JP5825526B2 - 建築物の設計方法及び構造躯体 - Google Patents

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本発明は、建築物の設計方法及び構造躯体に関し、特に、梁勝ちの架構で耐力壁を有する住宅において、梁の曲げ戻し効果を考慮して耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力を決定する建築物の設計方法及びその設計方法により設計された構造躯体に関する。
従来より、建築物の設計方法において、耐力壁を構成する柱に生じる付加軸力を算出する際に、梁の曲げ戻し効果の影響を反映する計算方法が種々知られている。
このような建築物の設計方法として、例えば、耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力を算出する際に、電子計算機を利用した構造解析による応力計算が行われており、マトリクス法を用いて梁の曲げ変形及び柱の軸変形まで考慮した応力計算が行われている。このような、マトリクス法を用いた応力計算を行うと、梁の曲げ戻し効果も自動的に反映されることになる。
また、木造枠組壁工法の設計において、水平力に対する架構の応力解析方法として、耐力壁の反曲点高比を例えば0.5に仮定して壁柱にラーメン置換する簡易計算方法が開示されている(非特許文献1)。また、木造軸組工法の設計における許容応力度計算においても、ラーメン置換の計算方法が開示されている(非特許文献2)。
また、柱頭柱脚接合部が所定の仕様によらない場合の計算方法として、曲げ戻し係数によって必要引抜耐力を求めるN値計算法が用いられている(非特許文献3)。
枠組壁工法建築物 構造計算指針 2007年,日本ツーバイフォー建築協会,2007年 木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年度版),財団法人日本住宅・木材技術センター,2008年 2007年度版 建築物の構造関係技術基準解説書,建築物の構造関係技術基準解説書編集委員会編集・国土交通省住宅局建築指導課監修,96頁から104頁,2007年8月
マトリクス法を用いた計算方法は、構造解析により応力計算を行うために、節点の回転角及び鉛直変位を全ての節点毎に未知数とする多元連立方程式を解く必要があるので、極めて煩雑な計算となる問題点が挙げられる。
また、ラーメン置換による設計方法やN値計算方法に準拠した設計方法においては、梁の曲げ戻し効果に、耐力壁を構成する柱及び耐力壁に隣接する柱の間の距離、耐力壁の配置、建築物の階数などの架構条件による影響が反映されない問題がある。
一方、建築物の設計方法において、梁の曲げ戻しの影響を無視すると、余分な強度が必要となり、部材が不必要に大きくなりコストを増大させる要因となる。
そこで、梁の曲げ戻しを考慮した建築物の設計方法であって、比較的簡単で、様々な架構条件を反映することができる建築物の設計方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の建築物の設計方法は、耐力壁の負担せん断力を決定する第1のステップと、前記耐力壁上に架設される梁の架構条件に基づいて、前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力に前記梁の曲げ戻し効果を反映するための付加軸力低減率の基準値を算出する第2のステップと、前記付加軸力低減率の基準値を所定の補正条件に基づいて補正して前記付加軸力低減率の補正値を算出する第3のステップと、前記負担せん断力と前記付加軸力低減率の補正値に基づいて前記耐力壁を構成する斜材の上下の端部が固定される柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力を算出する第4のステップと、を備える建築物の設計方法であって、前記架構条件は、少なくとも前記耐力壁を構成する2本の柱材の間の距離、及び前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離を含み、予め前記耐力壁を構成する2本の柱材の間の距離、及び前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離毎に、前記付加軸力低減率の基準値を算出した付加軸力低減率表を記録しておき、前記第2のステップは、当該付加軸力低減率表に基づいて、前記付加軸力低減率の基準値を算出するものであり、前記所定の補正条件は、2以上の前記耐力壁が連続して同一の梁の直下に設けられる場合には、前記耐力壁の柱材のうち隣接する耐力壁側の柱材の前記付加軸力低減率の補正値をゼロとするとともに、隣接する耐力壁と反対側の柱材の付加軸力低減率の補正値を前記付加軸力低減率の基準値に予め定められた1未満の数値を乗じた値とし、2以上の前記耐力壁が互いに間隔を開けて同一の梁の直下に設けられる場合には、前記耐力壁を構成する柱材のうち、隣り合う耐力壁に近接する柱材の前記付加軸力低減率の基準値を算出する際に用いる前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離の値を、前記耐力壁と間隔を開けて同一の梁の直下に設けられる耐力壁との間の距離に予め定められた1未満の数値を乗じた値に置き換えて付加軸力低減率の基準値を算出した値を付加軸力低減率の補正値として採用し、建築物が複数階からなる場合であって、異なる階の前記耐力壁が平面視で重なる位置に設けられる場合には、前記耐力壁を構成する柱材のうち、異なる階で平面視同一位置にある柱材の付加軸力低減率の補正値を、前記付加軸力低減率の基準値に1以上の数値を乗じた値とすることを特徴としている。
請求項2に記載の建築物の設計方法は、前記所定の補正条件は、2以上の前記耐力壁が連続して同一の梁の直下に設けられる場合には、前記耐力壁を構成する柱材のうち、隣り合う耐力壁に近接する側の柱材と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離を無限大として付加軸力低減率の基準値を算出した値を付加軸力低減率の補正値として採用することを更に含むことを特徴としている。
請求項3に記載の建築物の設計方法は、前記所定の補正条件は、予め前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離の上限を定めておき、前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離が前記上限を超える場合には、当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離を無限大として付加軸力低減率の補正値を算出することを更に含むことを特徴としている。
請求項4に記載の建築物の設計方法は、前記所定の補正条件は、予め前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離の下限を定めておき、前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離が前記下限以下の場合には、当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離を予め定められる下限値であるものとして付加軸力低減率の補正値を算出することを更に含むことを特徴としている。
請求項5に記載の建築物の設計方法は、複数階からなる建築物の設計方法であって、前記第4のステップで算出した上階の前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力と、下階の前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力とを足し合わせて、下階の前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力として採用する第5のステップ、を更に備えることを特徴としている。
請求項6に記載の建築物の設計方法は、前記架構条件には、前記耐力壁を構成する柱材の断面積、建築物の階高、又は梁の断面二次モーメントの数値を更に含むものであって、
前記付加軸力低減率表は、前記柱材の断面積、前記建築物の階高、又は前記断面二次モーメントの数値に所定の固定値を代入して記録することを特徴としている。
請求項7に記載の建築物の設計方法は、予め建築物に採用される柱材の断面積、階高、及び断面二次モーメントの範囲を決定しておき、前記所定の固定値は、少なくとも建築物に採用される柱材の断面積のうち最大値、建築物に採用される階高のうち最小値、及び建築物に採用される梁の断面二次モーメントのうち最小値のいずれかを含むことを特徴としている。
請求項1の建築物の設計方法によると、梁の架構条件に基づいて付加軸力低減率を算出するので、比較的簡単に、建築物の設計に梁の架構条件に基づいて算出されたより実情に近い梁の曲げ戻し効果を反映することができる。また、付加軸力低減率の基準値を所定の補正条件に基づいて補正して付加軸力低減率の補正値を算出するので、梁の架構条件が特殊な場合であっても、付加軸力低減率の基準値を補正条件に基づいて補正することによって実情に近い梁の曲げ戻し効果を反映することができる。このように、建築物の設計に、より実情に近い梁の曲げ戻し効果を反映することにより、耐力壁を構成する柱材を必要最低限の大きさの断面とすることができ、また、建築物の柱の脚部及び基礎構造を必要最低限のものとすることができるので、建築物のコストを下げることができる。
請求項1の建築物の設計方法によると、梁の架構条件には、少なくとも前記耐力壁を構成する2本の柱材の間の距離、及び前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離を含むので、これらを考慮して算出された梁の曲げ戻し効果を建築物の設計に反映することができる。
また、請求項1の建築物の設計方法によると、付加軸力低減率表を予め記録しておき、この付加軸力低減率表に基づいて、付加軸力低減率の基準値を算出するので、より容易に手計算で付加軸力低減率の基準値を算出することができ、例えば工業化住宅等のように規格化された仕様の建築物の設計においても、採用することができる。
さらに、請求項1の建築物の設計方法によると、2以上の耐力壁が連続して同一の梁の直下に設けられる場合に、耐力壁の柱材のうち隣接する耐力壁側の柱材の付加軸力低減率の補正値をゼロとし、耐力壁の柱材のうち隣接する耐力壁と反対側の柱材の付加軸力低減率の補正値を付加軸力低減率表より算出される値に1未満の数値を乗じた値とするので、付加軸力低減率表を複雑にすることなく、また、梁の曲げ戻し効果が実情以上に大きく評価されることが無く、耐力壁を構成する柱材の強度が不足する事を抑制することができる。
そして、請求項1の建築物の設計方法によると、2以上の耐力壁が互いに間隔を開けて同一の梁の直下に設けられる場合に、耐力壁を構成する柱材のうち、隣り合う耐力壁に近接する柱材の付加軸力低減率の基準値を算出する際に用いる耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離の値を、耐力壁と間隔を開けて同一の梁の直下に設けられる耐力壁との間の距離に予め定められた1未満の数値を乗じた値に置き換えて付加軸力低減率の基準値を算出した値を付加軸力低減率の補正値とするので、梁の曲げ戻し効果が小さく評価されることが無く、耐力壁を構成する柱材の強度が余分に必要となる事を抑制することができる。
更にまた、請求項1の建築物の設計方法によると、異なる階の耐力壁が平面視で重なる位置に設けられる場合に、耐力壁を構成する柱材のうち、異なる階で平面視同一位置にある柱材の付加軸力低減率の補正値を付加軸力低減率表により算出される値に1以上の数値を乗じた値とするので、付加軸力低減率表を複雑にすることなく、また、梁の曲げ戻し効果が小さく評価されることが無く、耐力壁を構成する柱材の強度が余分に必要となることを抑制することができる。
請求項2の建築物の設計方法によると、2以上の耐力壁が連続して同一の梁の直下に設けられる場合に、耐力壁を構成する柱材のうち、隣り合う耐力壁に近接する側の柱材と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離を無限大として付加軸力低減率の基準値を算出し、その値を付加軸力低減率の補正値とするので、梁の曲げ戻し効果が実情以上に大きく評価されることが無く、耐力壁を構成する柱材の強度が不足する事を抑制することができる。
請求項3の建築物の設計方法によると、耐力壁と耐力壁に隣接する隣接柱との距離が上限を超える場合には、この耐力壁と耐力壁に隣接する隣接柱との距離を無限大として付加軸力低減率を算出するので、付加軸力低減率表を複雑にすることなく、また、梁の曲げ戻し効果が実情以上に大きく評価されることが無く、耐力壁を構成する柱材の強度が不足する事を抑制することができる。
請求項4の建築物の設計方法によると、耐力壁と耐力壁に隣接する隣接柱との距離が
下限以下の場合には、耐力壁に隣接する隣接柱との距離を下限であるものとして付加軸力
低減率の補正値を算出するので、付加軸力低減率表を複雑にすることなく、また、梁の曲
げ戻し効果が実情以上に大きく評価されることが無く、耐力壁を構成する柱材の強度が不
足する事を抑制することができる。
請求項5の建築物の設計方法によると、下階の耐力壁を構成する柱材の付加軸力を算出する際に上階の柱材の付加軸力の影響を反映することができる。
請求項6の建築物の設計方法によると、架構条件の、前記耐力壁を構成する柱材の断面
積、建築物の階高、又は断面二次モーメントの数値に、所定の固定値を代入して付加軸力
低減率表に記録するので、付加軸力低減率表をより簡単なものにすることができる。特に
、工業化住宅においては、柱材の断面積、住宅の階高、又は断面二次モーメントのバリエ
ーションが限られているので、これらの値を固定値としたとしても、梁の曲げ戻し効果に
対する影響は大きくなく、より簡単に手計算することができる。
請求項7の建築物の設計方法によると、予め建築物に採用される柱材の断面積、階高、
及び断面二次モーメントとして採用される所定の固定値が、少なくとも建築物に採用され
る柱材の断面積のうち最大値、建築物に採用される階高のうち最小値、及び建築物に採用
される梁の断面二次モーメントのうち最小値のいずれかを含むので、梁の曲げ戻し効果が
実情以上に大きく評価されることが無く、耐力壁を構成する柱材の強度が不足する事を抑
制することができる。
付加軸力を算出する工程のフローチャート。 梁の直下に耐力壁及びその両側に隣接柱が設けられた状態を示す図。 耐力壁の変形例を示す図。 斜材の上端側の柱材に生じる鉛直力への付加軸力低減率を示す付加軸力低減率表を示す図。 斜材の下端側の柱材に生じる鉛直力への付加軸力低減率を示す付加軸力低減率表を示す図。 耐力壁が互いに隣接して設けられた状態を示す図。 耐力壁が互いに間隔を開けて設けられた状態を示す図。 耐力壁と隣接柱との間の距離が上限を超えている状態、及び耐力壁の一方側に隣接柱が存在しない状態を示す図。 2階建の建築物において、1階及び2階の平面視同一位置に耐力壁を構成する柱が設けられた状態を示す図。 付加軸力低減率の基準値と梁の断面二次モーメントとの関係を表わすグラフ。 付加軸力低減率の基準値と柱材の断面積との関係を表わすグラフ。 付加軸力低減率の基準値と耐力壁を構成する2本の柱の間の距離との関係を表わすグラフ。
以下、図面を参照しつつ、本発明の最良の実施形態について説明する。本実施形態の建築物の設計方法は、耐力壁1を構成する柱材3の柱頭及び柱脚に生じる付加軸力設計用の鉛直力NA,Nを算出する際に、耐力壁1上に架設される梁4の曲げ戻し効果を反映させる点に特徴を有するものであり、設計におけるその他のステップについては従来より知られている種々の設計方法を用いることができるものであるので、説明を省略する。また、構造躯体は、耐力壁1及び梁4を含み、建築物の構造強度に関わる部分である。
付加軸力設計用の鉛直力N,Nを算出する工程は、図1に示すように、第1のステップから第5のステップの5つのステップに分けられる。まず、第1のステップとして、耐力壁1を構成する斜材2の負担せん断力Qを決定する(S1)。耐力壁1は、例えば、図2に示すように、少なくとも2本の柱材3の間に1本の斜材2が配設され、水平耐力を有する壁である。斜材2は例えば鉄筋、アングル、木材の角材等の筋交い又はブレースである。又、耐力壁1は、構造用合板や石膏ボードなどの面材により構成されている耐力壁で、構造計算においてブレースに置換する場合の置換材であってもよい。なお、図2においては、耐力壁1は2本の柱材3とこの柱材3の間に斜向きに架設される1本の斜材2のみ記載しているが、耐力壁1の形状はこれに限らず、図3に示すように、2本の柱材3の上端及び下端に横架材6を溶接又はボルト接合により固定した矩形枠状に形成し、斜材2についても互いに交叉するように2本設けた耐力壁1であってもよい。また、図示しないが、横架材6は2本の柱材3の鉛直方向の中間に更に設けられるものであってもよい。
負担せん断力Qは、耐震又は耐風設計上の要求を満たす建築物の負担水平力のうち対象となる耐力壁1が負担するせん断力Qであり、周知の式によって算出される。なお、斜材2が負担する軸力が引張力か圧縮力かは、付加軸力設計用の鉛直力N,Nの向きに影響するだけで、梁4の曲げ戻し効果自体には影響しない。また、1つの耐力壁1に斜材2が交叉するように2本以上設けられている場合には、それぞれの斜材2が負担する負担せん断力Qの分担を決定する。
次に、第2のステップとして、耐力壁1上に架設される梁4の架構条件に基づいて付加軸力低減率の基準値Rを算出する(S2)。「架構条件」は、梁4の直下に設けられている耐力壁1や耐力壁1に隣接する隣接柱5の位置等の梁4の曲げ戻しに影響を与える構造材の配置や剛性に関する条件である。架構条件は、例えば、耐力壁1の幅(耐力壁1を構成する柱材3の間の距離L)、耐力壁1と当該耐力壁1に隣接する隣接柱5との間の距離L,L、耐力壁1の柱材3の断面積A、建築物の各階の階高H、梁4の断面二次モーメントIなどの条件である。なお、本発明において架構条件はこれらの6つに限られるものではなく、梁4の曲げ戻しに影響を与える柱材3及び梁4を構成する材料のヤング係数、接合部の剛性などの他の数値を含むものであってもよい。
「付加軸力低減率」は、耐力壁1の柱材3に生じる付加軸力設計用の鉛直力N,Nが梁4の曲げ戻し効果によって低減される割合であり、梁4の曲げ戻し効果を評価した値である。この付加軸力低減率の基準値Rを算出する手段としては、例えば架構条件の数値を代入可能な付加軸力低減率算出式によることもでき、また、予め架構条件毎に、付加軸力低減率の基準値Rを算出した付加軸力低減率表を参照することによってもできる。
付加軸力低減率の基準値Rを算出する付加軸力低減率算出式は、付加軸力低減率の基準値Rと、梁4の架構条件との関係を評価して、付加軸力低減率の基準値Rに影響を与える要因を分析し、数式を導いたものである。付加軸力低減率の基準値Rと梁4の架構条件との関係は例えば図10から図12に表わされる。すなわち、図10は、縦軸を付加軸力低減率の基準値Rとし、横軸を梁4の断面二次モーメントIとしたグラフである。図11は、縦軸を付加軸力低減率の基準値Rとし、横軸を柱材3の断面積Aとしたグラフである。また、図12は、縦軸を付加軸力低減率の基準値Rとし、横軸を耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離Lとしたグラフである。
これらの図10から図12のグラフによると、柱の断面二次モーメントIが大きいほど付加軸力低減率の基準値Rは大きい。また、柱材の断面積Aが小さいほど付加軸力低減率の基準値Rは大きい。さらに、耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離Lが小さいほど付加軸力低減率の基準値Rは大きい。さらに又、単層耐力壁より連層耐力壁の方が付加軸力低減率の基準値Rは大きい。
そして、付加軸力低減率の基準値Rに影響を与える要因を分析し、数式を導くと、以下の数式1から数式7に例示することができる。数式1は、斜材2の上端側の柱材3に生じる付加軸力設計用の鉛直力Nが低減される場合の付加軸力低減率の基準値R0Aを算出する数式であり、数式2は、斜材2の下端側の柱材3に生じる付加軸力設計用の鉛直力Nが低減される場合の付加軸力低減率の基準値R0Bを算出する数式である。また、数式3は、数式1及び数式2における分母Dを表わす数式である。
Figure 0005825526
Figure 0005825526
Figure 0005825526
ここでαは、下記の数式4で定義する柱軸剛性指標で、無次元単位量である。分子は柱材3の軸剛性、分母は耐力壁1を構成する柱材3の間の距離Lを長さとする両端固定梁4の鉛直方向のせん断力に対する剛性に相当する。なお、柱材3及び梁4を構成する材料のヤング係数が等しい場合のαは、数式5を用いることができる。またβは斜材2の上端側の柱材3の隣接柱間隔指標であり、数式6で定義される。βは斜材2の下端側の柱材3の隣接柱間隔指標であり、数式7で定義される。なお、数式4、数式5、数式6及び数式7における「A」「H」「I」「E」「E」「L」「L」「L」の各パラメータは以下の数値である。
A:柱材3の断面積(m
H:階高(m)
I:梁4の断面二次モーメント(m
:柱材3を構成する材料のヤング係数(N/m
:梁4を構成する材料のヤング係数(N/m
L:耐力壁1を構成する柱材3の間の距離(m)
:斜材2の上端側の耐力壁1の柱材3と、当該柱に隣接する隣接柱5との間の距離(m)
:斜材2の下端側の耐力壁1の柱材3と、当該柱に隣接する隣接柱5との間の距離(m)
Figure 0005825526
Figure 0005825526
Figure 0005825526
Figure 0005825526
付加軸力低減率表は、図4及び図5に示すように、予め耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離L、及び耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との間の距離L,L毎に、付加軸力低減率の基準値Rを算出し記録している。なお、図4は斜材2の上端側の柱材3に生じる鉛直力Nへの付加軸力低減率を示す付加軸力低減率表であり、図5は斜材2の下端側の柱材3に生じる鉛直力Nへの付加軸力低減率を示す付加軸力低減率表である。この付加軸力低減率表に記録される付加軸力低減率は、例えば、階高Hを2.80m、柱材3の断面積Aを1.20×10-3、梁4の断面二次モーメントIを梁断面形状毎に、A梁を2.00×10-5、B梁を1.50×10-5、C梁を1.00×10-5として算出している。これらの柱材3の断面積A、階高H、及び各梁断面形状の断面二次モーメントIの数値は、建築物の各階に採用される柱材3の断面積Aのうち最大値、建築物の各階に採用される階高のうち最小値、及び梁4の断面二次モーメントIのうち最小値であることが望ましい。梁4の曲げ戻し効果が実情以上に大きく評価されることが無く、耐力壁1を構成する柱材3の強度が不足する事を抑制することができるからである。
付加軸力低減率表により付加軸力低減率の基準値Rを算出する場合は、耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離L、耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との間の距離L,L、及び梁4の断面形状に基づいて付加軸力低減率表の中から付加軸力低減率の基準値Rを抜き出す。
なお、耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離L又は耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との間の距離L,Lの値が付加軸力低減率表に記載された値の中間値である場合は、それぞれの値に応じて線形補間して値を求める。また、耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離L又は耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との間の距離L,Lの値が下限である1.00メートルよりも短い時には、1.00メートルであるものとして付加軸力低減率の基準値Rを求める。耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離L又は耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との間の距離L,Lの値が上限である4.00メートルを超えている場合や、耐力壁1と同一梁4の下に隣接柱5が存在しない場合には、無限大の欄を参照して付加軸力低減率の基準値Rを求める。なお、耐力壁1の両側にともに隣接柱5が存在しない場合には、付加軸力低減率表に示されるとおり、付加軸力低減率の基準値Rはゼロとなる。
第3のステップは、付加軸力低減率の基準値Rを所定の補正条件に基づいて補正して付加軸力低減率の補正値Rを算出するものである(S3)。付加軸力低減率の基準値Rは、梁4の架構条件が付加軸力低減率の基準値Rを採用することができるモデルケースである場合はそのままの数値を用いることができるが、例えば、耐力壁1同士が互いに隣接して設けられている場合のようにモデルケースに当てはまらない場合に、所定の補正条件に基づいて補正することにより梁4の曲げ戻し効果を実情に近い数値で評価するためのステップである。
「所定の補正条件」としては、具体的には例えば、図6に示すように、2以上の耐力壁1が互いに連続して同一の梁4の直下に設けられる場合に、耐力壁1同士が互いに近接する側の柱材3の付加軸力低減率の補正値Rをゼロとし、逆側の柱材3の付加軸力低減率の補正値Rを、付加軸力低減率表により算出される値に例えば2分の1を乗じた値とする。なお、ここで乗じる値は、必ずしも2分の1に限定されるものではなく、1未満の数値であれば適切な数値を設定することができる。すなわち、耐力壁1が隣接して同一の梁4の直下に設けられる場合には、耐力壁1の隣に隣接柱5のみが設けられる場合に比べて、梁4の曲げ戻し効果が小さくなるので、この実情に合うように補正する。
また、2以上の耐力壁1が互いに連続して同一の梁4の直下に設けられる場合の「所定の補正条件」は、上述のものに限定されるものではなく、耐力壁1を構成する柱材3のうち、隣り合う耐力壁1に近接する側の柱材3と当該耐力壁1に隣接する隣接柱5との間の距離を無限大として付加軸力低減率の基準値Rを算出した値を付加軸力低減率の補正値Rとするものであってもよい。このようにしても梁の曲げ戻し効果が実情以上に大きく評価されることを防ぐことができる。
また、「所定の補正条件」は、図7に示すように、2以上の耐力壁1が互いに間隔を開けて同一の梁4の直下に設けられる場合に、耐力壁1を構成する柱材3のうち、隣り合う耐力壁1に近接する柱材3の付加軸力低減率を付加軸力低減率算出式又は付加軸力低減率表により算出する際、当該耐力壁1と間隔を開けて同一の梁4の直下に設けられる耐力壁1との間の距離を実際の値に2分の1を乗じた値とする。なお、ここで、乗じた2分の1の値はこれに限定されるものではなく、予め1未満の適切な数値を選択することができる。すなわち、耐力壁1が間隔を開けて同一の梁4の直下に設けられる場合には、耐力壁1の隣に隣接柱5のみが設けられる場合に比べて、梁4の曲げ戻し効果が大きくなるので、この実情に合うように補正する。
さらに、「所定の補正条件」は、図8に示すように、付加軸力低減率算出式を用いる際に、予め耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との距離の上限を定めておき、耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との距離が上限を超える場合及び同一梁4の直下に隣接柱5が存在しない場合には、無限大とする。具体的には、隣接柱間隔指標β,βの値をゼロとする。また、予め耐力壁1に隣接する隣接柱5との距離の下限を定めておき、耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との距離が下限以下である場合には下限の距離とする。なお、ここで耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との距離として採用する数値は予め定められた下限の距離に限定されるものではなく、別途適切な数値を定めてもよい。なお、前述のとおり付加軸力低減率表を用いる場合においても、耐力壁1と耐力壁1に隣接する隣接柱5との距離が上限を超える場合にはこの値を無限大として、下限以下である場合にはこの値を下限として、算出した付加軸力低減率を表に記録しており、この数値を参照することで補正することができる。
また「所定の補正条件」は、図9に示すように、建築物が複数階からなる場合であって、異なる階の耐力壁1が平面視で重なる位置に設けられる場合に、耐力壁1を構成する柱材3のうち異なる階で平面視同一位置にある柱材3の付加軸力低減率の補正値Rは、付加軸力低減率算出式又は付加軸力低減率表により算出した値の例えば2倍とする。なおこの数値は、2倍に限定されるものではなく1を超える数値であれば、好ましい数値を選択することができる。すなわち、上階と下階とで平面視同一位置に耐力壁1の柱材3がある場合には、下階の耐力壁1の柱材3に生じる鉛直力N,Nに梁4の曲げ戻し効果が大きく作用するので、付加軸力低減率の値を補正することで、より実情に近い値にすることができる。また、上階の耐力壁1の柱材3に生じる鉛直力N,Nについても梁4の曲げ戻し効果が大きく作用するので、付加軸力低減率の値を補正することで、より実情に近い値にすることができる。
第4のステップは、負担せん断力Qと付加軸力低減率の補正値Rに基づいて耐力壁1を構成する柱材3に生じる鉛直力N,Nを算出する(S4)。具体的には下記の数式8に基づいて算出することができる。
Figure 0005825526
そして、第4ステップで算出した付加軸力設計用の鉛直力N,Nを第5のステップで、上階から下階へと足し合わせる(S5)。
〔実施例〕
以下、付加軸力設計用の鉛直力N,Nの算出の一例について説明する。この実施例では、2階建の住宅であって、1階及び2階の平面視同一位置に同一形状の耐力壁1が設けられている。各部の寸法は、2階の階高を2.80mとし、1階の階高2.80mとし、耐力壁1を構成する2本の柱材3の間の距離Lを1.00mとし、斜材2の上端側の柱材3と、当該柱材3に隣接する隣接柱5との間の距離Lを1.00mとし、斜材2の下端側の柱材3と、当該柱材3に隣接する隣接柱5との間の距離Lを1.00mとし、柱材3の断面積Aは、各柱材3とも1.20×10-3とし、梁4の断面二次モーメントIを1.50×10-5としている。
まず第1のステップで周知の計算方法により耐力壁1の負担せん断力Qを算出する。1階の耐力壁1の負担せん断力Qは10.0キロニュートンであり、2階の耐力壁1の負担せん断力Qは10.0キロニュートンである。ついで、第2のステップで、前述の数式5、数式6、及び数式7に基づいて柱軸剛性指標α及び両側の隣接柱間隔指標β,βを求める。1階の耐力壁1及び2階の耐力壁1ともに、柱軸剛性指標αは2.38であり、両側の隣接柱間隔指標β,βはともに1.00である。そして、これら柱軸剛性指標α及び両側の隣接柱間隔指標β,βを数式1、数式2、及び数式3に代入して、付加軸力低減率の基準値Rを求める。斜材2の上端側の柱材3の付加軸力低減率の基準値Rは1階及び2階いずれも0.205であり、斜材2の下端側の柱材3の付加軸力低減率の基準値Rは1階及び2階いずれも0.166である。
そして、ステップ3で、所定の補正条件に基づいて付加軸力低減率の基準値Rを補正する。2階の耐力壁1はいずれの補正条件にも当てはまらないのでそのまま、斜材2の上端側の柱材3の付加軸力低減率の補正値Rは0.205であり、斜材2の下端側の柱材3の付加軸力低減率の補正値Rは0.166である。一方、1階の耐力壁1を構成する柱材3は、前述した耐力壁1の柱材3が下階と上階とで平面視同一位置にある場合に該当するので、付加軸力低減率の補正値Rは2倍となり、斜材2の上端側の柱材3の付加軸力低減率の補正値Rは0.410であり、斜材2の下端側の柱材3の付加軸力低減率の補正値Rは0.332である。
なお、上述の例においては、異なる階の平面視同一位置に耐力壁1の柱材3がある場合に、下階の付加軸力低減率Rの補正値を2倍としたが、上階の付加軸力低減率の補正値Rについても1を超える数値で乗じてもよい。
次に、ステップ4で、ステップ1で決定している耐力壁1の負担せん断力Qと、ステップ3で算出した付加軸力低減率の補正値Rとに基づいて付加軸力設計用の鉛直力N,Nを算出する。具体的には以下の通りである。
〔2階の耐力壁〕
=Q×H/L×(1−R)=22.3キロニュートン
=Q×H/L×(1−R)=23.4キロニュートン
〔1階の耐力壁〕
=Q×H/L×(1−R)=16.5キロニュートン
=Q×H/L×(1−R)=18.7キロニュートン
そして、ステップ5で、上階から下階へと付加軸力設計用の鉛直力N,Nを足し合わせる。以下に、斜材2が引張力を負担する場合を示す。斜材2が圧縮力を負担する場合は、Nが引張力に、Nが圧縮力に変わる。
〔2階の耐力壁〕
2階の耐力壁1の斜材2の上端側の柱材3に生じる鉛直力N=22.3キロニュートン(圧縮力)
2階の耐力壁1の斜材2の下端側の柱材3に生じる鉛直力N=23.4キロニュートン(引張力)
1階の耐力壁1の斜材2の上端側の柱材3に生じる鉛直力N
=22.3+16.5=38.8キロニュートン(圧縮力)
1階の耐力壁1の斜材2の下端側の柱材3に生じる鉛直力N
=23.4+18.7=42.1キロニュートン(引張力)
なお、本実施例では付加軸力低減率算出式に基づいて付加軸力低減率の基準値Rを算出したが、付加軸力低減率表に基づいて付加軸力低減率の基準値Rを算出してもよい。
以上のように、本実施形態の建築物の設計方法は、比較的簡単な付加軸力低減率算出式で、付加軸力低減率の基準値Rを算出できるので、手計算で建築物の設計に梁4の架構条件に基づいて算出されたより実情に近い梁4の曲げ戻し効果を反映することができる。また、付加軸力低減率の基準値Rを、必要に応じて補正条件に基づいて補正して付加軸力低減率の補正値Rを算出するので、梁4の架構条件が特殊な場合であっても、付加軸力低減率の基準値Rを補正条件に基づいて補正することによって実情に近い梁4の曲げ戻し効果を反映することができる。
このように、建築物の設計に、より実情に近い梁4の曲げ戻し効果を反映することができるので、耐力壁1を構成する柱材3を必要最低限の大きさの断面とすることができ、また、建築物の柱の柱脚及び基礎構造を必要最低限のものとすることができるので、建築物のコストを下げることができる。
また、付加軸力低減率表に基づいて付加軸力低減率の基準値Rを算出する場合には、付加軸力低減率算出式を用いる場合よりも更に容易に付加軸力低減率の基準値Rを算出することができ、例えば工業化住宅等のように規格化された仕様の住宅の設計において、採用することができる。
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本発明に係る建築物の設計方法及び構造躯体は、特に工業化住宅において梁4の曲げ戻しを考慮した設計を行うことができ、梁4の曲げ戻しを考慮した構造躯体とすることができる。
1 耐力壁
2 斜材
3 柱材
4 梁
5 隣接柱
6 横架材
A 柱材3の断面積
H 階高
I 梁4の断面二次モーメント
L 耐力壁1を構成する柱材3の間の距離
斜材2の上端側の耐力壁1の柱材3と、当該柱に隣接する隣接柱5との間の距離
斜材2の下端側の耐力壁1の柱材3と、当該柱に隣接する隣接柱5との間の距離

Claims (7)

  1. 耐力壁の負担せん断力を決定する第1のステップと、
    前記耐力壁上に架設される梁の架構条件に基づいて、前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力に前記梁の曲げ戻し効果を反映するための付加軸力低減率の基準値を算出する第2のステップと、
    前記付加軸力低減率の基準値を所定の補正条件に基づいて補正して前記付加軸力低減率の補正値を算出する第3のステップと、
    前記負担せん断力と前記付加軸力低減率の補正値に基づいて前記耐力壁を構成する斜材の上下の端部が固定される柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力を算出する第4のステップと、
    を備える建築物の設計方法であって、
    前記架構条件は、少なくとも前記耐力壁を構成する2本の柱材の間の距離、及び前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離を含み、予め前記耐力壁を構成する2本の柱材の間の距離、及び前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離毎に、前記付加軸力低減率の基準値を算出した付加軸力低減率表を記録しておき、
    前記第2のステップは、当該付加軸力低減率表に基づいて、前記付加軸力低減率の基準値を算出するものであり、
    前記所定の補正条件は、
    2以上の前記耐力壁が連続して同一の梁の直下に設けられる場合には、
    前記耐力壁の柱材のうち隣接する耐力壁側の柱材の前記付加軸力低減率の補正値をゼロとするとともに、隣接する耐力壁と反対側の柱材の付加軸力低減率の補正値を前記付加軸力低減率の基準値に予め定められた1未満の数値を乗じた値とし、
    2以上の前記耐力壁が互いに間隔を開けて同一の梁の直下に設けられる場合には、
    前記耐力壁を構成する柱材のうち、隣り合う耐力壁に近接する柱材の前記付加軸力低減率の基準値を算出する際に用いる前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離の値を、前記耐力壁と間隔を開けて同一の梁の直下に設けられる耐力壁との間の距離に予め定められた1未満の数値を乗じた値に置き換えて付加軸力低減率の基準値を算出した値を付加軸力低減率の補正値として採用し、
    建築物が複数階からなる場合であって、異なる階の前記耐力壁が平面視で重なる位置に設けられる場合には、
    前記耐力壁を構成する柱材のうち、異なる階で平面視同一位置にある柱材の付加軸力低減率の補正値を、前記付加軸力低減率の基準値に1以上の数値を乗じた値とすることを特徴とする建築物の設計方法。
  2. 前記所定の補正条件は、
    2以上の前記耐力壁が連続して同一の梁の直下に設けられる場合に、
    前記耐力壁を構成する柱材のうち、隣り合う耐力壁に近接する側の柱材と当該耐力壁に隣接する隣接柱との間の距離を無限大として付加軸力低減率の基準値を算出した値を付加軸力低減率の補正値として採用することを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の建築物の設計方法。
  3. 前記所定の補正条件は、
    予め前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離の上限を定めておき、
    前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離が前記上限を超える場合には、当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離を無限大として付加軸力低減率の補正値を算出することを更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築物の設計方法。
  4. 前記所定の補正条件は、
    予め前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離の下限を定めておき、
    前記耐力壁と当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離が前記下限以下の場合には、当該耐力壁に隣接する隣接柱との距離を予め定められる下限値であるものとして付加軸力低減率の補正値を算出することを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の建築物の設計方法。
  5. 複数階からなる建築物の設計方法であって、
    前記第4のステップで算出した上階の前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力と、下階の前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力設計用の鉛直力とを足し合わせて、下階の前記耐力壁を構成する柱材に生じる付加軸力として採用する第5のステップ、を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の建築物の設計方法。
  6. 前記架構条件には、前記耐力壁を構成する柱材の断面積、建築物の階高、又は梁の断面二次モーメントの数値を更に含むものであって、
    前記付加軸力低減率表は、前記柱材の断面積、前記建築物の階高、又は前記断面二次モーメントの数値に所定の固定値を代入して記録することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の建築物の設計方法。
  7. 予め建築物に採用される柱材の断面積、階高、及び断面二次モーメントの範囲を決定しておき、
    前記所定の固定値は、少なくとも建築物に採用される柱材の断面積のうち最大値、建築物に採用される階高のうち最小値、及び建築物に採用される梁の断面二次モーメントのうち最小値のいずれかを含むことを特徴とする請求項6に記載の建築物の設計方法。
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