JP5820150B2 - ガラス合紙及び積層体 - Google Patents
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パルプ繊維を主原料とし、坪量が30g/m2以上60g/m2以下であるガラス合紙であって、
抄紙方向を一辺とする300mm四方の正方形に切断した場合の、四隅の平均カール高さが5mm以上20mm以下であることを特徴とする。
当該ガラス合紙は、パルプ繊維を主原料とし、坪量が30g/m2以上60g/m2以下であるガラス合紙であって、カール形状を有する。当該ガラス合紙は、カールさせているため、このカールの軸方向への直立性が良好、すなわち見かけの剛性が高い。
上記パルプ繊維としては、特に限定されず広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、古紙パルプ(DIP)、機械パルプ(TMP)等を1種類又は2種類以上を混合して用いることができる。
当該ガラス合紙の紙面pHは、5.0以上になるように調整することが好ましい。紙面pHが5.0未満となるよう硫酸バンドを添加すると、パルプが凝集しフロックが発生し易くなるため地合が悪くなり、搬送時に傷が入り易くなる。硫酸バンドは、地合のことを考えると添加しないことが望ましいが、ドライヤー剥離性や他の薬品の定着を考慮すると、0.5質量%以下の添加を行う場合がある。なお、紙面pHは紙面測定用pH計(型式MPC、共立理化学研究所製)などで測定することができる。すなわち、上記紙面測定用pH計に付属の、pH測定範囲が4.6〜6.8であるBCP溶液での発色、またはpH測定範囲が6.0〜8.0であるBTB溶液での発色を、標準板と対比させて紙面pHを測定する。
当該ガラス合紙の坪量は30g/m2以上60g/m2以下であるが、40g/m2以上55g/m2以下がさらに好ましい。坪量が上記下限未満の場合は、十分な直立性が発揮されず、また、緩衝性も低くなる。逆に、坪量が上記上限を超える場合は、ハンドリング性が低下し、また、コスト高となる。
当該ガラス合紙裏面のベック平滑度に対する表面のベック平滑度を1.2倍以上40倍以下とすることが好ましく、2倍以上35倍以下とすることがさらに好ましく、5倍以上30倍以下とすることがさらに好ましく、10倍以上30倍以下とすることが特に好ましい。このように、表面のベック平滑度を上げる、すなわち平滑性を高めることで、空気中の水分とガラス合紙の表面に存在するパルプ繊維との接触する面積が低くなり、裏面に比較し吸湿しにくくなるため、表面側を内側にしてカールしやすくなる。当該ガラス合紙においては、さらに表面と裏面の平滑度を上記範囲に比をつけることで、好ましいカール度合いを達成でき、直立性及びハンドリング性をより高めることができる。
当該ガラス合紙の密度は0.55g/cm3以上0.95g/cm3以下が好ましく、0.65g/cm3以上0.85g/cm3以下がさらに好ましい。密度を上記範囲とすることで、十分な剛度を付与することができる。
当該ガラス合紙においては、密度を上記範囲とすることに加え、水分を2%以上8%以下とすることが好ましく、3%以上7%以下とすることがさらに好ましい。当該ガラス合紙の密度及び水分を調整して上記範囲とすることで、カール度合いが適度になることに加え、静電気の発生の抑制及び適度な通気性を発現させることができ、ハンドリング性が高まる。なお、パルプ繊維間の隙間に適度な水分が付着することで、この隙間が縮まり、通気性が下がり、その結果、バキューム装置を用いる際のハンドリング性が高まると考えられる。
当該ガラス合紙の剛度(縦)としては、20以上80以下が好ましく、25以上70以下がさらに好ましい。当該ガラス合紙の剛度(縦)を上記範囲とすることで、より優れた直立性を発揮させることができ、ハンドリング性がさらに高まる。
本発明の積層体は、ガラス板と、当該ガラス合紙とが交互に積層されてなる。上記ガラス板としては、液晶テレビやプラズマテレビなどのフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板等を挙げることができる。このガラス基板としては、一辺が1,500mm以上の大判のものも用いられる。当該積層体によれば、ガラス板が当該ガラス合紙により保護されており、ガラス板及びガラス合紙の挿入や取り出し等の作業性に優れる。
JIS−P8142(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
JIS−P8119(1998)に記載の「ベック平滑度の測定方法」に準拠して測定した。
JIS−P8118(1998)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
JIS−P8127(2010)に記載の「ロットの水分試験方法−乾燥器による方法」に準拠して測定した。
JIS−P8143(2009)に記載の「クラークこわさ試験機法」に準拠して測定した。
得られたガラス合紙をJIS−P8220に準拠して離解して離解パルプとし、この離解パルプをJIS−P8121に準拠して測定した。
得られたガラス合紙を抄紙方向を一辺とする300mm四方の正方形に切断し、温度23℃、湿度50%の環境下に4時間放置した。この後、平らな面(板)上に凸側の面が接触するように切断したガラス合紙を置いた。すなわち、艶面(平滑度が高い側)が上になるように置き、4隅の板表面からの高さを測定し、平均をとった。
実際に、ガラス板の間にガラス合紙を挿入する作業をバキューム装置を用いて行い、20枚のガラス合紙において以下の基準にて評価した。
(1)直立性
◎:ガラス板間にガラス合紙を挿入後、その直立が9割以上維持されている。
○:ガラス板間にガラス合紙を挿入後、その直立が7割以上9割未満維持されている。
△:ガラス板間にガラス合紙を挿入後、その直立が4割以上7割未満維持されている。
×:ガラス板間にガラス合紙を挿入後、その直立が維持されているものが4割未満である。
(2)ハンドリング性
◎:バキューム装置への吸着性、ガラス板間への挿入の容易さなど、ハンドリング性に優れる。
○:ハンドリング性に問題ない。
△:ガラス板間への挿入がやや容易でない場合があるなど、ハンドリング性が若干不十分である。
×:バキューム装置への吸着性が不十分であったり、ガラス板間への挿入が容易に行えないなど、ハンドリング性が不十分である。
NBKP(質量平均繊維長2.5mm)30質量部及びLBKP(質量平均繊維長0.9mm)70質量部を配合したパルプスラリーに、サイズ剤としてけん化ロジンを3kg/t、及び硫酸バンドを3kg/t添加し、原料スラリーを得た。なお、用いたNBKPとLBKPとの質量平均繊維長は、約1.4mmである。
表面の平滑度が表1の値となるように、ロールプレスによる加圧、ヤンキー乾燥機における蒸気圧を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2及び比較例1のガラス合紙を得た。
抄紙形式を長網ヤンキーから長網多筒又は円網多筒に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3及び比較例2のガラス合紙を得た。
パルプのフリーネスが表1に示す値となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4〜6のガラス合紙を得た。
ロール加圧、ヤンキー乾燥機における蒸気圧を調整し、水分が表1に示す値になるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7〜8のガラス合紙を得た。
米坪を65.5g/m2とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3のガラス合紙を得た。
Claims (5)
- パルプ繊維を主原料とし、坪量が30g/m2以上60g/m2以下であるガラス合紙であって、
抄紙方向を一辺とする300mm四方の正方形に切断した場合の、四隅の平均カール高さが5mm以上20mm以下であり、
上記パルプ繊維が針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を含み、NBKPとLBKPとの質量比が15:85以上50:50以下であり、
上記パルプ繊維の質量平均繊維長が1.0mm以上1.6mm以下、フリーネスが500mL以上680mL以下であることを特徴とするガラス合紙。 - 裏面のベック平滑度に対する表面のベック平滑度が1.2倍以上40倍以下である請求項1に記載のガラス合紙。
- 密度が0.55g/cm3以上0.95g/cm3以下であり、水分が2%以上8%以下である請求項1又は請求項2に記載のガラス合紙。
- 剛度(縦)が20以上80以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガラス合紙。
- ガラス板と、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガラス合紙とが交互に積層されてなる積層体。
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