JP5811038B2 - 射出成形機の射出装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、プラスチック製品を成形する射出成形機の射出装置に関するものである。
射出成形機は、型締装置と射出装置とから構成されている。型締装置は、固定型と可動型とからなる金型を開閉すると共に、閉じた状態で大きな型締力を負荷することができる。閉じられた金型の内部には、製品形状の空間である金型キャビティが形成される。また、射出装置は、固体状の樹脂ペレットに熱を加えて溶融し、金型キャビティ内に高圧で射出充填することができる。金型キャビティ内の樹脂が冷却固化した後、金型を開いて取り出すことにより、プラスチック製品(成形品)を得る。
図4に、従来の射出成形機の射出装置における加熱バレル10、スクリュー21、リアシート23などを示す。図4(a)はその全体、図4(b)は図4(a)のP部詳細であり、共に計量工程中の状態を示す。計量工程とは、後述するように、射出装置内において、供給された樹脂材料(粒状の樹脂ペレット)を可塑化(溶融)させて、次の成形サイクル用の溶融樹脂を必要量だけ射出装置先端に貯留させる工程であり、成形サイクル毎に行われる。加熱バレル10は概略円筒上の形状で、前方の先端部(型締装置側、図面左側)にノズル11が形成されている。加熱バレル10にはヒータ12が巻き付けられており、樹脂を溶融し所定の温度に保持させるための熱を加熱バレル10に加えることができる。加熱バレル10の内径部には、スクリュー21がその軸中心に回転自在かつその軸方向に前後進自在に内挿されている。スクリュー21の外周部には、螺旋状のフライト21aが形成されており、スクリュー21が回転するとフライト21aの作用によって、樹脂を前方(図面左側)に輸送することができる。加熱バレル10の後方(図面右側)上部には樹脂ペレット14を蓄えるホッパー13が備え付けられており、樹脂ペレット14を加熱バレル10の内径部に適宜投入する。投入された樹脂ペレット14は、スクリュー21の回転によって前方に輸送され、その間、加熱バレル10に巻き付けられたヒータ12からの熱や、フライト21aとの接触によるせん断熱等を受けて溶融していく。スクリュー21の後端(右側)には、図示していないが、スクリュー21を前後進させるための前後進駆動装置、およびスクリュー21を矢印方向に回転させるための回転駆動装置が備え付けられている。また、加熱バレル10自体を前後進するための駆動装置が備え付けられており、ノズル11の先端を金型の樹脂流入口に押し付けた状態で、溶融樹脂15を金型キャビティ内に射出充填できる。スクリュー21の前端部(図面左側)には、スクリューヘッド22、チェックリング24、リアシート23が装着されている。
図4(a)のスクリュー21の前端部周辺の詳細を、図5に示す。スクリュー21の前端面には、円錐形状の先端部22d、大径部22a、小径部22bで構成されるスクリューヘッド22が配置され、大径部22aには、スクリュー21によりスクリューヘッド22側へ輸送された溶融樹脂15をスクリューヘッド22の先端部22d側へ流動させるため、その軸方向に複数の溝状の樹脂流路が形成されている。小径部22bのスクリュー21側にはリアシート23が配置されている。リアシート23は円筒状の形状をしており、その外周部は平坦で、直前のスクリュー21の外周部と同じ外径dを有し、スクリュー21の前端部から滑らかに連続している。
スクリューヘッド22の大径部22aとリアシート23との間の小径部22bには、円筒形状のチェックリング24が配置されている。チェックリング24は、スクリューヘッド22の大径部22aとリアシート23との間において、スクリュー21の軸方向に前後進するように構成されている。具体的には、計量工程中はスクリュー21が白抜き矢印の方向に回転し、溶融樹脂15が前方に輸送されるので、図5に示すようにチェックリング24はその後端のシール面24aに溶融樹脂15の輸送による流動圧力を受けて、チェックリング24の前端面24bがスクリューヘッド22の大径部22aと当接するまで前進する。その時、溶融樹脂15はスクリュー21の外周部のスクリュー樹脂流路25から、黒矢印で示すように、リアシート23のシール面23aとチェックリング24のシール面24aとの間、チェックリング24の内径部とスクリューヘッド22の小径部22bとの間、および、スクリューヘッド22の大径部22aの樹脂流路を通って前方に輸送され、スクリューヘッド22の前方に貯留される。この貯留される溶融樹脂15の量(体積)は、貯留量の増大に伴い後退(図面右側)するスクリュー21の後退量や後退圧力、あるいは、スクリュー21の回転動作負荷や貯留される溶融樹脂15の圧力等の情報を基に算出・モニタリングされる。そして、予め設定した所定量に達した時点で計量工程を完了させて、次の射出工程に備える。
射出工程中は図6のように、図示しない前後進駆動装置によりスクリュー21を白抜き矢印方向に前進させるので、スクリューヘッド22の前方に貯留された溶融樹脂15が、図示しないノズルから金型キャビティに射出充填されると共に、その反力により、スクリューヘッド22の前方に貯留された溶融樹脂15の、黒矢印で示すようなチェックリング24側へのバックフローが生じる。この溶融樹脂15のバックフローにより、チェックリング24は、その前端面24bに溶融樹脂15のバックフローの流動圧力を受けてリアシート23側に後退し、その後端のシール面24aがリアシート23のシール面23aに強く押し付けられる。このチェックリング24のリアシート23側への後退動作により、スクリュー樹脂流路25への、リアシート23のシール面23aとチェックリング24のシール面24aとの間の流路がシールされるので、スクリューヘッド22の前方に貯留された溶融樹脂15を、スクリュー樹脂流路25側にバックフローさせず、所定の射出充填圧力を維持しつつ、ノズル11を介して金型キャビティ内に射出充填することができる。
ここで、射出成形機によってプラスチック製品を成形するための一連の成形サイクルについて、説明する。
まず、型締装置を作動して金型を閉じ型締力を付加する。次に、射出装置を作動して、スクリューを前進させ、溶融樹脂を金型キャビティ内に射出充填する(射出工程)。その後、溶融樹脂の冷却固化収縮に伴う溶融樹脂の補充填(保圧工程)の後に、スクリューを回転させ、次の成形サイクルのための計量工程を開始する。具体的には、加熱バレル先端のノズルが閉じた状態でスクリューを回転させ、ホッパーから加熱バレルの内径部に樹脂ペレットを投入する。樹脂ペレットはスクリューの回転によって前方に輸送され、その間、加熱バレルの周囲に巻き付けられたヒータやスクリューのフライトとの接触等により熱を受けて溶融していく(樹脂ペレットの可塑化)。溶融された樹脂は、スクリュー先端部から、リアシートとチェックリングとの間、チェックリングの内径部とスクリューヘッドの小径部との間、および、スクリューヘッドの大径部の樹脂流路を通って前方に輸送され、スクリューヘッドの前方に貯留される。この計量工程では、スクリューヘッドの前方に貯留される溶融樹脂量や圧力の増大に伴いスクリュー等が後退する。その際、樹脂の溶融状態や混練性を向上させるために、スクリューの後退に抵抗力(背圧)を負荷することもある。
金型キャビティ内の樹脂が冷却固化した後、金型を開いてプラスチック製品(成形品)を製品取出手段等で金型より取り出す(製品取出し工程)。続いて次の成形サイクルの型閉じ、型締めを行なう。この時、計量工程が終わっていない場合は、計量工程が終わるのを待ってから製品取出し工程に移行することになり(金型を開いた際に金型キャビティ面に設けたゲートから樹脂圧によって溶融樹脂が漏れ出すため)、成形サイクルが長くなる。なお、油圧駆動や空圧駆動により強制的にゲートを開閉できるバルブゲート機構などの特殊な構造部品を金型や加熱バレル先端のノズルに装備した場合には、ゲートを閉鎖させた状態で計量工程を行うことができる。そのため、計量工程と製品取出し工程とを同時に行って成形サイクルを短くすることも可能ではあるが、金型や射出装置が複雑化し、製作コストが高くなるため、金型や射出装置に特殊な構造部材を装備することなく、計量時間を短縮することが望ましいとされている。
計量工程中において、加熱バレルの内径部とスクリューの外周部との間(スクリュー樹脂流路)にある溶融樹脂は、フライトの回転作用によって前方に強制的に輸送される。しかしながら、リアシートの外周部は平坦で、スクリューの外周部と同じ外径であり、スクリューのフライトのような強制的に溶融樹脂を前方へ輸送させる構造が無いため、リアシート部を通過する溶融樹脂の輸送能力は低下し、溶融樹脂の流動停滞が発生する。リアシート部での溶融樹脂の流動停滞は、溶融樹脂の流動抵抗となりスクリュー部での溶融樹脂の輸送能力の低下を誘発し計量時間が長くなるという問題がある。
近年、リアシートの外周部の形状を工夫し、溶融樹脂の混練性及び添加剤の分散性を向上させる技術が開示されている。例えば、特許文献1では、加熱筒の内孔(加熱バレルの内径部)とウエアプレート(リアシート)の外周との間の間隙によりなる第1絞り通路と該ウエアプレートの外周部に複数個所設けた放射状の溝よりなる第2絞り通路とにより、溶融樹脂の通路を複雑に形成し、溶融樹脂の混練性を向上させると共に、未可塑原料の混入や色むらに対する防止機能を付加している。
また、特許文献2では、シールリング(リアシート)の外周面に突起物を円周方向に複数個、かつ、軸方向に複数列形成させ、溶融樹脂の混練性を向上させる技術が開示されている。
これらの技術は、未可塑原料が混入し易い樹脂を使う成形における未可塑原料の溶融樹脂への混入防止や、顔料(着色剤)などの添加剤を溶融樹脂に均一に分散させるため、計量中における混練性及び添加剤の分散性を要する成形には適している。
特開平9−141709号公報 特開平8−156047号公報
しかしながら、これら外周部に何らかの突起物を有するリアシートの形状は、未可塑原料の混入防止ができる、あるいは、溶融樹脂の混練性及び添加剤の分散性を向上させる反面、リアシート部での溶融樹脂の流動抵抗が、外周部に何もない場合に対して更に増加するため、リアシート部での溶融樹脂の前方への輸送能力が低下し溶融樹脂の流動滞留を発生し、計量時間が長くなるという問題がより顕著となる。特許文献1においては、計量時間の増大に起因する可塑化能力が約4%低下することが開示されている。また、特許文献2においては、明確な開示はないが、同請求項や同明細書(段落0017、0024、0030他)及び同図(図1、図8〜図10)の記載から、リアシートの外周面(外周部)に円周方向に複数個、かつ、軸(スクリュー軸)方向に複数列形成された突起物により、リアシート部での溶融樹脂の流動抵抗の増加は回避し難く、これに伴う計量時間の増大が推測される。
本願発明は、溶融樹脂の混練性及び添加剤の分散性を低下させず、計量時間の短縮が可能な射出成形機の射出装置を提供するものである。
以上の課題を解決するために、本願の発明では、円筒状の加熱バレルと、
螺旋状のフライトがその外周部に形成され、その軸中心に回転自在かつその軸方向に前後進自在に前記加熱バレルの内径部に内挿されたスクリューと、
大径部と小径部とを有し、前記小径部側が前記スクリューの前端部側に固定されたスクリューヘッドと、
前記スクリューの前端部と前記スクリューヘッドの前記小径部との間に固定されたリアシートと、
前記スクリューヘッドの前記大径部と前記リアシートとの間において、前記スクリューの軸方向に前後進可能に配置されたチェックリングと、
を備える射出成形機の射出装置において、
前記リアシートの外周部に、前記スクリューの前記フライトと同じ方向に捩れ、かつ前記スクリューの軸方向において断面形状が一定の複数の送り歯が形成され、
前記スクリューの前記フライト間に形成されるスクリュー樹脂流路と、前記リアシートの前記送り歯間に形成されるリアシート樹脂流路とが連続すると共に、
前記リアシート樹脂流路の流動幅が、前記スクリュー樹脂流路の流動幅の1/2以下になるように構成される、
ことを特徴とする射出成形機の射出装置とする。
また、前記送り歯の捩れ角度は、前記スクリューの軸方向から18°±10°の範囲で選択されることが好ましい。
溶融樹脂の混練性及び添加剤の分散性を低下させず、計量時間を短縮することができる。
本願発明に係る射出成形機の射出装置のリアシート及びその周辺を示す図である。 本願発明に係る射出成形機の射出装置のリアシート及び従来の射出成形機の射出装置のリアシートの側面を示す図である。 本願発明に係る射出成形機の射出装置のリアシート及び従来の射出成形機の射出装置のリアシートの、スクリューの軸方向に直交する断面を示す図である。 従来の射出成形機の射出装置における加熱バレル、スクリュー、リアシートなどを示す図である。 計量工程中において、チェックリングが開いている状態の従来の射出成形機の射出装置のリアシート周辺を示す図である。 射出工程中において、チェックリングが閉じている状態の従来の射出成形機の射出装置のリアシート周辺を示す図である。 本願発明に係る射出成形機の射出装置を使用した実施例、及び、従来の射出成形機の射出装置を使用した比較例による、計量時間、可塑化能力及び成形品の分散性の評価等を記載した表である。 本願発明に係る射出成形機の射出装置を使用した実施例、及び、従来の射出成形機の射出装置を使用した比較例による、製品の色分散を画像解析ソフトで解析したグラフである。 本願発明に係る射出成形機の射出装置のスクリュー及びリアシートにおける溶融樹脂流動を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら、本願発明に係る実施例及び比較例を説明する。
図1は、本願発明に係る射出成形機の射出装置のリアシート30及びその周辺を示す図であり、従来の射出成形機の射出装置のリアシート23及びその周辺を示す図5と同様に、計量工程中の状態を示す。後述する比較例との違いは、図2及び図3に示すように、リアシート30の外周部に6枚の送り歯30bが形成されていることである。これら送り歯30b間には6個のリアシート樹脂流路31が形成され、スクリュー樹脂流路25からリアシート30に到達した溶融樹脂15は、スクリュー21と共に回転するリアシート30のこれらの流路を通って前方に強制的に輸送される。尚、本願発明に係る射出成形機の射出装置において、リアシート30以外の構成要件は、図4乃至図6に示す従来の射出成形機の射出装置と基本的に同じため、本願発明に係る射出成形機の射出装置における加熱バレル、スクリュー、リアシートなどを示す図(従来の射出成形機の射出装置における加熱バレル、スクリュー、リアシートなどを示す図4に相当)は省略し、リアシート30以外の構成要件は、図4乃至図6と同じ名称及び符号を引用して説明する。
図2(a)に本願発明に係る射出成形機の射出装置のリアシート、すなわち、本実施例のリアシート30の側面を示す。リアシート30の外周部に形成されている送り歯30bは、軸方向中心線32に対してθ(スモールアール)=18°、スクリュー21のフライト21aと同じ方向に捩れている。そのため、リアシート31の外周部のリアシート樹脂流路31にある溶融樹脂15に、前方(図1の左側)への流動力を与えることができる。送り歯30bの軸方向中心線32方向の厚さb´は18mmである。一方、図2(b)に従来の射出成形機の射出装置のリアシート、すなわち、比較例のリアシート23の側面を示す。比較例のリアシート23は、先に説明したように、円筒状の形状をしており、その外周部は平坦で、直前のスクリュー21の外周部と同じ外径d(φ45mm)を有し、スクリュー21の前端部から滑らかに連続している。軸方向中心線32方向の厚さbはリアシート30と同じ18mmである。(b=b´)
また、図3(a)に本実施例のリアシート30の、スクリューの軸方向に直交する断面を示す。先に説明したように、同外周部に6枚の送り歯30bが形成されており、送り歯30bの外周径Dは加熱バレル10の内径Dよりも僅かに小さく、スクリュー21のフライト21aの外径Dと略同じφ52mmである。送り歯30bの幅Wは5mm、送り歯30bの間に形成されるリアシート樹脂流路31の深さHは、フライト21aと略同じ3.5mmであり、送り歯30bの外周径Dからリアシート樹脂流路31の深さHを差し引いたリアシート樹脂流路31の谷部径Dは、スクリュー21のリアシート30側端部の外周部外径や、比較例のリアシート23の外径dと同じφ45mmである。リアシート30の送り歯30bの断面形状は、スクリュー21の軸方向において一定であるが、スクリュー21のフライト21aのように捩れており、その捩れ角度θが軸方向中心線32に対して18°であることは先に説明したとおりである。そのため、これら送り歯30b間に形成されるリアシート樹脂流路31の断面形状及び流路面積もスクリュー21の軸方向において一定であり、スクリュー21と一体で回転するこれらリアシート30の送り歯30bにより、リアシート樹脂流路31の溶融樹脂15は、スクリュー樹脂流路25からリアシート樹脂流路31の通過時においても、比較例のリアシート23のような流動抵抗を受けることなく連続して前方へ輸送される。尚、各数値は一例であり、本数値になんら限定されるものではない。
ここで、図1に示すように、連続するスクリュー21のフライト21aによりスクリュー21の前端部まで輸送された溶融樹脂15は、スクリュー樹脂流路25からリアシート30の送り歯30b間に構成される複数のリアシート樹脂流路31に輸送される際、各リアシート樹脂流路31に分流される。スクリュー21のフライト21aにより輸送される溶融樹脂流動は、図9(a)に示すように、フライト21aの捩れ方向と同じ方向に流動する層流である。そのため、この溶融樹脂流動は、管路であるフライト21aから最も離れた部分においてその流速が最も早く、フライト21aに近い程その流速が小さい。この速度差はその流動幅X(この場合、隣り合うフライト21aに直交するフライト21a間距離)に比例する。ところが、図9(b)に示すように、この各リアシート樹脂流路31における分流によって、この溶融樹脂流動は、その流動幅Xが流動幅Yへと一挙に小さくなる。当然ながら、分流後の各リアシート樹脂流路31の溶融樹脂流動も、管路であるリアシート30の送り歯30bの捩れ方向と同じ方向に流動する層流であるため、送り歯30bから最も離れた部分においてその流速が最も早く、送り歯30bに近い程その流速が小さい。そして、この速度差もその流動幅Y(この場合、隣り合う送り歯30bに直交する送り歯30b間距離)に比例する。
一方、スクリュー21及びリアシート30は一体で回転する。フライト21a間の溶融樹脂流動と各リアシート樹脂流路31の溶融樹脂流動とを生じさせる力は、このスクリュー21及びリアシート30の回転力であり、これら分流前後の溶融樹脂流動は連続しているため、それぞれの樹脂流動力自体は同じである。すなわち、これら分流前後の溶融樹脂流動においては、フライト21a及びリアシート30の送り歯30bの数や捻れ角度の差異に起因する溶融樹脂の輸送量(容積)の差異はあっても、それぞれの層流としての溶融樹脂流動の平均速度は同じである。つまり、この分流により、流動幅の広さに起因するスクリュー21の溶融樹脂流動の速度差は、流動幅の狭い各リアシート樹脂流路31において急激に是正され、スクリュー21の溶融樹脂流動の平均速度より速い部分は略平均速度まで減速され、平均速度より遅い部分は略平均速度まで加速される。この分流による溶融樹脂流動速度の是正作用は、溶融樹脂流動内の局所的な速度ベクトルの変化を生じさせるため、特許文献1や特許文献2の溶融樹脂の混練性及び添加剤の分散性の向上と同様の効果を奏すると共に、先に説明したように溶融樹脂流動全体の平均速度を維持するという効果も奏する。その結果、リアシート部において、溶融樹脂の混練性及び添加剤の分散性を向上できる。更に、先に説明したように、スクリュー21のフライト21aによる連続した溶融樹脂の流動をリアシート部において停滞させず、複数の送り歯により継続させることができ、本発明に係る射出成形機の射出装置のリアシート30により、溶融樹脂の混練性及び添加剤の分散性と、溶融樹脂の輸送能力の低下防止との両立化が図れる。
一方、図3(b)に比較例のリアシート23の、スクリュー21の軸方向に直交する断面を示す。その外周部に実施例のリアシート30のような送り歯30bは形成されておらず、その外径は直前のスクリュー21の外周部と同じ外径dであることも先に説明したとおりである。
また、リアシート23の送り歯30bの歯数は6枚としたが、多すぎると各リアシート樹脂流路31の容積が減って溶融樹脂の流動を妨げるため、2枚〜24枚が好適である。使用する射出装置の大きさ及びスクリューの形状、樹脂種類、射出充填量、成形サイクル等に応じて、適宜、最適な歯数が選択されることが好ましい。さらに、送り歯30bの軸方向中心線32に対する捩れ角度θは、18°前後が好適である。小さすぎると溶融樹脂に前方へ輸送する推進力を充分に与えることができず、大きすぎるとスクリュー樹脂流路25から輸送された溶融樹脂に対して抵抗となり樹脂流動を妨げるので、使用する射出装置の大きさ及びスクリューの形状、樹脂種類、射出充填量、成形サイクル等に応じて、適宜、18°±10°程度の範囲内で、最適な捩れ角度θが選択されることが好ましい。
これまで説明したような相違点を有する実施例のリアシート30(本願発明に係る射出成形機の射出装置)と比較例のリアシート23(従来の射出成形機の射出装置)をそれぞれ、当社(宇部興産機械)製の全電動式射出成形機(MD350S)の射出装置に組み込み、実際に、プラスチック製品を成形した際の、計量時間、可塑化能力及び成形品の色分散性の評価等を記載した表を図7に示す。1が実施例のリアシート30(送り歯付)を組み込んだ場合、2が比較例のリアシート23(送り歯無し)を組み込んだ場合のデータであり、1及び2の機械的相違点は、先に説明したようにリアシートのみである。1及び2共に、使用した樹脂材料は、株式会社プライムポリマー製、高透明PP(ポリプロピレン)J139(MFR60)、着色剤は、大日本精化工業株式会社製、赤(PP−RM HH9130)である。成形回数は、計量時間(可塑化能力)を測定するための厚肉品成形を、捨て打ち5回に連続して10回行い、着色剤の色分散性を測定するための薄肉品成形を厚肉品成形に引き続き、捨て打ち5回に連続して3回行った。計量時間については、連続して行った10回の厚肉品成形の各計量時間の最小値及び最大値を記載している。可塑化能力については、各計量時間に基づき、下記計算式で求めた可塑化能力の最小値及び最大値を記載している。
Figure 0005811038
また、成形品平均重量は、連続して成形した10個の厚肉品の平均重量であり、成形樹脂温度は、可塑化能力測定及び分散能力測定終了後、最後に計量にした溶融樹脂を加熱バレルから排出させて直接測定した溶融温度である。その結果、計量時間について、2に対する1の1〜4%の時間短縮が確認できた。すなわち、可塑化能力も1〜4%向上している。
また、添加剤の分散性の評価の1つとして、着色剤の色分散性についても、成形した薄肉品により明らかな能力向上が確認できた。これに関して、実施例及び比較例による、成形したプラスチック製品の表面を画像解析ソフトで解析したグラフを図8に示す。これは、実施例及び比較例による混練性を評価するために、透明な樹脂材料に着色剤を添加して射出成形し、成形したプラスチック製品(薄肉品)の着色状態を、アメリカ国立衛生研究所(NIH)で開発された画像解析ソフト(imageJ)で解析し、色分散性を色彩と彩度とでそれぞれグラフ化したものである。図7と同様に、1が実施例のリアシート30(送り歯付)を組み込んだ場合、2が比較例のリアシート23(送り歯が付いていない)を組み込んだ場合のグラフを示す。実施例のリアシート30(送り歯付)を組み込んだ1の方が、色彩、彩度共に、ピークの幅(横軸方向:バラツキ度合い)が小さい。特に彩度に関しては、1の方が圧倒的に小さいことがわかる。すなわち、この透明樹脂材料への着色剤の添加によるその色分散性の評価において、比較例2よりも実施例1の方が明らかに優れていることから、リアシートの送り歯は、添加剤の分散性を低下させることはなく、むしろ向上させる効果が認められた。
以上のように、リアシート部に、スクリューのフライトと同じ方向に捩れ、かつ前記スクリューの軸方向において断面形状が一定の複数の送り歯をその外周部に設けることで、送り歯がない場合と比較して、リアシート部での溶融樹脂の前方への輸送能力の低下を防止し、計量時間を短縮することができる。また、複数の送り歯による溶融樹脂の分流作用により、溶融樹脂の混錬性及び添加剤の分散性を低下させず、むしろ向上させる効果を有する。先に説明したように、計量時間及び可塑化能力の向上効果は1〜4%と顕著なものではないが、溶融樹脂の混錬性及び添加剤の分散性を向上させる効果と合わせて、これら効果が射出装置を一切改造することなく、リアシートの交換のみで得られる点は費用対効果が大きい。
例えば、成形サイクル45秒(内、計量時間30秒)の製品の成形を1日(12時間)の生産(960個/日)で考えた場合、計量時間を1%短縮させた場合の成形サイクルは44.7秒、4%短縮させた場合の成形サイクルは43.8秒となる。それぞれの短縮させた成形サイクルでの生産数は966個と986個となり、一日の生産数を6〜26個増やすことができる。これを1年(210日)の生産で考えると、1260〜5460個の生産数の増加が見込めることになる。このように、成形サイクル毎の計量時間及び可塑化能力の向上効果が1〜4%であっても、終日、年間を通じて稼動される射出成形機における生産数の増加は大きなものとなる。また、成形サイクルに占める計量時間の長い製品ほど、これら生産数の増加は顕著なものとなることは言うまでもない。同時に、これら生産数の増加は、可塑化時の電力気使用量等、製品1個当たりの射出成形機に関連する稼動コストを確実に削減し、プラスチック製品の生産性を向上させることができる。更に、樹脂材料の変更に伴う、異なる仕様の送り歯を有するリアシートへの交換も容易である。
上記の実施の形態は本願発明の一例であり、本発明は、該実施の形態により制限されるものではなく、請求項に記載される事項によってのみ規定されており、上記以外の実施の形態も実施可能である。
プラスチック製品を成形する生産工場において利用でき、射出成形機の生産性向上に貢献できる。
10 加熱バレル
21 スクリュー
21a フライト(スクリュー)
21b メスねじ(スクリュー)
22 スクリューヘッド
22a 大径部(スクリューヘッド)
22b 小径部(スクリューヘッド)
22c オスねじ部(スクリューヘッド)
22d 先端部(スクリューヘッド)
23 リアシート(従来の)
23a シール面(リアシート)
24 チェックリング
24a シール面(チェックリング)
24b 前端面(チェックリング)
25 スクリュー樹脂流路
30 リアシート(本願発明の)
30b 送り歯(リアシート)
31 リアシート樹脂流路

Claims (2)

  1. 円筒状の加熱バレルと、
    螺旋状のフライトがその外周部に形成され、その軸中心に回転自在かつその軸方向に前後進自在に前記加熱バレルの内径部に内挿されたスクリューと、
    大径部と小径部とを有し、前記小径部側が前記スクリューの前端部側に固定されたスクリューヘッドと、
    前記スクリューの前端部と前記スクリューヘッドの前記小径部との間に固定されたリアシートと、
    前記スクリューヘッドの前記大径部と前記リアシートとの間において、前記スクリューの軸方向に前後進可能に配置されたチェックリングと、
    を備える射出成形機の射出装置において、
    前記リアシートの外周部に、前記スクリューの前記フライトと同じ方向に捩れ、かつ前記スクリューの軸方向において断面形状が一定の複数の送り歯が形成され、
    前記スクリューの前記フライト間に形成されるスクリュー樹脂流路と、前記リアシートの前記送り歯間に形成されるリアシート樹脂流路とが連続すると共に、
    前記リアシート樹脂流路の流動幅が、前記スクリュー樹脂流路の流動幅の1/2以下になるように構成される、
    ことを特徴とする射出成形機の射出装置。
  2. 前記送り歯の捩れ角度は、前記スクリューの軸方向から18°±10°の範囲で選択される、
    請求項1に記載の射出成形機の射出装置。
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