JP5814596B2 - 仮設足場の昇降装置 - Google Patents

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本発明は、仮設足場の昇降時に使用する昇降装置に関するものである。
建物の新築時あるいは改修時には、作業を安全に且つ効率よく行うために、建物の周囲に一時的に足場を設けるのが一般的である。住宅等の比較的小規模な建物の場合、建地や手摺等の主要部材として単管パイプを用いたくさび緊結式足場や単管ブラケット足場が用いられることが多く、更に、足場が狭隘な敷地に建設される場合には、作業者が昇降する為の手段として、足場から大きくまたは広範囲に突出してしまう昇降機(エレベータ)や階段(作業床に沿って設置される一直線状の階段)に代えて、地上面から垂直に立ち上がる梯子(いわゆる猿梯子)を設けることがある。
梯子は、例えば特許文献1に記載のように、手摺や中桟等の水平材に対して直交クランプを用いて足場板の長手方向に対し直角方向に取り付けられるのが一般的である。昇降中に梯子から誤って落下した作業者を保護する手段としては、例えば特許文献2に記載のような墜落防止器があり、このような墜落防止器の使用の徹底により大災害を防止することはできる。
特開平9−302917号公報 特開平9−192250号公報
しかし、たとえこのような墜落防止器を装着していたとしても、作業者からは高所から地上面を見下ろせてしまうので恐怖心を拭い去ることができず、作業効率が低下してしまうという問題があった。
本発明は、作業者が安心して昇降でき、作業効率を向上させることができる仮設足場の昇降装置を提供することを目的とする。
本発明は、足場板の長手方向に対して直交し且つ対向した状態で立設された一対の梯子を備え、該一対の梯子の間に昇降通路が形成され、前記一対の梯子は、平面視で前記足場板に重なることなく、前記長手方向に沿った前記足場板の長辺の外側に設けられていることを特徴とする。
このような構造にあっては、作業者が昇降する際には一対の梯子のいずれか一方を使用するが、その際に他方の梯子が作業者の背後に存在することになるので、梯子を踏み外したり把持し損ねたりしたとしても、咄嗟に背後の梯子につかまったりもたれかかったりすることで落下が避けられる、という安心感が作業者に働き、躊躇することなく昇降装置を利用して昇降することができ、その結果として、作業性を向上させることができる。また、万が一作業者が落下した際に墜落防止器が正常に作動しなかったとしても、背後の梯子につかまったりもたれかかったりすることで地上まで落ちることが回避され、大きな災害を防ぐことができる。
また、可動ステージは、一対の梯子の外側の縦材にヒンジを介して回動自在に取り付けられ、先端部に設けられた係止片が一対の梯子の踏桟に係止されることによって水平となって昇降通路が閉塞され、先端部側が跳ね上げられることによって起立して昇降通路が開放されるように構成されると好適である。
このような構成を採用すると、地上面よりも高い位置に各可動ステージが存在するので、昇降時の安心感が更に増す。また、作業者が落下した際に墜落防止器が正常に作動しなかったとしても、作業者は可動ステージで受け止められるので大きな災害を防ぐことができる。そして、可動ステージは、ヒンジを介して回動させることができるので、可動ステージが、昇降通路を塞いでいたとしても、手で持ち上げたり、ヘルメットを装着した頭で押し上げたりして可動ステージを起立させて昇降通路を開放することができ、容易に昇降することができる。
また、可動ステージを異なる高さに複数備え、
上下に隣接する可動ステージどうしが先端側において連結紐でそれぞれ連結され、最上段の可動ステージの先端側には、地上近くまで延びる引き上げ紐が取り付けられていると好適である。
昇降通路はロープ等で吊った資材の荷揚げの為の空間として使用することもできるが、その際、地上近くで引き上げ紐を作業者が引っ張ることで、複数の可動ステージを同時に起立させて昇降通路を開放させることができるので、複数の可動ステージをひとつひとつ起立させる手間が省け、作業性を向上させることができる。
また、一対の梯子の外面側に沿って連続的に張設され、昇降通路をコ字状に覆う養生ネットを備えると好適である。
このような構成を採用すると、昇降通路が養生ネットによって塞がれる、あるいは狭められることを防止する手段を別途設ける必要がない。また、昇降通路全体が養生ネットで覆われるので、より安心して昇降することができる。
本発明によれば、作業者が安心して昇降でき、これによって作業効率を向上させることができる。
本発明に係る昇降装置の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示された昇降装置の要部拡大斜視図である。 可動ステージを示す斜視図である。 複数の可動ステージが設けられた状態を示し、(a)は可動ステージを倒した状態を示す側面図、(b)は可動ステージを起立させた状態を示す側面図である。 養生ネットが張設された状態を示す断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る仮設足場の昇降装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1に示されるように、仮設足場Aは、単管ブラケット足場の形式であり、建物の周囲の地面に配置された敷板1、敷板1上に支柱ベースを介して立設され建物の外周部に沿って二列縦隊状態で配列される内側支柱2及び外側支柱3、内側支柱2と外側支柱を連結するブラケット7、ブラケット7に両端のフックを係止することでされた足場板5、足場板5から所定の高さとなるように外側支柱3に直交クランプを介して取り付けられた手摺4、足場板5と手摺4の中間の高さに外側支柱3に直交クランプを介して取り付けられた中桟(不図示)等で構成されている。
図1〜図3に示されるように、昇降装置10は、複数層からなる仮設足場Aに付設され、仮設足場Aの昇降に用いられる。この昇降装置10は、足場板5の長手方向に対して直交し、且つ、所定の間隔で対向するように立設された一対の梯子11,12を備えており、この一対の梯子11,12の間に昇降通路Sが形成されている。ここで、所定の間隔とは、作業者が一対の梯子11,12のうちの一方を用いて昇降する際に作業者のすぐ背後に他方の梯子が存在する程度に離隔した間隔、あるいは作業者が無理なく一対の梯子11,12に跨るようにして立つことができる間隔であり、具体的な数値は、例えば中心間の寸法で50〜70cm、より好ましくは60cmである。
梯子11と梯子12は、同一形状をなし、平行な2本の縦材13a,13bと、縦材13a、13bとの間に所定の間隔で水平に架設された複数の踏桟14と、を有しており、踏桟14の高さも等しくなるように設置されている。なお、一対の梯子11,12の間については手摺4、中桟は昇降装置10の使用の障害となる為省略されている。
このような構造にあっては、作業者が昇降する際には一対の梯子11、12のいずれか一方(例えば梯子11)を使用するが、その際に他方の梯子(例えば梯子12)が作業者の背後に存在することになるので、踏桟14を踏み外したり把持し損ねたりしたとしても、咄嗟に背後の梯子12の踏桟につかまったりもたれかかったりすることで落下が避けられる、という安心感が作業者に働き、躊躇することなく昇降装置10を利用して昇降することができ、その結果として、作業性を向上させることができる。また、万が一作業者が落下した際に墜落防止器が正常に作動しなかったとしても、背後の梯子12の踏桟につかまったりもたれかかったりすることで地上まで落ちることが回避され、大きな災害を防ぐことができる。
さらに、昇降装置10における昇降通路Sの中間部には、昇降通路Sの閉塞及び開放を自在とする複数の可動ステージ20が設けられている。可動ステージ20は、一対の梯子11,12(の踏桟14)の離間寸法よりも大きな長さ寸法を有する前枠20a、一対の梯子11,12(の踏桟14)の離間寸法よりも小さな長さ寸法を有する後枠20b、および前枠20aと後枠20bとの間に複数配置されたステップ枠20cで構成されており、一対の梯子11,12の外側の縦材13aにヒンジHを介して回動自在に取り付けられている。なお、ヒンジHは、後枠20bの両端に穿設された軸ピン挿通孔に、一対の梯子11,12の外側の縦材13aに取り付けられたクランプから突出した軸ピン21を挿通することにより構成されている。
前枠20aの両端は、一対の梯子11,12の踏桟14よりも突出するように構成されており(すなわち、前枠201aの両端が可動ステージ20の先端部に設けられた係止片となっており)、この係止片が踏桟14に係止されることによって可動ステージ20は水平となり昇降通路Sが閉塞される。そして、前枠20a側(先端部側)が跳ね上げられることによって可動ステージ20は起立して昇降通路Sが開放される。また、可動ステージ20の部材寸法や設置高さは、足場板5からの移動あるいは足場板5への移動に支障のないように(例えば足場板5との高低差が40cm以下となるように)、かつ、起立した状態で上方の踏桟14と接触しないように設定されている。
このような構成を採用すると、地上面よりも高い位置に各可動ステージ20が存在するので、昇降時の安心感が更に増す。また、作業者が落下した際に墜落防止器が正常に作動しなかったとしても、作業者は可動ステージで受け止められるので大きな災害を防ぐことができる。そして、可動ステージ20は、ヒンジHを介して回動させることができるので、可動ステージ20が、昇降通路Sを塞いでいたとしても、手で持ち上げたり、ヘルメットを装着した頭で押し上げたりして可動ステージ20を起立させて昇降通路Sを開放することができ、容易に昇降することができる。
図4に示されるように、上下に隣接する可動ステージ20どうしは、先端側において連結紐21で連結紐21に緩みがない状態で連結されており、更に、最上段の可動ステージ20Aの先端側には、引き上げ紐22の一端が固定されている。引き上げ紐22は、最上段の可動ステージ20Aの上方で昇降装置10の内側の縦材13bの上端に固定された滑車等の方向変換手段23を経由することで下方に向きを変えて垂下し、他端が地上近くまで延びている。引き上げ紐22の他端は、昇降装置10の内側の縦材13bに固定されたフック部24に締結することが可能である。
昇降通路Sはロープ等で吊った資材の荷揚げの為の空間として使用することもできるが、その際、図4(b)に示されるように、地上近くで引き上げ紐22を作業者が引っ張ることで、複数の可動ステージ20を同時に起立させ、昇降通路Sを同時に開放させることができるので、複数の可動ステージをひとつひとつ起立させる手間が省け、作業性を向上させることができる。このとき、引き上げ紐22の下端がフック部24に締結されることによって、可動ステージ20が不意に倒れて昇降通路Sが閉塞されることが防止される。
図5は、養生ネット30が張設された状態を示している。養生ネット30は、ポリプロピレン等の軟質の合成樹脂糸を、メッシュ状に編んだものである。このような養生ネット30は、昇降装置10の周囲において、一対の梯子11,12の外側面に沿うように連続的に張設され、昇降通路Sを平面視でコ字状に覆い、更に昇降装置10に接しない足場板*の外側面に沿って連続的に張設されている。養生ネット30は、このような形状を維持するために、紐などで外側支柱3、縦材13a,13b等に締結される。
このような構成を採用すると、昇降通路Sが養生ネットによって塞がれる、あるいは狭められることを防止する手段を別途設ける必要がない。また、昇降通路全体が養生ネット30で覆われるので、より安心して昇降することができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
例えば、図5の二点鎖線で示されるように、足場板5の上を移動中の作業者が昇降装置10の昇降通路S内に墜落するのを防止する為に、手摺4が分断された位置にバー状の回動自在な遮断ゲート40を設けても良い。この遮断ゲート40の基端は、一対の梯子11,12のいずれか一方の梯子の縦材13bにヒンジH1を介して連結される。遮断ゲート40の先端は、水平状態を維持するように内側の他方の梯子の縦材13bに係止され、作業者が昇降装置10と足場板5との間を移動する場合には、遮断バー40の先端を持ち上げることで、遮断ゲート40を開くことができる。
5…足場板、10…昇降装置、11,12梯子、13a,13b…縦材、14…踏桟、20…可動ステージ、20A…最上段の可動ステージ、21…連結紐、22…引き上げ紐、23…滑車(方向変換手段)、30…養生ネット、A…仮設足場、H…ヒンジ、S…昇降通路。

Claims (5)

  1. 足場板の長手方向に対して直交し且つ対向した状態で立設された一対の梯子を備え、該一対の梯子の間に昇降通路が形成され
    前記一対の梯子は、平面視で前記足場板に重なることなく、前記長手方向に沿った前記足場板の長辺の外側に設けられていることを特徴とする仮設足場の昇降装置。
  2. 前記昇降通路の中間部に、該昇降通路の閉塞及び開放を自在とする可動ステージが設けられたことを特徴とする請求項1記載の仮設足場の昇降装置。
  3. 前記可動ステージは、
    前記一対の梯子の外側の縦材にヒンジを介して回動自在に取り付けられ、
    先端部に設けられた係止片が前記一対の梯子の踏桟に係止されることによって水平となって前記昇降通路が閉塞され、
    先端部側が跳ね上げられることによって起立して前記昇降通路が開放されるように構成されたことを特徴とする請求項2記載の仮設足場の昇降装置。
  4. 前記可動ステージを異なる高さに複数備え、
    上下に隣接する前記可動ステージどうしが先端側において連結紐でそれぞれ連結され、最上段の前記可動ステージの先端側には、地上近くまで延びる引き上げ紐が取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の仮設足場の昇降装置。
  5. 前記一対の梯子の外面側に沿って連続的に張設され、前記昇降通路をコ字状に覆う養生ネットを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の仮設足場の昇降装置。
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