JP5827489B2 - 耐候性に優れたアルミ合金とcfrp材の接着物 - Google Patents

耐候性に優れたアルミ合金とcfrp材の接着物 Download PDF

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Description

本発明はアルミ合金と炭素繊維強化プラスチック(以下「CFRP」)とが強固に接着した一体化物した耐候性に優れたアルミ合金とCFRP材の接着物に関する。より詳細には、移動機械、一般機械、等の屋外使用が前提の各種機械の部品、製品に使用でき、その接合に耐候性があり、屋外環境下に置かれても接着力が低下せぬようにした複合体である耐候性に優れたアルミ合金とCFRP材の接着物に関する。
金属同士を接合する接着剤、金属と合成樹脂を強く接着する技術等は、自動車、家庭電化製品、産業機器等の部品製造業等だけでなく、建材や土木材を含む広い産業分野において求められており、このために多くの接着剤が開発されている。即ち、接着や接合に関する技術は、あらゆる製造業に於いて基幹の基礎技術、応用技術である。
本発明者等は「NAT(Nano adhesion technologyの略)」を発明し開示した。これは接着剤接合技術であり、接合対象はあらゆる実用金属合金種である。既にアルミ合金、マグネシウム合金、銅合金、チタン合金、ステンレス鋼、一般鋼材、アルミ鍍金鋼板、等について「NAT」の詳細が開示されている(特許文献1〜8)が、その原理は被着材金属側を最適の被着材形状にせんと努めたものでごく簡潔である。図1に示したのは「NAT」処理をした金属合金断面の模式図であり、またそこに接着剤が侵入固化している様子が示されている。NATを成功させるには金属側に3条件、接着剤側に1条件ある。
金属側の3条件は、以下の通りであり、
(1)1〜10μm周期で高低差がその周期の半分程度までの凹凸面とすること、すなわちミクロンオーダーの粗度を有した表面とすること、
(2)前記の凹部内壁面は10〜500nm周期、最も好ましくは50〜100nm周期の超微細凹凸面とすること、
(3)表面はセラミック質の硬質相の薄層で覆われたものにすること、具体的には環境的に安定な金属酸化物や金属リン酸化物の薄層で覆われたものにすること、である。
一方、接着剤側の条件は、
(4)1液性の熱硬化型接着剤であればよい。実際には、2液性接着剤であっても従来の接着システムよりは接合力が高くなり使用可能だが、NATの最大の特徴を出し得るのは1液性熱硬化型接着剤であり、特に1液性エポキシ接着剤である。
NATの本質は、被着材である金属合金側が接着剤硬化物に対して物理的接合をする上で理想的な表面形状、表面物性を有していることである。そして1液性エポキシ接着剤の使用によって最大限の特徴、即ち、最高の接着力を安定的に得ることが出来る。強い接合を生じる為の被着材として二重凹凸構造を取るべきであることは思考すれば思いつくが、現実にどの程度の寸法レベルであると普遍的な効果を生むかは実験数を重ねる以外分からない。NAT理論は本発明者の安藤が提唱したもので、安藤は上記(1)及び(2)が最も好ましい寸法レベルだとした。
更には、金属合金もその表面が硬質でなければ(2)が役立たないと考え、(3)の条件を加えた。(3)で言う金属酸化物や金属リン酸化物はセラミック質であり、これらは金属より遥かに硬質である。ただその層厚さについてNAT理論として言及していない。それは接着剤硬化物の硬度によって最低限必要な層の厚さも変わるし、どの様な金属酸化物や金属リン酸化物にするかで必要な層の厚さも変化するからである。しかしながら、各種の金属合金を化学処理し、各種の1液性接着剤を使用して最も強力とみられる接着接合物を得るために行った化学処理法の試行錯誤の過程にて少なくとも以下が分かった。即ち、良い化学処理(NAT処理)が出来たと判断した金属合金片をXPS分析にかけた場合、原子価ゼロの金属元素ピークはないかもしくはごく小さいことだった。
XPSは表面から数nmまでの原子とその原子価を明らかにする。即ち、金属酸化物層や金属リン酸化物層の厚さが5nm以上あればゼロ価の金属原子(下地の金属相)の信号はXPSで殆ど検知できず、厚さが10nmもあれば検知されない。それ故に条件(3)で言う層の厚さは5nm以上としてよいと思っている。要するにこの条件を入れればしっかりした硬質層があるか否かを分析できる。又、エポキシ接着剤を使用した場合、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチック(以下「FRP」という。)とNAT処理した金属合金材を強力に接着剤接合することが出来る。エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として使用することが最も多いFRPはCFROP、アラミド繊維強化プラスチック(以下「AFRP」)であり、GFRPも使用することがある。
WO2008/114669号 WO2008/133096号 WO2008/126812号 WO2008/133296号 WO2008/133030号 WO2008/146833号 WO2009/084648号 WO2009/116484号 特開2011−006544号 特開2011−26457号 特開2011−148937号 特開2009−255429号 特開2009−101563号
NATは金属合金片同士の接着で驚異的な接着力を示す上、CFRPとアルミ合金やCFRPとチタン合金を強く接着できる。それ故、自動車や航空機用部材の将来の構造材料作成法として期待され、現在、試作実験や設計法の開発が始まっている。一方、移動機械用の実用化研究が始まるとその接着性能に耐候的、永続的なものを更に加えなければならぬと考え、本発明者等は耐候性確保の為の研究を開始した。特にアルミ合金にNAT処理を為してCFRP製部材と接着した物を耐候性ある物にすることが出来れば、超軽量な移動機械用部材として安心して使用され得る。
耐候性があると言うことは、文字通り、陽光、雨、潮風、埃、その他の多種多様な屋外環境に耐えてその基本性能をなくさぬことである。前記の様にアルミ合金とCFRP材を接着一体化した部材はまだ多く実用化されていないが、ボルト/ナットやリベットにて両部材を一体化した物は、ヘリコプターや航空機で既に使用されている。この様な部材、例えばアルミ合金とCFRP製回転翼から作成したヘリコプターのローター、で生じる問題は電池反応によるアルミ合金部の腐食である。ローターが雨でしっかり濡れた場合、CFRPの炭素繊維の端部一部がマトリックス樹脂から外に露出しているとし、且つ、CFRPの炭素繊維の端部一部がアルミ合金に接触しているとすれば、水中に投入された炭素電極とアルミ合金電極が水面上で短絡されたのと同じ電気回路となる。電子は水に接しているアルミ合金部から奪われ、短絡経路を通って炭素に移動する。
その結果、前記のアルミニウムは酸化され水から酸素を奪って水酸化アルミニウムや酸化アルミニウムに変化する。要するにアルミ合金とCFRPの両者が同時に濡れてしかも濡らした水同士が繋がっておれば、電池反応に因りアルミ合金側で腐食が進む。濡れなければ電池反応は進まぬが屋外使用している限り雨に曝されることは避けられない。よって上記構造のローターを使用しているヘリコプターでは定期点検が欠かせず、腐食具合によってアルミ合金部を取り替える。もしアルミ合金とCFRP材の接合がボルト/ナットやリベットでなく接着剤接合であればアルミ合金部の取替えが出来ないなど反って厄介な修理になり、電池反応によるアルミ合金の腐食問題はよりいっそう深刻化する。
本発明者等は既にこの対策の一つを示している(特許文献12)。これはCFRP内に銅片を挿入する方法であり、数ボルトの逆電圧をかける電気防食法である。勿論、CFRP業界や航空機製造業界では種々の対策が取られており、主なものでは、一つはアルミ合金と接触するFRP部だけをCFRPプリプレグではなくGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やAFRP(アラミド繊維強化プラスチック)のプリプレグを数枚重ねにして硬化したものとし、CFRP部とアルミ合金間の電気絶縁を確保する方法である。
もう一つは、本発明から外れるが、アルミ合金でなくチタン合金を使用する方法である。但し、前者の絶縁用プリプレグを使用する方法は広い面積でCFRP製部材とアルミ合金部材を一体化して間違いなく完全な電気絶縁性が確保できるか、という製造作業の技術や管理技術が試される。一方、後者のアルミ合金に代えてチタンを使用する方法で電池反応は生じぬものの重量は増加する。
本発明者等はエポキシ系接着剤を使用してNAT処理をしたアルミ合金とCFRP材を接着剤接合した場合には軽量化効果が大きく且つ接合力もほぼ極限まで達しているので、電気防食法以外にも良い耐候性確保の方法がないか更に研究開発を進めた。その結果、意外と簡単な方法でほぼ完全に防食できると分かり本発明に到達した。
(アルミニウムで包んで電池反応を生じ難くする)
アルミ粉体は粉末冶金、耐火レンガ、触媒、塗料などに使われ、国内でも数社で量産されている。市販の粉体アルミを含む塗料は塗膜がメタリックになる外観意匠性を追求したものであり本発明での目的と異なるが使用できないわけではない。本発明では被塗装材をアルミニウム材で全体的にカバーし、特にCFRP部材部を電気化学的にアルミ化することが目的である。全体を同一金属化すると水で包まれても電気化学的な反応は生じない。
現行の粉体アルミ型メタリック塗料では樹脂分として耐陽光性が必要でありポリエステル系やウレタン系の樹脂が多用される。本発明でもこれらが使用できないわけではないが、エポキシ系樹脂を樹脂分とする塗料を使用するのが好ましい。理由は簡単で、CFRPのマトリックス樹脂に使用されているのがエポキシ樹脂であること、及び、エポキシ系樹脂はNAT処理済みのアルミ合金との親和性に優れており塗装後のアルミ合金部との接着耐久性に優れていることによる。但し、エポキシ樹脂は陽光に対する耐久性がポリエステル系、ウレタン系や弗素樹脂系に劣るから、ポリエステル系やウレタン系や弗素樹脂系塗料をトップコートにした2層塗装以上の複層塗装が好ましい。
上記の粉体アルミを十分含んだ塗膜層がCFRP部材をカバーした場合、アルミ合金/CFRP一体化物は全体がアルミニウム相で覆われた形となり、水没時でも電池反応が生じない。もし長期的な屋外保管にて支障が生じるとすれば、塗膜層を通過する水分子によって塗膜中の粉体アルミがどんどん水酸化し、その結果、粉体アルミが占めていた部分の容積を増やして塗膜層の局部を自己破壊することである。
このようなことを防ぐために粉体アルミを塗料化する前に予め蒸気にあてて意図的に水酸化処理(ベーマイト化処理)する方法もあるが、少なくともエポキシ樹脂を樹脂分とした場合には樹脂分とアルミ合金との親和性が高いのかその硬化塗膜相が長期の湿熱試験で自己破壊(ヒビ割れ、剥がれの発生)することはなかった。それ故に、最も好ましい塗装法は、下地塗装を粉体アルミ含有のエポキシ系塗料で行い、上地塗装を撥水性があり且つ耐陽光性に優れる弗素樹脂系塗料で行なう方法とみている。弗素樹脂系塗料による塗膜は多種よりも撥水性があり、これも耐候性確保に効くのではないかという思いもある。
(傷が生じた場合)
アルミ合金とCFRPの接着複合体を移動機械に使用した場合、何かに接触して塗膜に傷がつくことがあり得る。そこで塗膜が削れCFRP部が部分露出した場合を考える。電池反応が生じない為には、CFRPの露出部とアルミ合金の露出部に付着した水同士が繋がっておらず通電しないことである。それ故に一体化部材の形状設計が大事だと思われた。傷となったCFRP露出部が被水しても、同時にアルミ合金露出部が被水してその被水部同士が繋がっていなければ良いわけだし、どちらかが外部から傷を受け難い箇所にあれば電池反応が生じない。
又、より現実的に言えば、現在使用されているCFRPとアルミ合金のボルト/ナットやリベットによる一体化物、例えばヘリコプターのローターや戦闘機の方向舵や昇降舵でアルミ合金部の腐食が進むのは稼動時(飛行時)ではなく屋外保管時である。航空機であれば、雨でなくとも低温の高空から着陸した場合、翼や機体の外装部は結露し、生じた水が構造の繋ぎ目など複雑形状箇所に溜って残る。飛行時は風に飛ばされ水のつながりが出来ないので電池回路を作ることはない。それ故、着陸後に露の溜る箇所、雨中保管時に雨水が流れを作る箇所や溜る箇所、そしてその付近でCFRP部にて傷の付き易い箇所、等を想定し、そことアルミ合金部とが電池回路を作り難い様に一体化物の設計をすることが有効である。更に言えばその上で、アルミ合金部も含めて全面塗装すれば電池回路を作る確率が大きく減る。
以上の課題を解決するめに本発明は、以下の手段を採る。
本発明1の耐候性に優れたアルミ合金とCFRPの接着一体化物は、
輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度があり、且つ、その粗度を有する面自体が10〜200nm周期の超微細凹凸を為しており、且つ、その表面が5nm以上の厚さの金属酸化物薄層で覆われているアルミ合金部材と、
炭素繊維強化プラスチック製の部材とが、
互いにエポキシ接着剤の硬化物を挟んだ形で一体化しており、且つ、前記一体化物の少なくとも前記炭素繊維強化プラスチック製の部材の全表面が、固形物量全体に対して5〜50質量%のアルミニウム粉体を含む塗料で塗装されていることを特徴とする。
本発明2の耐候性に優れたアルミ合金とCFRPの接着一体化物は、
輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度があり、且つ、その粗度を有する面自体が10〜200nm周期の超微細凹凸を為しており、且つ、その表面が5nm以上の厚さの金属酸化物薄層で覆われているアルミ合金部材と、
炭素繊維強化プラスチック製の部材とが、互いにエポキシ接着剤の硬化物を挟んだ形で一体化しており、且つ、
前記一体化物の少なくとも前記炭素繊維強化プラスチック製の部材の全表面が、固形物量全体に対して5〜50質量%のアルミニウム粉体を含む塗料で下地塗装され、弗素樹脂を成分とする塗料で上面塗装されていることを特徴とする。
本発明による塗装したCFRPとアルミ合金からなる接着一体化物は、両者がエポキシ接着剤の使用によって強く接着されたものであり、同時にこの接着一体化物は粉体アルミを含む塗料の塗装効果により、通常この接着一体化物が浸水した場合に起こり易い電池反応によるアルミ合金部の腐食を生じない。元々、CFRP材とNAT処理したアルミ合金材のエポキシ接着剤による接着物はその接着力に耐湿熱性があり、ここへ塗装による前記の耐電池反応性も加わり、結果として本発明品は耐候性あるものになる。それ故、本発明による接着一体化物は、屋外使用機械や移動機械の部材部品として使用できる。
図1は、NATによる接着物の断面の模式図である。 図2は、NAT処理したA7075アルミ合金の電顕写真である。 図3は、CFRP作製治具の構造図である。 図4は、接着力測定用試料の外観図である。 図5は、腐食試験用のCFRPとアルミ合金の接着物の外観図である。 図6−1は、腐食試験用接着物(1番)である。 図6−1は、腐食試験用接着物(2番)である。 図6−3は、腐食試験用接着物(3番)である。 図7は、試料1番の腐食の状況である。
以下、本発明で用いる手段をさらに詳細に説明する。
〔アルミ合金材のNAT処理〕
本発明で使用するアルミ合金の表面処理法は、本発明者らが開示したNAT処理法(特許文献1)による。即ち、アルミ合金の表面形状表面構造を図1に示したものにすることであり、その説明としては前記した(1)(2)(3)を併せ持つ物にすることである。以下、NAT処理をアルミ合金材に行うときの手順を具体的に述べる。
研究室的な方法でなくアルミ合金材メーカーが供給する素材、又は、アルミ合金材加工メーカーから供給される機械加工された形状化素材を材料とした場合の手順だが、構成は基本的に(i)脱脂工程、(ii)化学エッチング工程、(iii)微細エッチング工程、(iv)表面硬化工程からなる。
(i)の脱脂工程は界面活性剤入りの水槽に浸漬し水洗する工程で、機械加工等で付着した機械油や指脂、埃等を落とすのが目的である。
(ii)の化学エッチング工程は1%〜数%濃度の苛性ソーダ水溶液に浸漬し、水洗し、数%濃度の硝酸水溶液に浸漬の上で水洗する工程を取るのが普通であり、強塩基によってアルミ合金表面をエッチングしてミクロンオーダーの凹凸面を作り、且つ、ナトリウムイオンを落として綺麗な粗面にするのが目的である。
(iii)の微細エッチング工程は、数%濃度の水和ヒドラジン水溶液等の弱塩基性水溶液に浸漬することで、前記アルミ合金材を更に微細エッチングし、粗面上に50〜100nm周期の微細凹凸面を更に付け加える処置を行なう。
(iv)の表面硬化工程としては、過酸化水素水に浸漬して表面の酸化アルミニウム薄層をより厚くする手段や、過マンガン酸カリの水溶液に浸漬して表層にマンガンイオンを沈着させ結果的にアルミニウムとマンガンの複合酸化物とみられる薄層を得る方法、等がある。
〔NATで使用するエポキシ接着剤〕
NATでは市販の1液性エポキシ接着剤が使用できる。更に、耐熱性を有するNAT用1液性エポキシ接着剤として本発明者らが開発した物が多数ある(特許文献9〜11)。何れの接着剤もその硬化物に加水分解性はなく十分使用できる。1液性エポキシ接着剤の基本構造やその物性に関する詳論は市販の成書や単行本が多数あり省略する。
〔NATでの接着操作〕
NAT接着での基本操作は、(i)接着剤塗布、(ii)染み込まし処理、(iii)組み付け固定と接着剤硬化、による。被着材がNAT処理したアルミ合金材と硬化したCFRP材の場合、金属合金材に1液性エポキシ接着剤を塗る操作、及び、CFRP材をサンドペーパーで粗面化してから界面活性剤水溶液を入れた脱脂槽に浸漬し水洗して乾燥した物に1液性エポキシ接着剤を塗る操作が(i)に当たる。もし被着材がNAT処理したアルミ合金材とCFRPプリプレグである場合、プリプレグの表面は実質1液性エポキシ接着剤の様なものであるから工程(i)はプリプレグに対し不要である。
(ii)の染み込まし工程のあることがNATの特徴でもあり、これにつき具体的に述べる。先ず、前記の接着剤塗布済みアルミ合金片や接着剤塗布済みのCFRP材を予め60〜70℃に温めておいた密閉可能容器、例えばデシケータ、に入れて真空ポンプで減圧する。その後に数分置いて空気を入れて常圧に戻すと、アルミ合金やCFRP材上の微細凹部に低粘度化した接着剤が侵入し易い。この減圧/常圧戻し操作を数回行って接着剤を前記材表面に染み込ます操作が染み込まし工程である。この工程は、接着力を高く、且つ、再現性あるものにさせる意味で重要である。次の(iii)操作は特に説明の必要がないと思われる。密閉容器から取り出し、接着剤塗布面同士をつき合わした形にし、何らかの治具を使って固定し、そのまま熱風乾燥機に入れて150〜200℃まで昇温して接着剤を硬化させる操作である。放冷してから接着治具類を外して接着一体化物を得る。
(含溶剤型のエポキシ接着剤)
前記(i)〜(iii)が基本のNAT接着作業工程だが、(ii)の染み込まし工程の実施が大物接着物に対しては困難と見て本発明者らが改善した作業方法がある。これは接着剤に含溶剤型1液性エポキシ接着剤(特許文献10、11)を使用する方法であり、ごく低粘度にした接着剤をアルミ合金材や粗面化し綺麗にしたCFRPに塗布し、低温乾燥して溶剤だけを揮発させて接着剤塗布済みの金属合金材やCFRP材とする方法である。この方法を使用すれば接着力を下げることなく、(ii)の染み込まし処理工程を省略できる。
〔NAT接着操作後に行う化成処理工程〕
後述の実施例にあるがアルミ合金とCFRP材の1液性エポキシ接着剤によるNAT接着物は、その接着力が耐湿熱性に優れる。しかしながらこの一体化物自体の耐食性は接合力だけが問題になるわけではないから接合面以外のアルミ合金部分について言えば、塗装だけで完全な耐候性を得るのは以下に述べるやや好都合な場合だけである。
即ち、アルミ合金材は元々無垢な状態で屋外使用しない。クロメート処理、ノンクロメート処理、ベーマイト処理等の化成処理を行う。これら化成処理で一応の耐候性部材が出来ることにはなるが、しっかりした耐候性を得るためには化成処理した上に耐候性塗料で塗装するのが本来の姿である。要するに、前項まででアルミ合金とCFRPの接着一体化物が出来たとしたら、得た一体化物を化成処理するのが好ましい。化成処理法には噴霧塗装型や筆塗り型の化成処理法もあり特に厄介ではない。
一方、前記した様な化成処理を行わず、そのまま塗装工程に進めることも可能である。これはアルミ合金部が既にNAT処理によって表面がミクロンオーダーと数十ナノオーダーが混ざった二重凹凸構造になっており塗装した場合に塗膜の接着性が優れている(特許文献13)。従って、NAT処理後から塗装に至るまでの工程でこの表面微細構造を壊す様な操作、例えば油剤を塗る、指脂を付ける、塵埃が付く、布で拭く、等々のことをせずにカバーフィルム等で保護しておけば下地用塗料の塗装法が適切であれば化成処理不要となる。
〔NAT接着操作後に行う塗装工程〕
(使用する粉体アルミ含有塗料)
粉体アルミはその製造方法により得られる粒子形状が異なる。アルミニウムやアルミ合金を溶融してそれを高圧ガスにて噴霧し、噴霧物を空冷して球状や涙型形状の粉体アルミを作る方法、及び、アルミ箔を原料に粉砕機を使用して燐片状の粉体アルミとする方法がある。何れの粉体アルミも使用できるが、本発明では分級範囲として10〜20μm径の物が好ましく使用できる。
塗料としては粉体アルミが塗料中に含まれる固形物量全体に対し5〜50質量%の物が好ましく使用できる。粉体アルミ含量が高いほど隠蔽性高く電池反応の防御性が優れているとみられるが多すぎて塗膜強度が低下しては良くない。また、塗料の樹脂成分(熱硬化型樹脂)としては前記したようにエポキシ樹脂系の物が好ましいがその他の樹脂系が使用できないわけではない。
エポキシ系塗料が好ましいと見ている理由は、エポキシ樹脂がマトリックス樹脂となっているCFRP材に塗装すること、そして金属材の塗装にエポキシ系塗料がその密着性や塗膜性能で優れているからである。エポキシ系塗料は金属塗装用の焼付け塗料として大量生産されているし、それらには顔料やフィラーを含めていない物(通常は「クリア」又は「クリア塗料」という)があり、これらもベース塗料として使用できる。
(塗装作業)
前工程で得たアルミ合金とCFRP材の接着一体化物を前記塗料で塗装する。重要なことはCFRP部だけでなくアルミ合金とCFRP部が作る境界線部分をしっかり塗装することである。塗装方法は噴霧塗装でも筆塗り塗装でも良く、ピンホールや液溜りの出来ないようにすることが大事である。更に言えば、アルミ合金部も含めて全面塗装するのが間違いなく好ましい。
塗装後は40〜60℃にて10分以上加熱し、塗料の粘度を下げつつ溶剤分を十分揮発させてピンホールや気泡を潰すのが好ましい。又、前項に記載したが、下地のアルミ合金に化成処理をせず保護フィルム等を使用してNAT処理表面を残した場合にはこの下地塗装自体が化成処理の代わりにもなるので、溶剤含有量をやや増やして低粘度の塗料とし、塗装後はゆっくり乾燥して溶剤揮発を十分に進めてから半硬化状態までする昇温工程に入るべきである。その後はメーカー指示ある硬化条件に従って昇温し硬化させても良いし、硬化条件より50℃ほど低い温度にして数分〜10分置いて半硬化させた後にトップコート塗装をしてもよい。
(トップコート)
耐候性のある塗料が塗料メーカーから多数市販されておりこれらが使用できる。耐候性ある物としてポリエステル系、ウレタン系、弗素樹脂系の塗料が市販されているが、特に撥水性に優れている点で弗素樹脂系塗料が好ましい。トップコートの塗膜と前記した下地塗料の塗膜との接着性を高める意味で、トップコート塗装は下地塗料が完全硬化した後よりも半硬化後に行うのが好ましい。この場合、トップコート塗装をした後で、やはり50〜60℃にて数分温風加熱してトップコート塗膜のピンホールや気泡を潰すのが好ましく、その後に塗料種によって決められた硬化条件まで昇温して硬化させるのが好ましい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について詳記する。得られたアルミ合金片同士、及び、アルミ合金片とPPS使用のFRTPの接合複合体を得る為の観察・測定、及び、それに使用した装置は次のようである。
(1)電子顕微鏡観察
主に基材表面の観察のために電子顕微鏡を用いた。この電子顕微鏡は、高分解能走査型(FE−SEM)の電子顕微鏡「SU−70(製品名)」(日立ハイテクノロジーズ社製)を使用し、15kVにて観察した。
(2)粗度観察
合金表面の粗度観察のために走査型プローブ顕微鏡を用いた。使用したのは、ダイナミックフォース型の走査型プローブ顕微鏡「SPM−9600(株式会社 島津製作所製)」である。
(3)表面元素分析
合金表面を成す各種元素とその原子価を分析することで金属合金表面が金属酸化物や金属リン酸化物層で覆われていることを確認するのが目的であり、XPS分析機「AXIS-Nova(クレイトスアナリティカル社/島津製作所社製)」を用いた。
(4)複合体の接合強度の測定
複合体の接合強度の測定として、引張り応力を測定する。具体的には、引張り試験機で複合体7を引っ張ってせん断力を負荷し、複合体7が破断するときの破断力をせん断応力として測定した。引張り試験機は「AG−10kNX(株式会社 島津製作所製)」を使用し、引っ張り速度10mm/分でせん断破断した。
(5)湿熱試験
槽内を高温高湿度にし、その中に接合物を数百数千時間置く試験、湿熱試験、には高温高湿試験機「60リットル小型環境試験機(エスペック社製)」を使用した。
(6)塩水噴霧試験
5%濃度の中性食塩水を使用し35℃下で塩水噴霧を8時間、待機を16時間の24時間1サイクルを数回繰り返す試験である。塩水噴霧試験機「S-800(東洋精機製作所社製)」を使用した。
〔実験例1〕A7075アルミ合金片の処理 :NAT処理
厚さ3mmのA7075アルミ合金板材を入手し、45mm×15mmの多数の小片に切断した。そしてアルミ合金小片の端部に穴を開け、塩ビコートの銅線を通してぶら下げることで後記の槽群に浸漬できるようにした。先ず槽にアルミ用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」7.5%を含む水溶液を用意して液温60℃とし、この水溶液を脱脂液とした。前記の合金片をこの脱脂槽に5分浸漬し水道水(群馬県太田市)水洗した。次いで別の槽に塩酸1%を含む水溶液を取り40℃として予備酸洗槽とした。この予備酸洗槽に前記の合金片を1分浸漬しイオン交換水で水洗した。次いで別の槽に苛性ソーダを1.5%含む水溶液を用意し、液温を40℃としてこれをエッチング槽とした。
このエッチング槽に前記の合金片を4分浸漬しイオン交換水で水洗した。次いで別の槽に3%濃度の硝酸水溶液を40℃として取りこれを中和槽とした。この中和槽に前記の合金片を3分浸漬し、イオン交換水で水洗した。次いで水和ヒドラジン3.5%を含む水溶液を60℃として用意し、これを微細エッチング槽とした。そしてこの槽に前記の合金片を2分浸漬した。次いで過酸化水素5%を含む水溶液を常温で用意してこれを最終処理槽とした。前記合金片をこの槽に5分浸漬し、イオン交換水で水洗した。次いで80℃とした温風乾燥機内に15分置いて乾燥した。これらを重ねてアルミ箔で包み、更にポリ袋に入れて封じて保管した。
同じ処理をして得たA7075合金片の電顕観察したところ、合金片表面は無数の約100nm径の凸部で覆われた形の超微細凹凸があることが分かった(図2)。又、走査型プローブ顕微鏡で10回走査して測った粗面度は平均粗面周期(Rsm)が2.5〜3.8μmであり、最大山高さ(Rz)が0.5〜1.5μmであった。
〔実験例2〕NAT接着実験
実験例1で得たA7075アルミ合金片を多数用意し、市販の1液性エポキシ接着剤「スコッチウェルドEW2040(3M社製)」をその端部に塗った。一方、大型のデシケータを67℃にした温風乾燥機に15分以上入れて温めておいた。このデシケータに前記のアルミ合金片を入れて蓋をし、真空ポンプで10mmHg程度まで減圧にした。減圧状態で3分ほど置き、空気を入れて常圧に戻し、再び真空ポンプで減圧した。この減圧/常圧戻し操作を3回繰り返した後で、蓋を開き、アルミ合金片を取り出した。
接着剤塗布した端部3.5mmほどが重なるような接着形状にし、クリップ2個づつで前記アルミ合金片対を固定し対多数を作った。この場合、接着面積は0.6cm2前後になる。この様にして13対作り、これらを135℃にセットした熱風乾燥機に入れ、この温度に40分置いてから165℃に昇温し、この温度に20分置いてから熱風乾燥機の扉を開いて放冷した。翌日、これらの内の3対を引っ張り破断してそれらのせん断破断力を測定したところ平均で74.0MPaであった。
〔実験例3〕湿熱試験
85℃85%湿度に設定した高温高湿試験機に実験例2で得たA7075アルミ合金対各10対を入れた。投入後、200時間、400時間、700時間、1000時間、1500時間後に各2対づつ取り出した。各時間経過後に取り出した2対は70℃×10時間の乾燥をした後、常温送風下に10時間以上置き、引張り破断した。この平均値を表1に示したが、この接着は湿熱試験に強いことが分かった。このことからアルミ合金とエポキシ接着剤硬化物の間に十分な耐水性のあることが分かった。
〔実験例4〕CFRP片の作成
CFRPプリプレグを多数積層して硬化しCFRP板状物を作成した。即ち、繊維が平織型で厚さ0.2mmのCFRPプリプレグ「パイロフィルTR3110(三菱レイヨン株式会社製)」を入手し、220mm×220mmの正方形片を鋏で多数切り出した。図3は、CFRP板作成用の焼成治具1の断面図である。焼成治具1の台座8上の金型本体2は、上部が開放され凹部である金型凹部3が形成されている。金型凹部3の底には、金型貫通孔4が形成されている。この金型貫通孔4には、金型(底板)5の金型(底板)突起部6が挿入されて配置されている。
金型(底板)5の上にはポリテトラフルオロエチレンのフィルム9かれている。このポリテトラフルオロエチレンのフィルム9が敷かれている上の位置に高強度型の前記CFRPプリプレグ片を25枚重ねて積層し、CFRPプリプレグ(CFRP板)10とした。この上の位置に、ポリテトラフルオロエチレンのフィルム11を敷いて上治具である金型(上板)12を乗せ、更に鉄製の13を乗せて、そのままオートクレーブ(図はせず)の中に置いた。13の重さは4gであった。そして錘13の上部に開けた小穴に熱伝対を差し込んだ。
オートクレーブの蓋を閉めて内部を90℃にした後で真空にして30分起き、135℃に上げてから常圧に戻してそのまま40分置き、次いで170℃に昇温してこの温度に30分置き通電を止め、扉を開いて放冷した。焼成治具1を分解して平板状のCFRP板10を取り出した。この作業を数回繰り返して同じCFRP板10を作成した後、これを水冷式糸鋸で切断し、45mm×15mm×約5mm厚のCFRP片22(図4参照)の複数を得た。図4は、接着力測定用試料の形状図であり、アルミ合金片21と、NAT処理した試験片であるCFRP片22とを接合した接着物20の外観図である。
〔実験例5〕接着用CFRP片
実験例4で得たCFRP片22の端部を、JISR6252に規定される120番の研磨紙で強く十回程度往復研磨して繊維部分がむき出しになる程度まで粗面化した。超音波振動端付きの水槽に水道水250リットルを入れ、これにアルミ合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス株式会社製)」を20kg投入したものを脱脂液とした。この脱脂液を60℃に加熱して超音波をかけた状態とし、これに粗面化したCFRP片22を5分間浸漬した。その後、このCFRP片22を水道水で水洗した。次いでCFRP片22を90℃にセットした熱風乾燥機に15分入れて乾燥し、アルミ箔で包んで保管した。
〔実験例6〕A7075(JIS)のアルミ合金21とCFRP片22の接着
実験例1で得たA7075アルミ合金片21と実験例5で得た粗面化済みのCFRP片22を用意した。市販の1液性エポキシ接着剤「スコッチウェルドEW2040(スリーエムジャパン株式会社製)」をアルミ合金片21ではその端部から4mm中までの部分、CFRP片22にはその端部から4mmまでの粗面化部分に塗った。予め67℃にした温風乾燥機に30分入れて温めておいたデシケータに、前記の合金片20個とCFRP片22の20個を入れて蓋をし、真空ポンプで10mmHg以下の減圧とし約3分置き、空気を入れて常圧に戻した。そして再度減圧し、結局、この減圧/常圧戻し操作を3回行った。
デシケータから全てを取り出し、A7075アルミ合金片21とCFRP片22が約3.5mmの重なりで接着するように組み合わせ、各対は各2個のクリップで固定した。これらを90℃にした熱風乾燥機に入れ、この温度に15分置き、次いで135℃まで昇温して同温度で40分、次いで165℃まで昇温して同温度で20分加熱した後、放冷した。翌日、乾燥機から取り出し、クリップを除いてアルミ合金片21とCFRP片22のコボンド接着品20対を得た。このアルミ合金片21とCFRP片22が接着した対形状を図4に示す。この内の4対を引っ張り試験機でせん断破断してその平均破断力を測定したところ43.9MPaであった。アルミ合金片21側の破断面を見ると炭素繊維の一部が付着していた。CFRP片22側で破断が起ったことがわかった。
〔実験例7〕湿熱試験
85℃85%湿度に設定した高温高湿試験機に実験例6で得たA7075アルミ合金片21/CFRP片22の15対を入れた。投入後、200時間、400時間、700時間、1000時間、1500時間後に各3対づつ取り出した。各時間経過後に取り出した3対は70℃×20時間の乾燥をした翌日に破壊した。この平均値を表2に示したが、表2から接着力は実質変化していないことが分かる。又、引っ張り破断試験で得た破断片の観察結果も、破断は全てCFRP片22の内表層で起っており、当初と同様であった。
表2の結果から、この一体化物の接着に耐湿熱性のあることが分かった。耐湿熱性があれば耐水性があると通常言えるが、浸水時には電池反応が生じてアルミ合金側の何処かが腐食することが予想できる。よって、「電池反応が生じなければ耐水性があるとみられる」と言う言い方になる。
〔実験例8〕CFRP/アルミ合金接着物の作成(浸水試験用)
図5は、腐食試験用のCFRP板材31とアルミ合金板片32を接着した接着物30の外観図である。厚さ3mmのA7075アルミ合金板材から100mm×70mmの長方形のアルミ合金板32を3片切り出した(図5参照)。これらに対し実験例1と全く同じNAT処理をした。そして、この3片のアルミ合金板片32の片面で、かつ中心部の50mm×50mm形状全面にエポキシ接着剤「スコッチウェルドEW2040(スリーエムジャパン株式会社製)」を塗った。
一方、CFRP板片31は、実験例4と同じ方法で得た約220mm四方の約3mm厚の正方形平板から50mm×50mm×約3mm厚の正方形板3枚を切り出した。そしてこの2枚のCFRP板片31の両面を実験例5と同様にJISR6252に規定される120番の研磨紙で強く多数往復研磨して粗面化し、次いで超音波振動端付きの60℃にした脱脂槽に超音波をかけた状態で5分間浸漬した後、水洗し90℃にセットした熱風乾燥機に15分入れて乾燥した。そして各々の片面全面にエポキシ接着剤「スコッチウェルドEW2040(スリーエムジャパン株式会社製)」を塗った。
接着剤を塗ったA7075アルミ合金32を3枚、及びCFRP板片31を3枚を予め67℃にし加熱しておいたデシケータに入れて蓋をし、真空ポンプで5mmHg以下の減圧として3分置き、空気を入れて常圧に戻した。そして再度減圧し、結局、この減圧/常圧戻し操作を3回行い、デシケータから出した。この扱いで手での扱いにはテトロン製の手袋を使い、置くときはアルミ箔を敷いた上とするなどアルミ合金のNAT処理面が汚れない様に気を使った。
次いで、厚さ5mmで約20cm四方の鉄板上にアルミ箔を敷き、前記で得たA7075アルミ合金板片32を1枚を接着剤塗布面が上になるようにして置き、その上にCFRP板片31の1枚を接着剤塗布面が下になるようにして中央に重ねた。この上にアルミ箔を敷き、更にその上に厚さ5mmで約20cm四方の鉄板を乗せた。この形のまま熱風乾燥機に入れ、鉄板の上に更に15kgの鉄錘を乗せ、扉を閉めて加熱を開始した。即ち、常温から135℃まで昇温して同温度で40分、次いで170℃まで昇温して同温度で20分加熱した。電源を切って翌日まで放冷し、乾燥機から取り出した。錘や鉄板を除き、更に染み出した接着剤で一体化物に接着したアルミ箔を回転砥石で取り除いた。結局、この方法で3枚の図5の様なアルミ合金板片32とCFRP板片31が面接着した一体化物であり、腐食試験用のCFRP/アルミ合金の接着物30を得た。
〔実験例9〕粉体アルミを含む塗料の作成
粒径分布中心が10〜12μmの球形に近い粉体アルミ「アルミパウダー(東洋アルミニウム株式会社製)」を入手した。一方、1液性の熱硬化型エポキシ系のクリア塗料「ネオチャクロンBC74クリア(武蔵塗料ホールディングス株式会社製)」を入手し、乳鉢にこの塗料10gと前記の粉体アルミ1gを取った。「ネオチャクロンBC74クリア」の固形物比率は約50%とされたのでこの場合での粉体アルミの含量は15%程度とみられた。更に「ネオチャクロン用溶剤(武蔵塗料ホールディングス株式会社製)」1gを加えて乳鉢でよく混ぜた。
〔実験例10〕CFRP/アルミ合金接着物の塗装(浸水試験実験用)
実験例8で得たCFRP/アルミ合金の接着物30の3個につき異なった形で2層塗装した。即ち3個に番号を付けた。1番は電池反応を意図的に生じさせる物であり、2番3番は、電池反応は生じさせず薄い塩水に投入した時にアルミ合金に通常生じる錆だけを発生させようとする物である。但し、2番はCFRP側をアルミ粉体入り塗料で塗装したものであり、3番はアルミ粉体入り塗料でなく通常の耐候性塗料を塗装しただけの物とした。
前記の様にすべく、1番は、先ず実験例9で得たアルミ粉体入り塗料でCFRP板片31側の表面側面の全面とCFRP板片31部周辺のA7075アルミ合金板片32部を筆塗り法で塗装した。塗布面を上にして50℃にセットした温風乾燥機に30分入れて取り出し、接着境界線部に泡状物や膨らみがないかを確認した。綺麗に塗れていたので80℃まで昇温して10分置き乾燥機から出した。次いで片面全面を弗素樹脂系塗料「ニューガーメット#3000黒(株式会社トウペ製)」を噴霧塗装しこれを80℃にした熱風乾燥機に入れ、この温度で10分置いた後に135℃まで昇温し、この温度に30分置いた後に熱風乾燥機から取り出し、今度は先ほど塗装したのと反対面(裏面)を全面塗装した。
そして80℃にした熱風乾燥機に入れ、この温度で10分置いた後に135℃まで昇温し、この温度に30分置いた後に180℃まで昇温して15分置き、熱風乾燥機から取り出して放冷した。これで全体が真っ黒になったが、次は図6−1に示した様に、アルミ合金板片32部の短の1側面を回転砥石でアルミ合金相諸共に塗料を削り取って、アルミ合金板片32側の通電開放部41(図6−1の41)とし、更にCFRP部分の中心部をやはり回転砥石でCFRP板片31相諸共に塗料を削り取った部分であるCFRP板片32側を作って通電開放部42(図6−1)とした。
2番は、実験例9のアルミ粉体入料でCFRP側の表面側面の全面とCFRP板片32部周辺のA7075アルミ合金板片32部を筆塗り法で塗装し前記と同様に50℃×30分、80℃×10分で乾燥した。次いでCFRP板片32が接着していない方の片面は「ニューガーメット#3000黒(株式会社トウペ製)」で全面噴霧塗装し、反対面は筆塗りしてCFRP部の中央部20mm径の部分(図6−2の52)がアルミ粉入り塗料の塗装面52が残るようにして塗装、乾燥、焼付けをした。その後、図6−2に示した様にアルミ合金板片32部の短い方の1側面を回転砥石でアルミ合金板片32相諸共に塗料を削り取って通電開放部51(図6−2)とした。
次いで3番は、アルミ粉体入り塗料での塗装はせず、最初から「ニューガーメット#3000黒(株式会社トウペ製)」で表裏と2段の全面噴霧塗装する方法で全体を塗装仕上げ焼き付けた。その後、図6−3に示した様にアルミ合金板片32部の短い方の1側面を回転砥石でアルミ合金相諸共に塗料を削り取って通電開放部61(図6−3)とした。
〔実験例11〕塗装物の浸水試験
2リットルビーカーにイオン交換水に1000PPM濃度の食塩を溶かした薄い塩水1900ccを入れた。一方、実験例10で得た試験材3種をこのビーカー内に沈めて立て掛けた。全ては、アルミ合金板片32部の端部面が削られ剥きだしになっている部分(図6−1〜3の41、51、61)が上方を向くようにして立てかけた。そしてこのまま陽光の当たらぬ工場内に放置した。
揮発する水分を時に補給する程度として45日間(2011年1月〜3月:群馬県太田市)放置した。電池反応が進むようにした1番では、アルミ合金板片32の通電部41が黒色塗装した様になり(図7の41−a)、加えて白いモヤモヤした錆状物(図7の41b)がこの面の計2割くらいの面積を占領していた。更には、このアルミ合金の通電開放部近くの広い塗装面に数本の短い白色筋(図7の41c)が生じており、筋以外にも白点(図7の41d)が数箇所群れをなしていた。この状況は図7の様であった。
一方、2番の物では、同じ70mm×3mmのアルミ合金板片32の側面部に白いモヤモヤした錆状物が生じていたがこれが占める面積は1割もなかった。金属色に見える残りの9割の部分も良く見ると細かい白点が多数認められ、錆が発生し、育ち始めていることがよく分かった。但し、塗装面は最初と全く変わらず綺麗であり、1番の物で塗装面にも白錆状物(白点、白筋)があったのと全く異なっていた。又、3番の物は、同じ通電開放部(61)に白いモヤモヤした錆状物や白点が生じているのは2番と同様だったが、僅かながら塗装状の黒面が観察された。そして、通電開放部近くの塗装面に1番で生じた筋状の白色汚れと同じものが観察された。
観察結果からは、電池反応では黒錆状物が生じると出た。一方、白筋や白点に関して言えば、本発明者等もアルミ合金板を工場内の床に立てかけて保管していた時に大雨による床下浸水があり、アルミ板の数時間濡れていた部分の全面に白錆が生じたことがある。アルミニウムが水、酸素と反応すると水酸化物アルミニウムか酸化アルミニウムになり、これら双方は白色である。これらから、本実験例で生じた白いモヤモヤ物、白筋、白点の全て、及び床下浸水で生じた白錆、これらは全て水に濡れて生じる自然錆と判断した。
一方、黒錆と見られる黒色物は何処から来たのか。A7075アルミ合金を苛性ソーダ巣溶液でエッチングした場合も黒色化するが、これは組成の銅分が酸化銅として露出するからであり、薄い硝酸水溶液に浸漬すると簡単に溶ける。それ故、1番の物を3%硝酸水溶液に浸漬したが黒は消えなかった。要するに、黒物質は銅化合物ではない。結論は、CFRP材からの炭素微粒子が通電路を経て来た電子を貰いマイナス電位に負荷された炭素微粒子になって水中に乗り出し、これがアルミ合金の通電露出部に辿り着いて付着した物とみられた。静電塗装と同原理であり、小粒径の炭素粒子が生じた理由は、少なくともサンドペーパーでCFRPを研磨しているので存在している可能性は十分にあるし、炭素繊維自体に元々付着している可能性も高い。以上から、本発明者等の実験では、通電開口部に黒色塗装状物の生じたことを電池反応が起こったことの証拠に出来よう。よって3番試料でも多少の電池反応が生じていたことが分かった。
再度整理する。先ず、1番品、3番品を水中に沈めた場合、電池反応が起こったことが分かる。そして2番品では電池反応が起こらなかったことが分かる。また、1番品、2番品では、通電開口部41、61以外の塗装部にも白錆が生じた。白点や白筋は塗装にピンホールがあった証明かもしれないが、逆に言えば同様なピンホールは2番にもあったはずである。この事実だけから言えば、「電池反応が生じた場合にはその通電部近くの塗装ピンホールにて通常の錆が生じ易い」となる。
その正しい理屈は分かりかねるが本発明者の見解を以下述べる。即ち、例えピンホールであれ電池反応は生じ、ピンホール内の水中とその周辺部に生じたアルミニウムイオンが噴出されよう。一方、CFRP部分から水中に噴出されたマイナス荷電の炭素微粒子は、プラス電界を辿って通電開放部41に向う。ピンホール周辺も当然にプラス電界が生じているわけだが通電開放部に比較すればごくごく小規模であり、通電開放部に向うマイナス荷電炭素微粒子はピンホール上を通り過ぎてしまうと予想される。又、一般にアルミニウムが酸化されて生じるアルミニウムイオン(Al3+)は水中でそれほど安定でない。塩素イオン(Cl)など対イオンを作り得るイオンがごく大量に存在していると安定にもなるが、食塩1000PPM含有の水中であれば、やがて水分子と反応して水酸化物となり析出する。
この現象がピンホール部で白錆が生じ、通電開放部では白錆と炭素微粒子付着の双方が起こった理由とみられる。なお、2番試料の様にピンホールがあっても白錆が生じない理由については、「電池反応が生じていないということは、プラス電界もマイナス電界も生じていないことであるから、ピンホール底で水とアルミニウム合金が接触しても強制的にアルミニウムイオンを作りピンホール孔から噴出す潜在力はゼロである。よって自然錆が生じる状況がピンホール底で始まるだけのことに過ぎず、その速度は電界が生じた場合より遥かに遅い。」故とみられる。
1…焼成治具
2…金型本体
3…金型凹部
4…金型貫通孔
5…金型(底板)
6…金型(底板)突起部
7…金型底面
8…台座
9…ポリテトラフルオロエチレンのフィルム
10…CFRPプリプレグ(CFRP板)
11…ポリテトラフルオロエチレンのフィルム
12…金型(上板)
13…錘
20…アルミ合金片とCFRP片の接着物
21…アルミ合金片
22…CFRP片
30…腐食試験用のCFRP/アルミ合金の接着物
31…CFRP板片
32…アルミ合金板片
40…腐食試験物(1番)
41…アルミニウム合金側の通電開放部
41a…黒色の錆状物
41b…白いモヤモヤした錆状物
41c…白い筋状物
41d…白い点状物
42…CFRP側の通電開放部
43…アルミ粉体入り塗料層
44…トップコート層
50…腐食試験物(2番)
51…アルミニウム合金側の通電開放部
52…アルミ粉体入り塗料の塗装面
53…アルミ粉体入り塗料層
54…トップコート層
60…腐食試験物(3番)
61…アルミニウム合金側の通電開放部
64…トップコート層

Claims (2)

  1. 輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度があり、且つ、その粗度を有する面自体が10〜200nm周期の超微細凹凸を為しており、且つ、その表面が5nm以上の厚さの金属酸化物薄層で覆われているアルミ合金部材と、
    炭素繊維強化プラスチック製の部材とが、
    互いにエポキシ接着剤の硬化物を挟んだ形で一体化しており、且つ、前記一体化物の少なくとも前記炭素繊維強化プラスチック製部材の全表面が、固形物量全体に対して5〜50質量%のアルミニウム粉体を含む塗料で塗装されている
    ことを特徴とする耐候性に優れたアルミ合金とCFRPの接着一体化物。
  2. 輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度があり、且つ、その粗度を有する面自体が10〜200nm周期の超微細凹凸を為しており、且つ、その表面が5nm以上の厚さの金属酸化物薄層で覆われているアルミ合金部材と、
    炭素繊維強化プラスチック製の部材とが、互いにエポキシ接着剤の硬化物を挟んだ形で一体化しており、且つ、
    前記一体化物の少なくとも前記炭素繊維強化プラスチック製部材の全表面が、固形物量全体に対して5〜50質量%のアルミニウム粉体を含む塗料で下地塗装され、弗素樹脂を成分とする塗料で上面塗装されている
    ことを特徴とする耐候性に優れたアルミ合金とCFRPの接着一体化物。
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