JP5849878B2 - シリコン単結晶育成方法 - Google Patents

シリコン単結晶育成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5849878B2
JP5849878B2 JP2012158438A JP2012158438A JP5849878B2 JP 5849878 B2 JP5849878 B2 JP 5849878B2 JP 2012158438 A JP2012158438 A JP 2012158438A JP 2012158438 A JP2012158438 A JP 2012158438A JP 5849878 B2 JP5849878 B2 JP 5849878B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
resistivity
silicon single
raw material
dope
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012158438A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014019600A (ja
Inventor
星 亮二
亮二 星
園川 将
将 園川
克 松本
克 松本
英善 穂積
英善 穂積
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Handotai Co Ltd filed Critical Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority to JP2012158438A priority Critical patent/JP5849878B2/ja
Priority to PCT/JP2013/003836 priority patent/WO2014013675A1/ja
Publication of JP2014019600A publication Critical patent/JP2014019600A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5849878B2 publication Critical patent/JP5849878B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C30CRYSTAL GROWTH
    • C30BSINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
    • C30B15/00Single-crystal growth by pulling from a melt, e.g. Czochralski method
    • C30B15/02Single-crystal growth by pulling from a melt, e.g. Czochralski method adding crystallising materials or reactants forming it in situ to the melt
    • C30B15/04Single-crystal growth by pulling from a melt, e.g. Czochralski method adding crystallising materials or reactants forming it in situ to the melt adding doping materials, e.g. for n-p-junction
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C30CRYSTAL GROWTH
    • C30BSINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
    • C30B29/00Single crystals or homogeneous polycrystalline material with defined structure characterised by the material or by their shape
    • C30B29/02Elements
    • C30B29/06Silicon

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、チョクラルスキー法(CZ法)によって育成される、抵抗率が500Ωcm以上の高抵抗率デバイスに用いられるシリコン単結晶の育成方法に関する。
携帯電話等に代表される移動体通信では低コスト、高集積、低電力、多機能、高速化など日々進化している。これらに用いられるのがRF(高周波)デバイスと呼ばれるものである。このRFデバイスには専ら化合物半導体が用いられてきた。しかし、近年CMOSプロセスの微細化が進んだことや、低コスト化の目的などから、シリコンをベースとしたRFデバイスが実現可能となってきた。
シリコン単結晶ウェーハを用いたRFデバイスにおいては、基板抵抗率が低いと高導電性のために損失が大きく、高抵抗率のものが用いられる。SOI(Silicon on Insulator)と呼ばれるシリコン基板表層部に薄い酸化膜+薄いシリコン層が形成されたウェーハを用いることもあるが、この場合も高抵抗率が望まれる。従来CZ法では石英ルツボに含まれる不純物が溶け出すため高抵抗率結晶が育成できず、一般的には高抵抗率結晶としてFZ結晶が用いられることが多かった。
しかし、CZ法においても、特許文献1に開示されたように、合成石英ルツボが用いられるようになり、ノンドープであれば10000Ωcmもの高抵抗率結晶が育成可能となってきた。現在では、天然石英ルツボの内側に、合成石英粉から造られた合成石英層が形成されたハイブリッド石英ルツボが主流となっており、CZ法でも高抵抗率を達成可能になってきた。従って、単に高抵抗でさえあれば良く、導電型(P型/N型)を制御する必要が無い場合、シリコン原料の純度管理さえ怠らなければ、ドープ剤をドープしないノンドープ結晶を育成すれば、少なくとも結晶育成後の抵抗率測定やデバイス作製前の抵抗率が高抵抗率である結晶およびウェーハをCZ法により作製することは可能となってきた。
しかし、現実に最終的に問題となるのは、デバイス作製終了時点の抵抗率である。CZ法による結晶においては、結晶育成中に石英ルツボから酸素原子が溶出する。この溶出した酸素原子はほとんどが蒸発するが、一部は結晶成長界面へと到達し結晶中に取り込まれる。取り込まれた酸素原子は、シリコン結晶の格子間位置に存在し、1×1018atoms/cm程度のオーダーとなっている。この格子間の酸素原子は400−500℃程度の熱処理をした場合、数個の酸素が集まると電子を放出して、電気的に活性な酸素ドナーとなることが知られている。
一般的に、デバイス作製の後工程では配線やパッケージなどの際に、比較的低温の熱処理が施され、酸素がドナー化してしまうことがある。これにより、抵抗率が変化してしまう。通常の抵抗率であれば、多少酸素ドナーが発生しても問題とはならないが、高抵抗率で設計されているデバイスにおいては、酸素ドナーによりデバイス動作が影響されてしまう場合がある。
このような問題点を回避しうる技術として、特許文献2では高酸素濃度結晶に酸素析出処理を施して残存酸素を減らす方法、特許文献3ではRTA(急速熱処理:Rapid Thermal Anneal)によりドナーを抑制する方法が開示されている。従って、これらのような方法は付加熱処理が必要であるため、コストアップではあるが、ノンドープ結晶にこれらの技術を組合せることで、デバイス作製後にもある一定以上の高抵抗率を保つことが可能なウェーハを作製することが可能となった。
しかし、近年デバイス作製の面からの抵抗率制御要求は更に厳しくなっており、従来はある抵抗率以上という規格だったものが、導電型の指定と抵抗率の上下限が定められた、例えば、P型1000−3000Ωcmというような、高抵抗率の中でのファイン制御が要求されるようになってきた。この要求に耐えうる技術として、特許文献4では適量の酸素を導入しドナー熱処理を加えることで、N型のみではあるが、5000Ωcmなどの抵抗率に制御可能な技術が開示されている。これは、低温熱処理によって酸素ドナーが生成してしまう現象を有効利用したものである。しかし、この技術では、低温熱処理した直後の抵抗率は狙うことができるが、先に述べたデバイス作製の後工程における酸素ドナーの発生などの問題には対応できないという問題がある。従って、酸素ドナーを利用した抵抗率制御は、高抵抗領域においては使えないと言える。
従って、従来行われてきたようなドーパントによる制御法が好ましいと考えられる。高抵抗でさえあればよかった時代には、純度管理された石英ルツボとシリコン原料とを使用してノンドープで結晶を引上げれば良かったが、より厳しい要求を満たすためには、やはりドーパントによる制御が必要と考えられる。このようなドーパントを用いた高抵抗率結晶の作製技術としては特許文献5の方法が開示されている。
この方法は、予め結晶を育成してその抵抗率を測定するというものである。その測定により、結晶の導電型及び抵抗率を求め、それを打ち消す分の反対極性のドープ剤をカウンタードープするという方法である。従って、非常に高抵抗率のものを得られる可能性はあるが、実際には数千Ωcm程度の制御性にとどまっており、制御性が良いとはいえない。それに加え、P型とN型の両方のドーパントが混在しており、デバイスにとって好ましいこととは言えない。
特開平5−58788号公報 WO00/55397号公報 特開2003−68744号公報 特公平8−10695号公報 特開2002−226295号公報 特公平8−29925号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、抵抗率が500Ωcm以上で導電型まで保証可能なシリコン単結晶の育成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、内壁が合成石英からなる石英ルツボ内に多結晶シリコン原料を投入し、該多結晶シリコン原料を溶融し、該融液からCZ法によりシリコン単結晶を育成する方法であって、前記石英ルツボ内に、前記多結晶シリコン原料とともに、ドーパント元素を含むシリコン単結晶から切り出して作製したドープ原料を1g以上で、かつ、前記石英ルツボに投入される原料の総重量の10%未満で投入し、前記融液から、抵抗率500Ωcm以上で所望の導電型を有するシリコン単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶育成方法を提供する。
これにより、コストを抑制しながら、ドープ原料を精度良く投入でき、抵抗率が500Ωcm以上で導電型まで保証可能なシリコン単結晶を育成することができる。
このとき、前記多結晶シリコン原料の導電型及びドーパント濃度を予め測定し、該測定結果に基づいて、前記石英ルツボに投入するドープ原料の重量及びドーパント濃度を決定することが好ましい。
これにより、より精度高く所望の導電型が保証され、高抵抗のシリコン単結晶を育成することができる。
このとき、前記多結晶シリコン原料由来のドーパント量を、狙うべき、前記育成するシリコン単結晶のドーパント量の10分の1以下とすることがより好ましい。
このような多結晶シリコン原料を用いることで、ドープ原料による抵抗率制御がより容易となり、高抵抗率のシリコン単結晶を育成する際に、より高精度に抵抗率を制御することができる。
このとき、前記育成するシリコン単結晶の格子間酸素濃度を、6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)以下とすることが好ましい。
これにより、デバイス工程の熱処理後においても、導電型が変化せず、結晶育成後と同じ導電型を確実に保ち、抵抗率の変化をより抑制することができる。
このとき、前記ドープ原料に含まれるドーパント元素を、P型の前記シリコン単結晶を育成する場合にはボロン又はアルミニウムを選択し、N型の前記シリコン単結晶を育成する場合にはリン、砒素、アンチモンのいずれか一つを選択することが好ましい。
このように、ドーパント元素をシリコン単結晶の抵抗率制御に従来使われてきた一般的な元素とすれば、従来の装置を特別な改造等を行わずに使用でき、高抵抗なシリコン単結晶をより低コストで育成することができる。
このとき、前記ドープ原料を作製するためのシリコン単結晶の前記ドープ原料が切り出された部位に隣接する箇所から抵抗測定用サンプルを切り出し、該サンプルにドナーキラー熱処理を施した後に測定した抵抗率から前記投入するドープ原料のドーパント濃度を求め、前記部位内の前記投入するドープ原料のドーパント濃度のバラツキが±10%以内になるように管理することが好ましい。
このような範囲内にドープ原料のドーパント濃度のバラツキを抑えることで、育成するシリコン単結晶の抵抗率の分布をより均一にすることができる。
このとき、前記ドープ原料として、他の結晶の製品部分、もしくは不良部分を用いることが好ましい。
これにより、ドープ原料用の結晶を別途製造し、ドープ原料用として特別に評価する必要がないので、ドープ原料の製造コストを削減できる。
以上のように、本発明によれば、500Ωcm以上の高抵抗率を有し、導電型まで保証可能なシリコン単結晶を育成することができる。
2000Ωcmを狙うためのドープ原料重量をボロン濃度に対してプロットした図である。 2000Ωcmを狙うためのドープ原料重量をリン濃度に対してプロットした図である。 2000Ωcmを狙うためのドープ原料重量をP型抵抗率に対してプロットした図である。 2000Ωcmを狙うためのドープ原料重量をN型抵抗率に対してプロットした図である。 実験1のノンドープ結晶を育成した際のシリコンベンダーA〜Cの多結晶シリコン原料の抵抗率のバラツキを表した図である。 実験2のP型1500Ωcmのサンプルにドナー生成熱処理を施した際の抵抗率変化を表した図である。 実験2のN型50Ωcmのサンプルにドナー生成熱処理を施した際の抵抗率変化を表した図である。 実験2及び実施例1,2、比較例2の450℃、2時間のドナー生成熱処理後の抵抗率を初期の抵抗率に対してプロットした図である。 実施例1でドープ原料に用いたシリコン単結晶の抵抗率分布を表した図である。 実施例1で育成するシリコン単結晶の抵抗率を予測した図である。 実施例1で実際に育成したシリコン単結晶の抵抗率を測定し、プロットした図である。 実施例2で育成するシリコン単結晶の抵抗率を予測した図である。 実施例2で実際に育成したシリコン単結晶の抵抗率を測定し、プロットした図である。
以下、本発明について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、内壁が合成石英からなる石英ルツボ内に多結晶シリコン原料を投入し、該多結晶シリコン原料を溶融し、該融液からCZ法によりシリコン単結晶を育成する方法であって、前記石英ルツボ内に、前記多結晶シリコン原料とともに、ドーパント元素を含むシリコン単結晶から切り出して作製したドープ原料を1g以上で、かつ、前記石英ルツボに投入される原料の総重量の10%未満で投入し、前記融液から、抵抗率500Ωcm以上で所望の導電型を有するシリコン単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶育成方法である。
従来の技術における最大の問題点は、ドーパントの投入精度が悪かった点にある。特許文献6に示されるように、ドーパント元素(エレメント)をそのままドープ剤として用いると、重量が数mgと少量のため精度が悪いことが指摘されている。このような事実を踏まえ、現在は、通常抵抗率範囲(1Ωcmから数百Ωcm)の抵抗率を制御するためには、ドーパント元素を19乗から20乗台の濃度で入れて母合金結晶を作製し、これを砕いたドープ原料をドープ剤として用いるようになっている。
例えば、10Ωcm程度の結晶を育成する場合には、ドーパント濃度が1×1020atoms/cmのドープ原料であれば、出発原料融液100kg当たり1.7g程度の重量を占めることになり、秤量上問題がなかった。これより低い抵抗率の結晶を育成する場合には、ドーパント元素をそのままドープすればよく、逆に高抵抗率結晶の場合は導電型を保証せず高抵抗率でさえあればよかったので、ドープ剤を投入しないノンドープ法が用いられてきた。
しかし、最近例えばP型又はN型で500Ωcm以上、特には1000−3000Ωcmなどという、従来の技術ではカバーできない範囲の要求が出てきている。例えば、2000Ωcm程度を狙おうとすると、上記のようなドープ原料では0.01g程度の微量の投入量になり、過去に経験したことと同じ問題に直面しつつある。この程度の重量は、通常市販の測定器では精度が充分とはいえないし、ハンドリング上の誤差も無視できない。そのため、1g以上の重量のドープ原料でないと測定器自体による誤差と取扱による誤差でずれが大きくなってしまう。
一方で、ドープ原料の重量が増えれば増えるほど精度は向上するが、結晶育成を開始する際の出発原料重量に占める割合が大きくなると、ドープ原料の製造コストが上昇してしまう。従って、出発原料重量に占めるドープ原料の割合が10%未満とすることがコスト的には必要である。また、これを超える量の場合には、ドープ原料の重量が増加するのでドープ原料内の濃度バラツキが大きくなってしまうという問題も出てくる。
ここで、CZ法では、多結晶シリコン原料を石英ルツボに投入し、その周囲を取り囲むように配置されたヒーターにより加熱溶融して、シリコン融液とする。この石英ルツボ中の融液に種結晶を浸漬した後引き上げることで、融液から棒状の単結晶が引き上げられる。石英ルツボは結晶成長軸方向に昇降可能であり、結晶成長中に結晶化して減少した融液の液面下降分を補うように石英ルツボを上昇させる。尚、本発明におけるCZ法とは、石英ルツボとヒーターを内包するチャンバーの外側から磁場を印加して結晶を育成する、磁場印加CZ法(MCZ法)も含まれる。
本発明では、上記多結晶シリコン原料を石英ルツボに投入する際、ドープ原料を投入できる。
このとき、育成に用いる多結晶シリコン原料は、例えばドープ剤を投入せずに結晶を育成し、その導電型及び抵抗率を測定するなどの方法を用いて、予めシリコン原料毎の導電型及びドーパント元素濃度を把握しておくことが好ましい。
500Ωcm以上の抵抗率を狙おうとすれば、ドープ原料のドープ精度向上だけでは不十分な場合もあり、多結晶シリコン原料の導電型やドーパント濃度も把握することが好ましい。シリコン原料としては、シーメンス法等により製造された多結晶シリコン(ポリシリコン)が用いられることが多いが、これらには不純物として11乗〜12乗台の濃度のドーパント元素が含まれており、メーカーによってその量と種類が異なっているのが現状である。10Ωcm程度の結晶を得る際には、原料融液中のドーパント濃度が15乗程度であるため、11−12乗は無視できるが、例えば2000Ωcm程度の結晶を得る際には、原料融液中のドーパント濃度が12乗台後半であるため無視できなくなってくる。
多結晶シリコン原料毎の導電型及びドーパント元素濃度は、メーカーや製造時期によって異なる。従って、それらを把握した上で、そのシリコン原料中に含まれるドーパント濃度分を考慮して、ドープ原料の濃度及び重量を決定することで、より精度高く、導電型まで保証することが可能な高抵抗率結晶を得ることができる。
この場合の多結晶シリコン原料の導電型及びドーパント濃度は、不定期又は定期的に、ノンドープで育成したシリコン単結晶の導電型及び抵抗率より把握することができる。
このとき、多結晶シリコン原料由来のドーパント量を、狙うべき、前記育成するシリコン単結晶のドーパント量の10分の1以下とすることがより好ましい。
多結晶シリコン原料から育成するシリコン単結晶に入るドーパント量が、狙うべきシリコン単結晶のドーパント量の10分の1以下(言い換えると、多結晶シリコン原料のドーパント濃度×偏析係数≦狙いドーパント量の10分の1)である多結晶シリコン原料を使用することにより、ドープ原料により抵抗率制御が容易となるので、高抵抗率であっても高精度に抵抗率を制御することができる。
また、育成するシリコン単結晶の格子間酸素濃度を、6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)以下とすることが好ましい。
シリコン単結晶育成では、最終的に求められる抵抗率はデバイス工程後の抵抗率であるが、デバイス工程では酸素ドナーによって抵抗率が変化してしまう恐れがあるため、高抵抗率結晶においては、上記のように格子間酸素濃度を低下させておくことが好ましい。具体的には、格子間酸素濃度を6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)以下にすれば、例えば450℃、2時間のドナー生成熱処理後も導電型が変化することはない。更に低酸素濃度化して、4.0×1017atoms/cm(ASTM’79)を下回る範囲では、450℃、2時間、更には、より長時間のドナー生成熱処理においても抵抗率がほとんど変化することがないため、より好ましい。従って、上記のように格子間酸素濃度を低くすることで、デバイス熱処理が施された後においても、結晶育成後と同じ導電型や抵抗率を保つことが可能である。
シリコン融液が入る石英ルツボはシリコンと酸素から成っているので、酸素原子がシリコン融液内へと溶出する。この酸素原子はシリコン融液内を対流等に乗って移動し、最終的には融液面から蒸発していく。この時ほとんどの酸素原子は蒸発するが、一部の酸素は結晶に取り込まれ、格子間酸素Oiとなる。結晶の側方にはシリコン融液から発する酸化性蒸気を整流するために不活性ガスが流されている。このときに石英ルツボや結晶の回転数を変更したり、磁場印加条件を変更したりすることでシリコン融液内の対流の流れを制御可能であるし、また不活性ガスの流量調整や炉内の圧力制御により融液面からの酸素蒸発量を制御することが可能である。
ここで、格子間酸素濃度[Oi]でOiと記載しているのは、酸素原子がシリコン結晶中ではインタースティシャル(格子間)の位置に存在しているためであり、その位置での赤外吸収を測定して格子間酸素濃度と表記しているためである。例えば、酸素析出熱処理を行い、BMD(Bulk Micro Defect)と呼ばれる酸素析出物を形成してしまえば、格子間位置から外れBMDに取り込まれてしまうので、[Oi]としては観測されない。また、このようにBMDを形成してしまった酸素原子は、低温の熱処理によって酸素ドナーを形成することはない。従って、酸素ドナーを議論する際には、FT−IRによる格子間酸素濃度[Oi]を見ておくことが重要である。
また、育成の際の多結晶シリコン原料については、P型の高抵抗率結晶を育成する際には、P型傾向の強いシリコン原料を用い、N型の高抵抗率結晶を育成する際には、N型傾向の強いシリコン原料を用いることが好ましい。
多結晶シリコン原料は、メーカーによって含まれているドーパント量が異なる上、メーカーによってP型寄りであったり、N型寄りであったりと傾向が分かれる場合がある。このように、狙う導電型とシリコン原料の導電型傾向をあわせることで、育成された結晶の導電型まで保証できるように、更に精度を高めることができる。尚、ここで言うドーパント量は、正確には、多結晶シリコン原料だけに依存するものではなく、石英ルツボや種結晶など他の原材料の影響を含んだもののことを指している。
また、できるだけ高い抵抗を得たい場合などには、中性傾向の強いシリコン原料を選ぶことが好ましい。反対極性のドーパントを含むドープ原料を入れるカウンタードープ法もあるが、偏析係数の異なる複数の元素を制御することは難しいし、両極性の元素が多種類入った状態になってしまうので、好ましい状態とはいえない。
本発明では、ドープ原料に含まれるドーパント元素を、P型のシリコン単結晶を育成する場合にはボロン又はアルミニウムを選択し、N型のシリコン単結晶を育成する場合にはリン、砒素、アンチモンのいずれか一つを選択することが好ましい。ドーパント元素をシリコン単結晶の抵抗率制御に従来使われてきた一般的な元素とすれば、従来の装置をそのまま用いることができ、特別な改造等の必要が無く、高抵抗率シリコン単結晶を育成するコストを削減できる。
また、ドープ原料を作製するためのシリコン単結晶において、前記ドープ原料が切り出された部位に隣接する箇所から抵抗測定用サンプルを切り出し、該サンプルにドナーキラー熱処理を施した後に測定した抵抗率から、投入するドープ原料のドーパント濃度を求め、前記部位内の前記投入するドープ原料のドーパント濃度のバラツキが±10%以内になるように管理することが好ましい。
単結晶中のドーパント濃度は、偏析現象によって決定されるので、上記のように管理しながらシリコン単結晶からドープ原料用の部位を切り出すことが好ましい。この部位に隣接する箇所から抵抗測定用サンプルを切り出し、ドナーキラー熱処理を施した後、導電型と抵抗率を測定すれば、アービンカーブによりドーパント濃度を求めることができる。このように、CZ法やFZ法で作製されたドーパント元素を含むシリコン単結晶をドープ原料とすることで、上記のように正確にドーパント濃度を求めることができる。
更に、求められたドーパント濃度から偏析を考慮して、その部位内のバラツキを求めることも可能である。あるいは、ドープ原料を切り出した部位の上下両端からサンプルを切り出して最大濃度と最小濃度を求めることによって、バラツキを把握しても良い。特に結晶のトップ側は、偏析現象の特性からボトム側に比較して抵抗率の均一性が高く、ドープ原料を作製するためにより好ましい。
育成直後の結晶中には酸素ドナーが存在しているため、抵抗率を測定する前に、ドナーキラー熱処理を行う。酸素ドナーは450℃前後の比較的低温領域で生成されるため、結晶のボトム側では結晶成長時にこのような低温熱履歴を受けず、ほとんど酸素ドナーが発生しない。逆に、結晶のトップ側では充分にこの低温熱履歴を受けるため、多くの酸素ドナーが生成される。
近年の結晶長尺化に伴い、この傾向は一層顕著となり、結晶のトップ側では大量の酸素ドナーが存在し、ボトム側には酸素ドナーがほとんど存在しないという状況となっている。この酸素ドナーは、例えば650℃、20min程度の軽微な熱処理をすれば、消去されることが知られている。また、ドナーキラー熱処理は、この他にも各種提案されており、例えば、RTAを用いた高温短時間処理のものもある。尚、本発明のドナーキラー熱処理の方法としては、上記のものに限定されない。
上述のように、ドープ原料を、重量1g以上で、かつ、石英ルツボに投入される原料の総重量の10%未満を満たすように投入するために、ドープ原料中のドーパント濃度は、各ドーパントの偏析係数と、P型/N型それぞれのアービンカーブと、出発原料重量によって決まる。
また、本発明で用いる石英ルツボについては、少なくとも融液に接触する内壁が合成石英であればよく、必ずしも石英ルツボ全体が合成石英からなるものでなくてもよい。内壁だけが合成石英とし、バルク部等は、例えば天然石英とすることで、コスト的にも有利であるし、CZ法による単結晶製造時も熱に対する強度を保つことができる。
一方、内壁が合成石英であれば、不純物が融液中にほとんど溶出せず、高抵抗率結晶を効率的に育成できる。
ここで、ドーパント元素がボロンとリンの場合について、試算した例を紹介する。図1から図4に、多結晶シリコン原料中のドーパント濃度が0と仮定して、育成するシリコン単結晶の抵抗率2000Ωcmを狙う場合のドープ原料重量をドープ原料のドーパント濃度または抵抗率に対してプロットした。
P型のボロンの場合、石英ルツボに投入される総原料重量が1000kgで1gのドープ原料を投入して2000Ωcmとなるドーパント濃度は、約8×1018atoms/cmである。一方、石英ルツボに投入される原料の総重量に占めるドープ原料重量の割合が10%となるドーパント濃度は、約8×1013atoms/cmである(図1)。また、このときのドープ原料の抵抗率は、約0.01Ωcmから約160Ωcmである(図3)。
一方、N型のリンの場合、石英ルツボに投入される総原料重量が1000kgで1gのドープ原料を投入して2000Ωcmとなるドーパント濃度は、約6×1018atoms/cmであり、石英ルツボに投入される原料の総重量に占めるドープ原料重量の割合が10%となるドーパント濃度は、約6×1013atoms/cm(図2)である。また、このときのドープ原料の抵抗率は、約0.008Ωcmから約75Ωcmである(図4)。
以上のように計算されたドープ原料の抵抗率の範囲内には、製品として常時製造されている抵抗率範囲が含まれている。従って、ドープ原料用の結晶をわざわざ別途製造することなく、他の結晶の製品部分、もしくは不良部分をドープ原料として用いることができ、ドープ原料の製造コストを削減できる。更に、これらの製品部分であれば、通常単結晶であり、隣接する部分からサンプルを切り出して抵抗率を測定してあるので、ドープ原料用として特別に評価する必要もないので、ドープ原料のスループットを向上させることができる。
ドープ原料を日常的に製造されている結晶から切り出す場合には、抵抗率が1Ωcm以上のものが主になるので、この場合にはドープ原料中のドーパント濃度が最大でも約1.5×1016atoms/cmとすることが好ましい。このときに、抵抗率数千Ωcmを狙うためのドープ原料の重量は10g程度になる。従って、このような場合には、ドープ原料の重量を10g以上、石英ルツボに投入される原料の総重量の10%未満とすることができる。
以下、実験、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験1)
まず、多結晶シリコン原料中のドーパント不純物がどのレベルにあり、どの程度のバラツキを持っているのかについて、ベンダー毎の特性を把握した。各ベンダーの多結晶シリコン原料を石英ルツボに入れ、ドープ剤を投入することなく、MCZ法を用いてシリコン単結晶を育成した。
次に、MCZ法を用いて育成されたシリコン単結晶サンプルから、ウェーハ状のサンプルを切り出し、導電型及び抵抗率を測定した。尚、抵抗率を測定する前にドナーキラー熱処理を施したが、ここでは特にその温度と時間を規定するものではなく、酸素ドナーを消去できる方法であれば良いので、650℃、20minの条件で熱処理を行った。
その後、ドナーキラー熱処理を施したシリコン単結晶のPN判定を行った上で、その抵抗率を測定した。ここで、抵抗率は4探針法によって測定した。それらの抵抗率の分布を図5に示す。
上記育成されたシリコン単結晶の導電型及び抵抗率は、多結晶シリコン原料によってのみ決まるものではなく、正確には石英ルツボから溶出したドーパントとなる元素と、更には、種結晶から溶出したドーパントとなる元素との合算によって決まるものである。実験1では、石英ルツボ、及び、種結晶は純度管理・抵抗率管理など一定の条件の元で管理されたものを用いた。従って、図5のバラツキは、正確には石英ルツボと種結晶のバラツキも含んだ多結晶シリコン原料のバラツキを見ている。
図5(a)に示した、ベンダーAの多結晶シリコン原料を用いて育成したシリコン単結晶の導電型はP型になっており、その抵抗率のバラツキは、ベンダーB、Cの場合に比べ、小さいことがわかる。図5(b)に示した、ベンダーBの多結晶シリコン原料を用いて育成したシリコン単結晶は、その抵抗率が高いところに集中しており、ドーパント不純物は少ないが、バラツキの範囲が大きい。図5(c)に示した、ベンダーCの多結晶シリコン原料を用いて育成したシリコン単結晶の導電型は、N型の比率が大きいことがわかる。
以上のように、多結晶シリコン原料のベンダーによって、更には時期によって、ノンドープ結晶の抵抗率が変化している。従って、高抵抗率結晶で抵抗率を制御するためには、ベンダー毎の抵抗率を予め把握し、この濃度分を補正してドープ原料を投入することが重要であることがわかった。
(実験2)
次に、高抵抗率結晶において、酸素ドナーがどの程度影響を与えるのかを調査した。MCZ法を用い、P型で抵抗率が約1500Ωcm、N型で抵抗率が約50Ωcmの2水準において、格子間酸素濃度を2.2−8.9×1017atoms/cm(ASTM’79)と振ってシリコン単結晶を育成し、それからウェーハ状のサンプルを切り出した。尚、格子間酸素濃度は結晶から切り出したウェーハ状のサンプルを用いて、室温でFT−IR法によって求めた。
次に、実験1と同様に、上記ウェーハ状に切り出したサンプルにドナーキラー熱処理を施した上で、PN判定を行い、4探針測定によって抵抗率を求めた。その後、それぞれのサンプルを分割し、酸素ドナーが生成しやすい450℃の熱処理を1時間、5時間、10時間、15時間の4水準の熱処理を施した。そして、4水準の熱処理を施したサンプルを、再度PN判定と抵抗率測定を実施した。
これらの結果をプロットしたのが、図6及び図7である。図6及び図7において、格子間酸素濃度[Oi]が4.0×1017atoms/cm(ASTM’79)以下のものは、450℃、15時間のドナー生成熱処理を施してもほとんど抵抗率が変化していないことがわかった。一方、格子間酸素濃度が4.0×1017atoms/cm(ASTM’79)を超える範囲では、格子間酸素濃度の上昇に伴い抵抗の変化も大きくなっていくことがわかった。
また、図6に示したP型1500Ωcmの場合、格子間酸素濃度[Oi]=6.4×1017atoms/cm(ASTM’79)のサンプルでは、450℃、1時間ではまだP型であったが、450℃、5時間では酸素ドナーが増加してN型に反転してしまい、以降抵抗率が小さくなってしまうことがわかる。格子間酸素濃度がそれ以上高い場合には、450℃、1時間ですぐにN型に反転しまうことがわかった。
以上のことから、格子間酸素濃度[Oi]≦4.0×1017atoms/cm(ASTM’79)の範囲では、ほとんど酸素ドナーが生成しないこと、格子間酸素濃度[Oi]>6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)の範囲では、450℃の熱処理により酸素ドナーが発生し、P型高抵抗率の場合、N型反転してしまう場合があることがわかった。
次に、実際の流れ品のデータを調査した。先の実験では、450℃、15時間までと、かなりの長時間熱処理を施したが、実際のデバイス熱処理ではそこまで長いことはなく、450℃にして2時間程度である。そこで、P型高抵抗率として育成したシリコン単結晶からサンプルを切り出し、先の実験と同様に、格子間酸素濃度測定と、ドナーキラー熱処理後の導電型及び抵抗率を測定した。その後、450℃、2時間の熱処理を施した後に、再度、導電型及び抵抗率を測定した。
これらの結果を、プロットしたのが図8であり、横軸は熱処理前の抵抗率、縦軸は450℃、2時間熱処理した後の抵抗率を表している。尚、図8では、格子間酸素濃度[Oi]≦4.0×1017atoms/cm、4.0×1017atoms/cm<[Oi]≦6.5×1017atoms/cm、[Oi]>6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)でマーカーを分けてプロットした。
図8において、[Oi]>6.5×1017atoms/cmでは、ほとんどの抵抗率範囲でN型反転してしまっていることがわかる。一方で、[Oi]≦4.0×1017atoms/cmでは、ほとんど抵抗率の変化がない。4.0×1017atoms/cm<[Oi]≦6.5×1017atoms/cmの範囲は、抵抗率が変化してしまうものもあるが、N型反転までするものはないことがわかる。
以上のことから、高抵抗率ウェーハにおいて、デバイス後工程などで施される低温の熱プロセス後にも、所望の導電型を確保するためには、格子間酸素濃度が6.5×1017atoms/cm以下であることが好ましいと言える。更に、所望の抵抗率を保つためには、格子間酸素濃度が4.0×1017atoms/cm以下であることがより好ましい。
(実施例1)
上記の実験1〜2の結果を踏まえて、P型高抵抗率結晶の育成を試みた例を示す。
先ずドープ原料の作製を実施した。抵抗率が8〜12Ωcmである製品を狙って作製したP型ボロンドープ単結晶のトップ側からブロックを切り出し、その両端から抵抗率測定用のサンプルを切り出した。そのサンプルにおいて、ドナーキラー熱処理を施した後、PN判定した後、4探針法にて抵抗率を測定した(図9参照)。抵抗率の測定は、面内5点で測定した。ブロック両端の抵抗率の平均値は11.5Ωcmであった。またブロックトップ側から切り出したサンプル中の最大抵抗率値が11.7Ωcm、ボトム側サンプルの最低値が11.3Ωcmであった。以上の抵抗率を、アービンカーブにより結晶中のボロン濃度に換算すると、平均値1.16×1015atoms/cm、最低値1.14×1015atoms/cm、最大値1.18×1015atoms/cmであり、バラツキが±1.8%に制御されたドープ原料を準備することができた。
次に、P型であり抵抗率1500Ωcmである結晶を作製した。多結晶シリコン原料は、実験1で評価したベンダーAのものを用いた。ベンダーAの多結晶シリコン原料は、P型傾向の強い原料であり、バラツキも比較的小さいので、P型高抵抗率結晶を育成するためには都合が良かったからである。実験1で求められた抵抗率の分布から、アービンカーブによってそれぞれの結晶のドーパント濃度を求め、それらの平均濃度を偏析係数で割った値をベンダーAの多結晶シリコン原料の平均ドーパント濃度とした。このとき、ドーパント元素はボロンと仮定し、その偏析係数を用いた。その結果、平均ドーパント濃度は4.06×1012atoms/cmであり、バラツキのうち最大のドーパント濃度が8.37×1012atoms/cm、最小のドーパント濃度が3.35×1011atoms/cmであった。
そこで、これらの数字をもとに、ドープすべきドープ原料重量を計算した。ドープ原料とシリコン原料の総重量を200kg、ドープ原料中のドーパント濃度を1.16×1015atoms/cm、多結晶シリコン原料中のドーパント濃度を4.06×1012atoms/cmとして、結晶直胴部トップでの抵抗率が1500Ωcmになるようなドープ原料重量を求めたところ、1.22kgと計算された。ベンダーAの多結晶シリコン原料の使用時の平均値に加え、バラツキの最大値及び最小値を含めた、育成後のシリコン単結晶の抵抗率の結晶軸方向プロファイル(予測値)は図10に示した通りである。
上記の検討から、ドープ原料1.22kgと多結晶シリコン原料198.78kgを石英ルツボに投入して、MCZ法により直径8インチ(200mm)結晶を育成した。更に同じ設定で、複数本のシリコン単結晶を育成した。それらのシリコン単結晶からサンプルを切り出し、ドナーキラー熱処理を施した後、PN判定及び抵抗率を測定し、軸方向にプロットしたものを図11に示す。
PN判定結果は全てP型であった。また、図11に示すように、実際のボトム側の抵抗率が予測値よりもやや高いのは、ボロンより偏析係数の小さいN型ドーパントが若干数入っており、その影響で、抵抗率の実際値が予測値より下がらなかったものと推定される。
これらのサンプルの格子間酸素濃度をFT−IRにより測定し、450℃、2時間のドナー生成熱処理を施した後、再度PN判定して抵抗率を測定した。このとき、格子間酸素濃度は全てが6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)以下であり、その内の8割近くが4.0×1017atoms/cm(ASTM’79)以下であった。ドナー生成熱処理後の導電型は全てP型であり、抵抗率を初期の抵抗率に対してプロットしたものが、先に実験2で結果を示した図8である。抵抗率のシフト量は、4.0×1017atoms/cm(ASTM’79)以下のものは、ほとんど変化していなかった。[Oi]=4.0〜6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)のものでも数十%程度であった。
(実施例2)
実施例1とドーパント濃度の異なるドープ原料を用いたことと、狙いの抵抗率をP型2000Ωcmに変えたことを除いては、同じ手法でシリコン単結晶の育成を試みた。
ドープ原料として、抵抗率中心値が0.145Ωcm、ドーパント濃度が1.57×1017atoms/cm±1.2%であるブロックを用いた。多結晶シリコン原料には、ベンダーAのものを用いた。これらの原材料の組合せで、出発原料の総重量が200kgになるように、投入すべきドープ原料重量を計算すると5.43gとなった。実施例1と同様に、シリコン原料のバラツキの最大と最小を含めた、予想される、育成後のシリコン単結晶の抵抗率範囲は図12のようになった。
その後、実際に複数本のシリコン単結晶を育成した。このとき、ドープ原料重量は、総重量200kgに対して無視することができるほど少量なので、多結晶シリコン原料は200kgとして、そこにドープ原料を投入した。それらのシリコン単結晶からサンプルを切り出し、ドナーキラー熱処理後の抵抗率を測定した結果を図13に示す。更に、450℃、2時間のドナー生成熱処理を施した後、導電型及び抵抗率を測定した。その結果は、図8に初期抵抗率に対してプロットした。
格子間酸素濃度は全て6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)以下であり、導電型が変化してしまうものはなかった。また、格子間酸素濃度が4.0×1017atoms/cm以下のものは、ほとんど抵抗率の変化がなかった。
(実施例3)
実施例1では結晶のトップ側で1500Ωcmを狙ったが、実際には、約1200Ωcm〜1800Ωcmの範囲でバラツキが生じた。これは、実施例1の設計では多結晶シリコン原料由来のドーパント量が36%と高く、多結晶シリコン原料中のドーパント濃度のバラツキが影響したためである。
そこで、多結晶シリコン原料由来のドーパント量が10%となるように、ベンダーBのうちでもノンドープで単結晶を引き上げた際に15000Ωcm以上となるロットのみを用い、その分ドープ原料の重量を1.72kgとしたことを除いては、実施例1と同様に単結晶を育成した。
この結晶からサンプルを切り出し、ドナーキラー熱処理を施した後、PN判定及び抵抗率を測定した。その結果、トップ側の抵抗率は1500±70Ωcm以内に制御することができた。
より厳しいスペックに対応するためには、多結晶シリコン原料由来のドーパント量を10%以下とすることが有効であることが確認できた。
(比較例)
ドープ原料として、通常の抵抗率範囲の結晶を製造するために用いているドープ原料を用いたことを除いて、実施例2と同様に、P型2000Ωcm狙いのシリコン単結晶を作製した。このときドープ原料のドーパント濃度は6.51×1019atoms/cmであり、多結晶シリコン原料200kgになるように、投入すべきドープ原料重量を計算すると、0.013gと計算された。そこで、この組合せでシリコン単結晶を育成し、その育成したシリコン単結晶からサンプルを切り出し、そのサンプルにドナーキラー熱処理を施した後に、そのサンプルの抵抗率を測定したところ、約5100Ωcmとなってしまい、狙い抵抗率から大きく外れてしまった。
以上、実施例1−3では、シリコン単結晶を育成する際のドープ原料の質量がそれぞれ、1.22kg、5.43g、1.72kgといずれも1g以上であるため、所望の導電型と抵抗率を有するシリコン単結晶を作製できた。また、実施例1、2では、格子間酸素濃度が6.5×1017atoms/cmを下回っていたために、育成したシリコン単結晶にドナー生成熱処理を施す前後で、導電型と抵抗率の変化がほとんど起こらなかった。
一方、比較例では、所望の導電型と抵抗率を有するシリコン単結晶を作製する際に、多結晶シリコン原料200kgに対して、ドーパントの重量が小さ過ぎて、狙いの抵抗率を得ることができなかった。
上記のように、多結晶シリコン原料のドーパント濃度を予め把握すること、更には多結晶シリコン原料からシリコン単結晶に入るドーパント量を、シリコン単結晶の目標ドーパント量の10分の1以下とすることで、ドープ原料による抵抗率制御が容易かつ高精度に実施できた。
なお、上記の実施例では、実験によりベンダー毎の導電型、抵抗率を調べてシリコン単結晶の育成を行ったが、多結晶メーカー(ベンダー)が多結晶シリコン原料の導電型、抵抗率を保証している場合には、予め多結晶シリコン原料の導電型、抵抗率を求めるような作業は必要ない。
ここでは、多結晶シリコンを原料に用いたが、単結晶を原料として用いることもあり、この場合も全く同様に本発明を適用することができ、その場合も本発明の技術範囲に含まれる。
また、実施例では、育成後のシリコン単結晶の狙う導電型がP型の場合であったが、N型の場合も同様に実施することができる。尚、狙う導電型がN型の場合は、多結晶シリコン原料としてN型比率の高いベンダーCのものを用いればよい。また、格子間酸素濃度の低減方法は、シリコン単結晶の育成時に低酸素化することを実施例に記載したが、本発明では、析出物を形成させる方法も適用できる。また、酸素ドナー化するのは格子間シリコンであるので、酸素析出熱処理を施しBMDを形成することで、残存格子間酸素濃度を減らす方法も適用可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (6)

  1. 内壁が合成石英からなる石英ルツボ内に多結晶シリコン原料を投入し、該多結晶シリコン原料を溶融し、該融液からCZ法によりシリコン単結晶を育成する方法であって、
    前記石英ルツボ内に、前記多結晶シリコン原料とともに、ドーパント元素を含むシリコン単結晶から切り出して作製したドープ原料を1g以上で、かつ、前記石英ルツボに投入される原料の総重量の10%未満で投入し、前記融液から、抵抗率500Ωcm以上で所望の導電型を有するシリコン単結晶を育成し、前記ドープ原料を作製するためのシリコン単結晶の前記ドープ原料が切り出された部位に隣接する箇所から抵抗測定用サンプルを切り出し、該サンプルにドナーキラー熱処理を施した後に測定した抵抗率から前記投入するドープ原料のドーパント濃度を求め、前記部位内の前記投入するドープ原料のドーパント濃度のバラツキが±10%以内になるように管理することを特徴とするシリコン単結晶育成方法。
  2. 前記多結晶シリコン原料の導電型及びドーパント濃度を予め測定し、該測定結果に基づいて、前記石英ルツボに投入するドープ原料の重量及びドーパント濃度を決定することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶育成方法。
  3. 前記多結晶シリコン原料由来のドーパント量を、狙うべき、前記育成するシリコン単結晶のドーパント量の10分の1以下とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン単結晶育成方法。
  4. 前記育成するシリコン単結晶の格子間酸素濃度を、6.5×1017atoms/cm(ASTM’79)以下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶育成方法。
  5. 前記ドープ原料に含まれるドーパント元素を、P型の前記シリコン単結晶を育成する場合にはボロン又はアルミニウムを選択し、N型の前記シリコン単結晶を育成する場合にはリン、砒素、アンチモンのいずれか一つを選択することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶育成方法。
  6. 前記ドープ原料として、他の結晶の製品部分、もしくは不良部分を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のシリコン単結晶育成方法。
JP2012158438A 2012-07-17 2012-07-17 シリコン単結晶育成方法 Active JP5849878B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012158438A JP5849878B2 (ja) 2012-07-17 2012-07-17 シリコン単結晶育成方法
PCT/JP2013/003836 WO2014013675A1 (ja) 2012-07-17 2013-06-20 シリコン単結晶育成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012158438A JP5849878B2 (ja) 2012-07-17 2012-07-17 シリコン単結晶育成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014019600A JP2014019600A (ja) 2014-02-03
JP5849878B2 true JP5849878B2 (ja) 2016-02-03

Family

ID=49948519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012158438A Active JP5849878B2 (ja) 2012-07-17 2012-07-17 シリコン単結晶育成方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5849878B2 (ja)
WO (1) WO2014013675A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SG10202106913TA (en) * 2016-06-08 2021-08-30 Globalwafers Co Ltd High resistivity single crystal silicon ingot and wafer having improved mechanical strength
JP2019094224A (ja) * 2017-11-21 2019-06-20 信越半導体株式会社 シリコン単結晶の育成方法
CN115341271A (zh) * 2021-05-13 2022-11-15 内蒙古中环协鑫光伏材料有限公司 一种控制单晶电阻率轴向衰减速率的方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000055397A1 (fr) * 1999-03-16 2000-09-21 Shin-Etsu Handotai Co., Ltd. Procede de production d'une tranche de silicium et tranche de silicium ainsi obtenue
JP2002226295A (ja) * 2001-01-31 2002-08-14 Shin Etsu Handotai Co Ltd チョクラルスキー法によるシリコン単結晶製造工程の管理方法及びチョクラルスキー法による高抵抗シリコン単結晶の製造方法並びにシリコン単結晶
JP2003068744A (ja) * 2001-08-30 2003-03-07 Shin Etsu Handotai Co Ltd シリコンウエーハの製造方法及びシリコンウエーハ並びにsoiウエーハ
JP4908730B2 (ja) * 2003-04-21 2012-04-04 株式会社Sumco 高抵抗シリコン単結晶の製造方法
JP2009249233A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Sumco Corp シリコン単結晶の育成方法
JP2012031023A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Sumco Corp シリコン単結晶の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014019600A (ja) 2014-02-03
WO2014013675A1 (ja) 2014-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5890587B2 (ja) 単結晶の製造方法およびシリコンウェーハの製造方法
JP7365900B2 (ja) 改善された抵抗率制御により単結晶シリコンインゴットを形成する方法
JP6945805B2 (ja) エピタキシャルウェーハの製造方法
JP5772553B2 (ja) シリコン単結晶の評価方法およびシリコン単結晶の製造方法
JP5321460B2 (ja) Igbt用シリコン単結晶ウェーハの製造方法
JP6044277B2 (ja) シリコン単結晶ウェーハの製造方法
JPWO2009025336A1 (ja) Igbt用のシリコン単結晶ウェーハ及びigbt用のシリコン単結晶ウェーハの製造方法
JP2002128591A (ja) シリコン結晶及びシリコン結晶ウエーハ並びにその製造方法
US9809901B2 (en) Method for manufacturing silicon single crystal
US10211066B2 (en) Silicon epitaxial wafer and method of producing same
JP4567262B2 (ja) エピタキシャルウエハ基板用に強化されたn型シリコン材料及びその製造方法
JP5849878B2 (ja) シリコン単結晶育成方法
JP2002226295A (ja) チョクラルスキー法によるシリコン単結晶製造工程の管理方法及びチョクラルスキー法による高抵抗シリコン単結晶の製造方法並びにシリコン単結晶
KR102032535B1 (ko) 단결정 실리콘 판상체 및 그의 제조 방법
JP2011054821A (ja) エピタキシャルウェーハの製造方法及びエピタキシャルウェーハ
JP5817542B2 (ja) シリコン基板の製造方法
KR20160142306A (ko) 붕소 도핑된 n-타입 실리콘 타겟
JP6610056B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法
JP2005206391A (ja) シリコン単結晶基板の抵抗率保証方法及びシリコン単結晶基板の製造方法並びにシリコン単結晶基板
JP6172013B2 (ja) Gsgg単結晶の製造方法と酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法
JP6167752B2 (ja) シリコン単結晶材料の製造方法
CN111164241A (zh) 单晶硅的培育方法
KR100977631B1 (ko) 고저항 실리콘 단결정과 그 제조방법 및 웨이퍼
JP2019019030A (ja) シリコン単結晶の評価方法およびシリコン単結晶の製造方法
JP4656284B2 (ja) 高抵抗シリコンウェーハの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150804

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5849878

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250