JP5578887B2 - 建物ユニット、ユニット建物、及びユニット建物の構造計算方法 - Google Patents
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Description
このため、建物ユニット内に剛性や耐力に余裕のある柱があり、材料使用量や重量が必要以上に増加する原因となっていた。
即ち、従来の建物ユニットでは、柱に対して最適設計がなされていなかった。
外装材が設けられる桁側の柱は、外装材が設けられない他の柱よりも大きな荷重を負荷するため、他の柱よりも大きな応力が作用すると共に、変形の程度も大きなものとなる。
したがって、外装材の設けられている桁側の柱のみを、外装材の設けられていない他の柱よりも高い剛性にするという簡単な構成で建物ユニットの各柱のバランスを取る事ができる。
請求項2に記載のユニット建物は、請求項1に記載の建物ユニットを少なくとも1つ含んでユニット建物が構成されているので、材料使用量を抑えつつ、柱の変形や応力のバランスが良いユニット建物となる。
請求項3に記載のユニット建物は、下階の建物ユニットの桁側の柱の位置が、上階の建物ユニットの桁側の柱の位置よりも建物内方側へオフセットされた所謂オーバーハング部を有する。
オーバーハング部を構成する下階の建物ユニットの桁側の柱には、外装材の重量の他、上階の建物ユニットの重量が作用するので、変形及び応力に対して厳しいものとなるが、下階の建物ユニットの桁側の柱に剛性の高い柱を用いているので、柱に補強等を用いることなくオーバーハング構造が実現できる。
図1には、複数個(本実施形態では12個)の同一形状の建物ユニット12からなる2階建てのユニット建物10が示されている。
なお、説明の便宜上、建物ユニット12の各部材に名称付けをしておく。建物ユニット12は、4本の柱14と、互いに平行に配置された長短二組の天井梁16、18と、これらの天井梁16,18に対して上下に平行に配置された長短二組の床梁20,22とを備えており、梁の端部を天井と床の仕口に溶接することによりラーメン構造として構成されている。
建物ユニット12は、矩形枠状に組まれた天井フレーム24と床フレーム26とを備えており、これらの間に4本の柱14が立設される構成となっている。天井フレーム24は四隅に天井仕口部(柱)28を備えており、この天井仕口部28に長さが異なる天井梁16,18の長手方向の端部が溶接されている。
そして、上下に対向して配置された天井仕口部28と床仕口部30との間に、柱14の上下端部が溶接により剛接合されて及びボルトにより仮固定されて建物ユニット12が構成される。
具体的には、図2の水平断面図で示すように、第1の厚さに設定された柱14Aと、第1の板厚よりも薄い第2の板厚に設定された柱14Bの2種類の柱が用いられており、板厚の厚い柱14Aは、桁側で外装材32が設けられる柱に用いられ、板厚の薄い柱14Bはその他の柱に用いられている。
次に、本実施形態のユニット建物10の作用を説明する。
本実施形態の建物ユニット12は、外装材32の設けられている桁側の柱14Aの剛性が、外装材32の設けられていない他の柱14Bの剛性よりも高く設定されているため、外装材32の設けられている桁側の柱14Aの応力及び変形を抑えることができ、建物ユニット12の各柱の応力及び変形のバランスを取る事ができる。
なお、妻側の柱についても外装材の有無で生じる応力や変形は異なるが、妻側のラーメンは桁側のラーメンに比較してスパンが短いため、妻側の柱に生じる応力や変形の程度は桁側の柱に比較して小さく、桁側と兼用となっていない妻側の柱に関しては、必要となる剛性、耐力に外装材の有無で大きな差は生じないため、桁側と兼用となっていない妻側の柱(本発明のその他の柱。柱14B)は、剛性の低い方の柱とすることができる。
ここで、応力または変位が予め設定した目標値に対して未達となっていた柱について、応力または変位が予め設定した目標値に達したならば次のステップへ移り、目標に未達であれば、さらに板厚を増加して再度応力計算を行う。即ち、全ての柱、及び梁において、応力または変位が予め設定した目標値に達するまで、板厚の増加、及び応力計算を繰り返す。なお、応力または変位が予め設定した目標値に対した柱、及び梁は、その板厚を該柱、及び梁に対応させて記憶する。
なお、ここでの板厚の増加は、例えば0.1mmとすることができるが、増加する板厚はこれに限るものではない。
これにより、ユニット建物全体として見ると、柱の板厚は2種類に設定される。
なお、ここでの「予め設定した複数の板厚」は、例えば、3.2mm、4.5mm、6.0mm等、柱として実際に使用可能な板厚のことであり、これにより、柱、及び梁に特殊な寸法の鋼材を用いることなく市販の鋼材を用いることができ合理的である。
上記実施形態では、柱14Aの剛性と柱14Bの剛性を異ならせるため板厚を異ならせていたが、本発明はこれに限らず、断面寸法を異ならせる、断面形状を異ならせる方法もある。
柱は角型鋼管やH型鋼に限らず、アングル、チャンネル等の周知のものを用いることができる。
柱14Aの剛性と柱14Bの剛性を異ならせるため、柱14Aと柱14Bに同一の鋼材を用い、柱14Bに孔、スリット等の欠損部を設けて柱14Aよりも剛性を低くすることもできる。
柱14Aの剛性を柱14Bの剛性よりも高くするために、剛性の低い方の柱14Bに正方形断面の角型鋼管を用い、剛性の高い方の柱14Aは柱14Bと外形寸法が同じになるように図4に示すような長方形断面の角型鋼管34を2本組み合わせて構成しても良い。
また、柱14Aの剛性と柱14Bの剛性を異ならせるため、柱14Aと柱14Bとで鋼材の材質(例えば、炭素含有量)を変えても良い。これにより、柱14Aと柱14Bの断面形状を全く同じにすること、即ち、外形寸法を同じにして柱14Aの板厚と柱14Bの板厚とを同じにすることも可能である。
上記実施形態のユニット建物10は、総2階建構造であったが、図5、及び図6に示すように、ユニット桁側にオーバーハング構造を有していても良い。
また、桁側に剛性の高い柱14Aを備えた建物ユニット12またはハーフユニット12Aを下階の桁側に設けておけば、例えば、増築等の際に、図6に示すようなハーフユニット12Bを下階に補強することなく取り付けることも可能となり、後からでも容易にオーバーハング構造とすることもできる。
12 建物ユニット
12A ハーフユニット
12B ハーフユニット
14A 柱
14B 柱
32 外装材
Claims (4)
- ユニット建物を構築するための建物ユニットであって、
梁と、前記梁の両端部を支持する柱とを備え、
外装材が設けられる桁側の柱の板厚が他の柱の板厚よりも厚く設定されることにより前記桁側の柱が前記他の柱よりも高い剛性に設定されると共に、前記桁側の柱の外形寸法と前記他の柱の外形寸法とが同一に設定されている、建物ユニット。 - 請求項1に記載の建物ユニットを少なくとも1つ含んで構成されるユニット建物。
- 下階の建物ユニットの桁側の柱の位置が、上階の建物ユニットの桁側の柱の位置よりも建物内方側へオフセットされており、前記下階の建物ユニットに、請求項1に記載の建物ユニットが用いられている、請求項2に記載のユニット建物。
- 請求項2に記載のユニット建物の構造計算方法であって、
前記柱を初期の板厚に設定して応力解析を行う第1の工程と、
前記応力解析の結果、応力または変位が予め設定した目標値に対して未達となった前記柱を、前記目標値に達するように前記初期の板厚よりも増加する第2の工程と、
外装材が設けられる前記柱の中で最も厚い第1の板厚と、前記その他の柱の中で最も厚い第2の板厚とを選択し、外装材が設けられる全ての前記柱の板厚を、予め設定した複数の板厚の中から前記第1の板厚以上、かつ前記第1の板厚に最も近い板厚に設定すると共に、前記その他の柱の板厚を前記予め設定した複数の板厚の中から前記第2の板厚以上、かつ前記第2の板厚に最も近い板厚に設定する第3の工程と、
を有するユニット建物の構造計算方法。
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