JP5829929B2 - 未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法 - Google Patents
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Description
塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜Aの上にさらに塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜Bを形成し、未硬化の複層塗膜を形成するウェットオンウェット塗装において、後の塗装によって形成された未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する方法であって、該方法が下記工程:
後の塗装によって形成された未硬化の塗膜Bの表面に対して、対向する方向から、高分子シートを貼り合わせる、貼り合わせ工程、
貼り合わせた高分子シートを剥がすことによって、前記未硬化の複層塗膜から塗膜B成分のみを分離させる、分離工程、および
得られた未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する、粘度または固形分測定工程、
を包含する、
未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法、を提供するものであり、これにより上記課題が解決される。
本発明の方法は、塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜A(3)の上にさらに塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜B(5)を形成し、未硬化の複層塗膜を形成するウェットオンウェット塗装において、後の塗装によって形成された未硬化の塗膜B(5)の粘度または固形分を測定するにあたって有効な方法である。そして本発明の方法は、以下の工程を包含する:
未硬化の塗膜A(3)の上にウェットオンウェット塗装された未硬化の塗膜B(5)の表面に対して、対向する方向から、高分子シート(7)を貼り合わせる、貼り合わせ工程、
貼り合わせた高分子シート(7)を剥がすことによって、上記未硬化の塗膜B(5)と未硬化の塗膜A(3)とからなる未硬化の複層塗膜から塗膜B成分のみを分離させる、分離工程、
得られた未硬化の塗膜B(5)成分の粘度または固形分を測定する、粘度または固形分測定工程。
図1は、上記工程における、高分子シートの貼り合わせ工程および分離工程の概要を示す概略説明図である。
未硬化の塗膜Aを形成するのに用いられる塗料組成物Aとして、例えば、自動車などの塗装分野において一般的に用いられる、電着塗料組成物、中塗り塗料組成物、上塗りベース塗料組成物などの塗料組成物が挙げられる。
未硬化の塗膜Bを形成するのに用いられる塗料組成物Bとして、例えば、自動車などの塗装分野において一般的に用いられる、中塗り塗料組成物、上塗りベース塗料組成物、上塗りクリヤー塗料組成物などの塗料組成物が挙げられる。
電着塗料組成物の具体例として、例えば、カチオン電着塗料組成物およびアニオン電着塗料組成物が挙げられる。
中塗り塗料組成物の具体例として、例えば、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂などの塗膜形成樹脂、そしてブロックイソシアネート硬化剤またはメラミン樹脂などの硬化剤を含む、中塗り塗料組成物が挙げられる。
上塗りベース塗料組成物の具体例として、例えば、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂などの塗膜形成樹脂、そしてブロックイソシアネート硬化剤またはメラミン樹脂などの硬化剤を含む、上塗りベース塗料組成物が挙げられる。
クリヤー塗料組成物の具体例として、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基および/またはエポキシ基を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂と、必要に応じた硬化剤(ブロックイソシアネート硬化剤またはメラミン樹脂など)を含む、1液または2液クリヤー塗料組成物が挙げられる。
なお、この高分子シートの引き剥がしによって、未硬化の塗膜Bの全てが分離できなければならないというわけではなく、引き剥がされた後の未硬化の塗膜Aの表面に、多少の未硬化の塗膜B成分が残っていても構わない。しかしながら、高分子シートには未硬化の塗膜B成分のみが取り出せていることが必要である。また本明細書において「未硬化の塗膜B成分」とは、未硬化の塗膜B全体または未硬化の塗膜Bの一部を意味する。
未硬化の塗膜Aを形成する塗料組成物Aとして、アクアレックスAR−600グレー(日本ペイント社製、アクリルメラミン硬化型水性中塗り塗料)を用いた。この塗料組成物を、粘度100Pa・s、固形分40%となるように、イオン交換水を用いて粘度および固形分調整を行った。
未硬化の塗膜Bを形成する塗料組成物Bとして、アクアレックスAR−2000シルバー(日本ペイント社製、アクリルメラミン硬化型水性ベース塗料)を用いた。この塗料組成物Bを、乾燥膜厚が15μmとなるように、アルミホイル上に回転霧化式静電塗装装置にて2ステージ塗装し、未硬化の塗膜Bを得た。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバルを行った。得られた未硬化の塗膜Bをへらでかき取った塗着固形分が30%となるように、イオン交換水を用いて塗料固形分を調整した。その際の未硬化の塗膜Bの粘度を塗料組成物Bの塗着粘度として測定したところ、200Pa・sであった。
なお、固形分測定と粘度測定とは、以下の方法で行った。
固形分測定
かき取った未硬化の塗膜Bを1g秤取り、JIS K5601に準拠した、規定条件で加熱した後の残渣の質量の、元の質量に対する百分率(加熱残分)を求めて、得られた数値を塗料組成物Bの塗着固形分とした。加熱条件は125℃で60分間加熱することによって行った。
粘度測定
所定の固形分に調整した後にかき取った未硬化の塗膜Bの粘度測定を、回転型動的粘弾性測定装置であるRheosol G−3000(ユービーエム社製)を用いて、動的粘弾性における周波数依存測定を、歪み0.2deg、周波数0.05Hzの条件下で行った。具体的には未硬化の塗膜Bをコーンプレート内に移し装置にセットし、測定温度を25℃に保った。測定開始後、コーンプレート内で未硬化の塗膜が均一に広がった状態となった時点で粘度の測定を行った。測定結果を下記表に示す。
次いで、上塗りベース塗料組成物2である塗料組成物Bを、乾燥膜厚が15μmとなるように、回転霧化式静電塗装装置にて2ステージ塗装し、未硬化の塗膜Bを得た。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバルを行った。
こうして、未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bからなる、未硬化の複層塗膜を得た。
塗料組成物Bにおいて、アルミホイル上での塗着固形分が50%となるように調整した。具体的には、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布した後、3分間セッティングし40℃で1分間プレヒートを行った。
実施例1と同様にして得られた被塗物上に、未硬化の塗膜Aを、実施例1と同様にして形成した。次いで、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布し、3分間セッティングし、その後40℃で1分間プレヒートを行った。こうして、未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bからなる、未硬化の複層塗膜を得た。
実施例1で用いたOHPを用いて、未硬化の複層塗膜から、未硬化の塗膜B成分を、実施例1と同様にして分離した。分離した未硬化の塗膜B成分の固形分および粘度を、実施例1と同様にして測定した。
塗料組成物Bにおいて、アルミホイル上での塗着固形分が70%となるように調整した。具体的には、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布した後、3分間セッティングし40℃で3分間プレヒートを行った。
実施例1と同様にして得られた被塗物上に、未硬化の塗膜Aを、実施例1と同様にして形成した。次いで、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布し、3分間セッティングし、その後40℃で3分間プレヒートを行った。こうして、未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bからなる、未硬化の複層塗膜を得た。
実施例1で用いたOHPを用いて、未硬化の複層塗膜から、未硬化の塗膜B成分を、実施例1と同様にして分離した。分離した未硬化の塗膜B成分の固形分および粘度を、実施例1と同様にして測定した。
未硬化の複層塗膜に貼り合わせる基材として、OHPシートの代わりにアルミホイルシートを用いたこと以外は、それぞれ実施例2および3と同様にして操作を行った。
比較例3は、未硬化の複層塗膜に貼り合わせる基材として、OHPシートの代わりにブリキ板を用いたこと以外は、実施例2と同様にして操作を行った。
比較例4は、未硬化の複層塗膜に貼り合わせる基材として、OHPシートの代わりにブリキ板を用いたこと以外は、実施例3と同様にして操作を行った。
一方で、比較例1および2に示されるとおり、OHPシートの代わりにアルミホイルシートを用いた場合は、未硬化の複層塗膜から未硬化の塗膜B成分を分離することはできたものの、アルミホイルシートから未硬化の塗膜B成分を分離する際に、アルミホイルシートの破損が生じ、分離が困難であった。これは、未硬化の塗膜B成分の粘度が高いため、剥離が困難となったためである。
また、比較例3および4に示されるとおり、OHPシートの代わりにブリキ板を用いた場合は、ブリキ板に、未硬化の塗膜が付着せず、未硬化の複層塗膜から未硬化の塗膜B成分を分離することができなかった。
本発明の方法は、経済的利点が高く、CO2排出量削減に有用な塗装方法であるウェットオンウェット塗装の検討において有用性の高い方法である。
3:未硬化の塗膜A
5:未硬化の塗膜B
7:可撓性を有する高分子シート
Claims (2)
- 塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜Aの上にさらに塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜Bを形成し、未硬化の複層塗膜を形成するウェットオンウェット塗装において、後の塗装によって形成された未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する方法であって、該方法が下記工程:
後の塗装によって形成された未硬化の塗膜Bの表面に対して、対向する方向から、高分子シートを貼り合わせる、貼り合わせ工程、
貼り合わせた高分子シートを剥がすことによって、前記未硬化の複層塗膜から塗膜B成分のみを分離させる、分離工程、および
得られた未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する、粘度または固形分測定工程、
を包含する、
未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法。 - 前記高分子シートが、ポリエチレンテレフタレートシートである、請求項1記載の未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法。
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