JP5824619B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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本発明は各種電子機器に使用される電解コンデンサに関するものである。
電子機器の高周波化に伴い、電子部品である電解コンデンサにおいても高周波領域での等価直列抵抗(以下、ESRという)特性に優れた大容量の電解コンデンサが求められてきている。最近では、このような高周波領域におけるESRを低減するために、電解質として従来の駆動用電解液よりも電気電導度の高い導電性高分子等の固体電解質を用いた固体電解コンデンサが検討され製品化されている。また、その大容量化の要求に対しては、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて巻回したコンデンサ素子の内部に導電性高分子を充填した構成を有する、巻回形固体電解コンデンサが製品化されてきている。
上記固体電解質に用いられる導電性高分子は、3,4−エチレンジオキシチオフェンをp−トルエンスルホン酸第二鉄で重合する方法に代表されるように、カチオン成分は金属イオンの還元反応を利用した酸化剤として作用し、アニオン成分はドーパントとして作用する酸化剤兼ドーパント剤によって化学酸化重合された3,4−エチレンジオキシチオフェンや、同じくピロールモノマーを酸化剤兼ドーパント剤として作用する塩化第二鉄や過硫酸塩によって化学酸化重合されたポリピロール等が知られている。
しかしながら上記のような固体電解コンデンサにおいては、電解質として誘電体酸化皮膜の修復性の乏しい固体電解質のみを用いているため、従来の駆動用電解液を用いた電解コンデンサに比べて、漏れ電流の増大や誘電体酸化皮膜欠陥の発生に伴うショート故障などが発生しやすく、耐電圧の高いコンデンサを構成することが困難であった。
一方、上記課題を改善する目的で、導電性高分子からなる固体電解質と駆動用電解液の両方を陰極引き出し材料に利用した巻回形の電解コンデンサが提案されている。この巻回形電解コンデンサは、マニラ紙またはクラフト紙等のセパレータ紙、あるいは多孔質フィルムまたは合成繊維不織布セパレータを過硫酸塩、酸化剤兼ドーパントとして化学酸化重合した導電性高分子で導電化し、その導電化されたセパレータと駆動用電解液とを用いて構成されたものである。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、以下の特許文献1,2が知られている。
特開昭64−090517号公報 特開平07−249543号公報
しかしながら、上記従来の導電性高分子からなる固体電解質と駆動用電解液の両方を陰極引き出し材料に利用した巻回形電解コンデンサは、導電性セパレータと組み合わせて使用する駆動用電解液によっても特性が大きく変化する。特に、ドーパントとして機能する酸成分が容易に脱ドープして駆動用電解液に溶出したり、脱ドープにより導電性高分子の導電性が著しく低下することにより、電解コンデンサの熱的な安定性が乏しく、高周波領域でのESRの経時変化が大きいといった課題を有している。
上記脱ドープの対策として、ドーピング材料を選択することにより脱ドープを低減することもできるが、材料が高価で、その導電性高分子の製造条件も困難性を有する。
本発明はこのような従来の課題を解決し、高周波領域でESRが低くかつ高信頼な電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とがその間にセパレータを介在させて巻回された構成のコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を駆動用電解液と共に収納した有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封止した封口部材とを備える電解コンデンサにおいて、前記セパレータには、酸成分をドーパントとして含む導電性高分子が付着しており、前記駆動用電解液は、酸成分と塩基成分とを含む溶質と、溶媒とを含み、前記溶質は、三級アミンを前記塩基成分として含み、前記溶質は、前記酸成分を前記塩基成分よりもモル比で過剰に含むことを特徴とする。
また、前記溶質は、カルボン酸を前記酸成分として含み、前記溶質は、前記カルボン酸を前記三級アミンよりもモル比で過剰に含むことが好ましい。
また、前記溶質は、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、マレイン酸、サリチル酸、安息香酸、レゾルシン酸から選ばれる少なくとも1種を前記酸成分として含むことが好ましい。
以上のように本発明による電解コンデンサは、駆動用電解液中の溶質成分である酸成分と塩基成分のモル比を酸過剰にするようにした構成により、導電性セパレータに含有された導電性高分子のドーパントの酸成分と駆動用電解液中の酸成分とが平衡状態に保たれるので、導電性セパレータの脱ドープを抑制することができる。その結果、高周波領域でESRが低くかつ高信頼の電解コンデンサを得ることができるという効果を奏する。
さらに添加剤に酸化防止剤を含有することで、導電性セパレータの酸化劣化を抑制し、電気伝導度の低下を抑制することができることから、高周波領域でESRが低くかつ高信頼な電解コンデンサを提供することが可能となる。酸化防止剤は、酸と併用することで、反応活性が増加し効果がさらに向上する。
本発明の実施の形態による電解コンデンサの構成を示した一部切り欠き斜視図
図1は本発明の実施の形態による電解コンデンサの構成を示した一部切り欠き斜視図である。図1において、19はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子19はエッチング処理により表面を粗面化した後に陽極酸化処理により誘電体酸化皮膜を形成したアルミニウム箔からなる陽極箔11と、エッチング処理により表面を粗面化したアルミニウム箔からなる陰極箔12とを、その間に導電性高分子で被覆された導電性セパレータ13を介在させて巻回することにより構成されたものである。
14と15は上記陽極箔11と陰極箔12に夫々接続された外部導出用の陽極リードと陰極リード、17は上記コンデンサ素子19を図示しない駆動用電解液と共に収納した有底円筒状のアルミニウムからなる金属ケース、16は上記陽極リード14と陰極リード15が挿通する孔を備えて上記金属ケース17の開口部を封止した封口部材、18は陽極リード14と陰極リード15が挿通する孔を備えてこの封口部材16側に装着された絶縁性樹脂からなる絶縁座板である。この絶縁座板18の外表面に設けられた溝に沿って陽極リード14と陰極リード15を折り曲げることにより面実装型の電解コンデンサとしたものである。
上記駆動用電解液は有機溶媒と溶質と添加剤からなり、上記溶質の酸成分が有機酸と無機酸とを有し、かつ酸成分が塩基成分よりもモル比で過剰に含有した構成からなる。
上記有機溶媒としては、アルコール類〔メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール〕等が挙げられる。また、非プロトン性の有機溶媒としては、アミド系〔N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等〕、ラクトン類〔γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、α−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等〕、スルホキシド類〔スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド〕、環状アミド系〔エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等〕、ニトリル系〔アセトニトリル等〕、オキシド系〔ジメチルスルオキシド等〕、イミダゾリジノン系〔3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン、1,3,4,5−テトラメチル−2−イミダゾリジノン等〕である。
これらの有機溶媒は、単独あるいは数種類混合して用いることができる。
上記駆動用電解液の溶質の酸成分としての有機酸はポリカルボン酸およびモノカルボン酸を用いることができる。
上記ポリカルボン酸としては、脂肪族ポリカルボン酸:([飽和ポリカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸]、[不飽和ポリカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、イコタン酸])、芳香族ポリカルボン酸:(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)、脂環式ポリカルボン酸:(例えばシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等)が挙げられる。
上記モノカルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸(炭素数1〜30):([飽和モノカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸]、[不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸])、芳香族モノカルボン酸:(例えば安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸)、オキシカルボン酸:(例えばサリチル酸、マンデル酸、レゾルシン酸)、これらの内で好ましいのは電導度が高く熱的にも安定な、マレイン酸、フタル酸、安息香酸、ピロメリット酸、レゾルシン酸である。
また、上記駆動用電解液の溶質の酸成分としての無機酸としては、炭素化合物、水素化合物、ホウ素化合物、硫黄化合物、窒素化合物、リン化合物が挙げられる。代表的な無機酸の例として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、アルキル燐酸エステル、ホウ酸、ホウフッ酸、4フッ化ホウ酸、6フッ化リン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
また、酸成分として有機酸と無機酸の複合化合物を用いることができる。例えば、ボロジグリコール酸、ボロジ蓚酸、ボロジサリチル酸などが挙げられる。
上記駆動用電解液の溶質の塩基成分は、アルキル置換アミジン基を有する化合物で、イミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、脂環式アミジン化合物(ピリミジン化合物、イミダゾリン化合物)が挙げられる。具体的には、電導度が高く、インピーダンス性能の優れたコンデンサを提供できる、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,2−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−エチル−イミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−メチル−2−(3’ヘプチル)イミダゾリン、1−メチル−2−ドデシルイミダゾリン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチルイミダゾール、1−メチルベンゾイミダゾールが好ましい。
また、塩基成分としてアルキル置換アミジン基を有する化合物の4級塩を用いることもでき、炭素数1〜11のアルキル基またはアリールアルキル基で4級化されたイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、脂環式アミジン化合物(ピリミジン化合物、イミダゾリン化合物)が挙げられる。具体的には、電導度が高く、インピーダンス性能の優れたコンデンサを提供できる、1−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エチル−イミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−ヘプチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−(3’ヘプチル)イミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−ドデシルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルベンゾイミダゾリウムが好ましい。
また、塩基成分として三級アミンを用いることもでき、トリアルキルアミン類(トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルエチルn−プロピルアミン、メチルエチルイソプロピルアミン、ジエチルn−プロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリtert−ブチルアミンなど)、フェニル基含有アミン(ジメチルフェニルアミン、メチルエチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミンなど)が挙げられ、これらのうち好ましくは電導度が高い、トリアルキルアミンであり、更に好ましくはこの中でも電導度の高い、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミンからなる群より選ばれる1種以上を含むものである。
本発明の駆動用電解液における溶質の含有量は、駆動用電解液の重量に基づいて通常10〜95重量%、好ましくは20〜90重量%である。この範囲外では電導度が著しく低下する。
本発明の駆動用電解液の添加剤としては、リン系化合物(リン酸エステルなど)、ホウ酸系化合物(ホウ酸、ホウ酸と多糖類[マンニット、ソルビットなど]との錯化合物)、ホウ酸と多価アルコール(エチレングリコール、グリセリンなど)との錯化合物、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)が挙げられる。これら添加剤を加えることで駆動用電解液の火花電圧が上昇し好ましい場合がある。
また、添加剤に酸化防止剤を含有することができ、その酸化防止剤としてはフェノール化合物、アミン化合物、アゾ化合物、シラン化合物、キノン化合物、カルボン酸化合物が挙げられ、フェノール、メチルフェノール、エチルフェノール、ピロガロール、ヒドロキノン、ピロカテコール、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、クエン酸、アスコルビン酸、エチレンジアミン4酢酸、キナ酸、ルチン、フラボノイド、γ−オリザノール、トコフェノールベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、プロピオン酸ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、2,2'−メチレン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピナート、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルイソデシル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、トリスノニルフェニルホスファイト、ヒドロキシアニソール、1,4−ナフタレンジオール、トリメチルヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、アミノヒドロキノン、アミノフェノールなどが挙げられる。
以下、具体的な実施例について説明をする。
(実施例1〜11および比較例1〜2)
まず、ポリパラフェニレンテレフタラミドを主成分とする芳香族ポリアミド樹脂を原料にスパンボンド法により得られた不織布からなるセパレータの基材(基材の厚さ50μm、秤量25g/m2)を、過硫酸アンモニウム(濃度3重量%)と有機酸である、2−ナフタレンスルホン酸(濃度5重量%)を含有する水とエタノールとの混合溶媒に浸漬した。この際の酸化剤溶液の含浸量は15mg/cm2であった。このセパレータをピロールモノマーを入れた槽の上に載置して密閉状態で雰囲気温度を40℃に保ち、5分間放置後に取り出し、60℃の温水中で5分間洗浄した後、105℃で乾燥することにより導電性セパレータを得た。この導電性セパレータの電導度を測定した結果、2S/cmであった。
次に、エッチング処理により表面を粗面化した後に陽極酸化処理により誘電体酸化皮膜(化成電圧10V)を形成したアルミニウム箔からなる陽極箔と、アルミニウム箔をエッチング処理した陰極箔とを、上記導電性セパレータを介在させて巻回することによりコンデンサ素子を作製した。
続いて、このコンデンサ素子を(表1)に示すそれぞれの駆動用電解液に減圧条件(−700mmHg)下で浸漬し、コンデンサ素子の空隙部に駆動用電解液を含浸した。
次に、このコンデンサ素子を樹脂加硫ブチルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])と共に有底筒状のアルミニウムケースに挿入した後、アルミニウムケースの開口部をカーリング処理により封止し、更に陽極箔、陰極箔から夫々導出された両リード端子をポリフェニレンサルファイド製の絶縁座板に通し、そのリード部を扁平に折り曲げ加工して上記絶縁座板を固定した。
最後に、直流電圧6.3Vを1h連続的に印加(雰囲気温度105℃)することによりエージングを行い、面実装型の電解コンデンサを夫々作製した(サイズ:直径10mm×高さ10mm)。
上記実施例1〜11および比較例1〜2の電解コンデンサについて、これらの初期状態および105℃負荷試験後の電気特性を測定した結果を(表2)に示す。
Figure 0005824619
Figure 0005824619
(表2)から明らかなように、実施例1〜4の電解コンデンサは、駆動用電解液中の溶質の酸成分を塩基成分のモル比よりも過剰にすることにより、導電性セパレータに含有される酸であるドーパントが駆動用電解液中に脱ドープすることを抑制する効果を有することから、比較例1に比べて高周波領域でのESRが低く、かつ高信頼な電解コンデンサを得ることができる。
また、実施例5〜9の電解コンデンサは、上記実施例1〜4で用いた酸成分の有機酸をピロメリット酸、トリメリット酸、安息香酸、レゾルシン酸との混合したもの、及び無機酸として次亜リン酸、ナフタレンスルホン酸、ホウフッ酸、リン酸、エチルリン酸エステルを用い、酸化防止剤を添加した駆動用電解液を用いたものであるが、比較例2よりも特性が優れ、上記実施例1〜4の電解コンデンサと同等の特性を得ることができる。
なお、上記実施の形態ではチップ型電解コンデンサを用いたが、絶縁座板を用いない電解コンデンサについても同様の効果を奏することは言うまでもない。
本発明による電解コンデンサは、導電性セパレータと組み合わせて使用する駆動用電解液によって導電性セパレータを構成する導電性高分子の電導度が劣化する等の現象が発生することがないという格別の効果を有し、高周波領域におけるESRを効率良く低減し、かつ長期間安定した性能を発揮することが要望される用途に有用である。
11 陽極箔
12 陰極箔
13 導電性セパレータ
14 陽極リード
15 陰極リード
16 封口部材
17 金属ケース
18 絶縁座板
19 コンデンサ素子

Claims (3)

  1. 表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とがその間にセパレータを介在させて巻回された構成のコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を駆動用電解液と共に収納した有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封止した封口部材とを備える電解コンデンサにおいて、
    前記セパレータには、酸成分をドーパントとして含む導電性高分子が付着しており、
    前記駆動用電解液は、酸成分と塩基成分とを含む溶質と、溶媒とを含み、
    前記溶質は、三級アミンを前記塩基成分として含み、
    前記溶質は、前記酸成分を前記塩基成分よりもモル比で過剰に含むことを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 前記溶質は、カルボン酸を前記酸成分として含み、
    前記溶質は、前記カルボン酸を前記三級アミンよりもモル比で過剰に含むことを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記溶質は、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、マレイン酸、サリチル酸、安息香酸、レゾルシン酸から選ばれる少なくとも1種を前記酸成分として含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
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