JP5828392B2 - 溶融金属めっき浴用ロール - Google Patents
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Description
まず、本発明に係わる溶融金属めっき浴用ロールが溶融金属めっき浴に浸漬されて使用される溶融金属めっき装置について、その概略構成図である図1を参照しつつ説明する。
図示せず) に連結された駆動ロールであり、他方のサポートロール7が非駆動ロールである。なお、サポートロール3には外部駆動力が付与されない無駆動タイプもある。溶融金属めっき浴用ロールであるシンクロール1及び一対のサポートロール3・3は、フレーム84・85に取り付けられた軸受87・88により回転自在に各々支持されており、常に一体としてめっき浴81の内に浸漬される。
図1の溶融金属めっき装置80に組み込まれる第1態様のシンクロール1の構成について、一部を断面で示したその平面図である図2、図2の右側面図である図3(a)、図2のA部の拡大図である図3(b)を参照して説明する。なお、図3(b)において、軸部1dは、理解のため破線で示している。また、以下の第2〜第5態様のシンクロールまたはサポートロールの構成についても同様であるが、基本的に、シンクロールを例として説明する構成はサポートロールにも適用することができ、サポートロールを例として説明する構成はシンクロールにも適用することができる。
図2および3に示すように、胴部1bは、めっき処理される鋼板Pが直接接触するその外周面が、所定の外径となるよう形成されている。本態様の胴部1bは、軸芯Iに直交する方向(以下、この方向を半径方向と言う。)に沿った断面形状が略円形状である略円柱形状の中空部1nを有する略円筒形状をなしており、中空部1nがそのまま伸びた端が略円柱形状の胴端凹部1wとなっている。なお、図示する胴部1bは、軸芯方向における肉厚が同一であるが、接続部1jが配置される端の部分以外の肉厚は変化するように構成してもよく、厚肉部および薄肉部を適宜配置してもよい。しかしながら、シンクロール1は、めっき浴への浸漬時および引上時に急熱・急冷されるために、肉厚急変部が存在すると過大な熱応力が生じ、割損する可能性がある。このため、胴部1bの厚みは、軸心方向において一定の厚みであることが望ましい。また、胴部1bの中空部1nの形状も略円柱形状である必要はなく、特に、接続部1jが配置されるその端部の形状は、接続部1jの外周形状に対応した形状であればよいが、上記と同様な理由から略円柱形状であることが望ましい。
図2および3(a)に示すように、セラミックスで形成された軸部1dは中空状であり、大径部1eと、すべり軸受87で支承される小径部1gと、大径部1eと小径部1gとを連結する連結部1fとを有している。なお、軸部1dは中実であってもよい。ここで、セラミックスで構成された軸部1dはめっき浴による腐蝕磨耗が抑制され望ましいが、セラミックスは靭性に乏しく、鋭角な部分が存在すると破壊の起点となるため、連結部1fと大径部1eおよび小径部1gの結合部分は、軸心方向に沿う断面視において各々滑らかな曲線で形成することが望ましい。なお、図2において、符号1hは、軸心方向にシンクロール1を支持するスラスト受け部である。セラミックスで構成されたスラスト受け部1hは、小径部1gの端部開口に挿着されており、シンクロール1の回転性を考慮し、軸受に接触する面積が小さくなるように構成されており、その右端面の半径方向に沿う断面視は、右方向に凸である全体として弧状をなしている。
略円環形状をなす本態様の接続部1jは、図3(b)に示すように、その外径が、胴部1bの胴端凹部1wの内径とほぼ同一径であり、胴部1bの軸芯Iと同軸になるよう、軸部1bの胴端凹部1wに挿着され、固定されている。なお、半径方向に沿った断面における接続部1jの外周縁の形状は略円形状である必要はなく、三角形状・四角形状その他多角形状または楕円形状であってもよいが、シンクロール1が回転する際に生じる振動の発生を抑制する点から、回転バランスを確保できる略円形状であることが望ましい。また、高温のめっき浴に浸漬された際の、熱膨張による変形量の差異を少なくし、接続部1jからの軸部1dの離脱を防止するためには、接続部1jは、軸部1dと熱膨張係数がほぼ同一のセラミックスで形成されていることが好ましい。また、接続部1jを軸部1dと熱膨張係数がほぼ同一のセラミックスで形成する場合には、同様な理由から、胴部1bも当該セラミックスで形成することがより好ましい。
以下、上記軸部1d並びに好ましくは接続部1jおよび胴部1bを構成するセラミックスについて、その好適な例を説明する。セラミックスとしては、回転体が使用される雰囲気その他の操業条件の要請による耐熱衝撃性・耐蝕性などに応じ、アルミナ・ジルコニア・シリカその他の酸化物系セラミックス、硼化ジルコニウム・硼化チタン・硼化ボロンその他の硼化物系セラミックス、炭化シリコン・炭化ボロンその他の炭化物系セラミックス、またはカーボンなどの無機材料を利用してよい。そして、本態様のシンクロールは、めっき浴への浸漬および取出しの際に急熱・急冷されるため、耐熱衝撃性に優れている必要がある。そのため、軸部1dおよび接続部1jを構成するセラミックスとしては、熱伝導率が高い窒化珪素・窒化アルミその他の窒化物系セラミックスが好ましく、めっき浴である溶融金属に対し高い耐溶損性および耐磨耗性を有し、高温強度に優れた窒化珪素系セラミックスが特に好ましい。以下、部1bおよび接続部1jを構成するに好適な窒化珪素セラミックスについて詳述するが、窒化珪素セラミックス自体は特開2001−335368号に記載のものと同じでよい。
第3族元素酸化物が70を超えると焼結時におけるMgの拡散を抑制できず、焼結体表面に色むらが生じる。Mg/第3族元素酸化物が1〜70の範囲にあると、1650〜1850℃での焼結により高熱伝導率化が著しい。焼結体を1800〜2000℃で熱処理すると、さらに高熱伝導率化される。熱処理による高熱伝導率化は、窒化珪素粒子の成長と蒸気圧の高いMgOの揮発による。
R=αc(1−ν)/Eα・・・(1)
( 但し、αc:常温における4点曲げ強度(MPa)、ν:常温におけるポアソン比、E:常温におけるヤング率(MPa)、α:常温から800℃までの平均熱膨張係数)
により表される係数で表される係数Rは600以上であるのが好ましく、700以上であるのがより好ましい。係数Rが600未満であると軸部1dおよび接続部1jが破壊するおそれがある。係数Rは、軸部1dおよび接続部1jから切り出した試験片に対して測定した常温における4点曲げ強度αc(MPa)
、常温におけるポアソン比ν、常温におけるヤング率E(MPa)及び常温から800℃までの平均熱膨張係数αから求める。
本発明に係わる第2態様の溶融金属めっき浴用ロールであるサポートロール3について、図4を参照しつつ説明する。なお、図4に示すサポートロール3おいて、上記シンクロール1と同様な要素については同一符号を付し、詳細な説明を省略する(以下、図5および6を参照しつつ説明する第3〜第5態様の溶融金属めっき浴用ロールについても同様である。)。
本発明に係わる第3態様の溶融金属めっき浴用ロールであるシンクロール4について、図5を参照しつつ説明する。第3態様のシンクロール4は、接続部4jが挿着され固定される胴部4bの端に設けられた胴端凹部4wに、接続部4jの左側面が密着する側面4aが形成されている点、めっき浴が流通する貫通孔4cが、厚肉の本体部1vに形成された、胴部1bの中空部1nに向かい拡大する拡大部4tを有する点で、上記第1態様のシンクロール1と相違している。かかる構成のシンクロール4によれば、胴端凹部4wの側面4aが軸芯方向における位置決め面となり、胴端凹部4wに挿着する際の軸芯方向における接続部4jの位置決めを容易にすることができる。さらに、軸芯方向に作用するスラスト力が接続部4jに作用した場合であっても、胴端凹部4wの側面4aで規制されるため、接続部4jが軸芯方向に滑って移動することもない。また、上記構成の拡大部4tが形成された貫通孔4cを有するので、より円滑に中空部1nに対するめっき浴の導入および排出を図ることができ、高温のシンクロール4の破損の抑制の面から有利である。
本発明に係わる第4態様の溶融金属めっき浴用ロールであるシンクロール5について、図6(a)を参照しつつ説明する。第4態様のシンクロール5は、挿着凹部5uの側面に穴が形成されていない、すなわち接続部5jの本体部5vが略円環状ではなく、中実の略円盤状である点で、上記第1態様のシンクロール1と相違している。かかる第4態様のシンクロール5によれば、接続部5jの強度をより高めることができる。
本発明に係わる第5態様の溶融金属めっき浴用ロールであるサポートロール6について、図6(b)を参照しつつ説明する。第5態様のサポートロール6は、挿着凹部6uの側面に穴が形成されていない、すなわち接続部6jの本体部6vが中実である点で、上記第2態様のサポートロール3と相違している。なお、接続部6jの本体部6vは、中実の胴部6bが延設された部分であり、胴部6bの一部を構成している。かかる第5態様のシンクロール6によれば、接続部6jの強度をより高めることができる。
3 (6) サポートロール
1b(3b、6b) 胴部
1c 貫通孔
1d(2b) 軸部
1j(4j、5j、6j) 接続部
1k 突起部
1L 固定部
1v 本体部
Claims (6)
- 外観が円柱形状の胴部材と、前記胴部材と同軸に配置されているとともに前記胴部材の端から軸心方向に延びる外観が円柱形状のセラミックスで形成された軸部材とを有する溶融金属めっき浴用ロールであって、
前記胴部材と軸部材の間に介在して両者を接続し固定する接続部材を有し、前記接続部材は、前記胴部材の軸芯と同軸に配置された円柱形状の挿着凹部を有し、前記軸部材は、その端面が、前記挿着凹部の側面に密着するように前記挿着凹部に挿着され、固定されていることを特徴とする溶融金属めっき浴用ロール。 - 前記接続部材は、軸芯方向において前記胴部材の端部に当該胴部材と一体として配置されている請求項1に記載の溶融金属めっき浴用ロール。
- 前記胴部材は、軸芯方向においてその端部に、その軸芯と同軸に配置された胴端凹部を有し、前記接続部材は、前記胴端凹部に挿着され、固定されている請求項1に記載の溶融金属めっき浴用ロール。
- 前記装着凹部の側面には、軸芯と同軸の穴が形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
- 前記接続部材は、前記軸部材と熱膨張係数が同一のセラミックスで形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
- 前記接続部材及び前記軸部材は嵌合されており、前記胴部材及び前記接続部材は嵌合されている請求項1乃至5のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
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