JP5822226B2 - ボビン搬送装置、スワイベルヘッドおよびスワイベル装置 - Google Patents
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Description
かかる状況から、日本の国内織産地の生産量、とりわけ播州織産地の生産量も減少している。播州織の歴史の中には、大正11年開発のラペット織、昭和24年開発のスワイベル織、昭和28年開発のループ織等があり。それらは刺繍として使われてきた。現在、播州織技法のスワイベル織を用いて、織物産地では過去に例のない新しい縫製品を製造、納期短縮、コストダウン、高付加価値化を目指して数々の研究が行われている。
シャトル動作時に懸念されるのが、シャトルの誤動作によって発生する織機の筬(オサ)の損傷である。また、シャトルの誤動作によって発生する経糸(縦糸)の糸切れである。シャトルの誤動作によって発生する糸切れの本数は数百本程度に及ぶことから損害は大きい。
近年、上述した納期短縮やコストダウンを図るべく生産性を向上するために、シャトルの移動の高速化が益々要求されており、それと同時にシャトルの誤動作による被害を回避する装置が要望されている。
ボビンがシャトルに取り付けられている場合、ボビンが経糸(縦糸)の周囲を上下左右に行き来し、横糸としてのスワイベル糸を縦糸に通していくことになる。ボビンが高速に移動する勢いで、ボビンから糸が過剰に巻き出されることがある。
本発明者は、既に、ボビンの過剰な糸巻き出しを抑制し、シャトル移動の十分な高速化を図れることができる織機の糸張力装置を提案している(特許文献1)。
上記状況に鑑みて、本発明は、シャトルに取り付けられるボビン自体を経糸(縦糸)の周囲に高速に移動させ、かつ、誤動作による筬の損傷や糸切れを最小限にできるボビン搬送装置を提供することを目的とする。
更に、ボビンの糸たるみ除去ができ、また、ボビンの糸切れ、ボビンの移動不良、ボビンの脱落を検知できるボビン搬送装置を提供する。また、これらの目的を達成できるボビン搬送装置を備え、スワイベル織りを行うためのスワイベルヘッド、あるいは、スワイベル装置を提供する。
2)第1のアームに設けられた第1の電磁石
3)第2のアームに設けられた第2の電磁石
4)磁石に吸引される材料から成るボビン
5)第1のアームと第2のアームを駆動して前記上下移動を行う上下駆動手段
6)第1のアームと第2のアームが経糸(縦糸)の周囲の左方と右方にそれぞれ位置し経糸(縦糸)の周囲を囲むようにアームの開閉動作を行う開閉駆動手段
7)第1の電磁石と第2の電磁石の通電状態を個別にON/OFFするスイッチ手段
8)上下駆動手段と開閉駆動手段とスイッチ手段を同期させる制御信号
アームの上下動作と開閉動作だけであり動作範囲が少ない。また、2本のアームと電磁石とボビンから成り、装置自体の小型化を図ることができる。
具体的には、第1のアームおよび第2のアームの2本のアームは、第1種のてこの原理を用いて、支点部分で重なり合い、作用点部分に電磁石が取り付けられ、力点部分に開閉駆動手段が設けられる。そして、開閉駆動手段がカム機構を用いてカムが旋回することによりアームを開閉する。ロータリーソレノイドなどのカム駆動機構を用いて、カムを旋回させてアームの開閉動作を行う。
これにより、ボビン搬送動作時に懸念される万が一の誤動作によって発生する筬の損傷を回避でき、誤動作によって発生する経糸(縦糸)の糸切れを最小化する。
ボビンの糸たるみ除去は、以下に説明するように、ボビン両端に設置した翼に対して空気を送り込み、ボビンを回転させて過剰な糸を巻き取り、糸を緊張させることにより実現する。
ボビンが高速に移動する場合、ボビンが過剰に糸を巻き出すことになる。ボビンが停止した時点で空気噴出し部から空気を送り出して、ボビンの回転軸の周囲に設けられた翼に噴き付ける。翼に噴き出すれた空気の風圧によって、ボビンには糸の巻き出し回転方向とは逆方向にモーメントが生じる。逆方向のモーメントによりボビンが糸の巻き出し回転方向とは逆方向に回転し、ボビンに糸が巻き戻されることになる。従って、ボビンの過剰な糸巻き出しを防止し、ボビン移動の十分な高速化を図ることができる。
また、空気噴出し部とは、シャトルの停止位置で、ボビンに設けられた翼の少なくとも1つにボビンの糸の巻き出し回転方向とは逆方向に回転力が加わるように、上記の翼に風圧を付与する、すなわち、空気を噴き付けるものである。また、空気噴出し部には、エアーコンプレッサーから流出する空気が送り込まれるようチューブが連結されている。そして、エアーコンプレッサーに対しては、ボビンの停止と同期した制御信号を送る制御部が設けられる。
上述したように、ボビンの回転軸の周囲に設けられた複数の翼に空気を噴き付けることにより、ボビンの糸たるみ除去できる。その一方で、糸が切れていたりすると、翼に空気を噴き付けると、ボビンの回転はなかなか止まらない。また、ボビンが脱落すると、空気を噴き付ける翼が存在しないので、ボビンの回転軸の回転が生じない。また、左右の電磁石によりボビンの移動がうまくいかなかった場合、ボビンが本来存在する側でボビンの回転軸の回転が生じず、ボビンが本来存在しない側でボビンの回転軸の回転が生じることになる。
従って、ボビンの回転、あるいは、ボビンの回転軸の回転を検出するセンサ、或いは、ボビンの形状画像を撮像するCCDセンサにより、ボビンの糸切れ、ボビンの移動不良、ボビンの脱落を検知できるのである。
本発明のスワイベルヘッドは、上述したボビン搬送装置と、このボビン搬送装置を緯糸(横糸)方向に移動させ位置決めする移動駆動手段とを備える。
スワイベルヘッドは、上述のボビン搬送装置を、織機織物幅方向に移動でき、すなわち、緯糸(横糸)方向に移動できるように、緯糸(横糸)方向に伸びるレールに取り付けられる。緯糸(横糸)方向に移動させ位置決めする移動駆動手段とは、例えば、サーボモータで実現できる。つまり、サーボ機構でスワイベルヘッドのレール上の位置や姿勢を制御する。サーボ機構は、電気式に限定されず、空気圧,油圧式、或いは、電気−油圧式でも構わない。
アームの上下動作、アームの開閉動作、左右の電磁石によるボビン移動により、経糸(縦糸)の周囲の上下左右にボビンを高速移動できるため、装置自体が小型化でき、装置の動作範囲を少なくできる。
更に、ボビンの糸たるみ除去ができ、また、ボビンの糸切れ、ボビンの移動不良、ボビンの脱落を検知でき、安定な織りを実現し、生産性を向上できる。
図1に示す状態は、ボビン2を保持する側の第1のアームの電磁石15は電流が流され磁化された状態であり、ボビン2を保持しない側の第2のアームの電磁石25は電流が流されず磁化されない状態である。第1のアームと第2のアームが、経糸(縦糸)の周囲を上下移動し、アームが閉じた時に、各々の電磁石(15,25)の磁化状態が切り替わり、各々のアームの間でボビン2の受渡しを行うことができる。
以下に、ボビン搬送装置の構成について、図1を参照して詳細に説明する。
第1のアーム14と第2のアーム24は、スプリングバネ10により、アームが閉じる方向にバネの付勢力が加わっている。また、スプリングバネ10の下部にはストッパー(16,26)を設けてアームが閉じる角度を調整している。これによりアームの下端部のボビン2に過剰な力が加わるのを防いでいる。なお、カム3の長径が垂直方向に近づくと、バネの付勢力によってアームが閉じることになる。
18と28は空気噴出し部であり、19と29は、エアーコンプレッサー(図示せず)から送り込まれる空気を導入するチューブ(図示せず)を取り付ける開口部である。図1では、第1の電磁石15に引き付けられたボビン2の片側2bのタービン羽根(第1の電磁石15と嵌合し図1には見えていない)に、エアーコンプレッサー(図示せず)から送り込まれる空気が空気噴出し部18から噴き出すことになる。
図2(1)は、第1のアーム14の下端部の電磁石15のコイル(15a,15b)の通電状態がONであり、ボビン2を保持している状態を示している。ボビン2の回転軸(2c,2d,2e)の左端2eとタービン羽根を備える円筒体2bが、第1の電磁石15に引き付けられ、それらが第1の電磁石15と嵌合している。この時、カム3の長径が水平状態(カムの短径が垂直状態)であり、第1のアーム12の突起部11と第2のアーム22の突起部21の間隔は広がり、第1のアーム14と第2のアーム24は開いた状態になっている。また、この時、ボビン2を保持していない第2のアーム24の下端部の電磁石25のコイル(25a,25b)の通電状態はOFFである。
また、53は配線端子台と制御回路基板とサーボモータを収納しているケースである。スライドレール(図示せず)の上部に沿って駆動する車輪54は、このケース53に内蔵されているサーボモータによって駆動する。
また、45は回転する車輪であり貫通孔の内壁には螺旋状に溝が形成されている。この車輪45が、スライドレール下にあるレールと並行に配置された軸体(図示せず)と嵌合する。この軸体の周囲には螺旋状の溝が形成されている。サーボモータ46が回転することにより、車輪48が回転し、ベルト49により、その回転は車輪45に伝達される。車輪45が回転すると、貫通孔の内壁の螺旋状の溝と軸体の周囲の溝が噛み合い、スワイベルアーム40は軸体の長手方向に移動することになる。
図5に示すように、筬揺動軸61とアーム回転軸9を、連結レバー68を用いて機械的に連動させて、筬揺動軸61に連動して、アームが上下移動し開閉できる。これにより、筬とアームの上下動作、アームの開閉動作によるボビン移動といったスワイベル動作時のアームの干渉を回避する。
スワイベル動作必要時には、連結レバー68を筬駆動軸69と接触させ、機械的な連動状態で、図4のようにスワイベルヘッドを下降側に回転させ下降揺動を行う(14´から14,15´から15)。図4に示すように、筬が移動(64´から64,65´から65,66´から66)しながら、スワイベルヘッドが下降揺動して、経糸(72,73)の間に電磁石15が移動する。電磁石15がこの位置で、アーム開閉によるボビン移動を行う。
織機が高速運転するときには空気圧ロータリーアクチュエータ(PRA)によりアームを上昇位置に移動待機させ、非スワイベル動作時の不要なヘッド揺動を無くする。空気圧/機械を組み合わせたハイブリッド駆動方式の採用は、織機カム角度による制御の不具合によって、PRAの上昇動作に遅れが発生しても、空気圧駆動の持つ圧縮性を生かして、織機の機械動作を優先し、筬とアームの干渉回避動作を可能にする。
スワイベル装置は、織機織物幅の範囲内を独立に移動する4式のスワイベルヘッド(1A、1B,1C,1D)を備える。各々のスワイベルヘッド(1A、1B,1C,1D)は、スライドレール81に沿って、サーボモータによって最大100mm/sの移動速度で独立にスライド移動する。各々のスワイベルヘッド(1A、1B,1C,1D)には、信号線とエアーコンプレッサー(図示せず)から送り込まれる空気を導入するチューブを束ねた蛇腹状の帯(57a〜57d)がある。スライドレール81は、両端で吊り下げ用の係合部材(82,83)がある。また、各々のスワイベルヘッド(1A、1B,1C,1D)の円筒状のアーム回転体の円筒内部(9a〜9d)に、1本のアーム回転軸90が貫通している。各々のスワイベルヘッド(1A、1B,1C,1D)は、アームの下端部に電磁石(15a〜15d,25a〜25d)を備える。各々のスワイベルヘッド(1A、1B,1C,1D)の下方には、筬が配置される。
スワイベル装置は、スワイベル動作時に懸念される万が一の誤動作によって発生する織機オサの損傷を確実に回避でき、誤動作によって発生するタテ糸切れを最小化する。例えば、一度に切れるタテ糸の本数を数百本から4本程度に低減させる。
ボビン搬送装置におけるボビンは、経糸(縦糸)の周囲を上下移動する。図7は、4本の経糸(縦糸)70の周囲を、第1のアーム14の下端部に設けられた第1の電磁石15と、第2のアーム24の下端部に設けられた第2の電磁石25と、ボビン2とが、それぞれどのような移動動作を行うのかを模式図で示したものである。
図7(1)は、経糸(縦糸)70の上方に、第1の電磁石15と第2の電磁石25あり、ボビン2は第1の電磁石15に引き付けられている状態を示している。この状態は、例えば、図3に示すようなアームの状態であり、第1のアームと第2のアームが斜め約30°の状態にあると想定すればよい。
次に、図7(4)は、カム3(図示せず)を更に旋回させてアームが再び開いた状態を示している。図7(2)の状態と異なり、ボビン2は第2の電磁石25に引き付けられている
次に、図7(5)は、経糸(縦糸)70の下方から上方に、第1の電磁石15と第2の電磁石25とボビン2が移動した状態を示している。この状態は、第1のアームと第2のアームが垂直の状態から、図7(2)とは反対方向に、アーム回転軸を60°程度回転駆動して、再びアームが斜め約30°の状態になったと想定すればよい。
なお、図7(1)で、ボビン2が第2の電磁石25に引き付けられている状態にすることにより、時計回りにボビンを移動させることも可能である。
2 ボビン
3 カム
4 支点部分
5 ロータリーソレノイド
6 アーム回転体
7 翼(タービン羽根)
12,13,14 第1のアーム
22,23,24 第2のアーム
15 第1の電磁石
25 第2の電磁石
40 スワイベルヘッド
42 ボビンセンサ
46 ヘッド移動サーボモータ
60 筬(オサ)
68 連結レバー
70 経糸(縦糸)
81 スライドレール
Claims (8)
- 織機の緯糸(横糸)方向に移動するヘッドに取付けられる装置であって、
前記装置は、2つのアームを介してボビンを搬送するものであり、
織機の経糸(縦糸)の周囲の上方と下方にボビンを上下移動させる第1のアームおよび第2のアームと、
第1のアームに設けられた第1の電磁石と、
第2のアームに設けられた第2の電磁石と、
磁石に吸引される材料から成るボビンと、
第1のアームと第2のアームを駆動して前記上下移動を行う上下駆動手段と、
第1のアームと第2のアームが経糸(縦糸)の周囲の左方と右方にそれぞれ位置し経糸(縦糸)の周囲を囲むようにアームの開閉動作を行う開閉駆動手段と、
第1の電磁石と第2の電磁石の通電状態を個別にON/OFFするスイッチ手段と、
上記の上下駆動手段と開閉駆動手段とスイッチ手段を同期させる制御信号と、
から構成され、
ボビンを保持する側のアームの電磁石は電流が流され磁化された状態であり、
ボビンを保持しない側のアームの電磁石は電流が流されず磁化されない状態であり、
第1のアームと第2のアームが駆動しボビンを前記上下移動させ、アームが閉じた時に、各々の電磁石の磁化状態が切り替わり、経糸(縦糸)の左方と右方に位置する各々のアームの間でボビンの受渡しを行う、
ことを特徴とするボビン搬送装置。 - 前記の第1のアームおよび第2のアームは、第1種のてこの原理を用いて、支点部分で重なり合い、作用点部分に前記電磁石が取り付けられ、力点部分に前記開閉駆動手段が設けられ、
前記開閉駆動手段が、カム機構を用いてカムが旋回することによりアームを開閉し得るものである、ことを特徴とする請求項1に記載のボビン搬送装置。 - 前記上下駆動手段は、アーム回転軸を回転駆動するものであり、前記の第1のアームと第2のアームが該アーム回転軸の周囲に取り付けられたものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のボビン搬送装置。
- 前記アーム回転軸の回転動作と、筬揺動軸の回転動作とが、機械的に連動していることを特徴とする請求項3に記載のボビン搬送装置。
- 前記ボビンの回転軸の周囲に設けられた複数の翼と、
前記ボビンの糸の巻き出し回転方向とは逆方向に前記翼に風圧を付与する空気噴出し部と、
前記空気噴出し部に空気を送り込むエアーコンプレッサーと、
前記エアーコンプレッサーに対して前記アームの動作と同期した制御信号を送る制御部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のボビン搬送装置。 - 前記ボビンの回転を検出するセンサもしくはボビンの画像を撮像するCCDセンサが更に設けられ、
ボビンの糸切れの検出、ボビンの受渡し移動の完了の検出、あるいは、ボビンの脱落の検出を行えることを特徴とする請求項1又は5に記載のボビン搬送装置。 - 請求項1〜6のいずれかのボビン搬送装置と、
該ボビン搬送装置を、緯糸(横糸)方向に移動させ位置決めする移動駆動手段と、
を備えたスワイベルヘッド。 - 請求項7に記載のスワイベルヘッドを複数台備え、各々のスワイベルヘッドが独立に移動できるものであり、
カム機構を用いてカムが旋回することによりアームを開閉する前記開閉駆動手段のカムの旋回角度と、織機に連動するジャガード制御装置から出される織物パターンに記述された指令値の双方をステップ毎に受取り、該指令値に従って、各々のスワイベルヘッドの位置決めとスワイベル動作を行う、ことを特徴とするスワイベル装置。
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