以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の撮影者に面する側(背面側)の構成を示す斜視図である。図2は、本実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図1および図2に示す撮像装置1は、デジタル一眼レフカメラであり、本体部2と、本体部2に着脱自在なレンズ部3と、を備える。
図1および図2に示すように、本体部2は、撮像部201と、撮像駆動部202と、信号処理部203と、操作入力部204と、表示部205と、タッチパネル206と、第1通信部207と、第2通信部208と、フラッシュ発光部209と、タイマー210と、記憶部211と、本体制御部212と、電源部213と、電源供給部214と、を有する。
撮像部201は、レンズ部3が集光した光を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子と、シャッタとを有する。
撮像駆動部202は、レリーズ信号に応じて撮像素子およびシャッタを駆動する機能を有する。
信号処理部203は、撮像部201から出力されるアナログ信号に増幅等の信号処理を施した後、A/D変換を行うことによってデジタルの画像データを生成して出力する。
操作入力部204は、図1に示すように、撮像装置1の電源状態をオン状態またはオフ状態に切り換える電源スイッチ241と、静止画撮影の指示を与える静止画レリーズ信号を入力するレリーズスイッチ242と、撮像装置1に設定された各種撮影モード切換の指示を与える切換信号を入力する撮影モード切換スイッチ243と、撮像装置1の各種設定を選択または決定の指示を与える指示信号を入力する操作スイッチ244と、撮像装置1に設定された操作メニュー画面の表示の指示を与える指示信号を入力するメニュースイッチ245と、動画撮影の指示を与える動画レリーズ信号を入力する動画スイッチ246と、モード切換スイッチ247とを有する。
操作スイッチ244は、メニュー画面等における選択設定を行う上下左右の各方向ボタン244a〜244dと、メニュー画面等における各方向ボタン244a〜244dによる操作を決定する決定ボタン244e(OKボタン)とを有する(図1を参照)。
モード切換スイッチ247は、光学系301における第1のモードと第2のモードとをを任意に切り換えることができる。さらに、モードの切換はマニュアルで行い、合焦動作はオートフォーカスで行うことも可能である。また、モードの切換は、ボタン操作、レバー操作、ダイヤル操作、上述のような電気的スイッチによりマニュアル切換、ソフト的な処理操作のような自動的な切換など様々な例を挙げることができる。例えば、撮影者がマクロ撮影している状態において、被写体がある被写体距離の範囲に入ってきたときに、自動的にモードを切換えることもできる。このような場合、フォーカスレンズが移動しているとき、第2のモードに切換えながら、フォーカシングを継続することも可能である。さらに、第2の近距離物点状態から無限遠物点状態への合焦動作において、レンズの全体繰り込みを行いながら、フォーカシングすることも可能である。なお、光学系301では、第1のモードと第2のモードとの撮影領域(物像間距離)がオーバーラップする構成と、オーバーラップしていない構成とが含まれている。
表示部205は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて実現される。表示部205は、画像データのほか、撮像装置1の操作情報や撮影に関する情報を適宜表示する。
タッチパネル206は、表示部205の表示画面上に設けられる。タッチパネル206は、撮影者が表示部205で表示される情報に基づいて接触した位置を検出し、この接触位置に応じた操作信号の入力を受け付ける。一般に、タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量式、光学式等がある。本実施の形態1では、いずれの方式のタッチパネルであっても適用可能である。
第1通信部207は、本体部2に装着されたレンズ部3との通信を行うための通信インターフェースである。第2通信部208は、本体部2に装着されるアクセサリ4との通信を行うための通信インターフェースである。アクセサリ4は、通信インターフェースをなして第2通信部208と通信するアクセサリ通信部401を有する。このようなアクセサリ4としては、例えば電子ビューファインダ(EVF)やエレクトロニックフラッシュなどがある。
フラッシュ発光部209は、キセノンランプやLED(Light Emitting Diode)等を用いて構成される。フラッシュ発光部209は、撮像装置1が撮像する視野領域へ向けて補助光であるストロボ光を照射する。
記憶部211は、撮像装置1の内部に固定的に設けられるフラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現される。記憶部211は、画像データを記憶するとともに、本体部2に装着可能なレンズ部3の情報やレンズ部3の種類に応じたズーム速度等の情報を記憶する。また、記憶部211は、各種プログラムやそれらのプログラムを実行する際に読み出す各種パラメータなども記憶する。なお、記憶部211が、外部から装着されるメモリカード等のコンピュータ読取可能な記録媒体を含むものであってもよい。
本体制御部212は、画像データに対してエッジ強調、色補正およびγ補正等の画像処理、や各種演算処理を行うとともに、本体部2の動作制御を行う。本体制御部212は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて実現される。
電源部213は、撮像装置1に着脱自在なバッテリを用いて構成される。電源供給部214は、撮像装置1の各構成部(装着されるレンズ部3も含む)に対して電源部213の電力を供給する。なお、電源供給部214は、外部電源(図示せず)から供給される電力を撮像装置1の各構成部に供給するようにしてもよい。
以上の構成を有する本体部2に対して、音声入出力機能や、インターネットを介した通信を行う通信機能などを具備させてもよい。
レンズ部3は、複数のレンズを有する光学系301と、光学系301内のレンズの光軸方向の位置を検出する位置検出部302と、光学系301内のレンズを駆動するレンズ駆動部303と、光学系301内の絞りを駆動する絞り駆動部304と、光学系301内のレンズを操作する信号が入力されるレンズ操作部305(リング状のものやプッシュスイッチ状のものを想定)と、本体部2に装着された時に本体部2の第1通信部207と通信を行うレンズ通信部306と、本体の制御部212から命令された内容に基づき、レンズの位置や動きを決定するための制御用プログラムや各種パラメータを記憶するレンズ記憶部307と、レンズ部3の駆動制御を行うレンズ制御部308と、を備える。
光学系301は、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3とを有する。このうち、第2レンズ群G2は、被写体のフォーカシングを行うフォーカスレンズ群(インナーフォーカスレンズ)である。また、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3は、レンズのモードを切り換える際にフォーカスレンズ群とは別に光軸に沿って移動するモード変更レンズ群である。
一般に、フォーカスレンズ群は2枚以下のレンズからなり、負レンズと正レンズの2枚のレンズからなればより好ましい。これは単レンズでも良いし、接合レンズでも良い。また、フォーカスレンズ群は、第1のモードと第2のモードでのフォーカシング動作において光軸方向に移動するレンズ群である。フォーカスレンズ群は1つのレンズ群からなり、第1のモードと第2のモードでのフォーカシング動作において光軸方向に移動する唯一のレンズ群であることが好ましい。
フォーカスレンズ群を2枚以下のレンズで構成とすることでフォーカスレンズ群を軽量化することが、撮影時のフォーカス速度の高速化、省電力化、静音化に有利となる。特に、フォーカスレンズ群を負レンズと正レンズの2枚のレンズからなるように構成すれば、小型化と収差補正の両立に有利となり、遠距離合焦側と近距離合焦側での光学性能の確保に有利となる。近距離側撮影を行いたい場合、モード変更レンズ群を物体側に移動させることで第1のモードから第2のモードに切り換えられる。そして、近距離撮影領域においても撮影時のフォーカス速度の高速化、省電力化、静音化に有利となる。
本実施の形態1において、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、および第3レンズ群G3は正の屈折力を有しており、第1のモードから第2のモードへの変更の際に、第1レンズ群と第3レンズ群との距離が大きくなるように移動する。このようにすることで、第2のモードにおける球面収差、像面湾曲などの補正に有利となる。
また、モード変更レンズ群のいずれか1つのレンズ群が、フォーカスレンズ群の被写体側直前のレンズ群であり、フォーカスレンズ群の光軸方向への移動域が第1のモードよりも第2のモードにて被写体側に移動することが望ましい。これにより、モード変更レンズ群とフォーカスレンズ群との距離を第1、第2のモードで離れすぎないように構成でき、例えば、光学系全体を保持する鏡筒を繰り出すメカ機構を用いる場合には不使用時の光学系の小型化につながる。
また、光学系を構成する複数のレンズ群のうち最も被写体側のレンズ群がモード変更レンズ群のうちのいずれかのレンズ群であることが望ましい。これにより、第1のモードにおけるレンズ全長の短縮化に有利となり、小型化につながる。
また、第1のモードから第2のモードへの変更の際に、モード変更レンズ群とフォーカスレンズ群が共に被写体側へ移動することが望ましい。モード変更時にフォーカスレンズ群を物体側へ移動させることで、フォーカスレンズ群の軸外光束が高くなり過ぎないように構成できる。また、径方向の小型化により、フォーカスレンズ群の軽量化につながる。
本実施の形態1では、モード変更レンズ群として、第1レンズ群G1(第1のモード変更レンズ群)と第3レンズ群G3(第2のモード変更レンズ群)を有している。このように複数のモード変更レンズ群を有することにより、第1のモード、第2のモードにおける光学性能の確保に有利となる。
また、本実施の形態1では、第1のモードから第2のモードへの変更の際に、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との相対的な距離が変化する。これにより、第2のモードに変更した際の球面収差、像面湾曲などの補正に有利となる。
また、本実施の形態1では、フォーカスレンズ群(第2レンズ群G2)を2つのモード変更レンズ群の間に配置にすることで、フォーカスレンズ群の径を小さくできて軽量化に有利となり、オートフォーカスの高速化につながる。
図3は、レンズ部3の要部の構成を示す断面図である。以下、図3を参照して、レンズ部のより詳細な構成を説明する。図3において、左側が被写体側(以下、前方という)であり、右側が本体部2に装着される側(以下、後方という)である。第1レンズ群G1は、両凹負レンズL11と、両凸正レンズL12とからなる。第2レンズ群G2は、両凹負レンズL21と、両凸正レンズL22とからなる。第3レンズ群G3は、被写体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と、両凹負レンズL32および両凸正レンズL33が接合された接合レンズと、両凸正レンズL34とからなる。
レンズ部3は交換式のレンズであり、レンズ部3の後端には、本体部2に取り付けるためのバヨネット式のマウント3aが設けられている。マウント3aはビス等で固定枠3bに固定されている。マウント3aには、不図示の電気信号端子が設けられている。この電気信号端子は、本体部2との電気的な接続のインターフェースとなる。
レンズ部3は、第1レンズ群G1を保持する1群枠10と、第2レンズ群G2を保持する2群枠20と、第3レンズ群G3を保持するとともに絞り機構を保持する3群枠30とを有する。
図4は、1群枠10を駆動する機構を説明するために、主要部品を被写体の側から見た図である。各枠の駆動機構は同様な機構に構成されているので、以下の説明においては、1群枠10の駆動機構についてのみ詳細に説明する。1群枠10では、固定枠3bの内周側突出部の穴に、リードネジが形成された軸状の1群送りネジ11の一端部が嵌合している。また、1群送りネジ11の他端部は、固定枠3bに固定された前固定枠3dの穴に嵌合している。このような1群送りネジ11は、光軸に平行な軸の回りに回転自在に保持されている。1群送りネジ11の後端部には、1群ネジギア12が、カシメや圧入等によって固着されている。
一方、固定枠3bの別の突出部には、板状の1群モータ台13と一体の1群モータ14がビス等で固定されている。1群モータ14の回転軸の一端には1群モータギア15が圧入等で固定され、1群モータギア15には1群ネジギア12が噛合している。1群モータ14の回転軸の他端には、回転軸中心に対して放射状に複数のスリットを設けた1群位置検出ハネ16が圧入等で固定されている。1群位置検出ハネ16の外周部を通過するように、フォトインタラプタからなる1群位置検出器17が設けられている。1群モータ14および1群モータギア15は、レンズ駆動部303の一部をなす。1群位置検出ハネ16および1群位置検出器17は、位置検出部302の一部をなす。
1群枠10の外周側に設けられた突起には、1群送りネジ11に螺合する雌ネジが形成されている。1群送りネジ11や1群ネジギア12の設置位置と光軸に対して対向する位置には、固定枠3bの内周側の突出部に両端を固定され、光軸に平行に配置された1群ガイド軸18が設けられている(図4を参照)。
1群ガイド軸18は、1群枠10の外周に設けられた突起に形成された光軸に対して放射方向に延びる長穴に嵌合している。1群ガイド軸18は、1群送りネジ11と雌ネジとの螺合によって固定枠3bに位置決めされて保持されている。
次に、1群枠10の動作について説明する。1群モータ14を回転させると、1群モータギア15に噛合している1群ネジギア12が回転し、1群ネジギア12と一体の1群送りネジ11が回転する。すると、1群送りネジ11に噛合している1群枠10には、1群送りネジ11の回転軸回りに回転する力が作用する。ここで、1群枠10の回転は1群ガイド軸18によって止められているので、1群枠10は、1群送りネジ11の1回転に伴って、1群送りネジ1のネジピッチ分だけ光軸方向に移動する。レンズ部3には、1群送りネジ11の回転に伴って1群送りネジ1や1群ガイド軸18に発生するガタを押さえるためのバネ等の部材が適宜設けられている(図示せず)。このため、1群モータ14の回転は、確実に1群枠10へと伝達されることとなる。このような構成を有するレンズ部3によれば、1群モータ14のモータ軸の他端に取り付けた1群位置検出ハネ16および1群位置検出器17によってモータ軸の回転を検出し、1群枠10の位置を正確に検出することが可能となる。
2群枠20、3群枠30の駆動動作も、1群枠10の動作と基本的に同じであるため、重複する説明は省略する。なお、図3では、2群枠20の動作に関連する部材を符号21、22、23、・・・で記載するとともに、3群枠30の動作に関連する部材を符号31、32、33、・・・で記載している。これらの部材における下一桁の数字は、1群枠10の動作に関連する部材のうちで同じ機能を有する部材に付された符号における下一桁の数字とそれぞれ一致している。
絞り40は、複数の絞りハネ41と、絞り板42と、絞り台43と、絞りフタ44とを有する。絞り台43および絞りフタ44は、絞り板42を光軸回りに回転自在に保持する。また、複数の絞りハネ41との間には、カムとピンの機構が設けられている(図示せず)。この機構により、絞り板42が回転すると、複数の絞りハネ41が同時にカムに沿って動作し、絞りフタ44の開口を絞る、いわゆる虹彩絞りを形成する。
絞り台43には、絞りモータ51を保持する絞りモータ台52が取り付けられている。絞りモータ51のモータ軸には絞りモータギア53が取り付けられており、絞り板42の外周側突出部に設けられる歯車と噛合している。絞りモータ51が回転すると、絞り板42が回転し、絞りハネ41が形成する虹彩絞りの大きさを変化させることができる。絞りモータ5の回転軸の他端には、回転軸中心に対して放射状に複数のスリットを設けた絞り位置検出ハネ54が圧入等で固定されている。絞り位置検出ハネ54の外周部を通過するように、フォトインタラプタからなる絞り位置検出器55が設けられている。絞りモータ51および絞りモータギア53は、絞り駆動部304の一部をなす。
次に、操作環60について説明する。操作環60は固定枠の外周部に光軸回りに回転自在に嵌合している。操作環60の内周側には円筒状のスケール61が設けられている。スケール61は等ピッチでN極、S極が交互に円周方向に帯状(帯の長手方向は光軸方向)並んだ磁気スケールである。
スケール61と対向して固定枠3bの外周部に設けられた位置検出器62は、例えばGMR素子(巨大磁気抵抗素子)であり、スケール61の磁場変化によりその抵抗が変化し、電圧信号の変動としてスケール61との相対位置変化を出力する。この電気信号に応じて、各モータを制御することにより、手動で各枠を制御することも可能である。なお、手動(マニュアルフォーカス:MF)にするか自動(オートフォーカス:AF)にするかは、操作入力部204の操作によって設定可能である。
上述した各種モータや位置検出器62は、フレキシブル基板を通して、撮影レンズの主要回路が搭載された基板70に電気接続されている。基板70には、CPUが搭載されている。基板70は、本体部2と電気的に接続されることによって信号の送受信を行う。
なお、上述した各種モータは回転電磁モータであることを想定しているが、圧電体を用いた圧電モータを用いてもよいし、光軸方向に直接動作するリニアモータを用いてもよい。また、ステッピングモータを用いることも可能であるが、この場合には位置検出器が不要となる。
また、1群枠10〜3群枠30の位置は、各群モータにつけた位置検出ハネをフォトインターラプタからなる位置検出器で検出する方法をとったが、GMRやホール素子を用いた磁気検出方式を採用してもよいし、静電容量の変化を検出する静電方式を採用してもよい。また、枠の動きを直接検出する方法を採用してもよい。操作環60の位置検出に関しても、1群枠10〜3群枠30の位置検出と同様、様々な方法を採用することができる。
レンズ制御部308は、レンズ操作部305の操作信号や本体部2からの指示信号に応じてレンズ部3の動作を制御する。具体的には、レンズ制御部308は、レンズ操作部305の操作信号に応じてレンズ駆動部303を駆動させてレンズ部3のピント合わせやズーム変更を行なうとともに、絞り駆動部304を駆動させて絞り値の変更を行う。なお、レンズ制御部308は、レンズ部3が本体部2に装着された際に、レンズ部3のピント位置情報、焦点距離情報およびレンズ部3を識別する固有情報等を本体部2に送信するようにしてもよい。このようなレンズ制御部308は、CPU等を用いて構成される。
ここで、光学系301の具体的な実施例を説明する。図5は、代表的な状態における光学系301の断面を示す図である。このうち、図5(a)は、光学系301が第1のモード(以下、「モード1」という)に設定されている時、無限遠合焦状態のレンズ断面を示す図である。図5(b)は、光学系301がモード1の時、至近状態(第1の近距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である(図3は、この状態におけるレンズ部3を示している)。図5(c)は、第2のモード(以下、「モード2」という)に設定されている時、最遠距離合焦状態(第2の近距離物体への合焦時)のレンズ断面構成を示す図である。図5(d)は、モード2の時、至近状態(第3の近距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である。図6は、光学系301の沈胴状態を示す断面図である。
図5において、符号Cは、撮像部201が有する撮像素子の表面に設けられる平行平板状のカバーガラスCを示しており、符号Iは、光学系301が形成する像面Iを示している。ここで、カバーガラスCの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。また、そのカバーガラスCにローパスフィルタ作用を持たせるようにしてもよい。また、カバーガラスCには、付着したごみを超音波振動で除去するフィルタ機能を持たせてもよい。また、カバーガラスCを機能ごとに複数の平行平板に分けてもよい。
モード1において、無限遠物体から第1の近距離物体への合焦時に第2レンズ群G2が物体側へ移動する。また、モード1からモード2への切換時(図5(b)→(c))には、全てのレンズ群が被写体側へ移動し、レンズの繰り出しが行われる。
モード2において、無限遠物体よりも近距離の第2の近距離物体から、第1の近距離物体よりも近距離の第3の近距離物体へ合焦する時に、第2レンズ群G2のみが被写体側へ移動する(図5(c)→(d))。レンズ記憶部307に、これらのモード1、モード2にごとに各レンズ位置のデータを持っておき、撮像装置1の本体部2からモードが設定され、ピント合わせの信号が来ると、このパラメータに従って、レンズ制御部308が、各レンズ群を移動させる。このとき、レンズ制御部308は、レンズ記憶部307からモード遷移するためのレンズ位置制御のプログラムやパラメータを読み出して制御を行う。
また、このモード1からモード2への切換時に、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との間隔が広がるようにして、全体的に物体側へ繰り出す。これにより、フローティングの効果により、収差変動を抑えることができる。
以上の構成を有する光学系301においては、以下の条件式(1)を満たしていればより好ましい。
6<dB/dA<50 ・・・(1)
ここで、dAは、フォーカスレンズ群の入射面から射出面までの光軸上での距離である。また、dBは、モード1からモード2への変更の際に移動する全てのレンズ群のうち、最も物体側の入射面から最も像側の射出面までの光軸上での距離であり、その距離が変化する場合はその最大値である。条件式(1)において、下限値を7とすればより好ましく、下限値を7.5とすればさらに好ましい。また、条件式(1)において、上限値を40とすればより好ましく、上限値を30とすればさらに好ましい。
条件式(1)は、モード変更のために移動するレンズ群とフォーカスレンズ群のそれぞれの光軸上での厚みの好ましい比率を特定するものである。条件式(1)の下限値を下回らないようにしてフォーカスレンズ群の光軸上での距離を小さくすることでオートフォーカス時の高速化、省電力化等に有利となる。条件式(1)の上限値を上回らないようにしてモード変更時に移動するレンズ群の光軸方向の長さを小さくすることでレンズ群を移動させるための機構を小さくできる。
また、光学系301においてはフォーカスレンズ群である第2レンズ群G2が、以下の条件式(2)、(3)を満足していればより好ましい。
2<|fA/ΔA1|<35 ・・・(2)
2<|fA/ΔA2|<35 ・・・(3)
ここで、ΔA1は、モード1におけるフォーカスレンズ群の光軸方向での可動範囲であり、ΔA2は、前記第2のモードにおける前記フォーカスレンズ群の光軸方向での可動範囲である。また、fAは、フォーカスレンズ群の焦点距離である。条件式(2)または(3)において、下限値を5とすればより好ましく、下限値を10とすればさらに好ましい。また、条件式(2)または(3)において、上限値を30とすればより好ましく、上限値を26とすればさらに好ましい。
モード1、モード2におけるフォーカス可能域を大きくするために、フォーカスレンズ群の可動範囲はある程度大きいほうが好ましい。条件式(2)、(3)の下限値を下回らないようにしてフォーカスレンズ群の屈折力を適度に抑えることで、フォーカスレンズ群の移動による収差変動を抑えやすくなり、フォーカス時の性能の確保に有利となる。条件式(2)、(3)の上限値を上回らないようにしてフォーカス可能域を確保することがユーザーの使用ニーズを満たす上で好ましい。
また、光学系301においては、第3レンズ群G3が、以下の条件式(4)を満足していればより好ましい。
1<f3/f<5 ・・・(4)
ここで、f3は、第3レンズ群G3の焦点距離である。また、fは、モード1で無限縁物体への合焦時における光学系301の焦点距離である。条件式(4)において、下限値を2、上限値を4とすればさらに好ましい。
条件式(4)は、第3レンズ群の好ましい屈折力を特定するものである。条件式(4)の下限値を下回らないように、第3レンズ群の屈折力を抑えることで像面湾曲等の収差発生を抑えやすくなる。条件式(4)の上限値を上回らないように、第3レンズ群の屈折力を確保することで、撮影レンズの全長を短縮化しやすくなり、鏡筒の小型化に有利となる。
また、光学系301においては、第2レンズ群G2が、以下の条件式(5)を満足していればより好ましい。
0.5<|fA/f|<10 ・・・(5)
条件式(5)において、下限値を0.7とすればより好ましく、下限値を1とすればさらに好ましい。また、条件式(5)において、上限値を8とすればより好ましく、上限値を6とすればさらに好ましい。
条件式(5)は、フォーカスレンズ群の好ましい屈折力を特定するものである。条件式(5)の下限値を下回らないように屈折力を適度に抑えることで、フォーカスレンズ群のフォーカス感度の過剰を抑えることでフォーカシングの制御が容易となる。条件式(5)の上限値を上回らないように屈折力の絶対値を確保することで、フォーカスのための移動量の増大を抑えつつフォーカス可能域を広くでき、鏡筒の小型化につながる。
また、モード変更レンズ群が2つのレンズ群からなり、そのうち物体側のレンズ群を第1のモード変更レンズ群とし、像側のレンズ群を第2のモード変更レンズ群としたときに、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
0.00<|(D1G−D2G)/D1G|<1.00 (6)
ここで、D1Gは、モード1からモード2へ変更したときの第1のモード変更レンズ群の物体側への移動量である。また、D2Gは、モード1からモード2へ変更したときの第2のモード変更レンズ群の物体側への移動量である。条件式(6)において、下限値を0.001とすればより好ましく、下限値を0.0055とすればさらに好ましく、下限値を0.10とすれば一段と好ましく、下限値を0.015とすれば最も好ましい。また、条件式(6)において、上限値を0.60とすればより好ましく、上限値を0.40とすればさらに好ましく、上限値を0.30とすれば一段と好ましい。
条件式(6)の下限値を下回らないように、且つ、上限値を上回らないように第1、第2のモード変更レンズ群の間隔を変更つつ双方のレンズ群を物体側に移動させることで間隔の変更による収差補正機能を確保できる。よって、モード1とモード2での諸収差の変動を抑えることに有利となる。また、モード2における第3の近距離物体へフォーカスした際の撮影倍率が撮影レンズにおける最大撮影倍率であることが好ましい。最大撮影倍率付近でのフォーカス速度の高速化等に有利となる。
なお、条件式(1)〜(6)は適宜組み合わせることが可能である。また、各条件式の上限値または下限値をさらに限定することも可能である。
以上の構成を有する光学系301によれば、モード変更レンズ群である第1レンズ群G1および第3レンズ群G3と、フォーカスレンズ群である第2レンズ群G2との距離を二つのモード(モード1、モード2)で離れすぎないように構成することができる。したがって、メカ機構の小型化を図る上で好適である。
また、光学系301によれば、二つのモードの切換において、撮影可能な物像間距離の範囲を一部オーバーラップさせているため、撮影可能な物像間距離範囲の中抜けを防ぐことができる。
また、光学系301によれば、モード1からモード2へ変更する際に、モード変更レンズ群とフォーカスレンズ群がともに物体側へ移動するため、フォーカスレンズ群の軸外光束が高くなり過ぎないように構成できる。また、径方向の小型化により、フォーカスレンズ群の軽量化につながる。
また、光学系301によれば、フォーカスレンズ群を複数のモード変更レンズ群の間に配置することで、径方向のサイズを小さくでき軽量化できる。撮影レンズの光軸方向の厚みを抑えた構成にでき、小型化にも有利である。また、光学系301によれば、モード1、モード2におけるフォーカシングの高速化や省エネ化に有利となる。
図5においては、第1の近距離物体へ合焦時における物像間距離よりも第2の近距離物体への合焦時における物像間距離のほうが大きい。また、第1の近距離物体へ合焦時における倍率よりも第2の近距離物体への合焦時における倍率のほうが大きい。また、図5では、第1の近距離物体への合焦時における状態から第2の近距離物体への合焦時における状態へ変化するように示しているが、モードの変更時の各レンズ群の移動のさせ方はこれに限らない。
例えば、モード変更動作時に倍率が一定になるようにフォーカスレンズ群である第2レンズ群G2の位置を調整しながら各レンズ群を物体側へ移動させてもよい。また、モード変更動作にて倍率の絶対値が連続的に大きくなるようにフォーカスレンズ群である第2レンズ群G2を移動させるようにしてもよい。また、第1のモードにおける至近状態からより近距離に合焦し続けるように、第1から第2のモードへ変更するために第1レンズ群と第2レンズ群との距離を一定にして物体側に移動するようにし、逆に遠距離から近距離へ合焦する際にはレンズ群は第3レンズ群寄りに位置し第3レンズ群と一定の距離でもって像側に移動するように制御するようにしてもよい。いずれの場合でも、モード変更時のフォーカスレンズ群の位置を一意的に決めることにより、モード変更の際の倍率を一意的に決めることを可能としている。
ここで、本実施例の数値データを示す。以下のデータにおいて、IHは像高、FNOはFナンバー、ωは半画角、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、ndは各レンズのd線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数である。後述するレンズ全長は、レンズ最前面からレンズ最終面までの距離にバックフォーカスを加えたものである。バックフォーカスは、レンズ最終面から近軸像面までの距離を空気換算して表したものである。なお、以下に示す数値データにおいて、長さの単位はmmであり、角度は°(度)である。また、数値データにおいて、物体距離は無限遠としているが、フォーカス状態の変更に応じたデータを示すように、レンズ群を移動させることによってフォーカス状態を変更している。
第1レンズ群G1の凹負レンズL11、L12は、両面が非球面である。非球面形状は、xを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直交する方向として、下記の式(7)で表される。
x=(y2 /r)/[1+{1−(K+1)(y/r)2 }1/2 ]
+A4 y4 +A6 y6 +A8 y8 +A10y10+A12y12 ・・・(7)
ここで、rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A4 、A6 、A8 、A10、A12は、それぞれ4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数である。
1−1.面データ
1−2.非球面データ
第1面:
K=−1.656,
A
4=−3.45569×10
-5,
A
6=−1.81632×10
-7,
A
8=1.42064×10
-11
第2面:
K=−10.037,
A
4=8.25272×10
-5,
A
6=−5.69998×10
-7
1−3.ズームデータ
1−4.群焦点距離
f1=58.60,f2=34.63,f3=63.39
本実施例における条件式(1)〜(6)の具体的な値を挙げる。
次に、以上の構成を有する撮像装置1が行う動作について説明する。図7は、撮像装置1が行うフォーカス制御の概要を示すフローチャートである。図7において、撮像装置1がAFモードに設定されている場合(ステップS101:AFモード)、撮像装置1は、インナーフォーカスレンズ(上述した光学系301の場合には、第2レンズ群G2)の制御を行う(ステップS102)。このステップS102において、レンズ制御部308は、インナーフォーカスレンズに対し、ウォブリングさせながら移動させる制御を行う。ここでのウォブリング動作は、本体制御部212によって設定される周波数および振幅に基いて行われる。ウォブリングを行うための指示、ピントの方向と移動の指示は、カメラ側の本体制御部212が行い、その命令に応じてレンズ制御部308は、ウォブリングやピント制御用の各レンズの制御を行う。
この後、インナーフォーカスレンズがピント合わせ位置の限界に達した場合(ステップS106:Yes)、本体制御部212は表示部205に警告を表示させる(ステップS107)。なお、ここでいうピント合わせの限界位置は、二つのモード切換において、物像間距離がオーバーラップしている範囲内で任意に設定することが可能である。
図8は、AF制御でインナーフォーカスレンズがピント合わせ位置の限界に達した場合に表示部205が表示する警告の例を示すとともに、警告が表示される状況を模式的に示す図である。具体的には、図8においては、撮影者501が、表示部205に表示されるスルー画像を見て、被写体である犬502を表示画面上でタッチして追従すべき被写体を定めた状況を示している。インナーフォーカスレンズがピント合わせの限界位置に達した場合、表示部205には、警告表示画面が表示される。図8に示す警告表示画面251では、「追従限界です。」というメッセージを表示するとともに、画面の左下に文字「MF」を含むアイコンI1が表示される。アイコンI1は、MFモードへの移行指示を入力するためのアイコンである。このアイコンが押されると、撮像装置1は、MFモードへ移行する。
続くステップS106において、制御終了の指示信号が入力された場合(ステップS108:Yes)、撮像装置1は一連の処理を終了する。一方、制御終了の指示信号が入力されない場合(ステップS108:No)、撮像装置はステップS101へ戻る。具体的には、図8に示す警告表示画面251でアイコンI1が押された場合、撮像装置1はMFモードへ移行してステップS101へ戻る。
次に、撮像装置1がMFモードに設定されている場合(ステップS101:MFモード)を説明する。この場合において、光学系301が全体フォーカスによるピント合わせの限界位置(全体フォーカス限界)に達しているとき(ステップS103:Yes)、レンズ制御部308は、レンズ操作部305によって入力されるレンズ操作に応じてインナーフォーカスレンズの制御を行う(ステップS104)。その後、インナーフォーカスレンズがピント合わせ位置の限界に達した場合(ステップS106:Yes)、本体制御部212は表示部205に警告を表示させる(ステップS107)。この場合の警告の内容は、図8と同様であるが、すでにMFモードであるため、アイコンI1は表示されない。
ステップS103において、光学系301が全体フォーカス限界に達していないとき(ステップS103:No)、レンズ制御部308は、レンズ操作部305によって入力されるレンズ操作に応じて全体フォーカスレンズの制御を行う(ステップS105)。その後、撮像装置1は、ステップS106へ移行する。ステップS106で全体フォーカス限界に達している場合(ステップS106:Yes)には、表示部205が「追従限界です」というメッセージを表示する。ただし、この場合にはすでにMFモードであるため、表示部205にアイコンI1は表示されない。
図9は、オートフォーカスモード(AFモード)でインナーフォーカスレンズが限界位置に達した後、マニュアルフォーカスモード(MFモード)に移行した後の状況を説明するための図である。具体的には、MF制御動作において、撮像装置1と所定被写体との距離の逆数とレンズ部3の繰り出し位置との関係を示す図である。図9において、横軸1/Lは撮像装置1と所定被写体との距離Lの逆数であり、縦軸Dはレンズ部3の繰り出し位置をピント合わせ距離に換算した値である。図9に示す曲線601は、インナーフォーカスレンズのMF制御時の繰り出しを模式的に示している。また、図9に示す曲線602は、光学系301全体として見た場合のMF制御時の繰り出しを模式的に示している。本実施の形態1において、光学系301全体が繰り出す際には、インナーフォーカスレンズは固定されている。撮像装置1と所定被写体(図8の場合には犬502)が全体フォーカス限界位置に相当する距離L0に達すると、インナーフォーカスレンズのみ繰り出しを開始する。
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、1または複数のレンズからなるレンズ群を複数有し、該複数のレンズ群の中に、他のレンズ群に対して独立に移動可能であり、被写体のフォーカシングを行うフォーカスレンズ群が含まれる光学系と、複数のレンズ群の移動を制御し、マニュアルフォーカスモードが設定されている場合には、マニュアル操作に応じて前記複数のレンズ群のうち少なくとも一部のレンズ群を移動させることによってピント合わせを行い、該ピント合わせの限界位置に達したとき、フォーカスレンズ群のみを自動的に移動させることによってピント合わせを行うレンズ制御部と、を備えているため、フォーカスレンズ群の限界位置付近で光学系の繰り出し、繰り込みを自然に変更することができる。したがって、光学系の特性および撮影状況に即した制御を行うことが可能となる。
また、本実施の形態1によれば、オートフォーカス時の静かな駆動(静音化)静音化、高速化に有利であり、近距離領域においても静音化に有利な撮像装置を提供することができる。
また、本実施の形態1によれば、マクロモードとAFのユーザー操作で、最適なピント合わせが可能となる。加えて、自然にかつスピーディに操作に追従し、省エネ効果もある制御を行うことができる。さらに、小型の光学系でカメラを持ち運びしやすくして、かつ、動画に対応した高速、静音のピント合わせを優先して、近距離の被写体にも対応することが可能となる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を説明する。本実施の形態2に係る撮像装置は、上記実施の形態1に係る撮像装置と同様の構成を有している。以下、本実施の形態2に係る撮像装置の処理の概要を説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る撮像装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。図10において、撮像装置が撮影モードに設定されている場合を説明する(ステップS201:Yes)。この場合、本体制御部21は、表示部205にスルー画表示を行わせる(ステップS202)。また、レンズ制御部308は、本体制御部212との間でレンズ部3のレンズ状態の通信を行う(ステップS203)。この時、どのモードになっているか、どのピント位置に各レンズが配置されているかなどを、本体制御部212は判定することが可能である。
撮像装置1がMFモードに設定されている場合(ステップS204:MFモード)、全体フォーカス限界に達していれば(ステップS205:Yes)、レンズ制御部308は、レンズ操作部305による操作に応じてインナーフォーカス制御を行う(ステップS206)。一方、全体フォーカス限界に達していなければ(ステップS205:No)、レンズ制御部308は、レンズ操作部305による操作に応じて全体フォーカス制御を行う(ステップS207)。ステップS206またはS207の後、撮像装置1は、後述するステップS211へ移行する。
撮像装置1がAFモードに設定されている場合(ステップS204:AFモード)、レンズ操作部305によってレンズ操作が行われ、レンズが初期位置にない場合(ステップS208:No)、レンズ制御部308は初期化を行い(ステップS209)、AF制御を行う(ステップS210)。AF制御の詳細については、後述する。一方、レンズが初期位置にある場合(ステップS208:Yes)、撮像装置1はステップS210へ移行する。
AF制御を行った後、レリーズスイッチ242が押されて静止画レリーズ信号が入力されると(ステップS211:Yes)、撮像装置1は撮影を行い(ステップS212)、取得した画像を記憶部211へ記録する(ステップS213)。
一方、静止画レリーズ信号が入力されず(ステップS211:No)、動画スイッチ246が押されて動画レリーズ信号が入力された場合(ステップS214:Yes)、レンズ制御部308は、ステップS210と同様のAF制御を行う(ステップS215)。この後、撮像装置1は撮影を行う(ステップS216)。ステップS214で動画レリーズ信号が入力されない場合(ステップS214:No)、撮像装置1はステップS201へ戻る。
ステップS216の後、撮影を終了する信号が入力された場合(ステップS217:Yes)、撮像装置1はステップS213へ移行する。一方、ステップS216の後、撮影を終了する信号が入力されない場合(ステップS217:No)、撮像装置1はステップS215へ戻る。
ステップS213の後、電源スイッチ241が押された場合(ステップS218:Yes)、本体制御部212は電源をオフする制御を行い(ステップS219)、一連の処理を終了する。
ステップS213の後、電源スイッチ241が押されない場合(ステップS218:No)において、レンズ部3が別のレンズ部3(ここでは区別するために「レンズ部3’」という)と交換されたとき(ステップS220:Yes)、本体制御部212は、新たに装着されたレンズ部3’からレンズ種別情報を取得する(ステップS221)。その後、撮像装置1はステップS201へ戻る。一方、電源スイッチ241が押されない場合(ステップS218:No)、レンズ部3が別のレンズ部3と交換されていなければ(ステップS220:No)、撮像装置1はステップS201へ戻る。
次に、ステップS201において、撮影モードに設定されていない場合(ステップS201:No)を説明する。この場合において、撮像装置1が再生モードに設定されているとき(ステップS222:Yes)、本体制御部212は、表示部205にファイル一覧を表示させる(ステップS223)。
この後、操作入力部204またはタッチパネル206を介して拡大して表示するファイルが選択された場合(ステップS224:Yes)、本体制御部212は、表示部205に、選択されたファイルを再生して表示させる(ステップS225)。
続いて、別のファイルが新たに選択された場合(ステップS226:Yes)、撮像装置1はステップS225に戻る。一方、別のファイルが選択されない場合(ステップS226:No)に、撮像装置1はステップS227へ移行する。
ステップS227において、操作入力部204またはタッチパネル206によって終了指示が入力された場合(ステップS227:Yes)、撮像装置1はステップS218へ移行する。これに対し、終了指示が入力されないとき(ステップS227:No)、撮像装置1はステップS223へ戻る。
ステップS224において、ファイルが選択されない場合(ステップS224:No)、撮像装置1はステップS227へ移行する。
ステップS222において、撮像装置1が再生モードに設定されていない場合(ステップS222:No)、撮像装置1はステップS201へ戻る。
図11は、AF制御の概要を示すフローチャートである。まず、撮像装置1のインナーフォーカスレンズがピント合わせの限界位置に達している場合(ステップS301:Yes)、本体制御部212は表示部205に警告表示させる(ステップS302)。ここで、表示部205では、図8に示す警告表示画面252が表示される。
警告表示画面251でアイコンI1が押されてMF操作が選択された後(ステップS303:Yes)、レンズ操作部305によってMF操作が行われた場合(ステップS304:Yes)、レンズ制御部308は、入力されたレンズ操作に応じて全体フォーカス制御を行う(ステップS305)。その後、操作入力部204によって制御終了の指示信号が入力された場合(ステップS306:Yes)、撮像装置1はメインルーチンへ戻る。
ステップS303でMF操作が選択されない場合(ステップS303:No)、およびステップS304でMF操作が行われない場合(ステップS304:No)、撮像装置はステップS306へ移行する。
撮像装置1のインナーフォーカスレンズがピント合わせの限界位置に達していない場合(ステップS301:No)、撮像装置1はインナーフォーカスレンズによる追尾処理(インナーフォーカス追尾)を行う(ステップS307)。その後、撮像装置1は、ステップS306へ移行する。
図12は、撮像装置1が行うインナーフォーカス追尾処理の概要を示すフローチャートである。図12において、画像内の特定の被写体が操作入力部204またはタッチパネル206によって指定されることによって被写体の追尾指示が入力された場合(ステップS401:Yes)、レンズ制御部308は、追尾対象となる被写体の画像を用いて評価を行う(ステップS402)。一方、追尾指示が入力されない場合(ステップS401:No)、レンズ制御部308は、最も近距離でピントが合った画像を用いて評価を行う(ステップS403)。
ステップS402またはS403の後、本体制御部212は、レンズの移動方向の判定を行う(ステップS404)。ここでの移動方向の判定は、ウォブリング動作によって行う。レンズ制御部308は、本体制御部212から受信した制御信号に基いてウォブリング動作を行わせ、指示された移動方向と移動量に応じて、レンズ制御を行う。なお、ウォブリングのタイミングは本体制御部212が指示する。一方、ウォブリング時のレンズ制御は、レンズ記憶部307が記憶するパラメータに従ってレンズ制御部308が行う。
ステップS404の判定の結果、ピントがOKであると判定された場合(ステップS405:Yes)、本体制御部212はAF制御処理へ戻る。
ステップS404の判定の結果、ピントが合っていないと判定された場合(ステップS405:No)において、近距離側に位置しているとき(ステップS406:Yes)、レンズ制御部308は、インナーフォーカスレンズを遠距離側へシフトする(ステップS407)。一方、ステップS404の判定の結果、ピントが合っていないと判定された場合(ステップS405:No)において、近距離側に位置していないとき(ステップS406:No)、レンズ制御部308は、インナーフォーカスレンズを近距離側へシフトする(ステップS408)。ステップS407またはS408の後、撮像装置1はメインルーチンへ戻る。このあたりの処理は、本体制御部212とレンズ制御部308が分担、連携して行う。具体的には、本体制御部212が判定と指示を行うとともに、レンズ制御部308が実際の移動制御を行う。
図13および図14は、インナーフォーカス追尾処理におけるレンズ繰り出し位置の変化例を模式的に示す図である。図13(第1例)および図14(第2例)において、横軸1/Lは撮像装置1と所定被写体との距離Lの逆数であり、縦軸Dはレンズ部3の繰り出し位置をピント合わせ距離に換算した値である。図13に示す曲線701および図14に示す曲線801は、インナーフォーカスレンズのAF制御時の繰り出しを模式的に示している。また、図13に示す曲線702および図14に示す曲線802は、光学系301全体として見た場合のAF制御時の繰り出しを模式的に示している。図13と図14の違いは、全体フォーカスの繰り出し量とその繰り出し量に応じたインナーフォーカスレンズの繰り出し量である。本実施の形態2において、インナーフォーカスレンズを繰り出す際には、それ以外のレンズ群(第1レンズ群G1および第3レンズ群G3)が固定されている。また、本実施の形態2において、インナーフォーカスレンズを繰り出す際には、曲線701、801に示すように、ウォブリング動作が行われる(図12のステップS404)。
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様、光学系の特性および撮影状況に即した制御を行うことが可能となる。
また、本実施の形態2によれば、オートフォーカス時の静かな駆動(静音化)静音化、高速化に有利であり、近距離領域においても静音化に有利な撮像装置を提供することができる。
また、本実施の形態2によれば、マクロモードとAFのユーザー操作で、最適なピント合わせが可能となる。加えて、自然にかつスピーディに操作に追従し、省エネ効果もある制御を行うことができる。さらに、小型の光学系でカメラを持ち運びしやすくして、かつ、動画に対応した高速、静音のピント合わせを優先して、近距離の被写体にも対応することが可能となる。
(光学系の変形例)
次に、本実施の形態に係る撮像装置が有する光学系の変形例を説明する。本変形例において、光学系のレンズ構成は、上記実施の形態と同じである。本変形例では、光学系301が、さらに第3−1モード(以下、「モード3−1」という)、第3−2モード(以下、「モード3−2」という)、第3−3モード(以下、「モード3−3」という)の3つのモードを有している。ここで、モード2における最至近の物像距離(数値データの近距離3)をLとするとき、第1変形例であるモード3−1は4L、第2変形例であるモード3−2は2L、第3変形例であるモード3−3は4L/3、となるような位置状態である。
モード1からモード3−1に変更すると、第2レンズ群G2は、一意的に決定されるデフォルト位置に移動する。同様に、第2レンズ群G2は、モード3−2、モード3−3でもデフォルト位置となる。このデフォルト位置は、全体繰り出し位置ごとに決定されるインナーフォーカス用レンズ群の位置である。その全体繰り出し位置ごとのデータは、レンズ設計時に決まるものであり、レンズ記憶部307のパラメータとしてテーブル式に記憶されている。
モード2では、デフォルト位置は最至近物点の位置となる。モード1からモード2への変更の際、フォーカス群の位置はモード1の無限遠物点の位置→モード3−1のデフォルト位置→モード3−2のデフォルト位置→モード3−3のデフォルト位置→モード2の最至近物点の位置、の順に連続的に移動する。
このようにモード変更時のフォーカス位置の決め方とすることで、全体繰り出しの操作に応じて定まった倍率とすることができ、目盛等による倍率設定が行え、マニュアル操作によるフォーカシングを行う際に有利となる。また、各モードにおけるフォーカシングをオートフォーカスにて行う際は、フォーカスレンズ群である第2レンズ群を移動させることにより各モード状態にて高速のフォーカシングが行える。なお、光学系全体の繰り出し動作により近距離へのフォーカシングを行うか、フォーカスレンズ群のみの移動によりフォーカシングを行うかは、ユーザが適宜設定可能であることが好ましい。
図15は、モード3−1の代表的な状態を示す断面図である。具体的には、図15(a)は、モード3−1において遠距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である。図15(b)は、モード3−1においてデフォルト状態での合焦時のレンズ断面構成を示す図である。図15(c)は、モード3−1において近距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である。モード3−1では、第2レンズ群G2が被写体側へ移動することにより、フォーカシングを行う(図15(b)→図15(c))。
図16は、モード3−2の代表的な状態を示す断面図である。具体的には、図16(a)は、モード3−2において遠距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である。図16(b)は、モード3−2においてデフォルト状態での合焦時のレンズ断面構成を示す図である。図16(c)は、モード3−2において近距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である。この場合のフォーカシングも、モード3−1と同様に行われる。
図17は、モード3−3の代表的な状態を示す断面図である。具体的には、図17(a)は、モード3−3において遠距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である。図17(b)は、モード3−3においてデフォルト状態での合焦時のレンズ断面構成を示す図である。図17(c)は、モード3−3において近距離物体への合焦時のレンズ断面構成を示す図である。この場合のフォーカシングも、モード3−1と同様に行われる。
ここで、本変形例の数値データを示す。
モード3−1:
モード3−2:
モード3−3:
ここで、各変形例の条件式を挙げる。
モード3−1:
モード3−2:
モード3−3:
なお、この変形例では、モード切換スイッチ247によって、モード3−1、3−2および3−3への切換えを行うことも可能である。
(光学系の別な実施例)
図18は、光学系の別な実施例(以下、実施例2という)の構成を示すとともに動作の概要を示す図である。実施例2の光学系は、図18に示すように、前方から順に、明るさ絞りSを備える正の屈折力の第1レンズ群G11と、負の屈折力の第2レンズ群G12と、を備える。
第1レンズ群G11は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42と、明るさ絞りS’と、両凹負レンズL43と両凸正レンズL44との接合レンズと、両凸正レンズL45とからなる。
第2レンズ群G12は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL51からなる。非球面は、第1レンズ群G11の像面Iの側の両凸正レンズL45の両面に用いられている。
モード1において、無限遠物体から第1の近距離物体への合焦時に第2レンズ群G12が後方(本体部2の側)へ移動する(図18(a)→(b))。また、モード1からモード2への切換時には、全てのレンズ群が物体側へ移動し、レンズの繰り出しが行われる(図18(b)→(c))。
モード2において、無限遠物体よりも近距離の第2の近距離物体から第1の近距離物体よりも近距離の第3の近距離物体への合焦時に、第2レンズ群G12が像面Iの側へ移動する(図18(c)→(d))。
なお、モード変更時における第2レンズ群の移動方式は、移動可能な領域の範囲内で任意としてよい。
このように、フォーカスレンズ群が光学系のなかで最も像側に位置するレンズ群であれば、フォーカシング時の球面収差の変動を抑えやすくなる。
ここで、本実施例2の数値データを示す。
2−1.面データ
2−2.非球面データ
第11面:
K=0.000,
A
4=−4.49818×10
-5,
A
6=1.02178×10
-9
第12面:
K=−0.935,
A
4=2.10096×10
-5,
A
6=−1.60991×10
-7
2−3.ズームデータ
2−4.群焦点距離
f1=16.13,f2=−48.42
本実施例2においても、条件式(1)〜(6)を満たしていればより好ましい。以下、条件式(1)〜(6)の具体的な値を挙げる。