JP4764498B2 - 蒸気発生器の処理方法 - Google Patents
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原子炉から加圧された高温の冷却材が伝熱管内部を流れ、伝熱管を加熱する。別途下部胴の内部に供給された水は伝熱管の外側表面と接触して、加熱され、蒸発しながら伝熱管に沿って上方に流れ、蒸気発生器の上部において蒸気の形になって現われる。
たとえば、特許文献2に示されるように、伝熱管を押し潰し、所定長さに切断して放射性廃棄物としての保管スペースを減少させるものが提案されている。
これは、伝熱管群が胴部の内部に位置させられた状態で、伝熱管が管板に近接した部分で切断される。上部胴の先端部分を開口し、開口部に圧延ロール装置およびプレス装置を設置する。引抜き装置によって伝熱管を一本引き抜き、圧延ロール装置によって予備圧縮し、次いで、プレス装置によって押し潰す。押し潰された伝熱管は切断装置によって所定長さに切断され、保管箱に保管される。
特許文献2に示されるものは、伝熱管を押し潰すための圧延ロール装置およびプレス装置が大型のものが必要になり、高価でかつ広いスペースが必要となる。また、変形し難い伝熱管を押し潰すので、その作業時間が多くなり、作業コストが高価となる。
さらに、伝熱管群が胴部の内部に位置させられた状態で作業が行われるので、伝熱管を管板から切り離す切断作業および引抜き装置による引き抜き作業が難しい。これらについて具体的な手段が示されていないので、実施は困難と考えられる。
砥石切断の場合には、切断に伴う砥石の磨耗が不可避であり、本数の多さおよび高強度の材料であることから多数の砥石を必要とする。この砥石の交換時間が多くなるので、作業コストが高価となる。また、切断された伝熱管の確実で、かつ、処理し易い回収が求められる。
すなわち、本発明の一態様は、長手方向に間隔をあけて配置された複数の管支持板によって支持された多数の伝熱管を有する加圧水型原子力発電プラントの蒸気発生器を横置きした状態で解体処理する蒸気発生器の処理方法であって、隣り合う前記管支持板間に位置する前記各伝熱管が、露出された状態で少なくとも両側の前記管支持板の近傍位置でレーザ切断される伝熱管切断工程を備え、該伝熱管切断工程は上下方向に並ぶ前記伝熱管に対して最も下方に位置する前記伝熱管が切断される蒸気発生器の処理方法である。
伝熱管切断工程では上下方向に並ぶ伝熱管に対して最も下方に位置する伝熱管が切断されるので、切断される伝熱管の下方には落下を邪魔する伝熱管が存在しないことになる。このように、下方に落下を邪魔する伝熱管が存在しないので、切断された伝熱管を下方へ確実に落下させることができる。
本態様では、管支持板の近傍位置でのレーザ切断は、レーザヘッドの管支持板側端部よりも管支持板側で切断されるので、管支持板側に切り残される伝熱管の先端位置は、レーザヘッドの進行を妨げることがない。
これにより、上述の不具合を解消でき、確実に伝熱管を所定長さに切断でき、下方へ落下させることができる。
なお、管支持板の近傍位置でのレーザ切断位置をレーザヘッドの管支持板側端部よりも管支持板側とするには、たとえば、レーザヘッドをレーザ光照射側が管支持板側に位置するように傾斜させてもよいし、レーザ光学系を工夫してレーザ光の光軸を管支持板側に向くように変位させるようにしてもよい。
この場合、下側の伝熱管から切断することおよび切断した伝熱管を下方へ落下させることを勘案すると、両側部の2箇所から伝熱管切断工程を行うことが好ましい。
このように、収納容器の交換時期が容易に判断できるので、収納容器に所定量の伝熱管を収納することができる。
なお、表示は、音声表示であってもよいし、視覚表示であってもよいし、触覚表示であってもよい。
たとえば、管支持板間の中間位置で1箇所レーザ切断された後で、両側の管支持板の近傍位置でレーザ切断されると、隣り合う管支持板間の伝熱管は2個に分割して切断されることになる。
また、管支持板間の中間位置で2箇所レーザ切断された後で、両側の管支持板の近傍位置でレーザ切断されると、隣り合う管支持板間の伝熱管は3個に分割して切断されることになる。この場合、最初に切断される中間位置の伝熱管の長さは、下方に位置する両切株間の間隔よりも小さいので、切株に影響されることなく確実に下方に落下させることができる。次に切断される両側の伝熱管は、長さが小さくなるので、確実に下方に落下させることができる。
なお、傾斜切断の傾斜は直線状に形成されてもよいし、曲線状に形成されてもよい。
伝熱管切断工程では上下方向に並ぶ伝熱管に対して最も下方に位置する伝熱管が切断されるので、切断された伝熱管を下方へ確実に落下させることができる。
図1には、本発明の一実施形態にかかる蒸気発生器の処理方法で処理される加圧水型原子力発電プラントの蒸気発生器1の概略構成が示されている。図2は、蒸気発生器1の伝熱管群の部分横断面である。
下部胴3、上部胴5、円錐胴7および上部鏡11は、厚さがたとえば100mm程度の強度の高い鋼材で形成されており、放射能を遮蔽する機能を有している。
水室9の内部は、原子炉からの1次冷却材が導入されるホット側水室19と、熱交換され冷やされた1次冷却材を原子炉へ向けて送り出すコールド側水室21とに二分されている。
各伝熱管15の両端部は管板13にそれを貫通するように固定されている。伝熱管15は、管板13から上方に向けて延在し、自由端である曲部23は、円錐胴7に位置している。
伝熱管15の両端部の管板11への取付位置は、一方がホット側水室19に連通し、他方がコールド側水室21に連通する位置とされている。
多数、たとえば、3388本の伝熱管15は、全体として伝熱管群25を形成している。伝熱管群25は、略円筒形状の直管部分の上部に略半球形状を曲部23が存在する形状をしている。
略半球形状に形成された曲部23の集合体には、伝熱管15の振動を防止する振止金具29が取り付けられている。
振止金具29は、伝熱管15で構成された平面間に挿入され、隣り合う平面を構成する伝熱管15に接触するように取り付けられている。
給水リング31は、上部胴5の下部に、リング状に設けられた配管であり、給水入口ノズルを通って送られる2次冷却系の水を管群外筒17の外側に供給する機能を有する。
気水分離器33は、下部胴3から送られる水混じりの蒸気を蒸気と水に粗分離するものである。気水分離器33で分離された水は、給水ラインに戻される。
気水分離器33で粗分離された蒸気は湿分分離器35に導入され、蒸気中に含まれる湿分を分離される。
湿分を分離された蒸気は、蒸気室37から蒸気出口ノズル41を通って2次系のタービンに送られる。
外側グリーンハウス45およびレーザ防護ハウス51には、図示を省略しているが切断作業時に発生するヒューム、ダスト等を吸引して回収する回収ダクトが備えられている。
支持架台55によって床に横置きされた蒸気発生器1を覆うよう、外側グリーンハウス45は設置される。
フレーム部59は、型鋼によって門型に形成されており、その両側の下部に車輪が取り付けられている。
レーザヘッド61は、水平面内で揺動可能とされている。
また、フレーム部59には、図示を省略しているが、レーザヘッド61から伝熱管15までの距離を計測する計測器が設置されている。この計測器で伝熱管15までの距離を計測し、レーザヘッド61と伝熱管15との位置決めを行う。
これらの計測器は、接触式、非接触式を問わず、公知の構造のものが用いられる。
次いで、外側グリーンハウス45を設置する。レーザ防護ハウス51が水室9を覆う位置に移動される。
この状態で、ホット側水室19およびコールド側水室21の除染作業、たとえば、ブラスト除染を実施する。その後、伝熱管15の内部の除染作業、たとえば、ブラスト除染を実施する。
所定の場所に搬送された上部胴5部は、上部鏡11および上部胴5が所定の大きさにガス切断されつつ取り外される。さらに給水リング31、気水分離器33および湿分分離器35等が取り外され、別途用意された解体場所に搬送され、解体される。
こうして、解体されたものは、必要に応じて除染され、クリアランス装置で検査した後、指定場所に搬出される。
これにより、伝熱管群25が露出されることになる。このとき、図4に示されるように支持架台55によって支持される必要がある範囲の下部胴3および管群外筒17は、切断されず残されている。
次いで、切断装置47を伝熱管15の曲部23に対応する位置に移動させる。このとき、図示しない計測器によって管支持板27までの距離を円周複数ヶ所で計測し、フレーム部59を管支持板27に平行となるように位置決めする。
管支持板27から離れる側のレーザヘッド61は、切断方向が曲部23の中心を向くように設定される。
また、上下方向Hに並ぶ伝熱管15に対して常に最も下方に位置する伝熱管15が切断されるので、切断された伝熱管15の下方には落下を邪魔する伝熱管15が存在しないことになる。このように、下方に落下を邪魔する伝熱管15が存在しないので、切断された伝熱管15を下方へ確実に落下させることができる。
収納容器63は、図10および図11に示されるように、上方が開放された略直方体形状をし、上方の開放部分には蓋64で覆われている。蓋64は、幅方向B中心位置に軸方向に延在する開口部66が設けられ、開口部66が幅方向B両端部よりも下方に位置するように傾斜されている。開口部66は、切断される伝熱管15の長さおよび幅よりも十分大きくされている。
収納容器63は、たとえば、パーツフィーダ等の振動体68の上に設置されている。なお、振動体68を用いないようにしてもよい。
また、アラームは作業員に収納容器63の交換時期を知らせるものであるので、アラームのような音声表示に限定されるものではない。たとえば、光を発生させたり、ディスプレイに表示させたりするような視覚的表示であってもよいし、触覚を利用した表示であってもよい。
門型クレーン49を移動させ、図5に示されるように先端側の管支持板27を荷役フックによって吊り上げて、支持する。
レーザヘッド61は、図7および図8に示されるように水平面内で揺動され、レーザ光照射側が管支持板27側に位置するように傾斜させられている。これにより、レーザビーム65が集光される切断点Sは、レーザヘッド61の管支持板27側端部よりも管支持板27側に位置させられている。
レーザヘッド61は、蒸気発生器1の両側にそれぞれ2台設置されているので、切断作業は図8に示されるように、伝熱管群25の両側から行われる。
両側のレーザヘッド61による切断動作は同じであるので、ここでは片側における切断動作について説明する。
レーザヘッド61は、最も外側の伝熱管15の上下方向Hに並ぶ列の最下端の伝熱管15を切断する位置aに位置される。このとき、図示しない計測器によってレーザヘッド61から対象となる伝熱管15までの距離を計測し、レーザヘッド61の位置決めを行う。
レーザヘッド61から照射されるレーザ光によってレーザ切断する。このとき、スタンドオフ距離(レーザヘッド61の先端と非切断位置との距離)が一定になるように倣い制御するようにしてもよい。
次いで、レーザヘッド61を下方に移動するとともに幅方向B内側に移動させ、ひとつ内側の列の最下端の伝熱管15を切断できる位置cに位置させる。
この列の最下端の伝熱管15が切断されると、レーザヘッド61を上に移動させて下から2番目の伝熱管15を同様に切断し、これを繰り返して最上端の伝熱管15まで切断する(位置d)。
このように、切断作業が両側から並行して行われるので、切断作業時間を短縮できる。言い換えると、切断作業を効率的に行うことができる。
たとえば、伝熱管群25の最下方に位置する水平方向に並ぶ伝熱管15の列を両側から中心部まで、あるいは片側から反対側端部まで、レーザ切断を行い、これを上方へ向かい繰り返して行うようにしてもよい。言い換えれば、水平方向に並ぶ複数の伝熱管15をレーザ切断し、それを上方に向けて繰り返すようにしてもよい。この場合も、切断される伝熱管15は、上下方向に並ぶ伝熱管15に対して最も下方に位置する伝熱管15となっている。
また、列状に配置された伝熱管15を列単位で切断するのではなく、上方あるいは水平方向に列の一部を形成する1または複数の伝熱管15を切断し、それを繰り返すようにしてもよい。この場合も、切断される伝熱管15は、上下方向に並ぶ伝熱管15に対して最も下方に位置する伝熱管15となるようにする。
この管支持板27は、別の場所に搬送されて、複数個に分割するように切断される。また、切断装置47のレーザヘッド61を用いて複数個に分割するように切断される。
このように、収納容器63の交換時期が容易に判断できるので、収納容器63に所定量の伝熱管15を収納することができる。
また、所定のタイミングで振動体68を作動されると、収納容器63が揺さぶられるので、収納された伝熱管15を整列させることができる。
このようにすると、伝熱管15の収納容器63への収納効率を向上させることができるので、収納容積を減少でき、減容率を向上させることができる。
このように消耗品の交換頻度の少ないレーザ切断を用いているので、切断作業中の消耗品の交換時間が減少し、切断作業時間を短縮できる。
上下方向に並ぶ伝熱管15に対して常に最も下方に位置する伝熱管15が切断されるので、切断される伝熱管15の下方には落下を邪魔する伝熱管15が存在しない。
このように、下方に落下を邪魔する伝熱管15が存在しないので、切断された伝熱管15を下方へ確実に落下させることができる。
図9に示されるように切断作業が内側に進んだ場合でも、切株69の先端位置を結ぶ切断位置67を一定位置に維持することができるので、上述の不具合を解消でき、確実に伝熱管15を所定長さに切断でき、下方へ落下させることができる。
たとえば、図13〜図15に示されるように、レーザ光学系71を工夫してレーザビーム65の光軸が管支持板27側に向くようにしてもよい。
このようにしても、上述と同様な作用・効果を奏する。なお、レーザヘッド61を水平面内で揺動させることが不要となるので、レーザヘッド61の機械的構造を簡素化できる。
このようにすると、切断された伝熱管15が落下し易くなるので、切断された伝熱管15を確実に下方に落下させることができる。
なお、傾斜切断の傾斜面73は図16に示されるように上下方向に直線状に形成されてもよいし、あるいは、曲線状に形成されてもよい。
このようにすると、一層落下し易くなるので、切断された伝熱管15を確実に下方に落下させることができる。
このようにすると、伝熱管15のレーザヘッド61側を切断するときに発生するドロス、スパッタ77は伝熱管15の内面に付着して付着層79が形成され伝熱管15から外側に飛び出す量を減少させられる。
また、伝熱管15のレーザヘッド61と反対側の切断幅が狭いので、こちら側で発生するドロス、スパッタ77は少なくできる。
これらにより、切断時に発生するドロス、スパッタ77が飛散することの影響を抑制することができる。たとえば、狭い間隔で配置されている隣り合う伝熱管15がドロス、スパッタ77によって接合され、切断された伝熱管15が落下しない等の恐れを抑制できる。
たとえば、図19〜図21に示されるように伝熱管15は両側の管支持板27の近傍位置でレーザ切断される前に管支持板27間の中間位置で2箇所レーザ切断されるようにしてもよい。
管支持板27間の伝熱管15は、まず、図19に示されるように中間位置で2箇所レーザ切断されるので、伝熱管15aが切断分離され下方に落下する。次いで、図20に示されるように両側の管支持板27の近傍位置で切断されるので、伝熱管15b,15cが切断分離され下方に落下する。
伝熱管15aの切断にあたり、図16あるいは図17に示される切断を行うと、より一層落下させ易くなるので、効果的である。
管支持板27間の伝熱管15は、まず、図22に示されるように中間位置で1箇所レーザ切断される。このとき、切断位置の両側の伝熱管15はそれぞれ管支持板27に支持されているので、その位置に留まる。次いで、図23に示されるように両側の管支持板27の近傍位置で切断されるので、伝熱管15d,15eが切断分離され下方に落下する。
また、伝熱管15d,15eの長さは下方に位置する両側の切株69間の間隔よりも小さいので、切株69に影響されることなく確実に下方に落下させることができる。
15 伝熱管
27 管支持板
63 収納容器
69 切株
Claims (10)
- 長手方向に間隔をあけて配置された複数の管支持板によって支持された多数の伝熱管を有する加圧水型原子力発電プラントの蒸気発生器を横置きした状態で解体処理する蒸気発生器の処理方法であって、
隣り合う前記管支持板間に位置する前記各伝熱管が、露出された状態で少なくとも両側の前記管支持板の近傍位置でレーザ切断される伝熱管切断工程を備え、
該伝熱管切断工程は上下方向に並ぶ前記伝熱管に対して最も下方に位置する前記伝熱管が切断されることを特徴とする蒸気発生器の処理方法。 - 前記伝熱管切断工程における前記管支持板の近傍位置でのレーザ切断は、レーザヘッドの前記管支持板側端部よりも前記管支持板側で切断されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記伝熱管切断工程は、並行して複数箇所で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記伝熱管切断工程では、切断される前記伝熱管の下方に配置された収納容器に切断された前記伝熱管を収納することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記収納容器を振動させて収納された前記伝熱管を整列させることを特徴とする請求項4に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記収納容器に所定量の切断された前記伝熱管が収容されたことを表示することを特徴とする請求項4または5に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記伝熱管切断工程では、前記伝熱管は前記管支持板の近傍位置でレーザ切断される前に前記管支持板間の中間位置で少なくとも1箇所レーザ切断されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記伝熱管切断工程において、両側が切断される前記伝熱管は軸線に沿う長さが上側から下側に向けて順次長くなるように傾斜切断されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記傾斜切断は、下側に向かうほど切断幅が大きくなるように行われることを特徴とする請求項8に記載の蒸気発生器の処理方法。
- 前記伝熱管の切断部の切断幅は、前記レーザヘッド側が広く、前記レーザヘッドと反対側が狭くされていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の蒸気発生器の処理方法。
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