JP5827907B2 - 活性炭及びその製造方法並びに前記活性炭を用いた過酸化物分解方法又は分解触媒及びカルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

活性炭及びその製造方法並びに前記活性炭を用いた過酸化物分解方法又は分解触媒及びカルボニル化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機合成などにおける触媒(酸化反応触媒、分解触媒など)として有効な活性炭、この活性炭の触媒活性を利用した用途に関する。より詳細には、本発明は、例えば、過酸化物の分解触媒(又は酸化触媒)として有用な活性炭(例えば、第2級炭素原子を有する化合物からカルボニル化合物を製造する方法において、溶媒中の過酸化水素分解機能を保持しかつ持続的に性能を維持できる活性炭触媒など)と、その用途(例えば、カルボニル化合物の製造法など)に関する。
活性炭自体が触媒として作用することがよく知られており、例えば、活性炭は硫化水素及びSOの酸化を含む様々な酸化反応に有用であることが知られている。活性炭はそのような反応に影響することが観察されており、触媒としての活性炭は反応速度のみに影響し、活性炭自体は反応により殆ど変化しない。
窒素分の多い原料から製造された活性炭は、窒素分の少ない原料から製造された活性炭に比べて、過酸化水素の分解などの特定の反応において効果的に触媒作用する。同様に、窒素分の少ない原料から製造された活性炭を、高温で、アンモニアなどの窒素含有化合物に曝すと、活性炭の触媒機能が高まることも知られている。最近では、ポリアクリロニトリルやポリアミドなどの窒素分の多い物質を低温又は高温で乾留し、この乾留物を活性化(賦活)することにより、触媒活性の高い活性炭が製造されている。いずれの場合も、活性炭は700℃を超える温度で熱処理することによって製造される。窒素分の少ない原料から製造された活性炭を、窒素含有化合物に曝す前、又は曝す最中に酸化するのが有利であることも知られている。
しかし、触媒活性を有する活性炭を製造する先行技術の方法は、すべてある種の欠点があり、そのために全体的な有用性や実用性が限られている。例えば、ポリアクリロニトリルやポリアミドなどの窒素分の多い原料は高価であり、炭素化に際し、大量のシアン化物および他の毒性ガスを発生する。窒素分の少ない原料から得られる活性炭では、触媒能力を大きく変化させるために激しい化学的な後処理が必要である。その際、所望の触媒活性を得るために炭素収率を犠牲にして達成され、必然的に高価となる。さらに、化学的に処理する方法では、硝酸、硫酸またはアンモニアなどの毒性があり危険な薬品を大量に使用するため、SOx、NOx、シアン化物のような毒性があり危険な副生物が著しく大量に生じる。
また、活性炭自体の触媒性能を扱った先行技術は数多く見受けられるが、下記の特許文献を除き、活性炭の物性と触媒性能との関係を詳細に取り扱ったものは少ない。この理由として、活性炭が有する種々の物性が複合的に触媒性能に寄与しているため、複雑であり且つ解明が困難な状況にあることが挙げられる。
一方、前述のように、活性炭は酸化反応の触媒としても利用できるが、例えば、アルコールや炭化水素類の酸化反応は工業的に重要な反応である。しかし、アルコールや炭化水素類の酸化反応においては解決すべき課題が多い。アルコールや炭化水素類の酸化反応の酸化剤はクロロクロム酸ピリジニウムに代表されるクロム酸であるが、6価クロムは最終的に3価クロムになるため、クロム酸は化学量論必要となる。その他、活性二酸化マンガンなども有効な酸化剤であるが、クロム酸と同様に化学量論必要となる。また、アルコールや炭化水素類の酸化反応に酸化剤としてクロムやマンガンなどの重金属を用いるため、反応後の廃棄物として有害な重金属類化合物が大量廃棄されることになる。これに対して、アルコールや炭化水素類の酸化反応に関し、活性炭と酸素を用いた種々の化合物を製造する方法が提案されている。この方法では、重金属類の大量廃棄物を生じない利点があるものの、高純度の酸素を使用する必要があり、工業的に爆発などの危険性を考慮しなければならない。
特開平5−811号公報(特許文献1)には、過酸化水素分解用触媒として、蛋白質やポリアクリロニトリル繊維状活性炭素材を原料とし、窒素1〜5重量%、酸素3〜30重量%、炭素40〜95重量%を含有し、平均細孔半径が15〜30Åであり、有孔メソポアが全容積当たり少なくとも50容積%を占める活性炭が開示されている。この文献の実施例には、窒素2.1〜4.1重量%、酸素7.6〜22.8重量%の活性炭が記載され、比較例には窒素0.5重量%、酸素5.6重量%の活性炭が記載されている。
しかし、この活性炭は、過酸化水素を分解する触媒活性が未だ十分でなく、しかも繰り返し使用により活性が低下する場合がある。
国際公開WO2011/125504号公報(特許文献2)には、過酸化物又はモノクロロアミンを効率よく分解又は除去できる活性炭触媒が開示され、酸素、窒素、硫黄及び水素原子を所定の濃度で含有する活性炭を用いると過酸化水素の分解能が大きく向上することが記載されている。
しかし、この活性炭を用いても、用途によっては過酸化水素を分解する触媒活性が未だ十分でなく、例えば、アルコールや炭化水素類の酸化反応における触媒として十分ではなかった。
特開平5−811号公報(特許請求の範囲、実施例及び比較例) 国際公開WO2011/125504号公報(請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、酸化触媒(又は分解触媒)として有用な活性炭とその用途を提供することにある。
本発明の他の目的は、繰り返し使用しても高い触媒活性を保持する活性炭触媒とその用途を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、溶媒中で過酸化物(過酸化水素など)を有効に分解又は除去できる活性炭触媒とその用途を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記活性炭の触媒活性を利用して、カルボニル化合物を効率よく製造できる方法、過酸化物(過酸化水素など)を効率よく分解できる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討の結果、水素原子、窒素原子及び塩基性表面官能基を所定の濃度で含有する活性炭を用いると、過酸化水素の分解能が大きく向上すること、前記活性炭が第2級炭素原子を有する化合物の酸化を効率よく触媒し、カルボニル化合物を効率よく生成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の活性炭は、水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gの範囲にある。
本発明には、過酸化物を分解するための触媒であって、水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gである活性炭で構成されている分解触媒も含まれる。
本発明には、炭素質材料を400〜700℃で乾留する乾留工程、水蒸気、窒素及び二酸化炭素を含む混合ガス雰囲気下、750℃〜850℃の温度で1〜10時間処理し、部分的にガス化する賦活工程を含む前記活性炭の製造方法も含まれる。
本発明には、活性炭の存在下、第2級炭素原子を有する化合物を酸化剤で酸化してカルボニル化合物を製造する方法であって、水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gである活性炭を用い、酸化剤として過酸化物を用いるカルボニル化合物の製造方法も含まれる。この製造方法において、第2級炭素原子を有する化合物は第2級アルコール又はメチレン基を有する化合物であってもよい。前記活性炭の割合は第2級炭素原子を有する化合物100質量部に対して30〜150質量部程度である。前記過酸化物の割合は第2級炭素原子を有する化合物100質量部に対して50〜1000質量部程度である。前記過酸化物は過酸化水素又は過酸化水素化物(例えば、尿素過酸化水素化物)であってもよい。
本発明には、活性炭と接触させて過酸化物を分解する方法であって、水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gである活性炭を用いる方法も含まれる。
本発明の活性炭は酸化触媒又は分解触媒として高い触媒活性を示す。また、活性炭触媒は繰り返し使用しても高い触媒活性を保持する。そのため、活性炭触媒は、溶媒中で過酸化物(過酸化水素など)を有効に分解できる。さらに、本発明の活性炭は酸化反応を触媒し、活性炭の触媒活性を利用して、過酸化物(過酸化水素など)の存在下、第2級炭素原子を有する化合物からカルボニル化合物を効率よく製造できる。さらに、本発明の活性炭は、例えば、過酸化物を分解して除去するのに適している。さらには、従来の手段により製造された活性炭と比較して、本発明の活性炭は、過酸化物の分解除去、第2級炭素原子を有する化合物の酸化反応の触媒として非常に有用である。
[活性炭]
本発明の活性炭は以下の特徴を有する。
(a)水素含有量が0.63〜0.75質量%であり、
(b)窒素含有量が2.55〜6.50質量%であり、
(c)塩基性表面官能基量が0.88〜1.18meq/gの範囲である。
(a)活性炭の水素含有量は0.63〜0.75質量%であり、好ましくは0.64〜0.74質量%、さらに好ましくは0.65〜0.70質量%(特に0.65〜0.68質量%)である。水素含有量が少なすぎると触媒活性が低下し、多すぎても触媒活性が低下する。
(b)活性炭の窒素含有量が窒素含有量は2.55〜6.50質量%であり、好ましくは2.90〜5.00質量%、さらに好ましくは3.50〜4.50質量%(特に3.80〜4.20質量%)である。窒素含有量が少なすぎると触媒活性が低下し、多すぎても触媒活性が低下する。
(c)塩基性表面官能基量が0.88〜1.18meq/g、好ましくは0.89〜1.15meq/g、さらに好ましくは0.90〜1.10meq/g(特に0.95〜1.10meq/g)程度である。塩基性表面官能基量が少なすぎると触媒活性が低下し、多すぎても触媒活性が低下する。
なお、これらの活性炭の(a)水素原子、(b)窒素原子、(c)塩基性表面官能基に関し、触媒活性には単一の元素又は表面官能基量が単独で関与するのではなく、これらの要因が複合的に関与しているようである。そのため、単一の元素又は官能基含有量が前記範囲にあっても、他の元素又は官能基含有量が前記範囲を外れると、活性炭の触媒活性が低下する。
[活性炭の製造方法]
通常、活性炭触媒の製造は、活性炭を硝酸や硫酸、次亜塩素酸ナトリウムなどで酸化したのち、高温でアンモニアと接触させるか、ポリアクリルニトリルなどの窒素を多く含む原料から活性炭化するといった方法で行われる。
本発明では、複数のパラメーターを管理することにより、様々な高触媒活性を有する活性炭を製造できる。
すなわち、本発明の活性炭触媒は、炭素質材料を400〜700℃で乾留する乾留工程、水蒸気、窒素及び二酸化炭素を含む混合ガス雰囲気下、750℃〜850℃の温度で1〜10時間処理し、部分的にガス化する賦活工程を含む製造方法により得ることができる。
炭素質材料としては、活性炭の製造に適した公知の材料全てから選択できるが、窒素を含む泥炭、亜炭、亜瀝青炭、瀝青炭、半無煙炭、無煙炭が好ましい。これらの炭素質材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の活性炭は、一般的な活性炭製造設備である流動層、多段炉、回転炉などを用いて作製される。
乾留工程において、乾留は、慣用の方法、例えば、炭素質材料を、酸素又は空気を遮断して、400〜800℃、好ましくは500〜700℃程度で加熱することにより行うことができる。乾留温度が低すぎると、窒素含有量が高くなりすぎる一方で、塩基性表面官能基量が低下しすぎる傾向があり、逆に高すぎると、窒素含有量が低下しすぎる一方で、塩基性表面官能基量が高くなりすぎる傾向がある。
賦活工程(熱処理工程又は活性化工程)において、流動層、多段炉、回転炉内で700℃を超える温度、好ましくは700〜850℃、さらに好ましくは750〜850℃(特に750〜800℃)程度にて、水蒸気、窒素及び二酸化炭素の混合物で部分的に乾留した炭素質材料をガス化して活性炭を得る。賦活温度が高すぎると、窒素含有量が低下しすぎる傾向があり、逆に、低すぎると、塩基性表面官能基が高くなりすぎる傾向がある。蒸気、窒素及び二酸化炭素からなる炭素質材料の乾留物の一部をガス化させるためのガスは、天然ガス、石油、又は炭化水素を含む他の可燃物を燃焼することによっても得られる。なお、賦活温度は、通常、±25℃程度の範囲で変動する場合が多い。
賦活時間としては、1〜10時間、好ましくは2〜8時間程度であってもよい。賦活時間が短すぎると水素含有量が増加し、長すぎると窒素含有量が低下し触媒活性が低下する。
ガス分圧は水蒸気分圧7.5〜40%、好ましくは10〜30%、炭酸ガス分圧10〜50%、好ましくは15〜45%、窒素分圧30〜80%、好ましくは40〜70%、さらに好ましくは40〜65%であってもよい。なお、ガスの全圧は、通常、1気圧(約0.1MPa)である。水蒸気分圧が低すぎると賦活(活性化)が十分進行しないため活性炭の触媒活性を高められず、高すぎると活性炭の触媒活性が低下するだけでなく、急激な賦活反応となり、反応をコントロールするのが困難となる。また、炭酸ガス分圧が低すぎると賦活(活性化)が十分でなく、高すぎると活性炭の活性が低下する。
また、総ガス供給量(流量)は乾留品原料100gに対して、0.1〜50L/分、好ましくは0.5〜40L/分、さらに好ましくは1〜30L/分(特に1〜10L/分)である。流量が少なすぎると賦活が十分でなく、多すぎると活性炭の活性が低下する。
このような条件を組み合わせることにより、目的とする水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基を有する活性炭が得られる。なお、本発明の活性炭の製造方法の詳細は、実施例を参照できる。
なお、活性炭は、粉末状、粒状、造粒状であってもよく、必要であれば、ハニカム状などの形態に成形してもよい。
[活性炭触媒]
このような特性を有する活性炭は、酸化触媒又は分解触媒などの触媒として有用である。例えば、本発明の活性炭触媒は、過酸化物の分解(又は酸化)などに有用である。過酸化物としては、例えば、過酸化水素、過酸(過ギ酸、過酢酸、過安息香酸など)、パーオキサイド(過酸化ベンゾイル、過酸化ジアセチル、過酸化ラウロイル、エチルメチルケトンパーオキサイドなど)などが例示できる。代表的な過酸化物は、過酸化水素である。
過酸化物の分解(又は酸化)は、有機溶媒(トルエン、キシレンなどの炭化水素、エタノールなどのアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、カルボン酸類など)又は水性溶媒(水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒)中で行うことができる。また、過剰量の溶媒の存在下で、分解反応を行う場合が多い。なお、過酸化物が溶液や分散液の状態で存在する場合、過酸化物(過酸化水素など)の濃度は特に制限されず、例えば、反応系での過酸化物(過酸化水素など)の濃度は0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%程度であってもよい。
活性炭触媒の使用量は、過酸化物100質量部に対して、0.1〜500質量部、好ましくは1〜250質量部、さらに好ましくは5〜100質量部(例えば、10〜80質量部)程度であってもよい。
分解反応は、例えば、10〜70℃、好ましくは20〜50℃程度で行うことができる。分解反応は、例えば、空気中又は酸素含有雰囲気下で行うこともでき、不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。
本発明の活性炭触媒は、前記過酸化物以外に、多くの反応のための触媒、例えば、硫化物(硫化水素など)、二酸化硫黄SOおよび酸化窒素NOxの酸化又は転化などにも有用である。硫化物(硫化水素など)、二酸化硫黄SOおよび酸化窒素NOxなどのガス状基質は、必要により空気又は酸素含有気体とともに、気流の形態で活性炭と接触させてもよい。
[カルボニル化合物の製造方法]
本発明の活性炭触媒は、第2級炭素原子を有する化合物(基質又は酸化前駆体)を過酸化物で構成された酸化剤で酸化してカルボニル化合物を製造するための触媒としても有用である。第2級炭素原子を有する化合物には、第2級アルコール、メチレン基を有する化合物が含まれる。
第2級アルコールは、式:R−CH(−OH)−Rで表されるアルコール(式中、R及びRは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい有機基を示し、RとRとは、互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成してもよい)で表される化合物であってもよい。
前記式において、有機基としては、例えば、炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基など)、酸素含有複素環基(フリル基、ピラニル基、クロマニル基、キサンテニル基など)、窒素含有複素環基(ピリジル基、キノリル基など)、硫黄含有複素環基(チオフェニル基、チオピラニル基、チオキサンテニル基など)などが挙げられる。これらの有機基のうち、メチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、ピリジル基やキノリル基などの窒素含有複素環基などが好ましい。
置換基としては、前記炭化水素基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アミド基、アシルアミノ基、オキソ基などが挙げられる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの置換基のうち、メチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、アセチルアミノ基などのアシルアミノ基、オキソ基などが好ましい。
とRとの組み合わせとしては、フェニル基などのアリール基、ピリジル基やキノリル基などの窒素含有複素環基を含む組み合わせが好ましく、例えば、置換基を有していてもよいアリール基(例えば、フェニル基)同士の組み合わせ、置換基を有していてもよいアリール基(例えば、フェニル基)と置換基を有していてもよいアルキル基(例えば、オキソ基及びフェニル基を有するメチル基)との組み合わせ、置換基を有していてもよいアリール基(例えば、フェニル基)と置換基を有していてもよい窒素含有複素環基(例えば、ピリジル基、キノリル基)との組み合わせ、置換基を有していてもよいアルキル基(例えば、メチル基)と置換基を有していてもよい窒素含有複素環基(例えば、キノリル基)との組み合わせなどが挙げられる。
とRとが互いに結合した環としては、シクロアルカン(例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、縮合多環式炭化水素環(例えば、インデン、フェナレン、フルオレンなど)などが挙げられる。これらのうち、フルオレンなどの縮合多環式炭化水素環などが好ましい。
とRとが互いに結合した環の置換基としても、前記置換基が例示できる。
メチレン基を有する化合物としては、前記第2級アルコールに対応する炭化水素類などが挙げられる。これらのうち、置換基を有していてもよい縮合多環式炭化水素(例えば、フルオレン、アセチルアミノフルオレン、アントロンなど)、置換基を有していてもよい酸素含有複素環式化合物(例えば、キサンテンなど)、置換基を有していてもよい硫黄含有複素環式化合物(例えば、チオキサンテンなど)などが好ましい。
過酸化物としては、前記と同様の過酸化物が例示できる。これらの過酸化物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記過酸化物の中で、通常、過酸化水素(H)又は過酸化水素化物(過酸化水素を含む化合物又は過酸化水素を発生可能な化合物)が使用される。なお、過酸化水素としては、市販の30〜60質量%水溶液を使用でき、必要により希釈して使用してもよい。
過酸化水素化物は、酸化能を有する過酸化水素を含んでいれば特に限定されないが、固体状であり、かつ溶媒中で過酸化水素を発生できる過酸化水素化物が好ましい。このような過酸化水素化物は、過酸化水素の取り扱い性や安定性を向上させるための安定剤との複合体、例えば、安定剤と過酸化水素とが水素結合や配位結合を介して結合した複合体、安定剤の結晶構造の隙間に過酸化水素が包接された複合体であってもよい。
具体的に、過酸化水素化物としては、例えば、アンモニア又は第4級アンモニウムの過酸化水素化物、炭酸塩の過酸化水素化物(炭酸アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ルビジウムなどの炭酸塩過酸化水素化物など)、ホウ酸塩の過酸化水素化物(ホウ酸アンモニウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウムなどのホウ酸塩過酸化水素化物など)、硫酸塩の過酸化水素化物(硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩過酸化水素化物など)、尿素類の過酸化水素化物(尿素、尿酸、メラミンなどの尿素類の過酸化水素物など)などが好ましい。これらの過酸化水素化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、さらに過酸化水素とも組み合わせて使用できる。
これらの過酸化水素化物のうち、取り扱い性だけでなく、酸化反応効率も向上できる点から、尿素類の過酸化水素化物(特に、尿素過酸化水素化物)が好ましい。尿素類の過酸化水素化物が酸化反応効率を向上できるメカニズムは不明であるが、前記活性炭と組み合わせることにより、尿素類が過酸化水素の分解速度を酸化反応に適した速度に調整でき、酸化反応の反応効率も向上すると推定できる。
活性炭の使用量は、第2級炭素原子を有する化合物(基質)100質量部に対して10〜500質量部程度の範囲から選択でき、例えば、30〜150質量部、好ましくは50〜120質量部、さらに好ましくは50〜100質量部程度であってもよい。
過酸化物の使用量(過酸化水素化物の場合、過酸化水素の使用量)は、基質100質量部に対して30〜2000質量部程度の範囲から選択でき、例えば、50〜1000質量部、好ましくは60〜550質量部であってもよい。また、過酸化物(過酸化水素など)の使用量は、基質1モルに対して、1.5〜20モル、好ましくは2〜15モル、さらに好ましくは3〜12モル(例えば、3.5〜10モル)程度である。
酸化反応は、溶媒の存在下で行ってもよく、基質の種類に応じて選択でき、例えば、有機溶媒(トルエン、キシレンなどの炭化水素、エタノールなどのアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、カルボン酸類など)又は水性溶媒(水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒)中で行うことができ、通常、有機溶媒(キシレンなどの芳香族炭化水素など)中で行うことができる。溶媒の使用量は、均一な反応系を形成できればよく、通常、基質1質量部に対して、1〜50質量部、好ましくは2〜25質量部程度であってもよい。
反応は、温度50〜150℃、好ましくは60〜120℃、さらに好ましくは80〜100℃程度で行うことができる。反応は加圧下又は常圧下で行うことができ、通常、大気圧下で行われる。さらに、反応は、例えば、空気中又は酸素含有雰囲気下で行うことができ、不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。
反応終了後、必要により、反応混合液を、濃縮、析出、溶媒抽出、再結晶などの慣用の分離精製工程に供することにより、高純度のカルボニル化合物を高い収率で得ることができる。
さらに、本発明の活性炭触媒は、繰り返し使用しても触媒活性が低下せずに高い触媒能を維持する。例えば、実施例に記載の試験方法(水溶液中過酸化水素分解性能評価及び過酸化水素分解速度の測定)において、活性炭1g当たり1時間での過酸化水素の分解速度は、バッチ式の水溶液中で1000mg−H/g−活性炭/hr以上(例えば、2000〜100000mg−H/g−活性炭/hr、好ましくは2500〜75000mg−H/g−活性炭/hr、さらに好ましくは3000〜50000mg−H/g−活性炭/hr)である。
さらに、本発明の活性炭触媒は、触媒活性が強いため、繰り返し使用しても高い触媒活性を維持できる。具体的には、実施例に記載の試験方法(バッチ式の水溶液中該過酸化水素分解試験)に繰り返し20回以上(例えば、22〜50回、好ましくは23〜45回、さらに好ましくは24〜40回、特に25〜35回程度)使用しても、高い触媒活性を維持する。すなわち、本発明の活性炭触媒は、前記試験方法において、1000mg−H/g−活性炭/hr以上の水溶液中の過酸化水素分解性能を維持しつつ繰り返し20回以上(好ましくは22回以上)使用できる。
以下の実施例に基づき、本発明をより詳細に述べるが、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。なお、以下の実施例及び比較例では、「部」は「質量部」を表し、活性炭の性能を以下のようにして評価した。
[水溶液中過酸化水素分解性能評価]
25℃における3,000mg/L過酸化水素濃度の水溶液400mLに乾燥した活性炭0.1gを添加し、水溶液中に残留している過酸化水素濃度を測定し、経時変化を残留量がゼロになるまで評価した。
過酸化水素分解速度=(C−C)×0.4/A/T
[式中、C=過酸化水素初濃度(mg/L),C=任意時間経過後の過酸化水素濃度(mg/L),A=活性炭量(g),T=任意時間(hr)である]
繰り返し時における過酸化水素分解性能評価は、残留量がゼロになった溶液に、30質量%濃度の過酸化水素水溶液を3000mg/Lになるように添加し、再び水溶液中に残留している過酸化水素濃度を測定し、経時変化を残留量がゼロになるまで評価する。この操作を1,000mg−H/g−活性炭/hr以上の過酸化水素分解速度が得られなくなるまで繰り返した。
[活性炭の水素、窒素含有量]
元素分析装置(エレメタール社製「Vario EL III」)を使用し、基準物資にスルファニル酸を用いて測定を行った。また、各測定値のバラツキを考慮し、標準サンプルとして活性炭(クラレケミカル(株)製「P−GLCR」)を同時に測定して補正し、活性炭中の水素、窒素の含有量を決定した。
[活性炭の塩基性表面官能基]
25℃において、0.1モル/L−HCl水溶液25mlに活性炭0.5gを添加し、24時間振とう後、遠心分離機により活性炭を沈降させ、上澄み液10mlを採取し、0.1mol/l−NaOHで滴定を行い、塩基性表面官能基量を決定した。
[炭素質原料の乾留及び賦活方法]
種々の原料による影響を確認するために、異なる原料により活性炭を作製した。具体的には、炭素質原料を500〜800℃で乾留し、続いて得られた乾留品500gを炉に投入し、700〜980℃において水蒸気、二酸化炭素ガス、窒素ガスを任意の分圧に変化させて、かつ任意の量で炉内に供給し賦活時間を任意に変えて、活性炭を作製した。
[基質の酸化反応]
溶媒中に、基質と活性炭とを表に示す割合で加え、攪拌下80〜95℃にて過酸化水素水(和光純薬工業(株)製「30%過酸化水素水」)又は尿素過酸化水素化物(和光純薬工業(株)製「尿素過酸化水素」)を表に示す割合で添加する。添加終了後、12〜50時間保持した後、カルボニル化合物を結晶単離し、高速液体クロマトグラフィーにより定量し、質量収率を測定した。
[比較例1]
炭素質原料を瀝青炭とし、600℃乾留処理後、水蒸気分圧30%、二酸化炭素分圧30%、窒素分圧40%の混合ガスを乾留品500gに対して40L/分で炉内に導入し、賦活温度850℃、賦活時間1時間の条件下で比較例1の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
炭素質原料を瀝青炭とし、600℃乾留処理後、水蒸気分圧30%、二酸化炭素分圧30%、窒素分圧40%の混合ガスを乾留品500gに対して40L/分で炉内に導入し、賦活温度900℃、賦活時間1時間の条件下で比較例2の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
炭素質原料を瀝青炭とし、600℃乾留処理後、水蒸気分圧10%、二酸化炭素分圧20%、窒素分圧70%の混合ガスを乾留品500gに対して40L/分で炉内に導入し、賦活温度850℃、賦活時間5時間の条件下で比較例3の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
炭素質原料をヤシ殻原料とし、700℃乾留処理後、水蒸気分圧30%、二酸化炭素分圧30%、窒素分圧40%の混合ガスを乾留品500gに対して40L/分で炉内に導入し、賦活温度900℃、賦活時間1時間の条件下で比較例4の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例5]
炭素質原料を木質原料とする以外は比較例4と同様の方法により活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例6]
炭素質原料を無煙炭原料とする以外は比較例4と同様の方法により活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例7]
炭素質原料を瀝青炭とし、600℃乾留処理後、水蒸気分圧30%、二酸化炭素分圧30%、窒素分圧40%の混合ガスを乾留品500gに対して40L/分で炉内に導入し、賦活温度800℃、賦活時間1時間の条件下で比較例7の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例8]
炭素質原料を瀝青炭とし、600℃乾留処理後、水蒸気分圧30%、二酸化炭素分圧30%、窒素分圧40%の混合ガスを乾留品500gに対して40L/分で炉内に導入し、賦活温度800℃、賦活時間2時間の条件下で比較例7の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例9]
比較例9には酸化反応用活性炭として市販されている活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製「白鷺KL」)についても評価し、結果を表1に示す。
[比較例10〜12]
比較例10〜12には、特許文献2(国際公開WO2011/125504号公報)に記載の活性炭についても評価し、結果を表1に示す。
[実施例1]
炭素質原料を瀝青炭とし、700℃乾留処理後、水蒸気分圧20%、二酸化炭素分圧40%、窒素分圧40%の混合ガスを乾留品500gに対して10L/分で炉内に導入し、賦活温度750℃、賦活時間5時間の条件下で実施例1の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
炭素質材料を瀝青炭とし、700℃乾留処理後、水蒸気分圧30%、二酸化炭素分圧30%、窒素分圧40%の混合ガスを乾留品500gに対して20L/分で炉内に導入し賦活温度850℃、賦活時間2時間の条件下で実施例2の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
炭素質材料を瀝青炭とし、650℃乾留処理後、水蒸気分圧35%、二酸化炭素分圧15%、窒素分圧50%の混合ガスを乾留品500gに対して20L/分で炉内に導入し、賦活温度800℃、賦活時間3時間の条件下で実施例3の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
炭素質材料を瀝青炭とし、500℃乾留処理後、水蒸気分圧15%、二酸化炭素分圧20%、窒素分圧65%の混合ガスを乾留品500gに対して10L/分で炉内に導入し賦活温度750℃、賦活時間8時間の条件下で実施例4の活性炭を作製し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
各比較例および実施例について、表1に示す反応条件で活性炭の触媒機能基礎評価を実施した。反応生成物の収率が25%以上のものが触媒として有効な性能を有している。
Figure 0005827907
表1の結果から比較例及び実施例の評価は以下の通りである。
(比較例1)
瀝青炭原料を前記方法により試作した比較例1の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例2)
瀝青炭原料を前記方法により試作した比較例2の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例3)
瀝青炭原料を前記方法により試作した比較例3の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例4)
ヤシ殻原料を前記方法により試作した比較例4の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例5)
木質原料を前記方法により試作した比較例5の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例6)
無煙炭原料を前記方法により試作した比較例6の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で窒素含有量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例7)
瀝青炭原料を前記方法により試作した比較例7の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例8)
瀝青炭原料を前記方法により試作した比較例8の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で塩基性表面官能基量が設定値から外れ、カルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例9)
市販されている比較例9の酸化反応用活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例10)
特許文献2の実施例1に準拠し試作した比較例10の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例11)
特許文献2の実施例5に準拠し試作した比較例11の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いことを確認した。
(比較例12)
特許文献2記載の実施例6に準拠し試作した比較例12の活性炭では、本発明で設定した物性値の中で水素含有量、窒素含有量、塩基性表面官能基量が設定値から外れ、過酸化水素分解能が低く、かつカルボニル化合物の収率も低いこと確認した。
これらの比較例により、乾留温度や賦活温度が高すぎると水素含有量や窒素含有量、塩基性表面官能基量が、本発明で設定した物性値に到達出来ないことを確認した。また、特許文献2に記載された物性値範囲で有効とされた触媒活性炭も、本発明におけるアルコール類のカルボニル化においては活性を示さないことも確認された。
(実施例1)
瀝青炭原料を前記方法により試作した実施例1の活性炭では、本発明で設定した物性値のすべてにおいて設定値内であり、過酸化水素分解能は23回と高く、かつカルボニル化合物の収率も25%であることを確認した。
(実施例2)
瀝青炭原料を前記方法によりで試作した実施例2の活性炭では、本発明で設定した物性値のすべてにおいて設定値内であり、過酸化水素分解能は25回と高く、カルボニル化合物の収率も27%であることを確認した。
(実施例3)
瀝青炭原料を前記方法により試作した実施例3の活性炭では、本発明で設定した物性値のすべてにおいて設定値内であり、過酸化水素分解能は26回と高く、カルボニル化合物の収率も29%であることを確認した。
(実施例4)
瀝青炭原料を前記方法により試作した実施例4の活性炭では、本発明で設定した物性値のすべてにおいて設定値内であり、過酸化水素分解能は31回と高く、カルボニル化合物の収率も34%であることを確認した。
以上の結果から本発明で規定した物性値の範囲内であれば、フルオレノールからフルオレノンへ酸化させる効率が高くなる傾向を示し、触媒性能を維持し繰り返し使用できることが明らかである。
[反応条件の検討]
各比較例及び実施例で得られた触媒活性炭を用いて、フルオレノールからフルオレノンへ酸化させるための反応条件を変更し、実施例で得られた触媒活性炭の有効性を確認した。表2に各触媒活性炭における収率の変化を示した。
詳しくは、実施例4の活性炭を用いて、20mlのキシレンの存在下、フルオレノールからフルオレノンへ酸化反応を行う条件検討を行った結果を表2に示す。表2の結果から明らかなように、実施例4の活性炭を用いた場合、反応温度95℃、キシレン溶媒20ml、フルオレン100部、活性炭量100部、過酸化水素199.8部の条件下で77%の高い収率が得られた。
実施例4の触媒活性炭で得られた最適条件を用いて比較例1〜12で反応を行った結果を表2に示す。比較例1〜12の活性炭では、フルオレノンの収率が60%を超えることが出来なかった。
実施例4の触媒活性炭で得られた最適条件を用いて実施例1〜3で反応を行った結果を表2に示す。実施例1〜3の活性炭では、フルオレノンの収率が60%を超え、効率よく反応が進んでいることが認められ、第2級アルコールからカルボニル化合物への反応に有効な触媒活性炭であることを確認した。
Figure 0005827907
[過酸化物の検討]
実施例4の触媒活性炭を用いて、前記反応を過酸化水素から尿素過酸化水素化物に代えて、表3に示す条件で反応を実施した結果を表3に示す。
Figure 0005827907
表3の結果から明らかなように、酸化剤を過酸化水素から尿素過酸化水素化物に代えることにより、収率が向上していることが認められ、尿素過酸化水素化物が有効であることが確認された。
[基質の検討]
実施例4の活性炭を用いて、基質をフルオレノールから、α−キノリルベンジルアルコール、ベンゾイン、フルオレン、キサンテンに代えて、表4に示す条件で反応を実施した結果を表4に示す。
Figure 0005827907
表3の結果から明らかなように、第2級炭素原子を有する他の基質でも高い収率でカルボニル化合物(キノリルフェニルケトン、ベンジル、フルオレノン、キサントノン)が得られることが確認された。
本発明の活性炭は、過酸化物(過酸化水素など)の分解触媒として有用である。また、本発明の活性炭触媒は酸化反応を触媒し、過酸化水素共存下において第2級炭素原子を有する化合物からカルボニル化合物を効率よく製造できる。しかも、高い触媒活性を維持できるため、リサイクル性が高く、活性炭廃棄物の少量化が図れ、コスト低減を行うことができる。そのため、第2級炭素原子を有する化合物の酸化反応を触媒する活性炭触媒として有用である。

Claims (10)

  1. 水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gの範囲にある活性炭。
  2. 過酸化物を分解するための触媒であって、水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gである活性炭で構成されている分解触媒。
  3. 炭素質材料を400〜700℃で乾留する乾留工程、水蒸気、窒素及び二酸化炭素を含む混合ガス雰囲気下、750℃〜850℃の温度で1〜10時間処理し、部分的にガス化する賦活工程を含む請求項1記載の活性炭の製造方法。
  4. 活性炭の存在下、第2級炭素原子を有する化合物を酸化剤で酸化してカルボニル化合物を製造する方法であって、水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gである活性炭を用い、酸化剤として過酸化物を用いるカルボニル化合物の製造方法。
  5. 第2級炭素原子を有する化合物が第2級アルコール又はメチレン基を有する化合物である請求項4記載の製造方法。
  6. 活性炭の割合が第2級炭素原子を有する化合物100質量部に対して30〜150質量部である請求項4又は5記載の製造方法。
  7. 過酸化物の割合が第2級炭素原子を有する化合物100質量部に対して50〜1000質量部である請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 過酸化物が過酸化水素又は過酸化水素化物である請求項4〜7いずれかに記載の製造方法。
  9. 過酸化物が尿素過酸化水素化物である請求項8記載の製造方法。
  10. 活性炭と接触させて過酸化物を分解する方法であって、水素含有量が0.63〜0.75質量%、窒素含有量が2.55〜6.50質量%、塩基性表面官能基が0.88〜1.18meq/gである活性炭を用いる方法。
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