JP5829929B2 - 未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法 - Google Patents

未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法 Download PDF

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本発明は、ウェットオンウェット塗装において形成された未硬化の複層塗膜を構成する最表層の塗膜の粘度または固形分を良好に測定することができる方法に関する。
自動車車体などの積層塗膜は、各構成塗膜を形成する毎に、焼付け硬化する方法と、積層された複数の塗膜を同時に硬化する方法とがある。この中で、積層された複数の塗膜を同時に硬化する方法においては、焼付け乾燥工程を省略することができるという利点がある。例えば特開2001−302964号公報(特許文献1)には、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を、順次ウェットオンウェットで塗膜形成する3コート1ベークの方法が開示されている。このようなウェットオンウェット塗装方法で積層塗膜を形成する場合は、中塗り塗料組成物およびベース塗料組成物の焼付け工程を省略することができる。そのため、経済的利点があり、さらにはCO排出量を削減できるという利点もある。
このようなウェットオンウェット塗装においては、塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜の挙動を知ることが重要となる。例えば、既に加熱硬化させた塗膜の上に未硬化の塗膜を形成する場合は、未硬化の塗膜中に含まれる成分の硬化塗膜への移行はそれほど生じない。一方で、未硬化塗膜上に更に未硬化の塗膜を形成するウェットオンウェット塗装においては、塗膜間における成分の移行が生じやすい傾向がある。そのため、このようなウェットオンウェット塗装においては、未硬化の塗膜上に塗装して形成した未硬化の塗膜の、実際の物理的状態のまま入手することが重要となる。
未硬化の塗膜の粘度を測定する方法として、従来は、アルミホイルなどの基材上に塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜を形成し、これを基材から分離して測定するという方法が取られていた。しかしながらこの方法においては、基材上に塗装して得られた塗膜の粘度を測定するため、ウェットオンウェット塗装における実際の未硬化塗膜の状態を得ることはできないという問題があった。
特開2007−061747号公報(特許文献2)には、未硬化の電着塗膜の上に溶剤型塗料を塗装して未硬化の塗膜を加熱硬化させる複層塗膜形成方法において、塗膜粘度などが特定範囲内であることを特徴とする複層塗膜形成方法が記載されている(請求項1など)。この特許文献2においては、未硬化の塗膜粘度を測定するために、未硬化電着塗膜の上に形成された溶剤型塗料塗膜の一部を、電着塗膜を含むことなく溶剤型塗料塗膜のみが採取されるように、注意深く、ヘラで採取して、塗着塗膜の粘度測定を行ったことが記載されている([0066]段落など)。このように、ウェットオンウェット塗装における実際の未硬化塗膜の状態を得ることは、多大な注意を必要とする、困難な作業であった。そのため、ウェットオンウェット塗装において、塗装後の未硬化塗膜を容易に得ることができる手段の開発が必要とされていた。
特開2001−302964号公報 特開2007−061747号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、ウェットオンウェット塗装における未硬化塗膜の実際の状態のまま入手することができる手法を提供することにある。
本発明は、
塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜Aの上にさらに塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜Bを形成し、未硬化の複層塗膜を形成するウェットオンウェット塗装において、後の塗装によって形成された未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する方法であって、該方法が下記工程:
後の塗装によって形成された未硬化の塗膜Bの表面に対して、対向する方向から、高分子シートを貼り合わせる、貼り合わせ工程、
貼り合わせた高分子シートを剥がすことによって、前記未硬化の複層塗膜から塗膜B成分のみを分離させる、分離工程、および
得られた未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する、粘度または固形分測定工程、
を包含する、
未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法、を提供するものであり、これにより上記課題が解決される。
上記高分子シートは、ポリエチレンテレフタレートシートであるのが好ましい。
本発明の方法によって、ウェットオンウェット塗装において形成された未硬化複層塗膜を構成する、最表層の未硬化塗膜の粘度または固形分を、容易にかつ良好に測定することができる。本発明の方法においては、未硬化の塗膜A上に未硬化の塗膜Bを、実際にウェットオンウェット塗装で設けた後において、未硬化の塗膜B成分のみを分離することができる点に特徴がある。そのため、ウェットオンウェット塗装において形成された未硬化の複層塗膜を構成する最表層の塗膜の実際の状態を把握することができるという利点がある。
本発明における、高分子シートの貼り合わせ工程および分離工程の概要を示す概略説明図である。
本発明の方法を、図1を用いて概略説明する。
本発明の方法は、塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜A(3)の上にさらに塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜B(5)を形成し、未硬化の複層塗膜を形成するウェットオンウェット塗装において、後の塗装によって形成された未硬化の塗膜B(5)の粘度または固形分を測定するにあたって有効な方法である。そして本発明の方法は、以下の工程を包含する:
未硬化の塗膜A(3)の上にウェットオンウェット塗装された未硬化の塗膜B(5)の表面に対して、対向する方向から、高分子シート(7)を貼り合わせる、貼り合わせ工程、
貼り合わせた高分子シート(7)を剥がすことによって、上記未硬化の塗膜B(5)と未硬化の塗膜A(3)とからなる未硬化の複層塗膜から塗膜B成分のみを分離させる、分離工程、
得られた未硬化の塗膜B(5)成分の粘度または固形分を測定する、粘度または固形分測定工程。
図1は、上記工程における、高分子シートの貼り合わせ工程および分離工程の概要を示す概略説明図である。
本発明の方法は、塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜Aの上にさらに塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜Bを形成し、未硬化の複層塗膜を形成するウェットオンウェット塗装において、後の塗装によって形成された未硬化の塗膜B成分のみを、未硬化の塗膜Aから良好に分離することができる。これにより、未硬化の塗膜B成分の粘度、固形分などを容易に測定することが可能となる。
本明細書における「ウェットオンウェット塗装」とは、被塗物に対して、塗料組成物Aを塗装して未硬化の塗膜Aを形成した後、この塗膜Aを硬化させることなく、塗膜Aの上に塗料組成物Bを塗装して、未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bを設けて未硬化の複層塗膜を形成する塗装方法を意味する。必要に応じて、未硬化の塗膜Aを形成した後、塗料組成物Bを塗装する前に、プレヒート処理を行ってもよい。但し、このプレヒート処理は、未硬化の塗膜Aが硬化する温度未満における処理であることを条件とする。プレヒート処理として、例えば、室温〜100℃の温度で1〜15分乾燥させる態様などが挙げられる。
ウェットオンウェット塗装で未硬化の塗膜Aおよび塗膜Bを形成するのに用いられる塗料組成物Aおよび塗料組成物Bは、当業者において用いられる通常の塗料組成物を、特に制限されることなく用いることができる。
未硬化の塗膜Aを形成するのに用いられる塗料組成物Aとして、例えば、自動車などの塗装分野において一般的に用いられる、電着塗料組成物、中塗り塗料組成物、上塗りベース塗料組成物などの塗料組成物が挙げられる。
未硬化の塗膜Bを形成するのに用いられる塗料組成物Bとして、例えば、自動車などの塗装分野において一般的に用いられる、中塗り塗料組成物、上塗りベース塗料組成物、上塗りクリヤー塗料組成物などの塗料組成物が挙げられる。
電着塗料組成物の具体例として、例えば、カチオン電着塗料組成物およびアニオン電着塗料組成物が挙げられる。
中塗り塗料組成物の具体例として、例えば、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂などの塗膜形成樹脂、そしてブロックイソシアネート硬化剤またはメラミン樹脂などの硬化剤を含む、中塗り塗料組成物が挙げられる。
上塗りベース塗料組成物の具体例として、例えば、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂などの塗膜形成樹脂、そしてブロックイソシアネート硬化剤またはメラミン樹脂などの硬化剤を含む、上塗りベース塗料組成物が挙げられる。
クリヤー塗料組成物の具体例として、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基および/またはエポキシ基を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂と、必要に応じた硬化剤(ブロックイソシアネート硬化剤またはメラミン樹脂など)を含む、1液または2液クリヤー塗料組成物が挙げられる。
本発明の方法における、塗料組成物Aと塗料組成物Bとの組み合わせとして、例えば、電着塗料組成物と中塗り塗料組成物、中塗り塗料組成物と上塗りベース塗料組成物、上塗りベース塗料組成物と上塗りクリヤー塗料組成物、上塗りベース塗料組成物1と上塗りベース塗料組成物2、などの態様が挙げられる。
本発明の方法においては、未硬化の塗膜A(3)の上にウェットオンウェット塗装された未硬化の塗膜B(5)の表面に対して、高分子シート(7)を貼り合わせる(貼り合わせ工程)。この高分子シート(7)は、未硬化の塗膜Bの表面に対して、高分子シートの表面を対向する方向から貼り合わせる。高分子シート(7)を、こうして未硬化の塗膜Bの表面に対して貼り合わせることによって、未硬化の塗膜Bと高分子シート(7)とが密着することとなる。
次に、未硬化の塗膜B(5)の表面上に貼り合わせた、高分子シート(7)を、上記未硬化の複層塗膜から徐々に引き剥がす。これにより、高分子シート(7)に密着した未硬化の塗膜B成分が、高分子シート(7)に付随して引き剥がされる。これにより、未硬化の塗膜Aと、未硬化の塗膜B成分とが分離されることとなる(分離工程)。
本発明においては、未硬化の塗膜Bの表面に対して貼り合わせる基材として、可撓性を有する高分子シートを用いる点に特徴がある。貼り合わせる基材として、高分子シート以外にも、例えば、鋼板などの金属板、樹脂板、アルミホイルシートなどの基材も考えることができる。しかしながら、高分子シートの代わりに、金属板または樹脂板を用いた場合は、分離工程において、未硬化の塗膜B成分が、基材に対して良好に追随せず、未硬化の複層塗膜から未硬化の塗膜B成分のみを良好に分離することができない。また、貼り合わせる基材としてアルミホイルシートを用いる場合は、未硬化の塗膜B成分のアルミホイルシートへの追随性は、金属板または樹脂板などと比較すると高いものの、アルミホイルシート上に付着した未硬化の塗膜B成分を、アルミホイルシートから取り出す操作が困難となるおそれがある。アルミホイルシートは形状変形性が高く、また破損しやすいためである。また、アルミホイルシートは形状変形性が高いため、未硬化の塗膜B成分のアルミホイルシートへの追随性は、高分子シートと比較して劣ることとなる。
本発明においては、ウェットオンウェット塗装により設けた、未硬化の複層塗膜において、未硬化の塗膜Bの上方から、高分子シートを、未硬化の塗膜Bの表面に対して対向する方向から貼り合わせることを特徴としている。
本発明の方法で使用される高分子シートは、可撓性を有する高分子シートであれば、特に制限なく用いることができる。このような高分子シートとして、例えば、ポリオレフィンシート(例えばポリエチレンシートまたはポリプロピレンシートなど)、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニリデンシート、アイオノマーシート、ポリビニルアルコールシート、ポリエステルシート(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートなど)、ポリカーボネートシート、ポリアクリロニトリルシート、エチレン酢酸ビニル共重合体シート、エチレン−ビニルアルコール共重合体シート、ナイロンシート、セロファンシートなどが挙げられる。上記の高分子シートは、上記シート何れかのみからなる単層シートであってもよく、上記シートから選択される2種またはそれ以上を組みあわせた複層シートであってもよい。
高分子シートとして、ポリオレフィンシート、ポリエチレンシートなどが好ましく、PETシートが特に好ましい。
高分子シートは、必要に応じて、表面処理されていてもよい。表面処理として、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、酸またはアルカリを用いた化学処理、凹凸処理、受容層などの各種コーティング処理などが挙げられる。
本明細書における高分子シートの「可撓性」とは、シートがたわんだ状態となる性質を意味する。本発明における高分子シートとして、シートの形状を維持した状態で、シートがたわんだ状態となるものがより好ましい。このような高分子シートは、高分子シートに付随して引き剥がされた未硬化の塗膜Bを、高分子シートから取り出すのが容易となるためである。
高分子シートの厚さは、高分子シートが可撓性を維持する範囲であればよく、高分子シートを構成する材質およびシートの構造に依存して変化しうる。高分子シートの厚さとして、例えば、50〜250μmであるのが好ましく、70〜200μmであるのがより好ましい。
高分子シートとして、他の一般的用途に用いられている既存の高分子シートを用いることもできる。このような高分子シートとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートから構成されるオーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHPシート)などが好適に用いることができる。
次いで、高分子シートに付随して引き剥がされた未硬化の塗膜B成分を、高分子シートから取り出すことによって、未硬化の塗膜B成分を得ることができる。高分子シートから、未硬化の塗膜B成分を取り出す方法として、例えば、一般的なへらなどの道具を用いたかき取りなどといった、当業者において通常用いられる方法が挙げられる。本発明においては、高分子シート上に、未硬化の塗膜B成分のみが付着した状態となっているため、極めて容易にかつ良好に、未硬化の塗膜B成分を取り出すことができるという利点がある。
なお、この高分子シートの引き剥がしによって、未硬化の塗膜Bの全てが分離できなければならないというわけではなく、引き剥がされた後の未硬化の塗膜Aの表面に、多少の未硬化の塗膜B成分が残っていても構わない。しかしながら、高分子シートには未硬化の塗膜B成分のみが取り出せていることが必要である。また本明細書において「未硬化の塗膜B成分」とは、未硬化の塗膜B全体または未硬化の塗膜Bの一部を意味する。
こうして得られた、未硬化の塗膜B成分を用いて、粘度または固形分を測定することによって、ウェットオンウェット塗装による複層塗膜形成における、未硬化の塗膜の実際の挙動を詳細に調べることができる。
未硬化の塗膜B成分の粘度を測定する方法として、例えば、動的粘弾性測定装置を用いて測定する方法が挙げられる。動的粘弾性測定装置として、例えば、回転型動的粘弾性測定装置であるRheosol G−3000(ユービーエム社製)などが挙げられる。動的粘弾性測定装置による粘度測定の条件は、当業者における一般的な条件を、特に制限されることなく用いることができる。
未硬化の塗膜B成分の固形分を測定する方法として、例えば、JIS K5601に準拠した、規定条件で加熱した後の残渣の質量の、元の質量に対する百分率(加熱残分)を測定する方法が挙げられる。この方法における上記加熱の規定条件は、上記JIS K5601に従い、試料約1.0gを125℃にて60分加熱する条件である。
本発明の方法においては、未硬化の塗膜Aの上にウェットオンウェット塗装によって形成された未硬化の塗膜Bの表面に対して、高分子シートを、対向して貼り合わせた後に、分離する点に特徴がある。つまり、本発明の方法においては、未硬化の塗膜A上に未硬化の塗膜Bを、実際にウェットオンウェット塗装で設けた後において、未硬化の塗膜B成分のみを分離することができる点に特徴がある。従来用いられた方法は、例えば、アルミホイルなどの基材上に塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜を形成し、これを基材から分離して測定するという方法などであった。しかしながらこの方法においては、基材上に塗装して得られた塗膜の粘度を測定するため、ウェットオンウェット塗装における実際の未硬化塗膜の状態を得ることはできないという問題があった。一方で本発明においては、上記のような方法を用いることによって、ウェットオンウェット塗装によって得られた、未硬化の塗膜Aおよび塗膜Bからなる未硬化の複層塗膜から、未硬化の塗膜B成分のみを容易に取り出すことが可能となった。これにより、ウェットオンウェット塗装における、実際の未硬化塗膜の状態を容易に得ることが可能となった。
本発明の方法によって、実際のウェットオンウェット塗装によって形成される未硬化の塗膜Aおよび塗膜Bからなる未硬化の複層塗膜から、未硬化の塗膜B成分のみを容易に取り出すことができる利点は大きい。実際のウェットオンウェット塗装によって形成される未硬化の塗膜Aおよび塗膜Bからなる未硬化の複層塗膜から、未硬化の塗膜B成分のみを取り出すことによって、未硬化の塗膜Bから、未硬化の塗膜Aへの、溶媒などの移行について調べることができるためである。特にウェットオンウェット塗装においては、未硬化の塗膜Aを形成した後、未硬化の塗膜Bを形成する前に、プレヒート処理が行われることが多い。このプレヒート処理によって、未硬化の塗膜Aに含まれる溶媒などは、ある程度、揮発することとなる。このようにプレヒート処理を行った未硬化の塗膜Aの上に未硬化の塗膜Bを塗装する場合においては、プレヒート処理によって溶媒などが除かれた未硬化の塗膜Aに対して、未硬化の塗膜B中に含まれる溶媒などが、平衡状態となるまで移行することとなる。そのため、塗装に用いた塗料組成物Bにおける粘度または固形分と、実際のウェットオンウェット塗装によって未硬化の塗膜A上に形成された未硬化の塗膜Bの粘度または固形分とは、大きく異なることが多い。本発明の方法によって、ウェットオンウェット塗装によって実際に形成される未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bからなる未硬化の複層塗膜から、最表層にある未硬化の塗膜Bのみを容易に取り出して、未硬化の塗膜Bの粘度または固形分を測定することが可能となる。これにより、ウェットオンウェット塗装における塗料組成物などの設計において極めて有用な物性情報を得ることが可能となるという利点がある。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
実施例1
未硬化の塗膜Aを形成する塗料組成物Aとして、アクアレックスAR−600グレー(日本ペイント社製、アクリルメラミン硬化型水性中塗り塗料)を用いた。この塗料組成物を、粘度100Pa・s、固形分40%となるように、イオン交換水を用いて粘度および固形分調整を行った。
未硬化の塗膜Bを形成する塗料組成物Bとして、アクアレックスAR−2000シルバー(日本ペイント社製、アクリルメラミン硬化型水性ベース塗料)を用いた。この塗料組成物Bを、乾燥膜厚が15μmとなるように、アルミホイル上に回転霧化式静電塗装装置にて2ステージ塗装し、未硬化の塗膜Bを得た。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバルを行った。得られた未硬化の塗膜Bをへらでかき取った塗着固形分が30%となるように、イオン交換水を用いて塗料固形分を調整した。その際の未硬化の塗膜Bの粘度を塗料組成物Bの塗着粘度として測定したところ、200Pa・sであった。
なお、固形分測定と粘度測定とは、以下の方法で行った。
固形分測定
かき取った未硬化の塗膜Bを1g秤取り、JIS K5601に準拠した、規定条件で加熱した後の残渣の質量の、元の質量に対する百分率(加熱残分)を求めて、得られた数値を塗料組成物Bの塗着固形分とした。加熱条件は125℃で60分間加熱することによって行った。
粘度測定
所定の固形分に調整した後にかき取った未硬化の塗膜Bの粘度測定を、回転型動的粘弾性測定装置であるRheosol G−3000(ユービーエム社製)を用いて、動的粘弾性における周波数依存測定を、歪み0.2deg、周波数0.05Hzの条件下で行った。具体的には未硬化の塗膜Bをコーンプレート内に移し装置にセットし、測定温度を25℃に保った。測定開始後、コーンプレート内で未硬化の塗膜が均一に広がった状態となった時点で粘度の測定を行った。測定結果を下記表に示す。
ダル鋼板(長さ300mm、幅100mmおよび厚さ0.8mm)をリン酸亜鉛処理剤(日本ペイント社製、「サーフダインSD2000」)を使用して化成処理した後、カチオン電着塗料(日本ペイント社製、「パワーニクス PN 310」)を乾燥膜厚が25μmとなるように電着塗装した。次いで、160℃で30分間焼き付け、被塗物を得た。
得られた被塗物上に、上塗りベース塗料組成物1である塗料組成物Aを、乾燥膜厚が20μmとなるように、回転霧化式静電塗装装置にて1ステージで塗装し、未硬化の塗膜Aを得た。その後、3分間セッティングを行った後、80℃で3分間プレヒートを行った。
次いで、上塗りベース塗料組成物2である塗料組成物Bを、乾燥膜厚が15μmとなるように、回転霧化式静電塗装装置にて2ステージ塗装し、未硬化の塗膜Bを得た。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバルを行った。
こうして、未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bからなる、未硬化の複層塗膜を得た。
OHPシート(コクヨ社製PETシート、「VF―1101N」)を、得られた未硬化の複層塗膜を構成する未硬化の塗膜Bの表面に対して、対向する方向から貼り合わせた。その後、ゆっくりOHPシートを引き剥がした。OHPシート上に付随して分離した、未硬化の塗膜B成分を、へらを用いてかき取った。こうして分離した未硬化の塗膜B成分の固形分および粘度を、上記方法によって測定した。
実施例2
塗料組成物Bにおいて、アルミホイル上での塗着固形分が50%となるように調整した。具体的には、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布した後、3分間セッティングし40℃で1分間プレヒートを行った。
実施例1と同様にして得られた被塗物上に、未硬化の塗膜Aを、実施例1と同様にして形成した。次いで、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布し、3分間セッティングし、その後40℃で1分間プレヒートを行った。こうして、未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bからなる、未硬化の複層塗膜を得た。
実施例1で用いたOHPを用いて、未硬化の複層塗膜から、未硬化の塗膜B成分を、実施例1と同様にして分離した。分離した未硬化の塗膜B成分の固形分および粘度を、実施例1と同様にして測定した。
実施例3
塗料組成物Bにおいて、アルミホイル上での塗着固形分が70%となるように調整した。具体的には、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布した後、3分間セッティングし40℃で3分間プレヒートを行った。
実施例1と同様にして得られた被塗物上に、未硬化の塗膜Aを、実施例1と同様にして形成した。次いで、アクアレックスAR−2000シルバーを、1.5分間のインターバルで2回塗布し、3分間セッティングし、その後40℃で3分間プレヒートを行った。こうして、未硬化の塗膜Aおよび未硬化の塗膜Bからなる、未硬化の複層塗膜を得た。
実施例1で用いたOHPを用いて、未硬化の複層塗膜から、未硬化の塗膜B成分を、実施例1と同様にして分離した。分離した未硬化の塗膜B成分の固形分および粘度を、実施例1と同様にして測定した。
比較例1および2
未硬化の複層塗膜に貼り合わせる基材として、OHPシートの代わりにアルミホイルシートを用いたこと以外は、それぞれ実施例2および3と同様にして操作を行った。
比較例3および4
比較例3は、未硬化の複層塗膜に貼り合わせる基材として、OHPシートの代わりにブリキ板を用いたこと以外は、実施例2と同様にして操作を行った。
比較例4は、未硬化の複層塗膜に貼り合わせる基材として、OHPシートの代わりにブリキ板を用いたこと以外は、実施例3と同様にして操作を行った。
上記実施例および比較例における測定結果などを下記表に示す。
Figure 0005829929
実施例1〜3に示されるとおり、本発明の方法によって、未硬化の塗膜AおよびBを有する複層塗膜において、最表層である未硬化の塗膜B成分を容易に取り出すことができ、未硬化の塗膜B成分の固形分および粘度を容易に測定することができた。そして本発明の方法は、様々な粘度および固形分の塗料組成物を用いる場合であっても対応できることが確認できた。
一方で、比較例1および2に示されるとおり、OHPシートの代わりにアルミホイルシートを用いた場合は、未硬化の複層塗膜から未硬化の塗膜B成分を分離することはできたものの、アルミホイルシートから未硬化の塗膜B成分を分離する際に、アルミホイルシートの破損が生じ、分離が困難であった。これは、未硬化の塗膜B成分の粘度が高いため、剥離が困難となったためである。
また、比較例3および4に示されるとおり、OHPシートの代わりにブリキ板を用いた場合は、ブリキ板に、未硬化の塗膜が付着せず、未硬化の複層塗膜から未硬化の塗膜B成分を分離することができなかった。
本発明の方法によって、ウェットオンウェット塗装において形成された未硬化の複層塗膜を構成する、最表層の未硬化塗膜の粘度または固形分を、容易にかつ良好に測定することができる。そのため、ウェットオンウェット塗装において形成された未硬化の複層塗膜を構成する最表層の塗膜の実際の状態を把握することができる。
本発明の方法は、経済的利点が高く、CO排出量削減に有用な塗装方法であるウェットオンウェット塗装の検討において有用性の高い方法である。
1:被塗物
3:未硬化の塗膜A
5:未硬化の塗膜B
7:可撓性を有する高分子シート

Claims (2)

  1. 塗料組成物の塗装によって得られた未硬化の塗膜Aの上にさらに塗料組成物を塗装して未硬化の塗膜Bを形成し、未硬化の複層塗膜を形成するウェットオンウェット塗装において、後の塗装によって形成された未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する方法であって、該方法が下記工程:
    後の塗装によって形成された未硬化の塗膜Bの表面に対して、対向する方向から、高分子シートを貼り合わせる、貼り合わせ工程、
    貼り合わせた高分子シートを剥がすことによって、前記未硬化の複層塗膜から塗膜B成分のみを分離させる、分離工程、および
    得られた未硬化の塗膜B成分の粘度または固形分を測定する、粘度または固形分測定工程、
    を包含する、
    未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法。
  2. 前記高分子シートが、ポリエチレンテレフタレートシートである、請求項1記載の未硬化の塗膜の粘度または固形分測定方法。
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