JP2013159785A - 溶融金属めっき浴用ロール - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、浮力を低減しつつ回転時の振動発生が抑制された溶融金属めっき浴用ロールを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の一態様は、軸心を有する外観が略円柱状の胴部と、前記胴部と同軸にその端に接合された軸部を有する溶融金属めっき浴用ロールであって、前記胴部または前記軸部は、その内部に形成された、前記胴部の軸心に直交する断面形状が略円形状で、前記胴部と同軸の接続孔部を有し、前記接続孔部に挿着され固定される略円盤形状の錘収納部を有し、前記錘収納部は、前記胴部の軸心に沿いその外周部に並設された第1の側壁および第2の側壁と、前記第1の側壁および第2の側壁の間に形成された錘収納室と、前記錘収納室に収納された錘を有する溶融金属めっき浴用ロールである。
【選択図】図2(a)

Description

本発明は、亜鉛、アルミニウムまたはそれらの合金などの溶融金属めっき浴に浸漬して使用される溶融金属めっき浴用ロールに関する発明である。
上記技術分野に係わる発明の一例が、下記特許文献1に開示されている。特許文献1の溶融金属めっき用ロールは、「連続溶融めっき装置のめっき浴中に導入される被めっき鋼帯を、胴部表面に沿わせて移送するめっき浴中シンクロールにおいて、ロールの胴部内を軸方向に貫通する複数個の筒状空間が、ロール軸を中心とする円周上に位置して周方向に等間隔に設けられており、該複数個の筒状空間内に、ロール重量を増量するための粉末Pが封入されて、ロール重量W
が、所定の重量範囲内に調整されていることを特徴とする連続溶融めっき装置のめっき浴中シンクロール」、または、「連続溶融めっき装置における溶融めっき浴中の被めっき鋼帯を、胴部表面に沿わせて移送するめっき浴中シンクロールにおいて、ロール胴部が中空円筒体からなり、その内側空間内に、ロール重量を増量するための粉末が封入されて、ロール重量W
が、所定の重量範囲内に調整されていることを特徴とする連続溶融めっき装置のめっき浴中シンクロール」、である。
特開平8−199321号公報
特許文献1の溶融金属めっき浴用ロール(以下、単にロールと言う場合がある。)は、鋼鈑により上方に向け作用する引上力に重畳して作用する、比重の大きなめっき浴に浸漬されたロールに生じる浮力により、その軸部と軸受の間に作用する過大な摩擦抵抗を低減し、軸部および軸受の摩耗を低減するとともに鋼鈑とロールとのスリップを防止するために構成されているが、次のような問題があった。すなわち、特許文献1のロールによれば、上記浮力に対する反力となる一定重量の粉末を、その筒状空間または中空円筒体の内側空間内に封入させている。しかしながら、当該粉末は、ロールの胴部ほぼ全長に渡り形成された筒状空間または中空円筒体に封入されており、必ずしも筒状空間または中空円筒体の内側空間に緻密に充填されるとは限らず、かつ比重の大きなめっき浴による浮力に対する反力となるようその量が調整されているため重量は大である。そのため、筒状空間または中空円筒体の内側空間において粉末の位置が定まらず、操業中におけるロールの回転、傾斜よび変形などにより粉末が特定位置に偏在し、回転するロールの動バランスを悪化させる可能性がある。ロールの動バランスが悪化すると、ロールに振動が生じる虞があり、ロールの回転数を高めることができずめっき鋼鈑の生産性が低下し、めっき鋼鈑のめっき品質も劣化させる。
本発明は、上記従来技術を鑑みてなされたものであり、浮力を低減しつつ回転時の振動発生が抑制された溶融金属めっき浴用ロールを提供することを目的としている。
上記目的を達成する、本発明の一態様は、軸心を有する外観が略円柱状の胴部と、前記胴部と同軸にその端に接合された軸部を有する溶融金属めっき浴用ロールであって、前記軸部と同軸に、前記胴部または軸部に固定される略円盤形状の錘収納部を有し、前記錘収納部は、前記胴部の軸心に沿い当該錘収納部の外周に並設された第1の側壁および第2の側壁と、必要に応じ配置される前記第1の側壁および第2の側壁の外周面に挿着され固定される略円環形状の外周部と、前記第1の側壁および第2の側壁の間に形成された錘収納室と、前記錘収納室に収納された錘を有する溶融金属めっき浴用ロールである。なお、前記胴部または前記軸部は、その内部に形成された、前記胴部の軸心に直交する断面形状が略円形状で、前記胴部と同軸の接続孔部を有し、前記錘収納部は、前記接続孔部に挿着され固定されていることが好ましい。
前記錘収納部は、前記軸部と一体的に構成され、前記胴部と軸部の間に介在するよう配置されていてもよい。
また、前記錘収納部は、前記軸部とは独立した部材としてもよい。
なお、上記のように錘収納部を軸部とは独立した部材とする場合には、前記錘収納部は、前記第1の側壁および第2の側壁の内周を連結する内周部と、前記錘収納室を覆うように前記第1の側壁および第2の側壁の外周に固定された外周部を有し、前記第1の側壁および第2の側壁ならびに前記内周部および外周部により前記錘収納室が画成されている望ましい。
また、錘収納部を軸部とは独立した部材とする場合には、前記胴部は、端に形成された接続孔部を共に有する、外観が略円柱状の第1の胴部材および第2の胴部材とで構成され、前記錘収納部は、前記胴部と軸部との間に替えて、前記第1の胴部材および第2の部材の接続孔部に挿着され固定され、当該第1の胴部材および第2の胴部材を接合して前記胴部を構成することができる。
加えて、前記錘の態様は、(1)前記錘が金属粉であり、前記金属粉は前記収納室に充填されているか (2)前記錘は金属体であり、弾性体を介し前記収納部に収納されているかを選択することができ、(2)の場合には、前記第1の側壁を独立した部材とすることにより、前記錘を環状体とすることができる。
さらに、本発明は、溶融金属めっき浴用ロールにおいて大きな体積を占める前記胴部が、金属に対し比重の小さなセラミックスで構成されている場合において、浮力を低減するために特に好適に適用することができる。
本発明によれば、その目的を達成することができる。
本発明に係わる第1態様の溶融金属めっき浴用ロールが組み込まれた溶融金属めっき装置の概略構成図である。 一部が断面図である図1の溶融金属めっき浴用ロールの正面図である。 図2(a)のB−B断面図である。 図2(a)のA部拡大図である、 本発明に係わる第2態様の溶融金属めっき浴用ロールの胴部、錘収納部および軸部の部分を拡大した正断面図である。 本発明に係わる第3態様の溶融金属めっき浴用ロールの胴部、錘収納部および軸部の部分拡大正面図である。 図5(a)のC−C断面図である。 本発明に係わる第4態様の溶融金属めっき浴用ロールの正断面図である。 図6(a)のE矢視図である。 図6(a)のD部拡大図である。 本発明に係わる第5態様の溶融金属めっき浴用ロールの正断面図である。 図2(a)の溶融金属めっき浴用ロールの製造方法を説明する第1の図である。 図2(a)の溶融金属めっき浴用ロールの製造方法を説明する第2の図である。 図2(a)の溶融金属めっき浴用ロールの製造方法を説明する第3の図である。 図2(a)の溶融金属めっき浴用ロールの製造方法を説明する第4の図である。
以下、本発明について、その第1〜第5実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。なお、以下説明する各実施形態の各要素は、単独にまたは適宜組み合わせて利用することができ、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変形して利用することができる。
[溶融金属めっき装置]
まず、本発明に係わる溶融金属めっき浴用ロールが溶融金属めっき浴に浸漬されて使用される溶融金属めっき装置について、その概略構成図である図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、溶融金属めっき装置80は、溶融金属めっき浴(以下単に「めっき浴」と言う場合がある。)81を入れた浴槽82と、めっき浴81の表層部分に浸漬されて、めっき浴81の内に導入される鋼板の酸化を防止するためのスナウト83と、めっき浴81の中に配置された溶融金属めっき浴用ロールであるシンクロール1と、めっき浴81の内でシンクロール1の上方に位置する一対の溶融金属めっき浴用ロールであるサポートロール9・9と、めっき浴81の表面より僅か上方に位置するガスワイピングノズル86とを有する。シンクロール1自体には外部駆動力が付与されず、走行する鋼板との接触により駆動される。またサポートロール9・9は、通例、一方のサポートロール6が外部のモーター(
図示せず) に連結された駆動ロールであり、他方のサポートロール7が非駆動ロールである。なお、サポートロール3には外部駆動力が付与されない無駆動タイプもある。溶融金属めっき浴用ロールであるシンクロール1及び一対のサポートロール9・9は、フレーム84・85に取り付けられた軸受87・88により回転自在に各々支持されており、常に一体としてめっき浴81の内に浸漬される。
走行する鋼板Pは、スナウト83を経てめっき浴81の内に斜方から進入し、シンクロール1を経由して上方に進行方向を変えられる。めっき浴81の中を上昇する鋼板Pは一対のサポートロール9・9に挟まれ、パスラインが保たれるとともに、反りや振動が防止される。ガスワイピングノズル86は、めっき浴81から出てきた鋼板P1に高速ガスを吹き付ける。高速ガスのガス圧及び吹き付け角度により、鋼板P1に付着した溶融金属めっきの厚さを均一に調整する。このようにして、溶融金属めっきが施された鋼板P1が得られる。
[第1実施形態]
本発明にかかわる好ましい形態である、図1の溶融金属めっき装置80に組み込まれる第1態様のシンクロール1の構成について、一部を断面で示したその平面図である図2(a)、図2(a)のB−B断面図である図2(b)、図2のA部の拡大図である図3を参照して説明する。なお、以下説明する第2〜第5態様のシンクロールの構成についても同様であるが、基本的に、シンクロールを例として説明する構成はサポートロールにも適用することができ、サポートロールを例として説明する構成はシンクロールにも適用することができる。
図2に示すように、シンクロール(以下、単にロールと言う場合がある。)1は、回転中心となる軸心Iを有し、外観が略円柱形状の円筒体である胴部1bと、胴部1bと同軸となるよう、胴部1bの両端に接合された二の軸部1dを有している。そして、軸部1dは、胴部1bの軸心Iに沿う方向(以下、この方向を軸心方向と言う。)に延び、その両端に配置されたすべり軸受87により回転自在に支承されている。上記胴部1bの端には、接続孔部1wが形成されており、当該接続孔部1wに錘収納部1aは固定され、その錘収納部1aを介し軸部1dは胴部1bに接合されている。以下、胴部1b、軸部1dおよび錘収納部1aの構成について説明するが、胴部1bの両端に配置される二の軸部1d、および錘収納部1aの構成ならびにそれらと胴部1bとの関係は同一であるので、右側の軸部1dおよび錘収納部1aのみ説明し、左側の軸部1dおよび錘収納部1aの説明は省略する。
[胴部および接続孔部]
図2および図3に示すように、めっき浴に対する耐腐食性の点から好ましくはセラミックスで構成された胴部1bは、めっき処理される鋼板Pが直接接触するその外周面が、所定の外径となるよう形成されている。本態様の胴部1bは、軸芯Iに直交する方向(以下、この方向を半径方向と言う。)に沿った断面形状が略円形状である略円柱形状の中空部1nを有する略円筒形状をなしており、中空部1nがそのまま伸びた端が接続孔部1wとなっている。なお、図示する胴部1bは、軸芯方向における肉厚が同一であるが、接続部1jが配置される端の部分以外の肉厚は変化するように構成してもよく、厚肉部および薄肉部を適宜配置してもよい。しかしながら、ロール1をセラミックスで構成した場合には、めっき浴への浸漬時および引上時に急熱・急冷されるために、肉厚急変部が存在すると過大な熱応力が生じ、割損する可能性がある。このため、胴部1bの厚みは、軸心方向において一定の厚みであることが望ましい。
[軸部]
図2および図3に示すように、胴部1bと同様に好ましくはセラミックスで構成された軸部1dは中空状であり、大径部1eと、すべり軸受87で支承される小径部1gと、大径部1eと小径部1gとを連結する連結部1fとを有している。ここで、軸部1dをセラミックスで構成する場合には、反応性の高いめっき浴による腐蝕が抑制され望ましいが、セラミックスは靭性に乏しく、鋭角な部分が存在すると破壊の起点となるため、連結部1fと大径部1eおよび小径部1gの結合部分は、軸心方向に沿う断面視において各々滑らかな曲線で形成することが望ましい。なお、図2(a)において、符号1hは、軸心方向にロール1を支持するスラスト受け部である。スラスト受け部1hは、小径部1gの端部開口に挿着されており、ロール1の回転性を考慮し、軸受に接触する面積が小さくなるように構成されており、その右端面の半径方向に沿う断面視は、右方向に凸である全体として弧状をなしている。
[錘収納部]
軸部1dとは別体として構成され、胴部1bの端に形成された接続孔部1wに固定される略円盤形状をなす本態様の錘収納部1aは、図3に示すように、軸心Iに沿い所定の間隔t2でその外周に並設された厚みがt1の第1の側壁1hと厚みがt3の第2の側壁1iとを有している。そして、各々独立した部材である、半径方向において中央に貫通孔を有する略円環形状の第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの外径d3は、ともに胴部1bの接続孔部1wの内径とほぼ同一であり、各々が、胴部1bの軸芯Iと同軸に接続孔部1wに固定されている。また、第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの内径d1は、ともに軸部1dの大径部1eの外径とほぼ同一であり、双方の貫通孔を貫くように大径部1eが挿着され、錘収納部1aに軸部1dは固定されている。以上のように胴部1bと軸部1dとの間に介在するよう錘収納部1aを配置することにより、その第1の側壁1hの左側面および第2の側壁1iの右側面ならびに大径部1eの外周面および接続孔部1wの内面とで、軸心方向から眺めた場合の形状が略円環形状で、軸心方向の大きさがt2の錘収納室1mが錘収納部1aに形成され、その密閉された錘収納室1mに金属製の錘1cが収納される。なお、錘収納室1mに収納される錘1cがめっき浴に対する耐腐食性を有する場合には、錘収納室1mは必ずしも密閉する必要はない。
第1の側壁1hおよび第2の側壁1iを略円環形状とする場合であっても、両者の外径d3および内径d1を必ずしも同一とする必要はない。つまり、第1の側壁1hよりも第2の側壁1iの外径を大径とする場合には、胴部1bの接続孔部1wの内面にその径差に応じた段部を設ければよいし、第1の側壁1hよりも第2の側壁1iの内径を大径とする場合には、大径部1eにその径差に応じた段部を設ければよい。さらに、胴部1bおよび軸部1dをセラミックスで構成する場合には、高温のめっき浴に浸漬された際の、熱膨張による変形量の差異を少なくし、接続孔部1wからの錘収納部1aの離脱を防止するとともに錘収納部1aからの軸部1dの離脱を防止するためには、それらは、熱膨張係数がほぼ同一のセラミックスで形成されていることが好ましい。
胴部1bおよび軸部1dに錘収納部1aを固定する場合には、その接続孔部1wに第1の側壁1hおよび第2の側壁1iが軸心方向に移動しないよう、機械的に固定してもよいが、ロール1の操業の安定性およびコストの面から、焼き嵌めまたは冷し嵌めにより嵌合することが好ましい。その場合、胴部1bの接続孔部1wの内径(d3)で締め代を除した値である嵌合率は0.01/1000〜0.5/1000の範囲内であるのが好ましい。嵌合率が0.01/1000未満であると、接続孔部1wによる錘収納部1aの締付け力が不十分であり、錘収納部1aが脱落するおそれがある。また、嵌合率が0.5/1000を超えると、締付け力が大きくなりすぎ、胴部1bまたは軸部1dが破損するおそれがある。より好ましい嵌合率は0.2/1000〜0.3/1000である。なお、以下説明する第2〜第5態様において錘収納部を固定する場合においても同様である。
[錘]
上記のように第1の側壁1hが独立した部材である場合、錘収納室1mに収納する錘1cは、軸心方向から眺めた場合に、中央に貫通孔を有する切れ目の無い一の略円環形状をなす環状体とすることができ、錘1cの取扱いが容易となり好ましい。なお、図示する錘1cの形状は切れ目の無い略円環形状ではあるが、独立した部材として一体性があればよく、例えばその外周面や内周面の一部に凹部や切欠などが形成されていてもよい。また、錘1cを構成する材料は金属であることが好ましく、例えば比重の大きなタングステン等を主体とした金属で構成することが好ましい。
錘1cは、ハンドリングや組み立てが行われる常温状態およびめっき浴に浸漬された高温状態において、錘収納室1mにおけるその位置を保持可能なよう、好ましくは弾性体1j・1pを介して錘収納室1mに収納されている。具体的には、図2(b)および図3に示すように、弾性体1jは、第2の側壁1iの左側面に等角度で4ヶ所形成された凹部1の各々に挿着され、圧縮した状態で錘1cの右側面に密着するよう配置されている。また、弾性体1pは、大径部1eの外周面に等角度で4ヶ所形成された凹部1Lの各々に挿着され、圧縮した状態で錘1cの内周面に密着するよう配置されている。なお、弾性体1j・1pの配置態様や個数は、図示に限定されず、それらは不等角度で配置されてもよいし、例えば弾性体1pは、軸心方向において複数個配置されてもよい。また、第2の側壁1hまたは大径部1eに替えて、第1の側壁1hまたは胴部1bの接続孔部1wに凹部を設け、当該凹部に弾性体を挿着してもよい。
上記構成により、錘1cは、軸心方向においては、弾性体1jによりその左側面が第1の側壁1hに押し付けられ、半径方向においては、弾性体1pにより一定の力で支持された状態となり、常温状態において錘収納室1mの中の位置を保持する。そして、上記のように圧縮した状態で配置された弾性体1j・1pには、めっき浴にロールが浸漬された後に生じる錘1cの熱膨張を吸収可能な圧縮代が残されている。しかして、錘1cの熱膨張により更に圧縮された弾性体1j・1pは、常温状態よりも大きな押圧力、つまりロールが回転している場合でも変位しない程度に設定された押圧力で錘1cを押し付けまたは支持し、高温状態の中でも錘1cの位置を保持し、ロールの動バランスを一定に保つことができる。なお、弾性性1pの他に、錘1cの外周面と接続孔部1wの内周面との間に介在するよう弾性体を配置してもよい。また、弾性体としては、高温のめっき浴に浸漬した際に胴部1b等を介して伝導する熱に対する耐熱性を備えていればよく、例えば金属製やセラミックス製の圧縮コイルバネや板バネなどを使用することができる。
さらに、胴部1b・軸部1d・錘収納部1a(以下、胴部等と言う場合がある。)をセラミックスで構成したロールを高温のめっき浴に浸漬した場合の、金属製の錘1cと胴部等の熱膨張量の相違に起因するロールの破損防止を考慮し、次のように構成されている。すなわち、軸心方向における錘1cの長さt4は、錘収納室1mの長さt2よりも寸法t5だけ小さい。また、錘1cの外径d3は錘収納室1mの外径(接続孔部1wの内径ならびに第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの外径でもある。)よりもやや小さく、その内径d2は、錘収納室1mの内径(大径部1eの外径ならびに第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの外径でもある。)d2よりも寸法d5だけ大径である。
上記のように構成された錘1cでは、錘収納室1mに収納されたとき、軸心方向における大きさがt5の隙間1qが第2の側壁1iとの間に形成され、半径方向における大きさがd5の隙間1oが大径部1eとの間に形成される。そして、この隙間1oおよび1qの大きさは、高温のめっき浴にロールを浸漬した際に生じる錘1cの膨張量から胴部等の膨張量を減じた値以上となるよう形成されているおり、金属製の錘1cが膨張した場合でも、その各面がセラミックス製の胴部等に押し付けられ、胴部等の破壊が防止される。
上記構成の第1態様のロールによれば、錘は、錘収納部に設けられた錘収納室に限定的に収納されており、その位置が変位し難いので、ロール回転中の錘の変位に伴い生じる動バランスの悪化が抑制されるという、本発明の基本的な作用効果を呈することができる。
さらに、好ましい形態である第1態様のロールは、(1)本来は浮力を調整する部材である錘収納部を、胴部と軸部との接合部材としても利用しているので部品点数を減じることができる、(2)錘は弾性体を介し錘収納室に収納されているので、その位置の変位が抑制される、(3)胴部等をセラミックスで構成した場合であっても、錘と錘収納室との間には隙間が設けられているので、胴部等の破損を抑制できる、(4)錘収納部を構成する第1の側壁は独立した部材であるため、取扱いの容易な略円環形状の錘を使用することができ、(5)(4)に加えて、錘の重量を調整するためその幅を変化させた場合でも、軸心方向において第1の側壁を適宜な位置に配置することにより、錘収納室の幅を容易に設定できる、という作用効果を呈することができる。
上記第1態様のロールの製造方法の一例を、図8を参照しつつ説明する。まず、胴部、軸部、錘収納部を準備する。次に、図8(a)に示すように、第2の側壁1iの貫通孔に軸部1eの大径部1eを挿入し、当該大径部1eの右側の所定の位置に第2の側壁1iを固定する。次いで、図8(b)に示すように、第2の側壁1iの凹部1kおよび大径部1eの凹部1Lに弾性体1jおよび1pを挿着するとともに、右側面に弾性体1jの一端が、内周面に弾性体1pの一端が接触するよう、貫通孔に大径部1eを通した錘1cを位置決めし、その後不図示の治具等で錘1cの位置を固定しておく。なお、弾性体1pが配置された位置に対応する錘1cの内周面に、軸心に沿い傾斜した傾斜面を形成しておけば、錘1cの挿着が容易になるので好ましい。
次いで、図8(c)に示すように、第1の側壁1hの貫通孔に大径部1eを挿入し、当該大径部1eの左側の所定の位置に第1の側壁1hを固定する。このとき、第1の側壁1hの右側面と第2の側壁1iとの軸心方向における距離t2は、弾性体1jを所定量圧縮するとともに錘1cと第2の側壁1iとの間に隙間1qが形成される大きさである。ここで、軸心方向における錘1cの位置は、弾性体1jで押圧されるため変位せず、半径方向における位置も、弾性体1pで支持されているので変位しないため、不図示の治具等取り外す。その後、図8(d)に示すように、大径部1eに固定された第1の側壁1hおよび第2の側壁1iをともに胴部1bの接続孔部1wに嵌着し、固定する。以上の工程により、錘収納部1aを介し胴部1bと軸部1dが接合されたロールが形成されるとともに接続孔部1wの内周面、大径部1eの外周面ならびに第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの各々の内側面により画成され、錘1cが収納された錘収納室1mが錘収納部1aに構成される。なお、上記組立の際には、軸心を立てた状態で作業を行うと、錘1cの位置決めが容易に行えるので好ましい。
[第2実施形態]
上記第1態様のロール1に替え、図1の溶融金属めっき装置80に組み込まれる本発明に関わる第2態様のロール2について、図4を参照しつつ説明する。図4は、第2態様のロール2の胴部、錘収納部および軸部の部分を拡大した正断面図である。なお、図4において、上記第1態様のロール1と同一の構成要素については同一符号を付しており、詳細な説明を省略する(以下、説明する第3〜第5態様のロールについても同じである。)。
本発明の基本的な作用効果を発揮することのできる第2態様のロール2は、(1)軸部1dの大径部1eに錘収納部2aが一体的に設けられている点、(2)錘収納室1mに収納される錘2cが金属粉で構成されている点、(2)錘収納室1mを覆うように第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの外周に固定された外周部2bが設けられている点において、第1態様のロール1と相違している。以下、(1)〜(3)の相違点について、詳細に説明する。
図4に示すように、大径部1eと一体的に構成され、外周部2bを介し胴部1bの接続孔部1wに固定される本態様の錘収納部2aは、軸心方向において、大径部1eの左側に配置された第1の側壁1hと、所定の間隔t2で第1の側壁1hと離隔するように大径部1eの右側に配置された第2の側壁1iとを有し、第1の側壁1hと第2の側壁1iとは、内周部としても機能する大径部1eにより連結され、大径部1eと一体となっている。ここで、第1の側壁1hは大径部1eと一体的に構成されているため、本態様のロール2では、第1の側壁1hおよび第2の側壁1iならびに大径部1eおよび外周部2bとで画成され、充填すべき金属粉の量に応じた大きさに形成された錘収納室1mに、金属粉を主体とした錘2cが密に充填されている。なお、金属粉は、外周部2bで錘収納室1mを密閉する前に開口している第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの間から錘収納室1mに供給してもよく、また、図示するように第2の側壁1iに形成された貫通孔2eを通じて錘収納室1mに供給し、その後貫通孔2eを栓2fで閉じ、錘収納室1mを密閉するようにしてもよい。
必要に応じて配置される外周部2bは、半径方向において錘収納部2aと胴部1bとの間に介在するよう略円環形状をなしており、その軸心方向の大きさは錘収納室1mよりも大きい。そして、外周部2bは、錘収納室1mを覆うように、その内周面が第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの外周面に密着した状態で固定され、錘収納室1mを密閉している。
外周部2bの外周面には、胴部1bの中空部1nと外部とに開口した溝2dを形成しておくことが望ましい。この溝2dは、外周部2bを接続孔部1wに嵌合した際に、この溝2dと接続孔部1wの内周面によりめっき浴が流通するめっき浴流路を形成する。めっき流路は、ロール2をめっき浴に浸漬する場合には、その中空部1nにめっき浴を円滑に導入してロール2の熱衝撃による割損を防止し、さらにロール2をめっき浴から取り出す場合には、中空部1nに侵入しためっき浴を円滑に外部に排出して溶融金属が内部で凝固することを防止する機能を果たしている。また、ロール2の中空部1nにめっき浴流路を通じてめっき浴を導入することにより、浮力をより低減することができる。なお、めっき浴を円滑に中空部1nへ導入し、排出するためには、溝2dは、外周部2bの外周面に等角度または不等角度で複数条設けておくことが望ましい。また、溝2dに替えてめっき浴流路となる貫通孔を外周部2bに設けてもよい。
かかる構成の第2態様のロール2によれば、本発明の基本的な作用効果に加え、(1)錘が金属粉であるので錘収納室への配置がより容易となるとともに、(2)大型の胴部との嵌着に先立ち、錘収納部に比較的小型の外周部を嵌着するので作業性が改善される、(3)外周部の外周面には溝が設けられているので、上記のようにロールに生じる浮力を更に低減しつつロールの破損を防止することができる、という特有の作用効果を呈することができる。
[第3実施形態]
上記第1態様のロール1に替え、図1の溶融金属めっき装置80に組み込まれる本発明に関わる第3態様のロール3について、図5を参照しつつ説明する。なお、図5(a)は、第2態様のロール2の胴部、錘収納部および軸部の部分を拡大した正断面図であり、図5(b)は、図5(a)のC−C断面図であって、胴部および軸部の全体を示した断面図である。
本発明の基本的な作用効果を発揮することのできる第3態様のロール3は、(1)胴部1bに中空部がなく、その端に凹孔状に形成された接続孔部3wを有する点、(2)軸部3dが中実であり、その端に一体的に設けられた錘収納部3aを有する点、(3)錘3cが半円環形状の2個の金属体3eおよび3fで構成されている点において、第1態様のロール1と相違している。以下、(1)〜(3)の相違点について、詳細に説明する。
胴部1bの接続孔部3wに挿着され固定される軸部3dの錘収納部3aは、軸心方向において軸部1dの端面から所定の位置に形成された円環溝3mを有している。すなわち、第3態様の錘収納部3aは、軸部3dに錘収納部3aが一体的に設けられている態様であるが、第1の側壁3hと第2の側壁3iは、上記第2態様の錘収納部2aのように、軸部3dの外周面から半径方向に起立する態様ではなく、軸心方向において円環溝3mの両側に配置されており、その円環溝3mが錘収納部3aの錘収納室3mとなっている。
そして、本態様のロール3では、第1の側壁3hは軸部3dと一体的に構成されているため、錘収納室3mに、円周方向における端面を突き合わせた状態で組み合された半円環形状の2個の金属体3eおよび3fからなる錘3cが配置されている。ここで、錘3cは、弾性体1j・1pとの関係では上記第1態様のロール1と同様な関係となるよう、弾性体1j・1pを介し錘収納室1mに収納されており、軸心方向および半径方向における錘3cの熱膨張を吸収する。また、ロール3では、円周方向において相対する金属体3e・3fの各々の端面に形成された凹部3g・3jに挿着される弾性体3kを有しており、この弾性体3kにより、個々の金属体3e・3fに生じる円周方向の熱膨張が吸収される。なお、錘3cを構成する金属体の数量・形状は図示に限定されず、3個以上の金属体で錘3cを構成してもよく、その形状は円柱状・矩形状その他適宜な形状としてよい。
かかる構成の第3態様のロール3によれば、(1)中実の軸部の場合に、容易に錘収納部を形成することが可能であり、(2)錘を構成する金属体の数量や大きさを適宜設定することにより錘の重量の調整が容易となる、というという特有の作用効果を呈することができる。
[第4実施形態]
上記第1態様のロール1に替え、図1の溶融金属めっき装置80に組み込まれる本発明に関わる第4態様のロール4について、図6を参照しつつ説明する。なお、図6(a)は第4態様のロール4の正断面図、図6(b)は図6(a)のE矢視図、図6(c)は図6(a)のD部拡大図である。
本発明の基本的な作用効果を発揮することのできる第4態様のロール4は、(1)胴部4bが二の胴部材4dおよび4eで構成されている点、(2)錘収納部4aは、二の胴部材4dおよび4eを接合するように軸心方向において胴部4bの中央に配置されている点において、第1態様のロール1と相違している。なお、軸部1dは、胴部4bの端に嵌着された略円環形状の接続部材4fを介し胴部4bに接合している。以下、(1)および(2)の相違点について、詳細に説明する。
本態様のロール4の胴部4bは、軸心方向において複数個、本態様においては2個に分割された中空状の第1の胴部材4dと、第1の胴部材4dと外径および長さが略同一である中空状の第2の胴部材4eとで構成されている。そして、第2の胴部材4eは、第1の胴部材4dと同軸に、その左端面が第1の胴部材4dの右端面に相対する状態で配置されている。なお、サポートロールの場合には、鋼板の表面に薄く付着した溶融金属層に損傷を与えないように、第1の胴部材と第2の胴部材の各々の端面は隙間なく密着している必要があるが、シンクロールの場合には、必ずしも密着している必要はなく、両端面は一定の間隙を介して相対する状態となるよう配置されていればよい。
図6(c)に示すように、上記のように配置された二の胴部材4d・4eに対し、錘1cが配置された錘収納部4aは、軸心方向において、第1の胴部材4dおよび第2の胴部材4eの相対する各々の端に形成された接続孔部1wにともに嵌着され、両者を連結している。すなわち、本態様の錘収納部4aは、ロール4の浮力を調整する機能を果たすとともに、胴部4bを構成する複数に分割された胴部材4d・4eを連結するという機能をも果たしている。
上記のように第1の胴部材4dと第2の胴部材4eとを接合する本態様の錘収納部4aは、図6(c)に示すように、各々が略円環形状をなす、内周部4gと、内周部4gの外周面の右端に配置された第2の側壁1iと、内周板4gの左端に挿着され固定される独立した部材である第1の側壁1hと、第1の側壁1hおよび第2の側壁1iの外周面に密着するように固定される外周部4jとで構成されており、これらの部材により密閉された錘収納室1mが画成される。そして、図6(b)および図6(c)に示すように、その錘収納室1mの中には、第1態様と同様に、弾性体1j・1pを介し略円環形状の錘1cが収納されている。かかる構成の第4態様の錘収納部4aによれば、第1の側壁1h・第2の側壁1i・内周部4g・外周部4jを組み立てることにより、錘収納部4aを独立した部材として取り扱うことができ、胴部や軸部の任意の位置に錘収納部4aを配置することが容易となる。
[第5実施形態]
上記第1態様のロール1に替え、図1の溶融金属めっき装置80に組み込まれる本発明に関わる第5態様のロール5について、図7を参照しつつ説明する。なお、図7は、第5態様のロール4の正断面図である。
本発明の基本的な作用効果を発揮することのできる第4態様のロール4は、上記第4態様の錘収納部4aを利用したものであり、(1)軸心方向において胴部1bの中央に錘収納部4aが配置されている点、(2)軸部1dの端に設けられた接続孔部1rに錘収納部4aが配置されている点、(3)軸部1dの小径部1gの外周面に密着するよう錘収納部4aが配置されている点において、第1態様のロール1と相違している。なお、錘収納部4aの配置位置や数量は図示に限定されることなく、調整すべき浮力の大きさにより適宜設定すればよい。また、錘収納部4aは軸部1dのみならず胴部1bの外周に配置してもよい。その場合には錘収納部4aを構成する内周部は必ずしも必要ではなく、例えば軸部1dおよび胴部1bを内周部として利用してもよい。
[材料構成]
以下、好ましくはセラミックスで胴部、軸部、錘収納部を構成する場合における、その好適な例を説明する。セラミックスとしては、回転体が使用される雰囲気その他の操業条件の要請による耐熱衝撃性・耐蝕性などに応じ、アルミナ・ジルコニア・シリカその他の酸化物系セラミックス、硼化ジルコニウム・硼化チタン・硼化ボロンその他の硼化物系セラミックス、炭化シリコン・炭化ボロンその他の炭化物系セラミックス、またはカーボンなどの無機材料を利用してよい。そして、本態様のシンクロールは、めっき浴への浸漬および取出しの際に急熱・急冷されるため、耐熱衝撃性に優れている必要がある。そのため、軸部1dおよび接続部1jを構成するセラミックスとしては、熱伝導率が高い窒化珪素・窒化アルミその他の窒化物系セラミックスが好ましく、めっき浴である溶融金属に対し高い耐溶損性および耐磨耗性を有し、高温強度に優れた窒化珪素系セラミックスが特に好ましい。以下、部1bおよび接続部1jを構成するに好適な窒化珪素セラミックスについて詳述するが、窒化珪素セラミックス自体は特開2001−335368号に記載のものと同じでよい。
窒化珪素セラミックス中に存在するアルミニウム及び酸素はフォノン散乱源となり、熱伝導率を低減させる。窒化珪素セラミックスは、窒化珪素粒子とその周囲の粒界相とから構成され、アルミニウム及び酸素はこれらの相に含有される。アルミニウムは珪素に近いイオン半径を有するため、窒化珪素粒子内に容易に固溶する。アルミニウムの固溶により窒化珪素粒子自身の熱伝導率が低下し、窒化珪素セラミックスの熱伝導率は著しく低下する。従って、窒化珪素セラミックス中におけるアルミニウムの含有量はできるだけ少なくすることが望ましい。
焼結助剤として添加する酸化物中の酸素の多くは粒界相に存在する。窒化珪素セラミックスの高熱伝導率化を達成するには、窒化珪素粒子に比べて熱伝導率が低い粒界相の量を低減することが必要である。焼結助剤の添加量の下限は、8.5%以上の相対密度を有する焼結体が得られる量である。焼結助剤の添加量をこの範囲内でできるだけ少なくすることにより、粒界相中の酸素量を低減させることが望ましい。
酸素量の少ない窒化珪素粉末を原料とすると、粒界相中の酸素量が低減できるために粒界相の量自体を低減でき、焼結体の高熱伝導率化が達成されるが、焼結過程で生成するSiOの量の減少により難焼結性となる。ところが、他の酸化物より焼結性に優れたMgOを焼結助剤として用いると、焼結助剤の添加量を少なくして、緻密な焼結体を得ることができる。その結果、焼結体の熱伝導率は飛躍的に高くなる。
また、マグネシウムとともに添加し得る焼結助剤としては、Y、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb,Lu等の周期律表第3族(後述)が挙げられる。なかでも、焼結温度及び圧力が高くなり過ぎないという点で、Y、La、Ce、Gd、Dy、Ybが好ましい。
本発明に使用する窒化珪素セラミックスの常温における熱伝導率は50W/(m・K)以上であり、より好ましくは60W/(m・K)以上である。従って、窒化珪素系セラミックス中の酸素含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには5重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには3重量%以下である。また窒化珪素粒子中の酸素含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには2.5重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには1.5重量%以下である。さらに窒化珪素系セラミックス中のアルミニウムの含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには0.2重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには0.1重量%以下である。
窒化珪素セラミックス中の酸化マグネシウム(MgO)と周期律表第3族元素酸化物の合計量は0.6〜7重量%であるのが好ましい。その合計量が0.6重量%未満では、焼結体の相対密度が95%未満と不十分である。一方7重量%を超えると、熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり、焼結体の熱伝導率が50W/(m・K)未満となる。MgO+第3族元素酸化物は0.6〜4重量%であるのがより好ましい。
MgO/第3族元素酸化物の重量比は1〜70が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が最も好ましい。MgO/第3族元素酸化物が1未満では、粒界相中の希土類酸化物の割合が多すぎるため、難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。また、MgO/
第3族元素酸化物が70を超えると焼結時におけるMgの拡散を抑制できず、焼結体表面に色むらが生じる。Mg/第3族元素酸化物が1〜70の範囲にあると、1650〜1850℃での焼結により高熱伝導率化が著しい。焼結体を1800〜2000℃で熱処理すると、さらに高熱伝導率化される。熱処理による高熱伝導率化は、窒化珪素粒子の成長と蒸気圧の高いMgOの揮発による。
窒化珪素粒子中のアルミニウム、マグネシウム及び周期律表第3族元素の合計量は1.0重量%以下であるのが好ましい。
窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素粒子のうち、短軸径が5μm以上のβ型窒化珪素粒子の割合が10体積%超では、焼結体の熱伝導率は向上するが、組織中に導入された粗大粒子が破壊の起点として作用するため破壊強度が著しく低下し、700Mpa以上の曲げ強度が得られない。従って、窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素粒子のうち、短軸径が5μm以上のβ型窒化珪素粒子の割合は10体積%以下であるのが好ましい。同様に、組織中に導入された粗大粒子が破壊の起点として作用することを抑えるために、β型窒化珪素粒子のアスペクト比は15以下であるのが好ましい。
シンクロール1において胴部1aを形成する窒化珪素セラミックスは、急激な温度変化に対して十分な抵抗力を有する必要がある。急激な温度変化に対する抵抗力は下記式(1):
R=αc(1−ν)/Eα・・・(1)
( 但し、αc:常温における4点曲げ強度(MPa)、ν:常温におけるポアソン比、E:常温におけるヤング率(MPa)、α:常温から800℃までの平均熱膨張係数)
により表される係数で表される係数Rは600以上であるのが好ましく、700以上であるのがより好ましい。係数Rが600未満であると軸部1dおよび接続部1jが破壊するおそれがある。係数Rは、軸部1dおよび接続部1jから切り出した試験片に対して測定した常温における4点曲げ強度αc(MPa)
、常温におけるポアソン比ν、常温におけるヤング率E(MPa)及び常温から800℃までの平均熱膨張係数αから求める。
1(2〜5) シンクロール
1a(2a〜4a) 錘収納部
1b(4b) 胴部
1c(2c、3c 錘
1d 軸部
1h 第1の側壁
1i 第2の側壁
1m 錘収納室
1r 接続孔部
1w 接続孔部

Claims (10)

  1. 軸心を有する外観が略円柱状の胴部と、前記胴部と同軸にその端に接合された軸部を有する溶融金属めっき浴用ロールであって、前記軸部と同軸に、前記胴部または軸部に固定される略円盤形状の錘収納部を有し、前記錘収納部は、前記胴部の軸心に沿い当該錘収納部の外周に並設された第1の側壁および第2の側壁と、必要に応じ配置される前記第1の側壁および第2の側壁の外周面に挿着され固定される略円環形状の外周部と、前記第1の側壁および第2の側壁の間に形成された錘収納室と、前記錘収納室に収納された錘を有する溶融金属めっき浴用ロール。
  2. 前記胴部または前記軸部は、その内部に形成された、前記胴部の軸心に直交する断面形状が略円形状で、前記胴部と同軸の接続孔部を有し、前記錘収納部は、前記接続孔部に挿着され固定されている請求項1に記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  3. 前記錘収納部は、前記軸部と一体的に構成され、前記胴部と軸部の間に介在するよう配置されている請求項1または2のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  4. 前記錘収納部は、前記軸部とは独立した部材である請求項1または2のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  5. 前記錘収納部は、前記第1の側壁および第2の側壁を連結する内周部と、前記錘収納室を覆うように前記第1の側壁および第2の側壁の外周に固定された外周部を有し、前記第1の側壁および第2の側壁ならびに前記内周部および外周部により前記錘収納室が画成されている請求項4に記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  6. 前記胴部は、端に形成された接続孔部を共に有する、外観が略円柱状の第1の胴部材および第2の胴部材とで構成され、前記錘収納部は、前記胴部と軸部との間に替えて、前記第1の胴部材および第2の部材の接続孔部に挿着され固定され、当該第1の胴部材および第2の胴部材を接合して前記胴部を構成している請求項4または5のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  7. 前記錘が金属粉であり、前記金属粉は、前記錘収納室に充填されている請求項1乃至6のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  8. 前記錘は金属体であり、弾性体を介し前記錘収納部に収納されている請求項1乃至6のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  9. 前記第1の側壁は独立した部材であり、前記錘は環状体である請求項8記載の溶融金属めっき浴用ロール。
  10. 前記胴部がセラミックスで構成されている請求項1乃至9のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用ロール。
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