JP5817642B2 - 笑い防止形圧縮形引留クランプ - Google Patents

Description

本発明は、鋼芯アルミ撚線を鉄塔に引き留める引留クランプに係り、より詳しくは、圧縮形引留クランプの固定において、逆圧縮により撚線の笑いを防ぐ、簡単な構造で、作業性に富む、笑い防止形圧縮形引留クランプに関する。

圧縮形引留クランプにおける圧縮作業において、クランプ本体（アルミクランプ）の圧縮が、クレビス（鋼クランプ）側からアルミクランプ口元側に向かって順次圧縮されていくと、圧縮応力により押された複数本の撚り線には、不均一な撓みが生じ、撚り線間に不均一な隙間（笑い）が発生する。この笑いを防止するため、アルミクランプ口元側からクレビス（鋼クランプ）側に向かって圧縮する逆圧縮が行なわれる。この場合、圧縮するに従って鋼芯アルミ撚線の撚りによる回転が生じ、クレビス（鋼クランプ）は鋼芯線の撚りと反対方向に捻れを生じるため、この捻れを防止する必要がある。

図４は、特許文献１における、笑い防止形圧縮形引留クランプ要部の分解斜視図である。図４において、クレビス（鋼クランプ６０）は、直径方向に対向して左右２箇所に平面部６５を有している。また、クランプ本体（アルミクランプ５０）に装着するキャップ７０を有し、キャップ７０には、鋼クランプ６０の平面部６５に当接する同形状の穴が設けられている。アルミクランプ５０には、キャップ７０を鋼芯アルミ撚線（図示せず）挿入穴中心と同心位置にセットするため、円形状の溝５５が施されている。また、キャップ７０及びアルミクランプ５０には、キャップ７０を円形状の溝５５にリベットカシメにより取り付けるため、互いに対称に４箇所のリベット挿入穴７５、５７が設けられている。

このアルミクランプ５０に鋼芯アルミ撚線を導入し、鋼芯アルミ撚線の芯部鋼線を鋼クランプ６０に挿入圧縮した状態で、アルミクランプ５０を外部から逆圧縮加工することにより、鋼芯アルミ撚線が、鋼クランプ６０及びアルミクランプ５０に完全に一体化される。

この場合、平面部６５とキャップ７０の穴は、鋼クランプ６０の平面部６５に当接して係合されているため、鋼クランプ６０は、アルミクランプ５０に対し回転できないため、捻れを防止することができる。ところが、鋼クランプ６０の２箇所の平面部６５を設け、アルミクランプ５０には、これと同形の穴を有するキャップ７０を装着する溝５５加工を施し、されに、４箇所のアルミリベットによるカシメによりキャップ７０の固定を行なうため、部品数及びそれに伴う加工工数の増加、更にその設置工数の増加という問題がある。

特許第４３０１６４９号公報

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡単な構造で、水密性を有し、作業性に富む、笑い防止形圧縮形引留クランプを提供する。

本発明の笑い防止形圧縮形引留クランプは、鋼芯アルミ撚線を鉄塔に引き留める笑い防止形圧縮形引留クランプにおいて、鋼芯アルミ撚線が挿入された挿入穴を具備するアルミクランプと、一端に挿入穴を貫通した鋼芯アルミ撚線の芯部鋼線を挿入圧縮する芯部鋼線挿入穴と他端に鉄塔に引き留められる引き留め孔を含む引き留め部とを有する鋼クランプと、アルミクランプに挿入されるアルミピンとを有し、鋼クランプは、アルミピンに接触する平面部を有し、アルミクランプは、アルミピンが挿入されるピン挿入穴を有し、アルミピンは、ピン挿入穴内でカシメ固定され、平面部は、カシメ固定されたアルミピンと接触しながら挿入穴内に挿入され、挿入穴のエッジは、平面部がカシメ固定されたアルミピンと接触しながら挿入穴内に完全に挿入された際に、引き留め部と密着することを特徴とする。

本発明の笑い防止形圧縮形引留クランプの鋼クランプは、平面部がアルミクランプの挿入穴に完全に挿入されたとき、挿入穴のエッジと鋼クランプとが密着する円状のテーパ部を有することを特徴とする。

本発明によれば、簡単な構造で、水密性を有し、作業性に富む、笑い防止形圧縮形引留クランプを提供することができる。

本発明による笑い防止形圧縮形引留クランプの分解斜視図。 本発明のアルミクランプの分解斜視図。 本発明による笑い防止形圧縮形引留クランプの取付け工程図。 従来の笑い防止形圧縮形引留クランプの分解斜視図。

本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図１は、本発明による笑い防止形圧縮形引留クランプの構成を示す笑い防止形圧縮形引留クランプ構成図である。図１において、笑い防止形圧縮形引留クランプ１００は、アルミクランプ１０と、鋼クランプ３０と、アルミピン２０とを有している。

アルミクランプ１０は、一端から鋼芯アルミ撚線（図示されず）が、他端から鋼クランプ３０が挿入される挿入穴１２を有している。鋼クランプ３０は、挿入穴１２に挿入される挿入部３１と、鉄塔に引き留められる引き留め部３２とを有している。挿入部３１は、挿入穴１２を貫通した鋼芯アルミ撚線（図示せず）の芯部鋼線を挿入し圧縮して把持する芯部鋼線挿入穴３３を有し、引き留め部３２は、鉄塔に引き留められる引き留め孔３４を有している。また、鋼クランプ３０の挿入部３１は、アルミピン２０に接触する平面部３５と、平面部３５がアルミクランプの挿入穴１２に完全に挿入されたとき、挿入穴１２のエッジ部１７（図２参照）と引き留め部３２とが密着する時点で、挿入穴１２を塞ぐ円状のテーパ部３７とを有している。

図２は、本発明のアルミクランプの分解斜視図である。図２において、アルミクランプ１０の鋼クランプ３０が挿入される側の挿入穴１２のエッジ部１７側の所定の位置に、アルミピン２０が挿入されるピン挿入穴１５を有している。ピン挿入穴１５に矢印方向からアルミピン２０が挿入され、アルミピン２０の端部はピン挿入穴１５内でカシメられ、固定される。

図３は、本発明による笑い防止形圧縮形引留クランプの取付け工程図である。図３ａは、アルミクランプ１０の挿入穴１２の一端から鋼芯アルミ撚線４０が挿入され、鋼クランプ３０の芯部鋼線挿入穴３３に把持された後、引き戻されて、鋼クランプ３０の平面部３５が、外部から見える所定の位置に設定された状態を示す。アルミピン２０の端部はピン挿入穴１５内でカシメられ、固定され、アルミピン２０と鋼クランプ３０の平面部３５とは、互いに接触している。

図３ｂにおいて、矢印方向からアルミクランプ１０が逆圧縮加工されることにより、鋼芯アルミ撚線４０が、鋼クランプ３０の挿入部３１及びアルミクランプ１０に完全に一体化されていく。この時、平面部３５とアルミピン２０とは、互いに接触しているため、鋼クランプ３０は、アルミクランプ１０に対し回転できないため、捻れを防止することができる。

図３ｃにおいて、さらに圧縮加工されることにより、挿入穴１２のエッジ部１７が、円状のテーパ部３７に沿って圧縮前進し、エッジ部１７と引き留め部３２とが完全に密着した時点で取付け工程が終了する。これにより、円状のテーパ部３７が挿入穴１２を完全に塞ぐため、鋼芯アルミ撚線４０、鋼クランプ３０の挿入部３１、及びアルミクランプ１０の一体化された部分は水密性を有することができる。これにより、一体化部分の雨雪等による腐食を防止することが可能となる。

このように、鋼クランプの平面化孔が半減し、キャップが不用となり、ネジ穴加工等の加工工数も軽減するため、簡単な構造で、水密性を有し、作業性に富む、笑い防止形圧縮形引留クランプを提供することができる。

１０ アルミクランプ
１２ 挿入穴
１５ ピン挿入穴
１７ エッジ部
２０ アルミピン
３０ 鋼クランプ
３１ 挿入部
３２ 引き留め部
３３ 芯部鋼線挿入穴
３４ 引き留め孔
３５ 平面部
３７ 円状のテーパ部
４０ 鋼芯アルミ撚線
５０ アルミクランプ
５５ 円形状の溝
５７ リベット挿入穴
６０ 鋼クランプ
６５ 平面部
７０ キャップ
７５ リベット挿入穴
１００ 本発明の笑い防止形圧縮形引留クランプ

Claims (2)

1. 鋼芯アルミ撚線を鉄塔に引き留める笑い防止形圧縮形引留クランプにおいて、
   前記鋼芯アルミ撚線が挿入された挿入穴を具備するアルミクランプと、
   一端に前記挿入穴を貫通した前記鋼芯アルミ撚線の芯部鋼線を挿入圧縮する芯部鋼線挿入穴と、他端に前記鉄塔に引き留められる引き留め孔を含む引き留め部とを有する鋼クランプと、
   前記アルミクランプに挿入されるアルミピンとを有し、
   前記鋼クランプは、前記アルミピンに接触する平面部を有し、
   前記アルミクランプは、前記アルミピンが挿入されるピン挿入穴を有し、
   前記アルミピンは、前記ピン挿入穴内でカシメ固定され、
   前記平面部は、カシメ固定された前記アルミピンと接触しながら前記挿入穴内に挿入され、
   前記挿入穴のエッジは、前記平面部がカシメ固定された前記アルミピンと接触しながら前記挿入穴内に完全に挿入された際に、前記引き留め部と密着することを特徴とする笑い防止形圧縮形引留クランプ。
2. 前記鋼クランプは、前記平面部が前記アルミクランプの前記挿入穴に完全に挿入されたとき、前記挿入穴のエッジと前記鋼クランプとが密着する円状のテーパ部を有することを特徴とする請求項１に記載の笑い防止形圧縮形引留クランプ。

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