JP5812256B2 - 一本鎖抗体の製造方法 - Google Patents
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<1> 一本鎖抗体(scFV)とフィブロインタンパク質との融合タンパク質を発現させた絹糸を精練せずに溶解する工程と、該工程で得られた前記融合タンパク質の溶解液に再構成処理を施す工程と、を含むことを特徴とする、前記融合タンパク質、内在性の他のフィブロインタンパク質及びセリシンを含む複合体の製造方法。
<2> 分子内又は分子間の水素結合を切断する性質を有する溶液で絹糸を溶解する、<1>に記載の製造方法。
<3> 前記再構成処理を施した融合タンパク質の溶解液を凍結乾燥して粉砕する工程をさらに含むことを特徴とする、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4> 前記フィブロインタンパク質が、フィブロインL鎖及びフィブロインH鎖からなる群から選択される少なくとも一のタンパク質であることを特徴とする、<1>〜<3>のうちのいずれか一に記載の製造方法。
<5> 前記再構成処理が透析処理であることを特徴とする、<1>〜<4>のうちのいずれか一に記載の製造方法。
本発明にかかる「フィブロインH鎖」は、分子量が約35万Daのフィブロインタンパク質であり、典型例として、GenBankアクセッション No.NP_001106733.1で特定されるタンパク質のうちの22〜5263番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(GenBankアクセッション No.NM_001113262.1で特定されるDNAのうちの64〜15789番目の塩基配列からなる遺伝子)が挙げられる。また、このタンパク質は、シグナルペプチド(GenBankアクセッション No.NP_001106733.1で特定されるタンパク質のうちの1〜21番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)が前駆体より切断、除去されることにより得られる成熟型であるから、本発明にかかる「フィブロインL鎖」としては、例えば、GenBankアクセッション No.NP_001106733.1で特定されるタンパク質(GenBankアクセッション No.NM_001113262.1で特定される遺伝子)が挙げられる
本発明にかかる「フィブロインヘキサメリン」は、分子量が約2.5万Daのフィブロインタンパク質であり、「P25」とも称されるフィブロインタンパク質である。その典型例として、GenBankアクセッション No.NP_001139413.1で特定されるタンパク質のうちの17〜220番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(GenBankアクセッション No.NM_001145941.1で特定されるDNAのうちの49〜660番目の塩基配列からなる遺伝子)が挙げられる。また、このタンパク質は、シグナルペプチド(GenBankアクセッション No.NP_001139413.1で特定されるタンパク質のうちの1〜16番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)が前駆体より切断、除去されることにより得られる成熟型であるから、本発明にかかる「フィブロインL鎖」としては、例えば、GenBankアクセッション No.NP_001139413.1で特定されるタンパク質(GenBankアクセッション No.NM_001145941.1で特定される遺伝子)が挙げられる
また、タンパク質のアミノ酸配列は、自然界において(すなわち、非人工的に)変異し得る。従って、本発明にかかる「フィブロインタンパク質」には、このような天然の変異体も含まれる。さらに、本発明にかかる「フィブロインタンパク質」としては、前記天然のフィブロインタンパク質やその天然の変異体の全長のみならず、これらの部分的な断片であってもよい。
また、本発明においては、一度再構成した抗体分子の機能(立体構造)を保持したままパウダー化できるという観点から、前記再構成処理を施した融合タンパク質の溶解液をさらに凍結乾燥して粉砕することが好ましく、また、前記再構成処理を施した融合タンパク質の溶解液をスプレードライしてパウダー化することも好ましい。さらに、前記再構成処理を施した融合タンパク質の溶解液を−20℃に一晩、次いで−80℃に1時間以上おいて凍結させ、さらに凍結乾燥機を用いて48時間凍結乾燥させた後、得られた乾燥シルクをワンダーブレンダーで粉砕し、一辺が1〜40μmのブロック状にパウダー化することがより好ましい。
<フィブロインL鎖−抗WASP−scFv融合タンパク質を発現する遺伝子組換えカイコベクターの構築>
先ず、Sato,M.ら、FEBS J.、2005年、272巻、6131〜6144ページの記載に沿って、マウス ウィスコット−アルドリッチ症候群タンパク質(Wiskott−Aldrich syndrome protein、WASP)のN末端領域のEna/VASP homology 1(EVH1)ドメインに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから抗体遺伝子をクローニングし、H鎖及びL鎖の可変領域(VH、VL)をフレキシブルなリンカー配列(アミノ酸配列:GGGGS×3)でつないだ一本鎖抗体(抗WASP−scFv)を構築した。次いで、得られたscFvのC末側に発現チェック用のMyc−tag(アミノ酸配列:EQKLISEEDL)を付加した。そして、この抗WASP−scFv−Myc融合タンパク質をコードするDNAフラグメントをpLLLベクターのBamHI−HindIIIサイトへ挿入し、フィブロインL鎖と抗WASP−scFv−Mycとの融合タンパク質を発現するDNAコンストラクトを作製した。さらに、この融合タンパク質(以下「フィブロインL鎖−抗WASP−scFv」とも称する)の発現ユニットを遺伝子組換えカイコ用ベクターpBac[3XP3−DsRed2afm]のEcoRI−BglIIサイトに挿入し、目的タンパク質を発現する組換えカイコ用プラスミドベクターpBac[3XP3−DsRed2afm]−LLL−anti−WASP−scFv−Mycを構築した(図1 参照)。なお、pLLLベクターについては非特許文献2の記載を、pBac[3XP3−DsRed2afm]については非特許文献1の記載を参照のこと。また、図1に記載のEcoRIサイトからBglIIサイトまでの塩基配列を配列表の配列番号:1にて示し、また該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号:2にて示す。なお、配列番号:1に記載の塩基配列において、1〜6bpはEcoRIサイトであり、7〜677bpはFib−L Pro(フィブロインL鎖遺伝子のプロモーター配列)であり、678〜1402bpはFib−L ORF(フィブロインL鎖の1位(メチオニン残基)〜242位(アラニン残基)からなるタンパク質をコードする塩基配列)であり、1403〜1772bpはVH(抗WASP−scFvのVHをコードする塩基配列)であり、1773〜1817bpはlinker(「フレキシブルなリンカー配列(アミノ酸配列:GGGGS×3)」をコードする塩基配列)であり、1818〜2165bpはVL(抗WASP−scFvのVLをコードする塩基配列)であり、2172〜2201bpはmyc−tag(Myc−tagをコードする塩基配列)であり、2205〜2210bpはHidIIIサイトであり、2211〜2678bpはFib−Lp(A)(フィブロインL鎖遺伝子の3’UTR及びポリAシグナル)であり、2679〜2684bpはBglIIサイトである。
<遺伝子組換えカイコの作出>
次に、構築したプラスミドpBac[3XP3−DsRed2afm]−LLL−anti−WASP−scFv−Mycと、piggyBacヘルパープラスミドpHA3PIGのDNA溶液(DNAの濃度が0.2μg/μlになるよう0.5mM リン酸緩衝液(pH7.0),5mM KClにて調製)とを、産卵後4〜10時間のカイコ(品種:w1−pnd)の受精卵794個にマイクロインジェクションした。
<組換えカイコ産生繭におけるフィブロインL鎖−抗WASP−scFvの発現>
前記の通りにして得られた「S01」等由来の繭を2mm角程度に切り、繭20mgに対して9M 臭化リチウム(LiBr)溶液1mLを加え、ローテーターで、室温、3時間撹拌して完全に溶解した。そして、10,000×gで20分間(室温)遠心後、上清を回収し、水で2倍希釈した後、等量の2×SDSサンプルバッファーを加えて、65℃で30分間インキュベートした。調製したサンプルをSDS−PAGEにて分離し、PVDFメンブレンにトランスファーした後、抗フィブロインL鎖抗体(anti−FibL pAb、本発明者小島作製)および抗Myc−tag抗体(anti−Myc pAb、MBL社製)と室温で1時間反応後、HRP−標識抗ウサギ抗体と室温で1時間反応させ、ECL試薬(GEヘルスケア社製)を用いて検出した。得られた結果を図2に示す。
<未精練シルクパウダーの調製方法>
非組換え体であるw1−pnd(以下「w1」とも称する)由来、S01由来及びフィブロインL鎖−緑色蛍光タンパク質(EGFP)の融合タンパク質(EGFP−Fib−L)を発現する組換えカイコ(未発表、以下「K27系統」又は「K27」とも称する)由来の繭をそれぞれ3g用意し、裁断した後9M LiBr溶液30mLに浸し、4時間撹拌して完全に溶解した。得られたシルク溶液を透析膜(再生セルロース膜、製品名:Spectra/Por、MWCO 6−8000)に入れ、精製水(RO水)8Lに対して12時間×6回透析を行った。透析により得られたシルクゲルを−20℃に一晩、次いで−80℃に1時間以上おいて凍結させ、さらに凍結乾燥機を用いて48時間凍結乾燥した。得られた乾燥シルクを粉砕器(製品名:ワンダーブレンダー、大阪ケミカル株式会社製)で粉砕し、未精練シルクパウダーとした。
(繭をそのまま粉砕してパウダーにする方法)
w1由来及びS01由来の繭それぞれ3gをRO水に1日浸し、−80℃で凍結・乾燥後、そのままワンダーブレンダーを用いて粉砕した。
<精練シルクパウダーの調製方法>
w1由来、S01由来及びK27由来の繭をそれぞれ4g用意し、8M Urea,0.5% 2−メルカプトエタノールに浸して80℃で30分間撹拌してセリシンを除去した(尿素精練)。そして、w1由来、S01由来及びK27由来の未精練の繭3gの代わりに得られた精練シルク(フィブロインのみを含む)3gを用いた以外は、実施例1と同様の操作によりシルクパウダー(精練シルクパウダー)を作製した。
実施例1及び比較例1〜2で得られたシルクパウダーの形状に関して電子顕微鏡観察したところ、比較例1で得られた粉砕しただけのパウダーはまだ繊維状の構造をとっているが(直径10〜15μm、長さ数mm)、実施例1及び比較例2で得られた、一度溶解し、凍結乾燥・粉砕したパウダーは一辺が1〜40μmのブロック状の構造をとっていることが確認された(図3 参照)。
実施例1及び比較例2にて調製したシルクパウダーと、抗原であるGST−WASP−NT及びコントロールであるGSTとを各々反応させ、その後プルダウンアッセイにより、フィブロインL鎖−抗WASP−scFvを有するシルクパウダーと抗原との複合体が形成されているかを調べた(図4 参照)。すなわち、各方法にて調製したシルクパウダーをそれぞれ10mgずつ量り取り、1.5mLチューブに入れ、20%エタノール溶液1mLを加えてよく懸濁し、分散させた。分散後、遠心して上清のエタノール溶液を捨て、続けてブロッキング液(製品名:ブロッキングワン、ナカライテスク社製)1mLを加えて室温、90分間ローテーターにて撹拌しながらインキュベートし、非特異的な結合を抑える操作(ブロッキング)を施した。ブロッキング後、大腸菌で発現させてアフィニティー精製した組換えタンパク質GST、GST−WASP−NT(抗WASP−scFvの抗原)をプローブタンパク質(それぞれ20μg/mLの濃度になるようブロッキング液にて調製)として、シルクパウダーと共に室温で60分間ローテーターにて撹拌しながらインキュベートした。次いで、TBST溶液(10 mM Tris−HCl,pH8.0,0.15M NaCl,0.05% Tween−20)で5回洗浄することにより、プルダウンアッセイを行った(図4 参照)。得られたサンプルに2×SDSサンプルバッファーを加えて100℃で10分間ボイルした。そして、ボイルしたサンプルをSDS−PAGEした後、PVDFメンブレンにトランスファーして、抗GST抗体を用いてウェスタンブロットを行った。得られた結果を図5に示す。
実施例1で得られたシルクパウダーに関して、さらに抗原特異性を評価するために、抗原であるGST−WASP−NT、抗原部位を欠損させたWASPとGSTとの融合タンパク質であるGST−WASP−CT、さらにWASPと全く相同性のないマウスの免疫系細胞で発現しているP2X7レセプターの細胞内ドメインとGSTとの融合タンパク質GST−P2X7−CT2の3種類を大腸菌で発現させてアフィニティー精製し、プローブタンパク質(それぞれ20μg/mLになるようブロッキング液にて調製)として用意した。そして、前記同様に、w1由来、S01由来、K27由来のシルクパウダーと反応させた後、プルダウンアッセイ、並びに抗Myc抗体及び抗GFP抗体を用いたウェスタンブロットにより抗原−抗体反応による複合体を形成しているかを確かめた。得られた結果を図6に示す。
抗WASP−scFvの親抗体である完全長の抗WASPモノクローナル抗体(anti−WASP mAb)とプロテインGセファロースとの複合体を用いたプルダウンアッセイを行い、実施例1で得られた抗WASP−scFvにおいて確認された抗体活性(抗原特異性や結合性)と比較した。すなわち、組換えタンパク質GST−WASP−NT、GST−WASP−CT及びGST−P2X7−CT2をそれぞれPBSバッファーで20μg/mLに調整し、プロテインGセファロース(GEヘルスケア社製)40μLを加え、4℃で60分間ローテーターにてインキュベートして、プロテインGセファロースに非特異的に吸着する成分を取り除いた(プレクリアー)。そして、10,000×gで10分間遠心した後、上清を回収し、そこに抗WASP−scFvの親抗体である抗WASP−EVH1モノクローナル抗体5μgとプロテインGセファロース40μLとを加え、4℃で3時間ローテーターにてインキュベートした。次いで、PBSで5回洗浄した後、2×SDSサンプルバッファーを加えて100℃で10分間ボイルした。このようにして得られたサンプルをSDS−PAGEした後、PVDFメンブレンにトランスファーして、抗GST抗体を用いてウェスタンブロットを行った。得られた結果を図8に示す。
<フィブロインH鎖−抗WASP−scFv融合タンパク質を発現する遺伝子組換えカイコベクターの構築>
フィブロインL鎖の時と同様に、抗WASP−scFv−MycのDNAコンストラクトをpHCベクターのBamHI−SalIサイトへ挿入し、フィブロインH鎖のN末側の一部(NTD)とC末側の一部(CTD)の間に抗WASP−scFv−Mycが挟まれたような形状で融合タンパク質を発現するDNAコンストラクトを作製した。さらにこの融合タンパク質の発現ユニットを遺伝子組換えカイコ用ベクターpBac[3XP3−Dsred2afm]のAscI−FseIサイトに挿入し、目的タンパク質を発現する組換えカイコ用プラスミドベクターpBac[3XP3−DsRed2afm]−HC−anti−WASP−scFv−Mycを構築した(図9 参照)。なお、pHCベクターについては非特許文献3の記載を、pBac[3XP3−DsRed2afm]については非特許文献1の記載を参照のこと。また、図9に記載のAscIサイトからFseIサイトまでの塩基配列を配列表の配列番号:3にて示し、該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号:4にて示す。なお、配列番号:3に記載の塩基配列において、1〜8bpはAscIサイトであり、9〜1133bpはFib−H Pro(フィブロインH鎖遺伝子のプロモーター配列)であり、1134〜1175bpはFib−H NTD(N−terminal domain(N末端領域))の第1エクソン(フィブロインH鎖の1位(メチオニン残基)〜14位(グルタミン残基)からなるタンパク質をコードする塩基配列)であり、1176〜2144bpはフィブロインH鎖遺伝子の第1イントロンであり、2145〜2561bpはFib−H NTDの第2エクソン(フィブロインH鎖の15位(チロシン残基)〜153位(アラニン残基)からなるタンパク質をコードする塩基配列)であり、2562〜2567bpはBamHIサイトであり、2568〜2936bpはVH(抗WASP−scFvのVHをコードする塩基配列)であり、2937〜2981bpはlinker(「フレキシブルなリンカー配列(アミノ酸配列:GGGGS×3)」をコードする塩基配列)であり、2982〜3329bpはVL(抗WASP−scFvのVLをコードする塩基配列)であり、3336〜3365bpはmyc−tag(Myc−tagをコードする塩基配列)であり、3366〜3371bpはSalIサイトであり、3372〜3551bpはFib−H CTD(C−terminal domain(C末端領域))(フィブロインH鎖の5205位(セリン残基)〜5263位(システイン残基)からなるタンパク質をコードする塩基配列)であり、3552〜3851bpはFib−Hp(A)(フィブロインH鎖遺伝子の3’UTR及びポリAシグナル)であり、3852〜3859bpはFseIサイトである。
<遺伝子組換えカイコの作出>
次に、構築したプラスミドpBac[3XP3−DsRed2afm]−HC−anti−WASP−scFv−Mycと、piggyBacヘルパープラスミドpHA3PIGのDNA溶液(DNAの濃度が0.2μg/μlになるよう、0.5mM リン酸緩衝液(pH7.0),5mM KClにて調製)を産卵後4〜10時間のカイコ(品種:w1−pnd)の受精卵396個にマイクロインジェクションした。これを25℃でインキュベーションして幼虫を孵化させた。孵化した126頭の幼虫を人工飼料(日本農産工業)で飼育し、成虫に育てた。得られた成虫を兄妹交配して、85組の受精卵を得た。これらを産卵6〜10日目に蛍光顕微鏡下で観察し、胚の神経系統で赤色蛍光タンパク質の発現が認められる個体すなわち目的の組換えカイコを識別した。得られた遺伝子組換えカイコ個体を、S02系統又はS02と呼称し、飼育を続けた。
<未精練シルクパウダーの調製方法>
実施例1に記載の方法(フィブロインL鎖とscFvとの融合タンパク質において抗体活性が保持されていたパウダー化の方法)に従って、未精練のS02由来の繭からシルクパウダーを調製した。
実施例1及び2にて得られた未精練シルクパウダー10mgに対して9M臭化リチウム(LiBr)溶液500μLを加え、ローテーターで室温にて3時間撹拌して完全に該シルクパウダーを溶解させた。次いで、10,000xg、室温にて20分間遠心して上清を回収し、水で2倍希釈した後、等量の2xSDSサンプルバッファーを加えて、65℃で30分間インキュベートした。このように調製したサンプルをSDS−PAGEにて分離し、PVDFメンブレンにトランスファーした後、抗フィブロインH鎖(FibH)抗体(本発明者小島作成)、抗Myc−tag抗体(MBL社製)、抗フィブロインL鎖(FibL)抗体又は抗GFP抗体と室温にて1時間反応させた後、HPR−標識抗ウサギ抗体等の前記一次抗体に対応する各二次抗体と室温にて1時間反応させ、ECL試薬(GEヘルスケア社製)を用いて検出した。得られた結果を図10に示す。
実施例1及び2にて得られた未精練シルクパウダー(W1由来、S01由来、S02由来)を10mgずつ測り取り、1.5mLチューブに入れ、20%エタノール1mLを加えよく懸濁し、分散させた後、遠心して上清のエタノール溶液を捨て、続けて、非特異的な結合を抑えるために、ブロッキング液(製品名:ブロッキングワン、ナカライテスク社製)1mLを加えて室温にて90分間ローテーターを用いて撹拌しながらインキュベートした。ブロッキング後、大腸菌で発現させた組換えタンパク質GST及びGST−WASP−NT(scFvの抗原)をプローブタンパク質(各々20μg/mLになるようブロッキング液にて調製)として、シルクパウダーと室温にて60分間ローテーターを用いて撹拌しながらインキュベートした。次いで、TBST溶液(10mM Tri−HCl、pH8.0、0.15M NaCl、0.05% Tween−20)にて5回洗浄した後、2xSDSサンプルバッファーを加えて100℃にて10分間ボイルした。このように調製したサンプルをSDS−PAGEにて分離した後、PVDFメンブレンにトランスファーして、抗GST抗体、抗Myc抗体を用いてウェスタンブロットを行った。得られた結果を図11に示す。
Claims (5)
- 一本鎖抗体(scFV)とフィブロインタンパク質との融合タンパク質を発現させた絹糸を精練せずに溶解する工程と、
該工程で得られた前記融合タンパク質の溶解液に再構成処理を施す工程と、
を含むことを特徴とする、前記融合タンパク質、内在性の他のフィブロインタンパク質及びセリシンを含む複合体の製造方法。 - 分子内又は分子間の水素結合を切断する性質を有する溶液で絹糸を溶解する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記再構成処理を施した融合タンパク質の溶解液を凍結乾燥して粉砕する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記フィブロインタンパク質が、フィブロインL鎖及びフィブロインH鎖からなる群から選択される少なくとも一のタンパク質であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記再構成処理が透析処理であることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の製造方法。
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