JP5830073B2 - 葬祭用祭壇 - Google Patents
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Description
多数の生花により装飾された花祭壇は、以前は社葬等の大規模で盛大な葬儀のおいて利用されていたが、故人の個性を重視した自由度の高い葬儀を施行できる点、特定の宗教にとらわれることがない点等が広く受け入れられ、最近では一般的にも普及してきている。
例えば、白色のキクだけでなく、色とりどりのバラやユリ等、季節に応じた種々の生花を使って、直線や曲線を自由に使った立体的で個性的なデザインの祭壇を制作することもできる。
そのため、参列者に豪華で荘厳な印象を与えるように生花の本数を多くすると、祭壇のコストが非常に高くなるという問題がある。
一方、予算に応じて自由に設計できるといっても、予算を削減して生花の本数を少なくすると、希望した通りの祭壇からは程遠く、豪華や荘厳さを欠くことにもなりうる。
しかし、造花の場合は、コストを削減することはできるが、人工的で安価な印象を与えたり、見た目の自然さを欠く。
そのため、豪華さや荘厳さにおいて生花を用いる場合よりも見劣る点は否めず、豪華で荘厳な印象の祭壇を求める需要者からは敬遠される傾向にある。
プリザーブドフラワーであれば、生花と同等の自然な外観や質感を有するので、生花と比べても遜色ない見栄えが得られるうえ、その美しさや瑞々しさを長期間維持できることから再利用も可能である。そのため、プリザーブドフラワーを利用した場合、祭壇のコストを抑えつつ、豪華で荘厳な祭壇を構成することができる。
また、特許文献2には、祭壇の起伏形状を形成した土台部にプリザーブドフラワーからなる花冠のみを立設した花飾り装飾部を有する葬儀用祭壇が開示されている(特許文献2)。
また、プリザーブドフラワーの花冠が傷んだとき等には、供花自体を供花台から取外して付け替える必要がある。
また、土台部に花冠部分を挿入して立設することにより祭壇を構成しているので、祭壇表面の形状がその土台部の形状に限定されてしまう。そのため、祭壇表面に種々の起伏形状を形成した立体的で個性的な祭壇を製作する際には、花を飾る土台部の形状をその祭壇の起伏形状に合わせてわざわざ個別に作成する必要がある。
したがって、複雑な起伏形状の祭壇の場合は、それに合わせた土台部を作成することが非常に手間であるうえ、種々のバリエーションの祭壇を作る場合は、それらの形状に適合した土台部をそれぞれ用意しなければならないという問題がある。
したがって、プリザーブドフラワーの花冠が痛んだとき等には、その花冠だけを簡単に取り換えることができる。また、プリザーブドフラワーの花冠だけ交換して、花冠の種類や色を変えることにより、加工花自体を土台から外して付け替える必要もなく、種々の模様のデザインの祭壇を簡単に制作することができる。
また、プリザーブドフラワーの花冠自体を萼や茎等の模造部材と直接着脱可能とすると、その取付箇所が脆くなりがちであるが、本発明では、プリザーブドフラワーの花冠と固着した模造の萼を介して模造の茎と着脱可能とすることにより、その取付箇所が頑丈となる。
従来では、立体的な起伏形状の祭壇を作る際には、花を飾る土台の形状をその祭壇の形状に合わせて作成していたため、種々のバリエーションの祭壇を作る際には、それぞれの形状に沿った土台を用意する必要があり手間であった。
これに対し、本発明では、プリザーブドフラワーの花冠の配置は模造の茎の長さによって決定されるので、平坦な土台であっても、プリザーブドフラワーの花冠の配置を変えて祭壇の表面の起伏形状や模様を自由に形成することができるので、奥行があり立体的で豪華で荘厳な祭壇を制作することができる。
すなわち、種々の形状や高さの土台が不要になるので、複雑な形状の土台を作成する手間を省くことができるうえ、一つの定型な土台に統一しても、葬儀ごとに他には無い特徴的かつ個性的でバリエーション豊かなデザインの祭壇を容易に制作することができる。
特に、生花の茎であれば、自然物であることや剛性の問題等から茎の長さを変えることにも限度があり、長過ぎると強度が弱まり折れたりして任意のデザインを好適に実現できない等の問題があるが、本発明では、剛性の強い模造の茎としているので、何ら制約も無くその模造の茎の長さを自由に変えることができる。
生花の場合は茎を折り曲げると折れてしまうが、本発明は、模造の茎を使用しているので容易に折り曲げることができるうえ、その折り曲げた状態で形状を保持することもできる。
上記構成により、加工花を土台に差し直す必要もなく花冠の向きや角度を任意の方向に簡単に変えることができるので、微妙な変更等にも容易に対応でき、祭壇のデザインの自由度が増す。
本発明は、プリザーブドフラワーの花冠であるので、造花とは異なり参列者も生花との見分けが簡単にできないので、生花を一部に混ぜても見た目が自然な祭壇となる。
上記構成により、棺に入れるための生花を祭壇の一部に設置できるので、出棺の際にその祭壇から生花を採取することができ、葬儀を円滑に進行することができる。
図1は、本実施形態に係る葬祭用祭壇1に利用されるプリザーブドフラワーの花冠11を有する加工花10(以下、単に「加工花10」という。)の斜視図である。図2は、その加工花10の花冠11と模造萼12とを模造茎15から取り外した状態を示す分解斜視図である。図3は、加工花10の要部を示す部分拡大断面図である。
図1乃至図3に示すように、加工花10は、主として花冠11と模造萼12と模造茎15とから構成される。
プリザーブドフラワーとは、生花を原料とし、例えば、着色剤やポリエチレングリコール等の有機溶剤を混合した薬剤を一枚一枚の花弁に吸収させて、保存防腐処理を施すと共に任意の色に染色した後、乾燥させて、各花弁を組み合わせて元の花冠の形状に整えることにより製造されたものである(プリザーブド処理)。
このように、プリザーブドフラワーは、生花の水分が有機溶剤を混ぜた薬剤に置換されるため、生花のように、枯れたり萎れたり等の短期劣化することなく、比較的長期間にわたって生花と同様の美しさや瑞々しい質感と柔らかさを維持することができる。
なお、花冠11として採用する花の種類は、バラに限らず、プリザーブド処理できる花であれば何でも良く、例えば、キクやユリ等でも良い。また、季節に応じて種々の花を選択することができる。
萼本体13の上側表面は花冠11の下面側に対応して花冠11を保持できる形状となっている。
萼本体13には、その略中央付近を上下方向に延びて貫通する略円筒形状の芯棒部13aが設けられている。芯棒部13aは、その上下端面が開口しており、その内径は、後述する模造茎15に形成された挿入部15cの外形と略同一径となっている。
なお、萼片14は装飾用であり、この萼片14を付けることにより、加工花10はより実物の生花に近い本格的な形状となる。この萼片14には強度はそれほど必要ではないので、紙製や布製のものであってもよい。
模造茎15からは、合成樹脂等からなる葉柄16が伸延しており、その葉柄16には合成樹脂等からなる葉17が付設している。なお、葉柄16は模造茎15と一体成形としても良いし、模造茎12の外表面に切込み部分を形成し、その切込み部分に葉柄16を差し込むように装着する構成としても良い。
模造茎15の上端側には、肩部15bとその肩部15bから突出した挿入部15cが設けられている。挿入部15cは、模造茎15と連続的に形成されており、上述の模造萼12に設けられている略円筒形状の芯棒部13aの内径と略同一径を有する。
また、容易に折り曲げることができるうえ、その折り曲げた状態で形状を保持することもできる。
また、葉柄16や葉17は、模造茎15とは異なり特に剛性を高くする必要はないので、合成樹脂製のものの代わりに、例えば紙製や布製のものも用いることができる。
このとき、模造萼12の芯棒部13aの下端面13bは、模造茎15の肩部15bと当接した状態となる。
挿入部15cは、その外周面が略円筒形状の芯棒部13aの内壁に当接した状態で、芯棒部13aの内部に収容される。このとき、挿入部15cは芯棒部13aの内壁によって圧接されて、模造萼12と嵌合されている。
このように、模造萼12と模造茎15とは、接着剤等の固着手段を用いることなく連結されているので、容易に取付けたり取外したりすることができる。
図4は、葬祭用祭壇1の概略構成を示す正面図である。図4に示すように、本実施例の葬祭用祭壇1は、上述の加工花10によって装飾された花祭壇20を主として中央に配し、その花祭壇20の両側に多数の供花30を配置することによって構成されるものである。
前段の祭壇21は、後段の祭壇22と比べて相対的に幅広である。また、後段の祭壇22は、最上段の祭壇23と比べて相対的に幅広である。
なお、祭壇21,22には、白色のプリザーブドフラワーから成る花冠11を備えた加工花10を全体的に配し、祭壇23には、色とりどりのプリザーブドフラワーから成る花冠11を備えた加工花10を配している。
土台25は加工花10によって装飾されることにより祭壇21となり、土台26は加工花10によって装飾されることにより祭壇22となる。
それぞれの土台25,26の取付孔27には、加工花10の模造茎15を下端側から挿入することにより立設している。
このとき、模造茎15の一部は、その外周面が取付孔27の内壁に当接した状態で、取付孔27内に収容されており、模造茎15の一部は取付孔27の内壁によって圧接されて、土台25,26に嵌合されている。
なお、本実施例においては、剛性の高い模造茎15を使用しているので、花冠11がその重みにより垂れ下がったりして花祭壇20のデザインを損なうこともない。
そのため、本実施例のような平坦な土台25,26であっても、プリザーブドフラワーの花冠11の配置を変えて、その花冠11により形成される花祭壇20の表面の起伏形状や模様を自由に形成することができ、奥行があり立体的で豪華で荘厳な花祭壇20を制作することができる。
また、加工花10を土台に差し直す必要もなく花冠11の向きや角度を任意の方向に簡単に変えることができるので、複雑な起伏形状や微妙な変更等にも容易に対応でき、花祭壇20のデザインの自由度が増す。
そのため、模造茎15や模造の葉17の緑色の中にプリザーブドフラワーの花冠11の美しさや華やかさがより際立って映るうえ、生花によって装飾したときと同様、自然な外観の花祭壇20となる。
本実施例においては、模造茎15を土台25,26に接着剤等により固着しても、花冠11と模造茎15とが着脱自在の構成となっているので、プリザーブドフラワーの花冠11が傷んだとき等には、その花冠11だけを個別に交換することができる。
また、花祭壇20の配色や全体的な印象を変更したいとき等にも、花冠11だけを簡単に交換して、花の種類や色を変更することができる。
例えば、図6に示す花祭壇20の変形例の略断面図のように、外表面のいずれの箇所にも加工花10を挿すことができる発砲スチロール製の部材から成る土台28でも構わない。
特に、土台28の側面28bに加工花10を挿した場合、加工花10の挿入角度が地面に対して鋭角となるが、本実施例の加工花10であれば模造茎15の剛性が高いため、土台28の側面28bに挿しても加工花10が折れたり、花冠11が垂れ下がったりすることもなく、好適に保持することができ、花祭壇120を自由にデザインすることができる。
また、各種宗教に応じたデザインも可能であり、例えば、仏教式であれば寺院本堂の須弥壇を模したような装飾物を花祭壇20上に設置することもできる。
これにより、棺に入れるための生花を花祭壇20の一部に設置できるので、出棺の際にその花祭壇20から生花を直接採取することができ、葬儀を円滑に進行することができる。
また、本実施例の加工花10はプリザーブドフラワーの花冠11を有するものであるので、布や樹脂製の造花とは異なり参列者も生花との見分けが簡単にできないので、生花を一部に混ぜても見た目が自然な花祭壇20となる。
供花30は、一般的には生花となるが、本実施例では、主の花祭壇20には、生花と比較しても、見た目や質感等に遜色のないプリザーブドフラワーの花冠11を有する加工花10を用いているので、葬祭用祭壇1全体として、参列者が違和感を感じることもない。
なお、供花30として、花祭壇20と同様、プリザーブドフラワーの花冠11を有する加工花10を用いても構わない。
プリザーブドフラワーの花冠11を備える加工花10であれば、生花と同等の自然な外観や質感を有するので、生花と比べても遜色ない見栄えが得られるうえ、その美しさや瑞々しさを長期間維持できるので再利用も可能である。
したがって、祭壇のコストを抑えつつ、豪華で荘厳な祭壇を構成することができる。
次に、本発明の第2実施例に係る葬祭用祭壇2について図7及び図8に基づいて説明する。
図7は、本発明の第2実施例に係る葬祭用祭壇2の概略構成を示す正面図であり、図8は、本発明の第2実施例に係る葬祭用祭壇2(花祭壇220)の概略構成を示す側面図である。なお、説明の便宜上、図8において、加工花10の葉及びその他装飾用の花等については記載を省略した。
また、以下の説明において、特徴の差異を明確にするため、上記実施形態と重複する内容については説明を省略する。
ハート型の祭壇221に近い方に位置する上段の祭壇222は、前方が低くなるように緩やかな傾斜を形成した土台226に、模造茎15の長さや角度がそれぞれ異なる加工花10を複数立設することにより、祭壇表面に曲線的で滑らかな起伏形状を形成している。
ハート型の祭壇221から遠い方に位置する下段の祭壇223は、平坦な土台227に、模造茎15の長さや角度がそれぞれ異なる加工花10を複数立設することにより、祭壇表面に曲線的で滑らかな起伏形状を形成している。
上段の祭壇222はハート型の祭壇221よりも幅広に形成されており、下段の祭壇223は上段の祭壇222よりもさらに幅広に形成されている。
さらに、花祭壇220の最前列となる祭壇223の前方には、平坦な土台228に模造茎15の長さや角度がそれぞれ異なる加工花10を複数立設した祭壇224が形成されている。
なお、花祭壇220の後方には、供花130が配置されている。
特に、土台225,226のように傾斜を付けた場合でも、模造茎15の長さを変えることにより、花冠11の位置が自在となるので、土台の形状を超えてさらに立体的で奥行のある表現豊かな起伏形状を祭壇表面に形成することができる。
また、この第2実施例に係る花祭壇220においても、祭壇表面には、プリザーブドフラワーの花冠11の隙間から模造茎15や模造の葉17等が垣間見れており、より自然な外観を演出している。
次に、本発明の第3実施例に係る葬祭用祭壇3について図9に基づいて説明する。図9は、本発明の第3実施例に係る葬祭用祭壇3の概略構成を示す正面図である。
この第3実施例に係る葬祭用祭壇3における花祭壇320では、白色、赤色等、色とりどりのプリザーブドフラワーから成る花冠11を備えた加工花10を土台(図示略)に設置し、祭壇表面を波型をイメージするような複雑な起伏形状とする祭壇321を構成した。
また、その祭壇321の後方には、祭壇321よりも相対的に高い位置に形成され、立体的でボリュームのある略半球形状に形成された祭壇322を構成した。その祭壇322の中央には遺影写真24が配置されている。
なお、祭壇322の両側には、供花330が配置されている。
また、この第3実施例に係る花祭壇320においても、祭壇表面には、プリザーブドフラワーの花冠11の隙間から模造茎15や模造の葉17等が垣間見れており、より自然な外観を演出している。
次に、本発明の第4実施例に係る葬祭用祭壇4について図10に基づいて説明する。図10は、本発明の第4実施例に係る葬祭用祭壇4の概略構成を示す正面図である。
この第4実施例に係る葬祭用祭壇4における花祭壇420では、白色、赤色等、色とりどりのプリザーブドフラワーから成る花冠11を備えた加工花10を土台(図示略)に設置し、祭壇表面を起伏や丘が連続的に続く丘陵形状とする祭壇421を構成した。
また、その祭壇421の後方には、祭壇421よりも相対的に高い位置に形成され、表面に起伏形状を有する略半球形状に形成された祭壇422を構成した。その祭壇422の中央には遺影写真24が配されている。
なお、祭壇422両側には、木札431を備えた複数の供花430が配置されている。
また、この第4実施例に係る花祭壇420においても、祭壇表面には、プリザーブドフラワーの花冠11の隙間から模造茎15や模造の葉17等が垣間見れており、より自然な外観を演出している。
特に、土台が限定されないので、祭壇の大きさや寸法も自在であり、豪華で荘厳な大型の葬祭用祭壇のみならず、需要に応じて小型の葬祭用祭壇(花祭壇)であっても制作することが可能である。
例えば、上述した第1実施例乃至第4実施例は、本発明が適用できる葬祭用祭壇のデザインの一例である。
したがって、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
10 加工花
11 花冠
12 模造萼
13 萼本体
13a 芯棒部
13b 下端面
14 萼片
15 模造茎
15a 芯材
15b 肩部
15c 挿入部
16 葉柄
17 葉
18 接着剤
20 花祭壇
21 祭壇
22 祭壇
23 祭壇
24 遺影写真
25 土台
26 土台
27 取付孔
28 土台
28a 上面
28b 側面
30 供花
31 木札
40 小祭壇
Claims (3)
- 花と該花を設置して装飾される土台とを備える葬祭用祭壇であって、
前記花の少なくとも一部を、
プリザーブドフラワーの花冠と該花冠に固着された模造の萼と該萼に着脱自在に取り付けられ前記花冠を所定位置で保持する模造の茎とからなる加工花とし、
前記茎の長さが異なる前記加工花を前記土台に複数設置し、
前記加工花により前記祭壇の表面を前記土台の表面形状と異なる所望の起伏形状になるように装飾したことを特徴とする葬祭用祭壇。 - 前記茎を折り曲げて前記花冠の向き又は角度を変えることを特徴とする請求項1に記載の葬祭用祭壇。
- 前記花の一部を前記加工花とし、前記花の他の一部を生花とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の葬祭用祭壇。
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