JP5814462B2 - 難燃剤、難燃帯付き巻きタバコ紙、及びこの巻きタバコ紙の製造方法 - Google Patents

Description

本発明は難燃剤、巻きタバコ紙、及び巻きタバコ紙の製造方法に関し、特に巻きタバコ紙用難燃剤、難燃帯付き巻きタバコ紙、及びこの巻きタバコ紙の製造方法に関する。

中国は、既にタバコの製造及び消費において大国になっている。不完全な統計によると、現在、中国の喫煙人数は４億に近く、全国人口総数の３０％を占める。吸殻１本で広大な森を焼き尽くすこともあり、喫煙による火災の例は数え切れないほどある。タバコの吸差しの中心温度は７００〜８００℃と高く、燃焼錐の表面温度も３００〜５００℃あり、紙葉、布帛などの一般的な固体可燃物の発火点より遥かに高い。

したがって、タバコの安全性（即ち低発火性）を高める技術が必要となっている。タバコの安全性を高めると同時に、タバコの元々の味わい、灰を残す状態及び安全衛生要求などのほかの特性に影響を与えてはならない。従来の巻きタバコ工業生産設備の需要をよりよく満たすために、巻きタバコ紙の生産プロセスのみを調整すればよい。したがって、少ない資源及びエネルギーを用い、巻煙生産の需要を満たす難燃帯付き巻きタバコ紙を生産する技術が必要となっている。

本発明の目的は、安全効果がよく、生産コストが低い難燃剤、難燃帯付き巻きタバコ紙、及びこの巻きタバコ紙の製造方法を提供することである。

上記目的を実現するために、本発明は、重量が１０％〜３０％である成膜材料、重量が１０％〜３０％である充填材料、及び重量が４０％〜８０％である溶媒を含み、前記成膜材料は、カチオン性澱粉、アニオン性澱粉、酸化澱粉、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択され、前記充填材料は、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択された巻きタバコ紙用難燃剤を提供する。

好ましくは、前記難燃剤は、成膜材料と充填材料と溶媒との総重量の５％〜１５％を占める助剤をさらに含み、前記助剤は、粘度降下剤、消泡剤、分散剤、柔軟剤、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択されたものである。

特に好ましくは、前記溶媒は、水、エタノール、酢酸エチル、アンモニア水、またはそれらのうちの２種以上の混合物を含む。

本発明の別の目的は、巻きタバコ紙の表面及び／または裏面には、難燃剤を印刷して形成された難燃帯が少なくとも１本設けられ、前記難燃帯の幅が２ｍｍ〜８ｍｍであり、前記難燃剤は請求項１又は２に記載の巻きタバコ紙用難燃剤である難燃帯付き巻きタバコ紙を提供することにある。

好ましくは、前記巻きタバコ紙には難燃帯が少なくとも２本設けられ、隣り合う２本の難燃帯の間隔は１０ｍｍ〜３０ｍｍである。

より好ましくは、前記難燃帯は、長尺形、波形、千鳥形、網目形、又はそれらのうちの２種以上の組合せ図形である。

本発明の更なる目的は、高速分散条件下で、カチオン性澱粉、アニオン性澱粉、酸化澱粉、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択された成膜材料を溶媒に溶解させて成膜材料溶液を調製し、且つ前記成膜材料溶液を均一になるように撹拌するステップと、高速分散条件下で、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択された充填材料を前記成膜材料溶液に加え、且つ溶媒を補充して難燃剤を製造するステップと、印刷機によって前記難燃剤を巻きタバコ紙原紙の表面及び／または裏面に印刷し、難燃帯を形成するステップと、を含む難燃帯付き巻きタバコ紙の製造方法を提供することにある。

好ましくは、成膜材料溶液に助剤を加えるステップをさらに含み、前記難燃剤は一次印刷、二次色刷り、又は三次色刷りによって印刷される。

上記技術案に基づき、本発明は以下のメリットを有する。

本発明は難燃帯付き巻きタバコ紙の生産技術に属し、所定間隔を有するように帯状塗層を巻きタバコ紙原紙上に印刷することにより、帯状塗層領域の通気性を低下させる。タバコが自由燃焼してこの難燃帯領域に到達した場合、難燃帯が熱量を吸収して酸素の侵入を減少させるため、タバコは自身で消える。難燃帯領域に燃焼したときに吸引すると、タバコは酸素を得て引き続き燃焼することができる。

本発明による難燃帯付き巻きタバコ紙の模式図である。 本発明による巻きタバコ紙で製造されたタバコの模式図である。

ここで説明する図面は、本発明に対するさらなる理解を提供するものであり、本出願の一部を構成する。本発明の模式的な実施例及びその説明は、本発明を説明するためのものであり、本発明に対する不当に限定しない。

以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明による技術案をより詳しく説明する。

実施例１：
図１及び図２は、本発明による難燃帯付き巻きタバコ紙の好ましい実施例を示している。前記巻きタバコ紙１の表面及び／または裏面には、難燃剤を印刷して形成された難燃帯２が少なくとも１本設けられる。所定間隔を有するように帯状塗層を巻きタバコ紙原紙上に印刷することにより、帯状塗層領域の通気性を低下させることができる。本発明による前記難燃帯２の幅は２ｍｍ〜８ｍｍである。好ましくは、前記巻きタバコ紙１には難燃帯２が少なくとも２本設けられ、隣り合う２本の難燃帯２の間隔は１０ｍｍ〜３０ｍｍである。タバコが自由燃焼してこの難燃帯２の領域に到達した場合、難燃帯２が熱量を吸収して酸素の侵入を減少させるため、タバコは自身で消える。２つ以上の難燃帯２を設けると、難燃頻度を高めることにより安全性を強めることができる。難燃帯領域に燃焼したときに吸引すると、タバコは酸素を得て引き続き燃焼することができる。本発明による難燃帯は狭すぎると、理想的な安全難燃効果を達成しにくいが、当然ながら、本発明による難燃帯は広すぎると、使用者の喫煙感覚に影響を与える。

本実施例において、巻きタバコ紙１には難燃帯２が２本設けられ（図１に示す）、且つ前記難燃帯２が長尺状である。当然ながら、前記難燃帯２は波形、千鳥形、網目形、又はそれらのうちの２種以上の組合せ図形であってもよい。本実施例において、難燃帯２自身の幅は６ｍｍであり、隣り合う２本の難燃帯２の間隔は１９ｍｍである。

実施例２：
重量が２０％であるアラビアゴムを成膜材料とする。当然ながら、相応の重量を有するカチオン性澱粉、アニオン性澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、またはそれらのうちの２種以上の混合物を成膜材料としてもよい。重量が１０％である水酸化マグネシウム及び重量が１０％である炭酸カルシウムを充填材料とする。当然ながら、酸化マグネシウム、タルク、又はそれらのうちの２種以上の混合物を充填材料としてもよい。重量が２４％であるエタノールを溶媒の１つとし、水を残りの部分の溶媒とし、難燃剤を製造する。好ましくは、上記混合物の総重量の８％を占めるプロパンジオール及び／又はグリセリンを助剤として加える。

また、本発明による溶媒として、水、エタノール、酢酸エチル、アンモニア水、又はそれらのうちの２種以上の混合物を選択してもよい。

製造するとき、まず、高速分散条件下でアラビアゴム水溶液を調製し、且つ撹拌などの方式によって、成膜材料溶液を均一で塊のないように調製する；そして、高速分散条件下で水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、エタノール、プロパンジオール及び／又はグリセリンを加える。実際の応用において、当業者であれば理解できるように、異なる地域、異なる環境における温度、湿度などの条件を根拠とし、具体的な紙葉のしわ状態、難燃帯通気性要求、及び乾燥能力などの要素に基づき、上記処方及び割合を微調整し、最も理想的な製品状態を実現することができる。

最後に、印刷機によって前記難燃剤を巻きタバコ紙原紙１の表面及び／または裏面に印刷し、図１及び図２に示すような難燃帯２を形成する。

実施例３：
重量が２５％であるカルボキシメチルセルロースを成膜材料し、重量が１０％である水酸化マグネシウム及び重量が１０％である水酸化アルミニウムを充填材料し、重量が３０％であるエタノールを溶媒の１つとし、水を残りの部分の溶媒とし、難燃剤を製造する。好ましくは、上記混合物の総重量の１０％を占めるプロパンジオール及び／又はグリセリンを助剤として加える。当然ながら、従来技術における各種の粘度降下剤、消泡剤、分散剤、柔軟剤、又はそれらのうちの２種以上の混合物を助剤として選択してもよい。

製造するとき、まず、高速分散条件下でカルボキシメチルセルロース水溶液を調製し、且つ撹拌などの方式によって、成膜材料溶液を均一で塊のないように調製する；そして、高速分散条件下で水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、エタノール、プロパンジオール及び／又はグリセリンを加える。実際の応用において、当業者であれば理解できるように、異なる地域、異なる環境における温度、湿度などの条件を根拠とし、具体的な紙葉のしわ状態、難燃帯通気性要求、及び乾燥能力などの要素に基づき、上記処方及び割合を微調整し、最も理想的な製品状態を実現することができる。

最後に、印刷機によって前記難燃剤を巻きタバコ紙原紙１の表面及び／または裏面に印刷し、図１に示すような難燃帯２を形成する。

実施例４：
重量が１０％である酸化澱粉を成膜材料とし、重量が５％である水酸化マグネシウム及び重量が１０％である炭酸カルシウムを充填材料とし、水を残りの部分の溶媒とし、難燃剤を製造する。好ましくは、上記混合物の総重量の１５％を占めるプロパンジオール及び／又はグリセリンを助剤として加える。

製造するとき、まず、酸化澱粉を糊化させ、温度が６０℃以下に下がった後、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、プロパンジオール及び／又はグリセリンを加えて均一に分散する。

実際の生産において、本発明による上記方法及び処方によって製造された難燃剤を用いて、難燃帯付き巻きタバコ紙を印刷することは、巻きタバコ紙印刷工業における濃度、粘度及びスラリー気泡などに対する要求を満たすため、よい印刷効果及びコスト優位を有する。

最後に、印刷機によって前記難燃剤を巻きタバコ紙原紙１の表面及び裏面に印刷し、図１に示すような難燃帯２を形成する。且つ、表面及び裏面の難燃帯の位置は互いに対応してもよく、交互に配列されてもよい。

好ましくは、前記難燃剤は一次印刷、二次色刷り、又は三次色刷りによって印刷される。

具体的には、本発明による難燃剤塗層を巻きタバコ紙上に印刷する主な目的が、該帯状塗層領域の通気性を低下させることであるため、本発明の主な成分は成膜材料である。このほか、充填材料は成膜材料の粘着性を低下させ、成膜材料が紙葉又は他の物体の表面に付着することを防止することができるとともに、一部の充填材料は自身で消えることを補助する作用を奏することができる。例えば、水酸化マグネシウムは熱量を吸収して水分を放出する作用を有する。溶媒にエタノールなどの有機溶媒を添加すると、乾燥を速める作用を奏することができる。本発明によるほかの助剤は、主に難燃剤の性質を調整する作用を奏する。例えば、難燃剤を、印刷インクの性質要求をさらに満たすようにする。具体的には、粘度、気泡などを調整して、難燃帯印刷の品質要求を満たす。

明らかに、当業者は、本発明による難燃剤、難燃帯付き巻きタバコ紙、及びこの巻きタバコ紙の製造方法を用いて、各種類の難燃製品を構成することができる。

なお、上記実施例は本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。好ましい実施例を参照して本発明に対して詳しく説明したが、当業者であれば分かるように、本発明の具体的な実施形態を変える、又は一部の技術特徴に対して等価置換えを行うことは依然としてできる。本発明の技術案の精神から離脱しないかぎり、本発明の保護請求する技術案の範囲に含まれるべきである。

１ 巻きタバコ紙
２ 難燃帯

Claims (4)

1. 巻きタバコ紙の表面及び／または裏面には、難燃剤を印刷して形成された難燃帯が少なくとも１本設けられ、前記難燃帯の幅は２〜８ｍｍであり、前記難燃剤は、重量が１０〜３０％である成膜材料、重量が１０〜３０％である充填材料、重量が４０〜８０％である溶媒、及び成膜材料と充填材料と溶媒との総重量の５〜１５％を占める助剤をさらに含み、
   前記成膜材料は、カチオン性澱粉、アニオン性澱粉、酸化澱粉、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択されたものであり、
   前記充填材料は、炭酸カルシウムとタルクの混合物、または炭酸カルシウム、酸化マグネシウムとタルクの混合物であり、
   前記助剤は、粘度降下剤、消泡剤、分散剤、柔軟剤、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択されたものであり、
   前記溶媒は、水、エタノール、酢酸エチル、アンモニア水、またはそれらのうちの２種以上の混合物を含むことを特徴とする難燃帯付き巻きタバコ紙。
2. 前記巻きタバコ紙には難燃帯が少なくとも２本設けられ、隣り合う２本の難燃帯の間隔は１０〜３０ｍｍである、ことを特徴とする請求項１に記載の難燃帯付き巻きタバコ紙。
3. 前記難燃帯は、長尺形、波形、千鳥形、網目形、又はそれらのうちの２種以上の組合せ図形である、ことを特徴とする請求項１又は２に記載の難燃帯付き巻きタバコ紙。
4. 分散条件下で、カチオン性澱粉、アニオン性澱粉、酸化澱粉、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択された成膜材料を溶媒に溶解させて成膜材料溶液を調製し、且つ前記成膜材料溶液を均一になるように撹拌するステップと、
   分散条件下で、炭酸カルシウムとタルクの混合物、または炭酸カルシウム、酸化マグネシウムとタルクの混合物である充填材料及び助剤を前記成膜材料溶液に加え、且つ溶媒を補充して難燃剤を製造するステップと、
   印刷機によって前記難燃剤を一次印刷、二次色刷り、又は三次色刷りによって巻きタバコ紙原紙の表面及び／または裏面に印刷し、難燃帯を形成するステップと、を含み、
   前記難燃剤は、重量が１０〜３０％である成膜材料、重量が１０〜３０％である充填材料、重量が４０〜８０％である溶媒、及び成膜材料と充填材料と溶媒との総重量の５〜１５％を占める助剤をさらに含み、
   前記助剤は、粘度降下剤、消泡剤、分散剤、柔軟剤、またはそれらのうちの２種以上の混合物から選択されたものであり、
   前記溶媒は、水、エタノール、酢酸エチル、アンモニア水、またはそれらのうちの２種以上の混合物を含むことを特徴とする難燃帯付き巻きタバコ紙の製造方法。

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