JP5813921B2 - 化学機械研磨用水系分散体および化学機械研磨方法 - Google Patents

化学機械研磨用水系分散体および化学機械研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、化学機械研磨用水系分散体および化学機械研磨方法に関する。
近年、半導体装置の高精細化に伴い、半導体装置内に形成される配線の微細化が進んでいる。これに伴い、配線層を化学機械研磨(以下、「CMP」ともいう。)により平坦化する手法が用いられている。例えば、半導体基板上の酸化シリコン等の絶縁膜に設けられた微細な溝や孔に、アルミニウム、銅、タングステン等の導電体金属をスパッタリング、メッキ等の方法により堆積させた後、余剰に積層された金属膜をCMPにより除去し、微細な溝や孔の部分にのみ金属を残すダマシンプロセスが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
特に、配線間を上下縦方向に電気的に接合するヴィアホールには、埋め込み性に優れたタングステンが使用される。タングステン膜を研磨するために使用される化学機械研磨用水系分散体として、過酸化水素等の酸化剤、硝酸鉄等の鉄触媒、およびシリカ等の砥粒を含有する研磨用組成物に関する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このようなタングステン膜を研磨するために使用される化学機械研磨用水系分散体には、より大きな研磨速度を有し、かつ、被研磨面の高度な平坦性を実現できる特性が要求されており、これらの特性をバランス良く達成するために、研磨用組成物に水溶性重合体を添加する技術が検討されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。しかしながら、依然としてこれらの特性をバランス良く両立させることができるタングステン膜研磨用水分散体は得られていない。
特表2002−518845号公報 特表2005−518091号公報 特開2007−19093号公報 特表2008−503875号公報
本発明の目的は、タングステンを含む半導体ウエハを高速かつ平坦に研磨するための化学機械研磨用水系分散体および化学機械研磨方法を提供することにある。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、タングステンを含む配線層が設けられた被処理体を研磨するための化学機械研磨用水系分散体であって、
(A)カチオン性水溶性重合体と、
(B)鉄(III)化合物と、
(C)コロイダルシリカと、
を含有し、
前記(A)成分の含有量(M)[質量%]および前記(C)成分の含有量(M)[質量%]は、M/M=0.0001〜0.003の関係を有し、
pHの値は、1以上3以下である。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(A)カチオン性水溶性重合体は、ポリエチレンイミンであることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(A)カチオン性水溶性重合体の含有量(M)[質量%]は、0.0005質量%以上0.02質量%以下であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(A)カチオン性水溶性重合体の数平均分子量は、200以上1,000,000以下であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(B)鉄(III)化合物は、硝酸第二鉄であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(B)鉄(III)化合物の含有量(M)[質量%]は、0.01質量%以上40質量%以下であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(C)コロイダルシリカの含有量(M)[質量%]は、1質量%以上40質量%以下であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記被処理体は、ヴィアホールを有する絶縁膜と、前記絶縁膜上にバリアメタル膜を介して設けられたタングステン膜と、を含むことができる。
本発明に係る化学機械研磨方法は、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステンを含む配線層が設けられた被処理体を研磨するというものである。
上記化学機械研磨用水系分散体によれば、タングステン膜を高速かつ平坦に研磨できるだけでなく、タングステン膜と絶縁膜とが共存する被研磨面に対してもエロージョン等を抑制しながら高速かつ平坦に研磨することができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨方法を模式的に示す断面図である。 本実施の形態に係る化学機械研磨方法を模式的に示す断面図である。 本実施の形態に係る化学機械研磨方法を模式的に示す断面図である。 化学機械研磨装置を模式的に示した斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
1.化学機械研磨用水系分散体
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、タングステンを含む配線層が設けられた被処理体を研磨するための化学機械研磨用水系分散体であって、(A)カチオン性水溶性重合体と、(B)鉄(III)化合物と、(C)コロイダルシリカと、を含有し、前記(A)成分の含有量(M)[質量%]および前記(C)成分の含有量(M)[質量%]は、M/M=0.0001〜0.003の関係を有し、pHの値は、1以上3以下である。
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体の研磨対象は、タングステンを含む配線層が設けられた半導体ウエハ等の被処理体である。具体的には、ヴィアホールを有する酸化シリコン膜と、前記酸化シリコン膜上にバリアメタル膜を介して設けられたタングステン膜と、を含む被処理体が挙げられる。本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体を用いることによって、タングステン膜を高速かつ平坦に研磨できるだけでなく、タングステン膜と酸化シリコン膜等の絶縁膜とが共存する被研磨面に対してもエロージョンを抑制しながら高速かつ平坦に研磨することができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体を構成する各成分について以下に説明する。
1.1.(A)カチオン性水溶性重合体
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、カチオン性水溶性重合体を含有する。カチオン性水溶性重合体は、タングステン表面に容易に吸着して保護膜を形成すると考えられている。その結果、タングステンが酸化されて脆弱化することを阻害できるため、タングステンの研磨速度を抑制するものと考えられる。
カチオン性水溶性重合体としては、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリアリルアミン、ポリビニルピペラジン、ポリリジン等が挙げられるが、好ましくはポリアルキレンイミンであり、より好ましくはポリエチレンイミンである。本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上記のカチオン性水溶性重合体を1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
カチオン性水溶性重合体の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、好ましくは0.0005質量%以上0.02質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以上0.01質量%以下である。カチオン性水溶性重合体の含有量が前記範囲であると、タングステンの表面に保護膜を効果的に形成することでタングステンの研磨速度を好適に抑制することができ、タングステン部分が過度に研磨されてディッシングやエロージョンが発生することを抑制できると考えられる。さらに、カチオン性水溶性重合体の含有量が前記範囲であると、タングステンの研磨速度を好適に維持することができ、適度な研磨時間で化学機械研磨を完了することができる。その結果、プロセスコストを抑えることができるため、より実用的であると考えられる。
カチオン性水溶性重合体の数平均分子量は、好ましくは200以上1,000,000以下であり、より好ましくは10,000以上100,000以下である。カチオン性水溶性重合体の数平均分子量が前記範囲であると、タングステンに対する研磨速度を好適に抑制することができる。さらに、カチオン性水溶性重合体の数平均分子量が前記範囲であると、本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体の安定性がより向上する。
上記数平均分子量は、プルラン換算の値であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム型番「Shodex Asahipak GF−710HQ+GF−510HQ+GF−310HQ」昭和電工社製、溶離液「0.2Mモノエタノールアミン水溶液」)にて測定することができる。
1.2.(B)鉄(III)化合物
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、鉄(III)化合物を含有する。鉄(III)化合物は、タングステンの表面を酸化し脆弱な改質層をタングステンの表面に作り出し、タングステンの研磨を促進する。
鉄(III)化合物は、上述した効果を有するものであれば、有機酸鉄塩または無機酸鉄塩のいずれであってもよい。鉄(III)化合物として、例えば、硝酸鉄(III)(以下、「硝酸第二鉄」ともいう。)、硫酸アンモニウム鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸アンモニウム鉄(III)、およびシュウ酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。これらの鉄(III)化合物のうち、硝酸第二鉄であることが特に好ましい。硝酸第二鉄を使用することで、タングステン表面に酸化物を形成させ、後述するコロイダルシリカで該酸化物を削り取ることが容易となり、残渣、ディッシングおよびコロージョンを抑制しつつ、研磨速度を良好に保ちながら平坦性を有する被研磨面を得ることができる。本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上記の鉄(III)化合物を1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
鉄(III)化合物の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上20質量%以下である。鉄(III)化合物の含有量が前記範囲であると、タングステンの表面を効果的に酸化させることができるので、タングステンの研磨速度をより増大させると共に、ディッシングやエロージョンを効果的に抑制できると考えられる。
1.3.(C)コロイダルシリカ
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、コロイダルシリカを含有する。コロイダルシリカは、タングステン膜および酸化シリコン膜を機械的に研磨する効果を有する。コロイダルシリカは、例えば特開2003−109921号公報等に記載されているような公知の方法で製造されたものを使用することができる。
コロイダルシリカの平均粒径は、好ましくは10nm以上70nm以下であり、より好ましくは10nm以上50nm以下である。コロイダルシリカの平均粒径が前記範囲にあると、エロージョンを抑制し、パターンウエハを高速で研磨することができる。
なお、上記コロイダルシリカは、平均粒径の異なる2種類以上のコロイダルシリカを任意の割合で混合して用いてもよい。2種類以上のコロイダルシリカを併用することで、より幅広い粒子径分布を有するコロイダルシリカとなる。このような幅広い粒子径分布を有するコロイダルシリカでは、相対的に小さな粒径を有するコロイダルシリカが、相対的に大きな粒径を有するコロイダルシリカに対してコロのような働きをすることで、化学機械研磨用水系分散体の流動性を向上させることができる。その結果、研磨パッドと被研磨物との間に効率的に化学機械研磨用水系分散体を供給することができ、研磨速度を向上させることができると考えられる。
上記コロイダルシリカの平均粒径は、BET法を用いて測定した比表面積から算出した値である。比表面積の測定には、例えば流動式比表面積自動測定装置「micrometrics FlowSorb II 2300(島津製作所社製)」等を用いることができる。以下に、コロイダルシリカの比表面積から平均粒径を算出する方法について説明する。
コロイダルシリカの形状を真球状粒子であると仮定し、粒子の直径をd(nm)、比重をρ(g/cm)とする。粒子n個の表面積Aは、A=nπdとなる。粒子n個の質量Nは、N=ρnπd/6となる。比表面積S(m/g)は、粉体の単位質量当たりの全構成粒子の表面積で表される。そうすると、粒子n個の比表面積Sは、S=A/N=6/ρdとなる。この式に、コロイダルシリカの比重ρ=2.2を代入し、単位を換算すると、下記式(1)を導き出すことができる。
平均粒径(nm)=2727/S …(1)
コロイダルシリカの含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、好ましくは1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上20質量%以下である。コロイダルシリカの含有量が前記範囲であると、タングステン膜および酸化シリコン膜に対する十分な研磨速度が得られると共に、コロイダルシリカの凝集を防ぎ、安定性に優れた化学機械研磨用水系分散体が得られる傾向がある。
1.4.その他の添加剤
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、さらに鉄(III)化合物以外の酸化剤を含有することができる。鉄(III)化合物以外の酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、硝酸二アンモニウムセリウム、オゾンおよび過ヨウ素酸カリウム、過酢酸、次亜塩素酸およびその塩などが挙げられる。これらの酸化剤は1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの酸化剤のうち、酸化力、保護膜との相性、および取り扱いやすさなどを考慮すると、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素が特に好ましい。
酸化剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.08質量%以上3質量%以下である。
1.5.含有比率
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体において、上記(A)カチオン性水溶性重合体の含有量(M)[質量%]および上記(C)コロイダルシリカの含有量(M)[質量%]は、M/M=0.0001〜0.003の関係を有することを特徴とする。M/Mの値は、好ましくは0.0002〜0.0024であり、より好ましくは0.0003〜0.0022である。M/Mの値が前記範囲内にあると、タングステン膜に対する研磨速度と絶縁膜に対する研磨速度との比をほぼ1となるように調整することができるため、タングステン膜と絶縁膜とが共存するような被研磨面を研磨する際にエロージョンの発生を抑制することができる。M/Mの値が前記範囲未満であると、タングステン膜に対する研磨速度が絶縁膜に対する研磨速度よりも大きくなってしまうため、タングステン膜と絶縁膜とが共存するような被研磨面を研磨する際にエロージョンの発生を抑制することができない。一方、M/Mの値が前記範囲を超えると、タングステン膜に対する研磨速度が小さくなり、パターンウエハの処理時間が増大するため好ましくない。
1.6.pH
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHは、1以上3以下の範囲内であり、好ましくは1以上2以下の範囲内である。pHが前記範囲であると、タングステン膜と絶縁膜とが共存するような被研磨面に対して良好な被研磨面を得ることができる。pHが3を超えると、タングステン膜および酸化シリコン膜に対する研磨速度が著しく低下する。また、コロイダルシリカ粒子の沈降・分離を引き起こし、化学機械研磨用水系分散体としての保存安定性が悪化する場合がある。一方、pHが1未満であると、タングステン膜に対する研磨速度が大きくなるため、エロージョンの発生を抑制できない場合がある。
上述したpHは、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;マレイン酸、マロン酸、酒石酸、シュウ酸等の有機酸;水酸化カリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の強アルカリ等を用いて上記の範囲内に調整することができる。
また、上述したpHは、硝酸鉄等の触媒によって、推奨するpHの範囲内で強酸性を帯びた化学機械研磨用水系分散体となるように適宜調整することが可能である。そして、研磨対象物に応じて添加剤の添加量を調整することで、より平坦性の高い研磨面を得ることができる。
2.化学機械研磨方法
本実施の形態に係る化学機械研磨方法は、ヴィアホールを有する絶縁膜と、前記絶縁膜上にバリアメタル膜を介して設けられたタングステン膜と、を含む被処理体を化学機械研磨する方法であって、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いて、前記タングステン膜のみを研磨する第1研磨処理工程と、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いて、前記タングステン膜、前記バリアメタル膜および前記絶縁膜を同時に研磨する第2研磨処理工程と、を含む。
以下、本実施の形態に係る化学機械研磨方法について、図面を用いて詳細に説明する。
2.1.被処理体
図1に、本実施の形態に係る化学機械研磨方法に適用される被処理体100の一例を示す。
(1)まず、図1に示すように、基体10を用意する。基体10は、例えば、シリコン基板とその上に形成された酸化シリコン膜から構成されていてもよい。さらに、基体10には、トランジスタ等の機能デバイスが形成されていてもよい。次に、基体10の上に、CVD法または熱酸化法を用いて絶縁膜である酸化シリコン膜12を形成させる。
(2)次に、酸化シリコン膜12をパターニングする。それをマスクとして、酸化シリコン膜12にフォトリソグラフィー法を適用してヴィアホール14を形成させる。
(3)次に、スパッタを適用して酸化シリコン膜12の表面およびヴィアホール14の内壁面にバリアメタル膜16を形成させる。タングステンとシリコンとの電気的接触があまり良好でないため、バリアメタル膜を介在させることで良好な電気的接触を実現している。バリアメタル膜16としては、チタンおよび/または窒化チタンが挙げられる。
(4)次に、CVD法を適用してタングステン膜18を形成させる。
以上の工程により、被処理体100が形成される。
2.2.化学機械研磨方法
2.2.1.第1研磨処理工程
第1研磨処理工程は、図2に示すように、上述した化学機械研磨用水系分散体を用いてバリアメタル膜16およびタングステン膜18を酸化シリコン膜12が露出するまで研磨する工程である。上述した化学機械研磨用水系分散体は、タングステン膜だけでなくバリアメタル膜に対しても優れた研磨作用を有するため、バリアメタル膜16およびタングステン膜18を同一処理工程で研磨・除去することができる。
2.2.2.第2研磨処理工程
第2研磨処理工程は、図3に示すように、上述した化学機械研磨用水系分散体を用いてさらにバリアメタル膜16、タングステン膜18および酸化シリコン膜12を同時に研磨する工程である。上述した化学機械研磨用水系分散体は、タングステン膜および酸化シリコン膜に対する非選択的研磨性を有するため、第2研磨処理工程によって極めて平坦性に優れた仕上げ面を得ることができる。
ここで、第2研磨処理工程に使用する化学機械研磨用水系分散体は、第1研磨処理工程に使用する化学機械研磨用水系分散体に含まれる(B)鉄(III)化合物の濃度を上述した組成範囲内で適宜変更して用いてもよい。タングステン膜に対する研磨速度と酸化シリコン膜に対する研磨速度との比が、ほぼ1となるように(B)鉄(III)化合物の濃度を調整することで、より平坦性に優れた仕上げ面を得ることができる。
2.2.3.化学機械研磨装置
第1研磨処理工程および第2研磨処理工程では、例えば、図4に示すような化学機械研磨装置200を用いることができる。図4は、化学機械研磨装置200を模式的に示した斜視図である。スラリー供給ノズル42からスラリー44を供給し、かつ研磨布46が貼付されたターンテーブル48を回転させながら、半導体基板50を保持したキャリアーヘッド52を当接させることにより行う。なお、図4には、水供給ノズル54およびドレッサー56も併せて示してある。
キャリアーヘッド52の研磨荷重は、10〜980hPaの範囲内で選択することができ、好ましくは30〜490hPaである。また、ターンテーブル48およびキャリアーヘッド52の回転数は10〜400rpmの範囲内で適宜選択することができ、好ましくは30〜150rpmである。スラリー供給ノズル42から供給されるスラリー44の流量は、10〜1,000mL/分の範囲内で選択することができ、好ましくは50〜400mL/分である。
市販の化学機械研磨装置として、例えば、荏原製作所社製、形式「EPO−112」、「EPO−222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」、「LGP−552」;アプライドマテリアル社製、型式「Mirra」、「Reflexion」等が挙げられる。
3.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1.化学機械研磨用水系分散体の調製
3.1.1.コロイダルシリカ水分散体の調製
3号水硝子(シリカ濃度24質量%)を水で希釈し、シリカ濃度3.0質量%の希釈ケイ酸ナトリウム水溶液とした。この希釈ケイ酸ナトリウム水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂層を通過させ、ナトリウムイオンの大部分を除去したpH3.1の活性ケイ酸水溶液とした。その後、すぐに撹拌下10質量%水酸化カリウム水溶液を加えてpHを7.2に調整し、さらに続けて加熱し沸騰させて3時間熱熟成した。得られた水溶液に、先にpHを7.2に調整した活性ケイ酸水溶液の10倍量を少量ずつ添加し、コロイダルシリカを成長させた。
次に、前記コロイダルシリカを含有する分散体水溶液を減圧濃縮し、シリカ濃度:32.0質量%、pH:9.8であるコロイダルシリカ水分散体を得た。このコロイダルシリカ水分散体を、再度水素型陽イオン交換樹脂層を通過させ、ナトリウムの大部分を除去した後、10質量%の水酸化カリウム水溶液を加え、シリカ粒子濃度:28.0質量%、pH:10.0であるコロイダルシリカ水分散体を得た。
BET法を用いて測定した比表面積から算出した平均粒径は、18nmであった。なお、BET法によるコロイダルシリカ粒子の表面積測定では、シリカ粒子分散体を濃縮・乾固して回収されたコロイダルシリカを測定した値を用いた。
さらに、熱熟成の時間、塩基性化合物の種類および添加量などをコントロールしながら上記と同様の方法により、BET法を用いて測定した比表面積から算出した平均粒径がそれぞれ15nm、25nm、45nm、60nmのコロイダルシリカ水分散体を得た。
3.1.2.化学機械研磨用水系分散体の調製
イオン交換水を50質量部、シリカに換算して4.5質量部を含有する平均粒径が18nmのコロイダルシリカ水分散体をポリエチレン製の瓶に入れ、これにポリエチレンイミン(数平均分子量:16,000)水溶液をポリマー量に換算して0.0005質量部に相当する量添加した。次いで硝酸第二鉄4質量部を添加し、15分間攪拌した。最後に、全成分の合計量が100質量部、所定のpHとなるように硝酸およびイオン交換水を加えた後、孔径5μmのフィルターで濾過することにより、化学機械研磨用水系分散体Aを得た。
(A)カチオン性水溶性重合体、(B)鉄(III)化合物、(C)コロイダルシリカを表1〜表3に示す成分・含有量に変更したこと以外は、上記の化学機械研磨用水系分散体Aの調製方法と同様にして化学機械研磨用水系分散体B〜Uを製造した。なお、化学機械研磨用水系分散体Iに使用したポリアリルアミンの数平均分子量は、60,000であった。なお、化学機械研磨用水系分散体Gには、平均粒径の異なる2種類のコロイダルシリカを併用しているが、混合後のBET法を用いて測定した比表面積から算出した平均粒径は22.5nmであった。
3.2.評価方法
パターニングされていないブランケットウエハに成膜された膜を研磨して測定されるタングステン膜の研磨速度とPETEOS膜の研磨速度との比率を算出することにより、化学機械研磨用水系分散体の基本的研磨特性を確認することができる。
しかしながら、配線パターンとなる溝が形成された絶縁膜上に金属膜が堆積されたパターンウエハのCMPでは、局所的に過剰に研磨される箇所が発生することが知られている。これは、CMP前のパターンウエハ表面には配線パターンとなる溝を反映した凹凸が金属膜の表面に生じており、CMPを行う場合にパターン密度に応じて局所的に高い圧力がかかり、その部分の研磨速度が速くなるためである。
したがって、実際のCMP工程での研磨特性を確認するためには、半導体基板を模したパターンウエハを研磨して、その研磨速度やエロージョンを評価する必要がある。このため、下記のパターンウエハを用いて評価を行った。
化学機械研磨装置(荏原製作所社製、型式「EPO112」)に多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース社製、品番「IC1000」)を装着し、化学機械研磨用水系分散体A〜Uのいずれかを供給しながら、下記の研磨速度測定用基板につき、下記研磨条件にて化学機械研磨処理を行い、下記の手法によって研磨速度および選択比を評価した。その結果を表1〜表3に示す。
(1)研磨速度測定用基板
パターン付き基板(SEMATECH INTERNATIONAL製、400nmのPETEOS膜が成膜された8inchウエハを、深さ400nmの「SEMATECH
854」パターンに加工し、25nmのTi/TiN膜を積層した後、さらに600nmのタングステン膜を積層したテスト用基板)を用いた。なお、当該パターン付き基板の断面図を模式的に示すと図1のようになる。
(2)研磨条件
・キャリアーヘッド回転数:80rpm
・キャリアーヘッド荷重:250hPa
・ターンテーブル回転数:85rpm
・化学機械研磨用水系分散体の供給速度:120mL/分
(3)エロージョン量と研磨時間の評価方法
上記パターン付き基板をPETEOS膜が露出し、さらにPETEOS膜の除去量が50nmになるまで前記条件で研磨を行うまでに必要な時間を研磨時間とした。また、研磨処理後のパターン付き基板の被研磨面を高解像度プロファイラー(KLAテンコール社製、形式「HRP240ETCH」)を用いて、タングステン配線幅(ライン、L)/タングステン配線間隔(スペース、S)がそれぞれ1.5μm/0.5μmのパターン部分におけるエロージョン量(nm)を測定した。その結果を表1〜表3に示した。なお、エロージョン量は、基準面(絶縁膜上面)よりも上に凸である場合はマイナスで表示した。エロージョン量は、−5〜30nmであることが好ましく、−2〜20nmであることがより好ましいと判断できる。
また、パターンウエハの研磨時間は、200秒以下であることが好ましく、150秒以下であることがより好ましいと判断できる。
(4)研磨速度の評価方法
上記評価を行ったパターン付き基板に対し、さらに30秒間研磨を行い、タングステン膜の研磨速度とPETEOS膜の研磨速度を下記の方法にて算出し、その研磨速度の比率を算出した。
PETEOS膜の研磨速度については、光干渉式膜厚測定器(ナノメトリクス・ジャパン社製、型式「Nano Spec 6100」)を用いて、タングステン配線幅(ライン、L)/絶縁層幅(スペース、S)がそれぞれ100μm/100μmのパターン部分における研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から研磨速度を算出した。
タングステン研磨速度については、上記PETEOS膜の膜厚から、高解像度プロファイラー(KLAテンコール社)製、型式「HRP240ETCH」)を用いて測定したタングステン配線幅(ライン、L)/絶縁層幅(スペース、S)がそれぞれ100μm/100μmのパターン部分におけるディッシング量(オングストローム)を差し引き、算出されるタングステン配線の膜厚について、化学機械研磨処理前後の膜厚と研磨時間から研磨速度を算出した。
なお、選択比(タングステン膜の研磨速度/酸化シリコン膜の研磨速度)は、0.7〜1.3である場合には良好と判断することができる。一方、0.7未満または1.3よりも大きい場合には、選択比のバランスが損なわれており不良と判断することができる。
Figure 0005813921
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3.3.評価結果
実施例1〜13の化学機械研磨用水系分散体を用いた場合には、いずれもパターン付き研磨基板において、タングステン膜とPETEOS膜とが共存する被研磨面に対してもエロージョンの発生を抑制しながら高速かつ平滑に研磨することができた。
比較例1の化学機械研磨用水系分散体は、ポリエチレンイミンの含有量が実施例1と同様の0.0005質量%であるが、含有比率(M/M)の値が0.0001未満となっている。そのため、タングステン膜の研磨速度とPETEOS膜の研磨速度との比率が3.04となり、エロージョンが明らかに悪化した。
比較例2の化学機械研磨用水系分散体は、含有比率(M/M)の値が0.003を超えている。そのため、タングステン膜の研磨速度とPETEOS膜との研磨速度の比率が0.83となるものの、パターンウエハ研磨時間の増大を抑制することができなかった。
比較例3の化学機械研磨用水系分散体は、(A)カチオン性水溶性重合体を含有していない。そのため、タングステン膜の研磨速度を抑制することができず、タングステン膜の研磨速度とPETEOS膜の研磨速度の比率が4.92と大きくなった。また、エロージョンの悪化が認められた。
比較例4の化学機械研磨用水系分散体は、含有比率(M/M)の値が0.0001未満であり、かつpHが1未満である。そのため、タングステン膜の研磨速度を抑制することができず、タングステン膜の研磨速度とPETEOS膜の研磨速度の比率が2.05と大きくなった。また、エロージョンの悪化が認められた。
比較例5の化学機械研磨用水系分散体は、pHが3を超えている。そのため、タングステン膜およびPETEOS膜に対する研磨速度が著しく小さくなり良好な被研磨面を得ることができず、評価することができなかった。
比較例6の化学機械研磨用水系分散体は、鉄(III)化合物を含んでいない。そのため、タングステン膜に対する研磨速度が著しく小さくなり、実質的に研磨不能であるため、評価することができなかった。
比較例7の化学機械研磨用水系分散体は、鉄(III)化合物の代わりに酸化作用を示す過酸化水素を使用している。そのため、タングステン膜に対する研磨速度が著しく小さくなり、実質的に研磨不能であるため、評価することができなかった。
比較例8の化学機械研磨用水系分散体は、鉄(III)化合物の代わりに鉄(II)化合物である硝酸第一鉄を使用している。そのため、タングステン膜に対する研磨速度が著しく小さくなり、実質的に研磨不能であるため、評価することができなかった。
以上のように、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)カチオン性水溶性重合体と、(B)鉄(III)化合物と、(C)コロイダルシリカを含有し、(A)成分の含有量Mと(C)成分の含有量Mとの比(M/M)を0.0001〜0.003の範囲に規定し、さらにpHを1〜3に規定することにより、タングステン膜を高速かつ平坦に研磨できるだけでなく、タングステン膜と絶縁膜とが共存する被研磨面に対してもエロージョン等を抑制しながら高速かつ平坦に研磨することができることが示された。
なお、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、Cu、Al、W、Ti、TiN、Ta、TaN、V、Mo、Ru、Zr、Mn、Ni、Fe、Ag、Mg、Mn、Si、これらの元素を含む積層構造、あるいは実質的にバリアメタルが存在しないような構造に対しても有効であると期待される。
10…基体、12…酸化シリコン膜、14…ヴィアホール、16…バリアメタル膜、18…タングステン膜、42…スラリー供給ノズル、44…スラリー、46…研磨布、48…ターンテーブル、50…半導体基板、52…キャリアーヘッド、54…水供給ノズル、56…ドレッサー、100…被処理体、200…化学機械研磨装置

Claims (5)

  1. タングステンを含む配線層が設けられた被処理体を研磨するための化学機械研磨用水系分散体であって、
    (A)ポリエチレンイミンおよびポリアリルアミンよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオン性水溶性重合体と、
    (B)鉄(III)化合物と、
    (C)コロイダルシリカと、
    を含有し、
    前記(A)成分の含有量(M)[質量%]は、0.0005質量%以上0.02質量%以下であり、
    前記(B)成分の含有量(M)[質量%]は、質量%以上40質量%以下であり、
    前記(C)成分の含有量(M)[質量%]は、1質量%以上40質量%以下であり、
    前記(A)成分の含有量(M)[質量%]および前記(C)成分の含有量(M)[質量%]は、M/M=0.0001〜0.003の関係を有し、
    pHの値は、1以上3以下である、化学機械研磨用水系分散体。
  2. 請求項1において、
    前記(A)カチオン性水溶性重合体の数平均分子量は、200以上1,000,000以下である、化学機械研磨用水系分散体。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記(B)鉄(III)化合物は、硝酸第二鉄である、化学機械研磨用水系分散体。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記被処理体は、ヴィアホールを有する絶縁膜と、前記絶縁膜上にバリアメタル膜を介して設けられたタングステン膜と、を含む、化学機械研磨用水系分散体。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、タングステンを含む配線層が設けられた被処理体を研磨する、化学機械研磨方法。
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