JP5813064B2 - 静止誘導器 - Google Patents
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Description
昨今の電動自動車を取り巻く環境においては、そのコンポーネントの小型、低コスト化の要求が非常に強く、電動車両に搭載される各種電力変換機器も例外ではない。
ところが、これらの機器に搭載されるトランスやリアクトルにおいては、その小型化を実現しようとすると必然的に発熱密度が増大するため、各構成部品を保障温度以下にさせることが困難となる。
従って、電気的な特性だけで小型化を進めることが困難で、トランスやリアクトルの更なる放熱性能の向上が必要不可欠といった課題がある。
トランスやリアクトルの発熱要素は、主に巻線の銅損による発熱と、コア内部の鉄損による発熱に大別されるが、一般的な基本構造としては、銅線が巻回されたボビンをコアの脚部に挿入する構造であるため、巻線の放熱経路は、巻線最外周面への伝熱、あるいはコアを経由した放熱経路が主となる。
ただし、コア自身も鉄損により発熱するため、コア経由の放熱が有効にはなり難く、逆にコア自身の更なる温度上昇を招く。
また、巻数が増加する場合は、巻線自身の放熱面積が外周に限られていることから内部に熱がこもりやすい。
即ち、ケース壁面から放熱面までの充填材厚みが変動することから、充填材による熱抵抗が変動するといった課題がある。
一般的にコアや巻線高さのバラツキ寸法は、樹脂成形部品や金属加工部品に比べ一桁程度大きく、特に巻線高さは、その巻数に応じてバラツキ寸法も大きくなるため、数mm程度のバラツキが必要になる場合が多い。
上記特許文献1のものおいては、充填材の厚みを2mmとする例が記載されているが、この条件で仮にコアの外形バラツキ寸法が±1mm生じたとすると、最小1mm、最大3mmの厚み変動が発生することになる。熱抵抗は放熱経路の長さ、すなわち充填材厚みに比例することから、上記例では、実に3倍の熱抵抗差が生じる。
ここでのΔTは、少なくとも放熱先のベース温度と部品の定格温度の差以内に抑える必要があるが、静止誘導器の内部熱抵抗や、放熱先までの構造部品による熱抵抗等、充填材以外の熱抵抗が存在しているため、充填材部のΔTで数倍の変動が生じると、トータルの熱設計に大きな影響を及ぼす。
もちろん、外形バラツキ寸法がさらに大きくなる場合は、ΔTの変動はさらに増大することとなり、各構成部品を保障温度以下に抑えるという熱成立性がさらに困難となる。
加えて、トランスやリアクトルの小型化により、その発熱密度が増加する背景もある。
従って、静止誘導器の外形バラツキ寸法は、熱成立設計に甚大な影響を及ぼし、場合によっては熱成立性の観点で静止誘導器の小型化が不可能になるといった課題も発生する。
前記コイル体の内側寸法は、前記脚部の径方向の寸法に、少なくとも隣接した脚部間のバラツキ寸法、を加えた値以上であり、
前記コイル体の内側寸法は、さらに、前記コイル体の径方向の導体巻回高さのバラツキ寸法を加えた値である。
従って、この相対位置を変えることで、コイル体と、誘導器本体が搭載される構造物の壁面との間の距離のバラツキが吸収されて一定値が確保されるので、コイル体と構造物との間の熱抵抗も一定化することが可能となる。
因って、放熱性能バラツキが抑制されるとともに、小型化にも耐えうる静止誘導器を得ることができる。
図1(a)は、第1の従来例の静止誘導器であるトランスのトランス本体を示す斜視図、図1(b)は、図1(a)のトランス本体を示す分解斜視図である。
このトランス本体は、閉磁路を形成するEコア11と、このEコア11の中央脚部に導体が巻回されて構成されたコイル体14と、を備えている。
Eコア11は、Eコア上部11aとコア下部11bとから構成されている。
図1(b)において、符号12は、Eコア11の外脚部の中心線とEコア11の中央脚部の中心線との間の脚部間寸法を示し、符号13は、Eコア11の中央脚部において両外脚部に対向した両側面間の脚部幅寸法、符号15は、環状のコイル体14のコイル体内側寸法を示している。
脚部間寸法12はA±a[mm]、中央脚部幅寸法13はB±b[mm]、コイル体内側寸法15はC[mm]とする。±a[mm]、±b[mm]はバラツキ寸法を示す。
図2(a)は、脚部間寸法12が最大値(A+a)[mm]の状態を示す図である。
図2(b)は、脚部間寸法12が中央値A[mm]の状態を示す図である。
図2(c)は、脚部間寸法12が最小値(A−a)[mm]の状態を示す。
21は、トランス本体が搭載される構造物であるケースの壁面に相当する基準面である。
また、図2(c)に示すとおり、脚部間寸法12が最小値(A−a)[mm]となった場合、基準面21からのコイル体14の位置がEコア中脚部の位置に応じた位置となるため、基準面21からコイル体14の外周面までの寸法は最小寸法22bとなる。
従って、基準面21に対するコイル体14の位置は、Eコア11の脚部間寸法12のバラツキによって、基準面21からコイル体14の外周面までの寸法は、最大寸法22aと最小寸法22bとの間を変動する。
この場合、基準面21からのコイル体14の外周面までの寸法の変動は、結果的にトランス本体が搭載される構造物であるケースの壁面とトランス本体との距離が変動することと同義である。
即ち、トランス本体が搭載されたケース内に充填材を充填した場合、ケースの壁面とコイル体14の外周面との間の部位での距離が変動することとなり、その部位での充填材における熱抵抗が変動し、各構成部品を保障温度以下に設計するのが困難となる結果を招く。
この実施の形態では、コイル体内側寸法15は、従来のコイル体内側寸法C[mm]に、脚部間寸法12の±a[mm]のバラツキ幅を加味した(C+2a)[mm]としている。
図3(a)は、脚部間寸法12が、最大値(A+a)[mm]の状態を示す。
図3(b)は、脚部間寸法12が、中央値A[mm]の状態を示す。
図3(c)は、脚部間寸法12が、最小値(A-a)[mm]の状態を示す。
32は、基準面21からコイル体14の外周面までの寸法を示す。
また、図3(c)に示すとおり、コイル体14の位置は、脚部間寸法12が、最小値(A-a)[mm]となったときには、コイル体内側寸法15は、脚部間寸法12のバラツキ+a[mm]を加味した寸法以上の(C+2a)[mm]としているため、基準面21からコイル体14の外周面までの寸法も、図3(a)のものと同様に32とすることができる。
因って、脚部間寸法12のバラツキをコイル体14のコイル体内側寸法15を増大させることで吸収することができ、トランス本体が搭載される構造物であるケースの壁面とコイル体14の外周面との距離、即ち充填材厚みを一定にできるトランスを得ることができる。
また、脚部間寸法12のバラツキがコイル体14のコイル体内側寸法15で吸収されるため、トランス本体をケースに組み込む際の設計自由度が向上する。
さらに、この実施の形態のトランスは、Eコア11の元来のバラツキ最大時の外形を超えることはなく、従来のものと同様の大きさで済み、わざわざ大型化することもない。
図4(a)は第2の従来例の静止誘導器であるトランスのトランス本体を示す斜視図、図4(b)は図4(a)のトランス本体を示す分解斜視図である。
このトランス本体は、閉磁路を形成するUコア41と、このUコア41の両脚部に導体が巻回されて構成された二つのコイル体44a,44bと、を備えている。
Uコア41は、Uコア上部41aとUコア下部41bとから構成されている。
脚部間寸法42は(A±a)[mm]、脚部幅寸法43は(B±b)[mm]、コイル体内側寸法45a,45bはC[mm]とする。±a[mm]、±b[mm]はバラツキ寸法を示す。
図4(a)は、脚部間寸法42が最大値(A+a)[mm]の状態を示す図である。
図4(b)は、脚部間寸法42が中央値A[mm]の状態を示す図である。
図4(c)は、脚部間寸法42が最小値(A−a)[mm]の状態を示す。
51は、トランス本体が搭載される構造物であるケースの壁面に相当する基準面である。
また、図5(c)に示すとおり、脚部間寸法42が最小値(A−a)[mm]となった場合、基準面51からのコイル体44a,44bの位置がUコア脚部の位置に応じた位置となるため、基準面51からコイル体44a,44bの外周面までの寸法は最大寸法52bとなる。
従って、基準面51に対するコイル体44a、44bの位置は、Uコア41の脚部間寸法42のバラツキによって、基準面51からコイル体14の外周面までの寸法は、最小寸法52aと最大寸法52bとの間を変動する。
この場合、基準面51からのコイル体44a、44bの外周面までの寸法の変動は、結果的にトランス本体が搭載される構造物であるケースの壁面とトランス本体との距離が変動することと同義である。
即ち、トランス本体が搭載されたケース内に充填材を充填した場合、ケースの壁面とコイル体44a、44bの外周面との間の部位での距離が変動することとなり、その部位での充填材における熱抵抗が変動し、各構成部品を保障温度以下に設計するのが困難となる結果を招く。
この実施の形態では、コイル体内側寸法45a、45bは、従来のコイル体内側寸法C[mm]に、脚部間寸法42の±a[mm]のバラツキ幅を加味した(C+a)[mm]としている。
図6(a)は、脚部間寸法42が、最大値(A+a)[mm]の状態を示す。
図6(b)は、脚部間寸法42が、中央値A[mm]の状態を示す。
図6(c)は、脚部間寸法42が、最小値(A-a)[mm]の状態を示す。
62は、基準面51からコイル体44a、44bの外周面までの寸法を示す。
また、図6(c)に示すとおり、脚部間寸法42が、最小値(A−a)[mm]となったとき、コイル体内側寸法45a、45bは、脚部間寸法42のバラツキ+a[mm]を加味した寸法(C+a)[mm]としているため、コイル体44a、44bは、基準面51からコイル体44a、44bの外周面までの寸法が図6(a)のものと同様に62となる位置にある。
因って、2個以上のコイル体であっても、脚部間寸法42のバラツキをコイル体44a,44bのコイル体内側寸法45a、45bを増大させることで吸収することができ、トランス本体が搭載される構造物であるケースの壁面とコイル体44a,44bの外周面との距離、即ち充填材厚みを一定にできるトランスを得ることができる。
また、脚部間寸法42のバラツキがコイル体44a,44bのコイル体内側寸法45a、45bで吸収されるため、トランス本体をケースに組み込む際の設計自由度が向上する。
さらに、この実施の形態のトランスは、Uコア41の元来のバラツキ最大時の外形を超えることはなく、従来のものと同様の大きさで済み、わざわざ大型化することもない。
実施の形態1、実施の形態2では、コア11,41のバラツキ寸法をトランスの外形を拡大させること無く吸収し、任意の基準面21,51からトランス本体、特にコイル体14,44a、44bまでの距離バラツキを吸収して距離を一定にする例を示したが、この距離バラツキを発生させる原因として、コイル体14,44a、44bの導体巻回高さのバラツキもある。
この実施の形態では、この導体巻回高さのバラツキをも吸収し、任意の基準面からの距離バラツキをも吸収して距離を一定にする構成例について述べる。
この実施の形態では、トランス本体は、閉磁路を形成するUコアと、このUコアの両脚部に導体が巻回されて構成された二つのコイル体74a,74bと、を備えている。
Uコア脚部間寸法72を(A±a)[mm]、Uコア脚部幅寸法73を(B±b)[mm]、導体巻回高さ76を(D±d)[mm]とする。
±a[mm]、±b[mm]、±d[mm]はバラツキ寸法である。
75a,75bは、コイル体74a,74bのコイル体内側寸法で、このコイル体内側寸法75a,75bは、Uコア脚部間寸法72のバラツキaと、導体巻回高さ76のバラツキdとを加えた、(C+a+d)[mm]としている。
図7(b)は、Uコア脚部間寸法72が中央値A[mm]の状態を示す。
図7(c)は、Uコア脚部間寸法72が最小値(A−a)[mm]の状態を示す。
81は、トランス本体が搭載される構造物であるケースの壁面に相当する基準面である。
82は、基準面81からコイル体74a、74bの外周面までの寸法を示す。
また、図7(c)に示すとおり、コイル体74a,74bは、Uコア脚部間寸法72が、最小値(A−a)[mm]となったとき、コイル体74a,74bのコイル体内側寸法75a、75bは、Uコア脚部間寸法72のバラツキaと導体巻回高さ76のバラツキdとを加味した、(C+a+d)[mm]となっているため、任意の基準面81からコイル体74a,74bの外周面までの寸法は、図7(a)のものと同様の寸法82である。
従って、この実施の形態のトランスにおいても、実施の形態1,2のトランスと同様の効果を得ることができる。
実施の形態3では、Uコア脚部間寸法72のバラツキ、および導体巻回高さ76のバラツキをトランスの外形を拡大させること無く吸収し、任意の基準面81からトランス、特にコイル体74a,74bまでの距離バラツキを吸収し、距離を一定にする例を示したが、この距離バラツキを発生させる原因として、トランス本体を搭載する構造物であるケースの壁面に相当する基準面自身のバラツキもある。
この実施の形態では、トランス本体が搭載されるケースの壁面とトランス本体との間のバラツキ寸法をも吸収し、その距離を一定にする構成例について述べる。
この実施の形態では、トランス本体は、閉磁路を形成するUコアと、このUコアの両脚部に導体が巻回されて構成された二つのコイル体94a,94bと、を備えている。
Uコア脚部間寸法92を(A±a)[mm]、Uコア脚部幅寸法93を(B±b)[mm]、導体巻回高さ96を(D±d)[mm]とする。
±a[mm]、±b[mm]、±d[mm]はバラツキ寸法である。
101は、トランス本体が搭載される構造物(ケース)の壁面で、Eは、壁面101からコイル体94a,94bの外周面までの壁面・トランス本体間距離で、壁面・トランス本体間距離Eは、壁面101の位置バラツキによってe[mm]のバラツキがあるとする。
図8(b)は、Uコア脚部間寸法92が最大値(A+a)[mm]の場合であって、バラツキ寸法102が最小値の状態を示す。
図8(c)は、Uコア脚部間寸法92が中央値A[mm]の場合であって、バラツキ寸法102が最大値の状態を示す。
図8(d)は、Uコア脚部間寸法92が中央値A[mm]の場合であって、バラツキ寸法102が最小値の状態を示す。
図8(e)は、Uコア脚部間寸法92が最小値(A−a)[mm]の場合であって、バラツキ寸法102が最大値の状態を示す。
図8(f)は、Uコア脚部間寸法92が最小値(A−a)[mm]の場合であって、バラツキ寸法102が最小値の状態を示す。
また、図8(b)のときには、バラツキ寸法102の最小値と等しくなる。
図8(a)と同様に、図8(c)、図8(e)のときは、バラツキ寸法102の最大値と等しくなる。
図8(b)と同様に、図8(d)、図8(f)のときは、バラツキ寸法102の最小値と等しくなる。
この構成により、壁面・トランス本体間距離Eのバラツキeもコイル体94a、94bで吸収することができるため、実施の形態1のトランスと同様の効果を得ることができる。
実施の形態4までは、基準面21,51,81あるいは壁面101までの距離バラツキを吸収することができるトランスについて説明したが、バラツキを吸収する分、Uコアに対してコイル体94a,94bが遊動してしまう課題があった。
この実施の形態では、コイル体のバラツキを吸収できる状態でUコアに対してコイル体94a,94bを固定する構成例について述べる。
この実施の形態では、Uコア脚部間寸法112を(A±a)[mm]、Uコア脚部幅寸法113を(B±b)[mm]、導体巻回高さ116を(D±d)[mm]とする。
114a、114bは、それぞれコイル体を示し、117a、117bはUコア脚部の外周を囲ったボビンを示している。
±a[mm]、±b[mm]、±d[mm]はバラツキ寸法である。
コイル体114a、114bは、ボビン117a、117bに導体を巻回して構成されている。
Eは、壁面121とトランス本体までの距離である壁面・トランス本体間距離で、壁面・トランス本体間距離Eは、壁面121の位置バラツキによってe[mm]のバラツキがあるとする。
この実施の形態では、このeのバラツキ寸法122が最大値として、トランス本体を取付ける基準面としている。
115a、115bは、コイル体114a、114bのコイル体内側寸法で、コイル体内側寸法115a,115bは、Uコア脚部間寸法112のバラツキaと、導体巻回高さ116のバラツキdと、壁面・トランス本体間距離Eのバラツキeを加味した(C+a+d+e)[mm]としている。
プレート118a、118bの径方向の幅は、トランス本体を壁面121に取付ける基準面とし、壁面121の幅と等しくしている。
図9(b)は、Uコア脚部間寸法112が中央値A[mm]、バラツキ寸法122が最大値の状態を示す。
図9(c)は、Uコア脚部間寸法112が最小値(A−a)[mm]、バラツキ寸法122が最大値の状態を示す。
図9(b)、(c)も同様にトランス本体をケースに搭載することでコイル体114a、114bの位置の決定と固定をする。
ここで、コアに対してコイル体を位置決め、固定するコイル体位置固定手段は、プレート118a,118bと、ボビン117a,117bで構成されている。
また、この実施の形態では、ボビン117a、117bの突起部Fでプレート118a,118bに固定しているが、導体のみを巻回したコイル体であっても、コイル体に突起物を張り付けでも同様な効果が得られる。
コイル体114a、114bとプレート118a,118bで固定する構成は、この実施の形態ではコイル体114a、114bのボビン117a、117bに突起部Fを設け、プレートに穴としたが、逆の構成でも同様の効果が得られる。
実施の形態5は、バラツキを吸収する分、Uコアに対してコイル体114a,114bが遊動してしまう課題をプレート118a,118bを用いて解消した構成例について述べたが、この実施の形態では、トランスの構成部品以外の手段でコイル体のバラツキを吸収できる構造について述べる。
この実施の形態では、Uコア脚部間寸法132を(A±a)[mm]、Uコア脚部幅寸法133を(B±b)[mm]、コイル体134a,134bの導体巻回高さ136を(D±d)[mm]、トランス本体が搭載される構造物のケースの壁面141とトランス本体との間のバラツキ寸法142をe[mm]とする。±a[mm]、±b[mm]、±d[mm]はバラツキ寸法である。
Eは、壁面141とトランス本体までの距離である壁面・トランス本体間距離で、壁面・トランス本体間距離Eは、壁面141の位置バラツキによってe[mm]のバラツキがあるとする。
この実施の形態では、壁面141のバラツキ寸法142が最大値のときをトランス本体を取付ける基準面としている。
137は、搭載される構造物の壁面141とその搭載位置間のバラツキ寸法142をe[mm]の最大値と等しい幅とした、ホルダとし、138a,138bは接着剤、139はばねを示す。
図10(b)は、Uコア脚部間寸法142が最大値(A+a)[mm]、バラツキ寸法142が最大値の状態を示す。
図10(c)は、Uコア脚部間寸法142が中央値A[mm]、バラツキ寸法142が最大値の状態を示す。
図10(d)は、Uコア脚部間寸法142が最小値(A−a)[mm]、バラツキ寸法142が最大値の状態を示す。
コイル体134a、134bの位置は、コイル体134a、134bの間にばね139を挿入し、コイル体134a、134bの外側側面をホルダ137の幅に合わせる。コイル体134a、134bは、Uコアと接着剤138で固定される。
このため、コイル体134a,134bの位置は、Uコア脚部間寸法132のバラツキ±a[mm]、導体巻回高さ136のバラツキ±d[mm]、バラツキ寸法142のバラツキ、e[mm]があっても、コイル体134a,134b位置の決定と固定を行うことができる。
ここで、壁面141に対してコイル体134a,134bを位置決め、固定するコイル体位置固定手段は、ホルダ137と、ばね139と、接着材138a,138bとから構成されている。
この実施の形態では、トランス本体が搭載される構造物との位置決めを行う位置決め手段が、コイル体に付加されていることでコイル体のバラツキを吸収できる構造例について述べる。
図11は、この発明の実施の形態7のトランス本体の平断面図であり、実施の形態4のトランス本体において、トランス本体が搭載される構造物との位置決めを行う位置決め手段が、コイル体に付加されているものである。
この実施の形態では、Uコア脚部間寸法152を(A±a)[mm]、Uコア脚部の幅寸法153を(B±b)[mm]、154a、154bは、それぞれコイル体を示す。巻線の巻高さ156を(D±d)[mm]、157a、157bはコアの外周を取り巻くボビンを示し、搭載される構造物の壁面161とその搭載位置間のバラツキ寸法162をe[mm]とする。±a[mm]、±b[mm]、±d[mm]はバラツキ寸法である。
コイル体154a、154bはボビン157a、157bに導体を巻回して構成されている。
155a、155bは、コイル体154a、154bのコイル体内側寸法で、コイル体内側寸法155a,155bは、Uコア脚部間寸法152のバラツキaと、導体巻回高さ156のバラツキdと、壁面・トランス本体間距離Eのバラツキeを加味した(C+a+d+e)[mm]としている。
Fはボビン157a、157bに設けてある突起部を示す。
図11(a)は、Uコア脚部間寸法152が最大値(A+a)[mm]、バラツキ寸法162が最大値の状態を示す。
図11(b)は、Uコア脚部間寸法152が中央値A[mm]、バラツキ寸法162が最大値の状態を示す。
図11(c)は、Uコア脚部間寸法152が最小値(A−a)[mm]、バラツキ寸法162が最大値の状態を示す。
図11(b)、(c)も同様に、トランス本体を構造物に搭載することでコイル体154a、154bの位置と固定をする。
このため、コイル体154a、154bの位置は、Uコア脚部間寸法152のバラツキ±a[mm]、導体巻回高さ156のバラツキ±d[mm]、バラツキ寸法162のバラツキ、e[mm]があっても、コイル体154a、154bの位置の決定と固定を行うことができる。
ここで、コイル体位置固定手段は、ボビン157a、157bの突起部Fと、構造物の壁面161に形成された溝とから構成されている。
従って、機器への組付け性がさらに容易となる。
また、コイル体154a、154bの位置の決定を行う構成部品を省くとともに、コイル体154a、154bの位置の固定手段をも省くことができるため、トランス本体自身の組立性が向上し、更なる部品点数削減、コスト削減、重量削減が実現できる。
なお、この実施の形態では、コイル体とトランス本体が搭載される構造物との位置決めする構成は、コイル体のボビンに突起部を設け、トランス本体が搭載される構造物に溝としたが、逆の構成でも同様の効果が得られる。
また、コイル体とトランス本体が搭載される構造物との位置決めする構成の形状は同等の効果が得られれば問わない。
この実施の形態では、トランス本体が搭載される構造物の壁面とコイル体のコイル最外周面との間に、所定の厚みのスペーサを設けたことでコイル体のバラツキを吸収できる構造について述べる。
図12は、この発明の実施の形態8のトランス本体を示す平断面図であり、実施の形態4のトランス本体において、搭載される構造物の壁面とコイル体のコイル最外周面との間に、所定の厚みのスペーサを設けたものである。
この実施の形態では、Uコア脚部間寸法172を(A±a)[mm]、Uコア脚部幅寸法173を(B±b)[mm]、コイル体174a、174b、導体巻回高さ176を(D±d)[mm]、バラツキ寸法182をe[mm]とする。±a[mm]、±b[mm]、±d[mm]はバラツキ寸法である。
181は、トランス本体が搭載される構造物の壁面で、Eは、壁面181とトランス本体までの壁面・トランス本体間距離で、壁面・トランス本体間距離Eは、壁面181の位置バラツキによって±e[mm]のバラツキがあるとする。
175a、175bは、コイル体174a、174bのコイル体内側寸法で、コイル体内側寸法175a,175bは、Uコアの脚部間寸法172のバラツキaと、導体巻回高さ176のバラツキdと、壁面・トランス本体間距離Eのバラツキeを加味した(C+a+d+e)[mm]としている。
図12(a)は、Uコア脚部間寸法172が最大値A+a[mm]、バラツキ寸法182が最大値の状態を示す。
図12(b)は、Uコア脚部間寸法172が最大値A+a[mm]、バラツキ寸法182が最小値の状態を示す。
図12(c)は、Uコア脚部間寸法172が中央値A[mm]、バラツキ寸法182が最大値の状態を示す。
図12(d)は、Uコア脚部間寸法172が中央値A[mm]、バラツキ寸法182が最小値の状態を示す。
図12(e)は、Uコア脚部間寸法172が最小値(A−a)[mm]、バラツキ寸法182が最大値の状態を示す。
図12(f)は、Uコア脚部間寸法172が最小値(A−a)[mm]、バラツキ寸法182が最小値の状態を示す。
図12(b)に示すとおり、コイル体174a、174bの位置は、スペーサ177a、177bが取付けてあるコイル体174a、174bを構造物に搭載し、ばね179によって搭載される構造物の壁面181に押し付けることで壁面・トランス本体間距離Eを保った状態で位置の決定と固定をする。
このため、コイル体174a、174bの位置は、Uコア脚部間寸法172のバラツキ±a[mm]、コイル体巻線の巻高さ176のバラツキ±d[mm]、バラツキ寸法182のバラツキ、e[mm]があっても、コイル体174a、174bの位置の決定と固定を行うことができる。
ここで、コイル体位置固定手段は、スペーサ177a、177bと、ばね179とで構成されている。
この実施の形態では、トランス本体が搭載される構造物との位置決めを行う位置決め手段が、コイル体のコイル最外周面に付加されていることでコイル体のバラツキを吸収できる構造について述べる。
図13はこの発明の実施の形態9におけるトランス本体を示す正断面図であり、実施の形態4のトランス本体において、トランス本体が搭載される構造物との位置決めを行う位置決め手段が、コイル体のコイル最外周面に付加されている図である。
この実施の形態では、Uコア脚部間寸法192を(A±a)[mm]、Uコア脚部幅寸法193を(B±b)[mm]、導体巻回高さ196を(D±d)[mm]とし、194a、194bは、それぞれコイル体を示す。
177a、197bはコアの外周を取り巻くボビンを示し、搭載される構造物の壁面201とその搭載位置間のバラツキ寸法202をe[mm]とする。±a[mm]、±b[mm]、±d[mm]はバラツキ寸法である。
コイル体194a、194bはボビン177a、197bに導体を巻回したコイルで構成している。
198は、コイル体194a、194bのコイル最外周面に取り付いているスペーサを示す。
搭載される構造物の壁面201に溝があり、スペーサ198には、突起部がある。
195a、195bは、コイル体194a、194bのコイル体内側寸法で、コイル体内側寸法195a,195bは、Uコア脚部間寸法192のバラツキaと、導体巻回高さ196のバラツキdと、壁面・トランス本体間距離Eのバラツキeを加味した(C+a+d+e)[mm]としている。
図13(b)は、Uコア脚部間寸法192が中央値A[mm]、バラツキ寸法202が最大値の状態を示す。
図13(c)は、Uコア脚部間寸法192が最小値(A−a)[mm]、バラツキ寸法202が最大値の状態を示す。
図13(b)、(c)も同様に、トランス本体を構造物に搭載することでコイル体194a、194bの位置と固定をする。
このため、コイル体194a、194bの位置は、Uコア脚部間寸法192のバラツキ±a[mm]、コイル体巻線の巻高さ196のバラツキ±d[mm]、バラツキ寸法202のバラツキ、e[mm]があっても、コイル体194a、194b位置の決定と固定を行うことができる。
ここで、コイル体位置固定手段は、突起部を有するスペーサ198と、壁面201に形成された溝とから構成されている。
従って、機器への組付け性は容易になると共に、前記スペーサ部品を省くことができるため、更なる部品点数削減、コスト削減、重量削減が実現できる。
この実施の形態では、コア位置をコイル体に対して所定の位置で固定するコア位置固定手段によって固定されることでコイル体のバラツキを吸収できる構造について述べる。
図14は、この発明の実施の形態10のトランス本体を示す正断面図であり、実施の形態1〜9に記載されたトランス本体において、コア位置をコイル体に対して所定の位置で固定するコア位置固定手段によって固定する図である。
この実施の形態では、214a、214bは、それぞれコイル体を示す。217a、217bはコアの外周を取り巻くボビンを示す。
コイル体214a、214bは、ボビン217a、217bに導体を巻回して構成されている。
218a、218bは、プレートを示し、Fはボビン217a、217bに設けてある突起部を示す。
プレート218a、218bは、コイル体214a、214bの突起部Fにより固定される部材G、Uコア211の周囲にある部材H及びばね部Jで構成している。
220はトランス本体の中央線を示す。
図14の構成では、図14に示すとおり、コイル体214a、214bの位置は、プレート218a、218bに固定され、Uコア211はプレート218a、218bのばね部Jでトランス本体の中央線220の方向に押されることで位置の決定と固定をする。
このため、コイル体214a、214bとUコア211の位置はトランス本体の中央に固定される。
この構成により、コイル体内径幅の範囲内で遊動するコアを所定の位置で固定することができる。
また、ボビンに導体を巻回したコイル体については、導体のみを巻回したコイル体であっても、コイル体の内側寸法が導体の内側寸法となり、同様の効果が得られる。
Claims (9)
- 閉磁路を形成するコアと、コアの脚部に導体が直接、またはボビンを介して巻回されて構成されたコイル体とを有する誘導器本体を備えた静止誘導器であって、
前記コイル体の内側寸法が、前記脚部の径方向の寸法に、少なくとも隣接した脚部間のバラツキ寸法、及び前記コイル体の径方向の導体巻回高さのバラツキ寸法を加えた値以上である静止誘導器。 - 前記コイル体の内側寸法は、さらに、前記誘導器本体と、誘導器本体が搭載される構造物の壁面との間の距離のバラツキ寸法を加えたその搭載位置間のバラツキ寸法を加えた値である請求項1に記載の静止誘導器。
- さらに、前記誘導器本体が搭載される構造物の壁面に対して前記コイル体を位置決め、固定する、コイル体位置固定手段を備えた請求項1または2に記載の静止誘導器。
- 前記コイル体位置固定手段は、前記ボビンと、ボビンの両側に固定され前記壁面間の幅と等しい幅寸法のプレートと、を有している請求項3に記載の静止誘導器。
- 前記コイル体位置固定手段は、前記壁面間の幅と等しい幅寸法であって前記コイル体を収納するホルダと、前記コイル体を前記ホルダの内壁面に付勢するばねと、前記コイル体を前記コアの前記脚部に固定する接着剤と、を有している請求項3に記載の静止誘導器。
- 前記コイル体位置固定手段は、前記ボビン及び前記構造物の一方に形成された溝と、前記ボビン及び前記構造物の他方に形成され前記溝に挿入される突起部と、を有している請求項3に記載の静止誘導器。
- 前記コイル体位置固定手段は、前記壁面と前記コイル体との間に介在するスペーサと、前記コイル体を前記スペーサを介して前記壁面に付勢するばねと、を有している請求項3に記載の静止誘導器。
- 前記コイル体位置固定手段は、前記壁面と前記コイル体との間に介在する突起部を有するスペーサと、前記構造物に形成され前記突起部が挿入される溝と、を有している請求項3に記載の静止誘導器。
- さらに、前記コイル体に対して前記コアを位置決め、固定する、コア位置固定手段を備えた請求項1〜8の何れか1項に記載の静止誘導器。
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