JP5820124B2 - タクシー車両運行管理支援システム - Google Patents

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Description

本発明はタクシー車両運行管理支援システムに関する。
従来より、自動車が現在位置から目的地に移動する際の推奨経路を運転者に対して案内するためのカーナビゲーション機能を有する車載器が、一般の乗用車やタクシー車両などの業務用車両に搭載されている。
また、タクシー車両の場合には、カーナビゲーション装置の他に、タクシーメータや無線機等の様々な車載器を搭載する必要があり、それぞれの車載器を配置する空間を運転席の近傍に確保するのが困難になる場合がある。
そこで、例えば特許文献1においては、タクシーメータとナビゲーションシステムが一体となった表示装置を提案している。また、特許文献1においてはナビゲーションのための画像表示と、タクシーメータの画像表示とを切替可能に表示する点についても開示されている。
一方、カーナビゲーション機能を実現するためには、地図などの大量のデータを保持するデータベースが必要になるし、大量のデータを検索して適切な経路を探索する機能のために高度なデータ処理能力を必要とする。従って、例えばカーナビゲーション機能を実現する車載器のコストが上昇したり車載器が大型化する可能性がある。
カーナビゲーション機能を実現する車載器の負担を軽減するために利用可能な従来技術が特許文献2に開示されている。特許文献2においては、車両に搭載されたナビゲーション装置である車載器と外部の集中サーバとを所定の通信回線で接続し、各車両のナビゲーション機能をサーバで集中的に管理するシステムを開示している。例えば、運転者が車載器に対して目的地を指定すると、この情報が集中サーバへ送信され、サーバが目的地までのルート(走行予定経路)を計算し、このルートを車載器へ送信する。車載器は、ルートに沿って運転者を誘導する。また、車載器は、車両が設定ルートから外れたことを検知すると、車載地図データベースを用いて目的地までの新しいルートを再設定する。
一方、タクシー車両が適切な経路で運行されているのかをタクシーに乗車している乗客が把握するために役立つ技術が特許文献3に開示されている。すなわち、経路を案内している途中で、その経路を外れた場合に、乗客に適切な情報を知らせることにより、乗客が安心して乗車できるナビゲーション技術が開示されている。具体的には、車両の走行位置が走行ルートを逸脱した際に、検出した交通情報に基づいて逸脱の原因を自動的に判定し、その結果をスピーカからの音声で報知することが開示されている。例えば、渋滞情報に基づいて、外れた位置から元の経路の進行方向の所定の距離内に渋滞が存在する場合に渋滞回避と判定し、所定の距離内に事故による通行止めが存在する場合には、事故による通行止め回避と判定する。また、経路上に回避する理由がないにもかかわらず、経路を逸脱した場合には、ドライバーの誤り(ミス)と判定する。従って、タクシーの乗客は、自車が適切な経路を通って走行しているかどうかを容易に把握できる。
特開2002−298165号公報 特開2007−226845号公報 特開2009−121876号公報
ところで、多数のタクシー車両を所有するタクシー会社においては、各タクシー車両を運行する乗務員の運行状況を把握して乗務員を適切に管理する必要がある。例えば、タクシー車両に乗客を乗せて乗車位置から目的地まで運行する際に、適切な経路の道路を選択し、走行時間の長さや運賃が乗客にとって不利にならないように乗務員が行動することが望まれる。同様に、乗車予定の顧客を希望する地点(迎車位置)までタクシー車両を運行して迎えに行く時、すなわち迎車状態の時には、乗務員が適切な経路の道路を選択して運行し、乗客の迎車待ち時間が長くならないように乗務員が行動することが望まれる。従って、タクシー会社の管理者は、乗務員毎に実際の運行状況に関する行動を把握し、必要に応じて乗務員が適切に行動するように教育しなければならない。
例えば、特許文献2に開示された技術を採用したカーナビゲーション機能を利用することにより、現在位置から目的地まで適切な設定ルートを通って運行するようにタクシー車両の乗務員を案内することができる。また、車両が設定ルートから外れたことを検知すると、目的地までの新しいルートを再設定することもできる。
また、特許文献3に開示されたカーナビゲーション機能を利用すれば、車両の走行位置が走行ルートを逸脱した際に、検出した交通情報に基づいて逸脱の原因を自動的に判定し、その結果をスピーカからの音声で乗客や乗務員に報知することができる。
しかしながら、各タクシー車両が実際にどのように運行されているのかについては、タクシー会社の管理者が直接把握することはできない。例えば、タクシー車両に乗客を乗せて実車状態で運行する時には、乗務員に不適切な行動があった場合に、乗客からタクシー会社に対して苦情が報告される可能性があり、管理者は間接的に乗務員の行動を把握できる。しかし、タクシー車両を迎車状態で運行する時には、乗客を乗せずに運行しているので、もしも乗務員が不適切な行動をとった場合であっても、その状況をタクシー会社の管理者が把握することはできないのが実情である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、それぞれのタクシー車両に乗務する乗務員の行動に関する実際の運行状況をタクシー会社側で把握するのに役立つタクシー車両運行管理支援システムを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシー車両運行管理支援システムは、下記(1)〜(6)を特徴としている。
(1) 所定の運行管理処理を行うサーバと、車両上に搭載され所定の無線通信回線を経由して前記サーバとの間で通信が可能な車載器と、前記サーバとの間で通信が可能な管理装置とを備えるタクシー車両運行管理支援システムであって、
前記サーバは、
前記車両の指定された迎車目的地の情報を前記管理装置から受信し、且つ、前記車両の現在位置の情報を前記車載器から受信して、前記現在位置から前記迎車目的地まで移動する際の経路の基準となる理想ルート情報を生成する理想ルート生成部と、
前記理想ルート情報に従って前記車両の運転者を案内するルート案内情報を生成するナビゲーション処理部と、
前記車両の現在位置の情報から前記車両の実際の移動軌跡を把握する移動軌跡管理部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記サーバから前記理想ルート情報と前記車両の実際の移動軌跡の情報とを受信して、前記移動軌跡が前記理想ルート情報の経路を逸脱した時に、前記サーバを介して路線逸脱情報を前記車載器に与える路線逸脱情報送信部を備え、
前記車載器は、
前記サーバから受信した前記ルート案内情報を表示する表示手段と、
前記路線逸脱情報を受け取った時に警告を表示する警告手段と、
前記警告が表示された時の運転者の入力操作を、逸脱の原因に関する理由情報の入力として受け付け、前記サーバを介して前記理由情報を前記管理装置に送信する理由情報送信処理部と、
を備えること。
(2) 上記(1)に記載のタクシー車両運行管理支援システムであって、
前記理想ルート生成部は、空車状態のタクシー車両に対する迎車要求が入力された時に、迎車指定地点までの理想ルート情報を生成し、
前記移動軌跡管理部は、前記タクシー車両が迎車状態になってから前記迎車指定地点に到着するまでの間の移動軌跡を管理すること。
(3) 上記(1)に記載のタクシー車両運行管理支援システムであって、
前記理由情報送信処理部は、予め用意された複数種類の理由情報の中から1つの理由情報を運転者の入力操作に従って選択し前記管理装置に送信すること。
(4) 上記(1)に記載のタクシー車両運行管理支援システムであって、
前記車載器は、前記サーバが前記路線逸脱情報を受け取った時に、運転者に対する警告を出力し、前記理由情報送信処理部が前記理由情報の入力を受け付けた後で前記警告の出力を自動的に解除すること。
(5) 上記(1)に記載のタクシー車両運行管理支援システムであって、
前記車載器は、前記タクシー車両が迎車指定地点に到着したことを検出した時に、表示画面の内容をナビゲーション主体の内容からタクシーメータ主体の内容に自動的に切り替えること。
(6) 上記(1)に記載のタクシー車両運行管理支援システムであって、
前記サーバは、複数のタクシー車両のそれぞれに搭載された複数の車載器の動作を独立して管理するアプリケーションプログラムを実行し、前記各車載器および前記管理装置に対して所定のサービスを提供する機能を有すること。
上記(1)の構成のタクシー車両運行管理支援システムによれば、タクシー車両が指定された理想ルート情報の経路を逸脱して走行する時に、逸脱の原因や理由を表す示す理由情報を前記車載器側から前記管理装置に送信することができる。従って、タクシー車両が迎車状態で運行している時であっても、タクシー車両が指定された経路を逸脱した場合の理由をタクシー会社側で把握することが可能であり、各乗務員の行動の管理が容易になる。
上記(2)の構成のタクシー車両運行管理支援システムによれば、タクシー車両が迎車状態になっている時に、迎車指定地点までの適切な移動経路を乗務員に対して案内することができ、同時にこのタクシー車両の実際の移動軌跡を前記サーバ及び管理装置側で把握することが可能になる。
上記(3)の構成のタクシー車両運行管理支援システムによれば、理由情報を入力するための乗務員の操作が簡単になる。すなわち、予め用意された複数の理由情報の候補の中から、実際の状況に該当する1つの理由情報をスイッチ等で選択するだけでよい。
上記(4)の構成のタクシー車両運行管理支援システムによれば、タクシー車両が指定された経路を逸脱した時に、乗務員はその状況を警告により把握でき、理由情報を送信すべき状態であることを認識できる。また、警告の解除によって理由情報の送信が完了したことを認識できる。
上記(5)の構成のタクシー車両運行管理支援システムによれば、ナビゲーション装置とタクシーメータの機能を一体化して1つの車載器として構成することができる。しかも、迎車状態から実車状態に移行する時に、乗務員が特別な操作を行わなくても、表示画面の内容が適切な状態に自動的に切り替わるので、乗務員の操作の負担を軽減できる。
上記(6)の構成のタクシー車両運行管理支援システムによれば、車載器側に大容量のデータベースを搭載したり高度なデータ処理機能を搭載する必要がなくなるので、車載器の構造を簡略化したりコストを低減することが可能になる。
本発明のタクシー車両運行管理支援システムによれば、タクシー車両が指定された理想ルート情報の経路を逸脱して走行する時に、逸脱の原因や理由を表す示す理由情報を前記車載器側から前記管理装置に送信することができる。従って、タクシー車両が迎車状態で運行している時であっても、タクシー車両が指定された経路を逸脱した場合の理由をタクシー会社側で把握することが可能であり、各乗務員の行動の管理が容易になる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
タクシー車両運行管理支援システムの各部の動作の概要を表すシーケンス図である。 タクシー車両運行管理支援システムの迎車時の車載器の動作を表すフローチャートである。 図2の動作に含まれる路線逸脱時の詳細な動作を示すフローチャートである。 タクシー車両運行管理支援システムの全体の構成を示すブロック図である。 タクシー車両運行管理支援システムの車載器のハードウェアの構成例を示すブロック図である。 車載器表示画面の切り替えに関する代表例を表す状態遷移図である。 空車状態における車載器表示画面の表示内容の具体例を表す正面図である。 迎車要求入力時の車載器表示画面の表示内容の具体例を表す正面図である。 理想ルートを外れて運行した状態における車載器表示画面の表示内容の具体例を表す正面図である。
本発明のタクシー車両運行管理支援システムに関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
本実施形態のタクシー車両運行管理支援システム10の全体の構成が図4に示されている。図1に示すように、このタクシー車両運行管理支援システム10は、車載器100、ASP(Application Service Provider)サーバ201および管理装置301により構成されている。
車載器100は、タクシー会社300が管理する複数のタクシー車両101、102、103、・・・のそれぞれに搭載されている。また、本実施形態の車載器100はタクシーメータの機能を搭載している。また、各車載器100は無線通信機能を搭載しており、例えば携帯電話会社等が提供する無線通信網150を経由してASPセンター200との間で通信回線を接続することができる。タクシー会社300には、各タクシー車両101、102、103、・・・を管理したり指示を与えるために用いられる管理装置301が設置されている。
ASPセンター200に設置されたASPサーバ201のコンピュータは、各車載器100および管理装置301に対して所定のサービスを提供するためのアプリケーションプログラムを実行することができる。各車載器100に必要とされる主要な機能をASPサーバ201上で実行されるアプリケーションプログラムが実現することにより、車載器100の負担を小さくすることができる。また、複数のタクシー車両をASPサーバ201上で集中的に管理することができる。
本実施形態においては、各車載器100に対してカーナビゲーション機能を提供するために必要な地図のデータベースや、現在位置から目的地までの移動経路を探索するための処理機能等が管理装置301に搭載されている。
タクシー会社300に設置された管理装置301は、一般的なパーソナルコンピュータと同様に、通信機能、データ入力機能、表示機能、データ処理機能などを搭載し、インターネット網250を介してASPサーバ201と接続されている。
すなわち、管理装置301とASPサーバ201との間で通信を行い、ASPサーバ201上で管理している情報を管理装置301上の画面に表示したり、管理者が管理装置301に入力した情報や管理装置301が自動的に生成した情報などをASPサーバ201に与えることができる。
各タクシー車両に搭載される車載器100のハードウェアの構成例が図5に示されている。図5に示すように、この車載器100は、車載器本体110、GPS(Global Positioning System)受信機121、ETC(電子料金収受:Electronic Toll Collection)車載器122、表示ユニット123、操作部124、メモリカード125、通信モジュール126およびプリンタ127を備えている。
車載器本体110は、マイクロコンピュータ(CPU)111、メモリ(RAM)112、メモリ(ROM)113、カードリーダライタ114、インタフェース115、116、時計回路117、インタフェース118及び119を備えている。
マイクロコンピュータ111は、メモリ113上などに予め用意されているプログラムを実行することにより、車載器本体110に必要とされる様々な機能を実現する。すなわち、タクシーメータの機能として、タクシー車両の運行状態を把握して運賃を算出し表示したり領収書を発行するための処理などを行う。また、運転者を理想ルートに沿って運行するように案内するナビゲーション機能もマイクロコンピュータ111が実現する。
但し、本実施形態においては、ナビゲーション機能に関する主要な処理は、実際にはASPサーバ201上で実行されるアプリケーションプログラムにより実現される。従って、マイクロコンピュータ111は車速等の車両の状態の読み取り、現在位置の検出、各種ボタン等の入力操作の読み取り、表示処理、通信処理などの比較的単純な処理を行うだけであり、複雑な処理についてはASPサーバ201が提供するサービスを利用する。
メモリ112は、データの読み出し及び書き込みが自在であり、マイクロコンピュータ111等が生成した様々なデータを一時的に保持するために利用される。メモリ113は、マイクロコンピュータ111からのデータ読み出しが可能であり、予め用意されたプログラムや定数データを保持している。
カードリーダライタ114は、不揮発性のメモリを搭載しているメモリカード125をマイクロコンピュータ111に接続するためのインタフェースであり、メモリカード125からデータを読み込んだり、メモリカード125に対してデータを書き込んだりすることができる。
時計回路117は、時計の機能を実現する集積回路であり、周期が一定の安定したクロックパルスを計数することにより、現在時刻や日付の情報を生成したり、時間の長さを測定することができる。
GPS受信機121は、複数のGPS衛星からの電波をそれぞれ受信し、これらの受信時刻に基づいて自車の現在位置(緯度/経度)を計算により算出することができる。ETC車載器122は、道路上の料金所等に設置されている通信設備との間で無線通信を行い、この通信設備と車載器100との間で通行料金の支払いに関する情報など様々な情報をやりとりすることができる。
表示ユニット123は、文字列、地図、画像など様々な情報を必要に応じて表示可能な二次元表示画面を有する表示器であり、例えば液晶表示器により構成される。表示ユニット123の画面における表示内容の具体例が例えば図6に示されている。
操作部124は、タクシー車両の乗務員からの様々な入力操作を受け付ける各種ボタンの機能を有している。本実施形態においては、操作部124は表示ユニット123の画面に重ねて配置されたタッチパネルを備えているので、必要に応じて画面上の任意の位置に必要なボタンをマイクロコンピュータ111が割り当てることができる。
通信モジュール126は、例えばテレマティクスモジュールのように、携帯電話会社等の無線通信網を経由してデータ通信を行うための無線通信機能を搭載している。本実施形態においては、車載器100が無線通信網150を経由してASPセンター200のASPサーバ201と接続するために通信モジュール126を利用している。プリンタ127は、タクシーメータが領収書を発行する際に利用される。
また、車両側のセンサから出力される車速パルスが車載器本体110に入力される。この車速パルス(スピード入力)の状態を監視することにより、マイクロコンピュータ111はタクシー車両の移動量を把握したり、車速を把握することができる。
次に、タクシー車両運行管理支援システム10の動作について説明する。図4に示したタクシー車両運行管理支援システム10の各部の動作の概要が図1に示されている。また、タクシー車両運行管理支援システム10の迎車時の車載器の動作が図2にされており、図2の動作に含まれる路線逸脱時の詳細な動作が図3に示されている。
まず、図1に示す動作について説明する。
各タクシー車両101、102、103、・・・にタクシーメータとして搭載されている車載器100は、図1に示すステップS11の動作を周期的に繰り返し行っている。すなわち、車両側から車載器100に入力される車速パルスに基づいて、車両の移動量や現在の車速を検出したり、GPS受信機121から現在位置の情報を取得したり、操作部124の入力操作を読み取ってタクシー車両の状態(空車、実車、迎車等)を把握する。
車載器100が取得した車両の情報は、無線通信網150を経由してASPサーバ201に入力される。従って、ASPサーバ201上で実行されているアプリケーションプログラムは、各タクシー車両の状態や位置を常に把握できる(S12)。また、ASPサーバ201が各タクシー車両の車載器100から受け取った情報は必要に応じて集計され管理装置301に送信されるので、管理装置301側においても、各タクシー車両の現在位置や状態(実車/空車等の区分)等を把握して画面上に表示することができる。
任意の顧客からタクシー会社300に対して電話連絡等により迎車の依頼が入った場合、これが迎車要求発生のイベントとして管理装置301に入力される。この場合、管理装置301側では顧客の指定した迎車位置情報を入力すると共に、複数のタクシー車両の中から空車状態で最も近い位置に存在している特定のタクシー車両を迎車用に割り当てる(S14)。この処理については、オペレータが手作業で管理装置301に適当な情報を入力しても良いし、所定のアルゴリズムを実行することにより入力を自動化することも考えられる。
管理装置301側で迎車要求が発生すると、管理装置301側で割り当てられた特定のタクシー車両に対する迎車要求が管理装置301からASPサーバ201に送信され、この迎車要求がASPサーバ201から車載器100に送信される。
管理装置301の送信する迎車要求には、顧客の指定した迎車位置の情報が含まれているので、ASPサーバ201上のアプリケーションプログラムは、迎車用に割り当てられた特定のタクシー車両の現在位置から迎車位置までの移動経路について、理想ルートを表す情報を生成する(S15)。すなわち、利用可能な地図のデータベースや交通情報を参照し、公知の探索アルゴリズムを利用することにより、移動予定距離が最短になる経路や、移動所要時間が最短になる経路などを理想ルートとして生成する。
迎車用に割り当てられた特定のタクシー車両上の車載器100は、迎車時の目的地(迎車位置)や、ASPサーバ201が生成した理想ルート情報や、地図の情報をASPサーバ201から受け取って表示ユニット123の画面上に表示する(S16)。
車載器100上の表示画面の具体例が図7〜図9に示されている。図7に示す表示画面V1は、タクシー車両が空車状態における表示例を表しており、地図上に車両の現在位置が表示されている。また、図8に示す表示画面V2はタクシー車両が迎車要求を受け取った時の表示例を表しており、地図上にお迎え位置(迎車位置)及び理想ルートが表示されている。また、表示画面V2には「迎車」ボタンB1が表示されている。図9の表示画面V3については後で説明する。
迎車要求を受け取ったタクシー車両が指定された迎車位置まで移動する時には、ASPサーバ201上のアプリケーションプログラムは、車載器100から送信される現在位置の情報を逐次受け取って最新の車両位置を把握すると共に、ステップS15で生成した理想ルートに従って、迎車位置まで車両を誘導するようにルート案内処理を行う。更に、受け取った現在位置の情報を保存して移動軌跡を管理する(S17)。
また、ASPサーバ201がステップS15で生成した理想ルートの情報や、ステップS17で管理している移動軌跡の情報は、ASPサーバ201から管理装置301に送信される。従って、管理装置301の表示画面上にも、車両毎の現在位置、理想ルート、移動軌跡などが地図上に重ねて表示される(S18)。
管理装置301の表示画面を監視している管理者、あるいは管理装置301に組み込まれたプログラムは、各タクシー車両が迎車位置に向かって走行している迎車状態の時に、車両の位置が理想ルートから外れている状態が所定時間以上継続すると、これを路線逸脱状態として認識する。その場合、所定の路線逸脱情報を管理装置301からASPサーバ201に送信する。これにより、ASPサーバ201は該当するタクシー車両の車載器100に対して路線逸脱を警告する情報を送信する。
従って、車載器100においては、管理装置301から送信された路線逸脱情報に対応して路線逸脱に関する警告の表示および音声出力を行う(S19)。この場合、例えば図9に示す表示画面V3のような内容が表示される。
図9の表示画面V3においては、地図上に自車の走行位置が理想ルートを外れていることが表示され、同時に警告表示A1が表示されている。また、特別な機能を有する3つのボタンB21、B22、B23も表示されている。
ボタンB21〜B23は路線逸脱の理由に対応付けられている。具体的には、ボタンB21には「渋滞回避」、ボタンB22には「安全走行重視」、ボタンB23には「乗務員のミスによるルート走行間違い」がそれぞれ理由として割り当てられている。
車載器100の表示画面上に路線逸脱の警告(図9のA1)が表示されている状態で、乗務員は車載器100に対して理由情報を入力することができる(S20)。すなわち、実際の路線逸脱の理由と一致するように、3つのボタンB21、B22、B23のいずれか1つを選択してそれを押下すると、そのボタンに対応付けられている理由情報が車載器100からASPサーバ201を経由して管理装置301に送信される。従って、管理装置301側においても、該当するタクシー車両が理想ルートの路線を逸脱した理由を、車両毎に把握することができる。
次に、図2に示す動作について説明する。
タクシー車両が空車状態の時には、車載器100はナビゲーション画面として、図6に示す表示画面V21のような地図を含む内容を表示ユニット123に表示する(S31)。この状態で前述の「迎車要求」が入力されると、ステップS32からS33以降の処理に進む。
ステップS33では、車載器100は「迎車要求」と共に入力される「お迎え位置情報」、つまり乗車予定の顧客が待機している場所の位置情報を取得する。次のステップS34では、車載器100は図8に示す表示画面V2のように、「迎車」ボタンB1を表示する。また、ステップS35では車載器100はASPサーバ201から理想ルート情報を取得する。ステップS36では、車載器100は図8に示す表示画面V2のように、ASPサーバ201から取得した理想ルートを表す情報を地図に重ねて表示する。
この状態で、乗務員が画面に表示されている「迎車」ボタンB1を押下すると、このタクシー車両の状態は迎車状態に移行し、ステップS37からS38以降の処理に進む。ステップS38では、車載器100は取得した理想ルート情報の経路に沿ってタクシーが運行されるように、画面表示や音声出力を用いて乗務員に対してルート案内を開始する。また、このタクシー車両の最新の現在位置を表す位置情報が、車載器100からASPサーバ201に逐次送信される(S39)。
ステップS40では、指定された迎車位置に自車が到着したか否かを車載器100又はASPサーバ201上のアプリケーションプログラムが識別する。車両の現在位置と迎車位置とを比較することにより自動的に識別することができる。到着してなければステップS38に戻ってルート案内を継続し、到着した場合は次のステップS41に進む。
ステップS41では、車載器100は表示ユニット123の表示内容、図6に示す表示画面V21のようなナビゲーション主体の画面から、表示画面V22のようなタクシーメータ主体の画面に自動的に切り替える。従って、この時に乗務員が特別な入力操作を行わなくても、顧客の乗車に備えてタクシー車両に必要とされる運賃などの情報を画面に表示することができる。
図6に示す表示画面V22のようなタクシーメータ主体の画面を表示した状態で、乗客を乗せて指定された目的地までタクシー車両を運行した後、乗務員がタクシーメータの「空車」ボタンを押下すると、ステップS42からS31の処理に戻って上記処理を繰り返す。
一方、図2のステップS38等で車載器100が迎車位置までのルート案内を行っている時には、図3に示す路線逸脱ルーチンも車載器100により実行される。図3に示す動作について以下に説明する。
迎車状態においてタクシー車両の実際の位置が指定された理想ルートを逸脱し、管理装置301から送信された路線逸脱情報を車載器100が受信すると、車載器100の処理はステップS51からS52に進む。
ステップS52では、車載器100は例えば図9に示す表示画面V3のように、路線逸脱を警告するための警告表示A1を画面上に表示する。更に、次のステップS53では理由モードを表示する。
すなわち、図9に示す表示画面V3のように、「渋滞回避」が割り当てられたボタンB21と、「安全走行重視」が割り当てられたボタンB22と、「乗務員のミスによるルート走行間違い」が割り当てられたボタンB23を表示して乗務員の入力操作を受け付ける状態になる。
乗務員が表示されているボタンB21、B22、B23のいずれかを選択して押下すると、車載器100の処理はステップS54からS55に進む。ステップS55では、車載器100は押下が検出されたボタン(B21、B22、B23のいずれか)に事前に割り当てられている路線逸脱の理由を表す情報を、ASPサーバ201を介して管理装置301に送信する。
路線逸脱の理由を表す情報の送信が完了すると、車載器100はステップS56で画面に表示されている警告表示A1を自動的に消去し、警告を解除する。
従って、各タクシー車両が迎車状態であっても、タクシー会社の管理者は、管理装置301を介して各タクシー車両の移動軌跡をリアルタイムで把握したり、理想ルートを逸脱して走行した場合にその理由を把握することができる。つまり、管理者は各乗務員の運行業務に関する行動を常に把握し、乗務員が運行業務を適正に遂行するように教育することもできる。
なお、図1〜図3に示す動作においては、タクシー車両が迎車状態の場合だけを表しているが、タクシー車両に乗客を乗せて指定された目的地まで実車状態で走行する際にも、図1〜図3と同じような動作を行うことが可能である。
以上のように、本発明のタクシー車両運行管理支援システムは、各タクシー車両に乗務している乗務員が適正に運行業務を行っているかどうかをタクシー会社側で常に把握するために役立てることができる。特に、迎車状態でタクシー車両を運行する際に、実際の走行経路が理想ルートを逸脱しても、その理由をタクシー会社側で把握することが可能になる。
10 タクシー車両運行管理支援システム
100 車載器
101,102,103 タクシー車両
110 車載器本体
111 マイクロコンピュータ
112,113 メモリ
114 カードリーダライタ
115,116 インタフェース
117 時計回路
118,119 インタフェース
121 GPS受信機
122 ETC車載器
123 表示ユニット
124 操作部
125 メモリカード
126 通信モジュール
127 プリンタ
150 無線通信網
200 ASPセンター
201 ASPサーバ
250 インターネット網
300 タクシー会社
301 管理装置
A1 警告表示
B1 迎車ボタン
B21,B22,B23 ボタン
V1,V2,V3,V21,V22 表示画面

Claims (4)

  1. 所定の運行管理処理を行うサーバと、車両上に搭載され所定の無線通信回線を経由して前記サーバとの間で通信が可能な車載器と、前記サーバとの間で通信が可能な管理装置とを備えるタクシー車両運行管理支援システムであって、
    前記サーバは、
    前記車両の指定された迎車目的地の情報を前記管理装置から受信し、前記車両の現在位置の情報を前記車載器から受信して、前記現在位置から前記迎車目的地まで移動する際の経路の基準となる理想ルート情報を生成する理想ルート生成部と、
    前記理想ルート情報に従って前記車両の運転者を案内するルート案内情報を生成するナビゲーション処理部と、
    前記車載器から逐次受け取る前記車両の現在位置の情報から前記車両の実際の移動軌跡を把握する移動軌跡管理部と、
    を備え、
    前記管理装置は、
    前記サーバから前記理想ルート情報と前記車両の実際の移動軌跡の情報とを受信して、前記移動軌跡が前記理想ルート情報の経路を逸脱した時に、前記サーバを介して路線逸脱情報を前記車載器に与える路線逸脱情報送信部を備え、
    前記車載器は、
    前記サーバから受信した前記ルート案内情報を表示する表示手段と、
    前記路線逸脱情報を受け取った時に警告を表示する警告手段と、
    前記警告が表示された時の運転者の入力操作を、逸脱の原因に関する理由情報の入力として受け付け、前記サーバを介して前記理由情報を前記管理装置に送信する理由情報送信処理部と、
    を備えることを特徴とするタクシー車両運行管理支援システム。
  2. 前記理由情報送信処理部は、予め用意された複数種類の理由情報の中から1つの理由情報を運転者の入力操作に従って選択し前記管理装置に送信する
    ことを特徴とする請求項1に記載のタクシー車両運行管理支援システム。
  3. 前記車載器は、前記タクシー車両が迎車指定地点に到着したことを検出した時に、表示画面の内容をナビゲーション主体の内容からタクシーメータ主体の内容に自動的に切り替える
    ことを特徴とする請求項1に記載のタクシー車両運行管理支援システム。
  4. 前記サーバは、複数のタクシー車両のそれぞれに搭載された複数の車載器の動作を独立して管理するアプリケーションプログラムを実行し、前記各車載器および前記管理装置に対して所定のサービスを提供する機能を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のタクシー車両運行管理支援システム。
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