビ用ラベル72e(メモリ68b)に近い使用環境ログデータを保有する人物として、Cさん、Dさんの基本用ラベル72a(メモリ68a)に対応する調整値パラメータが表示される。
このため、調整者60は、現在の使用者52自身のテレビ用ラベル72e(メモリ68b)に対応する調整値パラメータを用いて使用者51に試聴させ、次にCさん、Dさんのテレビ用ラベル72e(メモリ68b)に対応する調整値パラメータを用いて、順次、使用者52に試聴させ、使用者52にその内から最も好ましい調整値パラメータを選択させる。
次に、調整者60によって図16の決定ボタン84が押下されると、使用者52に選択された調整値パラメータが、調整値書換え部69、補聴器書込み部73を介して、調整値データ収納部68のメモリ68bに書き込まれ、再調整が完了する(図11(c)のS12)。
以降、調整者60は、同様にして、音楽用ラベル72f(メモリ68c)、電車用ラベル72c(メモリ68d)の再調整を行う。
本実施形態によれば、使用者52の実際の使用環境に合わせて、補聴器51の再調整を、簡単かつ短時間で行ことができる。しかも、その際に利用するデータは、使用者52の聴力に近く、実際の使用環境の近い他人のデータであるため、再調整後の使用者52の満足度はきわめて高いものとなる。
本発明の補聴器設定用プログラムは、補聴器使用者の聴力データに類似する複数の聴力データのそれぞれに対する補聴調整結果データを、顧客データ収納部から特定して引き出す処理と、
引き出された複数の前記補聴調整結果データを分類した複数のクラスタのそれぞれの中から代表的な補聴調整結果データをそれぞれ選択する処理と、
複数の前記代表的な補聴調整結果データの中から、前記補聴器使用者に最適であるものを初期調整候補として選択させる処理と、
前記初期調整候補の前記補聴調整結果データを、前記補聴器使用者にさらに適合するように微調整する処理と、
を備えた補聴器フィッティング方法をコンピュータに実行させる。
本発明の補聴器設定用プログラムは、予め保存された複数の補聴調整結果データを類似度合いに基づいて複数のクラスタに分類する処理を、さらに備えている。
本発明の補聴器調整プログラムは、サーバに接続されたフィッティング装置を用いた補聴器調整プログラムであって、
前記フィッティング装置から、補聴器使用者の聴力データ、使用環境ログデータおよび調整値パラメータを、前記サーバに送信する送信工程と、
前記サーバにて、前記送信工程で送信された前記補聴器使用者の聴力データに近いユーザを抽出する第1の抽出工程と、
前記第1の抽出工程で抽出されたユーザが設定している複数の使用環境の内から、前記補聴器使用者が設定している複数の使用環境に対応する、使用環境毎の調整値パラメータを抽出する第2の抽出工程と、
前記第2の抽出工程で抽出された使用環境毎の調整値パラメータから、前記補聴器使用者の使用環境ログデータに近い使用環境毎の調整値パラメータを抽出する第3の抽出工程と、
前記サーバが前記フィッティング装置に、前記抽出された使用環境毎の調整値パラメータを送信する工程と、
前記第3の抽出工程で抽出された使用環境毎の調整値パラメータを、前記フィッティング装置から前記補聴器に供給する工程と、
を備えた補聴器フィッティング方法をコンピュータに実行させる。
本発明の補聴器調整プログラムは、フィッティング装置を用いて補聴器の調整を行う補聴器調整プログラムであって、
前記フィッティング装置から、補聴器使用者の聴力データ、使用環境ログデータおよび調整値パラメータを送信する送信工程と、
前記送信工程において送信された前記補聴器使用者の聴力データに近いユーザを抽出する第1の抽出工程と、
前記第1の抽出工程において抽出されたユーザが設定している複数の使用環境の内から、前記補聴器使用者が設定している複数の使用環境に対応する、使用環境毎の調整値パラメータを抽出する第2の抽出工程と、
前記第2の抽出工程で抽出された使用環境毎の調整値パラメータから、前記補聴器使用者の使用環境ログデータに近い使用環境毎の調整値パラメータを抽出する第3の抽出工程と、
前記フィッティング装置に対して、前記第3の抽出工程において抽出された使用環境毎の調整値パラメータを送信する工程と、
前記第3の抽出工程で抽出された使用環境毎の調整値パラメータを、前記フィッティング装置から前記補聴器に供給する工程と、
を備えた補聴器フィッティング方法をコンピュータに実行させる。
なお、補聴器調整プログラムは、例えば、CD−ROM等の記憶媒体から、あるいは通信回線を介したダウンロード等により、任意のパソコン等へインストールすることによって、補聴器フィッティング装置や補聴器フィッティングシステムを構成することができる。
本発明の補聴器フィッティングシステムは、補聴器に接続される補聴器フィッティング装置とサーバとを含むように構成された補聴器フィッティングシステムであって、
補聴器使用者の聴力データが入力される入力部と、
前記補聴器から複数種類の使用環境毎の使用環境ログデータおよび前記複数種類の使用環境毎の調整値パラメータを読み込む補聴器読込み部と、
前記聴力データ、前記使用環境ログデータおよび前記調整値パラメータを、前記サーバに送信するサーバ送信部と、
前記サーバ送信部から送信された前記補聴器使用者の前記聴力データに近いユーザを抽出し、抽出された前記ユーザが設定している複数の使用環境の内から、前記補聴器使用者が設定している複数の使用環境に対応する使用環境毎の調整値パラメータを抽出し、抽出された前記使用環境毎の調整値パラメータから、前記補聴器使用者の使用環境ログデータに近い使用環境毎の調整値パラメータを抽出して送信するサーバと、
前記サーバにおいて抽出、送信された複数種類の使用環境毎の調整値パラメータを受信するサーバ受信部と、
前記調整値パラメータを、前記補聴器の調整値データ収納部に書き込む補聴器書込み部と、
を備えている。
本発明の補聴器フィッティングシステムによれば、補聴器調整装置に接続されたサーバにおいて、補聴器から送信された補聴器使用者の聴力データに近いユーザを抽出し、抽出されたユーザが設定している複数の使用環境の内から補聴器使用者が設定している複数の使用環境に対応する使用環境毎の調整値パラメータを抽出し、抽出された使用環境毎の調整値パラメータから補聴器使用者の使用環境ログデータに近い使用環境毎の調整値パラメータを抽出して補聴器に返信し補聴器に書き込むので、補聴器使用者の使用環境毎の調整値パラメータを、その使用者の使用環境に応じて極めて簡単に設定することができる。この結果、補聴器設定に対する使用者の満足度を高めることができる。
(他の実施形態)
(A)
上記実施形態1〜3では、顧客データ収納部10,110が、補聴器フィッティング装置内に含まれている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、補聴器フィッティング装置、あるいは補聴器フィッティングシステムに対して接続される外部記憶装置やインターネット上に存在するストレージ等を、顧客データ収納部として用いてもよい。
(B)
上記実施形態4では、Web共有サーバ58上に、顧客データ収納部80、近傍ユーザ特定部79、使用環境クラスタリング部82等が存在しており、Web共有サーバ58において各種処理を実行する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態1〜3のように、顧客データ収納部、近傍ユーザ特定部、使用環境クラスタリング部等が補聴器フィッティング装置内に設けられており、上記実施形態4において説明したWeb共有サーバ58において実行された処理を、補聴器フィッティング装置内において実行してもよい。
この場合、顧客データ収納部は、必ずしも補聴器フィッティング装置内に設けられている必要はなく、補聴器フィッティング装置に接続された外部記憶装置等に設けられていてもよい。
(C)
上記実施形態1〜3では、各聴力レベルに対応する複数の補聴調整結果データを類似度合いに基づいて分類した複数のクラスタから、代表的な補聴調整結果データに基づいて処理された音声等を使用者に試聴させて補聴器フィッティングを行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態1〜3において説明した処理に、上記実施形態4で説明した使用環境に基づく調整を組み合わせて実施してもよい。
これにより、補聴器の使用者にとって、自身の好みや使用環境を考慮して、さらに使い心地の良い補聴器フィッティングを行うことができる。
本発明によると、補聴器の使用設定を短時間で行うことができるとともに、実際の使用状況に対応した状態で行うことができることから、補聴器のフィッティング装置として広く活用が期待される。
1 補聴器フィッティング装置
2 入力部
3 表示部
4 補聴器
5 接続ボックス
6,7 配線
8 使用者
9 調整者
10 顧客データ収納部
11 近傍ユーザ特定部
12 聴力入力部
13 クラスタリング部
14 代表特性特定部
15 初期調整候補選択部
16 微調整部
17 調整値入力部
18 調整値書換え部
19 補聴器書き込み部
20 メイン調整値メモリ
21 決定ボタン
51 補聴器
52 使用者
53 フィッティング装置(補聴器フィッティング装置)
54 接続ボックス
55 フィッティング器
56 入力部
57 表示部
58 Web共有サーバ
59 回線
60 調整者
61 マイクロフォン
62 レシーバ
63 A/D変換器
64 音環境識別部
65 補聴処理部
66 D/A変換器
67 使用環境ログデータ収納部
68 調整値データ収納部
69 調整値書換え部
70 入力部
70a 調整値メモリ
71 基本差分データ収納部
72 メモリラベル収納部
73 補聴器書込み部
74 サーバ送信部
75 サーバ受信部
76 補聴器読込み部
76a データ受信部
77 データ送信部
78 データ格納部
79 近傍ユーザ特定部
80 顧客データ収納部
81 メモリ別調整値抽出部
82 使用環境クラスタリング部
83 使用環境類似ユーザ特定部
84 決定ボタン
110 顧客クラスデータ収納部

Claims (7)

  1. 使用者の聴力データが入力される聴力入力部と、
    前記聴力入力部から入力された使用者の聴力データに類似する複数の聴力データを選出し、選出された聴力データに対する複数の補聴調整結果データの中から複数の代表特性を抽出する代表特性特定部と、
    前記代表特性特定部によって代表特性として抽出された複数の補聴調整結果データを補聴特性として切り替えながら出力して、前記使用者にとって最適なものを選択させる初期調整候補選択部と、
    前記初期調整候補選択部によって切り替えられた複数の補聴調整結果データから選択された補聴調整結果データを、前記使用者にとってさらに適合するように微調整を行う微調整部と、
    を備えている補聴器フィッティング装置。
  2. 前記代表特性は、前記聴力入力部から入力された聴力データに類似する複数の聴力データに対する複数の補聴調整結果データを、類似度合いに基づいて分類した各クラスタに含まれる代表的な補聴調整結果データである、
    請求項1に記載の補聴器フィッティング装置。
  3. 前記聴力入力部から入力された聴力データに類似する複数の聴力データに対する複数の補聴調整結果データを、複数の聴力データに対応する複数の補聴調整結果データを保存した顧客データ収納部から特定して引き出す近傍ユーザ特定部と、
    前記近傍ユーザ特定部において引き出された複数の前記補聴調整結果データを類似度合いに基づいて分類するクラスタリング部と、
    さらに備えている、
    請求項1に記載の補聴器フィッティング装置。
  4. 予め複数の聴力データにそれぞれ対応する補聴調整結果データを保存した顧客データ収納部を、さらに備えている、
    請求項1または2に記載の補聴器フィッティング装置。
  5. 前記顧客データ収納部には、前記聴力データごとに予め類似度合いに基づいて複数に分類された複数のクラスタと、前記複数のクラスタごとに対応する代表的な補聴調整結果データとが予め保存されており、
    前記代表特性特定部は、入力された前記聴力データに対応する複数の前記クラスタの中から代表的な前記補聴調整結果データを前記顧客データ収納部から抽出する、
    請求項に記載の補聴器フィッティング装置。
  6. 前記微調整部は、前記補聴調整結果データを微調整するための調整値を入力する調整値入力部と、前記調整値入力部から前記調整値が入力され前記補聴調整結果データを前記調整値に基づいて書き換える調整値書換え部と、前記調整値書換え部において書き換えられた前記補聴調整結果データを前記補聴器に書き込む補聴器書き込み部と、を有する、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の補聴器フィッティング装置。
  7. 使用者の聴力データが入力される聴力入力ステップと、
    前記聴力入力ステップにおいて入力された使用者の聴力データに類似する複数の聴力データを選出し、選出された聴力データに対応する複数の補聴調整結果データの中から複数の代表特性を抽出する代表特性特定ステップと、
    前記代表特性特定ステップにおいて代表特性として抽出された複数の補聴調整結果データを補聴特性として切り替えながら出力して、前記使用者にとって最適なものを選択させる初期調整候補選択ステップと、
    前記初期調整候補選択ステップにおいて切り替えられた複数の補聴調整結果データから選択された補聴調整結果データを、前記使用者にとってさらに適合するように微調整を行う微調整ステップと、
    を含む、補聴器フィッティング方法。
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