JP5816449B2 - プリント配線板からのリサイクル用有価金属原料の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなアルミベース基板を備えたプリント配線板としては、下記特許文献1〜4に開示されたものがある。
しかし、これまでは通常、アルミに対して価値の高い金、銀、銅などの高価な有価金属をリサイクル用原料にすることを目的に、プリント配線板を銅製錬内の炉で溶融して
金、銀、銅などの有価金属をリサイクル用原料として製造していた。
これでは、アルミは製錬スラグへ混入するのみで純度の高いアルミ片等が分離できず、より付加価値の高いメタルの金属アルミ原料として回収ができなかったため、リサイクル用原料として製造はされていなかった。
さらに、基板全体のブラスティングや圧延による処理なども考えられるが、いずれも目的とするアルミ片は分離されず、アルミや金、銀、銅などの有価金属が好適に回収できず、工業的に実施可能なレベルに達していなかった。
絶縁層3は、アルミベース基板2上に接着剤又は接着シートを塗布又は貼付して固着することができる。
なお、アルミベース基板2及び絶縁層3は厚い方が好ましい。その理由は厚さが薄くなると衝撃を加えてもアルミ基板2と絶縁層3や絶縁層3と電子回路4の界面において平行方向のせん断応力が生じにくくなり、その結果基板2と絶縁層3とが剥離しにくくなるためである。
この衝撃を加えるには、プリント配線板1の片面のみから打撃力を加えるものがより好ましい。例えば、ハンマー、羽根、長尺状の鎖、ワイヤーなどのいずれかを用いることができる。
また、図4に示すような、切断刃部が互いにかみ合う二軸式破砕機を用いてもよい。この場合には、プリント配線板1の片面のみからでなく、同時に配線板の両面から衝撃を加えることとなる。
その他、上記の衝撃力が得られるパーツセパレーターやハンマークラッシャー、竪型破砕機等を用いることも可能である。
また、一度衝撃力を加えて破砕した破砕片に、再度衝撃を加えてもよく、2回以上繰り返し衝撃を加えることにより、分離しやすくなる。
所定の回路配置を形成したサイズL120mm×W70mm×T5mmのプリント配線板10枚を用いて試験を行った。この配線板のアルミベース基板の厚みは4mm、絶縁層の厚みは1mmであり、絶縁層はガラスエポキシ樹脂からなり、エポキシ系の接着剤でアルミベース基板上に貼り付けた。また、プリント配線板10枚の平均重量は76.8gであり、分析した結果、含有する金属成分は基板1枚当たりアルミが56.8g、金が0.77mg銅が6.68gであった。
この配線板10枚を、図2,3に示すような、一軸式破砕機(佐藤鉄工(株)製「クロスシュレッダー CFS-S1000」)に投入し、衝撃を加えた。この衝撃力を計算したところ255Nであった。
サイズL140mm×W100mm×T2.5mmのプリント配線板10枚を用いて試験を行った。この配線板のアルミベース基板の厚みは2mm、絶縁層の厚みは0.5mmであり、絶縁層は、ガラスエポキシ樹脂からなり、エポキシ系の接着剤でアルミベース基板上に貼り付けた。また、平均重量は119.0gであり、分析した結果、含有する金属成分は基板1枚当たりアルミが75g、金が2.38mg、銅が40.1gであった。
その後、この装置から破砕したプリント配線板を取り出してアルミベース基板と絶縁層とを手作業で剥離したところ、いずれも容易に剥離することができ、表1に示すとおり剥離率は重量で90%であった。回収により得られた金属の品位と回収率は上記表2に示す値であった。
サイズL110mm×W100mm×T2mmのプリント配線板10枚を用いて試験を行った。この配線板のアルミベース基板の厚みは1.2mm、絶縁層の厚みは0.1mmであり、絶縁層はガラスエポキシ樹脂からなり、エポキシ系の接着剤でアルミベース基板上に貼り付けた。また、平均重量は65.1gであり、分析した結果、含有する金属成分は基板1枚当たりアルミが58.6g、金が2.0mg、銅が2.92gだった。
その後、この装置から粉砕したプリント配線板を取り出してアルミベース基板と絶縁層とを手作業で剥離したところ、いずれも容易に剥離することができ、表1に示すとおり剥離率は重量で62%であった。回収により得られた金属の品位と回収率は上記表2に示す値であった。
実施例1と同一のプリント配線板10枚を用いて試験を行った。
この配線板10枚を、図4に示すような、二軸式破砕機(氏家製作所製「シュレッダーUG165-20-240」)に投入し、衝撃を加えた。この衝撃力を計算したところ198Nであった。
その後、この装置から破砕したプリント配線板を取り出すと、アルミベース基板と絶縁層とがきれいに剥離していた。得られた破砕片を実施例1と同一の色彩選別機により選別したところ、表1に示すとおり剥離率は重量で95%であった。回収により得られた金属の品位と回収率は上記表2に示す値であった。
サイズL120mm×W66mm×T1mmのプリント配線板10枚を用いて試験を行った。この配線板のアルミベース基板の厚みは0.5mm、絶縁層の厚みは0.05mmであり、絶縁層は、ガラスエポキシ樹脂からなり、エポキシ系の接着剤でアルミベース基板上に貼り付けた。また、平均重量は16.4gであり、分析した結果、含有する金属成分は基板1枚当たりアルミが56.8g、金が0.77mg、銅が6.68gであった。
その後、この装置から粉砕したプリント配線板を取り出してアルミベース基板と絶縁層とを手作業で剥離しようとしたが、いずれも固着しており剥離することができなかった。得られたものは、原料のほぼ全量がアルミに包まれた塊状となっており、アルミベース基板部分と絶縁層の剥離ができなかった。得られた塊状物は、アルミが81wt%で、銅が8wt%であった。
実施例2と同一の基板サイズL110mm×W100mm×T2mmでアルミ層と絶縁層厚さの異なるプリント配線板10枚を用いて試験を行った。
この配線板10枚を、実施例4と同一の二軸式破砕機に投入し、衝撃を加えた。この衝撃力を計算したところ88Nであった。得られた破砕片は、アルミベース基板と絶縁層の剥離がなされていなかった。すなわち、手選別や色彩選別機等によってアルミ片等の個々の破片を取り上げることのみで目的とする金属片とその他樹脂等を簡便に分離できる破砕片は得られていなかった。得られた破砕片を分析した結果、アルミが80wt%であった。
実施例1と同一のプリント配線板10枚を用いて試験を行った。この配線板10枚を、溶融法によりアルミを融解し、ルツボ底部の沈殿物と溶湯中の固形物を分離した。沈殿物中のアルミ純度は97.6wt%であったが、原料中のアルミ重量に対して62.8wt%しか回収できず、また固形物から得た塊状物の銅純度は43.2wt%で、リサイクル原料の銅としてそのままでは使用はできないものであった。
配線板に、190N以上の衝撃を加えることにより、アルミベース基板の剥離が容易であり、また、回路基板の金、銀、銅も分離し、これらをリサイクル用原料とすることができるものであった。
配線板に、190N未満の衝撃を加えても、剥離することができず、アルミ等の有価金属を樹脂基板から分別することができなかった。
衝撃を加えて得られた破砕片は、手選別や色彩選別機等で簡単に選別することができ、得られたもののリサイクル用有価金属原料の純度は90wt%以上と高く、かつ、原料であるアルミベース基板中の金属含有量に対する回収率もアルミで90wt%以上と非常に回収効率の高いものであった。
6容器 7モータ 8鎖
Claims (6)
- 厚さ1.0mmを超えるアルミベース基板上に厚さ0.1mm以上である絶縁層を介して電子回路を形成したプリント配線板に、190N以上の衝撃力を加えてリサイクル用有価金属原料を製造する方法。
- 衝撃力は、ハンマー、羽根、鎖、ワイヤーのいずれかで加える請求項1に記載の製造方法。
- プリント配線板に、前記衝撃力を2回以上加える請求項1又は2に記載の製造方法。
- 衝撃力は、一軸式破砕機で加える請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 衝撃力により得られたプリント配線板の破砕片を色彩選別機により分別する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- アルミ、銅、金のリサイクル用有価金属原料を得るものである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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