JP5823230B2 - 燃料電池用電解質シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用電解質シート、詳しくは固体酸化物形燃料電池用電解質シートの製造方法に関する。
近年、燃料電池はクリーンエネルギー源として注目されている。燃料電池のうち、電解質に固体のセラミックを使用している固体酸化物形燃料電池は、作動温度が高いため排熱を利用でき、さらに高効率で電力を得ることができる等の長所を有しており、家庭用電源から大規模発電まで幅広い分野での活用が期待されている。
固体酸化物形燃料電池のセルは、基本構造として、カソード(空気極)とアノード(燃料極)との間にセラミックからなる電解質を配置した構造を有する。例えば平型の固体酸化物形燃料電池は、カソード、電解質シート及びアノードを重ね合わせたものを単セルとし、この単セルがインターコネクタを挟んで複数積み重ねられることによって高出力を得る。このように、カソード、電解質シート及びアノードを複数積み重ねる構造の場合、電解質シートの割れ等の破損を防ぐために、電解質シートには高い平坦性が要求される。
固体酸化物形燃料電池の電解質には、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)及びスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等のジルコニア系セラミック材料が好適に用いられる。したがって、電解質シートを得るためには、これらのジルコニア系セラミック材料からなる平坦性の高いシートを製造する必要がある。
セラミック材料からなるシート(セラミックシート)は、通常、セラミック原料粉末、バインダー及び溶剤等を混合及び粉砕して得られるスラリーをドクターブレード法等によりシート状に成形してグリーンシートを作製し、このグリーンシートを焼成することによって作製できる。
しかし、このような方法で得られるセラミックシートにはうねりが発生しやすく、平坦性の高いシートが得られにくいという問題がある。なお、ここでの「うねり」とは、シートの周縁部に存在する厚さ方向の凹凸であって、凹方向に2箇所以上又は凸方向に2箇所以上連続している変形(シートの局部的な変形)のことをいう。以下、本明細書において、「うねり」を同様の意味で用いる。
従来、セラミックシートに発生するうねりを抑制するための様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、セラミックグリーンシートを1600〜1800℃の温度で本焼成し、その後、反りが生じた焼結シートに対して1400〜1500℃の温度で反り修正焼成を行う方法が開示されている。
特許文献2には、セラミックグリーンシートを表面が平滑な耐火性の複数の板で挟持して400〜1000℃の温度で予備焼成し、次いで、予備焼成後のシートを、耐火性の複数の板からはずしてから、1000℃を超える温度で焼成する方法が開示されている。
特許文献3には、セラミックグリーンシートのみを多段に重ねて所定の温度(本来の焼成温度)よりも低い温度で焼成し、その後、得られたセラミック基板をセッターと交互に重ねて多段に積層して前記所定の温度で焼成する方法が開示されている。
特許文献4に開示されているシート状のジルコニア焼結体の製造方法では、重しを使用して、ジルコニアのグリーンシートに荷重をかけた状態で、このグリーンシートを焼成する。このときの重しは、重しの単位面積あたりの重量をW(g/cm2)、個々の重しの面積をS(cm2)、グリーンシートの単位面積あたりにかかる荷重をG(g/cm2)としたときに、S≦200、G≦5、W/G≧0.5の条件を満たすものとする。
特許文献5には、セラミックセッターの上にセラミックグリーンシートとセラミック多孔質スペーサとを交互に積み重ねて積層体とし、この積層体の最上部に、重しとして、静的曲げ弾性率が5〜15MPa、材質がアルミナ、ジルコニア、ムライト及び/又はコージェライト、かさ比率が0.8〜2、通気率が0.01〜0.1cm2、気孔率が50〜75%である多孔質焼成用治具を載置して焼成する、セラミックシートの製造方法が開示されている。
特開平5−136544号公報 特開昭63−295480号公報 特開平2−311370号公報 特開平6−9268号公報 特開2007−302515号公報
しかし、特許文献1〜5に開示されているような方法では、うねりを十分に低減することが困難であった。特に、特許文献4及び5に開示されているような、荷重をかけながら焼成を行う方法では、うねりのさらなる低減のために荷重をかけすぎると、シートが割れたりシートにクラックが入ったりしてしまうという新たな別の問題が発生するため、単に荷重を増加させてうねりを低減するのには限界があった。
そこで、うねりをさらに低減できるセラミックシートの製造方法が求められている。特に、固体酸化物形燃料電池に用いられる電解質シートは、ScSZのような高価格材料からなるため、コスト低減のためにも、うねりをさらに低減する必要があった。
本発明は、うねりが低減された高品質の電解質シートの製造に適した、燃料電池用電解質シートの製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者は、焼成時にシートに発生するうねりについて検討を行い、一旦生じたうねりを効果的に修正するためのさらなる焼成についての条件を見出して、以下の本発明の製造方法を完成するに至った。
本発明の第1の燃料電池用電解質シートの製造方法は、
(I)セラミック多孔質スペーサとジルコニア系グリーンシートとを交互に積み重ねて、前記セラミック多孔質スペーサと前記グリーンシートとからなる第1の積層体を作製し、前記第1の積層体中の前記グリーンシートを所定の温度で焼成する工程と、
(II)前記工程(I)によって得られた焼成シートを複数積み重ねて第2の積層体を作製し、前記第2の積層体に所定の荷重をかけて、前記工程(I)における焼成温度以下の温度で前記第2の積層体中の前記焼成シートを焼成する工程と、
を含み、
前記第2の積層体は、10〜100枚の前記焼成シートが互いに直接積み重ねられた焼成シート群を含んでいる。
本発明の第2の燃料電池用電解質シートの製造方法は、
(I)セラミック多孔質スペーサとジルコニア系グリーンシートとを交互に積み重ねて、前記セラミック多孔質スペーサと前記グリーンシートとからなる第1の積層体を作製し、前記第1の積層体中の前記グリーンシートを所定の温度で焼成する工程と、
(II)前記工程(I)によって得られた焼成シートを複数積み重ねて第2の積層体を作製し、前記第2の積層体に所定の荷重をかけて、前記工程(I)における焼成温度以下の温度で前記第2の積層体中の前記焼成シートを焼成する工程と、
を含み、
前記工程(II)の焼成において、最高温度から、前記最高温度よりも100℃低温までの降温速度が、5℃/min以下である。
本発明の第1及び第2の燃料電池用電解質シートの製造方法は、うねりが低減された高品質の電解質シートを製造するのに適しており、例えば焼成温度条件や焼成時にかける荷重条件に制約がある場合であっても、その制約の中でより高品質の電解質シートを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について、具体的に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1における燃料電池用電解質シートの製造方法は、電解質シートを作製するためのグリーンシートを、2段階で焼成する方法である。具体的には、
(I)セラミック多孔質スペーサとジルコニア系グリーンシートとを交互に積み重ねて、前記セラミック多孔質スペーサと前記グリーンシートとからなる第1の積層体を作製し、前記第1の積層体中の前記グリーンシートを所定の温度で焼成する工程と、
(II)前記工程(I)によって得られた焼成シートを複数積み重ねて第2の積層体を作製し、前記第2の積層体に所定の荷重をかけて、前記工程(I)における焼成温度以下の温度で前記第2の積層体中の前記焼成シートを焼成する工程と、
が含まれる。なお、工程(II)において、「工程(I)における焼成温度以下の温度で焼成シートを焼成する」とは、工程(II)の焼成時の最高温度が、工程(I)の焼成時の最高温度以下であることを意味する。以下、同様に、焼成の温度とは、焼成時の最高温度のことを意味する。
工程(I)の焼成(以下、1次焼成という。)における所定の温度とは、ジルコニア系グリーンシートに含まれるセラミックの焼成温度のことであり、グリーンシートに含まれるジルコニア系原料粉末及びその粒度等によって決定される。工程(II)の焼成(以下、2次焼成という。)では、1次焼成によって焼結した焼成シートを、1次焼成の温度を超えない温度でさらに焼成する。この2次焼成によって、1次焼成後の焼成シートに発生しているうねりを矯正できる。2次焼成の温度は、1次焼成の温度以下であればよいが、効果的にうねりを矯正するために、1次焼成の温度に近い方が望ましい。したがって、2次焼成の温度は、好ましくは1次焼成温度と1次焼成温度よりも200℃低い温度との間、より好ましくは1次焼成温度と1次焼成温度よりも100℃低い温度との間、さらに好ましくは1次焼成温度と1次焼成温度よりも50℃低い温度との間である。
さらに、本実施の形態の製造方法では、第2の積層体が、10〜100枚の焼成シートが互いに直接積み重ねられた焼成シート群を含むように作製される。第2の積層体は、1次焼成によって得られた焼成シートを選別せずに積み重ねて作製してもよいし、1次焼成でうねりが発生している焼成シートのみを積み重ねて作製してもよい。このように、複数の焼成シート同士を直接積み重ねて2次焼成を行うことで、従来のように焼成シートとセラミック平板とを交互に積み重ねて2次焼成を行うよりも、焼成シートに発生しているうねりをより高い確率で矯正できる。ただし、うねりを有する焼成シートを多数重ね合わせる場合、間に異物が混入すると異物近傍の多数の焼成シートに異物の痕跡が残って不良となるおそれがある。このような不良を防ぐために、第2の積層体を、複数の前記焼成シート群がセラミック平板を介して互いに積み重ねられた構成を有するように形成してもよい。言い換えれば、第2の積層体を、互いに積み重ねられた複数の焼成シート群と、隣り合う2つの焼成シート群の間にそれぞれ配置されたセラミック平板とを含む構成を有するように、形成してもよい。
以下、本実施の形態の製造方法について、より具体的に説明する。
まず、工程(I)で用いられるジルコニア系グリーンシートについて説明する。本実施の形態の製造方法において用いられるジルコニア系グリーンシートは、例えば、ジルコニア系原料粉末に、バインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤及び消泡剤等を添加してスラリーを調製し、このスラリーをシート状に成形して乾燥させることによって得ることができる。ジルコニア系原料粉末としては、MgO、CaO、SrO及びBaO等のアルカリ土類金属酸化物;Sc23、Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23及びYb23等の希土類元素酸化物;及び、Bi23及びIn23等の酸化物、から選択される1種もしくは2種以上を、安定化剤として含有するジルコニアの粉末を例示できる。さらに、その他の添加剤として、SiO2、Ge23、B23、SnO2、Ta25及びNb25から選択されるいずれかの酸化物が含まれていてもよい。これらの中でも、より高レベルの酸素イオン伝導性、強度及び靭性を確保する上で好ましいのは、スカンジア、イットリア、セリア及びイッテルビアからなる群から選択される少なくともいずれか1種を安定化剤として含む、安定化ジルコニアである。安定化ジルコニア全体における安定化剤の含有量は、スカンジアで4〜12モル%、イットリアで3〜10モル%、セリアで0.5〜2モル%、イッテルビアで4〜15モル%である。結晶系は正方晶系であってもよいし立方晶系であってもよいが、スカンジアを含むジルコニアの場合、スカンジアの含有量が多くなると結晶系が菱面体晶に転移することがあるので、結晶系を立方晶系に安定化するために、第三成分としてセリアやアルミナ等を加えてもよい。
本実施の形態で用いられるジルコニア系グリーンシートは、以上のようなジルコニア系原料粉末を用いて作製されるものであり、スカンジア、イットリア、セリア及びイッテルビアからなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むジルコニア系シートであることが好ましい。また、本実施の形態の製造方法は、スカンジアを含むジルコニア系グリーンシートに対してより効果を得やすい(うねりを低減しやすい)ので、スカンジア安定化ジルコニアの粉末や、スカンジア−セリア安定化ジルコニアの粉末等が、ジルコニア系原料粉末として好適に用いられる。例えばスカンジア安定化ジルコニアは、イットリア安定化ジルコニアに比べて、焼成時の最高温度が20〜60℃低い温度であっても、理論密度に対するアルキメデス法で測定した電解質シート密度は、いずれも98%以上でほぼ同等となる傾向を有する。このことから、スカンジア安定化ジルコニアは、イットリア安定化ジルコニアと比較して、熱に対してより敏感で反応性が高い特性を有していると判断される。このような理由から、スカンジアを含むジルコニア系グリーンシートは、本実施の形態の製造方法における工程(II)の焼成によって、うねりが矯正されやすいと推察される。
グリーンシートの作製に用いられるバインダーの種類には制限がなく、従来の電解質シートの製造方法で公知となっている有機バインダーの中から適宜選択できる。有機バインダーとしては、エチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系及びメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチルセルロース等のセルロース類及びワックス類等が例示される。これらの中でもグリーンシートの成形性や強度、特に量産のために大量焼成するときの熱分解性などの点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数10以下のアルキル基を有するアルキルアクリレート類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等の炭素数20以下のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレート類;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルアクリレート又はアミノアルキルメタクリレート類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、モノイソプロピルマレート等のマレイン酸半エステル等のカルボキシル基含有モノマー等の中から少なくとも1種を重合又は共重合させることによって得られるポリマーが好ましく使用される。
グリーンシートの作製に用いられる溶剤の種類には制限がなく、従来の電解質シートの製造方法で公知となっている溶剤の中から適宜選択できる。例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、等の中から適宜選択した溶剤を、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜混合して使用してもよい。
必要に応じて用いられる分散剤、可塑剤、潤滑剤及び消泡剤には、従来の製造方法で電解質シートを製造する際に用いられる公知の分散剤、可塑剤、潤滑剤及び消泡剤を、それぞれ用いることができる。
ジルコニア系原料粉末、バインダー及び溶剤等を混合して作製されたスラリーを、通常の方法、例えばドクターブレード法、押出成形法又はカレンダーロール法等によりシート状に成形し、乾燥させて、所定の形状に切断することによって、ジルコニア系グリーンシートを作製できる。グリーンシートの大きさ及び厚さは、目的とする電解質シートの大きさ及び厚さと、焼成による収縮率とから求められる。本実施の形態の製造方法で用いられるグリーンシートは、例えば最終的に得られる電解質シートが50〜1000cm2の面積を有し、且つ0.05〜0.5mmの厚さを有するように、その大きさ及び厚さを決定できる。
グリーンシートの形状は、電解質シートが適用される固体酸化物形燃料電池の形状に応じて適宜決定されればよいため、特に制限されない。
上記のように作製されたグリーンシートと、セラミック多孔質スペーサとを交互に積み重ねて、前記グリーンシートと前記セラミック多孔質スペーサとからなる第1の積層体を作製し、セラミックセッター上に配置する。通常、第1の積層体は、その最下層及び最上層にセラミック多孔質スペーサが配置されるように作製される。第1の積層体において積み重ねられるグリーンシートの枚数は、その寸法にもよるが、例えば2〜20枚であり、好ましくは4〜12枚である。なお、セラミックセッター及びセラミック多孔質スペーサには、電解質シートを作製する際に一般的に用いられる、公知のセラミックセッター及びセラミック多孔質スペーサが使用できる。
本実施の形態の製造方法において用いられるセラミック多孔質スペーサは、アルミナ、ジルコニア及びムライトからなる群から選択される少なくともいずれか1種を含む多孔質体からなることが好ましい。これらは、耐クリープ性及び耐スポーリング性に優れており、高温雰囲気下でジルコニアとの反応性が低いためである。
セラミック多孔質スペーサの気孔率は、30%以上70%以下が好ましい。セラミック多孔質スペーサがこのような気孔率を有することにより、セラミック多孔質スペーサとジルコニア系グリーンシートとを交互に積み重ねた状態でジルコニア系グリーンシートを焼成する際に、バインダー、可塑剤及び分散剤等の有機成分の熱分解によって生成するガス成分を速やかに外部に放出させて脱脂効果を促進できるからである。気孔率が30%未満である多孔質スペーサを使用すると、通気性の低下によって有機成分の燃焼及び有機成分分解ガスの放出が不十分となり、積層体上に重しを載置しても、電解質シートに発生するうねりの高さが大きく、且つ多くなり、クラックや割れが生じる原因になる。一方、気孔率が70%を超える多孔質スペーサを使用すると、有機成分の燃焼及び有機成分分解ガスの効率的な放出が行われてうねりの発生は低減されるが、多孔質スペーサ自体の強度が不十分となるため、ハンドリング性が著しく低下して複数回の使用に耐えられなくなる他、多孔質スペーサ表面の平滑性も悪くなって電解質シートにクラックや割れが生じやすくなる等の問題が生じる。多孔質スペーサのより好ましい気孔率は35%以上65%以下であり、さらに好ましい気孔率は40%以上60%以下である。
なお、ここでいう気孔率とは、JIS R2205の「耐火れんがの見掛気孔率の測定方法」に準拠して求められる気孔率のことである。試料の見掛気孔率(P0)は、乾燥試料の質量(W1)、飽水試料の水中の質量(W2)、飽水試料の質量(W3)から、下記式(1)で算出される。
0={(W3−W1)/(W3−W2)}×100 ・・・(1)
また、多孔質スペーサの厚さが100μm未満では、気孔率が上記の好ましい範囲内であっても多孔質スペーサ自体のハンドリング強度が十分でなく、一方、厚さが500μmを超えると、ハンドリング強度は十分であるがジルコニア系グリーンシートからの有機成分分解ガスが効率良く放散されにくくなり、電解質シートにうねりが発生しやすくなる。多孔質スペーサのより好ましい厚さは120μm以上400μm以下であり、さらに好ましい厚さは150μm以上350μm以下である。
多孔質スペーサの面積及び形状は、目的とする電解質シートの面積及び形状から特定されるジルコニア系グリーンシートの面積及び形状に基づいて決定される。したがって、多孔質スペーサの形状は、焼成するグリーンシートの形状と相似形であることが好ましく、円形、楕円形、角形又はR(アール)を持った角形等、いずれでもよく、これらの形状内に円形、楕円形、角形又はR(アール)を持った角形等の穴を有するものであってもよい。
ジルコニア系グリーンシートは、多孔質スペーサと交互に積み重ねられた状態で焼成されるので、ジルコニア系グリーンシートにかかる荷重が均一になるようにする必要がある。そのためには、多孔質スペーサの面積は、ジルコニア系グリーンシートの面積よりも若干大きく、且つジルコニア系グリーンシートが多孔質スペーサの周縁からはみ出ないようにすることが好ましい。具体的には、ジルコニア系グリーンシートの周縁から多孔質スペーサがはみ出る寸法は、0.5〜5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜3mm、特に好ましくは1〜2mmの範囲内である。そのための多孔質スペーサの好ましい面積は80cm2以上500cm2以下であり、より好ましい面積は100cm2以上400cm2以下となる。なお、多孔質スペーサの面積とは、スペーサに穴が設けられている場合は、当該穴の面積を含んだ多孔質スペーサ表面の面積(外形によって決定される面積)を意味する。
本実施の形態の製造方法において用いられるセラミックセッターは、一般に、主に電子部品やガラスの焼成に使用されるセラミック製の焼成用治具のことであり、棚板や敷板とも呼ばれる。本実施の形態で用いられるセラミックセッターは、アルミナ、シリカ、マグネシア及びジルコニア等の酸化物、及び/又は、コージェライト、ジルコニア及びムライト等の複合酸化物を含み、厚さが5〜30mm程度で、一辺が150〜400mm程度の平板状であり、セラミック多孔質スペーサが載置される敷板であることが好ましい。
次に、第1の積層体中のグリーンシートを焼成する(1次焼成)。1次焼成は、例えば第1の積層体に所定の荷重をかけた状態で行われる。第1の積層体に含まれるグリーンシートに例えば0.1〜1.0g/cm2(好ましくは0.2〜0.5g/cm2)の荷重がかかるように、セラミック多孔質スペーサの重量も考慮しながら、第1の積層体上に重しを載置する。重しには、例えば板状又はブロック状の多孔質セラミックが使用される。すなわち、第1の積層体中のグリーンシートにかかる、セラミック多孔質スペーサによる荷重と、重しによる荷重との合計が、0.1〜1.0g/cm2の範囲内となるように調整する。1次焼成における焼成温度は、グリーンシートに含まれるジルコニア系原料粉末及びその粒度等に応じて適宜決定されるが、スカンジア、イットリア、セリア及びイッテルビアからなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むジルコニアが原料粉末として用いられている場合は、例えば1200〜1600℃、好ましくは1250〜1550℃、より好ましくは1300〜1500℃の範囲内とできる。なお、1次焼成時の昇温速度及び降温速度は、特に限定されない。
次に、1次焼成によって得られた焼成シートを複数積み重ねて、第2の積層体を作製する。この第2の積層体は、1次焼成によって得られた焼成シートを選別せずに積み重ねて作製してもよいし、1次焼成でうねりが発生している焼成シートのみを積み重ねて作製してもよい。上述のとおり、第2の積層体は、10〜100枚の焼成シートが互いに直接積み重ねられた焼成シート群を含むように作製される。積層体がうねりを有する焼成シートを多数重ね合わせる場合、重ね合わされた焼成シートが互いにずれないように積層体全体をテープ等で固定してもよい。また、焼成シート間に異物が混入すると異物近傍の多数の焼成シートに異物の痕跡が残って不良となるおそれがあるので、第2の積層体を、複数の前記焼成シート群がセラミック平板を介して互いに積み重ねられた構成を有するように形成してもよい。この際、第2の積層体に用いられるセラミック平板は、多孔体でも緻密体でもよいが、うねりを効果的に矯正するためには緻密体であることが好ましい。本実施の形態の製造方法において用いられるセラミック平板は、アルミナ、ジルコニア及びムライトからなる群から選択される少なくともいずれか1種を含む材料によって形成されていることが好ましい。これらは、耐クリープ性及び耐スポーリング性に優れており、高温雰囲気下でジルコニアとの反応性が低いためである。
次に、第2の積層体中の焼成シートを焼成する(2次焼成)。2次焼成は、第2の積層体に所定の荷重をかけた状態で行われる。第2の積層体に含まれる焼成シートに例えば5.0〜80.0g/cm2(好ましくは15.0〜50.0g/cm2、より好ましくは20.0〜40.0g/cm2)の荷重がかかるように、セラミック平板の重量も考慮しながら、第2の積層体上に重しを載置する。重しには、例えば板状又はブロック状の多孔質セラミックが使用される。このとき、シート面積が大きくなると、上記適性荷重が焼成シートにかかるようにするためには非常に大きな重しが必要となる。そこで、うねりが存在するシートの周縁部にのみ荷重がかかるようにするために、第2の積層体上に、中央部が空洞で周縁部のみが板状又はブロック状の多孔質セラミックを使用することが好ましい。
2次焼成における昇温速度及び降温速度は、特には限定されない。しかし、降温速度については、最高温度から当該最高温度よりも100℃低温までの降温速度を5℃/min以下として、徐冷することが好ましい。2次焼成においてこのような降温条件が満たされることにより、1次焼成後のシートに発生しているうねりを、2次焼成によってより高い確率で矯正できる。
うねりを矯正するために、2次焼成時の最高温度から室温までの温度範囲の降温速度を10℃/min以下とすることがより好ましく、8℃/min以下とすることがより好ましく、5℃/min以下とすることがさらに好ましい。また、うねり矯正のためには、より低温度まで徐冷することが好ましい。そのため、より好ましくは最高温度から当該最高温度よりも200℃低温まで、さらに好ましくは最高温度から当該最高温度よりも300℃低温までの降温速度を、5℃/min以下(より好ましくは2℃/min以下、さらに好ましくは1℃/min以下、特に好ましくは0.5℃/min以下)とすることが好ましい。ここでいう降温速度は、通常、炉温度をプログラム制御する温度調整器を用いて調整される降温速度である。実際の炉の温度は、温度調整器の指示温度と必ずしも完全には一致していないが、本発明では、これらの誤差を含めた温度変化の平均値を降温速度とみなす。
なお、2次焼成時の昇温速度は、特に限定されない。本実施の形態の製造方法において、例えば、2次焼成時の昇温速度を1℃/minとした時のうねり矯正率と、昇温速度をこれよりも速くした場合又は遅くした場合のうねり矯正率とを比較しても、うねり矯正率の結果に大きな差は見られない。
2次焼成後に得られた焼結シートは、うねりが矯正された、平坦性に優れているシートであり、固体酸化物形燃料電池の電解質シートとして利用される。
(実施の形態2)
実施の形態2における燃料電池用電解質シートの製造方法は、実施の形態1と同様に、(I)セラミック多孔質スペーサとジルコニア系グリーンシートとを交互に積み重ねて、前記セラミック多孔質スペーサと前記グリーンシートとからなる第1の積層体を作製し、前記第1の積層体中の前記グリーンシートを所定の温度で焼成する工程と、
(II)前記工程(I)によって得られた焼成シートを複数積み重ねて第2の積層体を作製し、前記第2の積層体に所定の荷重をかけて、前記工程(I)における焼成温度以下の温度で前記第2の積層体中の前記焼成シートを焼成する工程と、
を含んでいる。
本実施の形態の製造方法は、2次焼成(工程(II)における焼成)時の第2の積層体の構成及び降温速度が実施の形態1の製造方法とは異なるものの、これら以外は実施の形態1の製造方法と同じである。そのため、ここでは実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
本実施の形態の製造方法では、ジルコニア系グリーンシートの1次焼成によって得られた焼成シートをさらに2次焼成する際に、最高温度から当該最高温度よりも100℃低温までの降温速度を5℃/min以下として徐冷する、という特徴を有する。このような降温条件を満たすことにより、1次焼成後のシートに発生しているうねりを、2次焼成によって高い確率で矯正できる。
うねりを矯正するために、2次焼成時の最高温度から室温までの温度範囲の降温速度を10℃/min以下とすることがより好ましく、8℃/min以下とすることがより好ましく、5℃/min以下とすることがさらに好ましい。また、うねり矯正のためには、より低温度まで徐冷することが好ましい。そのため、好ましくは最高温度から当該最高温度よりも200℃低温まで、より好ましくは最高温度から当該最高温度よりも300℃低温までの降温速度を、5℃/min以下(好ましくは2℃/min以下、より好ましくは1℃/min以下、さらに好ましくは0.5℃/min以下)とするとよい。なお、2次焼成における降温速度がうねり矯正に影響を及ぼすことの技術的理由は明らかではないが、急速に冷却した場合、ジルコニア系シートの周縁部と中央部との間で生じる温度差で歪が生じ、これが、ジルコニア系シートがわずかに柔軟性を有する高温の場合にはうねりを生じさせる原因となると予想される。ゆえに、高温度域での降温速度の制御が重要である。ここでいう降温速度は、実施の形態1でも説明したとおり、通常、炉温度をプログラム制御する温度調整器を用いて調整される降温速度である。実際の炉の温度は、温度調整器の指示温度と必ずしも完全には一致していないが、本発明では、これらの誤差を含めた温度変化の平均値を降温速度とみなす。
第2の積層体の構成は、特には限定されない。第2の積層体は、1次焼成によって得られた焼成シートを選別せずに積み重ねて作製してもよいし、1次焼成でうねりが発生している焼成シートのみを積み重ねて作製してもよい。焼成シートを選別せずに積み重ねる場合は、第1の積層体をそのまま第2の積層体として使用することもできるし、第1の積層体を一度ばらして、新たに第2の積層体を作製することもできる。第2の積層体では、焼成シートがスペーサとして機能するセラミック平板と交互に積み重ねられてもよいが、さらなるうねり矯正効果を得るために、第2の積層体に実施の形態1の製造方法と同様の構成を適用してもよい。
なお、2次焼成時の昇温速度は、特に限定されない。例えば、2次焼成時の昇温速度を1℃/minとした時のうねり矯正率と、昇温速度をこれよりも速くした場合又は遅くした場合のうねり矯正率とを比較しても、うねり矯正率の結果に大きな差は見られない。
次に、本発明について、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
<グリーンシートの作製方法>
スカンジア安定化ジルコニアのグリーンシートを作製した。まず、市販のスカンジア安定化ジルコニア((ZrO20.92(Sc230.08)(以下、「8ScSZ」と記載する。)粉末(第一稀元素化学工業株式会社製、商品名「8ScSZ」、平均粒径:0.6μm)100質量部に対して、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量%)を固形分換算で15質量部、分散剤としてソルビタン酸トリオレート2質量部、可塑剤としてジブチルフタレート3質量部、溶剤としてトルエン/酢酸エチル混合溶剤(質量比:3/2)50質量部を、ジルコニアボールが装入されたナイロンポットに入れ、35時間混練して8ScSZスラリーを調製した。得られたスラリーを、碇型の攪拌機を備えた内容積50Lのジャケット付丸底円筒型減圧脱法容器へ移し、攪拌機を30rpmの速度で回転させながら、ジャケット温度40℃として減圧下(約4〜21kPa)で濃縮脱泡して粘度を2Pa・sに調整し、塗工用スラリーとした。この塗工用スラリーを塗工装置のスラリーダムに移し、ドクターブレード法によってポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、塗工部に続く乾燥部(50℃、80℃及び110℃の3ゾーンを有する乾燥部)を0.4m/分の速度で通過させて乾燥させることにより、厚さ180μmの8ScSZグリーンシートを得た。このグリーンシートを切断して、直径が約118mmの円形の8ScSZグリーンシートを得た。イットリア安定化ジルコニアのグリーンシートは、イットリア安定化ジルコニア(3YSZ)(以下、「3YSZ」と記載する。)粉末(第一稀元素化学工業株式会社製、商品名「HSY−3.0」)を用いたこと以外は、8ScSZグリーンシートと同様の方法で作製した。
<セラミック多孔質スペーサの作製>
市販の低ソーダアルミナ粉末(昭和電工株式会社製、商品名「AL−13」、平均粒径:55μm)100質量部に対して、グリーンシートの作製時に用いた上記バインダー12質量部、上記分散剤1質量部、上記可塑剤2質量部及び上記溶剤35質量部を加え、グリーンシート作製時と同様の方法でアルミナスラリーを調製した。このアルミナスラリーの粘度を、グリーンシート作製時と同様の方法で10Pa・sに調整して、塗工用スラリーとした。この塗工用スラリーを、グリーンシート作製時と同様の方法でPETフィルム上に塗工し、さらに乾燥させた。ただし、乾燥部の通過速度は0.8m/分であった。これにより、厚さ200μmのアルミナグリーンシートを得た。このアルミナグリーンシートを切断して、直径が約130mmの円形のアルミナグリーンシートを得た。
切断された円形のアルミナグリーンシートを、表面が研磨されたアルミナ板上に載置し、その上に刷毛を用いてコーンスターチを均一に塗布した。その上に、さらに円形のアルミナグリーンシートを重ね合わせた。同様の操作を繰り返して、合計10枚のアルミナグリーンシートを、コーンスターチを介して重ね合わせた。この状態で、大気雰囲気下で500℃にて脱脂を行い、その後1580℃で2時間焼成して、セラミック多孔質スペーサを得た。得られたスペーサは、厚さ180μm、直径120mm、気孔率45%、質量4.4gであった。
<1次焼成(本発明における工程(I)の焼成)>
300mm角セラミックセッターの上に、上記の方法で作製されたセラミック多孔質スペーサ及びグリーンシートからなる第1の積層体を配置した。具体的には、セラミックセッターの上にセラミック多孔質スペーサを4枚並べて載置し、それぞれの上にグリーンシートを載置した。これらグリーンシートそれぞれの上に、さらに、セラミック多孔質スペーサ及びグリーンシートを交互に積み重ねて、最終的に、最下層及び最上層にセラミック多孔質スペーサが配置された、6枚のセラミック多孔質スペーサと5枚のグリーンシートとからなる4組の第1の積層体をセラミックセッター上に配置した。第1の積層体の最上層に位置するセラミック多孔質スペーサ上に、重しとして、ムライトとアルミナの結晶相を持つ約50gの多孔質ブロック(気孔率58%)を載置した。4組の積層体が配置されたセラミックセッター10枚(合計40組の積層体)を、コンベアベルト上に載置し、間口340mm、高さ20mm、前方が約500℃以下で温度設定可能な脱脂ゾーン、後方が約1500℃以下で温度設定可能な焼成ゾーンとなっているトンネル炉式の連続加熱炉に走行速度0.3m/時間で投入して、1400℃を最高温度として1次焼成を行った。1次焼成での降温速度は、1400℃〜1050℃まで1.2℃/minとした。なお、ここで、連続炉における昇降温速度とは、隣り合うゾーンの温度(通常は、ゾーンの長さ方向の中央に配置される温度計(熱電対)の指示値)差を、その間の移動時間で除した数値である。
<2次焼成(本発明における工程(II)の焼成)>
1次焼成によって得られた焼成シートのうち、うねりが発生している焼成シートのみを抜き出して、表1に示すような重ね方で第2の積層体を作製した。例えば、試験例1の第2の積層体は、焼成シート50枚が互いに直接積み重ねられた焼成シート群を有しており、この焼成シート群3つがセラミック平板(株式会社ニッカトー製、アルミナ緻密板、SSA−S、約100mm角、厚さ1mm)を介して互いに積み重ねられることによって形成されていた。なお、1次焼成によって得られた焼成シートのうねりの有無は、以下のうねり評価方法によって確認した。第2の積層体の最上層及び最下層にも、セラミック平板を配置した。第2の積層体の最上層に位置するセラミック平板上に、重しとして、ムライトとアルミナの結晶相を持つ多孔質ブロック(気孔率19%)を、表1に示す荷重となるように載置した。なお、2次焼成では、セラミック平板の重量に基づく荷重は重しによる荷重よりもかなり小さかった。そのため、ここでは、重しによる荷重を第2の積層体の焼成シートにかかる荷重として問題はない。重しが載置された第2の積層体を有効容積約0.4m3の電気炉に投入し、表1に示す2次焼成温度が最高温度となるように、2次焼成を行った。電気炉の昇温速度は1℃/minであった。第2の積層体を2次焼成温度で3時間保持した後、表1に示す降温速度で冷却した。2次焼成後の焼成シートに対し、以下のうねり評価方法でうねりを評価して、うねりが回復した焼成シートの数を求めた。その結果から、うねり矯正率((うねりが回復した焼成シートの数(割れたシートを除く)/2次焼成を行った焼成シートの全数)×100)を求めた。結果は、表1に示されている。
<うねり評価方法>
「うねり」とは、シートの周縁部に存在する厚さ方向の凹凸であって、凹方向に2箇所以上又は凸方向に2箇所以上連続している変形(シートの局部的な変形)のことである。本実施例では、このような変形のうち、凹凸の高低差の最大値が20μmを超えているものをうねりと判断し、高低差の最大値をうねり高さとした。1次焼成後の焼成シート及び2次焼成後の焼成シートに対し、以下のうねり高さの測定方法によって、各シートの周縁部の高低差を測定し、高低差の最大値が20μmを超えている変形が確認された焼成シートをうねり有り、このような変形が確認されなかった焼成シートをうねり無し、と評価した。
<うねり高さの測定>
うねり高さは、レーザ光学式非接触三次元形状測定装置(UBM社製、商品名「UBM1−14型 マイクロフォーカス エキスパート」、光源:半導体レーザ(780nm)、スポット径:1μm、垂直分離能:0.01μm)を使用して測定された。装置ワーク台上の目視でうねりが観察される1次焼成後の焼成シート表面にレーザ光を照射し、スキャンさせて測定される最大高さ位置と最低高さ位置との差から求めた。うねり高さの測定の場合、スキャン方向はうねりの山頂部と谷底部とを通る方向であり、1つの焼成シート内に複数のうねりが観察される場合は、大きいと判断される順に4方向スキャンさせて測定した。また、2次焼成後の焼成シートについても、同様にうねり高さを測定した。
Figure 0005823230
2次焼成の降温速度以外の条件が同じである試験例1〜4の結果を比較すると、2次焼成の最高温度1300℃から、それよりも300℃低い1000℃までの降温速度が5℃/min以下を満たす試験例1〜3は、試験例4と比較してうねり矯正率が高かった。さらに、降温速度を2℃/minとするとうねり矯正率がより高くなり、降温速度を0.5℃/minとするとうねり矯正率がさらに高くなることもわかった。2次焼成の降温速度以外の条件が同じである、試験例5〜8の結果同士、試験例9〜12の結果同士をそれぞれ比較しても、同様の結果が得られた。
2次焼成の降温速度以外の条件が同じである試験例13〜16の結果を比較すると、2次焼成の最高温度1350℃から、それよりも50℃低い温度までは降温速度が0.5℃/minであったが、それよりも低い温度では降温速度が5℃/minを超えていた試験例13は、2次焼成の最高温度から100℃以上低い温度まで0.5℃/minの降温速度を維持した試験例14〜16と比較して、うねり矯正率は低かった。
2次焼成時の焼成シートの重ね方以外の条件が同じである、試験例1〜4と試験例9〜12とをそれぞれ比較すると、複数の焼成シートを互いに直接積み重ねる方が、焼成シートとセラミック平板とを交互に配置するよりも、うねり矯正率が高かった。すなわち、他の条件が同じ場合は、複数の焼成シートを互いに直接積み重ねた状態で2次焼成する方が、高い確率でうねりを矯正できるという結果が得られた。
試験例19〜21の結果を比較して荷重の影響を確認すると、2次焼成時の荷重が大きい方がうねりを矯正しやすくなるものの、荷重が大きすぎるとシート同士が融着し、割れてしまうという結果となった。
試験例2及び18を比較して焼成温度の影響を確認すると、2次焼成時の温度が高い方がうねりを矯正しやすくなるものの、温度を高くするとシート同士が融着し、割れてしまうという結果となった。また、試験例5に対して焼成シートの重ね方を変えた試験例17についても、高いうねり矯正率を得ることができた。
本発明の燃料電池用電解質シートの製造方法は、平坦性の高い電解質シートを提供できるので、例えば電解質シートが高価格材料からなる場合であっても、電解質シートの製造方法として好適に利用できる。

Claims (6)

  1. (I)セラミック多孔質スペーサとジルコニア系グリーンシートとを交互に積み重ねて、前記セラミック多孔質スペーサと前記グリーンシートとからなる第1の積層体を作製し、前記第1の積層体中の前記グリーンシートを所定の温度で焼成する工程と、
    (II)前記工程(I)によって得られた焼成シートを複数積み重ねて第2の積層体を作製し、前記第2の積層体に所定の荷重をかけて、前記工程(I)における焼成温度以下の温度で前記第2の積層体中の前記焼成シートを焼成する工程と、
    を含み、
    前記第2の積層体は、10〜100枚の前記焼成シートが互いに直接積み重ねられた焼成シート群を含んでおり、
    前記工程(II)において、前記第2の積層体に含まれる前記焼成シートにかかる荷重が5.0〜80.0g/cm 2 である、
    燃料電池用電解質シートの製造方法。
  2. 前記第2の積層体は、複数の前記焼成シート群が、セラミック平板を介して互いに積み重ねられた構成を有する、
    請求項1に記載の燃料電池用電解質シートの製造方法。
  3. 前記工程(II)の焼成において、最高温度から、前記最高温度よりも100℃低温までの降温速度が、5℃/min以下である、
    請求項1又は2に記載の燃料電池用電解質シートの製造方法。
  4. (I)セラミック多孔質スペーサとジルコニア系グリーンシートとを交互に積み重ねて、前記セラミック多孔質スペーサと前記グリーンシートとからなる第1の積層体を作製し、前記第1の積層体中の前記グリーンシートを所定の温度で焼成する工程と、
    (II)前記工程(I)によって得られた焼成シートを複数積み重ねて第2の積層体を作製し、前記第2の積層体に所定の荷重をかけて、前記工程(I)における焼成温度以下の温度で前記第2の積層体中の前記焼成シートを焼成する工程と、
    を含み、
    前記工程(II)の焼成において、最高温度から、前記最高温度よりも100℃低温までの降温速度が、5℃/min以下であり、
    前記工程(II)において、前記第2の積層体に含まれる前記焼成シートにかかる荷重が5.0〜80.0g/cm 2 である、
    燃料電池用電解質シートの製造方法。
  5. 前記グリーンシートが、スカンジア、イットリア、セリア及びイッテルビアからなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むジルコニア系グリーンシートである、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質シートの製造方法。
  6. 前記セラミック多孔質スペーサが、アルミナ、ジルコニア及びムライトからなる群から選択される少なくともいずれか1種を含む多孔体である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用電解質シートの製造方法。
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