JP5813271B1 - 中通し浮き - Google Patents

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Abstract

【課題】軽い仕掛けであっても釣糸がスムーズに水中へ沈降し、仕掛けが流れる方向に斜め化した状態を実現することが可能であり、魚信を最も鋭敏且つ明確に捕えることのできる中通し浮きを提供する。【解決手段】中通し浮き本体11には、釣糸20に取付けられた浮き止め22を係止する係止部16が設けられており、係止部16が設けられた領域は、中通し浮き本体11の重心位置となっている。中通し浮き本体11の糸通し孔12に沿って軸芯方向に、中通し浮き本体11を形成する物質よりも比重の大きい物質によって形成された被覆層17が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、浮き本体を縦方向に貫通する糸通し孔を有する中通し浮きに関し、特に、魚が釣られまいとする進化した行動習性に対応した中通し浮きに関する。
釣竿の長さよりもはるかに深い水深にいる魚を釣る場合には一般に、釣糸に完全には固定されない中通し浮きを使って、予定していた水深に釣針を位置決めする。図6から図8に、従来使用されている中通し浮きの構造を示す。
図6に示す中通し浮きは、釣糸10の所定の位置に浮き止め9を装着し、糸通し孔2aよりも径の大きいシモリ玉1と、中通し浮き本体2に釣糸10を順次挿通し、釣糸の先端部に錘や釣針を取り付けるものである。
また、図7に示す中通し浮きは、糸通し孔2aの内部で、釣糸10に装着された浮き止め9をシモリ玉1に係止させるものであり、図8に示すものは、シモリ玉1を使用せずに、糸通し孔2aの入口部3で釣糸10に結わえつけられた浮き止め9を係止させるものである。
図6に示す中通し浮きを用いて仕掛けをポイントヘ投入すると、中通し浮きはその浮力によって水面に留まるが、釣針はその重みで水中へ沈降する。これにより、釣糸10が水中へ引き込まれ、予定していた水深で釣糸10の所定の位置に装着されている浮き止め9がシモリ玉1に係止され、更に、シモリ玉1が糸通し孔2aの上端に係止される。
また、図7に示すものでは、シモリ玉1が糸通し孔2a内部へ収納された後に、浮き止め9がシモリ玉1の上端に係止され、図8に示すものでは、糸通し孔2aの入口部3に浮き止め9のV宇型のヒゲで係止されることによって、釣糸10のそれ以上の引き込みが阻止されて、錘や釣針が所定の水深に位置決めされる。
上述した従来の技術では、波や風、潮の流れの影響により、仕掛けをある一定の水深に留めようとしても、中通し浮き本体2と浮き止め9とが離れてしまう現象(以下、「糸フケ」という)か生じてしまい、所定の水深を確保できない(以下、「棚ボケ」という)状況を引き起こし、魚が釣れない、あるいは、たまたま魚が釣針にかかっても、「糸フケ」の影響で魚信が中通し浮き本体2に伝わらないという事態を招く。また、魚信が伝わっても、「糸フケ」により、釣針を針掛かりさせる釣竿操作(以下、「合わせ」という)ができず、釣針が魚の口にしっかり刺さらないなどの弊害があった。
これらの問題点を解決するためになされた技術の一例が、特許文献1、特許文献2に記載されている。
実用新案登録第3117538号公報 特開2003−164243号公報
特許文献1に記載された中通し浮きの構造を図9に示す。この中通し浮きは、シモリ玉を必要とせず、釣糸10の所定の位置に装着された浮き止め9を、糸通し孔2a内のかえし部4と、浮き止め係止部5とで係止するものである。
特許文献2に記載された中通し浮きの構造を図10に示す。図10(a)は、この中通し浮きの全体構造を示し、図10(b)は、中通し浮きの入口部分の詳細図である。この中通し浮きは、シモリ玉を必要とせず、糸通し孔2aの入口部6に、弾性を持つスリット構造の円盤状部品によるかえし部4bが設けられている。糸通し孔2aの浮き止め係止部5bに係止した浮き止め9を、このかえし部4bに係止させることによって、浮き止め9の逆通を防止している。
いずれも場合も、釣りの間、浮き止め9を糸通し孔2a内に位置決めすることができるため、中通し浮き本体2と浮き止め9との間の「糸フケ」が生じないように工夫されている。
しかし、これらの改良された技術によっても、水中での仕掛けの理想型である、仕掛け投入後所定の水深に仕掛けが達したら、仕掛けが流れる方向に、中通し浮きから釣針が斜め化した状態を実現することはできず、仕掛けの屈折や湾曲が引き起こす、変化する抵抗が発生する。
図11に、従来の中通し浮き8が水中に引き込まれるときの姿勢変化を示す。中通し浮き8の重心がその最下点にあると、魚信をとらえて中通し浮き8が矢印で示す方向に水中に引き込まれるときに、おきあがりこぼしのように起き上がって直立しようとする力がはたらき、この力が、中通し浮き8の姿勢変化による抵抗となって生じる違和感を魚に与えて、魚が釣針に付いたエサを離すことがしばしば起こる。
図12に、従来の中通し浮き8を用いたときに、仕掛けの屈折や弛みが与える、変化する抵抗の様子を示す。釣糸10に錘7のような余分な装着物を装着すると、釣糸10に屈折や湾曲が発生し、これにより変化する抵抗が発生する。このような変化する抵抗が発生すると、魚が警戒する要因となる。
さらに、中通し浮き本体2を貫通する糸通し孔2aを釣糸10が通過するとき、釣糸10と糸通し孔2a内面との通過面が多くなるため、摩擦抵抗が増加する。そのため、錘7を使わない軽量仕掛けでは、釣針が所定の水深まで届かず、所定の水深に仕掛けを到達させるために、図12に示すように、余分な錘7を使って仕掛けを重くすることになり、それによって生じる仕掛けの重さによる抵抗が発生する。従って、軽い仕掛けであっても釣糸がスムーズに水中へ沈降することを実現できない。
また、浮き止め9がかえし部4、4bと浮き止め係止部5、5bとの間に位置していたとしても、これの主たる目的は「糸フケ」の防止のためであり、魚信を最も鋭敏且つ明確に捕えることのできる浮き止めの固定化は実現できない。
さらに、特許文献1に記載されたものでは、図9に示すように、浮き止め係止部5にて浮き止め9を係止させ、かえし部4で浮き止め9の逆方向への通過を防ぐこととしているが、糸通し孔2aの入口部6からかえし部4までの径が細いために、浮き止め9のヒゲ部分が糸通し孔2aの入口部6に引っかかり、釣糸10のスムーズな順方向への挿通の妨げとなる。また、強く釣糸10を引っ張ることによって係止状態を解除するとしているが、浮き止め9を釣糸10に結わえる際の結合の大きさが小さいと、かえし部4に係止できなかったり、浮き止め9の材質によってはかえし部4に引っかかって、係止状態がなかなか解除できなかったりするなどの不具合が発生する。
また、特許文献2に記載されたものでは、かえし部4bは、1枚の円盤状の弾性材料で形成されており、弾性に乏しい場合はスリットを形成して弾性を付与することで、浮き止め9を係止させることとしているが、使用していくうちに太陽光や塩分等により硬化してしまうと、スリットが形成されていても、浮き止め9が糸通し孔2a内に挿通しにくくなったり、スリット部分の1枚が欠落してしまうと、浮き止め9をかえし部4bで係止できなかったりする危険性がある。
魚は釣られまいとする進化した行動習性を持っており、具体的には、仕掛けの重さを嫌がる、仕掛けの屈折や湾曲が与える抵抗を嫌がる、中通し浮きが水中に引き込まれる際の姿勢変化が与える抵抗を嫌がる等の習性を持っている。従って、これらの進化した行動習性を持つ魚を釣るためには、進化した行動習性に対応できる中通し浮きが求められている。
魚の進化した行動習性に対応するためには、仕掛け投入後所定の水深に仕掛けが達したら、仕掛けが流れる方向に、中通し浮きから釣針が斜め化した状態を実現すること、魚信を最も鋭敏且つ明確に捕えることのできる浮き止めの固定化を実現すること、軽い仕掛けであっても釣糸がスムーズに水中へ沈降することが必要である。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、余分な錘などを装着しない軽い仕掛けでも容易に所定の水深まで沈降して、釣針から中通し浮きまでが斜め化する仕掛けの理想型を実現させるとともに、鋭敏で明確な魚信を捕え、魚が中通し浮きごと水中に引き込んでいく際に与える中通し浮きの姿勢変化による、変化する抵抗を与えない魚の進化に対応した中通し浮きを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の中通し浮きは、釣糸が挿通される糸通し孔が軸芯を貫通する中通し浮き本体を備え、中通し浮き本体には、釣糸に取付けられた浮き止めを係止する係止部が設けられており、前記係止部が設けられた領域が前記中通し浮き本体の重心位置となっていることを特徴とする。
中通し浮きの重心がその最下点にあると、魚信をとらえて中通し浮きが水中に引き込まれるときに、おきあがりこぼしのように起き上がって直立しようとする力がはたらき、この力が、中通し浮きの姿勢変化による抵抗となって生じる違和感を魚に与えて、釣針に付いたエサを離すことがしばしば起こる。
しかし、本発明の中通し浮きは、浮き止めを係止する係止部が設けられた領域が中通し浮き本体の重心位置となっているため、重心位置である係止部領域が回転中心となり、シーソーの原理が作用して、仕掛けが沈降し流れていく方向に斜め化し、魚が水中に引き込む方向へ斜め化したまま引き込まれて、中通し浮きの斜め化が実現する。そのため、中通し浮きが直立しようとするときに生じる抵抗が発生せず、魚に違和感を与えることがない。また、仕掛けが中通し浮きを引っ張りながら流れていくため、仕掛けに張りができ、針掛かりした魚が反転するときの仕掛けの屈折や湾曲が与える、変化する抵抗を軽減できる。
浮き止めを係止する係止部が設けられた領域を、中通し浮き本体の重心位置とすることは、一例として、中通し浮き本体を形成する物質よりも比重の大きい物質を、浮き止めの係止部位置に埋め込むことによって実現できる。
また、中通し浮き本体の制作上、中通し浮き本体の重心位置と浮き止めの係止部の位置に多少のずれが生じていたとしても、上記のシーソーの原理が作用し、中通し浮き本体が仕掛けの流れていく方向に斜め化すれば本発明による効果は得られる。重心位置は厳密には点であるのに対して、係止部が設けられた領域は空間的な広がりを持つものであり、係止部が設けられた領域のどこかに中通し浮き本体の重心位置が存在すればよい。そのため、係止部が設けられた領域が中通し浮き本体の重心位置となっているとは、係止部が回転中心となってシーソーの原理が作用し、斜め化が実現する限りにおいて、このような重心位置の多少のずれは許容することを意味する。
本発明の中通し浮きにおいては、前記中通し浮き本体の糸通し孔に沿って軸芯方向に、前記中通し浮き本体を形成する物質よりも比重の大きい物質によって形成された被覆層が設けられている構造とすることが好ましい。
中通し浮き本体の糸通し孔に沿って軸芯方向に、中通し浮き本体を形成する物質よりも比重の大きい物質によって形成された被覆層が設けられているため、中通し浮きの斜め化の線に対する、中通し浮きのふらつきを抑制することができ、中通し浮きの斜め化を安定的に維持することができる。そのため、釣針に装着したエサが不自然な動きをせず、魚に違和感や警戒心を与えにくい。
本発明の中通し浮きにおいては、前記糸通し孔は、途中に狭窄部を有する砂時計型孔を有し、前記狭窄部の面に浮き止めの先端部が当接して係止部が形成されるとともに、砂時計型孔の入口部端面に浮き止めの末端面が当接して半係止部が形成され、浮き止めは前記係止部と前記半係止部との間で固定される構造とすることが好ましい。
浮き止めは釣りの間、砂時計型孔の狭窄部で形成される係止部と、砂時計型孔の入口部端面で形成される半係止部のごく僅かな間に位置決めされて固定化されているため、中通し浮き本体と浮き止めとが離れてしまう、いわゆる「糸フケ」や「アソビ」という現象が生じない。そのため、所定の水深を保持することができる。
また、浮き止めが釣りの間固定化されるため、魚信があった場合には浮き止めが直ちに係止部に係合して中通し浮きを海中に引き込み、魚信を鋭敏かつ明確に伝えることが可能となる。
本発明の中通し浮きにおいては、前記糸通し孔の入口部から前記砂時計型孔の入口部端面に至る区間の前記糸通し孔は、前記糸通し孔の入口部側の大径部と、大径部の出口から前記砂時計型孔の入口部端面に向かって径が小さくなるように絞り込まれた絞り孔とからなり、絞り孔の最下部に位置する最小径部の径は、砂時計型孔の入口部端面の径よりも小さくなっている構造とすることが好ましい。
固定化された浮き止めの前後の釣糸は、絞り孔の狭窄孔端部と砂時計型糸通し孔の狭窄部端部の二点で支持される構造となるため、水中の仕掛けを安定させることができる。そのため、エサを装着した釣針が安定し、魚に違和感を与えないという効果をもたらす。
糸通し孔は、絞り孔の狭窄孔と砂時計型孔の狭窄部を有し、糸通し孔の他の部分がこれよりも広がった形状となっているため、糸通し孔を形成する面に釣糸が接する面積は、この形状を有しない糸通し孔を持つ中通し浮きと比較した場合に小さくなるため、釣糸の沈降の妨げとなる糸通し孔の面と釣糸との摩擦抵抗が軽減される。
また、糸通し孔の入口部側が太径部であるため、仕掛けを構成する際に釣糸を挿通しやすく、仕掛けをポイントヘ投入した後に、軽い仕掛けであっても中通し浮き本体へ容易に引き込まれる。軽い仕掛けとは、仕掛けの沈降を促すために、錘のような余計な装着を付けない仕掛けであり、仕掛けの重さを嫌がるという、魚の進化した行動習性に対応するものである。
また、仕掛けに余計な装着物を付ける必要がないため、装着物を付けた部分で仕掛けが屈折したり湾曲したりせず、魚が針掛かりして反転する時に発生する仕掛けの状態が変化する抵抗を軽減することができる。
本発明によると、軽い仕掛けであっても釣糸がスムーズに水中へ沈降し、仕掛けが流れる方向に斜め化した状態を実現することが可能であり、魚信を最も鋭敏且つ明確に捕えることのできる中通し浮きを実現することができる。
本発明の実施形態に係る中通し浮きの断面図を示す図である。 中通し浮き本体に設けられた糸通し孔の径の詳細を示す図である。 仕掛けをポイントに投入したときに、斜め化した状態の中通し浮きを示す図である。 中通し浮きの斜め化の状況を示す図である。 浮き止めを釣糸に装着させる方法を示す図である。 従来使用されている中通し浮きの構造を示す図である。 従来使用されている中通し浮きの構造を示す図である。 従来使用されている中通し浮きの構造を示す図である。 特許文献1に記載された中通し浮きの構造を示す図である。 特許文献2に記載された中通し浮きの構造を示す図である。 従来の中通し浮きが水中に引き込まれるときの姿勢変化を示す図である。 従来の中通し浮きを用いたときに、仕掛けの屈折や弛みが与える、変化する抵抗の様子を示す図である。
以下に、本発明の中通し浮きを、その実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る中通し浮きの断面図を示す。
図1において、中通し浮き本体11には、その軸芯を貫通するように、釣糸20が挿通される糸通し孔12が設けられており、釣糸20の先端部分は糸通し孔12の入口部13から挿通され、出口部14から抜け出る。釣糸20の所定の位置には、釣針23を所定の水深に位置決めするための浮き止め22が装着されている。中通し浮き本体11は、回転楕円体、卵形、球形等の形状を有し、軽くて均等な物質、例えば樹脂等によって形成されている。浮き止め22は、先端部22aと末端面22bとを有する円錐形状であり、ゴム材料によって形成されている。
中通し浮き本体11には、釣糸20に取付けられた浮き止め22を係止する係止部16が設けられている。係止部16が設けられた領域は、中通し浮き本体11の重心位置となっている。浮き止め22を係止する係止部16が設けられた領域を、中通し浮き本体11の重心位置とすることは、中通し浮き本体11を形成する物質よりも比重の大きい物質を重心形成材18として、浮き止めの係止部16の位置周辺に埋め込むことによって実現できる。
浮き止め22を係止する係止部16が設けられた領域が中通し浮き本体11の重心位置となっているため、重心位置である係止部16の領域が回転中心となり、シーソーの原理が作用して、仕掛けが沈降し流れていく方向に斜め化し、魚が水中に引き込む方向へ斜め化したまま引き込まれて、中通し浮きの斜め化が実現する。そのため、中通し浮きが直立しようとするときに生じる抵抗が発生せず、魚に違和感を与えることがない。また、仕掛けが中通し浮きを引っ張りながら流れていくため、仕掛けに張りができ、針掛かりした魚が反転するときの仕掛けの屈折や湾曲が与える、変化する抵抗を軽減できる。
中通し浮き本体11の制作上、中通し浮き本体11の重心位置と浮き止め22の係止部16の位置に多少のずれが生じていたとしても、シーソーの原理が作用して、中通し浮き本体11が仕掛けの流れていく方向に斜め化すれば本発明による効果は得られることから、係止部16が設けられた領域が中通し浮き本体11の重心位置となっているとは、係止部16が回転中心となってシーソーの原理が作用し、斜め化が実現する限りにおいて、このような重心位置の多少のずれは許容することを意味する。
中通し浮き本体11の糸通し孔12に沿って軸芯方向に、中通し浮き本体11を形成する物質よりも比重の大きい物質によって形成された被覆層17が設けられている。
被覆層17が設けられているため、中通し浮きの斜め化の線に対する、中通し浮きのふらつきを抑制することができ、中通し浮きの斜め化を安定的に維持することができる。そのため、釣針23に装着したエサが不自然な動きをせず、魚に違和感や警戒心を与えにくい。
図2に、中通し浮き本体に設けられた糸通し孔の径の詳細を示す。
糸通し孔12は、途中に狭窄部19aを有する砂時計型孔19を有している。狭窄部19aの径は、釣糸20の径より大きく、浮き止め22の最大径、すなわち末端面22bの径より小さく設定されているため、浮き止め22の先端部22aは、狭窄部19aの面に当接して係止部16が形成される。また、砂時計型孔19の入口部端面19bに、浮き止めの末端面22bが当接して半係止部15が形成され、浮き止め22は係止部16と半係止部15との間で固定される構造となっている。
糸通し孔12の入口部13から砂時計型孔19の入口部端面19bに至る区間の糸通し孔12は、糸通し孔12の入口部13側の大径部12aと、大径部12aの出口から砂時計型孔19の入口部端面19bに向かって径が小さくなるように絞り込まれた絞り孔12bとからなり、絞り孔12bの最下部に位置する最小径部の径は、砂時計型孔19の入口部端面19bの径よりも小さくなっている。
このように、糸通し孔12は、絞り孔12bの狭窄孔と砂時計型孔19の狭窄部19aを有し、糸通し孔12の他の部分がこれよりも広がった形状となっているため、釣糸20はスポット状に狭まった位置で糸通し孔12を形成する面と接触することになる。そのため、糸通し孔12を形成する面に釣糸20が接する面積は、この形状を有しない糸通し孔を持つ中通し浮きと比較した場合に小さくなるため、釣糸20の沈降の妨げとなる、糸通し孔12の面と釣糸20との摩擦抵抗が軽減される。
図3に、仕掛けをポイントに投入したときに、斜め化した中通し浮きの状態を示す。図3(a)はその全体図であり、図3(b)は、浮き止めが固定されている領域の部分拡大図である。
釣糸20は釣竿に取り付けられたリールから繰り出され、この釣糸20へ浮き止め22を装着し、釣糸20の先端部を中通し浮き本体11の軸芯を貫通する糸通し孔12の入口部13から出口部14へ挿通させる。その後、釣糸20の先端部分に、釣り条件に応じた釣針23を取り付け、必要ならば流れの強弱に適応した錘を1個ないし複数個、釣糸20に装着する。潮流の強弱でどうしても錘を装着しなければならない場合もあるが、可能な限り、錘を付けない軽い仕掛けで釣ることが好ましく、本発明の中通し浮きは、軽い仕掛けでの釣りを可能とするものである。
仕掛けを構成した後、仕掛けをポイントヘ投入すると、中通し浮きはその浮力によって水面に留まり、仕掛けが所定の水深に位置決めされる迄の間、仕掛けは沈降していくが、糸通し孔12の入口部13側が太径部12aであるため、釣糸20が中通し浮き本体11の糸通し孔12内部へ引き込まれやすく、余分な錘や装着物を装着しない軽い仕掛けであっても、所定の水深まで容易に沈降していく。
仕掛けが所定の水深に達すると、浮き止め22は係止部16と半係止部15とのごく僅かな間に位置決めされ固定化される。このとき、仕掛けが糸通し孔12内部の係止部16で、中通し浮き本体11を引っ張ると、係止部16が設けられた領域が中通し浮き本体11の重心位置となっていることにより、中通し浮きは、仕掛けが流れていく方向と同角度に斜め化する。浮き止め22は係止部16と半係止部15との間に固定化されていることから、中通し浮き本体11の重心位置は、中通し浮き本体11の軸芯に沿って、係止部16と半係止部15との間に存在すれば、中通し浮き本体11の斜め化は実現する。このプロセスにおける中通し浮き21の斜め化の状況を図4に示す。
釣りの最中に風の影響を受ける場合、特に仕掛けが流れていく方向と同じ方向に強い風が吹くと、海面上では吹送流という風による速い流れが発生して、仕掛けの中で最も体積の大きい中通し浮きは、吹送流によって圧力を強く受け、釣針23よりも先行して流れてしまうことがある。この状態になると、海面上で自立直立したままの従来の中通し浮きでは、魚信があっても中通し浮きは反応しなくなるが、本発明の中通し浮きは、斜め化を実現することができるため、この吹送流の圧力を軽減させる効果を有する。
仕掛けを流していく時、えさを中通し浮きの周囲に柄杓等を用いて撒く作業を行う。これを撒き餌といい、本命魚とえさとり用の他魚のポイントを見定め、本命魚にはさしえさをより効果的に喰わせるための撒き餌、すなわち魚を集める寄せエサを、本命魚のポイントに撒くとともに、他魚を本命魚ポイントヘ行かせないための撒き餌を他魚ポイントに撒く。これを本命魚と他魚の分離という。
撒かれた撒き餌は、流れと共に流れの潮下へ向かいながら沈降していくが、この時、釣針に装着したエサを撒き餌の中に存在させることで、魚の摂餌行動を盛んにさせる。これを撒き餌とさしえさの同調という。また、釣針に装着したエサが撒き餌と同調しながら、撒き餌と同じような動き(同化という)をさせることが、多くの魚信を得るために必要である。この撒き餌とさしえさの同調同化のために、釣針から中通し浮きを斜め化させることにより、撒き餌とさしえさが同調する時間が長くなるようにしている。
浮き止め22は釣りの間、砂時計型孔19の狭窄部19aで形成される係止部16と、砂時計型孔19の入口部端面19bで形成される半係止部15のごく僅かな間に位置決めされて固定化されている。狭窄部19aと入口部端面19bとの間隔は、浮き止め22の長さと同等かわずかに大きい程度であり、中通し浮き本体11と浮き止め22が離れてしまう、いわゆる「糸フケ」や「アソビ」という現象が生じない。そのため、所定の水深を保持することができる。
また、釣りの最中に風波の影響により中通し浮き本体11より竿側に出ている釣糸20が、浮き止め22を引き戻そうとする力が働いたとしても、浮き止め22は、係止部16と半係止部15とのごく僅かな間で固定化されているので、浮き止め22が糸通し孔12から抜け出ることはなく、所定の水深を保持できる。
固定化された浮き止め22の前後の釣糸20は、絞り孔12bの狭窄孔端部24と、砂時計型孔19の狭窄部端部25の二点で支持される構造となる。この二点支持構造により、釣りの間釣糸20を安定させることができ、釣針23に装着したエサの不自然な動きを抑えることができる。そのため、上述した同化させる効果をより発揮することができ、魚にとって違和感のない動きになり、魚信を捕える機会が増える。
魚信があると、中通し浮きは釣糸20と共に水中へ引き込まれ、魚信のあったことを知らせる。この時、浮き止め22は、係止部16と半係止部15との間に固定化されており、仕掛けは斜め化して、釣糸20には余分な錘等による屈折や湾曲がないため、魚信を鋭敏に伝えることができる。従って、図11に示す従来の中通し浮きのように、中通し浮きが水中に引き込まれる際に発生する、中通し浮きの姿勢変化によって生じる、変化する抵抗が生じない。
さらに、仕掛けに余計な装着物を付ける必要がないため、装着物を付けた部分で仕掛けが屈折したり湾曲したりせず、魚が針掛かりして反転する時に発生する仕掛けの状態が変化する抵抗を軽減することができる。従って、図12に示す、従来の中通し浮きに見られるように、余分な錘7や道具を装着して位置決めされた仕掛けに生じる、仕掛けの重さによる重量抵抗、仕掛けの屈折や湾曲が伸びきるときの変化する抵抗が軽減される。
仕掛けを回収する時は、釣糸20をリールで巻き取って回収するが、中通し浮きが海面から引き上げられ、中通し浮き本体11が直立状態になった時や、強い力で引っ張られた時、中通し浮き内部の砂時計型孔19の半係止部15によって固定されていた浮き止め22の係止状態が解除され、浮き止め22は、糸通し孔12を通り、糸通し孔12の入口部13から抜け出る。
図5に、浮き止めを釣糸に装着させる方法を示す。
浮き止め22は浮き止めゴムとも呼ばれ、釣糸20を輪30に通し、図中の矢印方向へ浮き止め22を引き抜くことによって、釣糸20にゴムの伸縮性で固定され、中通し浮きから受ける力によって移動しない程度以上の抵抗をもって移動できるものである。その他、浮き止め22としては、釣糸20の所定の位置に、他の釣糸や市販の専用糸を結びつけて糸コブを作ることで代用することもできる。
上述したように、本発明の中通し浮きは、浮き止めを係止する係止部が設けられた領域が中通し浮き本体の重心位置となるようにし、中通し浮き本体の糸通し孔に沿って軸芯方向に、中通し浮き本体を形成する物質よりも比重の大きい物質によって形成された被覆層を設けることにより、釣針から中通し浮きまでの斜め化を安定的に維持することを可能とした、仕掛けの理想型を実現している点に大きな特徴がある。さらに、浮き止めが係止部と半係止部との間で固定される構造となっているため、魚信を鋭敏かつ明確に伝えることができる点においても、大きな優位性を持っており、魚の進化した行動習性に対応するものとして大きな意義を有する。
本発明は、軽い仕掛けであっても釣糸がスムーズに水中へ沈降し、仕掛けが流れる方向に斜め化した状態を実現することが可能であり、魚信を最も鋭敏且つ明確に捕えることのできる中通し浮きとして広く利用することができる。
1 シモリ玉
2 中通し浮き本体
2a 糸通し孔
3 入口部
4 かえし部
4b かえし部
5 浮き止め係止部
5b 浮き止め係止部
6 入口部
7 錘
8 中通し浮き
9 浮き止め
10 釣糸
11 中通し浮き本体
12 糸通し孔
12a 大径部
12b 絞り孔
13 入口部
14 出口部
15 半係止部
16 係止部
17 被覆層
18 重心形成材
19 砂時計型孔
19a 狭窄部
19b 入口部端面
20 釣糸
21 中通し浮き
22 浮き止め
22a 先端部
22b 末端面
23 釣針
24 狭窄孔端部
25 狭窄部端部
30 輪

Claims (3)

  1. 釣糸が挿通される糸通し孔が軸芯を貫通する中通し浮き本体を備え、前記糸通し孔は、途中に狭窄部を有する砂時計型孔を有し、前記狭窄部の面に浮き止めの先端部が当接して係止部が形成されるとともに、砂時計型孔の入口部端面に浮き止めの末端面が当接して半係止部が形成され、浮き止めは前記係止部と前記半係止部との間で固定され、中通し浮き本体の重心位置は、中通し浮き本体の軸芯に沿って、前記係止部と前記半係止部との間に存在することを特徴とする中通し浮き。
  2. 前記中通し浮き本体の糸通し孔に沿って軸芯方向に、前記中通し浮き本体を形成する物質よりも比重の大きい物質によって形成された被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の中通し浮き。
  3. 前記糸通し孔の入口部から前記砂時計型孔の入口部端面に至る区間の前記糸通し孔は、前記糸通し孔の入口部側の大径部と、大径部の出口から前記砂時計型孔の入口部端面に向かって径が小さくなるように絞り込まれた絞り孔とからなり、絞り孔の最下部に位置する最小径部の径は、砂時計型孔の入口部端面の径よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1または2記載の中通し浮き。
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