JP5817542B2 - シリコン基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はシリコン基板の製造方法に関し、特には、チョクラルスキー法(CZ法)や磁場印加CZ法(MCZ法)等によって育成されるインゴットから切り出されたシリコン基板の製造方法である。
近年、省エネ期待でパワー半導体が注目されている。これらのデバイスは大電流を流すため、メモリー等のデバイスと異なりウェーハの厚さ方向に電気を流す構造である。パワーデバイスで重要な特性はOn抵抗と耐圧である。これらは基板ウェーハの抵抗率に影響されるので、ウェーハ厚さ方向への抵抗率の均一性が重要な要素である。
しかし、CZ結晶においては偏析現象のために結晶成長軸方向に均一な抵抗率を得ることが難しい。そこで、従来、均一な抵抗率が得られやすいエピタキシャルウエーハ等が用いられてきた。
しかしコストの面からCZ法やMCZ法によって育成されるインゴットから切り出されたウェーハを用いたパワーデバイスが近年望まれるようになって来た。
CZ法又はMCZ法における結晶軸方向の抵抗率の均一性を保つ方法としては、DLCZ法(例えば特許文献1)や二重ルツボ法+連続チャージ法(例えば特許文献2)などが古くから考案されてきた。
しかしこれらの方法においては、結晶が有転位化してしまい単結晶を育成するのが極めて難しいという問題があり、広く実用化されるには至っていない。
その他にもN型結晶の抵抗率均一性を上げる方法としては中性子照射法(NTD)が知られており(例えば特許文献3や特許文献4)、FZ結晶などでは比較的広く用いられてきた。
しかし、この方法は原子炉が必要でありコストが高く、供給も安定しないという問題がある。
そこで、比較的簡便に実施が可能な方法としては、N型ドーパントとP型ドーパントとの両者をドープ(コドープ)し、抵抗を補償することで均一性を上げる方法がある(例えば特許文献5)。
このような方法で結晶軸方向の均一性を向上させるためには、主ドープ剤の偏析係数が副ドープ剤の偏析係数より大きくなくてはならない。P型用として一般的に用いられるドーパントは3族のBであり偏析係数が0.8であり、N型ドーパントとして一般的な5族(Pが0.35、Asが0.3、Sbが0.023)より大きいので、主ドープ剤としてBをドープしたP型結晶を、副ドープ剤にPやAs等を用いて軸方向で抵抗率の均一性を保つことは可能である。
しかしながら主ドープ剤としてPやAsを用いるN型結晶の場合には、Bの偏析係数がこれらより高いため用いることが出来ない。その他のP型ドーパントとしては同じ3族であるAlやGaなどがあり、これらの偏析係数はAl:0.002、Ga:0.008とPやAsなどより小さく、原理的には抵抗率の均一性を保つことが可能である。
しかし現実的には、偏析係数のオーダーが2桁異なるため、融液中の濃度は主ドープ剤より2桁以上高濃度である必要がでてくる。つまり主ドープ剤の1000倍もの副ドープ剤を使用することになり現実的ではない。
従ってコドープ法によってN型結晶の抵抗率を所望のものとするとき、特には均一性を向上させるとき、低コストで現実的な方法はなかった。
また、FZ結晶の場合、酸素のドナー化を考慮して、予め酸素を基板中にイオン注入したりアニール拡散したりする方法が特許文献6および特許文献7に記載されているが、この方法はコストが高く、部分的にN型領域を形成させることが主目的であるため、基板全体の抵抗率を制御するものではない。
さらに、CZ結晶においてはP型の基板に酸素ドナーを形成し、N型高抵抗率に制御する技術が特許文献8に記載されているが、この方法では基板中にドナーの他にアクセプタ(P型ドーパント)が共存することとなり、好ましい状況とは言えない。この技術がN型高抵抗率に限定されているのも、P型ドーパントを少なくしたいためと推察される。
特開昭61−205691号公報 特開平5−105578号公報 特開昭62−112364号公報 特開平4−295093号公報 特開平4−243995号公報 特開平8−148501号公報 特開昭58−56426号公報 特開昭63−90140号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、デバイス製造工程後において、N型で所望の抵抗率を有する最終製品が得られるようなシリコン基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、シリコン基板の製造方法であって、チョクラルスキー法を用いて製造した、少なくとも抵抗率制御用にP型ドーパントをドープしていないシリコン基板にデバイスを製造する工程で熱処理を施すか、または該デバイス製造工程後に追加熱処理を施してサーマルドナーが生成されることで、導電型がN型で所望の抵抗率が得られるように、前記シリコン基板を製造するときに、予め、前記熱処理または追加熱処理によりサーマルドナー化する原子の濃度を制御しておくことを特徴とするシリコン基板の製造方法を提供する。
なお、ここでいうサーマルドナーとは熱処理によってドナー化したもの全体を意味し、狭義の酸素がドナー化したもののみを指すものではない。
従来、デバイス製造工程中の熱処理またはデバイス製造工程後の追加熱処理においてサーマルドナーが生成され、最終製品として所望の抵抗率を有するシリコン基板を得ることができなかった。あるいはコストが高く、現実的な方法ではなかった。
しかしながら本発明の方法であれば、コストを抑えつつ所望の抵抗率を有するN型シリコン基板を最終的に確実に得ることが可能である。したがって、例えば結晶成長軸方向に均一な抵抗率分布を有するものを得ることができる。
なお、ここで、デバイス製造工程における熱処理や追加熱処理の後に得られるようにする所望の抵抗率とは、デバイス形成上の理由からイオン注入や拡散等によって故意に導電性や抵抗率を変えた部分のことではなく、基板の性質をそのまま生かす部分として期待される部分に関するものである。また、特定の抵抗率に限定されることなく、N型全ての抵抗率に制御することが可能である。
このとき、出発基板は少なくともB、Al、GaなどP型ドーパントを抵抗率制御用に故意にドープしたP型基板ではなく、ノンドープ基板もしくはP、As、SbなどのN型ドーパントをドープしたN型基板とすることが重要である。
このとき、前記サーマルドナー化する原子を酸素、炭素、窒素の1種類以上とすることができる。
このようにすれば、酸素原子の場合は偏析係数がおよそ1であるため、偏析現象の影響をほとんど受けずに酸素濃度を制御することができるからである。また、CZ法などにおいても、酸素濃度を比較的制御しやすいからである。
また、窒素原子、炭素原子の場合は、CZ法等で育成するインゴットのトップ側とボトム側との抵抗率の差を大きくする場合などに有効である。
また、前記シリコン基板を製造するときに、P、As、Sbをドープしないこととすることができる。
このように、P型ドーパントであるB、Al、Gaはもちろん、N型ドーパントであるP、As、Sbをドープしなければ、最終製品の抵抗率はサーマルドナー起因のキャリアのみによることになるので、予め、サーマルドナー化する原子の濃度を制御しておく本発明においては、より簡便に、最終的に所望の抵抗率を得ることができる。
あるいは、前記シリコン基板を製造するときに、P、As、Sbの1種類以上をドープすることとすることができる。
このようにP等がドープされたシリコン基板であっても、サーマルドナー起因のキャリアにより、最終的に所望の抵抗率を得ることができる。
以上のように、本発明により、従来のようにデバイス製造工程前で所望の抵抗率を有していても、最終製品を得たときに意図せず所望の抵抗率からはずれることを防ぐことができる。特には、結晶成長軸方向に均一な所望の抵抗率を有する最終製品を確実に得ることができる。
インゴット育成装置の一例を示す概略図である。 ドーパントがP及びBである場合の偏析現象による抵抗率変化の例を示したグラフである。 実施例1及び比較例の抵抗率のプロファイルを表したグラフである。 実施例1の検討2で検討した酸素濃度のプロファイルを表したグラフである。 実施例2で検討した酸素濃度のプロファイルを表したグラフである。 実施例2の抵抗率のプロファイルを表したグラフである。
以下、本発明のシリコン基板の製造方法について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
シリコン基板を製造するにあたっては、まず、CZ法やMCZ法等によりシリコンインゴットを引上げ、該引上げたシリコンインゴットからウエーハ状に切り出すことにより、シリコン基板を得ることができる。ここでは、CZ法を用いた場合を例に挙げて説明する。
ここで、CZ法等によりシリコンインゴットを育成するための装置について図1を用いて説明する。
図1に示すように、インゴット育成装置1は、引上げ室2と、引上げ室2中に設けられたルツボ3(内側に石英ルツボ、外側に黒鉛ルツボ)と、ルツボ3の周囲に配置されたヒータ4と、ルツボ3を回転させるルツボ保持軸5及びその回転機構(図示せず)と、シリコンの種結晶6を保持するシードチャック7と、シードチャック7を引上げるワイヤ8と、ワイヤ8を回転又は巻き取る巻取機構(図示せず)を備えて構成されている。また、ヒータ4の外側周囲には断熱材9が配置されている。
シリコンインゴット10は、原料のシリコン融液11からワイヤ8によって引上げられる。
このような図1のインゴット育成装置1を用いて、シリコンインゴット10を育成するときは、ルツボ3を回転させながら、ルツボ3中のシリコン融液11に、シードチャック7に保持された種結晶6を浸漬する。そして、ワイヤ8を回転・巻き取りしながら、シリコン融液11から棒状のシリコンインゴット10を引き上げる。
ルツボ3はルツボ保持軸5により結晶成長軸方向に昇降可能であり、結晶成長中に結晶化して減少した融液の液面下降分を補うように該ルツボ3を上昇させる。結晶の側方にはシリコン融液11から発する酸化性蒸気を整流するために不活性ガスが流されている。
ここで、本発明においては、上述したように、デバイス製造工程中の熱処理やデバイス製造工程後の追加熱処理により、サーマルドナーが生成され、それによって所望の抵抗率が最終的に得られるようにするが、そのための手法として、シリコン基板の製造時においてサーマルドナー化する原子の濃度を制御しておく。シリコン基板はシリコンインゴットから切り出して得ることができるので、図1のようなインゴット育成装置1を用いてシリコンインゴットを育成する際にインゴット中のサーマルドナー化する原子の濃度を制御しておけば良い。
なお、ここでは、最終的に基板の厚さ方向(つまりはインゴットでは軸方向)に均一な抵抗率分布を得るための製造方法について説明する。しかしながら、当然これに限定されず、所望の抵抗率の分布が得られるように、適宜条件を調整・決定することができる。
制御対象のサーマルドナー化する原子について説明する。
サーマルドナーを生成させるための原子として、まず第一に酸素を用いることができる。
また、比較的低温の熱処理によってサーマルドナーを生成させる原子としては、酸素のほかに炭素(ニュードナーが生成される)や窒素(窒素原子と酸素原子からなるNOドナー)などが知られている。これらの炭素原子や窒素原子は偏析係数がそれぞれ0.07、0.0007といわれており、N型ドープ剤であるPやAsなどと同じく偏析現象に従って、シリコンインゴットのトップ側からボトム側に向かって濃度が増加していく。このためPやAsによって出来てしまう抵抗率の不均一性を補正する方向ではなく強調する方向に働いてしまい、インゴットの軸方向の均一性の向上という観点では使用しにくい。
一方で酸素原子はまず偏析係数がおよそ1であり、偏析現象の影響をほとんど受けず、結晶中の酸素濃度を制御することが比較的容易である。
ここで、酸素濃度の制御が可能な理由を次に述べる。
CZ法またはMCZ法では、上記のようにルツボ中のシリコン融液に種結晶を浸漬した後、シリコン融液から棒状のシリコンインゴットが引き上げられる。シリコン融液が入ったルツボ(ここでは内側の石英ルツボ)はシリコンと酸素から成っているので、酸素原子がシリコン融液内へと溶出する。この酸素原子はシリコン融液内を対流等に乗って移動し、最終的には表面から蒸発していく。この時ほとんどの酸素は蒸発するが、一部の酸素はインゴットに取り込まれ、格子間酸素(Oi)となる。
このときにルツボの回転数を変えることで酸素の溶出量を制御したり、インゴットの回転数や磁場印加CZ法(=MCZ法)で磁場印加条件を変更したりすることでシリコン融液内の対流の流れを制御したり、また不活性ガスの流量調整や炉内の圧力制御により表面からの酸素蒸発量を制御したりすることが可能である。これらの条件をチューニングすることでインゴットの軸方向(長さ方向)の酸素濃度を均一化させたり、増加させたり、減少させたりといったことが可能である。酸素のイオン注入等のコストが高い処理をせずとも濃度制御が可能でコストを低減することができ、しかも所望の濃度に制御し易い。従って、後に生成されるサーマルドナーの量を所望の量に制御するための原子として酸素を用いることが最も制御しやすい。
また酸素によるサーマルドナー(酸素ドナー)は450℃程度で生成し、650℃程度で消滅することが知られている。この様に比較的低温の熱処理によって生成・消滅するため扱いが簡単である。
例えば先に述べた炭素原子に起因すると考えられているニュードナーは650℃程度で生成し、900℃程度で消滅する。また窒素原子と酸素原子との両者からなるNOドナーの生成・消滅温度に関しては種々見解が有り正確には不明であるが、各種意見を総括すると500−800℃程度で生成し、900℃以上で消滅するといわれている。従って炭素や窒素を用いた場合には、酸素よりも高温の処理が必要となる。
デバイス製造工程の最終段階の熱処理やデバイス製造工程終了後の追加熱処理ではサーマルドナーを生成させたり、またドナーキラー熱処理を行う場合もある。処理温度はできるだけ低温の方が簡便でもあり好ましいので、本発明においては、特に酸素をサーマルドナー化する原子として制御すると良い。
このように、制御対象として酸素、炭素、窒素等が挙げられること等について説明した。次に、どのような濃度分布に制御するかについて説明する。
まず、酸素を制御する場合について説明する。
最終的に所望の抵抗率とするためには、主には、育成されたインゴットにおける抵抗率分布に、デバイス製造工程中の熱処理等によって生成される酸素ドナーを起因とするキャリアの量を考慮し、その結果、その所望の抵抗率(ここではインゴットの軸方向に均一)にすることができれば良いと考えられる。インゴットの抵抗率の分布次第で、最終的な所望の抵抗率とするために必要なサーマルドナー起因のキャリア発生量は変化し、該サーマルドナー起因のキャリア発生量はインゴット中の酸素濃度の分布による。また、本発明ではP型ドーパントは抵抗率制御用に故意にドープしないが、基板(インゴット)の抵抗率分布はP等のN型ドーパントの存在の有無や濃度分布が関わってくる。
そこで、酸素濃度の分布の制御方法としては、例えば以下のような2つの方法が考えられる。
(第一の制御方法)
第一の方法は、元々N型ドーパントが持っている偏析現象による抵抗率の分布を、生成させた酸素ドナー起因のキャリアによって修正する(ここでは均一にする)方法である。
通常、N型ドーパントとしてはP、As、Sbなど5族の原子を用いる。これらの偏析係数は先に述べたように、P型の代表的なドーパントであるBに比較して小さい。このためインゴットのトップ側の抵抗率に対するボトム側の抵抗率の比が大きくなってしまう。
BとPとでインゴットの長さ方向への抵抗率分布の例を図2に示す。縦軸に抵抗率、横軸に固化率を取って抵抗率分布を示す。
N型結晶は点線で示し、P型結晶は実線で示した。従って、例えば抵抗率規格が70−100Ωcmであるとすれば、N型結晶で規格内に入る長さは、P型結晶のそれの約半分と短いことがわかる。つまりN型結晶はP型結晶に比較してコストが高いという問題点がある。
そこで、酸素濃度の分布としては、低温の熱処理によって発生する酸素ドナーを勘案して、トップ側の酸素濃度を高く、ボトム側の酸素濃度を低くすれば、規格内に入る長さを長くすることが可能である。酸素ドナーがなければトップ側ではドーパントによるキャリアが少なく高抵抗率になるが、最終的には熱処理によって酸素ドナー起因のキャリアが発生し、最終製品の抵抗率を規格内に下げることが可能である。
この様に、最終製品において抵抗率が均一となるように、P、As、Sb等のドープ剤を投入した結晶の抵抗率分布を、インゴット育成時の酸素濃度の制御により修正することができる。
予めP等のドープ量が決まっており、偏析現象による抵抗率の分布が分かっていれば、最終的な所望の抵抗率分布との差から、修正に必要とされる、デバイス製造工程中の熱処理等によって生成される酸素ドナー起因のキャリアの発生量を求めることができる。そして該キャリアの発生量が分かれば、逆算することにより、インゴット育成時に必要な酸素の濃度分布を求めることができる。
ここで、酸素濃度、デバイス製造工程中の熱処理等、酸素ドナー起因のキャリアの発生量の関係は以下のようなものとすることができる。
デバイス製造工程中の熱処理の条件は様々であるが、通常のデバイス製造工程では、前工程と呼ばれる半導体素子構造を形成する工程の後に、後工程と呼ばれる配線やパッケージの工程がある。この工程では400−500℃程度の低温の熱処理が行われることがある。例えばシリコンウェーハ中に酸素原子が存在していれば、この低温の熱処理によってドナーが形成される。
また、通常のデバイス製造工程だけでは不足であったり、安定性が出せないような場合には、通常のデバイス製造工程を終了した後に追加熱処理を加えることで、不足分を補ったり、安定性を出したりすることが可能である。更に安定性を求める場合には、通常のデバイス製造工程終了後に、一度ドナー消去熱処理を行い、その後にドナー形成熱処理を施すことも可能である。
酸素によるサーマルドナーに起因するキャリアがどの程度生成されるかについて、本発明者らが酸素濃度と450℃の熱処理時間との関連を調べた結果、酸素ドナー起因キャリア発生量[Cc]は、例えば、
[Cc]=5.76×10−74×[Oi]×exp(−6.25×10−7×D(T)・[Oi]・t) …式(1)
(ここで、[Oi]:酸素濃度(atoms/cm ASTM’79)、T:熱処理温度(K)、D(T):温度Tでの酸素の拡散係数(すなわち、0.13×exp(−2.53/kT)(cm/sec)であり、k:ボルツマン定数=8.62×10−5(eV/K)、t:熱処理時間(sec))
と表せることが判っている。
なお、この式(1)における係数は本発明者らが用いている酸素濃度の換算に基づいた係数である。係数はリファレンスによっても異なるし、測定器によっても異なるし、メーカーによっても異なる。従って同じサンプルを測定しても、どの換算係数を用いたかによって変わってくる。上記数値に限定されず、使用する測定器等に合わせて適宜決定することができる。
また、この式(1)に限定されるものでもない。適切な関係式を導入することができる。
このような関係を用い、必要な酸素ドナー起因のキャリア発生量や、実際に行われるデバイス熱処理の条件等から逆算して酸素濃度を求めることができる。
上記では、N型ドーパントによる抵抗率分布を固定させた上で、逆算等して酸素濃度を求めているが、当然この手法に限定されない。
例えば、最終的に所望の抵抗率が得られるように、過去の製造データ・経験等から適切と思われる酸素濃度分布を仮に作成したり、さらには上記式(1)を用いることにより酸素ドナー起因のキャリア発生量を試しに求めて確認し、酸素濃度分布を決定することができる。この場合、併せてN型ドーパントのドープ量の調整も行うと良い。酸素濃度に応じた酸素ドナー起因のキャリア発生量、N型ドーパント等による抵抗率分布の双方を考慮し、それらの兼ね合いにより、最終的に所望の抵抗率を得られるようにすることができる。
なお、酸素をサーマルドナー化する原子として用いる際に注意すべき点が2点ある。
第一点目はBMD(Bulk Micro Defect)の形成である。シリコン結晶中に存在する酸素原子は、その導入される原理からも明らかな様に過飽和な状態で存在している。そこに酸素の過飽和状態が保たれ、かつ拡散しやすい800℃から1000℃程度の中温域の熱処理が加わると、過飽和状態であった酸素原子同士が集まり、SiOの形で析出して過飽和状態から開放されようとする。このSiOとして析出した塊をBMDと呼んでいる。
このBMDが形成されるとドナーを形成するための酸素原子(格子間酸素(Oi))が減少し、所望の抵抗率が得られなくなる可能性がある。中温域の熱処理はデバイスを製造する前工程などで施されることがある。近年のデバイス製造工程の低温化・短時間化によりBMDが形成され難くはなってきているが、事前に酸素濃度を振ったサンプルなどでデバイス製造工程との相性を確認しておくことが望ましい。
もしくは酸素析出現象が起こり難い低酸素濃度領域の範囲内に限って酸素を制御することでも、上述のBMD形成による格子間酸素の減少を防ぐことができる。
酸素析出の現象は良く知られるように酸素濃度が低ければほとんど反応が進まない。横軸に酸素濃度、縦軸に析出量やBMD密度析出をプロットした析出特性グラフでは10×1017(atoms/cm ASTM’79)以下ではほとんど析出が起こらない。
従って、サーマルドナーを生成させるための酸素濃度を10×1017(atoms/cm ASTM’79)以下に限ればBMDによる格子間酸素の減少を回避可能である。
酸素をドナー形成物質として用いる際に注意すべき点の第二点目は、酸素の外方拡散である。デバイス製造工程中には前述のように中温域の熱処理が行われる。この際に基板の表面に近い部分では酸素が表層に向かって拡散し、基板外の雰囲気中へ拡散して、表層近傍の酸素濃度が低下する現象が起こる。従って表層近傍では、最終段階で低温熱処理を実施しても、酸素ドナーが予定量生成しないことが懸念される。従って表層近傍だけに電気が流れるメモリーなどのデバイスに本手法を用いるよりは、基板の厚さ方向に電流が流れるパワーデバイスなどに使用されるシリコン基板に本発明を用いることがより好ましいと考えられる。いずれにしても先にも述べたように、デバイス製造工程との相性を事前に充分確認しておくと良い。
(第二の制御方法)
第二の方法は、抵抗を調整するためのP、As、Sb等のドーパントを初めからドープすることなく、酸素濃度を制御する(ここでは均一に制御する)ことにより、最終製品の抵抗率を制御する(ここでは均一にする)方法である。
シリコンインゴットの育成時にP等のドーパントを入れないので(いわゆるノンドープ)、基本的にはP型でもN型でもない真性半導体の状態となる。
ただし、実際には石英ルツボやシリコン原料などに微量に含まれるPなどの不純物(また、BやAlなども含む)が融液中に溶け出し、結晶中に取り込まれてドーパントとして働くので、ここで言うノンドープとは、酸素ドナー起因で生成されるキャリア濃度に比較して充分に低い状態であることを意味している。
このようなほぼ真性の半導体の状態に近いままで、酸素濃度のみ所望の範囲内に制御すれば、最終的に施される低温熱処理によって酸素ドナー起因キャリアが生成され、最終製品を所望の抵抗率に制御することが可能である。
なお、酸素濃度、デバイス製造工程中の熱処理等、サーマルドナー起因のキャリアの発生量の関係は上述した式(1)等を用い、所望の抵抗率が得られるように、適切な酸素濃度に決定すれば良い。
第一の制御方法ではP等のドーパントの偏析現象によりインゴットのトップ側とボトム側とで抵抗率に差が生じるため、酸素濃度の分布を偏らせて、酸素ドナー起因のキャリア発生量を基板に応じて(インゴットの各位置に応じて)調整する必要があるが、ノンドープの第二の製造方法では、インゴットの育成時において、基本的に酸素濃度を均一にすれば、酸素ドナー起因のキャリア発生量を均一なものとすることができ、インゴットの軸方向に(基板の厚さ方向に)均一な抵抗率とすることができる。
更には、抵抗率の微小な分布がよくなるという利点もある。抵抗率を調整するP等のドーパントは、先に述べてきたように偏析現象に支配されて結晶中に取り込まれる。面内の抵抗率分布は、ある瞬間の結晶成長界面直下の融液中のドーパント濃度に実効偏析係数を掛けた量がドーパントとして結晶中に取り込まれることで決まる。面内のおおまかなドーパント分布は、半径方向の融液中のドーパント濃度によって決定される。しかし細かな分布は成長速度の影響を受ける。なぜなら実効偏析係数は成長速度によって若干変化するからである。
一般にCZ法では結晶を所望の一定の太さ(直径)で育成するため、成長速度を変化させて制御しており、直径が太くなれば成長速度を速めて細くするし、直径が細くなれば成長速度を遅くして結晶を太らせる。このような成長速度の変動により実効偏析係数が微妙に変化するため、結晶中の抵抗率分布は半径方向の大まかな分布形状に加えて、成長速度変動に起因する微小な分布を持っている。
しかし、第二の制御方法においては、抵抗率分布はほぼ偏析係数が1である酸素の分布によってのみ決定されるため、上述の成長速度変動に起因する抵抗率の微小変動が抑制される。もちろん酸素濃度分布にあわせた大きな抵抗率の変動はそのまま反映されるが、微小な分布は改善される。
以上、サーマルドナーを生成させる原子として酸素を制御する方法について説明してきたが、上述したように酸素以外の炭素や窒素を用いることも可能である。これらの炭素や窒素を制御する場合について説明する。
先に述べてきたように、炭素や窒素は偏析現象でドープ量が決まるため、ドーパントの偏析を修正する方向には働かない。しかしながら、逆に結晶のトップ側とボトム側の抵抗率差を大きくしたい場合などには非常に有効に働く。ドープされる濃度は偏析現象によってのみ支配された量となるので、正確に計算して推定することも可能である。
また窒素が関係するNOドナーは窒素濃度だけでなく、酸素濃度にも影響される。
結晶育成中にNOドナー起因によって発生するキャリア濃度[NO]は、本発明者らが調査して数式化した結果、例えば、
[NO]=2.76×10−55×[N]×[Oi]+1.18×1012 …式(2)
(ここで、[N]:窒素濃度、[Oi]:酸素濃度)
として求められることが判っている。
なお、この式(2)における係数は本発明者らが用いている窒素濃度の換算に基づいた係数である。係数はリファレンスによっても異なるし、測定器によっても異なるし、メーカーによっても異なる。従って同じサンプルを測定しても、どの換算係数を用いたかによって変わってくる。上記数値に限定されず、使用する測定器等に合わせて適宜決定することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
デバイス製造工程後においてN型で抵抗率が50−80Ωcmのシリコンウェーハが要求された。このデバイス製造工程では、最終工程に450℃で2時間に相当する低温熱処理が入ることが判っている。
そこで、最終製品が上記の抵抗率を有するために、このデバイス製造工程におけるプロセスに最適なシリコン基板の製造について検討した。つまりは、シリコン基板の切り出すシリコンインゴットの育成条件を検討した。今回、サーマルドナー化する原子として酸素を考慮した。
(検討1)
まず、ここでは、最終的にN型で所望の抵抗率が得られるように酸素ドナー、つまりはデバイス製造工程でサーマルドナー化する酸素の濃度をインゴット製造時に考慮する意義を分かりやすくするため、参考として、デバイス製造工程で生成される酸素ドナーを考慮しない場合を考えた。
この場合、図3のプロファイル1のようにインゴットのトップ側(固化率がほぼ0のところ)で80Ωcmになるように、N型ドーパントのPをドープし、抵抗率を調整してインゴットを育成することになる。抵抗率の規格が50Ωcmまでであるから、固化率が約0.5の長さまで合格品となることが推定される。先に述べたようにこの長さはP型に比較して短いのでコスト的に高めである。
さらに実際にはデバイス製造工程の最終段に450℃で2時間相当の処理が含まれているため、N型ドーパントによる抵抗率分布が図3の点線のような場合、酸素濃度をかなり低く抑えない限りは、最終製品の抵抗率がこれより下がってしまい、最終的な抵抗率が所望の値にならないことが考えられる。
この熱処理条件と抵抗率の規格において酸素ドナーがほとんど影響しない酸素濃度は4×1017(atoms/cm ASTM’79)以下程度であり、CZ法やMCZ法で製造できる範囲としては下限値に近いほど低い値である。
更に一般的にはインゴットのトップ側では酸素濃度が下がり難い。トップ側で4×1017(atoms/cm ASTM’79)以下を達成するには、例えば固化といって融液の一部が固化して結晶が有転位化して単結晶が育成し難い条件などで行う必要が有り、更なるコストアップとなってしまう。
(検討2)
そこで、本発明のように酸素の濃度分布を考慮したインゴットの育成条件の設計を試みた。
まず、固化などインゴットが育成し難い条件にならない範囲であり、またデバイス製造工程中にBMDができてしまうよりは充分低い酸素濃度である8×1017(atoms/cm ASTM’79)をインゴットのトップ側で狙い、ボトム側では比較的低酸素濃度になりやすいので酸素ドナーがほとんど影響しなくなる4×1017(atoms/cm ASTM’79)を狙うような、図4のような比較的無理の無い酸素濃度プロファイルを狙うこととする。
このような酸素濃度プロファイルから式(1)を用いて酸素ドナー起因キャリア量を求めることが出来る。このキャリア量を鑑みて、熱処理後の最終的な抵抗率が50−80Ωcmに入るように、インゴットの育成時にN型ドーパントのPのドープ量を調整し、図3のプロファイル2のように、インゴットのトップ側での狙いの抵抗率を約100Ωcmに設計する。
このように、所望の抵抗率を得られるように、サーマルドナー化する酸素の濃度を制御しつつ、かつ、N型ドーパント等の調整も行っている。
熱処理後に予想される抵抗率は図3のプロファイル3で表すような形となる。この設計では固化率が約0.67まで製品長さが取れる計算となる。
そこで、図1に示すインゴット育成装置1により、検討2で試算した条件で実際にインゴットを育成した。すなわち、上述したように、図4のような酸素濃度分布が得られるようにルツボの回転速度等を制御しつつ、N型ドーパントのPのドープ量を制御して図3のプロファイル2のような抵抗率分布を有するインゴットを育成した。
インゴットを育成した後、インゴットの各位置からウェーハ状のサンプルを切り出し、酸素濃度及び抵抗率の測定を行った。
酸素濃度はウェーハ状のサンプルを用いて、室温のFT−IR法によって求めた。その結果、酸素濃度はほぼ狙い通りとなっており、図4とほぼ同様の酸素プロファイルとなった。
次に抵抗率の測定に関してだが、まず、ウェーハ状のサンプルにドナー消去熱処理を施した。インゴット育成後の結晶中には酸素ドナーが存在している。酸素ドナーは先に述べた様に450℃前後の比較的低温領域で生成される。インゴットを育成する際に融液から離れた場所では低温になっているので、インゴットのトップ側では、この低温熱履歴を長時間受けて多くの酸素ドナーが生成される。一方でボトム側では結晶成長時にこのような低温熱履歴を受けず、ほとんど酸素ドナーが発生しない。近年の結晶長尺化に伴い、この傾向は一層顕著となり、トップ側では大量のサーマルドナーが存在し、ボトム側にはサーマルドナーがほとんど存在しない、というような状況となっている。このサーマルドナーは先に述べたように650℃程度の温度で20分程度の軽微な処理をすれば、消去されることが知られている。
ドナー消去熱処理はこのほかにも各種提案されており、例えばRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いた高温短時間処理のものもあり、ここでは特にその温度と時間を規定するものではなく、酸素起因で生成するサーマルドナーを消去できる方法であれば良いので650℃で20分間の熱処理を行った。
酸素ドナー消去熱処理を施した後、四探針法を用いて抵抗率を測定した。その結果、図3のプロファイル2で表される分布と同様の抵抗率プロファイルを示した。
従ってこの時点では、最終目標の抵抗率(図3のプロファイル3)から外れているといえる。
次にデバイス熱処理を模したシミュレーション熱処理を施し、最後に最終工程の熱処理を模した450℃で2時間の熱処理を行った。
この熱処理を施した後、再度抵抗率を測定した結果、図3のプロファイル3で表したプロファイルに近い結果が得られ、固化率が約0.67まで50−80Ωcmの範囲に入っていた。
従って、本発明のようにサーマルドナー化する酸素を制御してシリコンウエーハを製造しておくことで、デバイス製造工程での最終熱処理を終了した後に、所望の抵抗率(50−80Ω・cm)の最終製品を確実に得ることができる。
CZ法における酸素濃度制御の上限は20×1017(atoms/cm ASTM’79)程度であり、ドナー生成熱処理はコスト面などから最大20時間程度までであるので、この方法で制御可能な抵抗率の範囲は0.1Ωcm以上といえる。
(比較例1)
実施例1と同様に、デバイス製造工程後においてN型で抵抗率が50−80Ωcmのウェーハが要求された。このデバイス製造工程では、最終工程に450℃で2時間に相当する低温熱処理が入ることが判っている。
そこで、検討1で行ったように、酸素ドナーを考慮せずインゴットを育成した。
すなわち、N型ドーパントによる抵抗率分布のみを考慮して、図3のプロファイル1のような分布となるようにN型ドーパントのドープ量を調整しつつインゴットを育成した。
一方で酸素濃度については、上記N型ドーパントのドープ量の場合、最終的に50−80Ω・cmになるようにするためには、本来、極低酸素濃度(4×1017(atoms/cm ASTM’79)とすべきであるが、そのような濃度を狙うわけではなく、単に、インゴットのトップ側でも製造しやすい8×1017(atoms/cm ASTM’79)を狙ってインゴットを育成した。
このインゴットから、実施例1と同様にウェーハ状のサンプルを切り出して酸素濃度及び抵抗率の測定を行った。
その結果、酸素濃度はインゴットの全長にわたってほぼ8×1017(atoms/cm ASTM’79)となっていた。
またドナーキラー処理後に測定した抵抗率は、図3のプロファイル1で表したものにほぼ近く、インゴットのトップ側で78Ωcm、固化率0.51のところで51Ωcmとなっていた。
従ってこの時点では規格に沿って、所望の抵抗率になっているといえる。
次にデバイス熱処理を模したシミュレーション熱処理を施し、最後に最終工程の熱処理を模した450℃で2時間の熱処理を行った。この熱処理を施した後、再度抵抗率を測定した結果、トップ側で抵抗率が57Ωcmと規格内であったが、固化率が約0.25の部分で抵抗率が49Ωcmとなり、それ以降の部分は50Ωcmを下回ってしまった(図3のプロファイル4)。
従ってデバイス製造工程における最終熱処理を終了した後に、ほとんどのウエーハが所望の抵抗率(50−80Ωcm)にならないことが判った。
(実施例2)
デバイス製造工程後においてN型で抵抗率が250−500Ωcmのシリコンウェーハが要求された。このデバイス製造工程では最終工程に450℃で1時間に相当する低温熱処理が入ることが判っている。
そこで、最終製品が上記の抵抗率を有するために、このデバイス製造工程におけるプロセスに最適なシリコン基板の製造方法、ひいてはシリコンインゴットの育成条件を検討した。今回、サーマルドナー化する原子として酸素を考慮した。
抵抗率調整のためのP等のドーパントをいれずに酸素濃度のみでこの抵抗率を実現する様に検討を行った。
式(1)から、酸素濃度が7.8×1017(atoms/cm ASTM’79)で、450℃で1時間処理後の抵抗率が500Ωcm、8.7×1017(atoms/cm ASTM’79)で250Ωcmと計算される。
そこで、図5に、狙うべき酸素濃度の上限および下限を示した。
以上の検討結果から、酸素濃度8.25×1017(atoms/cm ASTM’79)を狙ってシリコンインゴットを育成した。育成されたインゴットからウェーハ状のサンプルを切り出して酸素濃度及び抵抗率の測定を行った。
その結果、酸素濃度は結晶の全長にわたり8.0−8.5×1017(atoms/cm ASTM’79)となっていた。
またドナーキラー処理後に測定した抵抗率は、数千−数万Ωcmとなっており、ノンドープの結晶で示される抵抗率となっていた。従ってこの時点では所望の抵抗率になっていない。
次にデバイス製造工程での最終工程の熱処理を模した450℃で1時間の熱処理を行った。この熱処理を施した後、再度抵抗率を測定した結果を図6に5点プロットした。トップからボトムまで採取したサンプルのすべてが、250−500Ωcmの範囲におさまった。
なお、実施例2の結果と併せて、図6に、シリコンインゴット育成時に、Pをドーパントとしてインゴットのトップ側を500Ωとして狙った場合の抵抗率分布をプロファイルAとして示した。偏析現象のため固化率0.65までしか規格内に入らないことがわかる。従って、最終的に全範囲で抵抗率が規格内におさまるようにするには、Pの偏析現象を考慮し、さらに酸素ドナーの影響を考慮し、インゴット育成時に酸素濃度の制御も行う必要がある。
これに対して、実施例2のようにドーパント無しで酸素濃度だけによって最終的な抵抗率を制御した場合には、ドーパントのPの偏析による抵抗率の変化を考慮することは不要であるので、酸素濃度が制御できる範囲であれば、インゴットの全長にわたって製品規格を満たすことが可能であるというメリットがある。
実施例2に示した抵抗率制御用のドーパントを用いずにサーマルドナーのみで抵抗率制御を行う場合、原理的にはN型であればどの抵抗率範囲でも適用可能である。しかし、酸素濃度が4×1017(atoms/cm ASTM’79)以下ではほとんどドナーは発生しなくなるし、また酸素濃度が20×1017(atoms/cm ASTM’79)以上の酸素濃度制御はCZ法では難しいので、酸素濃度範囲は4×1017〜20×1017(atoms/cm ASTM’79)が妥当である。
また、デバイス後の熱処理はコスト面などから考えれば長くとも20時間程度であることから、現実的に制御可能な抵抗率範囲は0.1〜10000Ωcmである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…インゴット育成装置、 2…引上げ室、 3…ルツボ、 4…ヒータ、
5…ルツボ保持軸、 6…種結晶、 7…シードチャック、
8…ワイヤ、 9…断熱材、 10…シリコンインゴット、 11…シリコン融液。

Claims (5)

  1. シリコン基板の製造方法であって、
    チョクラルスキー法を用いて育成したシリコンインゴットから製造した、少なくとも抵抗率制御用にP型ドーパントをドープしていないシリコン基板にデバイスを製造する工程で熱処理を施すか、または該デバイス製造工程後に追加熱処理を施してサーマルドナーが生成されることで、導電型がN型で所望の抵抗率が得られるように、
    前記チョクラルスキー法によるシリコンインゴットをN型ドーパントをドープしつつ育成するときに、前記サーマルドナー化する原子の濃度の分布を前記シリコンインゴットのトップ側がボトム側より高くなるように制御することにより、
    前記シリコン基板を製造するときに、予め、前記熱処理または追加熱処理によりサーマルドナー化する原子の濃度を制御しておくことを特徴とするシリコン基板の製造方法。
  2. 前記サーマルドナー化する原子を酸素、炭素、窒素の1種類以上とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン基板の製造方法。
  3. 前記シリコン基板を製造するときに、P、As、Sbの1種類以上をドープすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン基板の製造方法。
  4. シリコン基板の製造方法であって、
    チョクラルスキー法を用いて育成したシリコンインゴットから製造した、少なくとも抵抗率制御用にP型ドーパントをドープしていないシリコン基板にデバイスを製造する工程で熱処理を施すか、または該デバイス製造工程後に追加熱処理を施してサーマルドナーが生成されることで、導電型がN型で所望の抵抗率が得られるように、
    前記チョクラルスキー法によるシリコンインゴットを前記N型ドーパントをドープせずに育成するときに、前記サーマルドナー化する原子の濃度の分布を前記シリコンインゴットの軸方向で狙いとする上限及び下限の範囲内に制御することにより、
    前記シリコン基板を製造するときに、予め、前記熱処理または追加熱処理によりサーマルドナー化する原子の濃度を制御しておくことを特徴とするシリコン基板の製造方法。
  5. 前記サーマルドナー化する原子を酸素、炭素、窒素の1種類以上とすることを特徴とする請求項4に記載のシリコン基板の製造方法。
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