本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、原子力プラントの構成を示す説明図である。図2は、図1に記載した原子力プラントの蒸気発生器の構成を示す説明図である。
原子力プラント100には、例えば、加圧水型軽水炉原子力発電設備がある(図1参照)。この原子力プラント100は、原子炉格納容器110、原子炉120、加圧器130、蒸気発生器140及びポンプ150が一次冷却材管160により順次連結されて、一次冷却材の循環経路(一次系循環経路)が構成される。また、蒸気発生器140とタービン210との間に二次冷却材の循環経路(二次系循環経路)が構成される。
この原子力プラント100が有する原子炉120は、加圧水型軽水炉である。このため、一次系循環経路内の一次冷却材は、加圧器130で加圧されて圧力が所定の大きさに維持される。原子力プラント100は、まず、一次冷却材が原子炉120で加熱された後、蒸気発生器140に供給される。次に、蒸気発生器140で一次冷却材と二次冷却材との熱交換が行なわれることにより、二次冷却材が蒸発して蒸気となる。そして、この蒸気となった二次冷却材がタービン210に供給されることにより、タービン210が駆動されて発電機220に動力が供給される。なお、蒸気発生器140を通過した一次冷却材は、一次冷却材管160を介して回収されて原子炉120側に供給される。また、タービン210を通過した二次冷却水は、復水器230で冷却された後に、二次冷却材管240を介して回収されて蒸気発生器140に供給される。原子力プラント100は、高温・高圧の流体や放射性物質を含む可能性のある流体を扱っている。このため、蒸気発生器140を必要に応じて新しい蒸気発生器へ交換する場合、古い蒸気発生器について厳しい管理が求められている。古い蒸気発生器は、保管庫において管理されるが、保管庫のスペースを確保するため解体し解体後の容積を減少させる必要がある。
蒸気発生器140は、胴部1と、複数の伝熱管2と、気水分離器3と、湿分分離器4とを有する(図2参照)。胴部1は、略円筒形状かつ中空密閉構造を有し、長手方向を鉛直方向に向けて配置される。また、胴部1は、管板11及び仕切板12により区画されてなる一対の水室13、14を底部に有する。この水室13(14)は、入口側ノズル15(出口側ノズル16)を介して一次冷却材管160に接続される。
伝熱管2は、略U字形状を有し、両端部を鉛直下方に向けて胴部1内に配置される。伝熱管2の両端部は管板11に挿入されて拡管され、固定されている。また、伝熱管2の両端部は、入口側水室13及び出口側水室14に対してそれぞれ開口する。また、円筒形状を有する管群外筒5が胴部1内に配置され、この管群外筒5内に複数の伝熱管2が配置される。
また、管群外筒5内には、複数の管支持板6A、6B、6C、6D、6E、6F、6Gが所定間隔を隔てて配列される。これらの管支持板6A、6B、6C、6D、6E、6F、6Gは、多孔板となっており、各伝熱管2が管支持板6A、6B、6C、6D、6E、6F、6Gを貫通している。また、管支持板6A、6B、6C、6D、6E、6F、6Gにもうけられた貫通孔と、各伝熱管2との間には所定のクリアランスがもうけられている。
また、管群外筒5は、胴部1の内壁に対して隙間を開けて配置される。気水分離器3は、給水を蒸気と熱水とに分離する装置である。湿分分離器4は、分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする装置である。
この蒸気発生器140は、一次冷却材が入口側ノズル15から入口側水室13に流入し、伝熱管2を通って出口側水室14に入り、出口側ノズル16から外部に排出される。また、二次冷却材が給水管17から胴部1内に導入されて管群外筒5内を通る。このとき、一次冷却材と二次冷却材との熱交換が行なわれて、二次冷却材が加熱される。つまり、蒸気発生器140は、熱交換器である。そして、この二次冷却材が気水分離器3及び湿分分離器4を通過することにより、二次冷却水の蒸気成分が取り出されてタービン210側に供給される。
上述した蒸気発生器140を解体するには、複数の伝熱管2が例えば数千本と数が多いことから、多数存在する伝熱管を切断する効率を高める必要がある。伝熱管2を切断して解体するためには、蒸気発生器140を横置きして作業することが好ましい。これにより伝熱管2が水平となる。このため、切断した伝熱管2を自重で落下させることができ、伝熱管2の切断効率を高めることができる。
図3は、横置きになった蒸気発生器の解体を説明する説明図である。図3に示す蒸気発生器140は、ガス切断等により、胴部1を切断し、気水分離器3と、湿分分離器4とを取り外した状態とされる。また、解体作業の準備として、また、上述した入口側水室13、出口側水室14の除染作業、例えばブラスト除染を実施しておくことが好ましい。その後、伝熱管2の内部も除染作業、例えばブラスト除染を実施しておくことが好ましい。
図3に示すように、管群外筒5の一部が残された蒸気発生器140は、支持架台60により支えられ、横置きに載置されている。蒸気発生器の周囲は、ヒューム又はダストを回収可能な回収ダクトを備えたグリーンハウス又は後述するレーザから防護する防護ハウスに、一部又は全部が覆われていることが好ましい。なお、図3に示す落下方向をZ方向とし、伝熱管2の長手方向をY方向とし、Z方向とY方向に各々垂直な水平方向をX方向とする。また、蒸気発生器140は、上述した入口側水室13と出口側水室14とが水平方向(X方向)に平行となるように横置きにされている。
熱交換器の解体処理装置は、図3に示す切断装置30を含む。切断装置30は、例えば、隣り合う管支持板を保持可能な保持手段35、36と、レーザヘッド31A、31Bとを含んでいる。切断装置30は、レーザヘッド31A、31BをX方向、Y方向、Z方向に自在に移動可能としている。切断装置30は、消耗品の交換頻度の少ないレーザ切断を用いるので、切断作業中の消耗品の交換時間が減少し、切断作業時間を短縮できる。なお、切断装置30は、レーザヘッド31A及び31Bから切断対象の伝熱管2までの距離を計測する計測機器を備えており、レーザヘッド31A、31Bの位置を正確に設定可能である。
切断装置30は、レーザヘッド31A、31Bの他に、例えば蒸気発生器140を挟んでX方向に向かい合わせに一対のレーザヘッドを有していてもよい。これにより、蒸気発生器140のX方向の両側から切断し、解体処理の作業時間を短縮することができる。
切断装置30は、保持手段35、36により、例えば隣り合う管支持板6F、6Gを保持可能である。保持手段35、36により、例えば隣り合う管支持板6F、6Gの間の伝熱管2は、水平(Y方向に平行)に保たれる。
上述のように伝熱管群は、略U字形状をしているので、図3に示すように切断装置30が先にU字形状部分を削除することが好ましい。次に、図3に示すように、切断装置30は、例えば隣り合う管支持板6F、6Gの間の伝熱管2を切断する。
図3に示すように、切断装置30は、例えば隣り合う管支持板6F、6Gの間の伝熱管2を切断し終わると、隣り合う管支持板6E、6Fの間の伝熱管2を切断する。同様に、順次、管支持板6D、6Eの間の伝熱管2、管支持板6C、6Dの間の伝熱管2、管支持板6B、6Cの間の伝熱管2、管支持板6A、6Bの間の伝熱管2を切断する。その後、切断装置30は、管板11、管支持板6Aの間の伝熱管2を切断する。次に伝熱管の切断について、図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、伝熱管の切断の一例を示す模式図である。
図4に示すように、切断装置30は、図3に示すレーザヘッド31Aを矢印Z1方向へ移動させ、Z方向に並ぶ伝熱管2を落下方向(Z方向)側にある最も下側から切断していくことが好ましい。これにより、切断される伝熱管2の下方には落下を邪魔する伝熱管が存在しないことになる。その結果、切断された伝熱管を下方へ確実に落下させることができる。なお、図4では、伝熱管2の配列は、隣り合う列、例えば、列Pと列Q、及び列Qと列Rのいずれの列でもX方向に伝熱管2が隣り合い、一直線上に並んでいる配列を例示している。伝熱管2の配列は、X方向に伝熱管2が隣り合い、一直線上に並んでいる配列以外にも、例えば千鳥配列であってもよい。千鳥配列では、図4とは異なり、列Pと列Q、及び列Qと列RでX方向に伝熱管2が互い違いに配列される。つまり、伝熱管2の千鳥配列は、X方向に隣り合う伝熱管2の列毎に、Z方向に伝熱管2が半ピッチずつずれた配列となる。
図4に示すように、例えば、切断装置30は、レーザヘッド31Aが図4に示す伝熱管2の列Pの落下方向(Z方向)にある下側の伝熱管2をレーザヘッド位置31Aaから切断を開始する。レーザヘッド31Aは、自重落下方向(Z方向)と逆向きの矢印Z1方向へ順に列Pの伝熱管2を切断し、レーザヘッド位置31Abまで移動させる。切断装置30は、列Pの矢印Z1方向の最も上側の伝熱管2を切断すると、次に、切断装置30は、図4に示す伝熱管2の列Qの自重落下方向(Z方向)にある最下の伝熱管2をレーザヘッド位置31Acから切断を開始する。次に、切断装置30は、矢印Z1方向へ順に列Qの伝熱管2を切断し、レーザヘッド位置31Adまで移動させる。切断装置30は、列Qの矢印Z1方向の最も上側の伝熱管2を切断すると、次に、切断装置30は、図4に示す伝熱管2の列Rの自重落下方向(Z方向)にある最下の伝熱管2を切断する。また、図5に示すように、伝熱管2は、管支持板6F、6Gの各々の近傍で切断される。以上説明したように、切断された伝熱管2は、自重落下しても落下を邪魔する他の伝熱管2が存在しない状態で順次切断していくことができる。このため、切断された伝熱管2は、確実にZ方向へ落下することができる。
図5に示すように、伝熱管2は、切断される伝熱管2Aと、切り残される伝熱管(以下切り株という。)である切り株20Aと、に分断される。ここで、切り株20Aは、管支持板6A〜6G又は管板11から突き出る長さは、短くかつ一定長さに揃うことが好ましい。レーザヘッド31A、31Bは、上述した図4の矢印Z1方向へ列毎に切断し終わると、図5に示すように例えば水平方向(X方向)へ進み伝熱管2を切断していくことになる。
この場合、レーザヘッド31A、31Bは、切り株20Aと干渉しないように、水平方向(X方向)へ進み、次の伝熱管2を切断する。レーザヘッド31A、31Bは、切り株20Aと干渉しないようにするには、レーザヘッド31A、31Bの間隔をレーザヘッド31A、31Bが水平方向(X方向)へ進むにつれて短くしていく方法もある。しかし、蒸気発生器140には数千本の伝熱管があるため、レーザヘッド31A、31Bが水平方向(X方向)へ進むにつれて、レーザヘッド31A、31B同士がぶつかるおそれがある。また、切断できる伝熱管2Aの長さが短くなり、切断位置によって切り株20Aの長さが不揃いになる。
このため本実施形態の熱交換器の解体処理方法は、管支持板近傍位置でのレーザ切断が、レーザヘッドの管支持板側端部よりも管支持板側で切断されるようにすることが好ましい。これにより、管支持板側に切り残される伝熱管(切り株)の先端位置がレーザヘッドの進行を妨げることを抑制できる。管支持板近傍位置でのレーザ切断が、レーザヘッドの管支持板側端部よりも管支持板側で切断されるようにするには、例えばレーザヘッドを管支持板に対しレーザ照射の角度を傾斜するようにしてもよい。あるいは、管支持板近傍位置でのレーザ切断が、レーザヘッドの管支持板側端部よりも管支持板側で切断されるようにするには、レーザヘッドがX方向を向いたままでもレーザヘッドのレーザ光学系によりレーザ光の光軸を管支持板へ向くように変位させてもよい。
言い換えると、レーザヘッド31A、31Bのレーザ光照射が管支持板6F、6Gに対して斜めに進み、切り株20Aは水平面内(XY平面内)でレーザヘッド31A、31Bに近い側が、レーザヘッド31A、31Bに遠い側に比較して管支持板6A〜6G又は管板11から突き出る長さが長くなるように傾斜切断されている。これにより、レーザヘッド31A、31Bは、例えば水平方向(X方向)へ伝熱管2を上述した列毎に切断しても、レーザヘッド31A、31Bが切り株20Aに邪魔されず、切り株20Aが管支持板6A〜6G又は管板11から突き出る長さを短くかつ一定とすることができる。
図5に示すように、伝熱管2は、切断された伝熱管2Aとなり、自重によりZ方向へ落下していくことになる。落下された伝熱管2Aは、振動体等を備えたパーツフィーダ付き収容容器等に収容される。レーザヘッド31A、31Bは、例えば伝熱管2の長手方向(Y方向)の両側を同時に切断することが好ましい。これにより、伝熱管2Aは水平面(XY平面)に平行に落下することが多い。
しかし、切断された伝熱管2Aの落下の状況によっては、伝熱管2Aの落下状態が意図しない挙動を示すことがある。図6−1から図6−4は、伝熱管の切断の状態の一例を示す模式図である。
図6−1に示すように、伝熱管2Aの落下状態が意図しない挙動を示し、既に切断して残った切り株21A、21B、21C、21D、21Eのうち、切断された伝熱管2Aが切り株21Bに衝突する場合がある。ここで、切り株21Bは、管支持板6Gを貫通する孔に所定のクリアランスをもうけて貫通している。クリアランスは、例えば0.2mm程度と微小であり、静止した状態であれば位置ずれはしない。また、切り株21A、21B、21C、21D、21Eは、切断時の溶融金属の影響で管支持板6Gから抜け落ちにくい状態となっている。
切断された伝熱管2Aが切り株21Bに衝突した場合、図6−2に示すように、衝突された切り株21Bが移動することがある。例えば、切り株21Bは、管支持板6Gからレーザヘッド31Aがある側に突き出る長さが切り株21A、21C、21D、21Eよりも長くなることがある。
これにより、図6−3に示すように、切り株21Bと同じ水平面内(XY平面内)の未切断の伝熱管2を切断しようとする場合、レーザヘッド31Aの進行方向で切り株21Bが障害となる。その結果、切り株21Bを避けて、避けた切り株21Bと同じ高さで未切断の伝熱管2を切断しようとすると切り株の長さが長くなり、管支持板6A〜6Gから突き出る長さが不揃いとなる。不揃いな長さの切断された伝熱管2A、及び不揃いな長さの切り株を有する管支持板6A〜6Gは、保管庫のスペースを消費してしまう。あるいは、切り株21Bの除去作業又は位置修正作業が必要となり、作業時間の増加の原因となる。
図5に示すように、レーザヘッド31A、31Bのレーザ光照射が管支持板6F、6Gに対して斜めに進み、切り株20Aが水平面内(XY平面内)でレーザヘッド31A、31Bに近い側が、水平面内でレーザヘッド31A、31Bに遠い側に比較して管支持板6A〜6Gから突き出る長さが長くなるように傾斜切断されている場合、切断後の切り株の回転にも留意が必要である。
図6−1に示す衝突された切り株21Bは、図6−4に示すように他の切り株より回転Mし、管支持板6A〜6Gから突き出る長さが長い角部Nの位置が変化する場合がある。角部Nの位置する場所によって、角部Nがレーザヘッド31A、31Bの水平方向(X方向)へ進む進路を邪魔することになる。その結果、切り株21Bの角部Nを避けて、避けた切り株21Bと同じ高さで未切断の伝熱管2を切断しようとすると切り株の長さが長くなる。このため、管支持板6A〜6Gから突き出る長さが不揃いとなる。不揃いな長さの切断された伝熱管2A、及び不揃いな長さの切り株を有する管支持板6A〜6Gは、保管庫のスペースを消費してしまう。あるいは、切り株21Bの除去作業又は位置修正作業が必要となり、作業時間の増加の原因となる。
図7は、実施形態1の蒸気発生器の解体処理方法の手順を示すフローチャートである。図8−1、図8−2、図9から図11は、実施形態1の伝熱管の切断の状態の一例を示す模式図である。図7のフローチャートに沿って、蒸気発生器140の解体処理方法の手順を説明する。蒸気発生器140では、複数の管支持板6A〜6Gを有しているので、対象となる伝熱管2を確実に切断する準備として、管支持板6A〜6Gのうち隣り合う管支持板間、又は管支持板及び管板間に支持された伝熱管を位置決めする準備工程が行なわれる(ステップS1)。
次に、落下する伝熱管の落下姿勢を変更するための落下当接部材の配置工程が行なわれる(ステップS2)。実施形態1の蒸気発生器140の解体処理方法では、落下中に当接する落下当接部材により伝熱管の一端が他端より落下方向に低くなる姿勢で落下することを特徴としている。
図8−2は、図8−1に示す伝熱管の切断の状態を垂直平面(YZ平面)でみた伝熱管の切断の状態を示している。図8−1及び図8−2に示すように、落下当接部材の配置工程(ステップS2)では、切断装置30は、伝熱管2を切断し、切断される伝熱管20Eと、切り残される伝熱管である切り株21E、22Eと、に分断する前に、伝熱管20Eの落下方向(Z方向)に、落下当接部材Qを配置する。
次に、レーザヘッド31A、31Bは、伝熱管2を切断し、切断される伝熱管20Eと、切り残される伝熱管である切り株21E、22Eと、に分断する伝熱管の切断工程(ステップS3)を行う。図8−1に示すように、レーザヘッド31A、31Bのレーザ光照射が管支持板6F、6Gに対して斜めに進み、切り株21A〜21E、及び切り株22Aから22Eは水平面内(XY平面内)でレーザヘッド31A、31Bに近い側が、レーザヘッド31A、31Bに遠い側に比較して管支持板6F、6Gから突き出る長さが長くなるように傾斜切断されている。
図9に示すように、切断される伝熱管20Eは、両端が切り株21E、22Eからほぼ同時に切り離され、自重により落下方向(Z方向)へ落下する。レーザヘッド31A、31Bは、伝熱管20Eの両端を切り株21E、22Eから切り離すタイミングを合わせることで、水平平面(XY平面)に平行な姿勢でZ方向へ落下する。
図10に示すように、切断される伝熱管20Eは、Z方向へ落下する途中で落下当接部材の配置工程(ステップS2)において配置した落下当接部材Qに接触する。ここで、伝熱管20Eの管支持板6G側は端部20Eg、伝熱管20Eの管支持板6F側は端部20Efとする。伝熱管20Eは、落下当接部材Qに接触すると、落下する姿勢が変化する。例えば、伝熱管20Eは、落下当接部材Qに接触すると、落下当接部材Qを中心に回転モーメントが付与され、一端の端部20Efが他端の端部20Egより落下方向(Z方向)
に低くなる姿勢で落下する。
伝熱管20Eに回転モーメントを付与するには、落下当接部材Qは、管支持板6Fと管支持板6Fとの間のY方向の中点よりも管支持板6F又は管支持板6G側に近い位置に寄って配置されていることが好ましい。図10に示すように、例えば、落下当接部材Qが管支持板6Fと管支持板6Fとの間のY方向の中点よりも管支持板6G側に近い位置に寄って配置されているので、落下当接部材Qから端部20Efまでの長さが落下当接部材Qから端部20Egまでの長さよりも長くなる。このため、伝熱管20Eは、落下当接部材Qを支点にすると重心が管支持板6F側となる。その結果、伝熱管20Eは、落下当接部材Qを中心に回転し、端部20Efが端部20Egよりも落下方向(Z方向)に低くなる。
伝熱管20Eが落下当接部材Qに当接し回転するので、落下当接部材Qは、断面の上側に傾斜又は曲面を有していることが好ましい。傾斜又は曲面は、少なくとも端部20Efが端部20Egよりも落下方向(Z方向)に低くなる方向の傾きをもっていることがより好ましい。これにより、伝熱管20Eは、円滑に回転モーメントを付与される。本実施形態の落下当接部材Qは、球形状である。例えば、落下当接部材Qは、丸棒状であってもよく、落下方向断面の上側に曲面を有する半円筒形状であってもよい。落下当接部材Qは、上方に頂部を有する三角形であってもよく、上方の長さが下方より短い台形形状であってもよい。落下当接部材QのX方向の幅は、伝熱管20EのX方向の幅よりも大きい方が好ましい。これにより、落下当接部材Qが伝熱管20Eと当接する確度を高めることができる。
図11に示すように、伝熱管20Eは、落下当接部材Qの管支持板6F側からZ方向へ落下する。伝熱管20Eは、落下当接部材Qの管支持板6F側へ落下させると、固定されていない切り株21A〜21Eから遠ざかりながら落下する。このため、落下してくる切断された伝熱管20Eが切り株21A〜21Eに衝突するおそれが低減される。
図7に示すように、切断装置30は、全ての伝熱管が切断されていない場合(ステップS4、No)、上述した落下当接部材の配置工程(ステップS2)を実施する。切断装置30は、全ての伝熱管が切断されている場合(ステップS4、Yes)であって、全ての管支持板から伝熱管切断されていない場合(ステップS5、No)、次の管支持板6A〜6Gのうち隣り合う管支持板間、又は管支持板及び管板間を位置決めする準備工程、例えば管支持板6E、6Fの間に支持された伝熱管2を位置決めする準備工程が行なわれる(ステップS1)。全ての伝熱管が切断されている場合(ステップS4、Yes)であって、全ての管支持板から伝熱管切断された場合(ステップS5、Yes)、切断装置30は、処理を終了する。
図3に示すように、切断装置30は、例えば隣り合う管支持板6F、6Gの間の伝熱管2を切断する。この場合、上述したように、伝熱管2は、管板11へ拡管固定されているので、管支持板6Fに貫通する伝熱管2は、切断され切り株となっても位置ずれや回転しない。このため、隣り合う管支持板6F、6Gのうち管板11から遠い側の管支持板6Gに貫通する切り株21A〜21Eに対して、切断された伝熱管20Eが衝突しないように、落下当接部材Qの配置決定し、落下当接部材の配置工程(ステップS2)を実施することが好ましい。これにより、切断された伝熱管20Eが切り株21A〜21Eに対して衝突するおそれが低減する。
上述のように、本実施形態の蒸気発生器140の解体処理方法は、複数の伝熱管2と、前記伝熱管2の端部が挿入され固定される管板11と、伝熱管11が支持される複数の管支持板6A〜6Gと、を有する蒸気発生器140を横置きした状態で伝熱管2を切断する蒸気発生器140の解体処理方法であって、隣り合う管支持板6A〜6G間、又は管支持板6Aと管板11との間のいずれかに支持された伝熱管2にレーザヘッド31A、31Bがレーザを照射して、落下方向(Z方向)の伝熱管2から切断する伝熱管切断工程(ステップS3)を含み、伝熱管切断工程(ステップS3)で切断された伝熱管20Eは、伝熱管20Eの一端20Efが伝熱管20Eの他端20Egより落下方向に低くなる姿勢で落下する。
これにより、切断された伝熱管が下方の切り株に衝突するおそれが低減される。このため、衝突された切り株が移動又は回転するおそれを低減できる。また、移動又は回転した切り株が、レーザヘッドの進行方向の進路の障害となるおそれが低減でき、切断装置は余計な作業なしに伝熱管を切断することができる。その結果、熱交換器から伝熱管を切断する効率を高めることができる。また、一定の長さとなった切断された伝熱管及び一定の長さの切り株を有する管支持板又は管板は保管庫のスペースを低減できる。
本実施形態の蒸気発生器140の解体処理方法は、伝熱管切断工程(ステップS3)では、管支持板6A〜6G又は管板11に残る切断された伝熱管の切り株の端面は、管支持板又は管板に対して傾斜切断されていることが好ましい。これにより、管支持板6A〜6G側に切り残される伝熱管(切り株)の先端位置がレーザヘッドの進行を妨げることを抑制できる。
本実施形態の蒸気発生器140の解体処理方法は、伝熱管切断工程(ステップS3)で切断された伝熱管20Eは、落下中に当接する落下当接部材Qにより伝熱管20Eの一端20Efが他端20Egより落下方向に低くなる姿勢で落下することが好ましい。これにより、切断された伝熱管20Eが下方の切り株21Aから21Dに衝突するおそれが低減される。
本実施形態の蒸気発生器140の解体処理方法は、落下当接部材Qは、落下方向断面の上側に曲面を有していることが好ましい。これにより、切断された伝熱管20Eは円滑に回転モーメントを付与される。その結果、切断された伝熱管20Eが意図しない姿勢となるおそれが低減される。
(実施形態2)
図12は、実施形態2の蒸気発生器の解体処理方法の手順を示すフローチャートである。図13−1、図13−2、図14、図15は、実施形態2の伝熱管の切断の状態の一例を示す模式図である。本実施形態の蒸気発生器の解体処理方法は、伝熱管の一端が他端より先に切断されることに特徴がある。次の説明においては、実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図12に示すように、実施形態2の蒸気発生器の解体処理方法では、上述した図7に示す落下当接部材の配置工程(ステップS2)を省略し、伝熱管の切断工程(ステップS3)を第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)と第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)の2段階としている。第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)と第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)について、以下詳細に説明し、その他の手順については、必要に応じて説明を省略する。
図13−1は、レーザヘッド31A、31Bが伝熱管2を切断し、切断される伝熱管20Eと、切り残される伝熱管である切り株21E、22Eと、に分断した状態である。図13−2は、図13−1に示す伝熱管の切断の状態を垂直平面(YZ平面)でみた伝熱管の切断の状態を示している。実施形態2の蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31A、31Bは、共通の保持部材35に支持されている。
保持部材35は、伝熱管2の長手方向(Y方向)と平行に延びており、スペーサ36を管支持板6G側の落下方向(Z方向)の上面に有している。例えば、スペーサ36の落下方向の高さtは、伝熱管2の落下方向(Z方向)のピッチ(間隔)と等しい。なお、スペーサ36の落下方向の高さtは、伝熱管2の落下方向(Z方向)に所定高さ有していれば、伝熱管2の落下方向(Z方向)のピッチ(間隔)と等しくなくてもよい。レーザヘッド31Aは、スペーサ36の落下方向(Z方向)の上面に配置されている。また、レーザヘッド31Bは、管支持板6G側であって、かつ管支持板6Fの落下方向(Z方向)の上面に配置されている。このため、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとは、落下方向(Z方向)に隣り合う伝熱管の間隔pと同じ高さtの段違いで配置されている。
レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとは、同時にレーザを照射すると、レーザヘッド31Bは、切断位置C0を切断し、伝熱管20Eと切り株22Eとに分断する。そして、レーザヘッド31Aは、伝熱管20Eの落下方向(Z方向)の上側の伝熱管2に対し、切断位置C1で切断を行うことになる。
つまり、実施形態2の蒸気発生器の解体処理方法では、伝熱管2を管支持板6F側は切断せず、管支持板6G側をまず切断する第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)を行う。この場合、上述したように、伝熱管2は、管板11へ拡管固定されているので、管支持板6Fに貫通する伝熱管2は、位置ずれや回転しない。このため、隣り合う管支持板6F、6Gのうち管板11から遠い側の管支持板6Gに貫通する伝熱管2に対して、図14に示すように、切断位置C1で分断することが好ましい。これにより、伝熱管2が切断位置C1で分断され、端部20Fgができた伝熱管20Fとなっても、伝熱管20Fは、管板11に近い管支持板6Fに支持され、多少落下方向(Z方向)に自重で下がる程度で静止する。
次に、実施形態2の蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31Bが伝熱管20Fを管支持板6F側の切断位置C2で切断する第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)を行う。伝熱管20Fが切断位置C2で分断され、伝熱管20Fには端部20Ffができ、伝熱管20Fは切り落とされる。レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとは、同時にレーザを照射すると、レーザヘッド31Bは、切断位置C2を切断し、伝熱管20Fと切り株22Fとに分断する。そして、レーザヘッド31Aは、伝熱管20Fの落下方向(Z方向)の上側の伝熱管2に対し、切断位置C3で切断を行うことになる。
次に、図15に示すように、伝熱管20Fは、自重により落下方向(Z方向)へ落下する。この場合、伝熱管20Fは、一端の端部20Fgが他端の端部20Ffより先に切断されているので、一端の端部20Fgが他端の端部20Ffより落下方向(Z方向)に低くなる。このため、伝熱管20Fが切断位置C2で分断され、伝熱管20Fには端部20Ffができると、一端の端部20Fgが他端の端部20Ffより落下方向(Z方向)に低くなる姿勢で落下する。
図12に示すように、切断装置30は、全ての伝熱管が切断されていない場合(ステップS4、No)、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが落下方向(Z方向)の上方にある伝熱管の正面に移動し、上述した第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)を実施する。図15に示すように、レーザヘッド31Aは、伝熱管2を切断位置C5で切断する。また、レーザヘッド31Bは、伝熱管2が切断位置C3で分断され、端伝熱管20Gとなった伝熱管を切断する第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)を行う。
上述したように、実施形態2の蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが同時にレーザ照射をすると、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31BとがZ方向に隣り合う伝熱管に作用し、上下の伝熱管2毎に、第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)と第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)を行うことができる。このため、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bのレーザ照射のタイミングを同じにすることができるので、例えば、レーザ発振回路からのレーザ光を分岐させ、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bのレーザ発振回路を共通とすることができる。このため、低コストな切断装置30とすることができる。また、本実施形態2の蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31A、31Bは、共通の保持部材35に支持されているので、保持部材35を落下方向(Z方向)の上方へ移動することで、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとは、レーザを照射しながら落下方向(Z方向)の上方へ移動できる。
切断装置30は、全ての伝熱管が切断されている場合(ステップS4、Yes)であって、全ての管支持板から伝熱管切断されていない場合(ステップS5、No)、次の管支持板6A〜6Gのうち隣り合う管支持板間、又は管支持板及び管板間を位置決めする準備工程、例えば管支持板6E、6Fの間に支持された伝熱管2を位置決めする準備工程が行なわれる(ステップS1)。全ての伝熱管が切断されている場合(ステップS4、Yes)であって、全ての管支持板から伝熱管切断された場合(ステップS5、Yes)、切断装置30は、処理を終了する。
上述したように本実施形態の蒸気発生器140の解体処理方法は、隣り合う前記管支持板6A〜6G間、又は管支持板6Aと前記管板11との間のいずれかに支持された伝熱管11は、伝熱管20Fの切断する両端部20Fg、20Ffの切断に時間差をもうけて切断され、伝熱管20Fの一端20Fgが他端20Ffより落下方向に低くなる姿勢で落下することが好ましい。
これにより、切断された伝熱管が下方の切り株に衝突するおそれが低減される。このため、衝突された切り株が移動又は回転するおそれを低減できる。また、移動又は回転した切り株が、レーザヘッドの進行方向の進路の障害となるおそれが低減でき、切断装置は余計な作業なしに伝熱管を切断することができる。その結果、熱交換器から伝熱管を切断する効率を高めることができる。また、一定の長さとなった切断された伝熱管及び一定の長さの切り株を有する管支持板又は管板は保管庫のスペースを低減できる。
(変形例)
図16から図18は、実施形態2の変形例における伝熱管の切断の状態の一例を示す模式図である。実施形態2の変形例における蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが伝熱管2の長手方向(Y方向)に離れて配置されており、落下方向(Z方向)の上下に独立して移動可能とされ、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが時間差もってZ方向に同じ伝熱管に作用し、第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)と第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)を行うことができる。次の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図16は、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが伝熱管2の長手方向(Y方向)に離れて配置されており、落下方向(Z方向)の上下に独立して移動可能とされている。レーザヘッド31Aが伝熱管2の切断位置C1で切断する。
つまり、変形例の蒸気発生器の解体処理方法では、伝熱管2を管支持板6F側は切断せず、管支持板6G側をまず切断する第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)を行う。この場合、上述したように、伝熱管2は、管板11へ拡管固定されているので、管支持板6Fに貫通する伝熱管2は、位置ずれや回転しない。このため、隣り合う管支持板6F、6Gのうち管板11から遠い側の管支持板6Gに貫通する伝熱管2に対して、図16に示すように、切断位置C1で分断することが好ましい。これにより、図17に示すように伝熱管2が切断位置C1で分断され、端部20Fgができた伝熱管20Fとなっても、伝熱管20Fは、管板11に近い管支持板6Fに支持され、多少落下方向(Z方向)に自重で下がる程度で静止する。
次に、変形例の蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31Bが伝熱管20Fを管支持板6F側の切断位置C2で切断する第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)を行う。伝熱管20Fが切断位置C2で分断され、図18に示すように伝熱管20Fには端部20Ffができ、伝熱管20Fは切り落とされる。
次に、図18に示すように、伝熱管20Fは、自重により落下方向(Z方向)へ落下する。この場合、伝熱管20Fは、一端の端部20Fgが他端の端部20Ffより先に切断されているので、一端の端部20Fgが他端の端部20Ffより落下方向(Z方向)に低くなる。このため、伝熱管20Fが切断位置C2で分断され、伝熱管20Fには端部20Ffができると、一端の端部20Fgが他端の端部20Ffより落下方向(Z方向)に低くなる姿勢で落下する。
図12に示すように、切断装置30は、全ての伝熱管が切断されていない場合(ステップS4、No)、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが落下方向(Z方向)の上方にある伝熱管の正面に移動し、上述した第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)を実施する。
上述したように、変形例の蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが同じ伝熱管にレーザ照射をするが、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとは、一端の端部20Fgの切断が完了する第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)と他端の端部20Ffの切断が完了する第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)とを最終的に時間差をもって行ってもよい。つまり、一端の端部20Fgと、他端の端部20Ffとが切断され切り離されるタイミングが異なっている。
また、変形例の蒸気発生器の解体処理方法では、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとが同じ伝熱管に途中まで同時レーザ照射をするが、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bとは、第1の伝熱管の切断工程(ステップS12)と第2の伝熱管の切断工程(ステップS13)とを時間差をもって行う。
切断装置30は、全ての伝熱管が切断されている場合(ステップS4、Yes)であって、全ての管支持板から伝熱管切断されていない場合(ステップS5、No)、次の管支持板6A〜6Gのうち隣り合う管支持板間、又は管支持板及び管板間を位置決めする準備工程、例えば管支持板6E、6Fの間に支持された伝熱管2を位置決めする準備工程が行なわれる(ステップS1)。全ての伝熱管が切断されている場合(ステップS4、Yes)であって、全ての管支持板から伝熱管切断された場合(ステップS5、Yes)、切断装置30は、処理を終了する。
上述したように本実施形態の蒸気発生器140の解体処理方法は、隣り合う前記管支持板6A〜6G間、又は管支持板6Aと前記管板11との間のいずれかに支持された伝熱管2は、伝熱管20Fの切断する両端部20Fg、20Ffの切断に時間差をもうけて切断され、伝熱管20Fの一端20Fgが他端20Ffより落下方向に低くなる姿勢で落下することが好ましい。例えば、レーザ発振回路からのレーザ光を切り換えさせ、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bのレーザ照射のタイミングを切り換えることができる。これにより、レーザヘッド31Aと、レーザヘッド31Bのレーザ発振回路は共通となり、小型にすることができる。このため、低コストな切断装置30とすることができる。
これにより、切断された伝熱管が下方の切り株に衝突するおそれが低減される。このため、衝突された切り株が移動又は回転するおそれを低減できる。また、移動又は回転した切り株が、レーザヘッドの進行方向の進路の障害となるおそれが低減でき、切断装置は余計な作業なしに伝熱管を切断することができる。その結果、熱交換器から伝熱管を切断する効率を高めることができる。また、一定の長さとなった切断された伝熱管及び一定の長さの切り株を有する管支持板又は管板は保管庫のスペースを低減できる。
上述した実施形態では、切断装置30は、図3に示すように管板11を残して、例えば隣り合う管支持板6F、6Gを保持し、隣り合う管支持板6F、6Gの間の伝熱管2を切断する。実施形態はこの形態に限られず、例えば切断装置30は、管板11、管支持板6Aの間の伝熱管2を切断してもよい。
また、切断する伝熱管2は、隣り合う管支持板6F、6Gの間の伝熱管2、隣り合う管支持板6E、6Fの間の伝熱管2、管支持板6D、6Eの間の伝熱管2、管支持板6C、6Dの間の伝熱管2、管支持板6B、6Cの間の伝熱管2、管支持板6A、6Bの間の伝熱管2のいずれかどの伝熱管2から切断してもよい。
また、切断する伝熱管2は、隣り合う管支持板6F、6Gの間の伝熱管2、隣り合う管支持板6E、6Fの間の伝熱管2、管支持板6D、6Eの間の伝熱管2、管支持板6C、6Dの間の伝熱管2、管支持板6B、6Cの間の伝熱管2、管支持板6A、6Bの間の伝熱管2のY方向の順番で、あるいはY方向と逆方向の順番で順に切断していくことが好ましい。
上述した実施形態は加圧水型原子力プラントの熱交換器である蒸気発生器の伝熱管の切断を例に説明してきたが、沸騰水型、高速炉型及びその他の原子力プラントの管部材にも適用可能である。また、一般の熱交換器、火力発電プラントにも応用可能である。なお、ナトリウム等で原子炉炉心を冷却する高速炉型原子炉では、ナトリウム−水反応による影響を軽減するために、1次ナトリウム系と2次ナトリウム系をもうけており、この2系統間の熱交換を行なう中間熱交換器を有する。2次ナトリウムの熱は蒸気発生器において水に熱伝達されて蒸気をえる。本実施形態の熱交換器は、高速炉型原子炉の中間熱交換器、及び蒸気発生器をも解体対象として含んでいる。